JP4121649B2 - 液体用紙容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離できるように構成された積層体を使用して作製される液体用紙容器において、積層体を剥離させて分離するためのきっかけを作りやすくしたガスバリヤー性の優れた液体用紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、環境保護がさけばれ、包装材料の再利用が話題となっており、ゲーベルトップ型の紙容器においても、ポリエチレン/紙/ポリエチレンの積層体からなる牛乳等の包装に使用される紙容器については、リサイクル活動が行われ資源の再利用による有効利用がなされている。
一方、酒、ワイン、コーヒー等の包装に使用されるゲーベルトップ型の紙容器においては、内容物の保護、流通手段、流通期間の長期化のために、ガスバリアー性の優れた紙容器とする必要があり、ポリエチレン/紙/エチレン−アクリル酸共重合体/アルミニウム箔/接着剤/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンからなる積層体が一般的に使用されている。また、最近では、上記構成におけるアルミニウム箔/接着剤/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる層を、アルミニウム蒸着層を有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレートとした構成の積層体が使用されている。
しかしながら、上記のような構成の積層体からなる紙容器においては、積層体の各層間の接着強度が強いために、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離するのがきわめて難しく、使用済紙容器の再利用が困難であるとともに、きわめて剛性の大きい紙容器であるため紙容器を折り畳んで廃棄するのも困難であるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液体用紙容器を作製するための積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離可能な構成とするとともに、積層体を剥離させるきっかけを作りやすくすることにより、積層体を外面層と内面層に容易に分離できるようにした、使用済紙容器の再利用が可能で且つ廃棄し易いガスバリヤー性の優れた液体用紙容器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層とに分離できるように構成された積層体からなり、前面板と後面板と両側面板と接着片と頂部形成板と底部形成板を有するゲーベルトップ型の液体用紙容器において、接着片に貼合される頂部形成板の側端角部の紙層にイソシアネート等からなる紙間強化剤が含浸された構成の液体用紙容器であるので、紙間強化剤が含浸されて紙間が強化された容器の端縁を折り曲げようとすることにより、紙層の紙間強化部にて積層体を簡単に剥離させることができるので、剥離させた部分をきっかけにして積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に簡単に分離することが可能となる。したがって、紙を主体とする外面層は再利用できるとともに、プラスチックを主体とする内面層は嵩が少なくなり廃棄するのが容易となる。
【0005】
上記の液体用紙容器において、接着片の上端部および接着片に折罫を介して連接された頂部形成板の上端部に、折罫からそれぞれ斜め上方に伸びる積層体の紙層を貫通する外面からのハーフカットが形成されている構成とすることにより、紙間強化剤が含浸されたゲーベルトップ型容器の上端の角部が折り曲げ易くなるので積層体を分離するための剥離のきっかけをつくりやすくなる。
【0006】
上記の液体用紙容器において、積層体を外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる構成、ないしは外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と剥離層と接着樹脂層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる構成とすることにより、剥離層にて熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層ないしは熱可塑性樹脂層と紙層からなる外面層と、ガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層ないしは接着樹脂層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる内面層とに分離できるので、紙を主体とした外面層の再利用が容易となる。
【0007】
上記の液体用紙容器において、ガスバリヤー層をアルミニウム箔とプラスチックフィルムの積層体ないしは金属または金属酸化物蒸着プラスチックフィルムとすることにより、酒、ワイン、コーヒー等を包装するのに適したガスバリヤー性の優れた液体用紙容器とすることができる。
【0008】
上記の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、頂部形成板および底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層を形成しておくことにより、頂部および底部の外面同志の熱接着部が剥離し易くなり頂部および底部を解体して、端縁部から積層体を接着樹脂層と剥離層間で剥離させて、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離し易くなる。
【0009】
