JP4117112B2 - ポジ型フォトレジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造等の超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケ−ションプロセスに使用するポジ型レジスト組成物に関するものである。更に詳しくは、エキシマレ−ザ−光を含む遠紫外線領域、特に250nm以下の波長の光を使用して高精細化したパターンを形成しうる遠紫外線露光用ポジ型フォトレジスト組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路はその集積度を益々高めており、超LSI等の半導体基板の製造においてはハーフミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外線の中でも短波長のエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArF等)を用いることが検討されるまでになってきている。
この波長領域におけるリソグラフィーのパターン形成に用いられるものとして、化学増幅系レジストがある。
【0003】
一般に化学増幅系レジストは、通称2成分系、2.5成分系、3成分系の3種類に大別することができる。2成分系は、光分解により酸を発生する化合物(以後、光酸発生剤という)とバインダー樹脂とを組み合わせている。該バインダー樹脂は、酸の作用により分解して、樹脂のアルカリ現像液中での溶解性を増加させる基(酸分解性基ともいう)を分子内に有する樹脂である。2.5成分系はこうした2成分系に更に酸分解性基を有する低分子化合物を含有する。3成分系は光酸発生剤とアルカリ可溶性樹脂と上記低分子化合物を含有するものである。
【0004】
上記化学増幅系レジストは紫外線や遠紫外線照射用のフォトレジストに適しているが、その中でさらに使用上の要求特性に対応する必要がある。ArF光源用のフォトレジスト組成物としては、部分的にヒドロキシ化したスチレン系樹脂よりもさらに吸収の少ない(メタ)アクリル系樹脂を光によつて酸を発生する化合物と組み合わせたフォトレジスト組成物が提案されている。
例えば特開平7−199467号、同7−252324号等がある。中でも特開平6−289615号ではアクリル酸のカルボキシル基の酸素に3級炭素有機基がエステル結合した樹脂が開示されている。
【0005】
さらに特開平7−234511号ではアクリル酸エステルやフマル酸エステルを繰り返し構造単位とする酸分解性樹脂が開示されているが、パターンプロファイル、基板密着性等が不十分であり、満足な性能が得られていないのが実情である。
【0006】
更にまた、ドライエッチング耐性付与の目的で脂環式炭化水素部位が導入された樹脂が提案されている。
特開平9−73173号、特開平9−90637号、特開平10−161313号公報には、脂環式基を含む構造で保護されたアルカリ可溶性基と、そのアルカリ可溶性基が酸により脱離して、アルカリ可溶性とならしめる構造単位を含む酸感応性化合物を用いたレジスト材料が記載されている。
【0007】
また、特開平9−90637号、同10−207069号、同10−274852号公報には、特定ラクトン構造を有する酸分解性樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。
【0008】
0.18μm及び0.13μm以下のデザインルールを用いたデバイスを製造するリソグラフィプロセスは露光放射として波長193nmの光を使用することが多いため、エチレン系不飽和性をあまり含まないレジストポリマーが所望される。
特開平10−10739号及び特開平10−307401号では、波長193nmに対する透明性は改善されているものの、必ずしも高感度とは言えず0.13μm以降のリソグラフィーを考えた場合には解像力が不足するなどのレジスト性能が不足している。
特開平10−130340号公報には、ノルボルネン構造を主鎖に有する特定の繰り返し構造単位を有するターポリマーを含有する化学増幅型のレジストが開示されている。
特開平11−305444号公報には、アダマンタン構造を側鎖に有する繰り返し構造単位と、無水マレイン酸を繰り返し構造単位として含有する樹脂が開示されている。
【0009】
しかしながら、このような化学増幅型のレジストは、微小なコンタクトホールパターンやトレンチパターンの解像性、及び疎密依存性について満足できるものではなかった。
コンタクトホールとは、半導体デバイスの電極用金属を半導体表面まで通す穴であり、近年、半導体デバイスの製造において、微細な線幅の形成に加え、コンタクトホールの形式に関しても微小化が進んでおり、微小なコンタクトホールパターンを解像できるポジ型フォトレジスト組成物が求められてきている。ところが、微小なコンタクトホールを解像するために、どのようなレジスト素材を設計すればよいかこれまで全く知られていなかった。また、微細な線幅を得るのに適したレジストが必ずしも微小なコンタクトホールパターンの解像には適さないことがわかってきている。
トレンチとは、連なった溝状のパターンをいい、トレンチについても、コンタクトホール同様に微小化が進み、微小なトレンチパターンを解像できるポジ型フォトレジスト組成物が望まれてきている。
また、近年デバイスの構造は複雑さを増しており特にLogic系デバイスにおいては、密集パターンから孤立パターンまで種々のピッチのパターンを同時に形成する必要がある。この場合、従来のレジスト材料では、密集パターンに対してと孤立パターン対してとで、感度が大きく異なるため、所望のパターン寸法を同一の露光量で再現できない問題(疎密依存性)があり、この疎密依存性の低減が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、半導体デバイスの製造において、コンタクトホールパターンやトレンチパターンについても良好な解像性を有し、疎密依存性も小さいポジ型フォトレジスト組成物を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ポジ型化学増幅系におけるレジスト組成物の構成材料を鋭意検討した結果、特定の構造のラクトン構造を有する酸分解性樹脂を用いることにより、本発明の目的が達成されることを知り、本発明に至った。
即ち、上記目的は下記構成によって達成される。
(1)(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)下記一般式(I−1)〜(I−4)の少なくともいずれかで表される基を有する繰り返し単位を含有する、酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂、及び(C)下記一般式(CI)で表される化合物、一般式(CII)で表される化合物、及び下記一般式(CIII)で示される多環式構造上に酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を含む置換基を少なくともひとつ有する構造を、少なくとも二つ有する化合物から選ばれる少なくともひとつの化合物を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
ただし、樹脂(B)が、下記一般式(I−1)で表される基を有する繰り返し単位を含有し、後述の一般式(a)で表される繰り返し単位を含有せず、一般式(CI)で表される化合物を含有するときは、一般式(CI)におけるR’で表される基はノルボルナンを含有しない、また、一般式(CI)で表される化合物として下記DRR4を除く。
【化15】
【化16】
【化17】
一般式(I−1)〜(I−4)中;
R1〜R5は同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基を表す。R1〜R5の内の2つは、結合して環を形成してもよい。
一般式(CI)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−N(R53)−、又は単結合を表す。R51、R52及びR53は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R’は、−COOR’で酸分解性基を構成する基を表す。Rは有橋式炭化水素、飽和環式炭化水素またはナフタレン環を含むn1 価の残基を表す。n1は1〜4の整数を示し、q1は0〜10の整数を示す。
一般式(CII)中、R60は、アルキル基又はハロゲン原子を表し、R61は、−O−R61で酸分解性基を構成する基を表し、m1は0〜4の整数を示す。p1は1〜4の整数を示す。
但し、一般式(CI)で表される化合物として、下記DRR4を除く。
【化18】
(2)(B)の樹脂が、更に下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基のうちの少なくとも1種の基で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする上記(1)に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0012】
【化10】
【0013】
一般式(pI)〜(pVI)中;
R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。
