JP4121620B2 - 光触媒フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光活性作用が高く、脱臭、殺菌、汚染防止、藻類の成育を抑制する触媒層を含む光触媒フィルムにおいて、光触媒の作用によって基材フィルムが劣化したり、光触媒層が脱落したりしない安定した光触媒フィルムの提供を課題とするものである。
【0002】
【従来技術】
紫外線のエネルギーによって、化学物質から発生する臭いの除去、細菌、藻類や黴の成育を抑制して水処理や太陽電池の受光部ガラスの汚染防止や、建材、家具、家電製品などの表面に於ける黴防止や、細菌的汚染を抑制するために光触媒フィルムが使用されてきた。そして、表面に付着する化学物質の分解や微生物の成育の抑制を促進する光触媒にはアナターゼ型酸化チタンなどが多用されている。
光触媒は粉末状もしくは溶液に懸濁させる方が触媒活性は高いが、実用的には触媒の微粒子をバインダーで固着させた光触媒層を透明なフィルム状の担体に設け、太陽電池受光部や、建材、家具、家電製品などの表面に貼着や積層して設けて使用されることが多い。
【0003】
光触媒フィルムは、光触媒の微粒子を含む光触媒層を基材フィルムとしてニトロセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル酸及び/又はメタアクリル酸エステルの共重合体、塩化ビニル系共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリアミド、ポリエステルなどの延伸又は未延伸フィルムに光触媒層を形成して供されていた。
また、ガラス又はセラミックなどの無機高分子のシートや板に光触媒層を直接形成することも行われていた。
【0004】
しかしながら、上記物質のなかで有機物を基材フィルムとした場合、光触媒層の触媒作用によって基材フィルムを劣化したり、分解したりして触媒層が脱落するなどの問題点があった。
光触媒とプラスチックフィルムとの十分な接着を得ることが困難であった。そして、接着を強固にするためには基材フィルムにテトラメトキシシランなどのシリカゾルを塗工し、加熱処理、アルカリ処理などでゲル化を行う方法もある。しかしながら、加熱処理は、塗工材を100℃以上の高温で長時間処理の必要があり、またアルカリ処理はアミンのようにアルカリ雰囲気下でゲル化処理を行う必要がある。したがってフィルムにこのような特殊な処理を施すには、極めて特殊な乾燥装置・ゲル化装置が必要である。
そして、このようにして光触媒を施しても有機物である基材フィルムは、光触媒の作用によって分解したりして触媒層が脱落したりするなどの問題点は避けることができないものである。
また、基材がセラミックなどの無機物の場合でも、光触媒層のバインダーに有機高分子を使用すると、光触媒の粒子表面がバインダーで被覆されるために触媒としての活性が低下されるばかりでなく、バインダーも触媒作用によって劣化したり、分解したりして触媒層が基材から脱落するなどの問題点があった。
【0005】
基材が無機物の場合は、触媒を有機物を全く存在しない状態でスパッタリングで形成したり、アルキルチタネートを塗工・焼成して形成したり、チタニアゾルのスプレー・焼成したりして、光触媒層を無機物に形成している。
しかしながら、基材上での光触媒粒子の生成は、結晶化及び基材との接着を確実にするために、場合によっては200℃を超える高温度の焼成が必要であり、大面積の光触媒フィルムを形成できないばかりでなく、製造コストが高いという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決するために、有機物である透明なプラスチックフィルムに、光触媒層を形成して、光触媒フィルムとして供されても基材フィルムが光触媒の作用によって分解したり、劣化したりしない透明な光触媒フィルムの提供を課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために本発明は、図に示すとおり基材フィルム1の一方の面に、厚みが100〜2000Åのケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物からなる蒸着層2、無機プライマー層4、及び酸化チタンを主成分とし、アクリル・シリコーン樹脂を含む光触媒層3を形成する光触媒フィルム10であって、上記蒸着層2がアルミニウム及び/又はケイ素の中の少なくとも1種類の酸化物を連続して含む光触媒フィルムである。また、SiOx のxが1.5乃至2.0であり、若しくはAlOx のxが1.0乃至1.5である光触媒フィルム10である。
【0008】
そして、上記の蒸着層2が、アルミニウム及び/又は、ケイ素の少なくとも1種類の酸化物を連続して含む層を物理蒸着法で形成する光触媒フィルム10の製造方法である。また、図2に示すように上記の蒸着層2に更にイソプロピルチタネートの加水分解生成物、チタンアシレートの加水分解生成物、チタンキシレートの加水分解生成物または無機ポリシラザンからなる無機プライマー層4、及び酸化チタンを主成分とし、アクリル・シリコーン樹脂を含む光触媒層3を塗工形成する光触媒フィルム10の製造方法である。
