JP4121569B2 - 高出力プラズマベース反応種ジェネレータ - Google Patents

高出力プラズマベース反応種ジェネレータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ処理チャンバ等のチャンバと共に用いるためのプラズマベースの遠隔の励起ソース(exitation source)に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマをベースとした遠隔の励起ソースや反応種ジェネレータ(reactive species generator)は、高い反応性の化学的環境と組合わせた高い入力電力での取り扱い及び高温での耐性をしばしば可能にする。例えば、反応種ジェネレータの通常の用い方においては、NF3 ガスが反応種ジェネレータに流入してプラズマによって分解される。その結果、活性化した化学種が反応種ジェネレータから流出して半導体処理装置へと流れ込み、この化学種はそこでインシチュウでのチャンバクリーニング、エッチング、フォトレジストのストリッピング及びその他の用途に用いられる。シシチュウチャンバクリーニングに対して反応種を用いた例が、1994年7月21日出願の標題"A Deposition Chamber Cleaning Technique Using a Remote Excitation Source"(「遠隔の励起ソースを用いた堆積チャンバクリーニング技術」)米国特許出願S.N.08/278,605号に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の装置が暴露される非常に苛酷な環境が、プラズマベースのジェネレータを非常に急速に使用不能にしてしまう。例えば、商業的に入手可能な反応種ジェネレータの中には、クオーツチューブを用いて励起種を有しているものがある。このようなシステムでは、生成された弗素はチューブを急速にエッチングする。更に、高い出力レベル(例えば1又は1.5kW)では、クオーツが損傷する傾向がある。従って、ジェネレータを数回あるいはある運転の持続時間用いただけで、チューブ壁は非常に薄くなってしまい、この種のシステムに普及している高温及び真空の環境に連続的に暴露されれば、すぐに分解されるであろう。従って、チューブの寿命における非常に早い時点でチューブを取り除き新しいチューブと交換する必要がある。クオーツチューブを繰り返し交換する必要による不便さとコストは高いものとなっている。
【0004】
既存のプラズマベース反応種ジェネレータは、クオーツチューブの代りにセラミックチューブを用いている。セラミックチューブは、しばしば遭遇する化学的腐食環境においてクオーツチューブよりも耐えることができる。しかし、セラミックチューブは万能というわけではない。セラミックチューブは、典型的には、クオーツその他の材料と比べて熱膨張係数が比較的高い。従って、この種のシステムに通常起こり得るような、室温と高い処理温度との間のサイクルの繰り返しは、セラミックチューブに大きな応力を発生させる。この応力は、最終的に、チューブのクラックや破壊という結果を生じさせる。
【0005】
都合の悪いことに、プラズマチューブは破壊されるこれらの部品だけではない。プラズマチューブの内部で真空を維持するためのシール及びOリングも、この種のシステムの中で生じる高温に暴露されれば、急速に劣化して最後には破壊される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
概略的に、1つの特徴として、本発明は、電力ソース(パワーソース)と共に用いるためのプラズマベースジェネレータである。このプラズマベースジェネレータは、電力ソースによってその内部にプラズマが発生される中空のチューブ本体を有するプラズマチューブと、プラズマチューブの下流端部を支持する第1の支持構造体と、プラズマチューブの上流端部を保持する第2の支持構造体とを有している。この第2の支持構造体は、第1の支持構造体に接続され、また、プラズマチューブ内でプラズマ処理が行われた際の熱膨張収縮によるプラズマチューブの伸縮を、自身の長さを変化させて調整するための膨張ジョイントを有している。
【0007】
概略的に、別の特徴としては、このプラズマベースのジェネレータは、ハウジングと、ハウジング内に支持されたプラズマチューブとを有している。プラズマチューブは、上流端部と下流端部とを有する中空の本体を有している。運転中に、ガスは、上流端部を通ってプラズマチューブ内に流入し、電力ソースによりその中に発生されたプラズマによって励起された後、下流端部を通って排出される。また、プラズマチューブは、自身の下流端部に配置されるフランジを有している。ハウジングは、プラズマチューブのフランジを把持することによりプラズマチューブの下流端部を保持する保持構造体を有している。