(3)樹脂(B)が、下記一般式(II)で表される脂環式炭化水素構造を含む基で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする前記(1)に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0014】
【化11】
【0015】
一般式(II)中、R28は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。R29〜R31は、同じでも異なっていてもよく、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシ基あるいは、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル基を表す。p、q、rは、各々独立に、0又は1〜3の整数を表す。
(4) 前記(B)の樹脂が、下記一般式(a)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポジ型フォトレ
ジスト組成物。
【0016】
【化12】
【0017】
一般式(a)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1から4の置換もしくは非置換のアルキル基を表す。R32〜R34は、同じでも異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を表す。R32〜R34のうち少なくとも1つは水酸基を表す。
更に以下の態様も好ましい。
(5) 更に(D)有機塩基性化合物及びフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物。
(6) (A)の化合物が、スルホニウム又はヨードニウムのスルホン酸塩化合物であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物。
(7) (A)の化合物が、N−ヒドロキシイミドのスルホネート化合物又はジスルホニルジアゾメタン化合物であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物。
(8) 露光光として、波長150nm〜220nmの遠紫外線を用いることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
〔1〕(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)
本発明で使用される光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0019】
また、その他の本発明に用いられる光酸発生剤としては、たとえばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物等を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることができる。
【0020】
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0021】
上記電子線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0022】
【化13】
【0023】
式中、R201は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R202は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−C(Y)3をしめす。Yは塩素原子又は臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0024】
【化14】
【0025】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0026】
【化15】
【0027】
ここで式Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。
R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。
【0028】
Z-は、対アニオンを示し、例えばBF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6 -、SiF6 2-、ClO4 -、CF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸 アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0029】
またR203、R204、R205のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0030】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
【化19】
【0035】
【化20】
【0036】
【化21】
【0037】
【化22】
【0038】
【化23】
【0039】
【化24】
【0040】
上記において、Phはフェニル基を表す。
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、例えば、米国特許第2,807,648 号及び同4,247,473号、特開昭53-101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0041】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0042】
【化25】
【0043】
式中、Ar3、Ar4は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化26】
【0045】
【化27】
【0046】
【化28】
【0047】
【化29】
【0048】
【化30】
【0049】
(4)下記一般式(PAG7)で表されるジアゾジスルホン誘導体。
【0050】
【化31】
【0051】
ここでRは、直鎖、分岐又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化32】
【0053】
【化33】
【0054】
これらの光酸発生剤の添加量は、組成物中の固形分を基準として、通常0.01〜30重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.3〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%の範囲で使用される。光酸発生剤の添加量が、0.01重量%より少ないと感度が低くなる傾向になり、また添加量が30重量%より多いとレジストの光吸収が高くなりすぎ、プロファイルの悪化や、プロセス(特にベーク)マージンが狭くなり好ましくない。
【0055】
〔2〕(B)酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂
本発明の組成物に用いられる上記(B)酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂(以下、単に「(B)の樹脂」ともいう)は、上記一般式(I−1)(I−4)で表される基を有する繰り返し単位を含む。
一般式(I−1)〜(I−4)において、R1〜R5におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
R1〜R5におけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜8個のものが好ましい。
R1〜R5におけるアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6個のものが好ましい。
また、R1〜R5の内の2つが結合して形成する環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等の3〜8員環が挙げられる。
なお、一般式(I−1),(I−2)で、R1〜R5は、環状骨格を構成している炭素原子7個のうちのいずれに連結していてもよい。
【0056】
上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基の更なる置換基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、ニトロ基等を挙げることができる。
一般式(I−1)〜(I−4)で表される基を有する繰り返し単位として好ましいものとして、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0057】
【化34】
【0058】
一般式(AI)中、Rは、後述の一般式(a)の中のRと同義である。A’は、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。Bは、一般式(I−1)〜(I−4)のうちのいずれかで示される基を表す。A’において、該組み合わせた2価の基としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0059】
【化35】
