JP4119270B2 - 金属含有プラスチック製品処理方法及び処理装置 - Google Patents

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Separation Of Solids By Using Liquids Or Pneumatic Power (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材料を備えた熱可塑性プラスチック製品から有価物としての金属材料等を回収する金属含有プラスチック製品処理方法及び当該処理方法を好適に実現するための処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
OA機器、携帯端末、携帯電話、テレビ、掃除機、冷蔵庫などの各種電気製品、特にこれらの制御部に用いられているプリント配線基盤、更には溶融管継手、樹脂被覆電線、光ケーブル、繊維強化プラスチックなど、金属材料と一体に形成された金属含有プラスチック製品は数多く存在する。
【0003】
これらの金属含有プラスチック製品の廃棄処理、或いは製造過程において成形不良となった製品の再利用処理においては、金属材料とプラスチック材料とをきれいに、しかも効率良く分離することが求められる。そこで従来、そのための処理方法として、金属含有プラスチック製品のプラスチック材料を加熱溶解させて金属材料等と分離させる処理方法が各種提案されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1(特開平5−147041号)は、食用廃油を170〜175℃に加温し、この食用廃油中に金属含有プラスチック製品を投入すると共に食用廃油を攪拌してプラスチックを溶解させ、金属素材が剥き出しになったところで食用廃油の加熱を中止して自然冷却させ、その後、食用廃油中から金属素材を取り出すというプラスチック廃棄物の金属素材選別方法を開示している。
また、特許文献2(特開昭10−137734号)は、プラスチック材が軟化溶融する温度に加熱されたてんぷら油などの植物性油内に、OA機器や家電製品などの電気製品の廃棄物を投入し、軟化溶融して植物性油の上部に浮上した溶解プラスチック材を取り出し、その後、油槽内に残留する金属材を取り出す電気製品の廃棄物の処理方法を開示している。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−147041号公報
【特許文献2】
特開昭10−137734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案の如く、加熱媒体としての油中に金属含有プラスチック製品、例えば携帯電話などを投入すると、食品を油で揚げる如くプラスチック材料が加熱溶解して塊となって油上に浮上する一方、その他の金属材料等は油底に沈降することを本発明者は確かめることができた。
【0007】
しかしそれと同時に、上記提案の如く油中にプラスチック材料を投入すると、プラスチック材料が溶融した際に発火する場合があり、この発火を防ぐ手段を講じなければ実際に実施することは難しいことも分かった。
【0008】
そこで本発明は、金属含有プラスチック製品の処理において、プラスチック材料を油層中で安全かつ効率良く加熱溶解させることができる金属含有プラスチック製品の処理方法及びその処理に用いる装置を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、動物骨を焼成して得られた焼成骨材を油に配合してなるアパタイト混合油を所定温度に加熱する工程、このアパタイト混合油中に金属含有プラスチック製品を投入し、当該製品中のプラスチック材料を加熱溶解させてプラスチック材料と金属材料とを分離する工程を包含する金属含有プラスチック製品処理方法を提案する。
【0010】
焼成骨材を配合してなるアパタイト混合油を加熱媒体とすれば、金属含有プラスチック製品のプラスチック材料を加熱溶解し、金属材料とプラスチック材料とををきれいに分離することができることは勿論、油及びプラスチック材料の発火を防ぐことができる。これは、プラスチック材料が加熱溶解した際に発生するガス等を焼成骨材、特にその気孔が吸収するために発火を抑えることができるものと考えることができる。
なお、上記金属含有プラスチック製品処理方法において、焼成骨材と共に、或いはその代わりに後述する難燃剤を配合してもよい。
【0011】
本発明者はまた、冷却媒体としての水層上に加熱媒体としての油層を形成し、当該油層を所定温度に加熱する工程、当該油層中に金属含有プラスチック製品を投入し、当該製品中のプラスチック材料を加熱溶解させ、プラスチック材料を油層上部に浮上させ、金属材料を水層内に沈降させてプラスチック材料と金属材料とを分離する工程を包含する金属含有プラスチック製品処理方法を提案する。
【0012】
プラスチック材料を加熱溶解する加熱媒体としての油層の下層に冷却媒体としての水層を形成することによって、油層の温度が必要以上に上がるのを抑えることができ、油及びプラスチック材料の発火を防ぐことができる。この場合の油層をアパタイト混合油又は難燃剤配合油から構成すればより一層確実に発火を防ぐことができる。しかも、比重差によってプラスチック材料を油層内に浮上させ、金属材料などを水層内に沈降させることができ、プラスチック材料と金属材料等とをより一層きれいに分離することができる。また、油煙の原因となる微細な炭化物が油層中に残らないようになるため、油煙を抑制することにもなる。
