JP4120373B2 - ウレタンウレア樹脂および該樹脂を含むラジエーション硬化型樹脂組成物 - Google Patents
ウレタンウレア樹脂および該樹脂を含むラジエーション硬化型樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンウレア樹脂と、該樹脂を含むラジエーション硬化型樹脂組成物に関し、該樹脂組成物は紫外線や電子線などのラジエーションによって硬化し、硬度、硬化速度、架橋密度、耐溶剤性、耐水性に優れた硬化膜を与えるものであり、木材、金属、ガラス、布、皮革、紙、プラスチックを含めた被塗装物、被印刷物に適用されるインキバインダー、接着剤、コーティング剤などに用いられるとりわけ水性のラジエーション硬化型樹脂組成物に関する。さらには、保存安定性、分散安定性に優れる、木材、金属、ガラス、布、皮革、紙、プラスチックを含めた被塗装物、被印刷物に適用されるインキバインダー、接着剤、コーティング剤などに用いられるとりわけ水性のラジエーション硬化型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、接着剤、コーティング、印刷業界などでは、溶剤型製品による大気汚染、火災の危険性、作業時の労働安全衛生などを解決する一つの手段として各製品の水性化、無溶剤化が提案され進められている。事実、水性型、無溶剤型硬化性製品は各分野で広く用いられているが、溶剤型製品に比べ硬化速度、架橋密度、耐溶剤性、耐水性、粘度などに問題があることから一部用途に限られているのが現状である。また、無溶剤型は塗工後、硬化させるまで液体の状態であるので、一度巻き取るなどの処理ができないと言う問題がある。そこで、水性型の製品にラジエーション硬化性能を与えることでこの問題を解決しようというアプローチがある。ここで、本発明で言うラジエーション硬化とは、電子線、紫外線などの電離放射線のエネルギーによって硬化することを意味する。
【0003】
例えば、末端イソシアナト基を有するカルボキシル基含有ウレタンプレポリマーの一部に、水酸基を有し、かつ(メタ)アクリレート基を有する化合物を反応させた後、水性化、鎖延長した水性ウレタン樹脂組成物が開示されているが(特許文献1参照)、開示されている実施例では一分子中の末端に2個しか(メタ)アクリロイル基を有さないため、最終的なポリマーの分子量と分子中の(メタ)アクリレート基密度が反比例する関係にあり、平滑で非浸透性の基材上で耐水性、耐溶剤性が十分でない。
【0004】
また一方で、上記水中で鎖延長した水性ウレタン樹脂は、保存安定性が悪く、例えば40℃で保存すると、沈降物が生じたりする問題があった。以上のように、従来の技術では性能、物性面に問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−166216号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
媒体に溶剤を用いた場合はもちろんのこと、水を用いた場合でも保存安定性に優れ、浸透性の基材だけでなく平滑で非浸透性の基材上で耐溶剤性と密着性とのバランスの良い硬化塗膜を与えるラジエーション硬化型樹脂組成物と該ラジエーション硬化型樹脂組成物に使用される特定の骨格を有するウレタンウレア樹脂の開発を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決するため鋭意努力をした結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式1で表されるウレタンウレア樹脂に関する。
一般式1
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1 は3価以上の有機残基を示す。R2 は活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基を示す。R3は主鎖にウレタン結合を有する2価の有機残基を示す。mは2以上の整数、nは1以上の整数、xは0以上の整数である。)
また、本発明は、R3 が側鎖に少なくとも一つのアニオン性官能基を有し、主鎖にウレタン結合を有する2価の有機残基であることを特徴とする上記ウレタンウレア樹脂に関する。
【0010】
また、本発明は、アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートを反応させてなる末端イソシアナト基を有するウレタンプレポリマー(C)に、
下記一般式2で表される二級アミノ基を有する化合物(M)を、反応させてなることを特徴とするウレタンウレア樹脂に関する。
一般式2
【0011】
【化4】
【0012】
(ここでR1 は3〜15価の有機残基を示す。R2 は活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基を示す。pは2〜14の整数、sはR1の価数からpを引いた整数である。)
また、本発明は、化合物(M)が、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させてなる化合物であることを特徴とする上記ウレタンウレア樹脂に関する。
【0013】
アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートを反応させてなる末端イソシアナト基を有するウレタンプレポリマー(C)に、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させてなる化合物(M)を反応させることを特徴とするウレタンウレア樹脂の製造方法に関する。
【0015】
また、本発明は、上記ウレタンウレア樹脂を含むことを特徴とするラジエーション硬化型樹脂組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、上記ウレタンウレア樹脂、水、および塩基性化合物を必須成分とするラジエーション硬化型樹脂組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、さらにα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物、および光重合開始剤のうち少なくとも1つを含む上記ラジエーション硬化型樹脂組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、上記ラジエーション硬化型樹脂組成物を基材に塗工し、電子線もしくは紫外線を照射して硬化させることを特徴とするラジエーション硬化物の製造方法に関する。
【0019】
また、本発明は、基材が非浸透性基材であることを特徴とする上記ラジエーション硬化物の製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、上記製造方法で製造されたラジエーション硬化物に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。一般式1
【0022】
【化5】
【0023】
(式中、R1 は3価以上の有機残基を示す。R2 は活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基を示す。R3は主鎖にウレタン結合を有する2価の有機残基を示す。mは2以上の整数、nは1以上の整数、xは0以上の整数である。)で表される本発明のウレタンウレア樹脂を得るには、末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマー(C)を用い、その末端のイソシアナト基と一般式2
【0024】
【化6】
【0025】
