JP4120019B2 - 車両の姿勢制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の前後左右の各車輪に対し独立に制動力を付与することにより、車体姿勢を目標走行方向に向かって収束するように制御する車両の姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両の姿勢制御装置として、走行方向に対する車体姿勢を表す車両状態量を検出し、この検出された車両状態量に応じて車両の前後左右の各車輪に独立して制動力を付与することにより、車体にヨーモーメントを作用させて車体姿勢を制御するようにしたものが知られている(例えば、特開平7−232629号公報参照)。このような車両の姿勢制御装置においては、一般に、車両状態量として車体のヨーレイトを検出し、この検出されたヨーレイトが目標値に収束するように車体に比較的小さなヨーモーメントを作用させるヨーレイト制御を行うようにしている。そして、このヨーレイト制御により、ドライバの運転操作に追従するように車体姿勢を制御することができるため、例えば、旋回中の車両のアンダステア傾向を効果的に抑制し得るようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の車両の姿勢制御装置におけるヨーレイト制御は、車体に比較的小さなヨーモーメントを作用させて車体姿勢をドライバの運転操作に追従するように変化させるものであるため、車体姿勢の迅速な修正が困難であるという不都合がある。例えば、路面状況の急変等により車体姿勢が急速に旋回内方に崩れたような場合には車体姿勢の修正が間に合わず車両のスピンを防止し得ないという不都合がある。これに対し、車両状態量として車体の前後方向に対する車体横滑り角を検出し、この検出された車体横滑り角が目標値に収束するよう、車体に対し比較的大きなヨーモーメントを作用させて車体姿勢を修正する横滑り角制御を行うようにすることが考えられるが、この横滑り角制御は車体姿勢を迅速
に修正するためのものであり必ずしもドライバの運転操作に追従するものではな
いため、この横滑り角制御が頻繁に行われると、ドライバが違和感を感じ易く運転フィーリングが損なわれることになるという不都合がある。
【0004】
また、上記ヨーレイト制御と横滑り角制御とを車体姿勢に応じて切換えるようにすることも考えられるが、この場合には、ヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えの際に車体に作用するヨーモーメントの向きが逆転してしまいショックが過大になることがある。すなわち、例えば、運転に不慣れなドライバが誤ってステアリングを切り過ぎたような場合、まず、ヨーレイト制御が行われて車体に対し上記の誤ったステアリング操作に対応する過大なヨーモーメントが作用し、これにより、車体姿勢が旋回内方に急変することになる。そして、この車体姿勢の崩れに対応して横滑り角制御に切換わり、車体に対し上記のヨーレイト制御によるヨーモーメントとは逆向きのヨーモーメントが作用する。つまり、ヨーレイト制御に起因してこのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えが行われてしまうことになり、この切換えの際に車体に作用するヨーモーメントが逆転するため、ドライバの感じるショック及び違和感が過大なものになってしまうという不都合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドライバの運転フィーリングの確保と車体姿勢の迅速な修正との両立を図るとともに、ドライバの感じるショック及び違和感の低減を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車両の前後左右の各車輪に対し個別に制動力を付与可能に構成された制動手段と、この制動手段の作動を制御して上記各車輪に対し独立して制動力を付与することにより車体姿勢を制御する姿勢制御手段とを備えた車両の姿勢制御装置を前提とする。このものにおいて、上記車体のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、上記車体の前後方向に対する車体横滑り角を検出する車体横滑り角検出手段とを備える。そして、上記姿勢制御手段として、上記ヨーレイト検出手段により検出されるヨーレイトが目標走行方向に対応する目標ヨーレイトに収束するように車体にヨーモーメントを作用させるヨーレイト制御を行うヨーレイト制御部と、上記横体横滑り角検出手段により検出される車体横滑り角が目標走行方向に対応する目標横滑り角に収束するように車体にヨーモーメントを作用させて車体姿勢を修正する横滑り角制御を行う横滑り角制御部と、上記の検出された車体横滑り角と目標横滑り角との間の横滑り角偏差量が所定の第1設定量よりも小さいとき上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御を行う一方、上記横滑り角偏差量が上記第1設定量以上になったとき上記ヨーレイト制御から上記横滑り角制御部による横滑り角制御に切換える切換制御部と、上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御中に、そのヨーレイト制御の結果生じる車体横滑り角の変化量を 推定し、この推定変化量に基づいて、車体横滑り角の変化量が、上記第1設定量よりも小値側に設定された第2設定量以下になるよう、上記ヨーレイト制御の制御量に制限を加える制限制御部とを備える構成とするものである。
【0007】
上記の構成の場合、横滑り角偏差量が第1設定量よりも小さい間、すなわち、車体姿勢が比較的安定している間は、車体に対しそのヨーレイトが目標ヨーレイトに収束するよう比較的小さなヨーモーメントが作用され、これにより、車体姿勢がドライバの運転操作に追従するよう滑らかに変更される。従って、車体姿勢が比較的安定しておりドライバが余裕をもって運転操作を行える状態では、このドライバは違和感のない自然な運転フィーリングを得ることが可能になる。一方、上記横滑り角偏差量が第1設定量以上になったとき、すなわち、車体姿勢が崩れそうな不安定な状態になったときには、車体に対しその車体横滑り角が目標横滑り角に収束するよう比較的大きなヨーモーメントが作用され、これにより、車体姿勢を迅速に修正して車両のスピンやコースアウト等を防止することが可能になる。
【0008】
また、上記ヨーレイト制御の制御量が制限制御部により制限され、そのヨーレイト制御による車体横滑り角の変化量が上記第1設定量よりも小値になるように制限されているため、横滑り角偏差量がヨーレイト制御に起因して第1設定量以上になることが抑制される。これにより、ヨーレイト制御に起因するこのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えが防止され、この切換えに伴うヨーモーメントの逆転が防止されることにより、ドライバがショックや違和感を感じる頻度を低減することが可能になる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段を備える。そして、姿勢制御手段を、上記路面摩擦係数検出手段により検出された路面の摩擦係数が低いほど第2設定量をより小値側に変更設定する第1変更設定部を備える構成とするものである。
【0010】
一般に、路面の摩擦係数が低いほど車輪が滑り易いため車体姿勢が崩れ易くなるという傾向があるところ、上記の構成の場合、請求項1記載の発明による作用に加えて、路面の摩擦係数が低いほど第2設定量がより小値側に変更設定されてヨーレイト制御における制御量の上限が低めに設定されるため、摩擦係数が低く滑り易い路面における車体姿勢の変化を抑制してヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを防止することが可能になる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、ステアリングの操舵量を検出する操舵量検出手段を備える。そして、姿勢制御手段を、上記操舵量検出手段により検出された操舵量が大値側であるほど第2設定量をより小値側に変更設定する第2変更設定部を備える構成とするものである。
【0012】
一般に、車輪の発生し得る前後方向のグリップ力はその車輪の車輪横滑り角の増大に応じて減少するものであるため、ステアリングの操舵量の増大に伴い各車輪に付与し得る制動力の上限値が低下するところ、上記の構成の場合には請求項1記載の発明による作用に加えて、ステアリングの操舵量の増大に応じて第2設定量がより小値が輪に変更設定され、ヨーレイト制御における制御量の上限が低めに設定される。このため、各車輪の発生し得る前後方向のグリップ力の減少に対応してこの各車輪に付与する制動力の上限値を減少させることが可能になり、これにより、上記各車輪がロック状態になることを防止して車体姿勢の崩れを防止することが可能になる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、ステアリングの操舵量の変化率を検出する操舵量変化率検出手段を備える。そして、姿勢制御手段を、上記操舵量変化率検出手段により検出された操舵量の変化率が大値側であるほど第2設定量をより小値側に変更設定する第3変更設定部を備える構成とするものである。
【0014】
一般に、ステアリングの操舵量の変化率が大きいときには操舵輪が急速に転舵されており、接地面におけるトレッドゴムの捩れ変形によりこの操舵輪のグリップ力が低下するため、この操舵輪に付与し得る制動力の上限値が低下するところ、上記の構成の場合には請求項1記載の発明による作用に加えて、操舵量の変化率が大値側であるほど第2設定量がより小値側に変更設定され、ヨーレイト制御における制御量の上限が低めに設定される。このため、操舵輪のグリップ力の減少に対応してこの操舵輪に付与する制動力の上限値を減少設定することが可能になり、これにより、上記操舵輪がロック状態になることを防止して車体姿勢の崩れを防止することが可能になる。