【0013】
本発明者は、金属含有プラスチック製品の処理に用いる装置に関し、動物骨を焼成して得られた焼成骨材を油に配合して調製したアパタイト混合油或いは難燃剤を油に配合してなる難燃剤配合油からなる油層を有する分離処理槽を備えた金属含有プラスチック製品処理装置を提案する。
また、かかる構成の金属含有プラスチック製品処理装置において、分離処理槽の油層の下方に水層を形成する構成を備えた金属含有プラスチック製品処理装置も提案する。
【0014】
さらに本発明者は、油層を内部に備え、当該油層を所定温度に加熱する機能を備えた分離処理槽と、金属含有プラスチック製品を油層内で移送する製品搬送手段と、油層上部に浮上して来る浮上物を回収する浮上物回収手段とを備えた金属含有プラスチック製品処理装置を提案する。
金属含有プラスチック製品が製品搬送手段によって油層内を移送される間に、加熱された油によって当該製品中のプラスチック材料が溶解して当該製品から分離し油層上部に浮上する。浮上したプラスチック材料は浮上物回収手段により回収され、製品中の金属材料等は製品搬送手段に残留してそのまま搬送され回収される。
かかる構成を備えた装置において、分離処理槽は、少なくとも油層上部に一定方向の流れを形成する機能を備えた構成とするのが好ましい。このように構成すれば、油層上部に浮上して来る浮上物を浮上物回収手段で容易に回収することができる。
【0015】
さらにまた、本発明者は、金属含有プラスチック製品処理装置として、油層及び水層を内部に備え、当該油層を所定温度に加熱する機能及び当該油層の油を水平方向に循環させる機能を備えた分離処理槽と、金属含有プラスチック製品を油循環方向に油層内を移送し得る製品搬送手段と、油層上部に浮上して来る浮上物を回収する浮上物回収手段と、水層内に沈降して来る沈降物を回収する沈降物回収手段とを備えた金属含有プラスチック製品処理装置を提案する。具体的には、例えば油層の一部の下方に水層を形成し、金属含有プラスチック製品を当該油層内を水層上方まで移送するように構成することができる。
このように構成すれば、油層内を移送中にプラスチック材料は溶解して油層上部に浮上して浮上物回収手段に回収され、最後まで製品搬送手段に残留する金属等は水層中に沈降して沈降物回収手段に回収される。
また、本発明者が提案する金属含有プラスチック製品処理装置の油層表面には、二酸化炭素、窒素などの不燃性ガスを噴射するなどして、不燃性ガスを存在させる機能を備えているのが好ましい。このようにすれば、油層及びプラスチック材料(浮上物)の発火をより一層防ぐことができる。
【0016】
なお、本発明が提案する金属含有プラスチック製品処理方法を実現するためには、本発明の金属含有プラスチック製品処理装置を使用しなければならないという意図は有していない。
本発明の金属含有プラスチック製品における金属材料に代えて、ガラス材料やセラミックスなど、溶解温度がプラスチック材料と明らかに異なる材料にも適用可能であり、本発明においてこれらの材料は金属材料の均等物と考えることができる。
本発明において「金属含有プラスチック製品」とは、OA機器、携帯端末、携帯電話、テレビ、掃除機、冷蔵庫などの各種電気製品、特にこれらの制御部に用いられているプリント配線基盤、更には溶融管継手、樹脂被覆電線、光ケーブル、繊維強化プラスチックなど、金属材料とプラスチック材料とが一体に形成された製品を意味する。
また、本明細書において、金属材料等が水層に沈降する、或いは金属材料等の沈降物において、「沈降」には油層上部に浮上しない状態、例えば製品搬送手段上に残留する状態も包含している。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(実施例1)
処理装置1は、図1に示すように、加熱媒体としての油を収容して内部に油層Aを形成することが可能であって、油層A中に金属含有プラスチック製品を投入すると、当該製品のプラスチック材料を加熱溶解し、加熱溶解したプラスチック材料を比重差によって浮上させる一方、金属材料などを比重差によって沈降させることができる分離処理槽2と、
金属含有プラスチック製品を分離処理槽2内に投入して油層A内を移送する製品搬送手段3と、
分離処理槽2の底部に沈降して来る金属材料等を回収する沈降物回収手段4と、
沈降物回収手段4が回収した沈降物を収容する沈降物収容槽5と、
分離処理槽2の上部に浮上して来るプラスチック材料等を回収する浮上物回収手段6と、
浮上物回収手段6が回収した浮上物を収容する浮上物収容槽7と、
分離処理槽2から発生する油煙などのガスを回収するガス回収手段8と、
加熱媒体としての油を所定温度に加熱し、処理装置1内に供給する油加熱装置9と、を備えている。
【0019】
分離処理槽2は、単に加熱媒体としての油を収容するだけでなく、環状に一連となった油循環路槽10を備え、当該油を水平方向に循環させる機能を備えている。