(ここでR1 は3〜15価の有機残基を示す。R2 は活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基を示す。pは2〜14の整数、sはR1の価数からpを引いた整数である。)で表される二級アミノ基を有する化合物(M)を、反応させる方法が最も好ましい。また、化合物(M)は、例えば、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させて得ることができる。
【0026】
この場合、R1は、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)由来の3〜15価の有機残基となり、R2は、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)由来の、活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基となり、R3は、ウレタンプレポリマー(C)由来の2価の有機残基となる。R1〜R3の具体的な例示は、それぞれ化合物(x)、化合物(a)、プレポリマー(C)を例示することで示す。
【0027】
ウレタンプレポリマー(C)は、アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートを反応させて製造される。
【0028】
アニオン性官能基含有ポリオールとしては、例えば、アニオン性官能基であるカルボキシル基、スルフォン基等を有するポリオールを使用することができるが、特にカルボキシル基含有ポリオールを用いることが望ましい。
【0029】
カルボキシル基含有ポリオールとしては、ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシプロピオン酸等のジメチロールアルカン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。特に、反応性、溶解性の点からジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸を使用することが好ましい。
【0030】
また、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオールとしては、一分子中に水酸基を2個若しくはそれ以上有するものが好ましい。例えば、低分子量ポリオールとして、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3'−ジメチロールヘプタン、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2,2,8,10−テトラオキソスピロ〔5.5〕ウンデカン等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0031】
高分子量ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール等がある。
【0032】
ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等がある。
【0033】
ポリエステルポリオールは、二塩基酸とポリオールの重縮合より得られる。二塩基酸成分として、例えばテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸等が挙げられ、ポリオール成分としては、例えば前記低分子量ポリオールとして列挙した化合物が挙げられる。その他、ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等も挙げられる。
【0034】
ポリカーボネートポリオールとしては、その骨格中に、一般式3
−[−O−R4−O−CO−]n−
(式中、R4は、2価の有機残基、nは、1以上の整数を表す)を有するものであり、公知のポリカーボネートポリオールを使用することができる。ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオール類またはビスフェノール類と炭酸エステルとの公知の反応で製造される。
【0035】
このとき用いられる炭酸エステルとして例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
【0036】
また、ポリオール類としては、例えば前記低分子量ポリオールとして列挙した化合物が挙げられる。ビスフェノール類としては、ビスフェノールAやビスフェノールF、また前記ビスフェノールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させた化合物が挙げられる。
【0037】
アクリルポリオールとしては、例えば水酸基を有するモノマーの共重合体が挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ジヒドロキシアクリレート、グリセロールメタクリレート等が挙げられ、これらと他のα、β―エチレン性不飽和二重結合を有する化合物を公知の方法で重合することで得られる。
【0038】
エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂等がある。その他、ポリブタジエンジオール、ひまし油等が挙げられる。
【0039】
上記のアニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオールの中で、高分子量ポリオールを少なくとも用いるのが好ましく、更にはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールを一部用いるのが、塗膜の基材密着性、硬度、製造の容易さ等の点で好ましい。さらに、水性化して使用する場合、水に溶解せず、また耐加水分解性の高いポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールを用いるのが、保存安定性の点で好ましい。
【0040】
この様な耐加水分解性の高い高分子量ポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオールを一つの原料としたポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが公知で、例えばクラレ株式会社からクラレポリオールCシリーズ等として市販されている。これら高分子量ポリオールの分子量は、好ましくは分子量が500〜5000で2官能以上、更に好ましくは分子量900〜4100の2官能以上のポリオールを用いる。
【0041】
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0042】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0043】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0044】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばω,ω'−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0045】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0046】
また一部上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体等も併用することができる。
【0047】
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート等が好ましい。
【0048】
