JP4121656B2 - エアゾール製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエアゾール製品に関する。さらに詳しくは、噴射量が少ないにもかかわらず、液垂れ現象(アフタードロー)および詰まりが生じにくいエアゾール製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
へアスプレーや化粧水スプレーといった霧状で噴射するエアゾール製品は多数あるが、内容物をポイント的に噴射したい場合や、目や鼻、口などの粘膜付近で噴射する場合、あるいは医薬品のように使用しうる有効成分が限定されている製品などでは、使用性や安全性を考慮して噴射量を少なくすることが望まれる。
【0003】
噴射量を少なくする場合、基本的にはバルブのステム孔やボタン(押しボタン)の噴射孔の径を小さくする。さらに特開平7−132981号公報や特開平10−218262号公報に記載されているように、通路内に所定形状の部材を挿入することにより、1本または2本以上の細長い隙間流路を形成し、それにより流路断面積を小さくしたり流路抵抗を大きくする方法がある。
【0004】
しかし前記バルブやボタンの孔径を小さくしたり、通路断面積を小さくする従来の方法では、微細な不溶解物を含む内容物や乾燥して皮膜をつくる樹脂を含む内容物を噴出させる場合、小さく絞った孔や通路で詰まりが発生する問題がある。そのため孔径や通路の径は0.2mmが限度とされ、詰まりやすい内容物ではそれ以上噴射量を少なくすることが困難である。さらに詰まりが発生しにくい内容物であっても、ボタンの噴射孔径を小さくしたエアゾール製品では、バルブの操作でステム孔の開放を止めた後であってもステム孔とボタン噴孔の間に残っている内容物が噴射される液垂れ現象が起こる。
【0005】
他方、液垂れ現象に関しては、特公昭58−31980号公報に、ボタン内の空間体積(噴孔とステム連通通路間の体積)を0.03ml以下にしてその空間に残る内容物を少なくし、それによって、噴射後の液垂れを防止することが記載されている。しかしこの液垂れ防止の方法は、ボタンの噴孔の径が0.2mm以上の通常の噴射量のエアゾール製品の場合しか有効でなく、たとえば径を0.08mm程度にすると、ステムの上部空間に残った内容物により液垂れが生ずる。さらにヘアスプレーのような、皮膜形成性の合成樹脂を含有する内容物を噴射させる場合は、ボタン内での内容物の通路が非常に狭いため、内容物に含有された合成樹脂が乾燥して詰まりが生じやすい。
【0006】
また、特開平10−329879号公報には、内容物の流路に5〜100μmのたがいに連通する微細な孔を有する焼結体を挿入して、流量を抑制する方法が記載されており、アフタードロー(液垂れ)が少なくなる効果についても記載されている。しかし噴射量が少なくなるだけで、液垂れの問題は充分には改善されるに至っていない。さらに燒結体では多数の孔がランダムに配置されているので、通路としては複雑に折れ曲がった経路となる。すなわち1つの孔を通過しても、その奥にあるつぎの孔と孔の間の壁に遮られる。そのため、その壁に樹脂などが付着して詰まりやすくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は噴射量が少なく、しかも液垂れおよび詰まりが生じないエアゾール製品を提供することを技術課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアゾール製品は、噴射孔の径が0.08〜0.15mmのノズルを備えたボタンと、そのボタンが取り付けられるステムと、そのステムの上部空間およびボタンのステム連通通路内の空間に挿入されるフィルタとを備え、そのフィルタが、各断面積がボタンの噴射孔の断面積よりも小さく、かつ、全断面積が噴射孔の断面積よりも大きい複数の微少通路を有することを特徴としている。
【0009】
前記微少通路は、フィルタの一端から他端まで貫通しているのが好ましい。また各微少通路の断面積が5×10-5〜0.015mm2 であるものが好ましい。さらに噴射量は0.1〜0.3g/秒とするのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明のエアゾール製品の実施の形態を説明する。図1は本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す要部断面図、図2は図1の要部拡大図、図3aおよび図3bはそれぞれ本発明にかかわるフィルタの一実施形態を示す要部斜視図および断面図、図4aおよび図4bはそれぞれ本発明にかかわるフィルタの他の実施形態を示す要部斜視図および断面図、図5aは本発明にかかわるボタンおよびノズルの他の実施形態を示す断面図、図5bはそのV−V線断面図である。