【0060】
Ra、Rb、r1は、後述のものと同義である。mは1〜3の整数を表す。
以下に、一般式(AI)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0061】
【化36】
【0062】
【化37】
【0063】
【化38】
【0064】
【化39】
【0065】
【化40】
【0066】
【化41】
【0067】
【化42】
【0068】
本発明においては、(B)の樹脂が、更に上記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基のうちの少なくとも1種の基で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することが、本発明の効果をより顕著になる点で好ましい。
一般式(pI)〜(pVI)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシロキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
R11〜R25における脂環式炭化水素基あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素構造を含む基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0069】
【化43】
【0070】
【化44】
【0071】
【化45】
【0072】
本発明においては、上記脂環式部分の好ましいものとしては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、デカリン残基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基である。
【0073】
これらの脂環式炭化水素基の置換基としては、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アシル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基である。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
アルコキシ基(アルコキシカルボニル基のアルコキシ基も含む)としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜6個のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、沃素原子、フッ素原子等が挙げられる。
【0074】
一般式(pI)〜(pVI)で示される構造のなかでも、好ましくは一般式(pI)であり、より好ましくは上記一般式(II)で示される基である。一般式(II)中のR28のアルキル基、R29〜R31におけるハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基は、前記脂環式炭化水素基の置換基で挙げた例が挙げられる。
【0075】
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されるアルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基等が挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基である。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基としては、好ましくは下記一般式(pVII)〜(pXI)で表される基が挙げられる。
【0076】
【化46】
【0077】
ここで、R11〜R25ならびにZは、それぞれ前記定義に同じである。
上記樹脂を構成する、一般式(pI)〜(pVI)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0078】
【化47】
【0079】
一般式(pA)中;
Rは、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4の置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。このRのハロゲン原子、アルキル基は、後述の一般式(a)のRと同様の例を挙げることができる。
A’は、前記と同義である。
Raは、上記式(pI)〜(pVI)のいずれかの基を表す。
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を示す。
【0080】
【化48】
【0081】
【化49】
【0082】
【化50】
【0083】
【化51】
【0084】
【化52】
【0085】
【化53】
【0086】
(B)樹脂は、更に他の繰り返し単位を含んでもよい。
本発明における(B)樹脂は、他の共重合成分として、前記一般式(a)で示される繰り返し単位を含むことが好ましい。これにより、現像性や基板との密着性が向上する。一般式(a)におけるRの置換基を有していてもよいアルキルとしては、前記一般式(I−1)〜(I−4)におけるR1と同じ例を挙げることができる。Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。一般式(a)のR32〜R34のうち少なくとも1つは、水酸基であり、好ましくはジヒドロキシ体、モノヒドロキシ体であり、より好ましくはモノヒドロキシ体である。
更に、本発明における(B)樹脂は、他の共重合成分として、下記一般式(III−a)〜(III−d)で示される繰り返し単位を含むことが好ましい。これにより、コンタクトホールパターンの解像力が向上する。
【0087】
【化54】
【0088】
上記式中、R1は、前記Rと同義である。R5〜R12は各々独立に水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Rは、水素原子あるいは、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。mは、1〜10の整数を表す。Xは、単結合又は、置換基を有していてもよい、アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基あるいは、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基からなる群から選択される単独、あるいはこれらの基の少なくとも2つ以上が組み合わされ、酸の作用により分解しない2価の基を表す。
Zは、単結合、エーテル基、エステル基、アミド基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。R13は、単結合、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。R15は、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。R14は置換基を有していてもよい、アルキル基、環状アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。R16は、水素原子あるいは、置換基を有していてもよい、アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Aは、下記に示す官能基のいずれかを表す。
【0089】
【化55】
【0090】
R5〜R12、R、R14、R16のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のアルキル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。直鎖状、分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
R、R14、R16の環状のアルキル基としては、炭素数3〜30個のものが挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基、ステロイド残基等を挙げることができる。
【0091】
R、R14、R16のアリール基としては、炭素数6〜20個のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。具体的にはフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
R、R14、R16のアラルキル基としては、炭素数7〜20個のものが挙げられ、置換基を有していてもよい、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等が挙げられる。R16のアルケニル基としては、炭素数2〜6個のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、3−オキソシクロヘキセニル基、3−オキソシクロペンテニル基、3−オキソインデニル基等が挙げられる。これらのうち環状のアルケニル基は、酸素原子を含んでいてもよい。
【0092】