油循環路槽10は、例えば図1に示すように、上面視細長楕円形状を呈する外壁10a内の中央部に長さ方向に沿って区画壁10bを設け、当該区画壁10bの外周に沿って油が水平方向に循環するように形成することができる。但し、このような構成に限定するものではない。
油循環路槽10内において油を一定方向に循環させる手段としては、後述するように油加熱装置9から油循環路槽10内への油の供給によって油循環路槽10内において油を一定方向に循環させ得るように構成することもできる。その他、例えば油循環路槽10内に別途ポンプを設けたり、製品搬送手段3のコンベア3aに羽根を設けて流れを形成するようにしたり、或いは油循環路槽10内に攪拌羽根を配設したり、任意の手段を採用することも可能である。
油循環路槽10の外壁10aの一部を耐熱ガラスや耐熱透明プラスチック等の耐熱性を備えた透明素材から形成して油循環路槽10内部の様子を観察できるように構成することもできる。
【0020】
分離処理槽2には水貯留部11を設けて油層Aの下方に水層Bを形成し得るように構成すると共に、この水貯留部11内の水層Bの水温を一定以下に維持するために水貯留部11に連通させて水冷却装置12を並設してある。
【0021】
水貯留部11は、図2に示すように、油循環路槽10内の適宜箇所(図では左上コーナー部分)に一段深い陥没部11aを設けると共に、この陥没部11aの底面11bを循環路10の外壁10aの外側まで延設し、外壁10aの外側において当該底面11bから周側面11cを立設し、これら陥没部11a及び周側面11cに囲まれた空間内に水を収容できるように構成してある。当該空間すなわち水貯留部11に水を入れ、その上から分離処理槽2内に油を入れれば油層Aの下方に水層Bを形成することができる。
循環路10の外壁10aの下端部には水位計15を配設してあり、水層部Bの水位を常に観察できるようにしてある。
【0022】
水冷却装置12は、水貯留部11部分の外壁10aに導管12a、12bを挿通させ、これら導管12a、12bを介して冷却槽12cを水貯留部11内と連通させてあり、水貯留部11内の水を導管12aを通じて回収し、回収した水を冷却槽12cにおいて所定温度まで冷却し、そして導管12bを通じて再び水貯留部11内に供給し得るように構成してある。
なお、冷却槽12cにおける冷却手段(熱交換手段)は任意の冷却手段を採用可能である。
【0023】
沈降物回収手段4は、水貯留部11内に配設してある。
沈降物回収手段4は、図2に示すように、水貯留部11の底面11bに沿ってコンベア4aを配設すると共に、このコンベア4aを傾斜部4bを介して分離処理槽2の外側の沈降物収容槽5まで延設し、水貯留部11内に投入され沈降して来る沈降物をコンベア4a上で受けとめ、コンベア4a上に載せたまま沈降物を沈殿物収容槽5まで搬送し得るように構成してある。
コンベア4aに磁石などを付設し、金属材料を確実に回収できるように構成することも可能である。
【0024】
製品搬送手段3は、油循環路槽10において、沈降物回収手段4の少なくとも上流側、本例の場合には沈降物回収手段4から略一周分上流位置(図の左下コーナー部分)を製品投入部とするように、すなわちこの部分から製品を油層A中に投入するように設けてある。
製品搬送手段3は、図3に示すように、分離処理槽2の外側から分離処理槽2の底部付近にかけて斜めにコンベア3aを配設すると共に、当該コンベア3aを油循環路槽10の底部に沿うように上記陥没部11aの上縁付近まで延設し、コンベア3a上に金属含有プラスチック製品を載せて油循環路槽10に沿って油層A内を移送し得るように構成してある。この移送中に製品のプラスチック材料は加熱溶解して製品から離脱するから、コンベア3a上に残留する金属材料等の沈降物を水貯留部11まで搬送してその中に投入することができるようにも構成してある。
但し、製品搬送手段3のコンベア3aと、沈降物回収手段4のコンベア4aとを連結させて連続した一本のコンベアを構成することも可能である。
【0025】
浮上物回収手段6は、油循環路槽10内における上記製品投入部の少なくとも下流側、本例の場合には、当該製品投入部から略半周分下流位置(図の右下コーナー部分)に配設してある。
この浮上物回収手段6は、図3に示すように、油循環路槽10の略全幅にわたるコンベア6aの先端部分を油層A内に斜めに適宜長さ突入させると共に、傾斜部6bを介して当該コンベア7aの他端部を分離処理槽2の外側まで延設し、油層A上部に浮上して来るプラスチック材料などの浮上物をコンベア6a上に収拾し、当該浮上物を分離処理槽2の外側に配設してある浮上物収容槽7まで移送し得るように構成してある。
【0026】
油加熱装置9は、分離処理槽2の適宜箇所、本例の場合には油循環10の右上コーナー部分に導管9a、9bを連結し、これら導管9a、9bを介して加熱槽9cを油循環路槽10に連通させ、油循環路槽10内の油を導管9aを通じて引き込み、引き込んだ油を加熱槽9cにおいて所定温度まで加熱し、導管9bを通じて再び油循環路槽10内に供給し得るように構成すると共に、さらに本例では、油加熱装置9から油循環路槽10内への油の供給によって油循環路槽10内において油を一定方向に循環させ得るようにも構成してある。
【0027】
加熱槽9cにおける加熱手段(熱交換手段)は、電気ヒーター、燃焼バーナーなど任意の加熱手段を採用可能であるが、設定温度を適宜調整することができる加熱手段を採用するのが好ましい。
