JP4119358B2 - 制御方法および制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プロセス制御技術に関するものであり、特に外乱抑制制御を効果的に行うための制御方法および制御装置に関するものである。
一般的な温度制御系では、対象プロセスPの特性を伝達関数式で近似的に記述する場合、通常は以下のような1次遅れの伝達関数が用いられる。
P=Kpexp(−Lps)/(1+Tps) ・・・(1)
Kpはプロセスゲイン、Tpはプロセス時定数、Lpはプロセスむだ時間、sはラプラス演算子である。
式(1)の伝達関数によれば、例えば温度制御を行なうためのヒータの出力(操作量)MVと温度(制御量)PVとの関係は以下のようになる。
PV={Kpexp(−Lps)/(1+Tps)}MV ・・・(2)
式(2)から明らかなように、温度PVを一定値に維持するためには、ヒータ出力MVを適当な一定値に維持することになる。この温度PVを一定値に維持するためのヒータ出力MVの値を平衡点という。図9は、式(2)に基づいて温度PVとヒータ出力MVの関係を示した図である。図9において、SPは温度の設定値である。ヒータ出力MVが図9(b)のように平衡点に到達すれば、温度PVも平衡状態に到達し、この平衡状態が維持される(図9(a))。このように、温度制御の対象プロセスPの特性は、1次遅れの伝達関数で近似されるケースが多い。これは、通常の温度制御系では、温度PVの平衡状態はほとんど変化しないと考えるのが妥当という事実に基づいている。
しかしながら、温度制御系であっても周囲環境(周囲温度)に影響されやすい系で、かつ周囲温度が少しずつ変化していく場合には、ヒータ出力MVを一定値に維持していても、温度PVを一定値に維持することはできない。図10は、このような温度制御系において周囲温度が変化した場合の温度PVとヒータ出力MVの関係を示す図である。つまり、周囲温度に影響されやすい温度制御系において周囲温度が変化する場合には、温度PVを一定値に維持するために、ヒータ出力MV(平衡点)を図10(b)のように少しずつ変化させていく必要がある。
ここで、平衡点が変化していくメカニズムを考える。温度や圧力などを一定値に維持するように制御する場合、PID制御が広く利用されている。PID制御においては、設定値SPと制御量PVとの偏差Erに応じて操作量MVが変化する。周囲温度が僅かに変化した場合、この変化が制御系にとっての外乱要因になり、温度(制御量)PVも変化しようとするので、偏差Erが発生する。この偏差Erを補償するために、PIDコントローラで算出されるヒータ出力(操作量)MVが僅かに変化する。操作量MVの変化により、制御量PVが設定値SPに近づくので、偏差Erが零となり、操作量MVが一定値で安定する。
周囲温度が少しずつ変化していく場合には、周囲温度の継続的な変化が外乱要因になり、周囲温度の変化→制御量PVの変化→偏差Erの発生→操作量MVの変化→制御量PVの設定値SPへの接近→偏差Erの解消→操作量MVの安定という一連の動作が繰り返し発生することになる。ただし、実際にはこのような細かい動作が繰り返されるわけではなく、図11(a)に示す若干量の定常偏差Er_cと図11(b)に示す操作量MVの継続的な変化とがつり合うような形で、見かけ上の定常状態になる。この若干量の定常偏差Er_cを、以後PVオフセットEr_cと呼ぶ。
PVオフセットEr_cは、制御精度に関係するものであり、通常は小さいことが好ましい。PVオフセットEr_cの大きさは、コントローラの即応性に関係する。即応性に優れたコントローラの特性を「感度が良い」とか「高感度」と言うが、例えばPIDコントローラの場合、PIDパラメータを高感度(即応性重視)に調整すれば、それだけPVオフセットEr_cの発生を小さくできる。図11(a)、図11(b)は低感度のPIDコントローラによって発生したPVオフセットEr_cと操作量MVとの関係を示しているが、より高感度のPIDコントローラを使用すれば、図12のようになる。すなわち、操作量MVの変化は図12(b)に示すように低感度のPIDコントローラの場合よりも速くなり、PVオフセットEr_cが図12(a)のように小さくなる。
しかし、制御の即応性を重視する場合、その代償として制御の安定性が損なわれることになり、図13(a)に示すように制御量PVに上下動(ハンチング)が発生しやすくなる。したがって、コントローラを高感度に調整することには限界があり、PVオフセットEr_cを小さくすることは容易ではない。
従来、PVオフセットEr_cを低減する方法としては、PIDコントローラにリードラグ補償(位相進み遅れ補償)要素を付加することで、制御の即応性と安定性を両立させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。図14は、特許文献1に記載されたコントローラによるPVオフセットEr_cの低減効果を示す図であり、PV1、MV1はそれぞれ特許文献1の制御による制御量、操作量である。この特許文献1のコントローラによれば、通常のPID制御よりも高感度に調整することができるので、図14(b)に示すように操作量MV1が通常のPID制御による操作量MVよりも速く変化し、制御量PV1が設定値SPに接近するため、通常のPID制御よりもPVオフセットEr_cを小さくすることができる(図14(a))。