ただし、ウレタンプレポリマー(C)の原料は、上記に例示したアニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートに限定されるわけではない。
上記アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートの中で、3官能以上のものがウレタンプレポリマー(C)の製造を妨げない範囲の量で使用されるのが好ましい。
【0049】
ウレタンプレポリマー(C)の製造の際、アニオン性官能基含有ポリオールのアニオン性基がイソシアネートと水酸基の反応触媒作用を有するため必ずしも触媒を添加する必要はないが、製造時間の短縮や製造温度の低減を促すために触媒を別に添加することもできる。イソシアネートと水酸基の反応に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。例えば3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
【0050】
3級アミン系化合物としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−セン等が挙げられる。
【0051】
有機金属系化合物としては錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。錫系化合物としては、例えばジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
【0052】
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらは単独使用、もしくは併用することもできる。
【0053】
このうちジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキサン酸錫等が好ましい。
【0054】
ウレタンプレポリマー(C)を製造するときに、上記原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題から溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。
【0055】
アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートを反応させてウレタンプレポリマー(C)をつくるウレタン化反応は、種々の方法が可能である。1)全量仕込みで反応する方法と、2)アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、触媒をフラスコに仕込み、ポリイソシアネートを滴下する方法に大別されるが、反応を精密に制御する場合は2)が好ましい。ウレタンプレポリマー(C)を得る反応の温度は120℃以下が好ましい。更に好ましくは70〜120℃である。120℃を越えると、アロハネート反応が進行し所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマー(C)が得られなくなる。ウレタン化反応は、70〜120℃で2〜20時間行うのが好ましい。
【0056】
アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートの配合比は、末端にイソシアナト基が残るように、アニオン性官能基含有ポリオールとアニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオールの水酸基モル当量の合計に対して、ポリイソシアネートのイソシアナト基のモル当量が1倍より大きくなることが必要である。適切な配合比は、化合物の反応性、3価以上の化合物の存在比などで左右される。
【0057】
一般式2
【0058】
【化7】
【0059】
(ここでR1 は3〜15価の有機残基を示す。R2 は活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基を示す。pは2〜14の整数、sはR1の価数からpを引いた整数である。)で表される二級アミノ基を有する化合物(M)は、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させることで製造することができる。
【0060】
一級アミノ基を一つ有する化合物(a)としては、一般式4
R7−NH2
(式中R7は、活性水素基を有さない1価の置換もしくは未置換の炭化水素基)で表される化合物が挙げられる。具体的にはベンジルアミン、フェネチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどの1級アミンが挙げられ、そのなかでも炭素数10以下の置換もしくは未置換の炭化水素基を有するアミン類が反応の制御の点で好ましい。これらは単独使用または併用することができる。
【0061】
アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)としては、例えばグリセリントリアクリレート、グリセリンエチレンオキシド変性トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸プロピレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ε−カプロラクトン変性トリアクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリプロピオネートなどの三官能アクリレート類。
【0062】
また、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルテトラアクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート等の四官能以上のアクリレート類が挙げられる。これらは上記化合物に限定されるわけではなくアクリロイル基を三つ以上有する化合物であれば特に制限なく使用することができる。これらは単独使用または併用することができる。化合物(x)として、好ましくは4官能〜15官能、更に好ましくは5官能〜15官能のアクリレートを用いると、ウレタンウレア樹脂に導入できるアクリロイル基の数が多くなり、硬化性が十分になる。
【0063】
一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させるとき、この反応の最中もしくは後のウレタンプレポリマー(C)との反応でゲル化しなければどのような比で反応させても良いが、化合物(a)のモル数aに対して化合物(x)のモル数xが、a/x=0.2〜2となるように反応させるのが好ましい。更に好ましくはa/x=0.25〜1.9となる場合である。a/x<0.2であると、未反応の化合物(x)が大量に残り、水性化後の分散安定性が悪くなる。a/x>2であると、二級のアミノ基を3つ以上有する化合物が比較的多くできるため、ウレタンプレポリマー(C)との反応で三次元網目架橋を生じ、ゲル化する場合がある。
【0064】
前記a/x=0.2〜2の場合、マイケル付加反応後の生成物には、2置換体つまり二級のアミノ基を二つ有する化合物、1置換体つまり二級のアミノ基を一つ有する化合物、および0置換体つまり未反応の化合物(x)が含まれる。ウレタンプレポリマー(C)との反応の際、2置換体は分子量を大きくする鎖延長剤として働き、1置換体は重付加反応を止める末端封止剤として働く。2置換体と1置換体の生成割合は、a/xが0.2に近い場合は1置換体が多く、a/xが2に近づくほど1置換体が減り、2置換体が多くなる。
【0065】
ここで、二級アミノ基を有する化合物(M)とは、上記1置換体および2置換体以上の化合物の混合物を表す。
【0066】