【0015】
請求項5記載の発明は、車両の前後左右の各車輪に対し個別に制動力を付与可能に構成された制動手段と、この制動手段の作動を制御して上記各車輪に対し独立して制動力を付与することにより車体姿勢を制御する姿勢制御手段とを備えた車両の姿勢制御装置を前提とする。このものにおいて、上記車体のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、上記車体の前後方向に対する車体横滑り角を検出する車体横滑り角検出手段とを備える。そして、上記姿勢制御手段として、上記ヨーレイト検出手段により検出されるヨーレイトが目標走行方向に対応する目標ヨーレイトに収束するように車体にヨーモーメントを作用させるヨーレイト制御を行うヨーレイト制御部と、上記車体横滑り角検出手段により検出される車体横滑り角が目標走行方向に対応する目標横滑り角に収束するように車体にヨーモーメントを作用させて車体姿勢を修正する横滑り角制御を行う横滑り角制御部と、上記の検出された車体横滑り角と目標横滑り角との間の横滑り角偏差量が所定の第1設定量よりも小さいとき上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御を行う一方、上記横滑り角偏差量が上記第1設定量以上になったとき上記ヨーレイト制御から上記横滑り角制御部による横滑り角制御に切換える切換制御部と、上記ヨーレイト制御部による制御中に、上記ヨーレイトが目標ヨーレイトよりも大値側にあってかつ上記車体横滑り角が目標横滑り角よりも小値側にある場合、又は、上記ヨーレイトが目標ヨーレイトよりも小値側にあってかつ上記車体横滑り角が目標横滑り角よりも大値側にある場合に、上記ヨーレイト制御の制御量を減少補正し、且つその補正量を上記横滑り角偏差量に応じて設定する補正制御部とを備える構成とするものである。
【0016】
上記の構成の場合、横滑り角偏差量が第1設定量よりも小さい間、すなわち、車体姿勢が比較的安定している間は、車体に対しそのヨーレイトが目標ヨーレイトに収束するよう比較的小さなヨーモーメントが作用され、これにより、車体姿勢がドライバの運転操作に追従するよう滑らかに変更される。従って、車体姿勢が比較的安定しておりドライバが余裕をもって運転操作を行える状態では、このドライバは違和感のない自然な運転フィーリングを得ることが可能になる。一方、上記横滑り角偏差量が第1設定量以上になったとき、すなわち、車体姿勢が崩れて不安定になったときには、車体に対しその車体横滑り角が目標横滑り角に収束するよう比較的大きなヨーモーメントが作用され、これにより、車体姿勢を迅速に修正して車両のスピンやコースアウト等を防止することが可能になる。
【0017】
また、上記ヨーレイト制御部による制御中に、上記ヨーレイトが目標ヨーレイトよりも大値側にあってかつ上記車体横滑り角が目標横滑り角よりも小値側にある場合、又は、上記ヨーレイトが目標ヨーレイトよりも小値側にあってかつ上記車体横滑り角が目標横滑り角よりも大値側にある場合には、上記ヨーレイト制御の制御量が減少補正され、且つその補正量が横滑り角偏差量に応じて設定される。そのため、ヨーレイト制御に起因するこのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを抑制するとともに、その切換えの際のショックを緩和することが可能になる。すなわち、例えば、運転に不慣れなドライバが誤ってステアリングを切り過ぎたような場合、車体のヨーレイトは目標ヨーレイトよりも小値側にあるため、まず、ヨーレイト制御が行われ、車体に対し上記誤ったステアリング操作に対応する過大なヨーモーメントが作用する。そして、車体姿勢の旋回内方への変化に伴い車体横滑り角が目標横滑り角よりも大値側の値になると、それらの間の横滑り角偏差量に応じて上記ヨーレイト制御における制御量が減少補正されるため、上記車体に作用するヨーモーメントが減少する。そして、このヨーモーメントの減少により、上記ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の変化が抑制されるため、このヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを抑制することができ、これにより、ドライバがショックや違和感を感じる頻度を低減することが可能になる。また、上記ヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えが起きたとしても、その切換えまでに上記ヨーレイト制御における制御量が十分に減少補正されて、車体に作用するヨーモーメントが十分に小さくなっているため、このヨーモーメントの逆転によるショックを低減させることが可能になる。同様に、車体のヨーレイトが目標ヨーレイトよりも大値側にある場合であって車体横滑り角が目標横滑り角よりも小値側にある場合には、ヨーレイト制御による車体姿勢の変化を抑制する向きのヨーモーメントが車体横滑り角偏差量に応じて減少補正され、これにより、そのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えの抑制と、この切換えに伴うショックの低減が図られる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段を備える。そして、姿勢制御手段として、上記路面摩擦係数検出手段により検出された路面の摩擦係数が低いほど、第1設定量を減少補正しかつヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを高める一方、上記路面の摩擦係数が高いほど、第1設定量を増大補正しかつヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを低める第1変更補正部を備える構成とするものである。
【0019】
一般に、路面の摩擦係数が低いほど車輪が滑り易いため車体姿勢が崩れ易いという傾向があるところ、上記の構成の場合には請求項5記載の発明による作用に加えて、路面の摩擦係数が低いほど第1設定量が減少補正されるため、横滑り角偏差量が比較的小さい間に横滑り角制御が開始されるようになり、これにより、路面が滑り易いほど車体姿勢をその崩れが小さいうちに修正するようにすることが可能になる。加えて、路面の摩擦係数が低いほど、ヨーレイト制御における制御量の横滑り角偏差量に応じた補正の度合いが高められるため、そのヨーレイト制御の傾向をより車体姿勢の変化に依存するものにすることが可能になる。反対に、路面の摩擦係数が高いほど第1設定量が増大補正されるため、横滑り角偏差量が比較的大きくなるまでヨーレイト制御が継続されるようになるため、車体姿勢がより広い姿勢範囲にわたってドライバの運転操作に追従するようになる。加えて、路面の摩擦係数が高いほど、ヨーレイト制御における制御量の横滑り角偏差量に応じた補正の度合いが低められるため、そのヨーレイト制御の傾向をドライバの運転操作に対しより忠実に追従するものとすることが可能になる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、ステアリングの操舵量を検出する操舵量検出手段を備える。そして、姿勢制御手段として、上記操舵量検出手段により検出された操舵量の増減変化に応じて第1設定量を増減変更補正し、かつ、ヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを、上記操舵量検出手段により検出された操舵量の増大に応じて低める一方、その操舵量の減少に応じて高める第2変更補正手段を備える構成とするものである。
【0021】
上記の構成の場合、請求項5記載の発明による作用に加えて、ステアリングの操舵量の増大に応じて第1設定量が増大補正されかつヨーレイト制御における制御量の補正の度合いが低められる。そして、上記第1設定量の増大補正により横滑り角制御の開始が遅延されて横滑り角偏差量が比較的大きくなるまでヨーレイト制御が継続されるようになるため、車体姿勢がより広い姿勢範囲にわたってドライバの運転操作に追従するようになる。また、上記ヨーレイト制御における制御量の横滑り角偏差量に応じた補正の度合いが低減されるため、そのヨーレイト制御の傾向はよりヨーレイトの変化に依存するものになり、従って、車体姿勢はドライバの運転操作に対しより忠実に追従するようになる。つまり、ステアリングの操舵量が大きい場合には、車両の姿勢を自らの運転操作によって制御しようとするドライバの意思が強いものと判定し、これに対応して車体姿勢をよりドライバの運転操作に対し忠実に変化させるようにすることが可能になる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項5記載の発明において、ステアリングの操舵量の変化率を検出する操舵量変化率検出手段を備える。そして、姿勢制御手段として、上記操舵量変化率検出手段により検出された操舵量の変化率の増減変化に応じて第1設定量を増減変更補正し、かつ、ヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを、上記操舵量変化率検出手段により検出された変化率の増大に応じて低める一方、その変化率の減少に応じて高める第3変更補正手段を備える構成とするものである。
【0023】