また、PVオフセットEr_cを低減する他の方法として、例えば半導体製造装置のように特定の時間だけ熱処理を行なうサイクルを繰り返す場合に、特定の制御条件において発生するPVオフセットEr_cの大きさを予め調べておき、このPVオフセットEr_cの分だけ設定値SPをずらしておくという方法が考えられる。この設定値SPに意図的に与えるずらし分を、以後SPオフセットと記述する。
図15は、設定値SPにSPオフセットを与える方法によるPVオフセットEr_cの低減効果を示す図であり、SP2は設定値SPにSPオフセットを与えた後の設定値、PV2、MV2はそれぞれ設定値SP2に基づくPID制御による制御量、操作量である。設定値SPにSPオフセットを与える方法によれば、図15(b)に示すように操作量MV2が通常のPID制御による操作量MVよりも大きくなり、制御量PV2が本来の設定値SPに接近するため、通常のPID制御よりもPVオフセットEr_cを小さくすることができる(図15(a))。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
特許第3277484号公報
特許文献1に記載された技術は、制御の即応性と安定性の両立を主目的とする制御手法であるが、PVオフセットEr_cの低減についても有効な方法である。特に、予定外のPVオフセットEr_cの発生を含め、あらゆるケースで有効性に差異が生じないところが優れている。しかしながら、PVオフセットEr_cの低減が主目的ではないため、PVオフセットEr_cを15%程度減らすことはできるが、50%〜100%という大幅な低減を実現することができないという問題点があった。
一方、設定値SPにSPオフセットを与えることによりPVオフセットEr_cを低減する方法では、発生するPVオフセットEr_cの大きさが既知であることが必須の条件なので、予定外のPVオフセットEr_cが発生する場合には対応することができないという問題点があり、また制御対象の特性の経時変化等が要因となってPVオフセットEr_cが時間と共に変化するような場合にも対応することができないという問題点があった。
図16は、SPオフセットを与えた設定値SP2に基づく制御中に制御対象の特性が変化した場合の制御量PV3と操作量MV3を示す図である。制御中に制御対象の特性が変化すると、図16(a)に示すように制御量PV3が変化してPVオフセットEr_cが増大し、このPVオフセットEr_cの増大に応じて操作量MV3は図15(b)に示した操作量MV2よりも大きく変化する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、予定外のPVオフセットが発生した場合や、制御対象の特性の経時変化が要因となってPVオフセットが時間と共に変化するような場合にも、PVオフセットを効果的に低減することができ、PVオフセットによる制御精度の低下を回避することができる制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、設定値SPにSPオフセット量を与えることにより設定値SPと制御量PVとの定常偏差を低減する制御方法において、計測される制御量PVに対してローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ処理手順と、更新前のSPオフセット量をΔsp_old、更新後のSPオフセット量をΔsp_new、前記ローパスフィルタ処理された制御量PVをPV_fとしたとき、Δsp_new=SP+Δsp_old−PV_fによりSPオフセット量を更新する更新処理手順と、設定値SPに前記更新後のSPオフセット量Δsp_newを加えた値と前記制御量PVとの偏差に基づき操作量を算出し、この操作量を制御対象に出力する制御演算手順とを備えるものである
また、本発明は、設定値SPにSPオフセット量を与えることにより設定値SPと制御量PVとの定常偏差を低減する制御装置において、SPオフセット量を記憶する記憶部と、計測される制御量PVに対してローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ処理部と、前記記憶部に記憶されている更新前のSPオフセット量をΔsp_old、更新後のSPオフセット量をΔsp_new、前記ローパスフィルタ処理された制御量PVをPV_fとしたとき、Δsp_new=SP+Δsp_old−PV_fにより前記記憶部に記憶されているSPオフセット量を更新する更新処理部と、設定値SPに前記更新後のSPオフセット量Δsp_newを加えた値と前記制御量PVとの偏差に基づき操作量を算出し、この操作量を制御対象に出力する制御演算部とを備えるものである