また、油層Aの温度制御に関しては、油循環路槽10の底部に沿って温度設定ヒーターを配設し、分離処理槽2内の油の温度を所定温度に確実に維持できるように構成することも可能である。
【0028】
ガス回収手段8は、分離処理槽2の上方に、本例の場合には油循環路槽10上を覆うようにフード状の回収口8aを設け、当該回収口8aをガス送通管8bに収束させ、このガス送通管8bを排ガス処理槽30に連通させて構成してある。また、ガス送通管8b内には、動物の骨を焼成してなる焼成骨材を含有してなるアパタイトフィルター13を配設し、回収したガス中の有害成分をこのアパタイトフィルター13で吸着し得るようにしてある。
【0029】
アパタイトフィルター13は、例えば、動物の骨に熱を加えて繊維状或いはフィラメント状に形成してなる動物骨製繊維、又は、動物の骨を煮沸しこれを加熱溶解して繊維状又はフィラメント状に形成してなる動物骨製繊維をシート状に形成したものを使用することができる。動物の骨は、アルカリ化作用、抗菌性、吸着性などの各種作用を備えているが、これを繊維状或いはフィラメント状としたものは比表面積が大きいためにこれら各種作用がより一層優れている。
【0030】
なお、ガス回収手段8の構造は、分離処理槽2内で発生したガス及び煙を吸引し得る構成であればその具体的構成は任意であり、必ずしもアパタイトフィルター13を配設する必要もない。
また、ガス回収手段8は、分離処理槽2の上方ばかりでなく、側方,特に四側方をも覆うように配設することがより一層好ましい。
また、回収口8aからガス送通管8b内に向けて窒素や二酸化炭素などの不燃性ガスを噴射させたり、或いはアパタイトフィルター13に向けて不燃性ガスを噴射させたりして、ガス回収手段8内に不燃性ガスを存在させるように構成してもよい。これにより、収集したガスの発火をより一層確実に防ぐことができる。
【0031】
排ガス処理槽30は、図4に示すように、貯液槽31と、この貯液槽31に連通した液浄化槽33と、ガス送出管35とを備えている。
貯液槽31の内部には円筒状の仕切壁32を設け、仕切壁32で囲まれた壁内側部31aとその外側の壁外側部31bとに仕切り、壁内側部31aには焼成骨材を散在させた水を入れ、壁外側部31bには水を入れてある。焼成骨材については詳しく後述するが、焼成骨材は極めて吸着能に優れており、ガス中の成分を吸着することができる。
仕切壁32には多数の孔が設けてあり、水や水の溶解物などは通過可能であるが、焼成骨材は通過できないようにしてある。
貯液槽31と液浄化槽33とは液送通管34a、34bを介して連通させてあり、液浄化槽33内のポンプ(図示なし)にて貯液槽31内の汚れた水を液送通管34bを介して吸引し、液浄化槽33にて浄化した後、液送通管34aを介して貯液槽31内に供給するように構成してある。なお、液浄化槽33の浄化手段は任意の手段を採用可能である。
【0032】
上記構成を備えた排ガス処理槽30の貯液槽31内に、ガス送通管8bの先端部を延設し、その先端部を水中に突入させてある。また、ガス送通管8bの先端部付近内部に吸引装置(ブロウ)36を配設してあり、ガス回収手段8が集めたガスをガス送通管8bを介して貯液槽31内の水中に供給しバブリングするように構成してある。
以上のように、ガス回収手段8に集められたガスは、ガス送通管8bを介して貯液槽31内の水中にバブリングされ、ガス中の有害成分(窒素系、硫黄系など)は水に溶解するか或いは焼成骨材に吸着される。そして、水面上に到達したガスはガス送出管35によって系外に送り出される。他方、有害物質を含んだ水は液送通管34bを介して液浄化槽33に送られ、液浄化槽33にて浄化され後、液送通管34aを介して貯液槽31内に戻されるようにしてある。
ガス送出管35を更に別の排ガス処理槽に連通させ、更に浄化処理するように構成することもできる。
【0033】
(油層A:熱媒体)
熱媒体としての油すなわち油層Aを構成する油としては、鉱物油、動物油又は植物油をそのまま使用することも可能であるが、次に説明するアパタイト混合油を使用するのが好ましい。
【0034】
アパタイト混合油は、鉱物油、動物油或いは植物油、或いはこれらの二種類以上を混合してなる油に、下記アパタイトすなわち焼成骨材を配合し、更に好ましくは難燃剤を配合して調製することができる。
【0035】
アパタイト混合油の好ましい一例として、植物油と鉱物油とを7:3で配合した混合油に焼成骨材を3〜10重量%、難燃剤としての塩化カルシウム又はシリコンを2〜10重量%配合したものを挙げることができる。
【0036】
(焼成骨材)
油層A内のアパタイト混合油に混入する焼成骨材、並びに排ガス処理槽20の貯液槽21内の水中に混入する焼成骨材について説明する。
焼成骨材としては、動物の骨を適当な大きさに切断乃至粉砕し、煮沸し、焼成したものを用いることができる。
原料とする「動物の骨」は、哺乳類、魚類、鳥類、その他の生物の骨、貝殻及びサンゴからなる群から選択される1種或いは2種類以上を用いることができるが、牛、馬、羊等の草食動物の硬骨を主体とするもの、中でも畜産場等で廃棄される生骨が好ましい。なお、豚、猪等は軟骨が多く、製造途中の煮沸工程で大部分が溶けてしまう可能性がある。