【0008】
概略的に、また別の特徴としては、プラズマベースのジェネレータは、電力ソースによってその内部にプラズマ発生されるプラズマチューブと、プラズマチューブの下流端部を支持する第1の支持構造体と、プラズマチューブの上流端部を保持する第2の支持構造体とを有している。第2の支持構造体は、前記のプラズマチューブの周囲にキャビティを形成するように、プラズマチューブの外側を包囲する。この支持構造体は、キャビティ内部に導入されるクーラントが通るための流入ポートと、キャビティを通過した後のクーラントが流出するための流出ポートとを有している。プラズマチューブはキャビティの内壁として作用するため、キャビティ内部にクーラントが導入された際に、クーラントがプラズマチューブと直接接触をする。
【0009】
好ましい具体例は、以下の特徴を有している。前出の膨張ジョイントは、プラズマチューブが通り抜ける中心孔を有するベローズである。流入ポートはプラズマチューブの下流端部に対して、流出ポートが配置されるよりも、より近くに配置される。プラズマチューブ及びその外側のチューブは、円筒形状であり、これらは、プラズマチューブを包囲する同心形状のフロー領域を形成するように、相互に同心円の関係で共通の軸を有して、配置される。膨張ジョイントは、外側のチューブとプラズマチューブの上流端部との間に配置される。プラズマチューブは、マイクロ波を透過する誘電材料製であり、例えば、サファイア、アルミナ、窒化アルミニウム及びクオーツから成る群から選択される材料等製である。また、外側チューブも、マイクロ波を透過する誘電材料製であり、例えば、クオーツ、サファイア、アルミナ、テフロン、プラスチック及びポリスチレンから成る群から選択される材料等製である。
【0010】
また、好ましい具体例では、第1の支持構造体はベースプレートを有し、第2の支持構造体はカラー部材を有している。フランジは、カラー部材及びベースプレートの間に配置されこれらによって把持されている。また、プラズマベースジェネレータは、プラズマチューブの下流端部を外包し、フランジとベースプレートの間で圧縮されて真空シールを形成する第1のガスケットを有している。この第1のガスケットは、プラズマチューブを用いたプラズマ処理中に中空本体の下流端部にて生じる高温環境から自身を保護するように、フランジ上の外側でプラズマチューブの中空本体から離れた位置に配置される。また、プラズマベースのジェネレータは、プラズマチューブの周囲にあってフランジとカラー部材の間で圧縮される第2のガスケットを有している。この第2のガスケットも、プラズマチューブを用いたプラズマ処理中に中空本体の下流端部にて生じる高温環境から自身を保護するように、フランジ上の外側でプラズマチューブの中空本体から離れた位置に配置される。第1のガスケットと第2のガスケットは、Oリングである。
【0011】
本発明のプラズマベースジェネレータは、遠隔の励起ソースが必要とされるであろうあらゆる用途に対して有用である。
【0012】
本発明の利点の1つは、高温に対して脆弱な部材、例えば真空シールのために用いられるOリング等を、この種のシステムに典型的に存在する高温に対しての暴露から遮断する。従って、これらの部材は、連続的に使用する間も劣化が少ない傾向がある。更に、液体冷却が与えられてプラズマチューブ及びその他の動作温度を、他の従来型デザインのプラズマベース励起ソースと比較して低い動作温度に維持する。また、膨張ジョイント(例えばベローズ)を用いることにより、プラズマチューブは容易に長手方向に伸縮することが可能となる。従って、熱膨張収縮が生じても、プラズマの損傷やクラック発生に通常導く高い応力が生じることはない。
【0013】
その他の利点及び特徴は、以下の好ましい具体例の説明から明らかになるであろう。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に示されているように、本発明に従って構成される反応種ジェネレータ10は、プラズマチューブ12を有する略円筒ユニットで、このユニットは、それよりも大きな外側チューブ14内部に包含されている。ガスはプラズマチューブ12の中心孔16を通過し、電力ソース(図示されず)によって発生したプラズマによって分解される。プラズマチューブは、マイクロ波を略通過させ且つ反応性プラズマに暴露された際にも高い化学的安定性を有する材料でできている(例えば、サファイア、アルミナ又は窒化アルミニウム)。