連結基Xとしては、置換基を有していてもよい、アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基あるいは、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基からなる群から選択される単独、あるいはこれらの基の少なくとも2つ以上が組み合わされ、酸の作用により分解しない2価の基が挙げられる。
Zは、単結合、エーテル基、エステル基、アミド基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。R13は、単結合、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。R15は、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
X、R13、R15においてアリーレン基としては、炭素数6〜10個のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
Xの環状アルキレン基としては、前述の環状アルキル基が2価になったものが挙げられる。
X、Z、R13、R15におけるアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Ra)(Rb)〕r1−
式中、Ra、Rbは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。r1は1〜10の整数を表す。
連結基Xの具体例を以下に示すが本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0093】
【化56】
【0094】
上記アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基における更なる置換基としては、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アセチルアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基が挙げられる。ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の低級アルキル基を挙げることができる。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0095】
以下、一般式(III−b)における側鎖の構造の具体例として、Xを除く末端の構造の具体例を以下に示すが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【化57】
【0096】
以下、一般式(III−c)で示される繰り返し構造単位に相当するモノマーの具体例を示すが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0097】
【化58】
【0098】
【化59】
【0099】
【化60】
【0100】
以下、一般式(III−d)で示される繰り返し構造単位の具体例を示すが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0101】
【化61】
【0102】
【化62】
【0103】
【化63】
【0104】
一般式(III−b)において、R5〜R12としては、水素原子、メチル基が好ましい。Rとしては、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基が好ましい。mは、1〜6が好ましい。
一般式(III−c)において、R13としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が好ましく、R14としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜10個のアルキル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、樟脳残基等の環状アルキル基、ナフチル基、ナフチルメチル基が好ましい。Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、炭素数1〜6個のアルキレン基、あるいはそれらの組み合わせが好ましく、より好ましくは単結合、エステル結合である。
一般式(III−d)において、R15としては、炭素数1〜4個のアルキレン基が好ましい。R16としては、置換基を有していてもよい、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基等の炭素数1〜8個のアルキル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、メンチル基、モルホリノ基、4−オキソシクロヘキシル基、置換基を有していてもよい、フェニル基、トルイル基、メシチル基、ナフチル基、樟脳残基が好ましい。これらの更なる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜4個のアルコキシ基等が好ましい。
本発明においては一般式(III−a)〜一般式(III−d)の中でも、一般式(III−b)、一般式(III−d)で示される繰り返し単位が好ましい。
【0105】
(B)の樹脂は、上記以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要要件である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な単量体繰り返し単位との共重合体として使用することができる。
【0106】
このような繰り返し単位としては、以下のような単量体に相当する繰り返し単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、前記樹脂に要求される性能、特に(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)アルカリ現像性、(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、の微調整が可能となる。
このような共重合単量体としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0107】
具体的には、例えばアクリル酸エステル類、例えばアルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜10のものが好ましい)アクリレート(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等);
【0108】
メタクリル酸エステル類、例えばアルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜10のものが好ましい。)メタクリレート(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等);
アクリルアミド類、例えばアクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、
(アルキル基としては炭素原子数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基等がある。)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素原子数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等がある。)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等;
【0109】
メタクリルアミド類、例えばメタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素原子数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等がある。)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基等)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等;
アリル化合物、例えばアリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等;
ビニルエーテル類、例えばアルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等);
【0110】
ビニルエステル類、例えばビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等;
イタコン酸ジアルキル類(例えばイタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等);フマール酸のジアルキルエステル類(例えばジブチルフマレート等)又はモノアルキルエステル類;
その他アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等を挙げることができる。その他にも、上記種々の繰り返し単位と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であればよい。
