JP4549451B2 - 液体用紙容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器を構成する積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離できるようにして、使用済紙容器の再利用を可能にするとともに廃棄し易くしたガスバリヤー性の優れた液体用紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、環境保護がさけばれ、包装材料の再利用が話題となっており、ゲーベルトップ型の紙容器においても、ポリエチレン/紙/ポリエチレンの積層体からなる牛乳等の包装に使用される紙容器については、リサイクル活動が行われ資源の再利用による有効利用がなされている。
一方、酒、ワイン、コーヒー等の包装に使用されるゲーベルトップ型の紙容器においては、内容物の保護、流通手段、流通期間の長期化のために、ガスバリアー性の優れた紙容器とする必要があり、ポリエチレン/紙/エチレン−アクリル酸共重合体/アルミニウム箔/接着剤/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンからなる積層体が一般的に使用されている。また、最近では、上記構成におけるアルミニウム箔/接着剤/2軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる層を、アルミニウム蒸着層ないしは酸化珪素蒸着層を有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレートとした構成の積層体が使用されている。
しかしながら、上記のような構成の積層体からなる紙容器においては、積層体の各層間の接着強度が強いために、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離するのがきわめて難しく、使用済紙容器の再利用が困難であるとともに、きわめて剛性の大きい紙容器であるため紙容器を折り畳んで廃棄するのも困難であるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、紙容器を構成する積層体を、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離できるようにして、使用済紙容器の再利用を可能にするとともに廃棄し易くしたガスバリヤー性の優れた液体用紙容器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とプラスチックフィルム層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる積層体にて構成された紙容器であって、該積層体を剥離層とプラスチックフィルム層間で剥離可能とし、紙容器の端縁部または角端部より熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層からなる外面層と、プラスチックフィルム層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる内面層とに分離可能とした液体用紙容器とすることにより、積層体を剥離層とプラスチックフィルム層間で剥離させて、熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層からなる紙を主体とする外面層と、プラスチックフィルム層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなるプラスチックを主体とする内面層に分離できるので、紙を主体とする外面層は再利用できるとともに、プラスチックを主体とする内面層は嵩が少なくなり廃棄するのが容易となる。
【0005】
上記の液体用紙容器において、剥離層をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかからなる1層ないしは異なる樹脂からなる2層からなる構成とすることにより、剥離層とプラスチックフィルム層間で剥離させて、積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に容易に分離することができる。
【0006】
上記の液体用紙容器において、ガスバリヤー層をアルミニウム箔、アルミニウム蒸着層、酸化珪素蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層のいずれかとすることにより、酒、ワイン、コーヒー等を包装するのに適したガスバリヤー性の優れた液体用紙容器とすることができる。
【0007】
上記の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、頂部形成板および底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層を形成しておくことにより、頂部および底部の外面同志の熱接着部が剥離し易くなり頂部および底部を解体して、端縁部から積層体を剥離層とプラスチックフィルム層間で剥離させて、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離し易くなる。
【0008】
上記の液体用紙容器において、両側面板および両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線を形成した構成とすることにより、両側面板を内側に折り込んで折り畳むのが容易となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施形態の積層構成を示す断面図、図2はゲーベルトップ型容器のブランク板の表面の状態を示す平面図、図3はゲーベルトップ型容器の底部形成板の外面同志の接着部を剥離して分解する手順を示す部分斜視図、図4はゲーベルトップ型容器の折り畳んだ状態を示す斜視図、図5は容器の端部から積層体を外面層と内面層に剥離する状態を示す斜視図、図6は外面層を容器の全長にわたって剥離した状態を示す斜視図、図7は外面層と内面層に剥離させるきっかけを作る別の方法を示す斜視図であって、1,7 はポリエチレン層、2は紙層、3は接着樹脂層、4は剥離層、5はプラスチックフィルム層、6はガスバリヤー層、8,9 は接着強度調整層、11, 12, 13, 14は側面板、11a, 12a, 13a, 14aは頂部形成板、11b, 12b, 13b, 14bは底部形成板、15は接着板、16, 17は折曲線、18は底端縁接着部をそれぞれ表す。
【0010】