【0015】
外側チューブ14は、マイクロ波を透過させる誘電材料製であるが、これは、プラズマチューブ12の冷却ジャケットとしての機能と、プラズマチューブ12内へプラズマを発生させるため、マイクロ波をプラズマチューブ12内部へと透過させるウィンドウとしての機能とを有する。マイクロ波キャビティ18は、外側チューブ14を包囲する。マイクロ波エネルギーがキャビティ内へと供給された際に、プラズマチューブの中央で最大シグナル値を有する定常波が生成して、プラズマが発生するように、キャビティ18の寸法が選ばれる。
【0016】
外側チューブ14とプラズマチューブ12とが共軸20の周囲に同心円状に配置され、これらの間に、プラズマチューブ12を取り囲む円筒状フロー領域22を形成する。動作中は、ポンプによりこの円筒状のフロー領域内にクーラントを流して、プラズマチューブ12の外側壁を冷却する。
【0017】
下流端部26では、プラズマチューブ12は、チューブ本体のその他の部分から離れるように延長するフランジ28を有している。フランジ28は、ベースプレート30とカラーリング32との間で固定される。ベースプレート30は、プラズマチューブ12の内部孔と調心がなされ且つこれよりも大きな、円形開口を有し、カラーリング32は、外側チューブ14の外径よりも僅かに大きな直径を有する中心孔36を有している。ベースプレート30はフランジ38を、カラーリング32はフランジ40を、それぞれ有し、これらのフランジはそれぞれ、規則的な間隔で配列されたボルト穴を有している。これらのボルト穴に差込まれるボルト42は、カラーリング32とベースプレート30を、これらに固定されたフランジ28と共に保持している。フランジ28の両側のOリング50及び52は、カラーリング32がベースプレート30上へと締め付けられた際にシールを形成する。Oリング50及び52の両方とも、プラズマチューブ12の本体の直径よりも非常に大きな直径を有しており、また、これらはプラズマチューブ12及び軸20に対して同心円状にフランジ28上にその位置を占めるため、これらはフランジ28上の外側でプラズマチューブ12本体で生じる高温から離れるように、シールを形成する。Oリング50は、フランジ28の上面とカラーリング32との間で圧縮されて、以下に簡単に説明する冷却システムのためのウォータータイトシールを形成する。Oリング52は、フランジ28の底面とベースプレート30との間で圧縮され、プラズマチューブ12の内側に対する真空シールを形成する。
【0018】
外側チューブ14は、下向きにカラーリング32の中央孔36内まで伸び、2つの間のシールを形成するOリング56を有する。
【0019】
ガス流入ポート62を有する円筒形状の頂部部材60は、プラズマチューブ12の上流端部に対して上からフィットしている。頂部部材60は、円筒状のキャビティ64を有し、キャビティ64の内径は、プラズマチューブがその中にフィットするように、プラズマチューブ12の外径よりも僅かに大きくなっている。頂部部材60を外側チューブ14の頂部端部へと接続させるベローズ組立体70は、一方の端部に接着された上リング74と他方の端部へ接着された下リング76とを有するステンレス鋼ベローズ72を有している。上リング72は、頂部部材60内の円筒状キャビティ64と同じ直径を有する内部孔82を有している。ボルト78が上リング74を頂部部材60へと組み付け、Oリング80がプラズマチューブ12の外側と頂部部材60との間で圧縮されて、プラズマチューブの上流端部の真空シールを成す。
【0020】
ベローズ組立体70の下リング76は、外側チューブ14の外径よりも僅かに大きな直径を有する内部孔86を有している。下リング76は、マイクロ波キャビティ18の頂部に近接し、外側チューブ14はマイクロ波キャビティ18を通り過ぎて内部孔86まで延長する。外側チューブ14の外側とマイクロ波キャビティ18のすぐ上の下リング76との間で圧縮されるOリング88は、外側チューブ14とベローズ組立体70との間でウォータータイトシールを形成する。
【0021】
半径方向に向かってカラーリング32を貫通し中央孔36まで通り抜ける流入ポート90は、動作中に組立体へと導入されるクーラントが通過する通路を与える。流入ポートに流入し通過するクーラントは、プラズマチューブの外側を通り、プラズマチューブ12を包囲する円筒状のフロー領域22内を上向きに通り抜け、外側チューブ14の上方のベローズ組立体70の内側の中へと流れ込む。ベローズ組立体70の下リング76を半径方向に通り抜ける流出ポート92は、熱せられたプラズマチューブの外側を流れて冷却した後、クーラントが組立体から出ていくために通過する通路を与える。冷却通路がプラズマチューブの熱い方の端部(即ち下流端部)から冷たい方の端部(即ち上流端部)に向かっていることに注目すべきである。この事により、動作中にプラズマチューブの冷却が更に効率良くなる。