原料とする「動物の骨」は、適度な大きさ(例えば5mm〜50mm、好ましくは5mm〜30mm)に切断乃至粉砕して破砕片状、粒子状、或いは粉状とした後に煮沸するのが好ましい。この際、あまりに細かな粉状とすると熱圧によって骨材の溶解速度が遅くなる。
なお、骨材の破砕は、煮沸後の骨材を一旦凍結庫(冷凍庫)等内で凍結させ、凍結した骨を粉砕するようにしてもよい。煮沸後の骨は気孔の中に多数の水分が残存しているため凍結し易く、凍結した骨は粉砕くなるからである。この際の凍結時の温度はマイナス100度〜マイナス40度程度で時間は1〜3時間前後とするのが好ましい。
煮沸は、にかわ、エナメル、脂肪、骨ずい等の有機物を骨から分離除去するための工程であり、煮沸によって骨の外側のみならず気孔内に付着している有機物をも分離除去することができる。
具体的に煮沸工程では、上記処理した骨を圧力釜(圧縮釜)に投入し、5気圧前後の圧力をかけて約200〜400℃で60分程度煮沸する。この際、圧力釜の中にカセイソーダ又は製造済みの骨粉を混入して煮沸すれば、カセイソーダや水酸化カリウム等のアルカリの作用で有機物が鹸化されて水に溶けやすくなり、有機物の分離作用が促進されて骨から除去されやすくなるから、煮沸時間を短縮することができる。この場合のカセイソーダまたは骨粉の混入量としては、生骨200kg に対してカセイソーダを200〜300cc または骨粉を500g 〜1kg 程度混入するのが好ましい。
このようにして得られた動物骨粒は900°C〜1100°C前後で焼成する。これによって有機物などを充分に除去することができる。
焼成した骨材は、冷却後、必要に応じてパウダー機にかけて20〜200メッシュ前後、例えば50〜100メッシュの粉状の骨粉に粉砕した後充分に乾燥させておくのが好ましい。この際、カセイソーダで処理することにより有機物その他の汚れをより一層完全に落とすことができる。
以上の製造方法によれば、例えば、牛骨を原料とした場合であれば原料生骨の重量比約40%の骨粉を得ることができ、当該骨粉は、カルシウム(約33重量%)を主成分とし、リン(約16.7%)、バリウム(約1.03%),ナトリウム(約0.76%),イオウ(約0.64%)、他にマグネシウム、カリウム、塩素、アミン、鉄等を含有する。また、粒子の内外に渡って無数の微小気孔が連通存在し、イオン化すればカルシウム、ナトリウム等によりアルカリ性を呈する。
このような焼成骨材を油中に混入することで、油の酸化を抑えることができるほか、油の発火を抑えることができ、更には脱臭材としても作用する。
【0037】
(難燃剤)
難燃剤としては、臭素−アンチモン系難燃剤、有機リン系難燃剤(赤燐粒子、赤燐粒子を樹脂コーティングした粒子、酸化チタン+赤燐粒子、更に酸化アルミニウムを配合した粒子など)、無機水和物系難燃剤、モリブデン酸亜鉛やシリコーン系ポリマーを配合した非ハロゲン−非アンチモン系難燃剤、塩化カルシウム、重曹、ミョウバンその他の難燃剤のいずれか或いはそれらの二種類以上の組合わせを用いることができる。中でもシリコン、重曹、ミョウバンなどが好ましく、混入量としては油に対して2〜10重量%程度が好ましい。
【0038】
(金属含有プラスチック製品処理方法)
次に、上記の処理装置1を用いた金属含有プラスチック製品処理方法の一例について説明する。
【0039】
製品投入までの準備として、水貯留部11に水を入れ、分離処理槽2内には油、好ましくはアパタイト混合油を入れ、分離処理槽2内に油層A及び水層Bを形成する。
次に、油加熱装置9を作動させ、油循環路槽10内の油層Aの温度を所定温度に加熱すると共に、油循環路槽10内の油を一定方向に循環させる。
【0040】
上記準備が終了したら、図3に示すように、コンベア3a上に金属含有プラスチック製品(x+y)を順次載せ、製品(x+y)を油層A内に投入する。ちなみに、金属含有プラスチック製品(x+y)の「x」はプラスチック材料、「y」は金属材料等を示し、「(x+y)」はプラスチック材料xと金属材料等yが一体となった金属含有プラスチック製品を示している。
コンベア3a上の各金属含有プラスチック製品(x+y)は、コンベア3a上に載ったまま油層A内を油循環路槽10に沿って移送される。製品(x+y)が油層A内を移送される間、熱媒体としての油によって製品(x+y)は加熱され、溶融温度の低いプラスチック材料xは油の熱によって加熱溶解して金属材料等yなどから分離し、油層Aとの比重差によってプラスチック材料xは塊となって油層A上部に浮上する。そして油層Aの循環流に流されて浮上物回収手段6に到達し、ここでコンベア6a上に収拾され、コンベア6aにより浮上物収容槽7まで搬送され回収される。なお、分離が遅れて一周目でプラスチック材料xを浮上物回収手段6が回収できない場合でも、油層Aは循環しているから次の周で回収することができる。
その一方、金属材料yなどはそのまま浮上することなくコンベア3a上に沈降した状態で残留し、図2に示すように、コンベア3a上を移送され貯留部11内に投入される。そして、水貯留部11内すなわち水層B内を沈降してコンベア4a上に収拾され、沈降物収容槽5まで搬送され回収される。
【0041】
また、油層A上に発生した油煙及びその他のガスは、回収口8aに回収され、ガス送通管8bを通じて排ガス処理槽30に送られ、浄化処理される。
【0042】
なお、上記処理において、加熱媒体としての油(油層A)の温度は、一般的には100℃〜400℃に設定するのが好ましい。