本発明の液体用紙容器の実施形態の積層構成は、図1に示すように、外面から順にポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4とプラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7とが積層された構成である。印刷絵柄はポリエチレン層1の外面に設けられる。上記の構成とすることにより、積層体を剥離層4とプラスチックフィルム層5間で剥離させて、ポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4からなる外面層と、プラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7からなる内面層に分離することができるので、資源の再利用ないしは使用済み容器の廃棄が容易となる。
【0011】
実施形態の積層体における剥離層4は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂を使用して形成される1層ないしは異なる樹脂からなる2層とすることができる。上記の樹脂からなるインキを使用して2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルム面に印刷して剥離層4を形成して剥離層4面に接着樹脂層3を押出しコートにより積層することにより、剥離層4面と接着樹脂層3間はよく接着し、剥離層4とプラスチックフィルム層5間の接着強度は剥離可能な強度とすることができる。
【0012】
実施形態の積層体における接着樹脂層3としては低密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)を使用することができるが、価格、作業性の面から低密度ポリエチレンを使用するのが好ましい。
【0013】
実施形態の積層構成とすることにより、剥離層4とプラスチックフィルム層5間の接着強度が10〜100g/15mm巾となって、ゲーベルトップ型等の液体用紙容器とした場合に実用的に問題のない強度が得られ、且つ、剥離層4とプラスチックフィルム層5間で剥離することができるようになる。実施形態の積層体を使用して作製された紙容器の端縁部をほぐす等により、接着樹脂層3とプラスチックフィルム層4との界面で剥離できるので、ポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4からなる外面層と、プラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7とからる内面層とに分離することができ、紙を主体とする外面層は資源の再利用に使用され、プラスチックを主体とする内面層は廃棄が容易となる。
【0014】
ポリエチレン層1としては低密度ポリエチレンが使用され、ポリエチレン層7としては低密度ポリエチレン、中低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフイン共重合体等が使用される。紙層2としては250〜450g/m2 の坪量の板紙が使用される。
ガスバリヤー層6としてはアルミニウム箔、アルミニウム蒸着層、酸化珪素蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層が使用される。ガスバリヤー層6としてアルミニウム箔を使用する場合にはウレタン系接着剤等によりプラスチックフィルム層5と積層され、ガスバリヤー層6としてアルミニウム蒸着層、酸化珪素蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層を使用する場合には、プラスチックフィルム層5との間にアンカー処理等の接着安定化処理を行うのが好ましい。プラスチックフィルム層5としては蒸着加工適性および耐熱性に優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリプロピレン等の2軸延伸フイルムが好適に使用できる。
【0015】
本発明の液体用紙容器の形状としては、ゲーベルトップ型容器又はフラットトップ型容器等任意であるが、以下、ゲーベルトップ型容器について説明する。ゲーベルトップ型容器を作製するためのブランク板は、図2に示すように、側面板11,12,13,14 と接着板15が折罫を介してそれぞれ連接されると共に、側面板11,12,13,14 の上下端縁には頂部形成板11a,12a,13a,14a 及び底部形成板11b,12b,13b,14b が折罫を介してそれぞれ連接され、側面板12及び側面板14の中央部には縦方向にそれぞれ折曲線16が、頂部形成板12a,14a と底部形成板12b,14b の中央部には縦方向にそれぞれ折曲線17が、側面板11,12,13,14 と頂部形成板11a,12a,13a,14a ないしは底部形成板11b,12b,13b,14b を連接する折罫の上下の所定寸法を除いた状態で形成されている。底部形成板11b,12b,13b,14b の表面同志が熱接着される領域及び頂部形成板11a,12a,13a,14a の表面同志が熱接着される領域にはそれぞれ部分的な接着強度調整層9及び接着強度調整層8が形成されている。印刷絵柄層はブランク板の表面の熱接着される領域を除いた領域に形成される。
【0016】
接着強度調整層8,9 は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、環化ゴム、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アルキッド樹脂の単体またはこれらの混合物からなる樹脂インキを使用して印刷することにより形成することができるが、低融点のアクリル樹脂を使用するのが最も好ましい。接着強度調整層8,9 を形成する面積は、底部形成板11b,12b,13b,14b 及び頂部形成板11a,12a,13a,14a の表面同志が熱接着される領域の40〜100%の面積とするのがよい。
【0017】
図2に示すブランク板を、側面板11と接着板15とを熱接着して筒状に成形し、底部形成板11b,12b,13b,14b を折り曲げて熱接着することにより底部を形成した後に、頂部形成板11a,12a,13a,14a を折り曲げて熱接着することにより頂部を形成してゲーベルトップ型容器が得られる。ゲーベルトップ型容器を廃棄する際には、接着強度調整層8が設けられた頂部形成板12a,14a の表面同志が熱接着された部分を剥離すると共に、接着強度調整層9が設けられた底部形成板12b,13b,14b の表面同志が熱接着された部分を剥離して、ゲーベルトップ型容器の頂部及び底部を解体してから、両側面板12,14 を幅方向の中央部の折曲線16にて内方に折り曲げると共に、頂部形成板12a,14a 及び底部形成板12b,14b を幅方向の中央部の折曲線17にてそれぞれ内方に折り曲げることにより、図4に示すように折り畳むことができる。
【0018】