本発明によれば、計測される制御量をローパスフィルタ処理して、ローパスフィルタ処理した制御量に基づきSPオフセット量を更新するようにしたので、SPオフセット量を適切に更新することができ、リードラグ補償要素を付加した従来のコントローラに比べて、より効果的にPVオフセットを低減することができる。また、制御量の変化に応じてSPオフセット量を適切に更新するようにしたので、予定外のPVオフセットが発生した場合や、制御対象の特性の経時変化が要因となってPVオフセットが時間と共に変化するような場合にも対応することができ、PVオフセットによる制御精度の低下を回避することができる。
また、本発明によれば、設定値と計測される制御量との偏差をローパスフィルタ処理して、ローパスフィルタ処理した偏差に基づきSPオフセット量を更新するようにしたので、SPオフセット量を適切に更新することができ、リードラグ補償要素を付加した従来のコントローラに比べて、より効果的にPVオフセットを低減することができる。また、偏差の変化に応じてSPオフセット量を適切に更新するようにしたので、予定外のPVオフセットが発生した場合や、制御対象の特性の経時変化が要因となってPVオフセットが時間と共に変化するような場合にも対応することができ、PVオフセットによる制御精度の低下を回避することができる。
また、本発明によれば、設定値と計測される制御量との偏差に基づきSPオフセット量を漸進的に更新するようにしたので、SPオフセット量を適切に更新することができ、リードラグ補償要素を付加した従来のコントローラに比べて、より効果的にPVオフセットを低減することができる。また、偏差の変化に応じてSPオフセット量を適切に更新するようにしたので、予定外のPVオフセットが発生した場合や、制御対象の特性の経時変化が要因となってPVオフセットが時間と共に変化するような場合にも対応することができ、PVオフセットによる制御精度の低下を回避することができる。
[基本原理]
まず、本発明の基本原理について説明する。図1は本発明の基本原理を説明するための図である。本発明は、基本的には設定値SPにSPオフセット量Δspを与えることによりPVオフセットEr_cを低減する手法であるが、SPオフセット量Δspを固定値とはせず、以下の考え方により自動調整するようにしたものである。
ここで、本来の設定値SPに適切な値ではない特定のSPオフセット量Δspが与えられているものと仮定する。この場合、制御装置が内部で扱う設定値SP’はSP+Δspになる。この設定値SP’に対して発生する定常偏差Er_cが、本質的に発生しているPVオフセットになる。すなわち、以下の式のように設定値SP’と制御量PVとの差がPVオフセットEr_cになる。
Er_c=SP’−PV=(SP+Δsp)−PV=Δsp+Er ・・・(3)
設定値SPにSPオフセット量Δspを与える手法は、基本的にはPVオフセットEr_cの分だけ設定値SPをずらせばよいのであるから、式(3)によりPVオフセットEr_cを算出して、PVオフセットEr_cに基づきSPオフセット量Δspを更新すればよい。
ただし、適切なSPオフセット量Δspを推定するには、ある程度長い時間の制御状態を観測する必要がある。何故ならば、制御実行中に観測される制御偏差は、PVオフセットEr_cによるもの以外にも、短い時間で発生する外乱(高周波外乱)による偏差が加わる。これに対して、PVオフセットEr_cは、外乱としては低周波外乱に相当するからである。
したがって、SPオフセット量Δspの更新は毎制御周期に完全更新するのではなく、計測される制御量PVにローパスフィルタ処理を施して式(3)によりPVオフセットEr_cを求めるか、あるいは計測される偏差Erにローパスフィルタ処理を施して式(3)によりPVオフセットEr_cを求めるようにすればよい。これらのローパスフィルタ処理としては、例えば1次遅れフィルタ処理が考えられる。また、計測される偏差Erに基づきPVオフセットEr_cが漸進的に更新されるように式(3)の算出にローパスフィルタ的な平滑化作用を与えるようにしてもよい。
実施の形態
以下、本発明の実施の形態について説明する。図2は本発明の実施の形態となる制御装置の構成を示すブロック図である。
図2の制御装置は、制御装置のオペレータによって設定された設定値SPを入力する設定値SP入力部1と、図示しないセンサによって検出された制御量PVを入力する制御量PV入力部2と、SPオフセット量を記憶するSPオフセット記憶部3と、制御量PVに対してローパスフィルタ処理を施すPVローパスフィルタ処理部4と、設定値SP、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量およびローパスフィルタ処理された制御量に基づきSPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量を更新するSPオフセット更新処理部5と、設定値SPに更新後のSPオフセット量を加えた値と制御量PVとの偏差に基づき操作量MVを算出するPID制御演算部6と、図示しない制御対象に対して操作量MVを出力する操作量MV出力部7とを有する。