上記の液体用紙容器において、両側面板および両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線を形成した構成とすることにより、両側面板を内側に折り込んで折り畳むのが容易となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板を示す平面図、図2は本発明の第2実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板の上半部を示す平面図、図3は本発明の第2実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板の他の形状を示す平面図、図4は本発明の第3実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板の上半部を示す平面図、図5、図6は本発明の液体用紙容器に使用する積層体の構成を示す断面図、図7はゲーベルトップ型容器の底部形成板の外面同志の接着部を剥離して分解する手順を示す部分斜視図、図8はゲーベルトップ型容器の折り畳んだ状態を示す斜視図、図9は容器の端部から積層体を外面層と内面層に剥離する状態を示す斜視図、図10は外面層を容器の全長にわたって剥離した状態を示す斜視図であって、1,6 はポリエチレン層、2は紙層、3は接着樹脂層、4は剥離層、5はガスバリヤー層、7は紙間強化部、8a, 8b, 8cはハーフカット、9a, 9bは接着強度調整層、11は後面板、12は前面板、12, 14は側面板、11a, 12a, 13a, 14aは頂部形成板、11b, 12b, 13b, 14bは底部形成板、15は接着片、16, 17は折曲線、18は底端縁接着部をそれぞれ表す。
【0011】
本発明の第1実施形態のゲーベルトップ型の液体用紙容器を作製するためのブランク板は、図1に示すように、後面板11と側面板12と前面板13と側面板14と接着片15が折罫を介してそれぞれ連接され、後面板11と側面板12と前面板13と側面板14の上端縁には折罫を介して頂部形成板11a,12a,13a,14a がそれぞれ連接されるとともに、下端縁には底部形成板11b,12b,13b,14b が折罫を介してそれぞれ連接されており、頂部形成板11a の側端の角部は積層体を構成する紙層に紙間強化剤を含浸させることにより紙間強化部7とされている。また、側面板12及び側面板14の中央部には縦方向にそれぞれ折曲線16が、頂部形成板12a,14a と底部形成板12b,14b の中央部には縦方向にそれぞれ折曲線17が、側面板11,12,13,14 と頂部形成板11a,12a,13a,14a ないしは底部形成板11b,12b,13b,14b を連接する折罫の上下の所定寸法を除いた状態で形成されており、頂部形成板11a,12a,13a,14a の表面同志が熱接着される領域には部分的な接着強度調整層9aが、底部形成板11b,12b,13b,14b の表面同志が熱接着される領域には部分的な接着強度調整層9bがそれぞれ形成されている。印刷絵柄層はブランク板の表面の熱接着される領域を除いて形成される。
【0012】
図1に示すブランク板を使用してゲーベルトップ型の紙容器に成形した際に、頂部形成板11a の側端の角部の紙間強化剤を含浸させた紙間強化部7を折り曲げることにより、折り曲げ部における紙層が層間で剥離することがないので、折り曲げによる剪断力が積層体の接着面に加わり接着強度の最も弱い界面にて積層体が剥離してくるので、積層体を外面層と内面層とに分離するための剥離のきっかけを簡単につくることができる。また、頂部形成板11a,12a,13a,14a の表面同志が熱接着される領域には部分的な接着強度調整層9aが、底部形成板11b,12b,13b,14b の表面同志が熱接着される領域には部分的な接着強度調整層9bがそれぞれ形成されているので、ゲーベルトップ型紙容器の頂部および底部の接着部を剥離させて解体するのが容易となるとともに、頂部および底部を解体した紙容器を折曲線16および折曲線17にて折り畳むことができる。
【0013】
本発明の第2実施形態のゲーベルトップ型の液体用紙容器を作製するためのブランク板は、基本的には第1実施形態のブランク板と同じであるが、ゲーベルトップ型の容器に成形した際に上端の角部を折り曲げ易くするために積層体にハーフカットを設けた点で異なるものである。ブランク板の上半部は図2に示すとおり、接着片15および頂部形成板14a の上端部に接着片15と頂部形成板14a 間の折罫を挟んで折罫から上方に広がる斜めのハーフカット8aおよびハーフカット8bが形成された構成である。ハーフカット8a,8b は積層体の外面から紙層を貫通するように形成される。第2実施形態の場合、角部が紙間強化部7とされるとともにハーフカット8a,8b が形成されており折り曲げやすくなっているので、ゲーベルトップ型紙容器の頂部の内面同志の接着部を剥離させて解体した後、きわめて容易に剥離のきっかけをつくることができる効果がある。
【0014】
また、本発明の第2実施形態のゲーベルトップ型の液体用紙容器は、図3に示すブランク板を使用して作製することもできる。図3に示すブランク板は、上端が突出した接着片15と側面板12と前面板13と側面板14と後面板11が折罫を介してそれぞれ連接され、側面板12と前面板13と側面板14と後面板11の上端縁には折罫を介して頂部形成板12a,13a,14a,11a がそれぞれ連接されるとともに、下端縁には底部形成板12b,13b,14b,11b が折罫を介してそれぞれ連接されており、頂部形成板11a の側端の角部は積層体を構成する紙層に紙間強化剤を含浸させることにより紙間強化部7とされており、接着片15および頂部形成板12a の上端部に接着片15と頂部形成板12a 間の折罫を挟んで折罫から上方に広がる斜めのハーフカット8aおよびハーフカット8bが形成された構成である。図3に示すブランク板を使用して作製した液体用紙容器は、第2実施形態と同様に、角部が紙間強化部7とされるとともにハーフカット8a,8b が形成されており折り曲げやすくなっているので、ゲーベルトップ型紙容器の頂部の内面同志の接着部を剥離させて解体した後、きわめて容易に剥離のきっかけをつくることができる効果がある。
【0015】
本発明の第3実施形態のゲーベルトップ型の液体用紙容器を作製するためのブランク板は、上半部は図3に示すとおりであって、第2実施形態のブランク板の頂部形成板14a の上端のハーフカット8bに対向する位置に更にハーフカット8cを設けた形状である。第3実施形態の場合は、図3に示すブランク板を使用して作製されたゲーベルトップ型紙容器の頂部の接着片15と頂部形成板11a が貼り合わされた角部は、頂部形成板11a の側端の角部が紙間強化部7とされるとともにハーフカット8a,8b,8cが設けられているので、折り曲げが容易であり、ゲーベルトップ型の紙容器の頂部を解体せずに積層体を剥離させて外面層と内面層とに分離するきっかけをつくることができる。第3実施形態においても、ゲーベルトップ型の紙容器の頂部を解体した後に、第2実施形態と同様に、角部を折り曲げて剥離のきっかけをつくることができる。