【0009】
【発明の実施形態】
本発明の光触媒フィルムを構成する基材フィルムは、透明なプラスチックフィルムで、かつ物理蒸着法を施せるとともに耐久性に優れた材料から選択する。
例えば、酢酸セルロース、ニトロセルロース(セルロイド)、ポリビニルブチラール、アクリル酸及び/又はメタアクリル酸エステルの共重合体、塩化ビニル系共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物などの延伸あるいは未延伸フィルムである。
基材フィルムの厚みは、材質や製造方法にもよるが、10〜200μm好ましくは15〜50μmである。
【0010】
本発明の蒸着層は、透明性をもつとともに、光触媒が基材フィルムに影響を与えないように相互の接触を阻害するものである。そして、蒸着層の厚みが3000Å以上では、透明性が欠けるばかりでなく可撓性をも損なうことになる。
したがって、蒸着層の厚みは100〜2000Åである。
【0011】
蒸着層が、基材フィルムと十分な接着をもつために、図3に示すように、基材フィルム1にプライマー層5を設け、更に蒸着層2及び光触媒層3を形成することが好ましい。プライマー層は、耐候性をもつ材料を基材フィルムに0.5〜5g/m2 塗工し均一な塗膜を設けるものである。使用される材料は、基材フィルムの種類にもよるが、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体、線状ポリエステル、ポリエーテルやこれらをポリイソシアネートで硬化したもの、ウレタン、エポキシ樹脂、特に無水マレイン酸による酸硬化物やポリイソシアネートによる硬化物が適用できる。また、プライマー層に光安定剤を加えることもできる。
【0012】
蒸着層は、光触媒の活性が基材フィルムに及ぶことを阻止するバリア作用をもち、かつ透明な蒸着層が好ましい。バリア作用を奏する蒸着層は100Å以上が必要であり、200Åに達しないときは、バリア作用の効果を奏することができず、結果として基材フィルムが触媒の作用で劣化することになる。
透明な蒸着層を構成する材料は、金属酸化物が好ましく、AlOx 、SiOx 、酸化インジウム、酸化マグネシウムなどがあり、好ましくは物理蒸着法によって形成されたAlOx 、SiOx の厚みが100〜2000Åのものである。
そして、蒸着層と光触媒層との接着を強固にする目的で、必要に応じてコロナ放電処理や、プラズマ処理を施すことが好ましい。
【0013】
SiOx のxは、1.4以下の場合や、2.1以上になると、蒸着層と光触媒層との接着が低下する。したがって、xは、1.5〜2.0のものが好ましく使用できる。また、AlOx のxは、0.9以下の場合や、1.6以上になると蒸着層と光触媒層との接着が低下する。したがって、xは、1.0〜1.5のものが好ましく使用できる。
【0014】
単なる金属酸化物の蒸着層は、通常、基材フィルムとの接着や、光触媒層との接着が十分でないことが多い。したがって、前述のように基材フィルムと蒸着層との接着強化にはプライマー層を設けて形成することもある。しかしながら、蒸着層の面に設け、光触媒層と直接接触する通常の有機化合物からなるプライマー層は、短期的には活性化された光触媒によって分解されそのプライマー層としての作用を喪失し、光触媒層が剥離することになる。
したがって、本発明の無機プライマー層は、光触媒の作用によって分解されない骨格に炭素を含まない化合物から選択されるものである。例えば、有機チタン化合物で代表されるアルキルチタネート(テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラステアリルチタネート)やチタンアシレート、チタンキレートなどの加水分解生成物がある。好ましくは、加水分解速度が極めて早いテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートである。
その他、無機ポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)などの無機ポリマーも使用することができる。
【0015】
上記の他に、無機プライマー層や後述の光触媒層の構成要素としては次のものがある。
メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソロプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソロプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソポキシシラン、フェニルt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどがある。そして上記の部分加水分解物、及びそれらの混合物を使用することができる。