【0022】
カラーリング32及び下リング76の両方は、共に、適当な手段によってマイクロ波キャビティのハウジングに接続されているため、両者は、マイクロ波キャビティと相対的に固定されたままである事に注目すべきである。ここに説明される具体例では、この接続をなすためにねじ(図示されず)が用いられる。
【0023】
動作中は、プラズマがプラズマチューブ内に発生したときは、チューブ内の活性化されたガスは非常に高温であるため、プラズマチューブを非常に高い温度にしてしまう。プラズマチューブは、加熱されれば、長手方向ないし長さ方向に膨張する。プラズマチューブの上流端部をベースプレートへと接続させるベローズは、直ちに伸びることにより、この膨張を調整する。即ち、ベローズは、プラズマチューブが長さ方向へ障害なく膨張することを可能にするため、プラズマチューブのクラックないし損傷につながる応力をプラズマチューブ内部に発生させない。
【0024】
マイクロ波の吸収係数があまり高くない限りにおいて、広く用いられている様々な種類の液体をクーラントとして用いることが可能である。吸収性が高ければ、マイクロ波のパワーをプラズマチューブの内側に到達するまでに弱めてしまう。それでも、吸収通路の長さが充分短くされれば、マイクロ波の吸収の非常に高い傾向のある液体を用いることも可能である。即ち、プラズマチューブを外側チューブから隔てる液体の層を充分小さくすることにより、マイクロ波エネルギーの減衰を許容されるレベルに保つことが可能となる。
【0025】
ここに説明される具体例では、H2O がクーラントとして用いられる。H2O はマイクロ波を吸収する傾向があるため、プラズマチューブと外側チューブの間の半径方向のギャップは比較的小さく維持される(例えば、0.1mm〜0.5mm、好ましくは0.25mm)。フレオン(Freon)や液体やジメチルポリシロキサン等マイクロ波を吸収しない液体に対しては、これら2つのチューブの間のギャップは充分大きくてもよく、例えば、3mmでもよい。
【0026】
ここに説明される具体例では、Oリングはバイトン(Viton)又はカルレツ(Kalrez)製であり、このうち後者が高温に対して特に適している。しかし、プラズマチューブにはフランジがあるため、Oリングは熱くなっているプラズマチューブと接触することにはならず、よって、これらは非常な高温に暴露されることはない。従って、高温環境にさほど耐性のない別の材料でも、Oリングに用いることが可能である。
【0027】
プラズマチューブのフランジは、いくつかの方法で作製することができる。1つは、非常に薄い壁をもつセラミックのチューブを用いることから始めるものである。そして、旋盤を用いて、フランジとなる部分の材料を除いてほとんどの材料を切り落とす。このアプローチの利点は、熱応力や熱サイクルによる破壊又はクラックが生じ得るような、異種の物質の間のジョイントを必要としない、完全に一体となったチューブを製造するからである。実際、いかなるジョイントも必要としないのだ。無論、この不利な点は、特に少量だけでなされた場合に高価なことである。セラミック材料のほとんどが廃棄物として捨てられるのだ。
【0028】
また一つのアプローチは、サファイアからチューブ本体を作製し、その後、別に作製したサファイア又はメタルのいずれかでできたフランジを接着することである。これらの部材を、標準的な一般的に用いられる技術を用いて接着することが可能である。例えば、鑞付け等のメタライザーションを用いて部材同士を接着してもよい。少量の場合は、この方法だとあまり高価にはならないだろう。
【0029】
上述の如く、サファイア以外の材料をプラズマチューブに用いてもよい。例えば、クオーツは、用途によっては許容される。しかし、クオーツは、高温での高い腐食性の環境にはあまり耐性がない。従って、低〜中程度の電力を用いてあまり腐食性の高くない化学種が発生するような場合の方が適している。
【0030】