(B)の樹脂において、各繰り返し単位構造の含有モル比は、酸価、レジストのドライエッチング耐性、標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイルの粗密依存性、さらにはレジストに一般的に要請される解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0111】
(B)の樹脂中、一般式(I−1)〜(I−4)で表される基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中30〜70モル%であり、好ましくは35〜65モル%、更に好ましくは40〜60モル%である。
また、一般式(pI)〜(pVI)で表される基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位中、通常20〜75モル%であり、好ましくは25〜70モル%、更に好ましくは30〜65モル%である。
(B)樹脂中、一般式(a)で表される繰り返し単位の含有量は、通常全単量体繰り返し単位中0モル%〜70モル%であり、好ましくは10〜40モル%、更に好ましくは15〜30モル%である。
また、(B)樹脂中、一般式(III−a)〜一般式(III−d)で表される繰り返し単位の含有量は、通常全単量体繰り返し単位中0.1モル%〜30モル%であり、好ましくは0.5〜25モル%、更に好ましくは1〜20モル%である。
【0112】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的には、一般式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される基を含有する繰り返し単位及び一般式(pI)〜(pVI)で表される基を有する繰り返し単位を合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
本発明の組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から、樹脂は芳香族基を有しないことが望ましい。
(B)の樹脂の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレン標準で、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,500〜500,000、更に好ましくは2,000〜200,000、特に好ましくは2,500〜100,000の範囲であり、重量平均分子量は大きい程、耐熱性等が向上する一方で、現像性等が低下し、これらのバランスにより好ましい範囲に調整される。
本発明に用いられる(B)の樹脂は、常法に従って、例えばラジカル重合法によって、合成することができる。
以下、本発明の(B)の樹脂の具体例を挙げるが、本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0113】
【化64】
【0114】
【化65】
【0115】
【化66】
【0116】
【化67】
【0117】
【化68】
【0118】
【化69】
【0119】
【化70】
【0120】
【化71】
【0121】
【化72】
【0122】
【化73】
【0123】
【化74】
【0124】
【化75】
【0125】
【化76】
【0126】
【化77】
【0127】
【化78】
【0128】
【化79】
【0129】
上記式中、m,n,p、また、n1,n2,n3はいずれも繰り返し数のモル比を示す。(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される基を有する繰り返し単位をnで示し、2種以上組み合わせた場合をn1,n2などで区別した。(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基を有する繰り返し単位は、mで示した。一般式(III−a)〜(III−d)で示される繰り返し単位は、pで示した。
一般式(III−a)〜(III−d)で示される繰り返し単位を含む場合、m/n/pは、(25〜70)/(25〜65)/(3〜40)である。一般式(III−a)〜(III−d)で示される繰り返し単位を含まない場合、m/nは、(30〜70)/(70〜30)である。ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。規則的重合体でもよく、不規則的重合体でもよい。
本発明の遠紫外線露光用ポジ型フォトレジスト組成物において、(B)の樹脂の組成物全体中の添加量は、全レジスト固形分中40〜99.99重量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97重量%である。
【0130】
〔3〕(C)溶解阻止化合物
本発明のポジ型感光性組成物は、上記の樹脂と光酸発生剤に加え、溶解阻止剤として、上記一般式(CI)又は(CII)で表される化合物、又は、上記一般式(CIII)で示される多環式構造上に酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を含む置換基を少なくともひとつ有する構造を、少なくとも二つ有する化合物を含有する。
一般式(CI)中、Xは酸素原子、硫黄原子、−N(R53)−、又は単結合を表す。
一般式(CI)のR51、R52及びR53において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基もしくはt−ブチル基、ヘキシル基、2ーエチルヘキシル基、オクチル基のような炭素数1〜8個のものが挙げられる。
一般式(CI)において、−C(=O)−O−R’は酸の作用により分解する基(酸分解性基ともいう)である。
ここで、R’としては、t−ブチル基、メトキシt−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基(好ましくは炭素数4〜20)、イソボロニル基、置換基を有していてもよい、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、1−〔2−(n−ブトキシ)エトキシ〕エチル基等の1−アルコキシエチル基(好ましくは炭素数2〜10)、置換基を有していてもよい、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜10)、置換基を有していてもよいテトラヒドロピラニル基、置換基を有していてもよいテトラヒドロフラニル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基等のトリアルキルシリル基(好ましくは炭素数3〜20)、3−オキソシクロヘキシル基等を挙げることができる。
R’の3級アルキル基は、脂環式環を形成していてもよい。R’のアルコキシメチル基、アルコキシエチル基が有しうる好ましい置換基として、ハロゲン原子、-(OCH2CH2)2OCH3、-S(CH2)2CH3、-SC(CH3)3、-O-アダマンタン、-O-CO-アダマンタン等が挙げられる。テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基が有しうる好ましい置換基としては、カルボニル基、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0131】
Rは有橋式炭化水素、飽和環式炭化水素またはナフタレン環を含むn1 価の残基を表す。有橋式炭化水素を含むn1 価の残基としては、n1 個の結合手を有するアダマンタン、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロウンデカン、ピネン等が挙げられる。飽和環式炭化水素を含むn1 価の残基としては、テルペン、ステロイド等が挙げられる。ナフタレン環を含むn1 価の残基としては、n1 個の結合手を有するナフタレン環が挙げられる。
上記に挙げた有橋式炭化水素、飽和環式炭化水素またはナフタレン環は結合手以外の場所に置換基を有してもよい。その好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、炭素数2〜5個のアシル基、炭素数2〜5個のアシロキシ基、炭素数2〜5個のアルコキシカルボニル基、アルコキシ又はアルコキシアルキレンオキシで置換されていてもよい炭素数2から10のアルコキシアルキレンオキシが挙げられる。
q1は、0〜10の整数であるが、好ましくは0〜7、より好ましくは0〜5である。
【0132】
一般式(CII)のR60において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基もしくはt−ブチル基、ヘキシル基、2ーエチルヘキシル基、オクチル基のような炭素数1〜8個のものが挙げられる。
一般式(CII)において−O−R61は酸の作用により分解する基(酸分解性基ともいう)である。