【0016】
光触媒としての活性をもつ化合物は、TiO2 、ZnO、SrTiO3 、CdS、CaP、InP、GaAs、BaTiO3 、K2 TiO3 、K2 NbO3 、Fe2 3 、Ta2 3 、WO3 、SnO2 、Bi2 3 、NiO、Cu2 0、SiC、SiO2 、MoS2 、InPb、RuO2 、CeO2 などや、これらにPt、Rh、RuO2 、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの金属酸化物とを混合した組成物を使用できる。
光触媒層の塗工液に含まれる光触媒粉末、若しくはゾルに含まれる粒子の含有量は多いほど触媒としての活性が高くなるが、蒸着層との接着や塗工適性(粉末が多いと塗工液がダイラタンテシテイを示す)が低下するばかりでなく、光触媒層が脆くなったり、蒸着層との層間の接着強度が低下し脱落したりすることがある。したがって、光触媒の密度、粒形状にもよるが0.1〜30重量%が好ましい。
【0017】
光触媒層の塗工液にバインダーは、アクリル・シリコーン樹脂、エポキシ・シリコーン樹脂などの耐光性に優れた材料から選択する。
光触媒層の塗工は、その粘度や、乾燥・硬化条件によっても異なるが、材料に応じて通常の方法で設けることができる。例えば、グラビア版を用いたグラビアコート、ゴムあるいはスチールロールによるロールコート、エアナイフコート、スプレーコート、スピンコート、ディップコートなどから適宜に選択できる。
光触媒層の触媒粒子の径が、40nm以下のものであり、硬化後の比表面積が50m2 /g以上の金属酸化物及び/又は水酸化物のゾルを用いた光触媒層の全光線透過率は70%以上となる。また波長が550nmの全光線透過率が70%以上の透明な基材フィルムを用いた場合、透過した可視光線を証明として利用できる。
【0018】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
なお、実験例1〜10は、参考例であり、実験例11〜14は、本発明の実施例である。
(実験例 1〜5)基材フィルム1として、厚み20μmのポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムの片面にアルミニウムを蒸着源に用いて、電子線加熱方式による真空蒸着法により、表1に示す厚みの蒸着層2を形成した。その直後、グロー放電プラズマ発生装置を用いて、プラズマ出力1500Wとし、混合ガスの比率O2:Ar=19:1、圧力を6×10-5Toor、処理速度420m/minで、酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を施した。上記の蒸着層2に酸化チタン微粒子(結晶粒子径27nm)20重量部、シリカゾル(150℃乾燥後の比表面積180m2/g)20重量部とテトラエトキシシランを60重量部とからなる光触媒塗工液をグラビアコートで1g/m2塗工し光触媒層3を設けた実験例1〜5の光触媒フィルム10を構成した。
【0019】
【表1】
Figure 0004121620
【0020】
(実験例 6〜10)
基材フィルム1として、厚み20μmのポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムの片面にSiOx を蒸着源に用いて、電子線加熱方式による真空蒸着法により、表2に示す厚みの蒸着層2を形成した。その直後、グロー放電プラズマ発生装置を用いて、プラズマ出力1500Wとし、混合ガスの比率O2 :Ar=19:1、圧力を6×10-5Toor、処理速度420m/minで、酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を施した。
上記の蒸着層2に酸化チタン微粒子(結晶粒子径27nm)20重量部、シリカゾル(150℃乾燥後の比表面積180m2 /g)20重量部とテトラエトキシシランを60重量部とからなる光触媒塗工液をグラビアコートで1g/m2 塗工し光触媒層3を設け実験例6〜10 の光触媒フィルム10を構成した。
【0021】
【表2】
Figure 0004121620
【0022】
(実験例 11〜12)
実験例3及び8で作成した蒸着層2の面にイソプピルチタネートのトルオール溶液を塗工し加湿下で乾燥・加水分解して図2に示す無機プライマー層3を設けた。更に上記の無機プライマー層3に上記の実験例で用いた光触媒塗工液をグラビアコートで1g/m2 塗工し光触媒層3を設け実験例11〜12の光触媒フィルム10を構成した。
【0023】
(実験例 13〜14)
実験例3及び8で作成した蒸着層2の面にポリシラザンのキシレン溶液を塗工し加湿下で乾燥加水分解して、図2に示す無機プライマー層3を設けた。更に上記の無機プライマー層3に上記の実験例で用いた光触媒塗工液をグラビアコートで1g/m2 塗工し光触媒層3を設け実験例13〜14の光触媒フィルム10を構成した。