プラズマチューブの厚さは、特に重要ではない。ここに説明される具体例では、チューブの厚さは約2mmである。この厚さが、経済性が有ることと適当な強度が有ることとを両立することを証明している。厚さの下限は、必要とされる機械強度によって決定されるが、無論、チューブに用いられる真空にも依存する。この真空は、それにチューブが暴露されることになるものであり、また、プラズマチューブのための強度の要求を部分的に決定するものであるが、プロセスに依存している。典型的には、mTorr(ミリトール)から大気圧に至るまでの範囲にあるだろう。いかなる場合も、チューブが厚くなれば、強度も高くなる。しかし、厚すぎれば、チューブの熱くなった内側と冷たい外側との間に、不要な大きな熱勾配が生じることになる。実際、熱勾配のサイズはチューブの厚さに比例して増加するだろう。約2mmの厚さで充分な強度を与えるため、それよりも厚くしても大きな利点は得られない。
【0031】
外側チューブは、高温に暴露されていないため、プラズマチューブに適した材料以外の広い範囲の材料で出来ていてもよい。充分な強度を有する事と、励起エネルギー(例えばマイクロ波)を伝達できる事の2つの要求がある。外側チューブは、高温や高真空に暴露されないため、その厚さはあまり重要ではない。適した材料はには、クオーツ、サファイア、アルミナ、テフロン、プラスチック及びポリスチレンが含まれる。
【0032】
ここに説明される具体例ではステンレス鋼製であるベローズは、商業的な入手源から容易に入手される。例えば、適したベローズは、米国フロリダ州OrmondのMetalfab Corporationから入手可能である。ベローズはメタルの端部部材、即ち上リングと下リングに、メタライズ(例えば接着)される。その接着部におけるシールはあまり重要ではなく、なぜなら、ウォータータイトであればよく、高圧や高温に耐性を有している必要がないからである。よって、適当なエポキシでも許容されるシールを作るだろう。
【0033】
ここに説明される具体例では、カラー、頂部部材、上リング及び下リング等の、ジェネレータの他のメタル部材は、ステンレス鋼製である。
【0034】
上述のプラズマベースのジェネレータは広く様々な用途に用いられてもよい。例えば、図2に例示されるように、プラズマ処理システムにおいて励起されたガス種の遠隔のソースとして用いられてもよい。この用途では、外部のガスソース114は、導管116を介してジェネレータ10のガス流入ポートへ反応性ガスを供給する。ジェネレータ10にて発生した活性化ガス種は、次に、ジェネレータ10のガス流出ポートに接続された別の導管112を通ってプラズマチャンバ110内へと供給される。ポンプ120と、ジェネレータの冷却システムの流入ポートと流出ポートとの間に接続された熱交換器(図示されず)とが、ジェネレータの動作中に、クーラントをジェネレータの中で循環させる。マイクロ波ソース122が電力を供給して、ジェネレータ内のプラズマチューブ内部にプラズマを発生させ、ガス種をメインのプラズマチャンバへ導入される前に励起する。
【0035】
このようなシステムに典型的に存在する他の部材には、プラズマチャンバの脱気のための真空ポンプと、プラズマチャンバ内部に第2のプラズマを発生させるための電力ソース(RFサプライ又はDCサプライ)が含まれる。
【0036】
励起された化学種を、適当と思われるあらゆる手段を用いて輸送することが可能である。既に言及したように、励起された化学種を、導管を介してプロセスチャンバへと移動させてもよい。この事には、ジェネレータを容易に配置することが可能になるという利点がある。このような導管は、発生されるべき励起化学種と相互作用を生じない材料でできており、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、セラミック、又は弗素ベースの材料のいくつかである。あるいは、ジェネレータの流出側は、直接チャンバ自身に接続されてもよい。
【0037】
ここに説明される具体例では、ジェネレータ10は典型的には、1〜1.5kW以上のパワーレベル及び10トールのレンジのプラズマチューブ内圧力の下で動作される。ジェネレータ10内を流れる水の流量が約3リットル/分の条件で、熱せられたプラズマチューブの外側を通過することにより、クーラントの温度は約20〜40℃上昇するだろう。よって、流入ポートに到達する水の温度が約23℃である場合は、流出温度は40〜60℃となるだろう。
【0038】
この流量では、プラズマチューブの内側の温度は約200℃となるだろう。
【0039】
ここに説明される具体例での電力伝送システムはマイクロ波ソースであったが、この通りである必要はない。実に、プラズマを発生させるためのあらゆる既知のメカニズムによってジェネレータ内部にプラズマを発生させることが可能である。例えば、プラズマチューブの外側の周りで且つ円筒状フロー領域の内部に誘導コイルを巻きつけたい場合には、RF電力ソースを用いることが可能である。このケースでは、外側チューブの組成は重要ではなく、その理由は、それを介してエネルギーがプラズマチューブ内へ移動するのではないからである。