【0011】
図1に示すエアゾール製品Aは、容器本体1と、その上端開口部に取り付けられるバルブ2と、そのバルブ2のステム3に嵌着されるボタン4と、ステム3の内部およびボタン4内のステムと連通通路5の内部に挿入されるフィルタ6とを備えている。
【0012】
容器本体1は従来公知のものをいずれも使用しうる。通常は耐圧性のアルミニウムやブリキなどの金属缶や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの合成樹脂容器であるが、ガラスなどの他の素材のものも使用しうる。この実施形態では、容器本体1の上端開口部の周囲に、バルブを取り付けるためのビード部7が設けられている。容器本体1の中には、プロペラントと原液が充填される。
【0013】
バルブ2も公知のものを使用しうる。本実施形態では、バルブ2は容器本体1への取り付け部を備えたマウンティングカップ8と、マウンティングカップの中央部に固定されるハウジング9と、ハウジング内に配置される前述のステム3と、ハウジング9とステム3の間に介在され、ステム孔11を塞ぐバルブラバー12と、ステム3を上方に付勢するバネ13とを備えている。
【0014】
マウンティングカップ8はたとえば金属薄板をプレス成形したものであり、その周辺部に断面半円状のフランジ部14が容器本体への取り付け部として形成されている。フランジ部14は環状のガスケット15を介して容器本体1のビード部7に被せられる。フランジ部14の内側には下向きに延びる円筒壁16が形成されている。この円筒壁16は容器本体1のビード部7内に嵌合される。マウンティングカップ9の中央部には、有底筒状のハウジング取り付け部17が形成されている。ハウジング取り付け部17の下部は内向きにクリンチされ、ハウジング9の段部と係合することによりハウジング9を固定している。マウンティングカップ9の上面中央、すなわちハウジング取り付け部17の天面中央には、ステム3を通す貫通孔18が形成されている。
【0015】
前記ハウジング9は有底筒状の形態を有し、下部にディップチューブ20を取り付ける筒状突起21を有する。ハウジング9の底部にはバルブ内部と容器本体1の内部との間を連通する孔22が形成されている。ハウジング9の内部には、ステム3の下部を上下に案内するリブ23が放射状に数枚設けられ、そのリブ23の下端にバネ13の下端を係止している。ハウジング9の上部外周には、マウンティングカップ8のバルブ取り付け部17をクリンチするための段部24が設けられている。さらに上面にはバルブラバー12を挿入する凹部25が形成されている。ハウジング9は通常はポリアミド、ポリアセタール(ジュラコン)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製である。
【0016】
前記ステム3は筒状を呈し、上下方向の中間部にはバルブラバー12の内縁部と嵌合する環状溝30が形成されている。環状溝30の下側の側面は、ステム3の上方への抜けを防ぐように、ステムの軸心に対して直角である。上側の側面はステム3を押し下げたときにバルブラバー12の内縁側を下向きに湾曲させるため、テーパー面にしている。その環状溝30から下側は、ハウジング9のリブ23と摺接する円筒面にしている。またステム3の下端側には、バネ13の上部を収容する環状深溝31が形成されている。ステム3の内部には、上端に開口する通路32が形成されている。
【0017】
その通路32は、上部側の径が大きい上部通路33と、その下側のいくらか小径の下部通路34とからなり、下部通路34の下側には深穴35が設けられている。下部通路34は環状溝30と対応する部位に設けられ、下部通路34と環状溝30の間を仕切る壁、すなわちステム3内の通路32と環状溝30の間を仕切る壁に、前述のステム孔11が形成されている。ステム孔11の内径は通常0.3〜0.6mm程度である。
【0018】
上部通路33の内径は、通常1.8〜2.3mm程度であり、長さは6〜9mm程度である。下部通路34の内径は、通常1.5〜1.8mm程度であり、長さは1.5〜2.5mm程度である。したがって上部通路33と下部通路34の間に段部35が形成される。この実施形態では段部35はテーパー状にしている。ステム孔11の内径は通常0.3〜0.6mm程度であり、長さ、すなわちステム孔11が形成されている壁の厚さは、通常0.5〜1.0mm程度である。ステム3は通常はポリアミド、ポリアセタール(ジュラコン)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製である。
【0019】