一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させるときは、局所的な反応を抑えるため化合物(x)を攪拌している反応槽へ、化合物(a)を逐次滴下する方法が好ましい。滴下時間および反応時間は化合物(a)と化合物(x)の反応性に依存するため制限はない。また、製造される化合物(M)の二級アミノ基がさらに別のアクリロイル基にマイケル付加するのを防ぐため、50℃以下、好ましくは40℃以下で行う。
【0067】
この反応は上記原料のみで製造することも可能であるが、溶剤を用いて行う方が局所的な反応を抑えられるため好ましい。このとき例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトン、アセトニトリル等が使用でき、これらは単独使用または併用することができる。
【0068】
製造された化合物(M)は、保存中に二級アミノ基がさらにマイケル付加するのを防ぐため、直ちにウレタンポリマー(C)と反応させるのが望ましい。
【0069】
本発明で言うマイケル付加とは、一級アミノ基が、無触媒系、また、必要ならば触媒存在下に、アクリレート基のα、β−不飽和二重結合に付加する求核的イオン反応のことを示す。
【0070】
ウレタンプレポリマー(C)と二級アミノ基を有する化合物(M)との反応比率は、ゲル化しなければどのような比でも構わないが、ウレタンプレポリマー(C)に存在するイソシアナト基のモル数を〈N〉、前記化合物(M)の二級アミノ基のモル数を〈H〉とするとき、〈H〉/〈N〉=1.0〜1.1となるように反応させるのが好ましい。更に好ましくは〈H〉/〈N〉=1のときである。〈N〉/〈H〉<1であると末端のイソシアナト基が残り、水性化の後そのイソシアナト基が水と反応しアミンになることで、別の末端イソシアナト基もしくはアクリロイル基と反応し高分子量化するため、保存安定性の悪化やゲル化を招く場合がある。〈H〉/〈N〉>1.1であると、二級アミノ基を有する化合物(M)が余る量が多くなり、長期保存の過程でその二級アミノ基が系内に存在するアクリロイル基にマイケル付加するため保存安定性が悪くなる。
【0071】
ここで二級のアミノ基を有する化合物(M)を製造する際のa/xの値が小さいほど、ウレタンプレポリマー(C)に対して生成するウレタンウレア樹脂の分子量の延長度は小さくなり、a/xの値が大きいほど生成するウレタンウレア樹脂の分子量の延長度は大きくなる。
【0072】
この二級アミノ基とイソシアナト基の反応を行う際、局所的な反応を抑えるためウレタンプレポリマー(C)を含む反応液を攪拌している反応槽へ、化合物(M)を逐次滴下する方法が好ましい。また、化合物(M)の二級アミノ基がアクリロイル基にマイケル付加するのを防ぐため、50℃以下、更に40℃以下で行うのが好ましい。
【0073】
上記の方法で製造されたウレタンウレア樹脂の重量平均分子量は、使用に問題がなければどのような値でも構わないが、特にGPCによる標準ポリスチレン換算重量平均分子量で5000〜200000が好ましい。更に好ましくは、8000〜150000である。重量平均分子量5000未満になると、基材への密着性や水性化したときの保存安定性が悪くなる場合があり、200000を越えると製造時、塗工時の粘度が非常に高くなるため製造、塗工の生産性が悪くなる場合がある。
【0074】
上記の方法で製造されたウレタンウレア樹脂に含まれる乾燥重量に対するアクリロイル基の量は、ウレタンプレポリマー(C)の分子量と化合物(M)に存在する二級アミノ基およびアクリロイル基の量により容易に調整できる。ウレタンウレア樹脂に含まれるアクリロイル基の量は、使用に問題がなければどのような値でも構わないが、特に0.1mmol/g以上が好ましく、更に0.3mmol/g以上が好ましく、最も好ましくは0.4mmol/g以上である。0.1mmol/g未満の場合、ラジエーション硬化反応性が悪くなり、硬化物の耐溶剤性が不十分になる場合がある。
【0075】
上記ウレタンウレア樹脂はその末端、または末端と側鎖にアクリロイル基を有するため、ラジエーション硬化性樹脂組成物として使用することができる。さらに、アニオン性官能基を一部または全部中和して、中和と同時または中和後に水を添加することにより水性のラジエーション硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0076】
このとき、ウレタンウレア樹脂の乾燥重量に対する酸価は5〜80mgKOH/gの範囲内であることが望ましい。酸価が5mgKOH/g未満であると水中での分散安定性が悪くなり、経時で凝集物や沈降物を生じる場合があり、80mgKOH/gを越えると、硬化後の塗膜の耐水性が悪くなる場合がある。
【0077】
中和に使用する塩基性化合物としては、アンモニアまたは有機系の塩基性化合物が用いられ、三級アミン類が特に好ましい。具体的には、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリアリルアミン、N,N―ジメチルエタノールアミン、N―メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0078】
水性化の方法としては、アニオン性官能基を一部または全部中和後、水を徐々に滴下し、さらに減圧蒸留により反応に使用した溶剤を留去するのが好ましい。蒸留条件としては、温度は50℃以下、減圧度は、5〜300torrで行うのが好ましい。この際に、公知の消泡剤を添加することができる。
【0079】
上記、ラジエーション硬化性樹脂組成物は、さらにα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物、光重合開始剤、着色剤および水溶性化合物の少なくとも1つを添加することができる。
【0080】
α,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物としては、特に限定はなくα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する公知の化合物ならば限定なく使用することができる。
【0081】
具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等、
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有の(メタ)アクリレート類、
(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類、
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類、
また、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ε−カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネートなどの三官能(メタ)アクリレート類。また、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシ)ホスフェート等の多官能(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0082】
さらに、上記したような化合物の他、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル化マレイン酸変性ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0083】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、多塩基酸と多価アルコールとを重縮合せしめて、ヒドロキシル基ないしカルボキシル基を有するポリエステルを得、次いで該ポリエステル中のヒドロキシル基と(メタ)アクリル酸、マレイン酸などの不飽和脂肪族多塩基酸とのエステル化、あるいは該ポリエステル中のカルボキシル基と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとのエステル化によって得ることができる。あるいは酸無水物とグリシジル(メタ)アクリレートと少なくとも1個以上水酸基を有する化合物とを反応せしめることによっても得ることができる。