【0040】
上記の[特許請求の範囲]の範囲の中に入る別の具体例もある。例えば、ベローズは図1に示されるような場所に置かれる必要はない。プラズマチューブが熱いプラズマによって加熱されたときに長手方向に自由に膨張することを可能にするような、ジェネレータの内部のいずれかの場所に置かれてもよい。例えば、プラズマチューブ自身の内部の、高温又は腐食性の環境に暴露されないようなプラズマの上流の場所に包含されてもよい。このケースでは、ベローズは、プラズマチューブのサファイアに鑞付けされるだけでよい。又は、プラズマチューブの下流端部に近いカラーリング内部に包含されてもよい。
【0041】
また、プラズマチューブと外側チューブの双方は、上述とは異なる形状を有していてもよいことも理解されよう。例えばこれらは、楕円、正方形、長方形、又は、プラズマベースジェネレータへの使用が考えられるあらゆる断面を有していてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のプラズマベースジェネレータにおいては、高温に対して脆弱な部材を高温暴露から遮断する。従って、これらの部材は、連続使用中も劣化が少ない傾向となる。更に、液体冷却によってプラズマチューブ及びその他の動作温度を、低い動作温度に維持する。また、ベローズ等の膨張ジョイントを用いることにより、プラズマチューブは容易に長手方向に伸縮することが可能となる。従って、熱膨張収縮が生じても、プラズマの損傷やクラック発生に通常導く高い応力が生じることはない。
【0043】
従って、寿命の長いプラズマベースのジェネレータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応種ジェネレータの断面図である。
【図2】遠隔のプラズマベースの反応種ジェネレータを有するプラズマ処理システムのブロック線図である。
【符号の説明】
10…反応種ジェネレータ、12…プラズマチューブ、14…外側チューブ、16…中心孔、18…マイクロ波キャビティ、20…共軸、22…フロー領域、26…下流端部、28…フランジ、30…ベースプレート、32…カラーリング、36…中心孔、38,40…フランジ、42…ボルト、50,52,56…Oリング、60…頂部部材、64…円筒状キャビティ、70…ベローズ組立体、72…ステンレス鋼ベローズ、74…上リング、76…下リング、80…Oリング、82…内側孔、86…内部孔、90…流入ポート、92…流出ポート、110…プラズマチャンバ、112,114…ガスソース、116…導管、120…ポンプ、122…マイクロ波ソース。

Claims (22)

  1. 電力ソースと共に用いるためのプラズマベースのジェネレータであって、
    中空のチューブ本体を有し、その内部で前記電力ソースによってプラズマが発生するプラズマチューブであって、前記プラズマチューブは上流端部と下流端部とを有し、動作中は、ガスが、該上流端部を通って前記プラズマチューブ内へ流入し、前記電力ソースによりその中に発生されたプラズマによって励起された後に該下流端部を通って流出する、前記プラズマチューブと、
    該プラズマチューブの該下流端部を支持する第1の支持構造体と、
    前記プラズマチューブの該上流端部を保持するための第2の支持構造体であって、前記第2の支持構造体は、前記第1の支持構造体に接続され、前記第2の支持構造体は、プラズマ処理が前記プラズマチューブ内部で行われる際にその熱膨張収縮によるプラズマチューブの伸縮を自身の長さを変化させて調整する膨張ジョイントを備える、前記第2の支持構造体と
    前記第2の支持構造体と共に前記プラズマチューブの外側を包囲する外側チューブであって、前記プラズマチューブを冷却するためのクーラントを流通させるシールされた第1のキャビティを前記プラズマチューブの周りに形するように前記第2の支持構造体に対してシールされた前記外側チューブと、
    前記外側チューブを包囲し、前記電力ソースから電力の供給を受けて前記プラズマチューブ内にプラズマを発生させる第2のキャビティと、
    を備え、前記シールされた第1のキャビティにおいて前記プラズマチューブと前記第2のキャビティとの間に前記クーラントが流通し、該クーラントが前記プラズマチューブと接触可能である、プラズマベースジェネレータ。
  2. 前記膨張ジョイントが、前記プラズマチューブがその中を通過するための中央孔を有するベローズを備える請求項1に記載のプラズマベースジェネレータ。