ここで、R61としては、t−ブチル基、メトキシt−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基(好ましくは炭素数4〜20)、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、1−〔2−(n−ブトキシ)エトキシ〕エチル基等の置換基を有してもよい1−アルコキシエチル基(好ましくは炭素数2〜10)、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等の置換基を有してもよいアルコキシメチル基(好ましくは炭素数2〜10)、t−ブトキシカルボニル基、t−アミロキシカルボニル基などの3級アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、置換基を有してもよいテトラヒドロピラニル基、置換基を有してもよいテトラヒドロフラニル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、3−オキソシクロヘキシル基等を挙げることができる。
q1、n1、m1、p1の各々について、2以上のとき、存在する複数の残基は、同じでも異なっていてもよい。
【0133】
本発明の前記一般式(CI)および一般式(CII)で表される化合物の合成は対応するカルボン酸あるいは酸クロリド等のカルボン酸誘導体と、あるいは対応するナフトール誘導体とR’−OH、R’−X(ハロゲン)、あるいは対応するオレフィンとの反応、あるいはナフトール誘導体とジアルコキシカルボニルエーテルとの反応により得られる。
【0134】
本発明のポジ型感光性組成物において、前記一般式(CI)および一般式(CII)で表される溶解阻止剤は単独でも用いられるが、2種以上を混合して用いても良い。
また、本発明におけるポジ型感光性組成物においては、一般式(CI)または一般式(CII)で表される化合物の合計量は、全固形分に対して通常1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
【0135】
以下に一般式(CI)で表される化合物の具体例としては、下記〔CI−1〕〜〔CI−108〕、及び一般式(CII)で表される化合物の具体例としては、下記〔CII−1〕〜〔CII−52〕で示される化合物を挙げることができるが、本発明で使用できる化合物はこれらに限定されるものではない。
【0136】
【化80】
【0137】
【化81】
【0138】
【化82】
【0139】
【化83】
【0140】
【化84】
【0141】
【化85】
【0142】
【化86】
【0143】
【化87】
【0144】
【化88】
【0145】
【化89】
【0146】
【化90】
【0147】
【化91】
【0148】
【化92】
【0149】
【化93】
【0150】
【化94】
【0151】
【化95】
【0152】
【化96】
【0153】
【化97】
【0154】
【化98】
【0155】
【化99】
【0156】
【化100】
【0157】
【化101】
【0158】
【化102】
【0159】
次に、本発明の更なる態様における溶解阻止剤として、上記一般式(CIII)で示される多環式構造上に酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を含む置換基(酸不安定性基を有する置換基)を少なくともひとつ有する構造を、少なくとも二つ有する化合物(オリゴマー型溶解阻止剤)について説明する。
【0160】
オリゴマー型溶解阻止剤は、好ましくは上記一般式(CIII)で示される多環式構造とその多環式構造上に、少なくとも一つの上記酸不安定性基を有する置換基及び少なくとも一つのヒドロキシ(OH)基を有する飽和多環式炭化水素化合物Aと、線状、分岐状又は環状の二官能飽和炭化水素化合物B(ここで、官能基はカルボン酸基又はカルボン酸ハロゲン化物(例えば、塩化物)基である)とを反応させて、縮合反応生成物として得ることができる。
【0161】
縮合反応生成物は飽和多環式炭化水素化合物Aに由来する2個以上で50個以下の多環式部分を有する。縮合反応の進行により、分子1個当たりの多環式部分の個数は変動する。縮合反応生成物は、多環式部分を平均で2〜30個、特に2〜10個有することが望ましい。
【0162】
二官能飽和炭化水素化合物Bとしては、炭素数1〜15であることが好ましく、アルカン類、アルコキシアルカン類、シクロアルカン類及びポリシクロアルカン類の、ジカルボン酸類又はジカルボン酸ハロゲン化物類等が好ましい。
飽和多環式炭化水素化合物Aにおける酸不安定性基を有する置換基(官能基は除く)は2個以上12個以下の炭素原子を有することが望ましい。しかし、9個以上の炭素原子を有する場合、飽和多環式炭化水素化合物Aは2個以上のヒドロキシ基を有することが望ましい。
【0163】
上記飽和多環式炭化水素化合物Aは、酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を有している。酸不安定性基によるカルボン酸基保護は、アルカリ水溶液に対する化合物の溶解度を低下させる。従って、このような酸不安定性基を有する溶解阻止剤は、放射線に暴露される前のレジスト組成物に所望のアルカリ水溶液不溶性を付与するものである。
【0164】
照射時、また、一般的に、ポストベーク時に、酸不安定性基が脱離し、レジスト材料をアルカリ水溶液に溶解性にするのに十分な量のカルボン酸基が生じる。好適な酸不安定性基は例えば、t−ブチル、t−アミル、1−メチルシクロヘキシル、3−オキソシクロヘキシル及びビス(2−トリメチルシリル)エチル及び光酸の存在下で容易に脱離するその他の置換基等である。これら広範囲の酸不安定性基は当業者に周知である。また、上記式(II)におけるWとして定義した基も酸不安定性基の例として挙げることができる。酸の存在下で、これらの基は遊離カルボン酸及びアシドリシス又は酸触媒加水分解生成物を生成する。
【0165】
飽和多環式炭化水素化合物Aは、ヒドロキシ基を1〜3個有することが好ましく、またヒドロキシ基は6員環上に存在することが好ましい。コール酸エステルは、多環式部分に3個のヒドロキシ基(各6員環上に1個のヒドロキシ基が存在する)を有する多環式化合物の一例である。デオキシコール酸エステルは、多環式部分に2個のヒドロキシ基(2個の6員環の各環上に1個のヒドロキシ基が存在する)を有する多環式化合物の一例である。
【0166】
本発明のポジ型レジスト組成物では、上記オリゴマー型溶解阻止剤と共に下記一般式(IV)で示される構造を有するコール酸エステル系化合物を溶解阻止剤として併用してもよい。
【0167】
【化103】
【0168】
(上記一般式(IV)中、Xは酸不安定性基であり、R10存在するか又は存在せず、存在する場合、R10は、6個以下の炭素原子を有する低級アルキレン基、例えば、ブチレン又はイソブチレンである。多環式部分は、1個以上のヒドロキシ置換基を有する。)
【0169】
上記一般式(IV)で表される化合物の多環式部分は、1個以上のヒドロキシ基を有するが、ヒドロキシ基は、一般的に6員環上に存在する。コール酸エステルは、多環式部分に3個のヒドロキシ基(各6員環上に1個のヒドロキシ基が存在する)を有する多環式化合物の一例である。デオキシコール酸エステルは、多環式部分に2個のヒドロキシ基(2個の6員環の各環上に1個のヒドロキシ基が存在する)を有する多環式化合物の一例である。
【0170】
オリゴマー型溶解阻止剤と上記コール酸エステル系化合物(以下「モノマー化合物」という)との組合わせて使用する場合、オリゴマー溶解阻止剤90〜10重量%とモノマー化合物10〜90重量%とからなることが望ましい。
【0171】
オリゴマー型溶解阻止剤、また、上記モノマー化合物を併用する場合は、これらの合計量として、組成物中の全固形分に対して、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%の範囲で配合される。
【0172】
〔4〕(D)有機塩基性化合物
本発明で用いることのできる好ましい(D)有機塩基性化合物は、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
(D)有機塩基性化合物を加えることにより、経時での感度変動が改良される。例えば、(D)有機塩基性化合物として下記の構造を有する化合物を挙げることができる。
【0173】
【化104】
【0174】
ここで、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基であり、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0175】
【化105】
【0176】
(式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0177】
含窒素塩基性化合物の好ましい具体例として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、N−ベンジルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CHMETU)等の3級モルホリン誘導体、特開平11−52575号公報に記載のヒンダードアミン類(例えば該公報〔0005〕に記載のもの)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0178】
特に好ましい具体例は、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、4,4−ジメチルイミダゾリン、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、ピリダジン類、ピリミジン類、CHMETU等の3級モルホリン類、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート等のヒンダードアミン類等を挙げることができる。