【0084】
ポリウレタン(メタ)アクリレートは、分子中に少なくとも2個以上のイソシアナト基を有する化合物とヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとを反応させたり、あるいは分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する化合物と多価アルコールとを反応させて分子中に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いでイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとを反応させたりすることによって得ることができる。
【0085】
エポキシ(メタ)アクリレートは、グリシジル基とアクリル酸またはメタクリル酸との反応により合成されるものであり、ビスフェノール型、エポキシ化油型、フェノールノボラック型、脂環型等が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレートは、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるビスフェノール型ジグリシジルエーテルとアクリル酸若しくはメタクリル酸とを反応せしめてなるものであり、(メタ)アクリロイル基を一分子中に最大2個有する。エポキシ化油(メタ)アクリレートは、グリシジル基を含有する油やエポキシ化された大豆油等にアクリル酸またはメタクリル酸を反応せしめてなるものである。ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートは、ノボラック型エポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸とを反応せしめてなるものである。脂環型エポキシ(メタ)アクリレートは、脂環型エポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸とを反応せしめてなるものである。
【0086】
(メタ)アクリル化マレイン酸変性ポリブタジエンは、ポリブタジエン中の二重結合に無水マレイン酸を付加し、次いで該マレイン化ポリブタジエン中の無水マレイン酸に由来する部分と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとを反応せしめて得ることができる。
【0087】
ここで、(メタ)アクリレートとはアクリレートもしくはメタクリレートを、(メタ)アクリルアミドとはアクリルアミドもしくはメタクリルアミドを、(メタ)アクリロニトリルとはアクリロニトリルもしくはメタクリロニトリルを意味する。
【0088】
上記のα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物を使用する場合、好ましくは分子量1000以下の(メタ)アクリロイル基、ビニル基を有する化合物およびN置換型(メタ)アクリルアミド類であり、更に好ましくはアクリロイル基を有する化合物およびN置換型アクリルアミド類であり、最も好ましくは二官能以上のアクリロイル基を有する化合物である。
【0089】
本発明のラジエーション硬化型樹脂組成物中のウレタンウレア樹脂およびα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物中の合計α,β−エチレン性不飽和二重結合の量は、使用に問題がなければどのような値でも構わないが、乾燥重量に対して0.2mmol/g以上が好ましく、更に0.3mmol/g以上が好ましく、最も好ましくは0.5mmol/g以上である。0.2mmol/g未満の場合、ラジエーション硬化反応性が悪くなり、硬化物の耐溶剤性が不十分になる場合がある。
【0090】
光重合開始剤は、本発明のラジエーション硬化性樹脂組成物を紫外線により硬化させる場合に添加される。なお、本発明のラジエーション硬化性樹脂組成物を電子線により硬化させる場合には、開始剤は不要である。光重合開始剤としては、光励起によってビニル重合を開始できる機能を有するものであれば特に限定はなく、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物等が使用できる。
【0091】
具体的にモノカルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、4-メチル- ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、メチル-o- ベンゾイルベンゾエート、4-フェニルベンゾフェノン、4(4-メチルフェニルチオ) フェニル- エネタノン、3,3'- ジメチル-4- メトキシベンゾフェノン、4-(1,3- アクリロイル-1,4,7,10,13- ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、3,3'4,4'- テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル) ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-NNN- トリメチルベンゼンメタアンモニウムクロリド、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイル- フェノキシ)-NNN-トリメチル-1- プロパンアミン塩酸塩、4-ベンゾイル-NN-ジメチル-N-[2-(1- オキソ-2- プロペニルオキシエチル) メタアンモニウム臭酸塩、2-/4-iso- プロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4- プロポキシチオキサントン、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9- オキソ-9H チオキサントン-2- イロキシ)-N,N,N-トリメチル-1- プロパンアミン塩酸塩、ベンゾイルメチレン-3- メチルナフト(1,2-d) チアゾリン等が挙げられる。
【0092】
ジカルボニル化合物としては、1,7,7-トリメチル- ビシクロ[2,1,1] ヘプタン-2,3- ジオン、ベンザイル、2-エチルアントラキノン、9,10- フェナントレンキノン、メチル- α- オキソベンゼンアセテート、4-フェニルベンザイル等が挙げられる。
【0093】
アセトフェノン化合物としては、2-ヒドロキシ-2- メチル-1- フェニルプロパン-1- オン、1-(4- イソプロピルフェニル)2- ヒドロキシ-2- メチル-1- フェニルプロパン-1- オン、1-(4- イソプロピルフェニル)2- ヒドロキシ- ジ-2- メチル-1- フェニルプロパン-1- オン、1-ヒドロキシ- シクロヘキシル- フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2- メチル-1- スチリルプロパン-1- オン重合物、ジエトキシアセトフェノン、ジブトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2- ジフェニルエタン-1- オン、2,2-ジエトキシ-1,2- ジフェニルエタン-1- オン、2-メチル-1-[4-( メチルチオ) フェニル]-2-モルホリノプロパン-1- オン、2-ベンジル-2- ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノ- フェニル) ブタン-1- オン、1-フェニル-1,2- プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル) オキシム、3,6-ビス(2- メチル-2- モルホリノ- プロパノニル)-9-ブチルカルバゾール等が挙げられる。