以下、本実施の形態の動作について説明する。図3は本実施の形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
設定値SPは、制御装置のオペレータによって設定され、設定値SP入力部1を介してSPオフセット更新処理部5およびPID制御演算部6に入力される(図3ステップ101)。制御対象の制御量PVは、図示しないセンサによって検出され、制御量PV入力部2を介してPVローパスフィルタ処理部4およびPID制御演算部6に入力される(ステップ102)。
次に、PVローパスフィルタ処理部4は、制御量PVにローパスフィルタ処理を施した制御量PV_fを出力する(ステップ103)。すなわち、PVローパスフィルタ処理部4は、以下のような伝達関数式で表される処理を行う。
PV_f={1/(1+Tf1s)}PV ・・・(4)
式(4)において、Tf1は予め設定されたフィルタ時定数、sはラプラス演算子である。
SPオフセット更新処理部5は、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量Δsp、設定値SP入力部1から入力された設定値SPおよびPVローパスフィルタ処理部4から入力された制御量PV_fに基づいて、SPオフセット量Δspを更新するSPオフセット更新処理を行う(ステップ104)。更新後のSPオフセット量をΔsp_new、SPオフセット記憶部3に記憶されている更新前のSPオフセット量をΔsp_oldとすると、更新後のSPオフセット量Δsp_newは次式のようになる。
Δsp_new=SP+Δsp_old−PV_f ・・・(5)
SPオフセット更新処理部5は、式(5)によりSPオフセット量Δsp_newを算出し、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量Δsp_oldを算出したSPオフセット量Δsp_newに更新する。
PID制御演算部6は、設定値SP入力部1から入力された設定値SP、制御量PV入力部2から入力された制御量PVおよびSPオフセット記憶部3から入力された更新後のSPオフセット量Δsp(=Δsp_new)に基づき、次式の伝達関数式のようなPID制御演算を行って操作量MVを算出する(ステップ105)。
MV=(100/Pb){1+(1/Tis)+Tds}(SP+Δsp−PV)
・・・(6)
Pb,Ti,Tdは予め設定されたPIDパラメータであり、Pbは比例帯、Tiは積分時間、Tdは微分時間である。
操作量MV出力部7は、PID制御演算部6によって算出された操作量MVを図示しない制御対象(実際にはヒータ等のアクチュエータ)に出力する(ステップ106)。
以上のようなステップ101〜106の処理が例えばオペレータによってPID制御の終了が指示されるまで(ステップ107においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
本実施の形態によれば、計測される制御量PVをPVローパスフィルタ処理部4によりローパスフィルタ処理して、ローパスフィルタ処理した制御量PV_fに基づきSPオフセット量Δspを更新するようにしたので、SPオフセット量Δspを適切に更新することができ、リードラグ補償要素を付加した特許文献1のコントローラに比べて、より効果的にPVオフセットEr_cを低減することができる。
また、本実施の形態では、制御量PVの変化に応じてSPオフセット量Δspを適切に更新するようにしたので、予定外のPVオフセットEr_cが発生した場合や、制御対象の特性の経時変化が要因となってPVオフセットEr_cが時間と共に変化するような場合にも対応することができ、PVオフセットEr_cによる制御精度の低下を回避することができる。
図4は本実施の形態の制御装置の効果を示す図である。本実施の形態によれば、制御中に制御対象の特性が変化すると、図4(a)に示すように制御量PVが僅かに変化するが、この制御量PVの変化に応じてSPオフセット量Δspを変化させるので、設定値SPにSPオフセット量Δspを加えた値SP’と制御量PVとの偏差が増大し、この偏差の増大に応じてPID制御演算部6で算出される操作量MVは図16(b)に示した操作量MV3よりも大きく変化する。したがって、制御量PVが図16(a)に示した制御量PV3のように大きく変化することはなく、PVオフセットEr_cの増大を抑えることができる。
第1の参考例
次に、本発明の第1の参考例について説明する。図5は本発明の第1の参考例となる制御装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。
図5の制御装置は、設定値SP入力部1と、制御量PV入力部2と、SPオフセット記憶部3と、設定値SPと制御量PVとの偏差Erに対してローパスフィルタ処理を施すErローパスフィルタ処理部4aと、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量およびローパスフィルタ処理された偏差に基づきSPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量を更新するSPオフセット更新処理部5aと、PID制御演算部6と、操作量MV出力部7とを有する。