中でも、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、CHMETU、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲートが好ましい。
【0179】
これらの有機塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。有機塩基性化合物の使用量は、感光性樹脂組成物の全組成物の固形分に対し、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。0.001重量%未満では上記有機塩基性化合物の添加の効果が得られない。
一方、10重量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0180】
〔5〕(F)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、好ましくはフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有する。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物が上記酸分解性樹脂と上記界面活性剤とを含有することにより、疎密依存性が改良される。
【0181】
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、特開平9-5988号、米国特許5405720号、 同5360692号、同5529881号、同5296330号、同5436098号、同5576143号、同5294511号、同5824451号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS-366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0182】
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分を基準として、通常0.001重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
上記の他に使用することのできる界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの他の界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100重量部当たり、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
【0183】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、必要に応じて更に、上記以外の酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、増感剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0184】
本発明の感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体上に塗布する。ここで使用する溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、2−ヘプタノン、酢酸ブチル等の酢酸エステル、γ−ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のアルコキシプロピオン酸アルキル類、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等のピルビン酸アルキルエステル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等から選ばれる少なくとも一種の溶剤を用いて塗布される。
【0185】
上記の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、ヘプタノン、酢酸ブチルが好ましい。これらの溶剤は単独あるいは混合で用いられるが、現像欠陥数が低減されることからプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸アルキルエステル類それぞれから一種以上の溶剤を選択して混合して用いることが特に好ましい。ここで、これらの混合比は、重量比で95/5〜30/70が好ましい。
本発明において、上記各成分を含むレジスト固形分を、上記溶剤に固形分濃度として3〜25重量%溶解することが好ましく、より好ましくは5〜22重量%であり、更に好ましくは7〜20重量%である。
【0186】
本発明のこのようなポジ型フォトレジスト組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗膜の膜厚は0.2〜1.2μmが好ましい。本発明においては、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。
【0187】
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型が用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAC−2、AC−3等を使用することもできる。
【0188】
上記レジスト液を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上に(必要により上記反射防止膜を設けられた基板上に)、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは150nm〜250nmの波長の光である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
【0189】
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0190】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0191】
合成例1. 本発明の樹脂例(1)の合成
2−メチル-2-アダマンチルメタクリレートと、6−endo-ヒドロキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2−endo−カルボン酸−γ−ラクトンの5−exo−メタクリレートとをモル比50/50の割合で仕込み、N,N−ジメチルアセトアミド/テトラヒドロフラン=5/5に溶解し、固形分濃度20%の溶液100mlを調整した。
6−endo-ヒドロキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2−endo−カルボン酸−γ−ラクトンの5−exo−メタクリレートは、6−endo−ヒドロキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン−2−endo−カルボン酸をアセトキシ−ラクトン化した後、アセトキシ基をヒドロキシ基にアルカリ加水分解し、更にメタクリル酸クロリドでエステル化することにより合成したものを用いた。J.Chem.Soc.,227(1959)、Tetrahedron,21,1501(1965)記載の方法によった。
この溶液に和光純薬工業製V−65を3mol%加え、これを窒素雰囲気下、3時間かけて60℃に加熱したN,N−ジメチルアセトアミド10mlに滴下した。滴下終了後、反応液を3時間加熱、再度V−65を1mo1%添加し、3時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、蒸留水3Lに晶析、析出した白色粉体を回収した。C13NMRから求めたポリマー組成は51/49であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は7,200であった。
【0192】
合成例2〜10,本発明の樹脂の合成
合成例1と同様にして、表1に示す組成比、分子量の樹脂2〜17を含成した。
【0193】
【表1】
【0194】
比較例(樹脂A4)の合成
特開平10−274852号公報の第8頁に記載の合成法に準じ、同公報にA4として記載の化合物を以下のようにして合成した。
メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチルおよびα−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンを、50:50のモル比(40.0g:29.0g)で仕込み、全モノマーの2重量倍のメチルイソブチルケトンを加えて溶液とした。そこに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを全モノマー量に対して2モル%添加し、80℃で約8時間加熱した。その後、反応液を大量のヘプタンに注いで沈殿させる操作を2回行い、精製した。その結果、次式で示される共重合体を得た。各単位の組成モル比は50:50で、重量平均分子量は約8,000だった。