【0016】
本発明の液体用紙容器を作製するのに使用する積層体は、図5ないしは図6に示す構成とすることができる。図5に示す構成は、外面から順にポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4とプラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7とが積層された構成であり、図6に示す構成は、外面から順にポリエチレン層1と紙層2と剥離層4と接着樹脂層3とプラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7とが積層された構成であり、ガスバリヤー層6としては、アルミニウム箔とプラスチックフィルムの積層体ないしは金属または金属酸化物蒸着プラスチックフィルムが使用される。いずれの構成においても、積層体は剥離層4の界面で紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離可能なものである。なお、積層体の構成は上記の構成に限定されるものではなく、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離可能な構成であればよい。
【0017】
ポリエチレン層1としては低密度ポリエチレンが使用され、ポリエチレン層6としては低密度ポリエチレン、中低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフイン共重合体等が使用される。紙層2としては250〜450g/m2 の坪量の板紙が使用される。接着樹脂層3としては低密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)を使用することができるが、価格、作業性の面から低密度ポリエチレンを使用するのが最も好ましい。ガスバリヤー層5としてはアルミニウム箔とプラスチックフィルムの積層体、アルミニウム蒸着プラスチックフィルムが使用され、プラスチックフィルムとしては2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリプロピレン等の2軸延伸フイルムが使用される。
【0018】
剥離層4として使用できる樹脂としては下記のものである。
図5に示す構成のように剥離層がガスバリヤー層面に形成される場合は、ガスバリヤー層を構成するアルミニウム箔面、金属または金属酸化物蒸着層面、ないしはプラスチックフィルム面に形成されることになり、剥離層がアルミニウム面ないしは蒸着層面に形成される場合に使用できる樹脂としてはシェラック、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、セルロース等であり、剥離層がプラスチックフィルム面に形成される場合に使用できる樹脂としてはポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂等である。図6に示す構成のように剥離層が紙層面に形成される場合は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ブチラール、シェラック等の樹脂が使用できる。剥離層4として上記の樹脂を使用することにより、剥離層の界面における接着強度が10〜100g/15mm巾に調節することが可能であり、ゲーベルトップ型等の液体用紙容器とした場合に実用的に問題のない強度が得られるとともに剥離層の界面にて積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層とに剥離させて分離することができる。
【0019】
接着強度調整層9a,9b としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化エチレ ン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、環化ゴム、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アルキッド樹脂の単体またはこれらの混合物からなる樹脂インキを使用して印刷することにより形成することができる。接着強度調整層9a,9b を形成する面積は、底部形成板11b,12b,13b,14b 及び頂部形成板11a,12a,13a,14a の表面同志が熱接着される領域の20%以上の面積とするのがよい。
【0020】
ゲーベルトップ型紙容器の解体方法は、接着強度調整層9aが設けられた頂部形成板12a,14a の表面同志が熱接着された部分を剥離すると共に、接着強度調整層9bが設けられた底部形成板12b,13b,14b の表面同志が熱接着された部分を剥離して、ゲーベルトップ型容器の頂部及び底部を解体してから、両側面板12,14 を幅方向の中央部の折曲線16にて内方に折り曲げると共に、頂部形成板12a,14a 及び底部形成板12b,14b を幅方向の中央部の折曲線17にてそれぞれ内方に折り曲げることにより、図8に示すように折り畳むことができる。
【0021】
接着強度調整9bが設けられた底部形成板12b,13b,14b の表面同志が熱接着された部分を剥離してゲーベルトップ型容器の底部を解体する手順は、図7に示すように、図7(イ)に示す状態から、底部の端縁接着部18を底部形成板13b から剥離して起こし、図7(ロ)に示す状態とする。更に、底部形成板12b,14b の表面同志が熱接着された部分を剥離して端縁接着部18を分離し、図7(ハ)に示す状態とする。次いで、側面板12,14 を幅方向の中央部の折曲線16にて内方に折り曲げると共に、頂部形成板12a,14a を幅方向の中央部の折曲線17にて内方に折り曲げることにより、ゲーベルトップ型の容器を、図8に示す折り畳んだ状態とすることができる。
【0022】