以下、本参考例の動作について説明する。図6は本参考例の制御装置の動作を示すフローチャートである。ステップ201,202の処理はそれぞれ実施の形態のステップ101,102と同じである。
Erローパスフィルタ処理部4aは、設定値SP入力部1から入力された設定値SPと制御量PV入力部2から入力された制御量PVの偏差Erを算出し、この偏差Erにローパスフィルタ処理を施した偏差Er_fを出力する(図6ステップ203)。
Erローパスフィルタ処理部4aは、偏差Erを次式のように算出する。
Er=SP−PV ・・・(7)
そして、Erローパスフィルタ処理部4aは、以下のような伝達関数式により偏差Erにローパスフィルタ処理を施した偏差Er_fを算出する。
Er_f={1/(1+Tf2s)}Er ・・・(8)
式(8)において、Tf2は予め設定されたフィルタ時定数である。
SPオフセット更新処理部5aは、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量ΔspおよびErローパスフィルタ処理部4aから入力された偏差Er_fに基づいて、SPオフセット量Δspを更新するSPオフセット更新処理を行う(ステップ204)。更新後のSPオフセット量をΔsp_new、SPオフセット記憶部3に記憶されている更新前のSPオフセット量をΔsp_oldとすると、更新後のSPオフセット量Δsp_newは次式のようになる。
Δsp_new=Δsp_old+Er_f ・・・(9)
SPオフセット更新処理部5aは、式(9)によりSPオフセット量Δsp_newを算出し、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量Δsp_oldを算出したSPオフセット量Δsp_newに更新する。
ステップ205,206の処理は、それぞれ実施の形態のステップ105,106と同じである。
以上のようなステップ201〜206の処理が例えばオペレータによってPID制御の終了が指示されるまで(ステップ207においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
参考例によれば、設定値SPと制御量PVとの偏差ErをErローパスフィルタ処理部4aによりローパスフィルタ処理して、ローパスフィルタ処理した偏差Er_fに基づきSPオフセット量Δspを更新するようにしたので、SPオフセット量Δspを適切に更新することができ、PVオフセットEr_cを効果的に低減することができる。また、偏差Er_fの変化に応じてSPオフセット量Δspを適切に更新するようにしたので、予定外のPVオフセットEr_cが発生した場合や、PVオフセットEr_cが時間と共に変化するような場合にも対応することができる。
第2の参考例
次に、本発明の第2の参考例について説明する。図7は本発明の第2の参考例となる制御装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。
図7の制御装置は、設定値SP入力部1と、制御量PV入力部2と、SPオフセット記憶部3と、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量および設定値SPと制御量PVとの偏差Erに基づきSPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量を漸進的に更新するSPオフセット平滑化更新処理部5bと、PID制御演算部6と、操作量MV出力部7とを有する。
以下、本参考例の動作について説明する。図8は本参考例の制御装置の動作を示すフローチャートである。ステップ301,302の処理はそれぞれ実施の形態のステップ101,102と同じである。
SPオフセット平滑化更新処理部5bは、設定値SP入力部1から入力された設定値SPと制御量PV入力部2から入力された制御量PVの偏差Erを算出し、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量Δspを偏差Erに基づき漸進的に更新するSPオフセット平滑化更新処理を行う(図8ステップ303)。
すなわち、SPオフセット平滑化更新処理部5bは、式(7)により偏差Erを算出する。そして、SPオフセット平滑化更新処理部5bは、更新後のSPオフセット量をΔsp_new、SPオフセット記憶部3に記憶されている更新前のSPオフセット量をΔsp_oldとすると、更新後のSPオフセット量Δsp_newを次式のように算出する。
Δsp_new=(1.0−A)Δsp_old+A(Δsp_old+Er)
・・・(10)
式(10)において、Aは0.0<A<1.0の範囲で予め設定された定数である。定数Aの値は数学的には0.0<A<1.0の範囲でよいが、SPオフセット量Δspの漸進的な更新を効果的に行うためには、0に近い値(例えばA=0.01)に設定するのがよい。