前記ボタン4はステム3に取り付けるための中央部40と、その上端に設けた指押し部41と、その指押し部41の周囲から下方に延びる筒状の外壁42と、その外壁の前側と中央部40とを連続させてノズル43を取り付けるようにしたノズル取り付け部44とを備えている。ボタン4は通常はポリアミド、ポリアセタール(ジュラコン)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製である。中央部40と外壁42とを連結する補強リブは省略している。
【0020】
中央部40の下面側にはステム3の上端近辺と嵌合する円柱状のステム挿入孔45が形成され、そのステム挿入孔45の上面から上方に、噴孔につながるステム連通通路(縦通路)5が延びている。ステム連通通路5の内径は、通常、1.0〜3.5mm程度であり、長さはボタン4の高さにより変わるが、通常は1〜10mm程度である。
【0021】
外壁42の前面側には、ノズル43の前面部と嵌合する凹所46が形成されており、さらにノズル43の後部を嵌入する環状の深溝47が形成されている。環状の深溝47はノズル取り付け部44内に入り込んでいる。環状の深溝43の上部から連通孔48が後方に延び、前述のステム連通通路5の上端と連通している。ノズル取り付け部44のうち、環状の深溝43で囲まれる円柱部49とノズル43の後部との間には隙間50が形成され、内容物が通る環状の通路となっている。また円柱部49の前端部には段部51が形成され、その環状の通路をいくらか拡げるようにしている。
【0022】
前記ノズル43は、凹所46の底面および円柱部49の前面と当接する円板状の前面部52と、その後方に延びる円筒状の後部53とを有する。前面部52の表面には浅い凹所54が形成され、背面にはいくらか深い凹所55が形成されている。そしてその間の壁56の中央に、噴射孔57が形成されている。また背面の凹所55から半径方向に溝58が形成されている。前面の浅い凹所54は噴射パターン(拡がり)を小さくする場合に設けるものであり、その必要がなければとくに設けなくてもよい。ノズル43は通常はポリアミド、ポリアセタール(ジュラコン)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂により成形される。ノズル43の後部53の外周面には、ボタン4の環状の深溝47の外側の壁面と係合する係止突起59が設けられている。
【0023】
噴射孔57の内径は0.08mm以上(断面積ではほぼ0.005mm2 以上)、好ましくは0.09mm以上である。また上限はほぼ0.15mm以下(断面積ではほぼ0.018mm2 以下)、好ましくは0.13mm以下である。噴射孔57の内径を0.08mmよりも小さくすると、詰まりが生じやすくなる。また0.15mmよりも大きくすると、噴射量が大きくなり、好ましくない。前記の壁56の厚さ、すなわち噴射孔57の長さは0.1〜0.5mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm程度である。それより長い場合は溝58の効果がなくなり、噴射パターン(拡がり角度)が小さくなる。また短い場合は噴射の勢いで撓みやすく、噴孔の大きさが変わりやすい。
【0024】
前記フィルタ6は図3aに示すように、円柱状の部材であり、その内部に軸方向に延びる複数本の微少通路60が形成されている。フィルタ6はたとえばポリアミド、ポリアセタール(ジュラコン)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂の押し出し成型品であり、硬質、軟質のいずれの合成樹脂も使用しうる。ただし噴射圧力によりフィルタ6が変形しない程度の強度が必要である。微小通路60が変形して径や長さが変動すると、所期の効果が達成できないからである。また細い繊維状の合成樹脂を円柱状に束ねて硬化したものなどであってもよい。
【0025】
この実施形態では図3bに示すように、微少通路60は断面円形である。ただし断面形状はこれに制限されるものではなく、四角形、三角形、五角形、楕円形など、種々の形状を採用しうる。またこの実施形態では微少通路60は外側に8本、内側に3本で、合計11本設けられている。しかし微少通路の配置、本数はそれに限定されることはない。
【0026】
この実施形態では1本の微少通路60の断面積は微少通路の本数によって異なるが、少なくとも0.015mm2 以下、好ましくは0.013mm2 以下であり、噴射孔57の断面積より小さくしている。微少通路60が円形の場合は、その内径は0.14mm以下、好ましくは0.13mm以下となる。なお比率でいえば、微少通路60の断面積は、噴射孔57の断面積の90%以下で、好ましくは80%以下である。微少通路の断面積が上記の上限よりも大きい場合は、噴射孔57で詰まり易い微粒子をあらかじめせき止めるフィルタとしての働きが低くなる。
【0027】