図8に示す紙容器の折り畳んだ状態で、後面板11の上端に連接された頂部形成板11a の接着片15と接着された角部の紙間強化剤が含浸された紙間強化部7を折り曲げることにより、図9に示すように、積層体を剥離層4の界面にて剥離させて外面層と内面層とに分離させるきっかけをつくることができる。次いで、図10に示すように、頂部形成板11a と後面板11と底部形成板11b の側端部の全長にわたって剥離層4の界面にて積層体を剥離させることにより、ポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3からなる外面層と、プラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7からなる内面層に分離することができる。
【0023】
ゲーベルトップ型紙容器を解体する別の方法としては、ゲーベルトップ型紙容器の状態で、紙間強化剤が含浸されて紙間強化部7とされるとともにハーフカット8a,8b,8cが形成されて折り曲げやすくされた頂部の角部を折り曲げることにより、折り曲げた角部にて積層体を剥離層4の界面にて剥離させて外面層と内面層とに分離させるきっかけをつくることができるので、その剥離させたきっかけ部を掴んで剥離をすすめることにより、積層体をポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3からなる外面層と、プラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7からなる内面層に分離することができる。
【0024】
【実施例】
実施例1
12μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと7μのアルミニウム箔をウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより積層し、アルミニウム箔面に60μのポリエチレンフィルムをウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより積層するとともに2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面に下記組成のインキを使用して1μの厚さに剥離層を形成して積層フィルムを作製した。
〔剥離層を形成するインキの組成(重量部)〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体
エバフレックス220(三井デュポンポリケミカル) 10
トルエン(溶剤) 90
次いで、400gの板紙の一方の面に30μのポリエチレンを押出しにより積層し、板紙の他方の面と上記で作製した積層フィルムの剥離層面とを、25μ厚さのポリエチレンの押出しラミネーションにより積層して、ポリエチレン30μ/板紙400g/ポリエチレン25μ/剥離層/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ/ウレタン系接着剤/アルミニウム箔7μ/ウレタン系接着剤/ポリエチレンフィルム60μからなる積層体を作製した。
【0025】
得られた積層体の30μのポリエチレン面に印刷絵柄を形成するとともに所定の領域に接着強度調整層を印刷により形成してから、打ち抜くことにより図1に示す形状のゲーベルトップ型容器用のブランク板を作製した後に、ブランク板を積み重ねた状態でブランク板の筒貼り時に接着片と貼合わされる頂部形成板の角部に、下記組成の紙間強化剤を浸ました綿布を当てることにより塗布して紙間強化剤を紙層に含浸させた後に、40℃、80%RHの雰囲気中に1時間放置してイソシアネートからなる紙間強化剤を硬化させた。
〔紙間強化剤の組成(重量部)〕
イソシアネート(コロネートL) 5
酢酸エチル(溶剤) 95
上記のようにして作製したブランク板を筒貼りした後に、底部および頂部を熱接着してゲーベルトップ型紙容器を作製した。得られたゲーベルトップ型紙容器の頂部及び底部における表面同士の接着部を剥離して解体してから容器を折り畳み、紙間強化剤が含浸されて紙間強化部とされた端部を折り曲げることにより、折り曲げた角部にて積層体が剥離してきて分離させるきっかけができ、そのきっかけ部から積層体をポリエチレン/板紙/ポリエチレンからなる紙を主体とする外面層と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/ウレタン系接着剤/アルミニウム箔/ウレタン系接着剤/ポリエチレンフィルムからなるプラスチック主体の内面層とに剥離させて分離することができた。
【0026】
【発明の効果】
紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層とに分離できるように構成された積層体からなり、前面板と後面板と両側面板と接着片と頂部形成板と底部形成板を有するゲーベルトップ型の液体用紙容器であって、接着片に貼合される頂部形成板の側端角部における紙層にイソシアネート等からなる紙間強化剤が含浸された構成の液体用紙容器であるので、紙間強化剤が含浸されて紙間が強化された容器の端縁を折り曲げようとすることにより、積層体が剥離層面にて簡単に剥離するので、剥離した部分をきっかけにして積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に簡単に分離できる。したがって、紙を主体とする外面層は再利用できるとともに、プラスチックを主体とする内面層は嵩が少なくなり廃棄するのが容器となる。
上記の液体用紙容器において、接着片の上端部および接着片に折罫を介して連接された頂部形成板の上端部に、折罫からそれぞれ斜め上方に伸びる積層体の紙層を貫通する外面からのハーフカットが形成されている構成とすることにより、紙間強化剤が含浸されたゲーベルトップ型容器の上端の角部が折り曲げ易くなるので積層体を分離するための剥離のきっかけをつくりやすくなる。