SPオフセット平滑化更新処理部5bは、式(10)によりSPオフセット量Δsp_newを算出し、SPオフセット記憶部3に記憶されているSPオフセット量Δsp_oldを算出したSPオフセット量Δsp_newに更新する。
ステップ304,305の処理は、それぞれ実施の形態のステップ105,106と同じである。
以上のようなステップ301〜305の処理が例えばオペレータによってPID制御の終了が指示されるまで(ステップ306においてYES)、制御周期毎に繰り返し実行される。
参考例によれば、設定値SPと制御量PVとの偏差Erに基づきSPオフセット量Δspを漸進的に更新するようにしたので、SPオフセット量Δspを適切に更新することができ、PVオフセットEr_cを効果的に低減することができる。また、偏差Erの変化に応じてSPオフセット量Δspを適切に更新するようにしたので、予定外のPVオフセットEr_cが発生した場合や、PVオフセットEr_cが時間と共に変化するような場合にも対応することができる。
なお、実施の形態および第1〜第2の参考例で説明した制御装置は、演算装置、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
本発明は、プロセス制御技術に適用することができる。
本発明の基本原理を説明するための図である。 本発明の実施の形態となる制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態となる制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態となる制御装置の効果を示す図である。 本発明の第1の参考例となる制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の参考例となる制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の参考例となる制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の参考例となる制御装置の動作を示すフローチャートである。 従来の温度制御系における温度とヒータ出力との関係の1例を示す図である。 従来の温度制御系における温度とヒータ出力との関係の他の例を示す図である。 低感度のコントローラによって発生したPVオフセットと操作量との関係を示す図である。 高感度のコントローラによって発生したPVオフセットと操作量との関係を示す図である。 過度に高感度なコントローラによって発生したハンチングを示す図である。 リードラグ補償要素を付加したコントローラによるPVオフセットの低減効果を示す図である。 設定値にSPオフセットを与える方法によるPVオフセットの低減効果を示す図である。 設定値にSPオフセットを与える方法の問題点を説明するための図である。
符号の説明
1…設定値SP入力部、2…制御量PV入力部、3…SPオフセット記憶部、4…PVローパスフィルタ処理部、4a…Erローパスフィルタ処理部、5、5a…SPオフセット更新処理部、5b…SPオフセット平滑化更新処理部、6…PID制御演算部、7…操作量MV出力部。

Claims (2)

  1. 設定値SPにSPオフセット量を与えることにより設定値SPと制御量PVとの定常偏差を低減する制御方法において、
    計測される制御量PVに対してローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ処理手順と、
    更新前のSPオフセット量をΔsp_old、更新後のSPオフセット量をΔsp_new、前記ローパスフィルタ処理された制御量PVをPV_fとしたとき、Δsp_new=SP+Δsp_old−PV_fによりSPオフセット量を更新する更新処理手順と、
    設定値SPに前記更新後のSPオフセット量Δsp_newを加えた値と前記制御量PVとの偏差に基づき操作量を算出し、この操作量を制御対象に出力する制御演算手順とを備えることを特徴とする制御方法。
  2. 設定値SPにSPオフセット量を与えることにより設定値SPと制御量PVとの定常偏差を低減する制御装置において、
    SPオフセット量を記憶する記憶部と、
    計測される制御量PVに対してローパスフィルタ処理を施すローパスフィルタ処理部と、
    前記記憶部に記憶されている更新前のSPオフセット量をΔsp_old、更新後のSPオフセット量をΔsp_new、前記ローパスフィルタ処理された制御量PVをPV_fとしたとき、Δsp_new=SP+Δsp_old−PV_fにより前記記憶部に記憶されているSPオフセット量を更新する更新処理部と、
    設定値SPに前記更新後のSPオフセット量Δsp_newを加えた値と前記制御量PVとの偏差に基づき操作量を算出し、この操作量を制御対象に出力する制御演算部とを備えることを特徴とする制御装置。
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