接着強度調整層9が設けられた底部形成板12b,13b,14b の表面同志が熱接着された部分を剥離してゲーベルトップ型容器の底部を解体する手順は、図3に示すように、図3(イ)に示す状態から、底部の端縁接着部18を底部形成板13b から剥離して起こし、図3(ロ)に示す状態とする。更に、底部形成板12b,14b の表面同志が熱接着された部分を剥離して端縁接着部18を分離し、図3(ハ)に示す状態とする。次いで、側面板12,14 を幅方向の中央部の折曲線16にて内方に折り曲げると共に、頂部形成板12a,14a を幅方向の中央部の折曲線17にて内方に折り曲げることにより、ゲーベルトップ型の容器を、図4に示す折り畳んだ状態とすることができる。
【0019】
図4に示す紙容器の折り畳んだ状態で、後面板11と頂部形成板11a と底部形成板11b の接着板15と接着された側端部の積層体の端縁が露出している部分の角端部を折り曲げることにより、積層体を剥離層4とプラスチックフィルム層5間にて剥離させることができるので、図5に示すように頂部形成板11a 及び底部形成板11b の角端部から剥離を開始し、図6に示すように後面板11と頂部形成板11a と底部形成板11b の側端部の全長にわたって剥離させることにより、積層体をポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4からなる外面層と、プラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7からなる内面層に分離することができる。また、図7に示すように、頂部熱接着部の外面同士の接着部を剥がした後に、対向する角部を掴んで対角線方向に引っ張ることにより、積層体を剥離層4とプラスチックフィルム層5間で剥離させ、その部分をきっかけにして積層体を外面層と内面層に分離することができる。分離したポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4からなる紙を主体とする外面層は、牛乳用容器と同様に再利用することができるとともに、プラスチックフィルム層5とガスバリヤー層6とポリエチレン層7からなるプラスチックを主体とする内面層は嵩が少なくなるので廃棄が容易となる。
【0020】
【実施例】
実施例1
12μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと7μのアルミニウム箔をウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより積層し、アルミニウム箔面に60μのポリエチレンフィルムをウレタン系接着剤を使用してドライラミネーションにより積層するとともに、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面に下記組成のインキを使用して1μの厚さに剥離層を形成して積層フィルムを作製した。
〔剥離層を形成するインキの組成(重量部)〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10
(エバフレックス220、三井デュポンポリケミカル)
トルエン(溶剤) 90
次いで、400gの板紙の一方の面に30μのポリエチレンを押出しにより積層し、板紙の他方の面と上記で作製した積層フィルムの剥離層面とを、25μ厚さのポリエチレンの押出しラミネーションにより積層して、ポリエチレン30μ/板紙400g/ポリエチレン25μ/剥離層/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ/ウレタン系接着剤/アルミニウム箔7μ/ウレタン系接着剤/ポリエチレンフィルム60μからなる積層体を作製した。
【0021】
得られた積層体におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる剥離層と2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム間の接着強度は20g/15mm巾であり、ゲーベルトップ型容器を作製する積層体としては十分な接着強度を有しており、且つ剥離層と2軸延伸ポリエチレンテレフタレート間で剥離させることができる強度であるので、積層体をポリエチレン/板紙/ポリエチレン/剥離層からなる外面層と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/ウレタン系接着剤/アルミニウム箔/ウレタン系接着剤/ポリエチレンフィルムからなる内面層とに分離することができるものであった。
上記積層体の30μのポリエチレン面に印刷絵柄を形成するとともに所定の領域に接着強度調整層を印刷により形成してから、打ち抜きによりゲーベルトップ型容器用のブランク板を作製し、そのブランク板を筒貼りし頂部および底部を熱接着により形成してゲーベルトップ型容器を作製した。
上記で得られたゲーベルトップ型容器の頂部及び底部における外面同士の接着部を剥離してから容器を折り畳み、角端部を折り曲げることにより、折り畳んだ容器の角端部から、積層体をポリエチレン/板紙/ポリエチレン/剥離層からなる外面層と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/ウレタン系接着剤/アルミニウム箔/ウレタン系接着剤/ポリエチレンフィルムからなる内面層とに分離することができた。
【0022】
実施例2
アルミニウム蒸着層を形成した12μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのアルミニウム蒸着層面にエチレン−メタクリル酸共重合体を15μの厚さに押出して45μのポリエチレンフィルムを押出しラミネーションにより積層するとともに、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面に下記組成のインキAを使用して1μの厚さに印刷し、その上に下記組成のインキBを使用して1μの厚さに印刷して2層の剥離層を形成した積層フィルムを作製した。
〔剥離層を形成するインキAの組成(重量部)〕
アクリル樹脂(ダイアナールDR−80、三菱レーヨン) 30
トルエン(溶剤) 70
〔剥離層を形成するインキBの組成(重量部)〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10
(エバフレックス220、三井デュポンポリケミカル)
トルエン(溶剤) 90
400gの板紙の一方の面に30μのポリエチレンを押出コートにより積層し、板紙の他方の面と上記で作製した積層フィルムのエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる剥離層面とを、ポリエチレンを25μの厚さに押出して積層することにより、ポリエチレン30μ/板紙400g/ポリエチレン25μ/2層の剥離層/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ/アルミニウム蒸着層/エチレン−メタクリル酸共重合体15μ/ポリエチレンフィルム45μからなる積層体を作製した。