上記の構成の場合、請求項5記載の発明による作用に加えて、ステアリングの操舵量の変化率の増大に応じて第1設定量が増大補正されかつヨーレイト制御における制御量の補正の度合いが低められる。そして、請求項7記載の発明と同様に、車体姿勢が、より広い姿勢範囲にわたってかつより忠実にドライバの運転操作に追従するようになる。つまり、ステアリングの操舵量の変化率が大きい場合には、ドライバがステアリングを素早く操作しているのであるから、車両の姿勢を自らの運転操作によって制御しようとするドライバの意思が強いものと判定し、これに対応して車体姿勢をよりドライバの運転操作に対し忠実に変化させるようにすることが可能になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0025】
<第1実施形態>
−全体構成−
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両の姿勢制御装置(Stability Control System:以下、単にSCSという)を適用した車両を示す。なお、この第1実施形態が請求項1から請求項4までの各請求項に記載の発明に対応するものである。
【0026】
図1において、1は車体、2,2,…は前後4輪の車輪21FR,21FL,21RR,21RLに個別に配設された4組の液圧式のブレーキ、3はこれらの各ブレーキ2に圧液を供給するための加圧ユニット、4はこの加圧ユニット3から供給される圧液を上記各ブレーキ2に分配供給するハイドロリック・ユニット(以下、単にHUという)であり、これらのブレーキ2,2,…、加圧ユニット3及びHU4により制動手段が構成されている。また、5は上記加圧ユニット3及びHU4を介して上記各ブレーキ2の作動制御を行う姿勢制御手段としてのSCSコントローラ、6,6,…は上記各車輪21の車輪速を検出する車輪速センサ、7は上記車体1に作用している左右方向の加速度y″を検出する横Gセンサ、8は上記車体1に作用しているヨーレイトψ′を検出するヨーレイト検出手段としてのヨーレイトセンサ、9はステアリングの操舵角θH を検出する操舵量検出手段としての舵角センサである。なお、10はマスタシリンダ、11はエンジン、12はオートマチックトランスミッション(AT)、13は上記エンジン11の回転数や吸入空気量等に応じて燃料の噴射量を調整するEGIコントローラである。
【0027】
上記ブレーキ2,2,…は、図2に示すように、右側前輪21FRのブレーキ2と左側後輪21RLのブレーキ2とが第1液圧管路22aによりマスタシリンダ10に接続される一方、左側前輪21FLのブレーキ2と右側後輪21RRのブレーキ2とが上記第1液圧管路22aとは異なる第2液圧管路22bにより上記マスタシリンダ10に接続されており、これにより、いわゆるX配管タイプの互いに独立した2つのブレーキ系統が構成されている。そして、ドライバによるブレーキペダル14の踏み操作に応じて上記車輪21FR,21FL,…に制動力が付与されるようになっている。
【0028】
上記加圧ユニット3は、上記第1及び第2液圧管路22a,22bにそれぞれ接続された液圧ポンプ31a,31bと、これらの液圧ポンプ31a,31bと上記マスタシリンダ10とを断接可能なよう上記第1及び第2液圧管路22a,22bにそれぞれ配設されたカットバルブ32a,32bと、これらのカットバルブ32a,32bと上記マスタシリンダ10との間の液圧を検出する液圧センサ33とを備えている。そして、SCSコントローラ5からの指令に応じて上記カットバルブ32a,32bが閉状態にされ、これにより、ドライバによるブレーキ操作とは無関係に、上記液圧ポンプ31a,31bから吐出される圧液がHU4を介してブレーキ2,2,…に供給されるように構成されている。また、上記HU4は、図2に示すように、第1液圧管路22a又は第2液圧管路22bを介して供給される圧液により各ブレーキ2を加圧する加圧バルブ41,41…と、上記各ブレーキ2をリザーバタンク42に接続して減圧する減圧バルブ43,43…とを備えている。そして、SCSコントローラ5からの指令に応じて上記各加圧バルブ41及び各減圧バルブ43の開度が増減変更調整されることにより、上記各ブレーキ2に加わる液圧が増減されて制動力が増減変更されるように構成されている。
【0029】
上記SCSコントローラ5は、加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うことにより、前後左右の各車輪2に対し独立に制動力を付与して車体1に所要のヨーモーメントを付与し、これにより、車体姿勢を目標走行方向に向かって収束するように制御するものである。具体的には、上記SCSコントローラ5は、図3に示すように、車体横滑り角検出手段、路面摩擦係数検出手段及び操舵量変化率検出手段としての状態量演算部51と、目標状態量演算部52と、制御介入判定部53と、切換制御部54と、ヨーレイト制御部55と、第1、第2及び第3変更設定部としての変更設定部56と、横滑り角制御部57とを備えており、車輪速センサ6,6,…、横Gセンサ7、ヨーレイトセンサ8及び舵角センサ9からの入力信号に基づいて車体姿勢を判定し、この判定結果に応じて加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うように構成されている。さらに、上記SCSコントローラ5は、液圧センサ33からの入力信号に基づいてドライバのブレーキ操作を検出し、このブレーキ操作に対応して上記加圧ユニット3及びHU4の作動制御を行うようになっている。
【0030】
上記状態量演算部51は、上記車輪速センサ6,6,…、横Gセンサ7、ヨーレイトセンサ8及び舵角センサ9からの入力信号に基づき、車両の走行方向に対する車体姿勢を表す車両状態量を演算するように構成されており、また、上記目標状態量演算部52は、同様に、目標走行方向に対応する目標状態量をを演算するように構成されている。上記制御介入判定部53は、上記車両状態量と目標状態量との間の偏差に基づいてSCSの制御介入判定を行うように構成されており、また、上記切換制御部54は、上記車両状態量と目標状態量との間の偏差に基づいて車体姿勢の崩れを判定し、その車体姿勢が比較的安定している間は上記ヨーレイト制御部55による後述のヨーレイト制御を行う一方、上記車体姿勢が崩れて不安定になったときには、上記横滑り角制御部57による後述の横滑り角制御へ切換るようになっている。
【0031】
上記ヨーレイト制御部55は、後述するように、車体1に対し比較的小さなヨーモーメントを作用させることにより車体姿勢をドライバの運転操作(主にステアリングの操舵)に追従するように滑らかに変更させるヨーレイト制御を行うように構成されており、この際、そのヨーレイト制御に起因する車体姿勢の変化が過大にならないよう、制限制御部55aにより制御量に制限が加えられている。そして、上記変更設定部56は、上記状態量演算部51により検出された車両状態量に応じて上記ヨーレイト制御の制御量の上限を変更設定するように構成されている。上記横滑り角制御部57は、後述するように、車体1に比較的大きなヨーモーメントを作用させることにより、車両の旋回姿勢を迅速に修正する横滑り角制御を行うように構成されている。
【0032】
なお、上記SCSコントローラ5は、SCSの制御以外にも従来周知のABS(Anti-Skid Brake System)及びTCS(Traction Control System )の制御をも行うものであり、このABSは、車輪21FR,21FL,…のブレーキロックを防止するためにこれら車輪21FR,21FL,…に付与される制動力を制限するシステムで、また、TCSは、上記車輪21FR,21FLを駆動する駆動トルクを制限してそれらのスリップを防止するシステムである。
【0033】
−制御系の概要−
図4はSCSコントローラ5による基本制御の概要を示し、この基本制御においては、まず、ドライバが車両に乗り込んでイグニッションキーをオン状態にすると、ステップSA1でSCSコントローラ5やEGIコントローラ13の初期設定を行って前回の処理で記憶している演算値等をクリアする。ステップSA2では、車輪速センサ6,6,…等の原点補正を行った後に、これらの各センサから上記SCSコントローラ5に対する信号入力を受け、これらの入力信号に基づき、ステップSA3において上記車両の車体速、車体減速度、各輪位置での車体速等の共通車両状態量を演算する。
【0034】
続いて、ステップSA4でSCSの制御演算を行う。すなわち、ステップSA41で、車両状態量として、SCS用車体速Vscs 、車体横滑り角β、各輪の車輪スリップ率及びスリップ角、各輪の垂直加重、タイヤの負荷率、路面摩擦係数μを演算し、ステップSA42では、目標状態量として、目標ヨーレイトψ′TR、目標横滑り角βTRを演算する。そして、ステップSA43で上記演算結果に基づきヨーレイト制御又は横滑り角制御への介入判定を行い、制御介入が必要と判定した場合にはステップSA44に進む。このステップSA44では、制動力を付与する車輪21FR,21FL,…を選択するとともに、選択した各車輪21に付与する制動力を演算する。そして、この演算された制動力に基づいてステップSA45で加圧ユニット3及びHU4への制御出力量、すなわち、各ブレーキ2の加圧バルブ41,41,…及び減圧バルブ43,43,…のそれぞれのバルブ開度等を演算する。
【0035】
さらに、ステップSA5でABSの制御に必要な制御目標値や制御出力量の演算を行い、ステップSA6でTCSの制御に必要な制御目標値や制御出力量の演算を行い、その後、ステップSA7で、このABSの制御、TCSの制御及び上記SCSの制御の各演算結果を所定の方法により調停して上記加圧ユニット3及びHU4への制御出力量を決定する。そして、ステップSA8で上記加圧ユニット3及びHU4を作動させて各加圧バルブ41及び減圧バルブ43の開度を制御することにより、車輪21FR,21FL…のそれぞれのブレーキ2,2,…に供給する液圧を制御してそれらの車輪21FR,21FL…に所要の制動力を付与する。最後に、ステップSA9で車輪速センサ6,6,…や加圧ユニット3等が正常に作動しているか否かのフェイルセイフ判定を行い、その後、ステップSA1にリターンする。