上記の液体用紙容器において、積層体を外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる構成、ないしは外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と剥離層と接着樹脂層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる構成とすることにより、剥離層にて熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層ないしは熱可塑性樹脂層と紙層からなる外面層と、ガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層ないしは接着樹脂層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる内面層とに分離できるので、紙を主体とした外面層の再利用が容易となる。
上記の液体用紙容器において、ガスバリヤー層をアルミニウム箔とプラスチックフィルムの積層体ないしは金属または金属酸化物蒸着プラスチックフィルムとすることにより、酒、ワイン、コーヒー等を包装するのに適したガスバリヤー性の優れた液体用紙容器とすることができる。
上記の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、頂部形成板および底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層を形成しておくことにより、頂部および底部の外面同志の熱接着部が剥離し易くなり頂部および底部を解体して、端縁部から積層体を接着樹脂層と剥離層間で剥離させて、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離し易くなる。
上記の液体用紙容器において、両側面板および両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線を形成した構成とすることにより、両側面板を内側に折り込んで折り畳むのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板を示す平面図。
【図2】本発明の第2実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板の上半部を示す平面図。
【図3】本発明の第2実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板の他の形状を示す平面図。
【図4】本発明の第3実施形態の液体用紙容器を作製するためのブランク板の上半部を示す平面図。
【図5】、【図6】本発明の液体用紙容器に使用する積層体の構成を示す断面図。
【図7】ゲーベルトップ型容器の底部形成板の外面同志の接着部を剥離して分解する手順を示す部分斜視図。
【図8】ゲーベルトップ型容器の折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図9】容器の端部から積層体を外面層と内面層に剥離する状態を示す斜視図。
【図10】外面層を容器の全長にわたって剥離した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1, 6 ポリエチレン層 11 後面板
2 紙層 13 前面板
3 接着樹脂層 12, 14 側面板
4 剥離層 11a, 12a, 13a, 14a 頂部形成板
5 ガスバリヤー層 11b, 12b, 13b, 14b 底部形成板
7 紙間強化部 15 接着片
8a, 8b, 8c ハーフカット 16, 17 折曲線
9a, 9b 接着強度調整層 18 底端縁接着部
Claims (8)
- 紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層とに分離できるように構成された積層体からなり、前面板と後面板と両側面板と接着片と頂部形成板と底部形成板を有するゲーベルトップ型の液体用紙容器において、前記接着片に貼合される前記頂部形成板の側端角部の紙層に紙間強化剤が含浸されている構成からなることを特徴とする液体用紙容器。
- 前記紙間強化剤がイソシアネートであることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器。
- 前記接着片の上端部および前記接着片に折罫を介して連接された前記頂部形成板の上端部に、前記折罫からそれぞれ斜め上方に伸びる紙層を貫通する外面からのハーフカットが形成されている構成からなることを特徴とする請求項1または2に記載の液体用紙容器。
- 前記積層体が外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなり、前記剥離層にて外面層と内面層に分離できるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体用紙容器。
- 前記積層体が外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と剥離層と接着樹脂層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなり、前記剥離層にて外面層と内面層に分離できるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体用紙容器。
- 前記ガスバリヤー層が、アルミニウム箔とプラスチックフィルムの積層体ないしは金属または金属酸化物蒸着プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項4または5に記載の液体用紙容器。
- 前記頂部形成板および前記底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体用紙容器。
- 前記両側面板および前記両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線が形成された構成からなることを特徴とする請求項7記載の液体用紙容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP36079998A JP4121649B2 (ja) | 1998-12-18 | 1998-12-18 | 液体用紙容器 |
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