得られた積層体のアクリル樹脂からなる剥離層と2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム間の接着強度は15g/15mm巾であり、ゲーベルトップ型容器を作製する積層体としては十分な接着強度を有しており、且つ、アクリル樹脂からなる剥離層と2軸延伸ポリエチレンテレフタレート間で積層体を容易に剥離させることができた。
実施例1と同様にしてゲーベルトップ型容器を作製し、頂部及び底部における外面同士の接着部を剥離してから容器を折り畳み、角端部を折り曲げることにより、折り畳んだ容器の角端部から、積層体をアクリル樹脂からなる剥離層と2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム間で剥離させて、ポリエチレン/板紙/ポリエチレン/剥離層からなる外面層と、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム蒸着層/エチレン−メタクリル酸共重合体/ポリエチレンフィルムからなる内面層とに分離することができた。
【0023】
【発明の効果】
外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とプラスチックフィルム層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる積層体にて構成した液体用紙容器とすることにより、積層体を剥離層とプラスチックフィルム層間で剥離させて、熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層からなる紙を主体とする外面層と、プラスチックフィルム層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなるプラスチックを主体とする内面層に分離できるので、紙を主体とする外面層は再利用できるとともに、プラスチックを主体とする内面層は嵩が少なくなり廃棄するのが容易となる。
上記の液体用紙容器において、剥離層をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂にて形成される1層もしくは異なる2層とすることにより、剥離層とプラスチックフィルム層間で剥離させて、積層体を紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に容易に分離することができる。
上記の液体用紙容器において、ガスバリヤー層をアルミニウム箔、アルミニウム蒸着層、酸化珪素蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層とした構成とすることにより、酒、ワイン、コーヒー等を包装するのに適したガスバリヤー性の優れた液体用紙容器とすることができる。
上記の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、頂部形成板および底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層を形成しておくことにより、頂部および底部の外面同志の熱接着部が剥離し易くなり頂部および底部を解体して、端縁部から積層体を接着樹脂層と剥離層間で剥離させて、紙を主体とする外面層とプラスチックを主体とする内面層に分離し易くなる。
上記の液体用紙容器において、両側面板および両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線を形成した構成とすることにより、両側面板を内側に折り込んで折り畳むのが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の積層構成を示す断面図。
【図2】ゲーベルトップ型容器のブランク板の表面の状態を示す平面図。
【図3】ゲーベルトップ型容器の底部形成板の外面同志の接着部を剥離して分解する手順を示す部分斜視図。
【図4】ゲーベルトップ型容器の折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図5】容器の端部から積層体を外面層と内面層に剥離する状態を示す斜視図。
【図6】外面層を容器の全長にわたって剥離した状態を示す斜視図。
【図7】外面層と内面層に剥離させるきっかけを作る別の方法を示す斜視図。
【符号の説明】
1, 7 ポリエチレン層
2 紙層
3 接着樹脂層
4 剥離層
5 プラスチックフィルム層
6 ガスバリヤー層
8,9 接着強度調整層
11, 12, 13, 14 側面板
11a, 12a, 13a, 14a 頂部形成板
11b, 12b, 13b, 14b 底部形成板
15 接着板
16, 17 折曲線
18 底端縁接着部
Claims (5)
- 外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とプラスチックフィルム層とガスバリヤー層と熱可塑性樹脂層からなる積層体にて構成された紙容器であって、該積層体を前記剥離層と前記プラスチックフィルム層間で剥離可能とし、前記紙容器の端縁部または角端部より前記熱可塑性樹脂層と前記紙層と前記接着樹脂層と前記剥離層からなる外面層と、前記プラスチックフィルム層と前記ガスバリヤー層と前記熱可塑性樹脂層からなる内面層とに分離可能としたことを特徴とする液体用紙容器。
- 前記剥離層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかからなる1層ないしは異なる樹脂からなる2層からなることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器。
- 前記ガスバリヤー層が、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着層、酸化珪素蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の液体用紙容器。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、前記頂部形成板および前記底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層が形成されていることを特徴とする液体用紙容器。
- 請求項4記載の液体用紙容器において、前記両側面板および前記両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線が形成された構成からなることを特徴とする液体用紙容器。
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