【0036】
なお、上記フローチャートにおいてステップSA41が状態量演算部51に、SA42が目標状態量演算部52に、また、ステップSA43が制御介入判定部53及び制御切換え部54に、それぞれ対応しており、ステップSA44がヨーレイト制御部55、変更設定部56及び横滑り角制御部57に対応している。
【0037】
−SCSの制御−
以下に、SCSの制御の詳細について図5及び図6に基づいて説明する。なお、ステップSA5のABS制御演算及びステップSA6のTCS制御演算については周知であるので、その説明を省略する。
【0038】
図5は、図4のステップSA41における、車体速Vscs 、車体横滑り角β、各車輪の垂直荷重、各車輪のスリップ率、各車輪のスリップ角、各車輪の負荷率及び路面摩擦係数μの演算、及び、同図のステップSA42における、目標横滑り角βTR及び目標ヨーレイトψ′TRの演算を示す。すなわち、ステップSB2では、車輪21FRの車輪速v1 ,車輪21FLの車輪速v2 ,車輪21RRの車輪速v3 ,車輪21RLの車輪速v4 と、車体1の横加速度y″と、車体1のヨーレイトψ′と、ステアリングの操舵角θH との入力を受ける。ステップSB4では、上記車輪速v1 ,v2 ,…に基づいて車体速Vscs を演算し、ステップSB6では、上記車輪速v1 ,v2 ,…と上記横加速度y″とに基づいて各車輪の垂直加重を演算する。また、ステップSB8では、上記車体速Vscs と、上記車輪速v1 ,v2 ,…と、上記横加速度y″と、上記ヨーレイトψ′と、上記操舵角θH とに基づき車体横滑り角βを演算する。
【0039】
続いて、ステップSB10では、上記車輪速v1 ,v2 ,…と、上記車体速Vscs と、車体横滑り角βと、ヨーレイトψ′と、操舵角θH とに基づいて各車輪21のスリップ率及びスリップ角を演算し、ステップSB12では、上記各車輪の垂直加重と上記スリップ率及びスリップ角とに基づき、車輪21FR,21FL,…ののそれぞれについて、タイヤ23,23,…の発揮し得る全グリップ力に対する現在のグリップ力の割合である負荷率を演算する。そして、ステップSB14では、その負荷率と上記横加速度y″とに基づいて路面摩擦係数μを演算し、ステップSB16では、その路面摩擦係数μと、上記車体速Vscs と、上記操舵角θH とに基づいて目標ヨーレイトψ′TRと目標横滑り角βTRとを演算する。
【0040】
なお、図5に示す上記のフローチャートにおいて、ステップSB2からステップSB14までが、状態量演算部51に対応し、ステップSB16が目標状態量演算部52に対応している。
【0041】
図6は、図4のステップSA43におけるSCSの制御介入判定以降のSCSの制御を示し、ステップSB18で、ヨーレイトψ′と目標ヨーレイトψ′TRとの間のヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)、及び、車体横滑り角βと目標横滑り角βTRとの間の横滑り角偏差量(|βTR−β|)を、それぞれ、SCSのヨーレイト制御の介入判定のために予め設定された介入判定しきい値K1 及びK2 と比較する。そして、上記ヨーレイト偏差量が介入判定しきい値K1 以上であるか、又は、上記横滑り角偏差量が介入判定しきい値K2 以上である場合に、目標走行方向に対する車体姿勢のずれが大きくなりつつありSCSの制御介入が必要であると判定してステップSB20に進む一方、上記ヨーレイト偏差量が介入判定しきい値K1 よりも小さい値であり、かつ、上記横滑り角偏差量が介入判定しきい値K2 よりも小さい値である場合には、SCSの制御介入の必要なしと判定してリターンする。
【0042】
そして、ステップSB20では、横滑り角偏差量(|βTR−β|)を、SCSの横滑り角制御への切換えの判定のために予め設定された第1設定量としての切換判定しきい値K3 と比較する。そして、上記横滑り角偏差量が切換判定しきい値K3 よりも小さい場合には、ステップSB22に進んで目標ヨーレイトψ′TRをSCSの制御目標値として設定し、その後ステップSB24に進み、ヨーレイト制御における制御量としてのSCS制御量ψ′amt をヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に基づいて演算する。すなわち、車体姿勢の変化が比較的小さく安定した状態にあると判定される間(SB20)は、車体1のヨーレイトψ′がドライバの運転操作に対応する目標ヨーレイトψ′TRに収束するよう、車体1に比較的小さなヨーモーメントを作用させるようにし(SB22,24)、これにより、車体姿勢をドライバの運転操作に追従するように滑らかに変更させるヨーレイト制御を行うようになっている。
【0043】
一方、上記ステップSB20で、横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値K3 以上である場合には、ステップSB26に進んで目標横滑り角βTRをSCSの制御目標値として設定し、その後ステップSB28に進んで、SCSの制御に実際に用いられるSCS制御量βamt を横滑り角偏差量(|βTR−β|)に基づいて演算する。すなわち、車体姿勢が大きく崩れていると判定された(SB20)ときには、車体横滑り角βが目標横滑り角βTRに収束するよう、車体に比較的大きなヨーモーメントを作用させるようにし(SB26,28)、これにより、車体姿勢を迅速に修正する横滑り角制御を行うようになっている。
【0044】
そして、上記ステップSB24又はステップSB28に続くステップSB30において、加圧ユニット3やHU4に故障が発生しているか否かの判定を行い、故障と判定された場合にはステップSB32に進み、SCSの制御を中止してリターンする。一方、上記ステップSB30で故障と判定されなければ、ステップSB34に進んで、上記SCSの制御、ABSの制御及びTCSの制御の各演算結果を所定の方式により調停する。この調停の概要について説明すると、SCSの制御を行おうとする際にABSの制御が行われている場合には、そのABSの制御量をSCS制御量ψ′amt 又はβamt に基づいて補正することにより、ABSの制御を優先しつつSCSの制御を行うようになっており、また、SCSの制御を行おうとする際にTCSの制御が行われている場合には、そのTCSの制御のための加圧ユニット3及びHU4の作動を中止してSCSの制御を行うようになっている。
【0045】
続いて、ステップSB36において、SCS制御量ψ′amt 又はβamt に基づき、SCSの制御のために制動力を付与する車輪21FR,21FL,…を選択するとともに、これらの車輪21FR,21FL,…にそれぞれ付与する制動力を演算する。この車輪の選択及び制動力の演算について概説すれば、ヨーレイト制御において車体1のヨーレイトψ′を右回りに加増する場合、及び、横滑り角制御において車両の旋回姿勢を右側寄りに修正しようとする場合には、右側前輪21FRもしくは右側前後輪21FR,21RRに対し、上記SCS制御量ψ′amt 又はβamt に対応する制動力を付与することにより車両に右回りのヨーモーメントを作用させるようにするものである。反対に、車体1のヨーレイトψ′を左回りに加増する場合、及び、車両の旋回姿勢を左側寄りに修正しようとする場合には、左側前輪21FLもしくは左側前後輪21FL,21RLに対し、上記SCS制御量ψ′amt 又はβamt に対応する制動力を付与することにより車両に左回りのヨーモーメントを作用させるようにするものである。
【0046】
そして、上記ステップSB36に続くステップSB38において、上記ステップSB36で選択された車輪21FR,21FL,…に対しそれぞれ所要の制動力を付与するための加圧ユニット3及びHU4への制御出力量、すなわち、ブレーキ2,2,…の加圧バルブ41,41,…及び減圧バルブ43,43,…のそれぞれのバルブ開度等を演算し、ステップSB40でこれらの演算された制御出力を上記加圧ユニット3及びHU4に対し出力してSCSの制御を実行し、その後リターンする。
【0047】
なお、図6に示す上記のフローチャートにおいて、ステップSB18が制御介入判定部53に、ステップSB20が切換制御部54に、それぞれ対応しており、ステップSB22及びSB24がヨーレイト制御部55及び変更設定部56に、ステップSB26及びSB28が横滑り角制御部57に、それぞれ対応している。
【0048】
−ヨーレイト制御における制御量の演算−
以下、ヨーレイト制御(SB22,SB24)におけるSCS制御量ψ′amt の演算について、図7及び図8に基づいて説明する。
【0049】
図7は、図6のステップSB24におけるSCS制御量ψ′amt の演算の際に、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを抑制するために、制限制御部55aにより、上記SCS制御量ψ′amt に上限を設定するための具体的なフローを示す。同図において、ステップSC2では、車体1のヨーレイトψ′が目標ヨーレイトψ′TRに収束するように車体1にヨーモーメントを作用させるような仮のSCS制御量ψ′x を、ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に基づいて演算する。続いて、ステップSC4では、上記ステップSC2で演算された仮のSCS制御量ψ′x と、車体速Vscs 、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θH 及び操舵速度θH ′とに基づき、ヨーレイト制御が行われた場合の車体横滑り角の推定変化量Δβを推定演算する。また、ステップSC6では、切換判定しきい値K3 よりも小値側の範囲において、車体速Vscs 、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θH 、及び、この操舵角θH を微分演算して状態量演算部51により算出される操舵角θH の変化率としての操舵速度θH ′に基づき、車体横滑り角の変化量の第2設定量としての上限値Δβlim を設定する。なお、この上限値Δβlim の設定については後述する。