ガラスなどの金属及びプラスチック以外の材料が含まれる場合には、溶解温度の低い順に上記同様に処理すれば、それぞれを分離回収することができる。
【0043】
(実施例2)
次に、上記処理装置1とは異なる構成の処理装置21について説明する。
【0044】
処理装置21は、図5に示すように、加熱媒体としての油層Aとその下方の水層Bとを内部に収容可能であって、油層A中に金属含有プラスチック製品を投入すると、当該製品のプラスチック材料を加熱溶解し、加熱溶解したプラスチック材料を比重差によって油層A上部に浮上させる一方、金属材料などは比重差によって水層B内に沈降させることができる分離処理槽22と、
金属含有プラスチック製品を分離処理槽22内に投入する製品搬送手段23と、
分離処理槽22の底部に沈降した金属材料等を回収する沈降物回収手段24と、
分離処理槽22の上部に浮上したプラスチック材料等を回収する浮上物回収手段25と、
油層Aの油を所定温度に加熱する油加熱装置26と、
水層Bの温度を所定温度以下に維持する水冷却装置27と、
を備えている。
【0045】
分離処理槽22は、上部開放をした凹状を呈しているが、特にその材料及び形状を特に限定するものではない。また、分離処理槽22の外壁の一部を耐熱ガラスや耐熱透明プラスチックから形成して分離処理槽22内部の様子を観察することができるように構成することもできる。
【0046】
製品搬送手段23は、コンベア23aの先端を分離処理槽22の開口上、好ましくは中央部よりも手前側寄りの開口上まで延設し、移送して来た製品を分離処理槽22内に落下投入することができるように構成してある。
【0047】
沈降物回収手段24は、分離処理槽22の底部にコンベア24aを配設すると共に、傾斜部24bを介して分離処理槽22の外側まで当該コンベア24aを延設し、水層B内すなわち分離処理槽22の底部に沈降して来る沈降物(金属材料など)をコンベア24a上で受けとめ、コンベア24a上に載せて分離処理槽22の外側まで移送し得るように構成してある。なお、コンベア24aに磁石などを付設し、金属材料を確実に回収できるように構成することも可能である。
【0048】
浮上物回収手段25は、分離処理槽22内における上記製品搬送手段23とは反対側寄りにおいて、コンベア25aの先端部分を油層A内に斜めに適宜長さ突入させると共に、傾斜部25bを介して当該コンベア25aの他端部を分離処理槽2の外側まで延設し、油層A上部に浮上して来たプラスチック材料などの浮上物をコンベア25a上に収拾し、当該浮上物を分離処理槽2の外側まで移送し得るように構成してある。
【0049】
油加熱装置26は、分離処理槽22の周側部上部すなわち油層A部分の適宜箇所に導管26a、26bを連結し、これら導管26a、26bを介して加熱槽26cを油層Aに連通させ、油を導管26aを通じて引き込み、引き込んだ油を加熱槽26cにおいて所定温度まで加熱し、導管26bを通じて再び分離処理槽22内に供給し、更にこの供給の際の噴射によって油層Aの表面層を一定方向に流れを作るように構成してある。
加熱槽26cにおける加熱手段(熱交換手段)は、電気ヒーター、燃焼バーナーなど任意の加熱手段を採用可能であるが、設定温度を適宜調整することができる加熱手段を採用するのが好ましい。
【0050】
水冷却装置27は、分離処理槽22の周側部下部すなわち水層B部分の適宜箇所に導管27a、27bを連結し、これら導管27a、27bを介して加熱槽26cを水層Bに連通させ、水を導管27aを通じて引き込み、引き込んだ水を冷却槽27cにおいて所定温度まで冷却し、導管27bを通じて再び分離処理槽22内に供給し得るように構成してある。
冷却槽27cにおける冷却手段(熱交換手段)は、任意の冷却手段を採用可能である。
【0051】
かかる構成を備えた処理装置21を用いた金属含有プラスチック製品処理方法の一例について説明する。
【0052】
製品投入までの準備として、分離処理槽22に水を入れた後、油を入れ、油層Aに水層B及び油層Aを形成する。
次に、油加熱装置26及び水冷却装置27を作動させ、分離処理槽22内の油層A及び水層Bの温度を所定温度に調製すると共に、油層Aの表面に一定方向の流れを形成しておく。
【0053】
上記準備が終了したら、コンベア23a上に金属含有プラスチック製品(x+y)を順次載せ、製品(x+y)を油層A内に投入する。
油層A内に投入された製品(x+y)は、加熱媒体としての油によって加熱され、溶融温度の低いプラスチック材料xは油の熱によって加熱溶解し、金属材料yなどから分離し、油層Aとの比重差によってプラスチック材料xは塊となって油層A上部に浮上し流れにのって浮上物回収手段25まで到達し、ここでコンベア25a上に収拾され分離処理槽22の外側に移送される。
その一方、金属製品yなどは水層B内を沈降してコンベア4a上に収拾され分離処理槽22の外側まで回収される。
【0054】
(実施例3)
次に、上記処理装置1、21とは異なる構成の処理装置41について説明する。
【0055】
処理装置41は、図6及び図7に示すように、
油層Aを内部に備え、油層Aを所定温度に加熱し得る機能を備えた分離処理槽42と、
金属含有プラスチック製品を分離処理槽42の油層A内に移送し、油層A内を移送し、残留物(沈降物)を分離処理槽42の外に搬出する製品搬送手段43と、