また、微少通路の断面積の下限は8×10-5mm2 程度であり、円形の場合は直径が0.01mm程度、比率では噴射孔の断面積の10%程度である。断面積がその下限よりも小さい場合は、微少通路60内で詰まりを生ずる可能性が高くなる。
【0028】
すべての微少通路60の断面積を合わせた全断面積は、噴射孔57の断面積よりも大きく、たとえば0.02mm2 以上、好ましくは0.03mm2 以上であり、2mm2 以下、好ましくは1mm2 以下である。比率でいえば、噴射孔の断面積の1.3〜200倍程度、好ましくは1.5〜150倍である。全断面積が上記の上限よりも大きい場合は、噴出量を抑制する作用が低くなる。また、逆に全断面積が上記の下限よりも小さい場合は噴射量が小さくなり過ぎ、詰りやすくなる。
【0029】
図1および図2の実施形態では、フィルタ6はステム3の上部通路33内に挿入される第1フィルタ6aと、ボタンのステム連通通路5に挿入される第2フィルタ6bとに分かれている。したがって第1フィルタ6aをステム3の上部通路33に密に挿入し、第2フィルタ6bをボタンのステム連通通路5に密に挿入した後、ボタン4をステム3に容易に挿入することができる。ただし第1フィルタ6aと第2フィルタ6bを一体に形成してもよい。
【0030】
図4aおよび図4bのフィルタ61は、内部を貫通する微少通路に代えて、表面に長手方向に延びる8本の溝62を有する。溝62は断面半円状である。この溝62は、フィルタ61をステム3の上部通路33に挿入したとき、その内面によって閉じられて微少通路60を形成するものである。なお、フィルタ61をボタンのステム連通通路5に挿入したときは、そのステム連通通路5の内面と共に微少通路を形成する。
【0031】
このような表面に溝62を備えたフィルタ61は、仮に微粒子が詰まっても、ステム3などから抜き出して微粒子を洗浄し、再びステム3などに挿入することにより、容易にもとの性能に復元させることができる。
【0032】
溝62の断面形状は、上記の半円状に限定されるものではなく、たとえば三角形、四角形などの多角形状、半楕円状など、種々の断面形状の溝を採用することができる。また溝62の本数も特に制限はないが、通常は2〜10000本、好ましくは5〜5000本程度とする。溝61とフィルタの表面と当接する壁面とで形成される微少通路の断面積、容積、断面形状、差し渡しの好ましい範囲は、前述の図3のフィルタ6の微少通路60の断面積、容積、直径と実質的に同じである。
【0033】
なお1本のフィルタに対し、図3のような内部を貫通する微少通路と表面に形成した溝とを併用することもできる。
【0034】
図5aはボタン本体71と、そのボタン本体71と嵌合させるノズル43の他の実施形態を示している。ボタン本体71の環状の深溝48を囲む円柱部49の後端近辺の表面には、その円柱部の軸線方向に延びる多数の断面三角形状の突条72が形成されている。それらの突条72は図5bに示すように、ノズル43の円筒状の後部53の内面53aと嵌合して、多数の通路73を形成するものである。この部分も、内容物中の微粒子の通過を遮る点で、フィルタと同じ作用を奏する。ただし液垂れを防止する効果はないので、図2などのフィルタ5と併用するのが好ましい。
【0035】
本発明のエアゾール製品は、霧状で噴射する製品であれば、とくに限定なく使用しうる。原液としては、水、炭素数2〜5の1価のアルコール、灯油などの基材に、油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、pH調整剤、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、酸化防止剤、防錆剤、香料、各種有効成分などを適宜用途に配合したものが用いられる。
【0036】
本発明のエアゾール製品に用いる噴射剤としては、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロカーボンなどのフロン類およびこれらの混合ガス、窒素、炭酸ガス、空気、亜酸化窒素、アルゴンなどの圧縮ガス、あるいはそれらの混合物から構成することができる。容器内の圧力は、0.1〜1.0MPa程度、とくに0.2〜0.8MPa程度が好ましい。
【0037】
なお噴射量は内部圧力が高い場合は、ほぼ噴射孔の断面積にのみ依存し、圧力が低下すると内圧が低下するほど噴射量が低下する。しかしいずれの場合でも、0.1〜0.3g/秒程度とするのが好ましい。噴射量が0.1g/秒より少ない場合は噴出が不安定になり、0.3g/秒より多い場合は微量噴射の目的を充分に達することができないからである。
【0038】