【0050】
そして、ステップSC8において、上記ステップSC4で演算された車体横滑り角の推定変化量Δβと上記ステップSC6で設定された上限値Δβlim とを比較し、推定変化量Δβが上限値Δβlim 以下であればステップSC10に進み、このステップSC10で仮のSCS制御量ψ′x をSCS制御量ψ′amt とした後リターンする。一方、上記ステップSC8において推定変化量Δβが上限値Δβlim よりも大きければステップSC12に進み、このステップSC12において、上記推定変化量Δβと上限値Δβlim との間の偏差に応じて、上記仮のSCS制御量ψ′x を補正する。そして、ステップSC14で上記仮の制御量ψ′x の補正値をSCS制御量ψ′amt とし、その後リターンする。つまり、ヨーレイト制御による車体横滑り角の変化量Δβが上限値Δβlim 以下になるような範囲内においてSCS制御量ψ′amt を演算するようにしており、これにより、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを抑制してヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを抑制するようにしている。
【0051】
次に、上記ステップSC6における、変更設定部56による、車体横滑り角βの変化量Δβの上限値Δβlim の設定について説明する。上記変更設定部56による車体横滑り角βの変化量Δβの上限値Δβlim の設定は、図8に示すように、車体速Vscs に対応する基本上限値Δβ0 を、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θH 及び操舵速度θH ′に対応して増減変更することにより行うようにする。すなわち、まず、ステップSD2において,車体速Vscs との関係により予め設定された基本マップから基本上限値Δβ0 を読み取るようにする。この基本マップにおいて、上記基本上限値Δβ0 は車体速Vscs が高いほど減少するように設定されており、これにより、車体速Vscs が高いほど車両の姿勢変化が抑制されて安全性が高まるようになっている。続いて、ステップSD4において、路面摩擦係数μとの関係により予め設定された変更設定マップから係数m2 を読取るようにしており、この変更設定マップにおいて、係数m2 は路面摩擦係数μが低いときには小さめに設定される一方、その路面摩擦係数μが高いときには大きめに設定されるようになっている。
【0052】
そして、ステップSD6において、ステアリングの操舵角θH との関係により予め設定された変更設定マップから係数m3 を読取るようにしており、この変更設定マップにおいて、係数m3 はステアリングの操舵角θH の増大に応じて減少するようになっている。さらに、ステップSD8において、ステアリングの操舵速度θH ′との関係により予め設定された変更設定マップから係数m4 を読取るようにしており、この変更設定マップにおいて、係数m4 は、操舵速度θH ′の増大に応じて減少するようになっている。最後に、ステップSD10において、上記基本上限値Δβ0 に上記係数m2 、m3 及びm4 を乗算して求めた値を上限値Δβlim として設定するようにする。このようにして設定された上限値Δβlim は、路面摩擦係数μが低いほど減少設定されるとともに、ステアリングの操舵角θH 及びその操舵速度θH ′の増大に応じて減少設定される一方、上記路面摩擦係数μが高いほど増大設定されるとともに、上記ステアリングの操舵角θH 及びその操舵速度θH ′の減少に応じて増大設定されるようになっている。
【0053】
次に、上記第1実施形態に係る車両の姿勢制御装置による作用・効果を説明する。
【0054】
上記第1実施形態における車両の姿勢制御装置によれば、車体姿勢が比較的安定しており横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値K3 よりも小さい間はヨーレイト制御が行われ、このヨーレイト制御により、車体1に対しそのヨーレイトψ′が目標ヨーレイトψ′TRに収束するよう比較的小さなヨーモーメントを作用させることができ、これにより、車体姿勢をドライバの運転操作に追従するよう滑らかに変更させることができる。従って、車体姿勢が比較的安定しておりドライバが余裕をもって運転操作を行える状態では、このドライバは違和感のない自然な運転フィーリングを得ることができる。一方、車体姿勢が崩れそうな不安定な状態になって上記横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値K3 以上になったときには、車体横滑り角βが目標横滑り角βTRに収束するよう車体姿勢を修正する横滑り角制御が行われる。この横滑り角制御により、比較的大きなヨーモーメントを作用させて車体姿勢を迅速に修正することができ、これにより、車両のスピンやコースアウト等を防止することができる。
【0055】
また、上記ヨーレイト制御においては、このヨーレイト制御による車体横滑り角βの変化量Δβが、切換判定しきい値K3 よりも小値側に設定された上限値Δβlim 以下になるようにSCS制御量ψ′amt に上限を設定しており、このため、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを抑制することができる。これにより、ヨーレイト制御に起因するこのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを防止することができるため、ドライバがヨーモーメントの逆転によるショックや違和感を感じる頻度を低減させることができる。
【0056】
さらに、上限値Δβlim が、路面摩擦係数μ、ステアリング操舵角θH 及びその操舵速度θH ′に応じて変更設定され、これに応じてSCS制御量ψ′amt の上限が変更されるようになっているため、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れの抑制とこのヨーレイト制御による車体姿勢の制御とを両立させるようにすることができる。すなわち、車両が滑り易い路面を走行しているときであっても、路面摩擦係数μが低いほどSCS制御量ψ′amt の上限が低められるため車体姿勢の変化を抑制することができ、一方、路面摩擦係数μが高く滑りにくい路面においては、路面摩擦係数μが高いほどSCS制御量ψ′amt の上限が高まるため車体姿勢の制御を十分に行うことができる。
【0057】
また、ステアリングの操舵角θH が大きく車輪21FR,21FL,…の車輪横滑り角が大きいときには、そのステアリングの操舵角θH の増大に応じてSCS制御量ψ′amt の上限を低めることができるため、上記車輪横滑り角の増大に伴う車輪21FR,21FL,…の前後方向のグリップ力の低下に対応してこれらの車輪21FR,21FL,…に付与される制動力を減少させることができ、これにより、上記車輪21FR,21FL,…がロック状態になって車体姿勢が崩れることを防止することができる。一方、上記ステアリングの操舵角θH の減少に応じてSCS制御量ψ′amt の上限を高めることにより、車輪21FR,21FL,…のグリップ力に余裕がある間はヨーレイト制御によって十分に車体姿勢を制御することができる。
【0058】
同様に、ステアリングの操舵速度θH ′高い場合には、操舵輪である左右の前輪21FR,21FLが急速に転舵されているためトレッドゴムの捩れ変形によりグリップ力が低下するところ、上記操舵速度θH ′の増大に応じてSCS制御量ψ′amt の上限を低めることにより、上記左右の前輪21FR,21FLがロック状態になることによる車体姿勢の崩れを防止することができる一方、上記操舵速度θH ′の減少に応じてSCS制御量ψ′amt の上限を高めることにより、上記左右の前輪21FR,21FLのグリップ力に余裕がある間はヨーレイト制御によって十分に車体姿勢を制御することができる。
【0059】
<第2実施形態>
以下に、図9〜図12に基づき、本発明の第2実施形態に係る車両の姿勢制御装置について説明する。なお、この第2実施形態が請求項5から請求項8までの各請求項に記載の発明に対応するものである。
【0060】
図9はSCSコントローラ5を示し、このSCSコントローラ5は、第1実施形態と同様、状態量演算部51と、目標状態量演算部52と、制御介入判定部53と、切換制御部54と、ヨーレイト制御部59と、横滑り角制御部57とを備えており、さらに、第1、第2及び第3変更補正部としての変更補正部58を備えている。なお、上記第2実施形態に係る車両の姿勢制御装置の全体構成や基本制御等は第1実施形態のものと同様であるためそれらの説明は省略する。
【0061】
−SCSの制御−
上記第2実施形態におけるSCSの制御は、ステップSB2からステップSB16までの処理(図5参照)を上記第1実施形態と同様に行い、続いて、図10に示すステップSE18で、ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)及び横滑り角偏差量(|βTR−β|)を、それぞれ、介入判定しきい値K1 及びK2 と比較する。そして、上記ヨーレイト偏差量が介入判定しきい値K1 以上であるか、又は、上記横滑り角偏差量が介入判定しきい値K2 以上である場合に、SCSの制御介入が必要であると判定してステップSE20に進む一方、上記ヨーレイト偏差量が介入判定しきい値K1 よりも小さい値であり、かつ、上記横滑り角偏差量が介入判定しきい値K2 よりも小さい値である場合には、SCSの制御介入の必要なしと判定してリターンする。