製品搬送手段43によって分離処理槽42の外に搬出されて来る残留物(沈降物)を収容する沈降物収容槽44と、
分離処理槽42の油層A上部に浮上して来るプラスチック材料等の浮上物を回収する浮上物回収手段45と、
浮上物回収手段45が回収した浮上物を収容する浮上物収容槽46と、を周囲を囲まれ略密閉状態にすることができる閉鎖室47内に備え、
この閉鎖室47の天井部47aには、分離処理槽42から発生する油煙などのガスを回収するガス回収手段48を配設してある。
【0056】
分離処理槽42は、加熱媒体としての油層Aを内部に収容可能な貯液槽50と、油層Aを所定温度に加熱する機能を備えた油加熱装置51と、少なくとも油層A上部に一定方向の流れを形成する油循環形成手段52と、を備えている。
【0057】
貯液槽50は、本例では直方体状に形成してあるが、このような形状に限定するものではない。
【0058】
油加熱装置51は、本例では、貯液槽50内の底部付近数箇所に加熱ヒーターを配設し、油層Aを100〜250℃に加熱し得るように構成してある。但し、油加熱装置51は油層Aを所望温度に加熱保持できればこのような構成に制限するものではなく、例えば上記油加熱装置9と同様に構成することもできる。
また、温度検知装置で油層Aの温度を常に監視し、油層A内を常に所望温度に保持するのが好ましい。
【0059】
油循環形成手段52は、本例の場合、貯液槽50の長手方向一側端部寄り部位に、貯液槽50の短手方向略全幅に渡り、貯液槽50の上下部に油層Aの油が流通し得る間隔ができるように仕切板52aを配設すると共に、この仕切板52aによって仕切られた貯液槽50の一側端部の空間52b内に攪拌羽根52cを配設して構成してある。攪拌羽根52cを回転させることによって空間52b内の油が上昇し、図6の矢印の如く、油層A上部では製品移送方向の流れが形成され、貯液槽50の他側端部では下降する流れが形成され、底部では製品移送方向とは逆の流れが形成される。よって、縦断面に見ると、油を一定の方向に対流させることができる。
【0060】
この際、貯液槽50内に収容する油、すなわち油層Aを構成する油としては、上記同様のアパタイト混合油或いは難燃剤を配合した難燃剤配合油を使用するのが好ましい。
【0061】
なお、図示はしないが、分離処理槽42の上縁部付近で、少なくとも油層Aの表面より上方部にガス噴射口を設け、このガス噴射口から油層Aの表面に窒素や二酸化炭素などの不燃性ガスを噴射させて、油層Aの表面に不燃性ガスを存在させるように構成すれば、油層Aの発火を確実に防ぐことができる。この際、不燃性ガスを単に存在させるだけではなく、油面に噴射させるのが好ましい。
【0062】
製品搬送手段43は、貯液槽50の縁まで金属含有プラスチック製品を移送する移送部43Aと、当該移送部43Aに連結し、貯液槽50の底部まで下り傾斜状に金属含有プラスチック製品を移送する移送部43Bと、当該移送部43Bに連結し、貯液槽50の底部に沿って金属含有プラスチック製品を移送する移送部43Cと、当該移送部43Cに連結し、貯液槽50の底部から分離処理槽42の外まで上り傾斜状に残留物(沈降物)を移送する移送部43Dと、当該移送部43Dに連結し、残留物(沈降物)を沈降物収容槽44まで移送する移送部43Eとから構成してある。
具体的には、移送部43A〜43Eはいずれも、貯液槽50の短手幅と略同じ幅を有するネット状のコンベアから形成してあり、この上に製品を載せて搬送することができる。
なお、移送部43D及び移送部43Eに磁石などを付設し、金属材料を確実に確保できるように構成することもできる。
【0063】
浮上物回収手段45は、少なくとも製品搬送手段43(43B)が油層A内に侵入する位置、すなわち製品投入部の下流側に設置してある。
浮上物回収手段45は、油層A上部を流れて来る浮上物を収拾することができれば、その具体的構成については格別な制約はない。例えば、上記浮上物回収手段6、25と同様に構成することもできるし、又、図に示すように、一面を開口してなる網材からなるケージ45aを、油層A上部で開口し、かつ油の流れと直交する方向に移動可能に設置し、開口部から浮上物をケージ内に収拾した後、ケージ45aが移動して浮上物収容槽46に浮上物を移送するように構成することもできる。又、図示はしないが、ネットを油層A上部に配設すると共に、このネットを油の流れと直交する方向に順次送ることができるように構成し、ネットが収拾した浮上物を浮上物収容槽46まで移送し得るように構成することもできる。
【0064】
沈降物収容槽44及び浮上物収容槽46の構成には特別の制約はなく、任意に構成すればよい。例えば、沈降物収容槽44内に水を収容して残留物(沈降物)を沈降させるようにしてもよい。
【0065】
ガス回収手段48は、略密閉可能な室47の天井部47aに回収口48aを設け、当該回収口48aにガス送通管48bを連結して上記ガス回収手段8と同様に構成してある。
【0066】
(金属含有プラスチック製品処理方法)
次に、上記処理装置41を用いた金属含有プラスチック製品処理方法の一例について説明する。
【0067】
製品投入までの準備として、分離処理槽42内に油を入れ、油加熱装置51により貯液槽50内の油層Aの温度を所定温度に加熱し、油循環形成手段52によって油層Aを図6の図に示すように油を循環させ、少なくとも油層Aの上部に製品移送方向の流れを形成する。