  3. 前記第2の支持構造体は、前記シールされた第1のキャビティへ導入される前記クーラントが通る流入ポートと、前記シールされた第1のキャビティ内を通過した後の前記クーラントが流出するための流出ポートとを備え、前記プラズマチューブは、前記シールされた第1のキャビティの内部壁として作用して、前記クーラントが前記シールされた第1のキャビティ内へ導入された際に前記プラズマチューブと直接接触するようになる、請求項1に記載のプラズマベースジェネレータ。
  4. 前記流入ポートが、前記プラズマチューブの下流端部に対して、前記流出ポートが配置されるよりも近くに配置される請求項3に記載のプラズマベースジェネレータ。
  5. 記外側チューブは内部孔を有しており、前記プラズマチューブは内部孔を貫通している、請求項3に記載のプラズマベースジェネレータ。
  6. 前記プラズマチューブが円筒形状を有する請求項5に記載のプラズマベースジェネレータ。
  7. 前記外側チューブが円筒形状を有し、且つ、前記プラズマチューブと前記外側チューブが、相互に、共通の軸に対して同心円状に配置されて、前記プラズマチューブを包囲する円筒形状のフロー領域を形成し、前記円筒形状のフロー領域は前記シールされた第1のキャビティの一部を成す請求項6に記載のプラズマベースジェネレータ。
  8. 前記膨張ジョイントが、前記外側チューブと、前記プラズマチューブの上流端部との間に配置される請求項5に記載のプラズマベースジェネレータ。
  9. 前記膨張ジョイントが、中央孔を有するベローズであり、前記プラズマチューブは前記ベローズの該中央孔を通過する請求項8に記載のプラズマベースジェネレータ。
  10. 該プラズマチューブがマイクロ波エネルギーを透過する誘電材料製である請求項5に記載のプラズマベースジェネレータ。
  11. 該プラズマチューブが、サファイアと、アルミナと、窒化アルミニウムと、クオーツとから成る材料の群から選択される材料製である請求項10に記載のプラズマベースジェネレータ。
  12. 前記外側チューブがマイクロ波エネルギーを透過する誘電材料製である請求項に記載のプラズマベースジェネレータ。
  13. 前記外側チューブが、クオーツと、サファイアと、アルミナと、テフロンと、プラスチックと、ポリスチレンとから成る材料の群から選択される材料製である請求項に記載のプラズマベースジェネレータ。
  14. 前記第2のキャビティが、前記外側チューブを包囲するマイクロ波キャビティを備える請求項12に記載のプラズマベースジェネレータ。
  15. 該プラズマチューブが該下流端部にフランジを有する請求項1に記載のプラズマベースジェネレータ。
  16. 前記フランジが、前記第1の支持構造体と前記第2の支持構造体との間に配置され且つ前記第1の支持構造体と前記第2の支持構造体とにより把持される請求項15に記載のプラズマベースジェネレータ。
  17. 前記第1の支持構造体がベースプレートを備え、前記第2の支持構造体がカラー部材を備え、前記フランジが、前記カラー部材と前記ベースプレートとの間に配置され且つ前記カラー部材と前記ベースプレートとにより把持される請求項15に記載のプラズマベースジェネレータ。
  18. 前記プラズマチューブの該下流端部の周囲に外接して該フランジと該ベースプレートとの間で圧縮される第1のガスケットを更に備え、前記第1のガスケットは真空シールを成す請求項17に記載のプラズマベースジェネレータ。
  19. 前記第1のガスケットが、前記プラズマチューブを用いたプラズマ処理中に前記中空の本体の下流端部で生じる高温の環境からそれを保護するように、前記フランジ上の外側で前記プラズマチューブの中空本体から離れた位置に配置される請求項18に記載のプラズマベースジェネレータ。
  20. 前記プラズマチューブの周囲にあり該フランジと前記カラー部材との間で圧縮される第2のガスケットを更に備える請求項18に記載のプラズマベースジェネレータ。
  21. 前記第2のガスケットが、前記プラズマチューブを用いたプラズマ処理中に前記中空の本体の下流端部で生じる高温の環境からそれを保護するように、前記フランジ上の外側で前記プラズマチューブの中空本体から離れた位置に配置される請求項20に記載のプラズマベースジェネレータ。
  22. 前記第1のガスケットと前記第2のガスケットとがOリングである請求項21に記載のプラズマベースジェネレータ。
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