【0062】
続いて、ステップSE20では、横滑り角偏差量(|βTR−β|)を、SCSの横滑り角制御への切換えの判定のために予め設定された第1設定量としての切換判定しきい値(K3 ×K0 )と比較する。ここで、K3 は予め設定された値であり、K0 は、路面摩擦係数μ、車体速Vscs 、ステアリング操舵角θH 、及び、この操舵角θH を微分演算して状態量演算部51により算出される操舵角θH の変化率としての操舵速度θH ′に応じて変更される重み付け係数である。この重み付け係数K0 の演算については後述する。そして、上記ステップSE20において、横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値(K3 ×K0 )よりも小さい場合には、ステップSE22に進んで目標ヨーレイトψ′TRをSCSの制御目標値として設定し、ステップSE24に進んでSCS制御量ψ′amt を演算する。このSCS制御量ψ′amt の演算については後述する。一方、上記ステップSE20で、横滑り角偏差量(|βTR−β|)が切換判定しきい値(K3 ×K0 )以上である場合には、ステップSE26に進んで目標横滑り角βTRをSCSの制御目標値として設定し、その後ステップSE28に進んでSCS制御量βamt を上記第1実施形態と同様の方法により演算する。そして、上記ステップSE24又はステップSE28に続いてステップSB30(図6参照)に進み、以下、上記第1実施形態と同様にステップSB32からステップSB40までの処理を行う。
【0063】
なお、上記のフローチャートにおいて、ステップSE18が制御介入判定部53に、ステップSE20が切換制御部54に、それぞれ対応しており、ステップSE22及びステップSE24がヨーレイト制御部59に、ステップSE26及びステップSE28が横滑り角制御部57にそれぞれ対応している。
【0064】
−ヨーレイト制御における制御量の演算−
以下、ヨーレイト制御(SE20,SE24)におけるSCS制御量ψ′amt の演算について説明し、併せて、この演算に用いられる重み付け係数K0 の設定について説明する。
【0065】
図10のステップSE24におけるSCS制御量ψ′amt の演算は、ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対応する制御量を、補正制御部59aにより横滑り角偏差量(|βTR−β|)に応じて補正するものであり、具体的には、上記ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に重み付け係数K0 を乗算したものと、上記横滑り角偏差量(|βTR−β|)とに基づき、図9に示す3次元マップM1により行われる。すなわち、ヨーレイト偏差(ψ′TR−ψ′)と横滑り角偏差(βTR−β)とが左右逆向きの場合には、そのヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対応するSCS制御量ψ′amt を横滑り角偏差量(|βTR−β|)に応じて減少補正するようにし、これにより、車体1に作用させるヨーモーメント量を減少させるようにする。これに対し、上記ヨーレイト偏差(ψ′TR−ψ′)と横滑り角偏差(βTR−β)とが同一の向きの場合には、そのヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対応するSCS制御量ψ′amt を横滑り角偏差量(|βTR−β|)に応じて増大補正するようにし、これにより、車体1に作用させるヨーモーメント量を加増するようにする。
【0066】
また、SCS制御量ψ′amt は、上記3次元マップM1により、車体1に作用させるヨーモーメントの向きとそのヨーモーメント量とに対応して7段階に分けて設定されている。すなわち、車体1に対し左回りのヨーモーメントを作用させる場合には、図11の上段に示すように、車体1に対し左回りに小さめのヨーモーメントが作用するよう左側の前輪21FLに対し制動力を少なめに付与する左小の段階と、上記左回りのヨーモーメント量が中程度になるよう左側の前輪21FLに対し制動力を多めに付与する左中の段階と、この左側の前輪21FLに対する制動力の付与に加えて右側前輪21FR及び左側後輪21RLの対角線上の2輪にも制動力を付与することにより、車両を減速させて旋回し易くさせる左大の段階との3つの段階が設定されており、同様に、車体1のヨーレイトを右回りに加増する場合には、同図の下段に示すように、右小、右中、右大の3段階が設定され、さらに、車体1にヨーモーメントを作用させない出力零の段階が設定されている。
【0067】
ここで、上記車輪21FR,21FL,…に対し所要の制動力を付与するためには、例えば、それらの車輪スリップ率が所要の目標値になるようにブレーキ圧を制御すればよい。すなわち、左右何れかの前輪21FL又は21FRに対し制動力を少なめに付与する(左小又は右小の段階)ときには、これらの車輪スリップ率が例えば5パーセントになるようにすればよく、また、左右いずれかの前輪21FL又は21FRに対し制動力を多めに付与する(左中、左大、右中又は右大の段階)ときには、これらの車輪スリップ率が例えば10パーセントになるようにすればよい。さらに、車両を減速させるために対角線上の2輪にも制動力を付与する(左大右大の段階)ときには、これらの対角線上の2輪の車輪スリップ率が例えば7パーセントになるようにすればよい。
【0068】
そして、上記3次元マップM1により演算されるSCS制御量ψ′amt によれば、例えば、車両が左回りに旋回しているときに、車体1のヨーレイトψ′が目標ヨーレイトψ′TRよりも小値側にあってアンダステア傾向になっている場合には、ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)の値に応じて車体1に対し左回りのヨーモーメントが作用されることになるが、この際、SCS制御量ψ′amt は、横滑り角偏差量(|βTR−β|)が零であれば、上記ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に重み付け係数K0 を乗算したものに応じて出力零から左中の3段階の内の何れかになるよう演算されるところ、車体横滑り角βが目標横滑り角βTRよりも大値側にある場合には、横滑り角偏差量(|βTR−β|)に応じて減少補正されることになり、これにより、車体1に作用するヨーモーメント量が抑制されるようになる。また、上記ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)には重み付け係数K0 が乗算されているため、この重み付け係数K0 の増大に応じて相対的に上記横滑り角偏差量(|βTR−β|)による補正の度合いが低められ、上記SCS制御量ψ′amt の上記ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対する依存傾向が増大する一方、上記重み付け係数K0 の減少に応じて相対的に上記横滑り角偏差量(|βTR−β|)による補正の度合いが高められ、上記SCS制御量ψ′amt の上記ヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対する依存傾向が減少するようになっている。
【0069】
上記重み付け係数K0 の設定は変更補正部58により行われるものであり、図12に示すように、基本値1を、路面摩擦係数μ、車体速Vscs 、ステアリングの操舵角θH 及び操舵速度θH ′に応じて増減変更補正することにより行うようにしている。すなわち、同図におけるステップSF2においては、路面摩擦係数μとの関係により予め設定された補正マップから補正係数aを読取るようにしており、この補正マップにおいて、補正係数aは路面摩擦係数μが高いほど増大するようになっている。ステップSF4においては、車体速Vscs との関係により予め設定された補正マップから補正係数bを読取るようにしており、この補正マップにおいて、補正係数bは車体速Vscs が高いほど減少するようになっている。続いて、ステップSF6において、ステアリングの操舵速度θH ′との関係により予め設定された補正マップから補正係数cを読取るようにしており、この補正マップにおいて、補正係数cは、操舵速度θH ′の増大に応じて増大するようになっている。そして、ステップSF8において、ステアリングの操舵角θH との関係により予め設定された補正マップから補正係数dを読み取るようにしており、この補正マップにおいて、補正係数dは上記操舵角θH の増大に応じて増大するようになっている。最後に、ステップSF10において、上記補正係数a,b,c及びdを乗算して重み付け係数K0 を求めるようにしている。このようにして設定された重み付け係数K0 は、路面摩擦係数μが高いほど増大補正されるとともに、ステアリングの操舵角θH 及びその操舵速度θH ′の増大に応じて増大補正される一方、車体速Vscs の増大に応じて減少補正されるようになっている。
【0070】
そして、上記第2実施形態の場合、第1実施形態と同様、車体姿勢が比較的安定している間は、ドライバが違和感のない自然な運転フィーリングを得ることができ、一方、車体姿勢が崩れそうな不安定な状態になったときには、車体姿勢を迅速に修正して車両のスピンやコースアウト等を防止することができる。
【0071】