【0024】
(比較例 1)
上記のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、蒸着層を設けないで、フィルムに直接上記実験例で使用した光触媒塗工液を実験例と同様に塗工し光触媒層3を設け実験例比較例1の光触媒フィルム10を構成した。
【0025】
(比較例 2)
上記のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、実験例11で用いたイソプピルチタネートのトルオール溶液を塗工し加湿下で乾燥・加水分解して無機プライマー層を設けた。更に上記の無機プライマー層に上記の実験例と同様に光触媒層を設け比較例2の光触媒フィルムを構成した。
【0026】
上記の実験例及び比較例で作成した光触媒フィルムを次の方法で評価・比較を行った。その評価の結果を3に示す。
・全光線透過率
基材フィルムを基準とし、各光触媒フィルムを、550nmも全光線透過率を自記分光光度計を用いて測定した。
・耐候試験
光触媒フィルムの触媒層側に、サンシャインカーボンアークウェザーメーターを用いて、500時間の照射後の基材フィルムの劣化程度(抗張力及び延び)を照射前のものと比較する。また、光触媒層の密着強度の変化をJIS K5400に準拠し、塗膜面に縦横各11本の切り込みを入れ、縦横各10列の碁盤目を形成し、その面にセロハン粘着テープ〔セロテープ LD18 ニチバン(株)製 商品名〕を貼着した後、180°方向の剥離テストを行い、その剥離数(n/100)のnを計数する。
・抗菌性試験(参考)
100mm×100mmに断裁した試料を125℃10分間に相当する滅菌処理をした光触媒フィルムの光触媒層の面に大腸菌を105個/mlの溶液を0.2ml滴下する。そして、30℃に保ち、インキュベーターに設けた螢光灯(15W×2本)を5時間照射する。所定の照射後に試料を取り出し、滅菌生理食塩水を浸した滅菌ガーゼで菌液を拭き取り、ガーゼを10mlの滅菌生理食塩水に入れ攪拌した。この上澄み液を寒天培地に植えつけ、36℃24時間培養後通常のコロニー数を計数した。
【0027】
【表3】
Figure 0004121620
【0028】
本発明の基材フィルムに透明な金属酸化物の蒸着層を設けて形成した光触媒フィルムは、蒸着層がもつバリア作用によって、活性のある光触媒と接することがない。したがって、上記の試験にも十分に耐える耐久性に優れた効果を奏する光触媒フィルムの基材フィルムである。不特定多数の人が接する器具などで、透明な光触媒フィルムを要求される窓ガラスや、計器盤、家電製品、医療設備、OA機器、各種包装材料、表面の汚染を嫌う園芸用フィルムなどに使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒フィルムの基本的構成を示す断面概略図である。
【図2】本発明の光触媒フィルムの他の構成を示す断面概略図である。
【図3】本発明の光触媒フィルムの他の構成を示す断面概略図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 蒸着層
3 光触媒層
4 無機プライマー層
5 プライマー層
10 光触媒フィルム

Claims (4)

  1. 基材フィルムの一方の面に、厚みが100〜2000Åのケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物からなる蒸着層と、アルキルチタネ−トの加水分解生成物、チタンアシレ−トの加水分解生成物、チタンキレ−トの加水分解生成物または無機ポリシラザンからなる無機プライマ−層と、酸化チタンを主成分とし、アクリル・シリコ−ン樹脂を含む光触媒層を順次形成する光触媒フィルムであって、上記蒸着層がアルミニウム及び/又はケイ素の中の少なくとも1種類の酸化物を連続して含むことを特徴とする光触媒フィルム。
  2. 請求項1に記載のケイ素酸化物(SiOx )のxが1.5乃至2であることを特徴とする光触媒フィルム。
  3. 請求項1に記載のアルミニウム(AlOx )のxが1.0乃至1.5であることを特徴とする光触媒フィルム。
  4. 基材フィルムの一方の面に、厚みが100〜2000Åのケイ素酸化物又はアルミニウム酸化物からなる蒸着層と、アルキルチタネ−トの加水分解生成物、チタンアシレ−トの加水分解生成物、チタンキレ−トの加水分解生成物または無機ポリシラザンからなる無機プライマ−層と、酸化チタンを主成分とし、アクリル・シリコ−ン樹脂を含む光触媒層を順次形成する光触媒フィルムの製造方法であって、上記蒸着層が、アルミニウム及び/又は、ケイ素の少なくとも1種類の酸化物を連続して含む層を物理蒸着法で形成され、かつ、前記の蒸着層に更に前記の無機プライマ−層を塗工形成し、前記の無機プライマ−層に更に前記の光触媒層を塗工形成することを特徴とする光触媒フィルムの製造方法。
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