【0094】
ベンゾインエーテル化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル等が挙げられる。
【0095】
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-n-プロピルフェニル- ジ(2,6- ジクロロベンゾイル) ホスフィンオキシド等が挙げられる。
【0096】
アミノカルボニル化合物としては、メチル-4-(ジメチルアミノ) ベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ) ベンゾエート、2-n ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ) ベンゾエート、イソアミル-4-(ジメチルアミノ) ベンゾエート、2-( ジメチルアミノ) エチルベンゾエート、4,4'- ビス-4- ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4'- ビス-4- ジエチルアミノベンゾフェノン、2,5'- ビス-(4-ジエチルアミノベンザル) シクロペンタノン等が挙げられる。
【0097】
これらは、単独使用または併用することができ、使用量に制限はないが、前記ウレタンウレア樹脂と前記α,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物の合計100重量部に対して1〜20重量部の範囲で添加されるのが好ましい。
【0098】
この他、本発明のラジエーション硬化性樹脂組成物には目的を損なわない範囲で任意成分として、さらに溶剤、顔料、染料、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、保湿剤、粘度調整剤、防腐剤、抗菌剤、微粉末シリカ、可塑剤、界面活性剤、ポリマーエマルジョン等を添加することができる。
【0099】
本発明のラジエーション硬化性水性樹脂組成物は、木材、金属、ガラス、布、皮革、紙、プラスチックを含めた被塗装物、被印刷物に適用でき、特に金属、ガラス、プラスチックなどの非浸透性基材上での使用に適する。
【0100】
本発明のラジエーション硬化性水性樹脂組成物は、刷毛塗り塗装、スプレー塗装、フローコート、カーテンフローコート、浸漬塗装、真空塗装、ロールコート、リバースコートあるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などいったあらゆる塗装、印刷が可能である。
【0101】
また、本発明のラジエーション硬化性水性樹脂組成物は、塗料、グラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキ、インクジェット印刷インキ等のインキバインダー、およびラミネート接着剤を含む各種接着剤として使用することができる。
【0102】
本発明のラジエーション硬化性水性樹脂組成物は、公知のラジエーション硬化方法により硬化させることができ、特に紫外線もしくは電子線を用いるのが好ましい。
【0103】
紫外線照射装置としては、光源として、通常200〜500nmの範囲の光を含む光源、たとえば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等を有するものが使用できる。紫外線の積算光量は、用途、膜厚、着色剤の有無、光重合開始剤の種類と量により必要最低積算光量が左右されるため制限はない。
【0104】
紫外線によって硬化させる際には、特に必要がないが窒素等の不活性ガスを用いて酸素濃度を、空気よりも下げても良い。
【0105】
電子線照射装置としては、カーテンビーム型、エリアビーム型、ブロードビーム型、スキャンニングビーム型、真空管型等の装置が挙げられる。電子線の加速電圧は特に制限はなく、30〜500kVの範囲に設定することにより硬化物の形成が可能である。また、電子線の照射線量(DOSE)は、好ましくは1〜1000kGy、更に好ましくは5〜200kGyの範囲である。これより少ないと充分な硬化皮膜が得られにくく、またこれより大きいと塗膜や基材に対するダメージが大きいため好ましくない。また、硬化する際には酸素による阻害を抑制するため、窒素等の不活性ガスを用いて酸素濃度を500ppm以下、好ましくは200ppm以下まで低くするのが好ましい。
【0106】
また、これら紫外線または電子線と、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
【0107】
本発明のラジエーション硬化性水性樹脂組成物を塗工後、自然または強制乾燥後にラジエーション硬化を行っても良いし、塗工に続いてラジエーション硬化させた後に自然または強制乾燥しても構わない。電子線で硬化させる場合は、水による硬化阻害を防ぐため、自然または強制乾燥後にラジエーション硬化を行うのが好ましい。
【0108】
【実施例】
以下に製造例、実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の製造例、実施例において、特に断らない限り「部」は重量部を意味する。なお、数平均分子量、重量平均分子量はGPCにより測定された標準ポリスチレン換算分子量を示す。
【0109】
製造例1(ウレタンプレポリマー(C)の製造)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、商品名クラレポリオールP−1010(2官能ポリエステルポリオール、OH価117mgKOH/g、クラレ株式会社製)610.9部、ジメチロールブタン酸(日本化成株式会社製)83.7部、イソホロンジイソシアネート(ヒュルスジャパン株式会社製)305.4部、メチルエチルケトン280部を仕込み、徐々に昇温し、内容物の沸点で3時間反応を行った。滴定でイソシアナト基残量を確認した後、メチルエチルケトン720部を加え、40℃まで冷却し、ウレタンプレポリマーの溶液(C−1)を得た。この反応溶液は透明で固形分50重量%、数平均分子量5800、重量平均分子量12600、溶液1gに対する残存イソシアナト基量は0.1823mmolであった。
【0110】
製造例2〜4
製造例1と同様にして、表1に記載のウレタンプレポリマー(C)を合成し、(C−2)〜(C−4)を得た。
表1
【0111】
【表1】
【0112】
表1中の略称
P−1010:2官能ポリエステルポリオール、商品名クラレポリオールP−1010(OH価117mgKOH/g、クラレ株式会社製)
C−1090:2官能ポリカーボネートポリオール、商品名クラレポリオールC−1090(OH価112mgKOH/g、クラレ株式会社製)
PTG1000:ポリテトラメチレングリコール(OH価109.1mgKOH/g、保土ヶ谷化学株式会社製)
TMP:トリメチロールプロパン(三菱ガス化学株式会社製)
DMBA:ジメチロールブタン酸(日本化成株式会社製)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(ヒュルスジャパン株式会社製)
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート
MEK:メチルエチルケトン
Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量
製造例5(二級アミノ基を有する化合物(M)の製造)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(日本化薬株式会社製:商品名SR−355)86.8部、メチルエチルケトン28.9部を仕込み、滴下ロートでn−ブチルアミン13.2部(和光純薬株式会社製:特級試薬)、メチルエチルケトン4.4部の混合液を25℃〜30℃で10分かけて滴下した。反応熱により内容物の温度が上昇するが、別に用意しておいたメチルエチルケトン66.7部を適宜追加し冷却しながら反応を行った。滴下終了後、25℃で10分反応させ化合物(M−1)を得た。
【0113】
(M−1)の約2gを三角フラスコに取り、精秤し、メチルエチルケトン30mlを加え溶解した。この溶液を0.2mol/Lのエタノール性塩酸標準溶液で、指示薬にブロモフェノールブルーを用いて滴定することで一級、二級、三級アミン価の合計(全アミン価)を求めた。
【0114】
次に、(M−1)の約2gを三角フラスコに取り、精秤し、無水酢酸、酢酸混合液(9:1)20mlを加え溶解し、室温で3時間放置した。続いて酢酸30mlを加え、電位差滴定装置にて0.1mol/L過塩素酸、酢酸溶液で滴定し、同時に空試験を行うことで三級アミン価を求めた。
【0115】
次に、(M−1)の約2gを三角フラスコに取り、精秤し、メチルエチルケトン30mlを加え溶解した。続いてサリチルアルデヒドの25%エタノール溶液を5ml加え、室温で約30分放置した(サリチルアルデヒドは一級アミノ基と反応して中性化する)。0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液で、指示薬にブロモフェノールブルーを用いて滴定することで二級、三級アミン価の合計(部分アミン価)を求めた。
【0116】
上記操作により、(一級アミン価)=(全アミン価)−(部分アミン価)、(二級アミン価)=(部分アミン価)―(三級アミン価)の式により求められ、この結果、n−ブチルアミンがジトリメチロールプロパンテトラアクリレートに反応したとき、目的の二級アミノ基を生成する転化率は、n−ブチルアミン基準で99.7%となることが確認された。これにより(M−1)の溶液1gに対する二級アミン量は0.901mmolとなった。
【0117】
製造例6〜9
製造例5と同様にして、以下の表1に記載の二級アミノ基を有する化合物(M)を合成し、(M−2)〜(M−5)を得た。ただし、製造例8の場合は滴下終了後、25℃で2時間反応させた。
表2
【0118】
【表2】
【0119】
表2中の略称
SR−355:4官能アクリレート、商品名SR−355(平均分子量482、日本化薬株式会社製)
DPCA−20:6官能アクリレート、商品名KAYARAD DPCA−20(平均分子量807、日本化薬株式会社製)
Act421:2官能アクリレート、商品名Actilane421(平均分子量330、日本シイベルヘグナー株式会社製)
n−BA:n−ブチルアミン
BzA:ベンジルアミン
MEK:メチルエチルケトン
【0120】
実施例1
あらかじめ、滴定により製造例1で得られたウレタンプレポリマー(C−1)に存在するイソシアナト基のモル数〈N〉、および製造例5で得られた化合物(M−1)の二級アミノ基のモル数を〈H〉をそれぞれ滴定で求めておいた。撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、製造例1で得られたウレタンプレポリマー300部、メチルエチルケトン225部を仕込み40℃にしたところへ、〈H〉/〈N〉=1.0となるように化合物(M−1)60.7部を30分かけて滴下した。滴下終了後40℃のまま30分攪拌を続けた後、赤外線吸収スペクトルでイソシアナト基の特性吸収である2266cm-1のピークが消失していることを確認し反応を終了し、ウレタンウレア樹脂(U−1)を得た。この反応液は透明で、固形分30.8重量%、数平均分子量7000、重量平均分子量15800、乾燥重量あたりのアクリロイル基計算量は0.90mmol/gであった。
【0121】
実施例2〜7、参考例1、2
実施例1と同様の装置、操作で、表3に示す組成比でウレタンウレア樹脂(U−2)〜(U−9)を得た。実施例2で得られたウレタンウレア樹脂(U−2)のIRチャートを図1に、実施例5で得られたウレタンウレア樹脂(U−5)のIRチャートを図2に、実施例6で得られたウレタンウレア樹脂(U−6)のIRチャートを図3に例示する。
表3
【0122】
【表3】
【0123】
参考例3
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに、製造例1で得られた(C−1)300部、2―ヒドロキシエチルアクリレート7.0部(この量は(C−1)に存在するイソシアナト基のモル数の1.1当量にあたる)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.13部、ジブチル錫ジラウレート0.065部を仕込み80℃にして、乾燥空気を流しながら5時間反応を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアナト基の特性吸収である2266cm-1のピークが消失していることを確認し反応を終了し、ウレタン樹脂(U−10)を得た。この反応液は透明で、固形分52.0重量%、数平均分子量6000、重量平均分子量13000、乾燥重量あたりのアクリロイル基計算量は0.36mmol/gであった。
【0124】
参考例4
参考例3と同様の装置、操作で、表4に示す組成比でウレタン樹脂(U−11)を得た。
表4
【0125】
【表4】
【0126】
表4中の略称
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
DBTDL:ジブチル錫ジラウレート
HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
【0127】
実施例8、比較例1、2
実施例7、参考例2、4で得られたウレタンウレア樹脂またはウレタン樹脂を、アプリケーターを用い、厚さ2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)板上に、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し1分間自然乾燥させた。低加速電圧の電子線照射装置MIN−EB(American International Technologies社製)で、電子線加速度:50keV、照射線量(DOSE)50kGyの条件で硬化させる前後のサンプルを用いて下記試験を行った。結果を表5に示す。
【0128】
(1)タック
電子線照射前の塗膜を指触により判断。
○・・・タックなし
×・・・タック有り
(2)密着性
セロテープ(登録商標)(ニチバン製)剥離試験による塗膜未剥離率
○・・・全く剥離なし
×・・・一部剥離
(3)耐溶剤性
綿棒にMEKを染み込ませ、硬化塗膜の表面をラビング。
数字・・・下地が露出するまでの回数。
表5
【0129】
【表5】
【0130】
実施例9、10、比較例3、4
実施例7、参考例2、4で得られたウレタンウレア樹脂またはウレタン樹脂に、下記表6に従いα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物、および光重合開始剤を添加して、アプリケーターで厚さ2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)板に、乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、1分間自然乾燥させた。ベルトコンベアー型紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社製UVC-2534メタルハライドランプ式)にて、電力120W/cm、積算光量240mJ/cm2の紫外線を照射し、前記と同様の密着性、耐溶剤性試験を行った。結果を表6に示す。