また、ヨーレイト制御において、SCS制御量ψ′amt が横滑り角偏差量(|βTR−β|)に応じて補正されるようになっているため、ヨーレイト制御に起因するヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを抑制するとともに、その切換えの際のショックを緩和することができる。すなわち、例えば、車両が左回りに旋回しているときに、運転に不慣れなドライバが誤ってステアリングを切り過ぎたような場合には、車体1のヨーレイトψ′が目標ヨーレイトψ′TRよりも小値側にあってかつそれらの間のヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)が最大になるため、SCS制御量ψ′amt は左中又は左大の何れかの段階になり、車体1にはその車体姿勢に対し過大なヨーモーメントが作用する。そして、車体姿勢が左回りに変化して車体横滑り角βが目標横滑り角βTRよりも大値側の値になると、横滑り角偏差量(|βTR−β|)に応じて上記SCS制御量ψ′amt が減少補正されて左小又は出力零の何れかの段階になり、上記車体1に作用する左回りのヨーモーメントが減少する。このヨーモーメントの減少により、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の変化が抑制されてこのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えが抑制されるため、ドライバがショックや違和感を感じる頻度を低減することができる。その上、上記ヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えが起きたとしても、その切換えまでにSCS制御量ψ′amt が出力零の段階になっており、上記車体1に作用する左回りのヨーモーメントが十分に減少しているため、上記切換えの際のヨーモーメントの逆転によるショックを十分に低減し、かつ、ドライバの感じる違和感を大幅に低減させることができる。
【0072】
さらに、車両の走行中に路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θH 及びその操舵速度θH ′が増大したときには、重み付け係数K0 が増大して切換判定しきい値(K3 ×K0 )の値が増大しするようになっているため、横滑り角制御の開始を遅延させて横滑り角偏差量が比較的大きくなるまでヨーレイト制御が継続されるようにすることができ、これにより、車体姿勢をより広い姿勢範囲にわたってドライバの運転操作に追従させるようにすることができる。同時に、上記重み付け係数K0 の増大により、SCS制御量ψ′amのヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対する依存傾向が増すようになっているため、上記ヨーレイト制御の傾向をよりヨーレイトの変化に依存するものにさせることができ、これにより、車体姿勢をドライバの運転操作に対しより忠実に追従させるようにすることができる。つまり、車両が滑りにくい路面を走行している場合には、ステアリングの操舵角又は操舵速度に基づき、車両の姿勢を自らの運転操作によって制御しようとするドライバの意思の強さを検出し、これに対応して、車体姿勢をよりドライバの運転操作に対して忠実に変化させるようにすることができる。
【0073】
反対に、車両の走行中に路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θH 及びその操舵速度θH ′が減少したときには、重み付け係数K0 が減少して切換判定しきい値(K3 ×K0 )の値が減少しするようになっているため、車体姿勢の変化が小さいうちに横滑り角制御を開始して車体姿勢を迅速に修正することができる。同時に、上記重み付け係数K0 の減少により、SCS制御量ψ′amのヨーレイト偏差量(|ψ′TR−ψ′|)に対する依存傾向が減少して相対的に横滑り角偏差量(|βTR−β|)による補正の度合いが高まるようになっているため、上記ヨーレイト制御の傾向を比較的車体横滑り角βの変化に依存するものにさせることができ、これにより、車体姿勢をより安定寄りに制御することができる。つまり、車両が滑り易い路面を走行している場合であって、ステアリングの操舵角又は操舵速度に基づき検出されるドライバの運転操作に対する意思が強くない場合には、車体姿勢の迅速な修正を優先することができ、これにより、車両の走行における安全性の向上を図ることができる。
【0074】
なお、上記重み付け係数K0 は、車体速Vscs の増大に応じて減少するようになっているため、この車体速Vscs の増大に伴い、車体姿勢の変化が小さいうちに横滑り角制御を開始することができ、かつ、ヨーレイト制御において車体姿勢をより安定寄りに制御することができ、これにより、高速走行時における安全性の向上が図られる。
【0075】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1実施形態におけるSCS制御量ψ′amt の演算では、車体横滑り角βの変化量Δβの上限値Δβlim を、車体速Vscs 、路面摩擦係数μ、ステアリングの操舵角θH 及び操舵速度θH ′に基づいて設定するようにしているが、これに限らず、上記上限値Δβlim を、切換判定しきい値K3 よりも十分小さい値に予め設定しておくことも可能である。
【0076】
上記第2実施形態におけるSCS制御量ψ′amt の演算では、SCS制御量ψ′amt を、車体1に作用させるヨーモーメントの向きとそのヨーモーメント量とに対応して3次元マップM1に7段階に分けて設定しているが、これに限らず、上記SCS制御量ψ′amt をより細密に設定するようにしてもよい。
【0077】
上記第2実施形態におけるヨーレイト制御では、車体1に対し小さめのヨーモーメントを作用させる場合に、左右何れか一側の前輪21FL又は21FRに制動力を付与するようにしているが、これに限らず、例えば 左右何れか一側の前後輪21FL,21RL又は21FR,21RRに制動力を付与するようにしてもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における車両の姿勢制御装置によれば、車体姿勢が比較的安定しており横滑り角偏差量が第1設定量よりも小さい間は、ヨーレイト制御により、ドライバが違和感のない自然な運転フィーリングを得ることができる一方、車体姿勢が不安定な状態になって横滑り角偏差量が第1設定量以上になったときには、横滑り角制御により、車体姿勢を迅速に修正して車両のスピンやコースアウト等を防止することができる。その上、上記ヨーレイト制御の制御量を、そのヨーレイト制御による車体横滑り角の変化量が上記第1設定量よりも小値になるよう制限することにより、上記ヨーレイト制御に起因するこのヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを防止することができ、これにより、ドライバがショックや違和感を感じる頻度を低減することができる。
【0079】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、路面の摩擦係数の低下に対応して各車輪に付与する制動力の上限を低めに設定することができ、これにより、滑り易い路面における車体姿勢の変化を抑制してヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを防止することができる。
【0080】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、各車輪の車輪横滑り角の増大に伴う前後方向のグリップ力の低下に対応してこの各車輪に付与する制動力の上限を低めに設定することができ、これにより、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを防止することができる。
【0081】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、操舵輪の転舵に伴うグリップ力の低下に対応してこの操舵輪に付与する制動力の上限を低めに設定することができ、これにより、ヨーレイト制御に起因する車体姿勢の崩れを防止することができる。
【0082】
請求項5記載の発明における車両の姿勢制御装置によれば、車体姿勢が比較的安定しており横滑り角偏差量が第1設定量よりも小さい間は、ヨーレイト制御により、ドライバが違和感のない自然な運転フィーリングを得ることができる一方、車体姿勢が不安定な状態になって横滑り角偏差量が第1設定量以上になったときには、横滑り角制御により、車体姿勢を迅速に修正して車両のスピンやコースアウト等を防止することができる。その上、上記ヨーレイト制御の制御量を横滑り角偏差量に応じて補正することにより、ヨーレイト制御に起因するヨーレイト制御から横滑り角制御への切換えを抑制するとともに、その切換えの際のショックを緩和することができ、これにより、ドライバの感じるショックや違和感を低減することができる。
【0083】
請求項6記載の発明によれば、上記請求項5記載の発明による効果に加えて、車両が滑り易い路面を走行している場合には、車体姿勢の迅速な修正を優先して安全性の向上を図ることができる一方、上記車両が滑りにくい路面を走行している場合には、車体姿勢をよりドライバの運転操作に対して忠実に変化させるようにすることができる。
【0084】
請求項7記載の発明によれば、上記請求項5記載の発明による効果に加えて、ステアリングの操舵量が大きい場合には、車両の姿勢を自らの運転操作によって制御しようとするドライバの意思が強いものと判定し、これに対応して、車体姿勢をよりドライバの運転操作に対して忠実に変化させるようにすることができる。