なお、加熱媒体としての油(油層A)の温度は、処理する金属含有プラスチック製品の種類によって適宜調整するのが好ましいが、一般的には100℃〜400℃に設定する。
【0068】
上記準備完了後、金属含有プラスチック製品を順次製品搬送手段43(移送部43A)上に載せ、当該製品を油層A内に移送する。
油層Aの中で、製品搬送手段43(移送部43B及び43C)上の各金属含有プラスチック製品は、油層A内を移動する間に熱媒体としての油によって加熱され、溶融温度の低いプラスチック材料は油の熱によって加熱溶解され、金属材料等から分離し、油層Aとの比重差によって塊となって油層A上部に浮上する。そして、油層A上部の循環流に流されて浮上物回収手段45に収拾され、浮上物収容槽46まで搬送される。
その一方、プラスチック材料が分離して製品搬送手段43(移送部43B及び43C)上に残された金属材料等(残留物)は、製品搬送手段43(移送部43C及び43D)に載ったまま油層Aからやがて貯液槽50の外まで移送され、製品搬送手段43(移送部43E)によって沈降物収容槽44まで搬送される。
沈降物収容槽44及び浮上物収容槽46内に回収された沈降物或いは浮上物を再び分離処理槽42内に投入するようにしてもよい。
【0069】
なお、実施例1〜3の装置を含む本発明の処理装置において、分離処理槽の油層A内に、油の流れを妨げないように、スクリュー羽根等の攪拌手段を配設してもよい。浮上物を攪拌手段で攪拌することにより浮上物に付着した金属材料等を沈降させることができる。
また、実施例1及び3では、製品搬送手段としてコンベアを採用しているが、その他任意の搬送手段を採用することができる。例えば、螺旋状に形成されたスクリューを油層A内に配設し、スクリューを回転させることで製品を回転させながら軸方向に搬送する構成を採用することもできる。また、通液穴を多数備えた円筒内で螺旋状に形成されたスクリューが回転する構成の搬送手段を油層A内に配設することもできる。
【0070】
また、実施例1〜3の装置を含む本発明の処理装置において、実施例1の油加熱装置9の如く、分離処理槽の油層Aの油を別の油処理槽に引き込み、この油処理槽で油を適宜処理した後、油を分離処理槽に供給する構成を加えることもできる。この際、油処理槽では、油加熱装置9の如く油の温度調整をするようにしてもよいし、又、フィルターを通して油の異物を除去するようにしてもよいし、又、油の還元処理を行ってもよい。又、古くなった油を新たな油と交換するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る金属含有プラスチック製品処理装置の一例を示した上面図である。
【図2】 図1に示した装置の奥側半分部分の構成を示した縦断面図である。
【図3】 図1に示した装置の手前側半分部分の構成を示した縦断面図である。
【図4】 排ガス処理槽の構成例を示した縦断面図である。
【図5】 図1とは異なる構成の金属含有プラスチック製品処理装置の一例を示した縦断面図である。
【図6】 図1及び図5とは異なる構成の金属含有プラスチック製品処理装置の一例を示した縦断面図である。
【図7】 図6に示した装置の内部を上視した平面図である。
【符号の説明】
1 処理装置
A 油層
B 水層
2 分離処理槽
3 製品搬送手段
4 沈降物回収手段
5 沈降物収容槽
6 浮上物回収手段
7 浮上物収容槽
8 ガス回収手段
9 油加熱装置
10 油循環路槽
11 水貯留部
12 水冷却装置
13 アパタイトフィルター
15 水位計
21 処理装置
22 分離処理槽
23 製品搬送手段
24 沈降物回収手段
25 浮上物回収手段
26 油加熱装置
27 水冷却装置
30 排ガス処理槽
31 貯液槽
31a 壁内側部
31b 壁外側部
32 仕切壁
33 液浄化槽
34a、34b 液送通管
35 ガス送出管
41 処理装置
42 分離処理槽
43 製品搬送手段43
44 沈降物収容槽
45 浮上物回収手段45
46 浮上物収容槽
47 室
48 ガス回収手段
50 貯液槽
51 油加熱装置
52 油循環形成手段
52a 仕切板
52b 空間
52c 攪拌羽根

Claims (3)

  1. 動物骨を焼成して得られた焼成骨材を油に配合してなるアパタイト混合油を所定温度に加熱する工程、このアパタイト混合油中に金属含有プラスチック製品を投入し、当該製品中のプラスチック材料を加熱溶解させてプラスチック材料と金属材料とを分離する工程を包含する金属含有プラスチック製品処理方法。
  2. 冷却媒体としての水層上に、動物骨を焼成して得られた焼成骨材を油に配合してなるアパタイト混合油からなる油層を形成し、当該油層を所定温度に加熱する工程、当該油層中に金属含有プラスチック製品を投入し、当該製品中のプラスチック材料を加熱溶解させ、プラスチック材料を油層上部に浮上させ、金属材料を水層内に沈降させてプラスチック材料と金属材料とを分離する工程を包含する金属含有プラスチック製品処理方法。
  3. アパタイト混合油に難燃剤を配合することを特徴とする請求項1又は2記載の金属含有プラスチック製品処理方法。
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