本発明のエアゾール製品は、具体的には、セット剤、トリートメント剤、艶出し剤、艶消し剤、染毛剤、脱色剤などの頭髪用スプレー、育毛剤、トニック剤、クレンジング剤(頭皮の脂落とし)などの頭皮用スプレー、化粧水、クレンジング剤、保湿剤、ビタミン剤、美白剤、プレシェービングローション、アフターシェーブローション、収斂剤、日焼け止め、消炎鎮痛剤、殺菌剤、水虫薬、消臭剤、制汗剤、香水、忌避剤などの皮膚用スプレー、口中清涼剤などの口腔用、点鼻薬、点耳薬などの粘膜用スプレー、殺虫剤、消臭剤、芳香剤、ガラスクリーナー、溌水剤、艶出し剤などの家庭用、自動車用スプレー、潤滑剤、錆止め、離型剤などの工業用スプレーなどに適用することができ、とくにヘアスプレーなどの詰まりやすい製品にも好適に使用することができる。
【0039】
【実施例】
つぎに本発明のエアゾール製品の実施例について、比較例と比較しながら説明する。
[実施例1]
ヘアスプレー処方:
以下に示す原液処方およびエアゾール処方でヘアスプレー用の内容物を製造した。
原液処方:
ジアルキルアミノエチルアクリレート/
アクリル酸アルキルエステル共重合体 8.0重量%
ソルビタンセスキオレエート 0.5
シリコーンオイル 0.3
エチルアルコール 91.2
香料 適量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0重量%
エアゾール処方:
上記原液 50.0重量%
LPG 50.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合計 100.0重量%
【0040】
図1に示すエアゾール装置に上記の内容物を充填したエアゾール製品を準備すると共に、ステムの上部通路(図2の符号33参照)およびボタンのステム連通通路(図2の符号5参照)に表1に示す条件を備えたブッシュ状のフィルタを挿入して実施例1〜5および比較例1、2のエアゾール装置を製造し、詰まり試験を行った。フィルタの直径は、ステムの上部通路に挿入したもので1.8mm、ステム連通通路に挿入したもので1.5mmとした。
【0041】
【表1】
Figure 0004121656
【0042】
上記の表1における詰まり試験では、(i)サンプル試射、(ii)25℃にて1週間放置、(iii )5℃にて1日放置、(i)サンプル試射のサイクルを繰り返した。液垂れおよび詰まり試験の評価は、「○」が良好、「×」が不良を示す。
【0043】
表1から分かるように、ボタン噴孔径0.08〜0.15mmの範囲で、ボタンの噴射孔の径よりも小さい径の微少通路を備えたフィルタを用いた実施例1〜5では、液垂れおよび詰まりの両方に良好な結果が得られた。他方、フィルタを用いない比較例1では、液垂れも詰まり試験も良好でなかった。またボタンの噴孔径と同じ径の通路を備えたフィルタを使用した比較例2のエアゾール装置では、液垂れの防止には効果があったが、詰まり試験の結果が不良であった。また、フィルタの微少通路の本数については、8本のものも50本のものもいずれも良好であった。
【0044】
これらの結果から、本発明のエアゾール装置は、液垂れと詰まりの両方を防止しうる効果があることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のエアゾール製品の一実施形態を示す要部断面図である。
【図2】 図1の要部拡大図である。
【図3】 図3aおよび図3bはそれぞれ本発明にかかわるフィルタの一実施形態を示す要部斜視図および断面図である。
【図4】 図4aおよび図4bはそれぞれ本発明にかかわるフィルタの他の実施形態を示す要部斜視図および断面図である。
【図5】 図5aは本発明にかかわるボタンおよびノズルの他の実施形態を示す断面図であり、図5bはそのV−V線断面図である。
【符号の説明】
A エアゾール製品
1 容器本体
2 バルブ
3 ステム
4 ボタン
5 ステム挿通孔
6 フィルタ
32 通路
33 上部通路
34 下部通路
43 ノズル
57 噴射孔
60 微少通路
61 フィルタ
62 溝

Claims (4)

  1. 噴射孔の径が0.08〜0.15mmのノズルを備えたボタンと、そのボタンが取り付けられるステムと、そのステムの上部空間およびボタンのステム連通通路内の空間に挿入されるフィルタとを備え、
    そのフィルタが、各断面積がボタンの噴射孔の断面積よりも小さく、かつ、全断面積が噴射孔の断面積よりも大きい複数の微少通路を有するエアゾール製品。
  2. 前記微少通路がフィルタの一端から他端まで貫通している請求項1記載のエアゾール製品。
  3. 各微少通路の断面積が5×10-5〜0.015mm2 である請求項1記載のエアゾール製品。
  4. 噴射量が0.1〜0.3g/秒である請求項1、2または3記載のエアゾール製品。
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