【0085】
請求項8記載の発明によれば、上記請求項5記載の発明による効果に加えて、ステアリングの操舵量の変化率が大きい場合には、車両の姿勢を自らの運転操作によって制御しようとするドライバの意思が強いものと判定し、これに対応して、車体姿勢をよりドライバの運転操作に対して忠実に変化させるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1及び第2実施形態に係る車両の姿勢制御装置を適用した車両を示す概略構成図である。
【図2】 ブレーキの液圧系統を示す図である。
【図3】 第1実施形態に係るSCSコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】 基本制御の概要を示すフローチャートである。
【図5】 状態量演算部及び目標状態量演算部における処理を示すフローチャートである。
【図6】 第1実施形態に係る制御介入判定以降のSCSの制御の内容を示すフローチャートである。
【図7】 第1実施形態に係るヨーレイト制御におけるSCS制御量の演算を示すフローチャートである。
【図8】 車体横滑り角の変化量の上限値を設定する処理を示すフローチャートである。
【図9】 第2実施形態に係る図3相当図である。
【図10】 第2実施形態に係るSCSの制御介入判定とSCS制御量の演算を示すフローチャートである。
【図11】 ヨーレイト制御におけるSCS制御量の各段階と各車輪に付与する制動力との関係を示す図表である。
【図12】 重み付け係数K0 の上限値を設定する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車体
2,2,… ブレーキ(制動手段)
3 加圧ユニット(制動手段)
4 ハイドロリックユニット(制動手段)
5 SCSコントローラ(姿勢制御手段)
8 ヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出手段)
9 舵角センサ(操舵量検出手段)
21FR,21FL,… 車輪
51 状態量演算部(車体横滑り角検出手段、路面摩擦係数検出手段、操舵 量変化率検出手段)
54 切換制御部
55,59 ヨーレイト制御部
55a 制限制御部
59a 補正制御部
56 変更設定部(第1、第2及び第3変更設定部)
57 横滑り角制御部
58 変更補正部(第1、第2及び第3変更補正部)
K3 ,K3 ×K0 切換判定しきい値(第1設定量)
β 車体横滑り角
βTR 目標横滑り角
Δβ 車体横滑り角の変化量
Δβlim 車体横滑り角の変化量の上限値(第2設定量)
θH ステアリングの操舵角(操舵量)
θH ′ ステアリングの操舵速度(操舵量の変化率)
μ 路面摩擦係数
ψ′ ヨーレイト
ψ′TR 目標ヨーレイト
ψ′amt ヨーレイト制御におけるSCS制御量
Claims (8)
- 車両の前後左右の各車輪に対し個別に制動力を付与可能に構成された制動手段と、この制動手段の作動を制御して上記各車輪に対し独立して制動力を付与することにより車体姿勢を制御する姿勢制御手段とを備えた車両の姿勢制御装置において、
上記車体のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
上記車体の前後方向に対する車体横滑り角を検出する車体横滑り角検出手段とを備えており、
上記姿勢制御手段は、
上記ヨーレイト検出手段により検出されるヨーレイトが目標走行方向に対応する目標ヨーレイトに収束するように車体にヨーモーメントを作用させるヨーレイト制御を行うヨーレイト制御部と、
上記車体横滑り角検出手段により検出される車体横滑り角が目標走行方向に対応する目標横滑り角に収束するように車体にヨーモーメントを作用させて車体姿勢を修正する横滑り角制御を行う横滑り角制御部と、
上記の検出された車体横滑り角と目標横滑り角との間の横滑り角偏差量が所定の第1設定量よりも小さいとき上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御を行う一方、上記横滑り角偏差量が上記第1設定量以上になったとき上記ヨーレイト制御から上記横滑り角制御部による横滑り角制御に切換える切換制御部と、
上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御中に、そのヨーレイト制御の結果生じる車体横滑り角の変化量を推定し、この推定変化量に基づいて、車体横滑り角の変化量が、上記第1設定量よりも小値側に設定された第2設定量以下になるよう、上記ヨーレイト制御の制御量に制限を加える制限制御部と
を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 請求項1において、
路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段を備え、
姿勢制御手段は、上記路面摩擦係数検出手段により検出された路面の摩擦係数が低いほど第2設定量をより小値側に変更設定する第1変更設定部を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 請求項1において、
ステアリングの操舵量を検出する操舵量検出手段を備え、
姿勢制御手段は、上記操舵量検出手段により検出された操舵量が大値側であるほど第2設定量をより小値側に変更設定する第2変更設定部を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 請求項1において、
ステアリングの操舵量の変化率を検出する操舵量変化率検出手段を備え、
姿勢制御手段は、上記操舵量変化率検出手段により検出された操舵量の変化率が大値側であるほど第2設定量をより小値側に変更設定する第3変更設定部を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 車両の前後左右の各車輪に対し個別に制動力を付与可能に構成された制動手段と、この制動手段の作動を制御して上記各車輪に対し独立して制動力を付与することにより車体姿勢を制御する姿勢制御手段とを備えた車両の姿勢制御装置において、
上記車体のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
上記車体の前後方向に対する車体横滑り角を検出する車体横滑り角検出手段とを備えており、
上記姿勢制御手段は、
上記ヨーレイト検出手段により検出されるヨーレイトが目標走行方向に対応する目標ヨーレイトに収束するように車体にヨーモーメントを作用させるヨーレイト制御を行うヨーレイト制御部と、
上記車体横滑り角検出手段により検出される車体横滑り角が目標走行方向に対応する目標横滑り角に収束するように車体にヨーモーメントを作用させて車体姿勢を修正する横滑り角制御を行う横滑り角制御部と、
上記の検出された車体横滑り角と目標横滑り角との間の横滑り角偏差量が所定の第1設定量よりも小さいとき上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御を行う一方、上記横滑り角偏差量が上記第1設定量以上になったとき上記ヨーレイト制御から上記横滑り角制御部による横滑り角制御に切換える切換制御部と、
上記ヨーレイト制御部によるヨーレイト制御中に、上記ヨーレイトが目標ヨーレイトよりも大値側にあってかつ上記車体横滑り角が目標横滑り角よりも小値側にある場合、又は、上記ヨーレイトが目標ヨーレイトよりも小値側にあってかつ上記車体横滑り角が目標横滑り角よりも大値側にある場合に、上記ヨーレイト制御の制御量を減少補正し、且つその補正量を上記横滑り角偏差量に応じて設定する補正制御部と
を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 請求項5において、
路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段を備え、
姿勢制御手段は、上記路面摩擦係数検出手段により検出された路面の摩擦係数が低いほど、第1設定量を減少補正しかつヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを高める一方、上記路面の摩擦係数が高いほど、第1設定量を増大補正しかつヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを低める第1変更補正部を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 請求項5において、
ステアリングの操舵量を検出する操舵量検出手段を備え、
姿勢制御手段は、上記操舵量検出手段により検出された操舵量の増減変化に応じて第1設定量を増減変更補正し、かつ、ヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを、上記操舵量検出手段により検出された操舵量の増大に応じて低める一方、その操舵量の減少に応じて高める第2変更補正手段を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。 - 請求項5において、
ドライバによる操舵量の変化率を検出する操舵量変化率検出手段を備え、
姿勢制御手段は、上記操舵量変化率検出手段により検出された操舵量の変化率の増減変化に応じて第1設定量を増減変更補正し、かつ、ヨーレイト制御における制御量の補正の度合いを、上記操舵量変化率検出手段により検出された変化率
の増大に応じて低める一方、その変化率の減少に応じて高める第3変更補正手段
を備えている
ことを特徴とする車両の姿勢制御装置。
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