表6
【0131】
【表6】
【0132】
表6中の略称
DPHA:5.5官能アクリレート、商品名KAYARAD DPHA(平均分子量535.5、日本化薬株式会社製)
Irg907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、商品名イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)
【0133】
実施例11
撹拌機、溶剤留去装置付き還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた5口フラスコに、実施例5で得られたウレタンウレア樹脂100部に、攪拌下1.65部のトリエチルアミンを加えた。40℃で滴下ロートを用いて、水88.2部を30分かけて滴下し水性化した。その後、40℃の条件で減圧下にメチルエチルケトンおよび一部の水を留去し、水性樹脂組成物(W−1)を得た。
【0134】
この水性樹脂分散体を、水で固形分20%になるように希釈し、40℃での保存安定性を確認したところ、1ヶ月後も沈降物などはなかった。
【0135】
実施例11〜16、比較例5、6、参考例5〜8
実施例11と同様の装置、操作で、表7、表8に示す混合比で水性樹脂組成物(W−2)〜(W−6)を得、同様に保存安定性を確認した。ただし、α,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物(表中のDPHA)や光重合開始剤を加える場合は、水を加える前に混合した。
表7
【0136】
【表7】
【0137】
表8
【0138】
【表8】
【0139】
表7および8中の略称
DPHA:5.5官能アクリレート、商品名KAYARAD DPHA(平均分子量535.5、日本化薬株式会社製)
Irg907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、商品名イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)
【0140】
実施例17、18、比較例7、8
実施例11、15、参考例5、7で得られた水性樹脂組成物を、バーコーターを用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚さが2μmになるように塗工し80℃で1分間自然乾燥させた。低加速電圧の電子線照射装置MIN−EB(American International Technologies社製)で、電子線加速度:50keV、照射線量(DOSE)50kGyの条件で硬化させる前後のサンプルを用いて下記試験を行った。結果を表9に示す。
【0141】
(1)タック
電子線照射前の塗膜を指触により判断。
○・・・タックなし
×・・・タック有り
(2)密着性
セロテープ(登録商標)(ニチバン製)剥離試験による塗膜未剥離率
○・・・全く剥離なし
×・・・一部剥離
(3)耐溶剤性
綿棒にMEKを染み込ませ、硬化塗膜の表面をラビング。
数字・・・下地が露出するまでの回数。
表9
【0142】
【表9】
【0143】
実施例19〜22、比較例9、10
実施例12〜14、16、参考例6、8で得られた水性樹脂組成物を、バーコーターを用い、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の厚さが2μmになるように塗工し、80℃で1分間自然乾燥させた。ベルトコンベアー型紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社製UVC-2534メタルハライドランプ式)にて、電力120W/cm、積算光量240mJ/cm2の紫外線を照射し、前記と同様の試験を行った。結果を表10に示す。
【0144】
【表10】
【0145】
以上より、実施例1〜7に示すように、ウレタンプレポリマー(C)と二級アミノ基を有する化合物(M)から、アクリロイル基を有するウレタンウレア樹脂を得ることができた。実施例8〜10、比較例1〜4では、溶剤を媒体とするラジエーション硬化型樹脂組成物の与える塗膜の評価をしているが、実施例に比べ、本発明のウレタンウレア樹脂を用いない比較例は耐溶剤性が悪かった。また、実施例11〜16では、α,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物の有無に関わらず保存安定性の良好な水性のラジエーション硬化型樹脂組成物が得られているが、本発明のウレタンウレア樹脂を用いないでα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物を添加している比較例5、6では保存安定性が悪かった。また、実施例17〜22、比較例7〜12では、水性のラジエーション硬化型樹脂組成物の与える塗膜の評価をしているが実施例に比べ、比較例は耐溶剤性が明らかに悪かった。
【0146】
【発明の効果】
本発明により、媒体に溶剤を用いた場合はもちろんのこと、水を用いた場合でも保存安定性に優れ、浸透性の基材だけでなく平滑で非浸透性の基材上で耐溶剤性と密着性とのバランスの良い硬化塗膜を与えるラジエーション硬化型樹脂組成物と該ラジエーション硬化型水性樹脂組成物に使用される特定の骨格を有するウレタンウレア樹脂を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例2で得られたウレタンウレア樹脂のIRチャート
【図2】図2は、実施例5で得られたウレタンウレア樹脂のIRチャート
【図3】図3は、実施例6で得られたウレタンウレア樹脂のIRチャート
Claims (11)
- R3が側鎖に少なくとも一つのアニオン性官能基を有し、主鎖にウレタン結合を有する2価の有機残基であることを特徴とする請求項1記載のウレタンウレア樹脂。
- 化合物(M)が、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させてなる化合物であることを特徴とする請求項3記載のウレタンウレア樹脂。
- アニオン性官能基含有ポリオール、アニオン性官能基含有ポリオール以外のポリオール、およびポリイソシアネートを反応させてなる末端イソシアナト基を有するウレタンプレポリマー(C)に、一級アミノ基を一つ有する化合物(a)を、アクリロイル基を三つ以上有する化合物(x)にマイケル付加させてなる化合物(M)を反応させることを特徴とするウレタンウレア樹脂の製造方法。
- 請求項1ないし4いずれかに記載のウレタンウレア樹脂を含むことを特徴とするラジエーション硬化型樹脂組成物。
- 請求項2ないし4いずれかに記載のウレタンウレア樹脂、水、および塩基性化合物を必須成分とするラジエーション硬化型樹脂組成物。
- さらにα,β−エチレン性不飽和二重結合を1個以上有する化合物、および光重合開始剤のうち少なくとも1つを含む請求項6または請求項7記載のラジエーション硬化型樹脂組成物。
- 請求項6ないし8いずれかに記載のラジエーション硬化型樹脂組成物を基材に塗工し、電子線もしくは紫外線を照射して硬化させることを特徴とするラジエーション硬化物の製造方法。
- 基材が非浸透性基材であることを特徴とする請求項9記載のラジエーション硬化物の製造方法。
- 請求項9または10記載の製造方法で製造されたラジエーション硬化物。
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