【0195】
オリゴマー型溶解阻止剤(A)の合成
オーブンで乾燥させ、アルゴンでパージしたシュレンク管に、(予め60℃の真空下で一晩乾燥させた)デオキシコール酸t−ブチル(2g、4.457ミリモル)、(CaH2から蒸留した)N−メチルモルホリン(1.1mL、10ミリモル)及び塩化メチレン(8mL)を充填することにより、t−ブチルデオキシコーレートを合成した。
【0196】
0℃にまで冷却し、そして、蒸留済みの二塩化グルタリル(0.552g、4.324ミリモル、97モル%)を気密注入器を用いてゆっくりと添加した。この添加が終了するにつれて、塩の沈殿が始まった。得られたスラリーを撹拌し、そして、30分間かけて室温にまで昇温させ、次いで、40℃で30分間加温した。
【0197】
その後、この混合物を塩化メチレン(40mL)と水(40mL)を含有する分液ロートに注ぎ込んだ。有機層を稀酢酸アンモニウム水溶液で4回洗浄し、そして、濃縮し、固形物を得た。この固形物をジオキサンから凍結乾燥させ、粉末を得た。
【0198】
この粉末を水(100mL)中に分散させ、1時間撹拌した。濾過して粉末を再回収し、真空中で乾燥させた。収量は1.5g(収率64%)であった。この方法をテトラヒドロフラン(THF)を用いて繰り返した場合、収量は1.7g(収率74%)であった。得られたオリゴマーの構造は下記に示される。このオリゴマーを溶解阻止剤Aとする。
【0199】
【化106】
【0200】
t−ブチルデオキシコーレートで末端封止されたオリゴ(t−ブチルデオキシコーレート-co-グルタレート)(式中、tBuはt−ブチル置換基を示し、Yは水素又は、下付文字M又はlを有する括弧により画定される構造中の別のユニットの何れかを示す。)
【0201】
分子当たりのユニットMの個数は約5〜約20である。前記のように、縮合反応は多環式化合物上の任意のOH基のところで生起することができる。従って、前記の構造は、反応生成物を説明する一助として示されたものであり、得られた生成物の実際の構造を示すものではない。
【0202】
オリゴマー型溶解阻止剤(B)の合成
オーブンで乾燥させ、アルゴンでパージしたシュレンク管に、(予め60℃の真空下で一晩乾燥させた)デオキシコール酸t−ブチル(2g、4.457ミリモル)、(CaH2から蒸留した)N−メチルモルホリン(3.26g、32.2ミリモル)及びTHF(35mL)を充填することにより、t−ブチルデオキシコーレートを合成した。
【0203】
0℃にまで冷却し、そして蒸留済みの二塩化グルタリル(1.232mL,9.654ミリモル,1.632g)を気密注入器を用いてゆっくりと添加した。シュレンク管を密封し、60℃にまで一晩加熱した。次いで、反応溶液をメタノール(20%)で希釈し、N−メチルモルホリンを中和するための酢酸を含有する水(500mL)中で沈殿させた。
【0204】
希釈/沈殿を2回繰り返した。濾過してポリマーを再回収し、蒸留水で洗浄し、60℃の真空中で乾燥させた。収量は4g(収率74%)であった。得られたオリゴマーの構造は下記に示される。このオリゴマーを溶解阻止剤Bとする。
【0205】
【化107】
【0206】
t−ブチルコーレートで末端封止されたオリゴ(t-ブチルコーレート-co-グルタレート)(式中、tBuはt−ブチル置換基を示し、Yは水素又は、下付文字M又はlを有する括弧により画定される構造中の別のユニットの何れかを示す。)
【0207】
分子当たりのユニットMの個数は約5〜約20である。前記のように、縮合反応は多環式化合物上の任意のOH基のところで生起することができる。従って、3個のヒドロキシ置換基を有するコール酸エステル(すなわち、コーレート)の縮合反応生成物は枝分れ構造をとりやすい。前記の構造は、反応生成物を説明する一助として示されたものであり、得られた生成物の実際の構造を示すものではない。
【0208】
実施例1〜20及び比較例1
(ポジ型フォトレジスト組成物の調製と評価)
表2に示した樹脂2g、光酸発生剤(45mg)、溶解阻止剤200mg、有機塩基性化合物5mg、界面活性剤5mgを配合し、それぞれ固形分10重量%の割合でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、0.1μmのミクロフィルターで濾過し、実施例1〜17及び比較例1のポジ型レジスト組成物を調製した。
【0209】
表2における界面活性剤は以下のとおりである。
1:メガファックF176(大日本インキ(株)製)(フッ素系)
2:メガファックR08(大日本インキ(株)製)
(フッ素及びシリコーン系)
3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
5:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
【0210】
表2における有機塩基性化合物は以下のとおりである。
1:DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)
2:4−DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)
3:TPI(2,4,5−トリフェニルイミダゾール)
4:2,6−ジイソプロピルアニリン
を表す。
【0211】
【表2】
【0212】
(評価試験)
シリコンウエハー上にシプレー製反射防止膜をAR19を塗布、215℃で90秒ベークし850Aの膜厚で塗設した。このようにして得られた基板上に上記で調整したレジスト液を塗布、135℃で90秒ベークして0.30μmの膜厚で塗設した。
こうして得られたウェハーをArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製ArF露光機9300)に解像力マスクを装填して露光量を変化させながら露光した。その後クリーンルーム内で150℃、90秒加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド現像液(2.38重量%)で60秒間現像し、蒸留水でリンス、乾燥してパターンを得た。
【0213】
〔コンタクトホールパターン解像度〕各レジストについて直径0.18μmのコンタクトホールを再現する最小露光量で解像できるコンタクトホールの直径(μm)を解像度とした。
〔コンタクトホールパターンの疎密依存性〕各レジストについて直径0.18μmの孤立コンタクトホール(ピッチ1.80μm)を再現する露光量での密パターン(直径0.18μmのコンタクトホール、ピッチ0.36μm)の実寸法を側長し、両者の寸法差(μm)を算出した。この寸法差が小さいものほど疎密依存性が小さく、良好である。
〔トレンチパターン解像度〕各レジストについてバイナリーマスクで直径0.16μmのトレンチパターンを再現する最小露光量で解像できるトレンチパターンスリット幅(μm)を解像度とした。
結果を表2に示した。
【0214】
【表3】
【0215】
上記表2に示すように、本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、コンタクトホール及びトレンチパターンについて優れた解像力を有し、疎密依存性も小さいことが判る。
【0216】
【発明の効果】
本発明は、半導体デバイスの製造において、コンタクトホール及びトレンチパターンを良好に解像でき、疎密依存性も小さいポジ型フォトレジスト組成物を提供することができる。
Claims (10)
- (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)下記一般式(I−1)で表される基を有する繰り返し単位を含有する、酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂、及び(C)下記一般式(CI)で表される化合物、一般式(CII)で表される化合物、及び下記一般式(CIII)で示される多環式構造上に酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を含む置換基を少なくともひとつ有する構造を、少なくとも二つ有する化合物から選ばれる少なくともひとつの化合物を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
R1〜R5は同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基を表す。R1〜R5の内の2つは、結合して環を形成してもよい。
一般式(CI)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−N(R53)−、又は単結合を表す。R51、R52及びR53は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R’は、−COOR’で酸分解性基を構成する基を表す。但し、R’で表される基は、ノルボルナンを含有しない。Rは有橋式炭化水素、飽和環式炭化水素またはナフタレン環を含むn1 価の残基を表す。n1は1〜4の整数を示し、q1は0〜10の整数を示す。
一般式(CII)中、R60は、アルキル基又はハロゲン原子を表し、R61は、−O−R61で酸分解性基を構成する基を表し、m1は0〜4の整数を示す。p1は1〜4の整数を示す。
但し、一般式(CI)で表される化合物として、下記DRR4を除く。
- 一般式(CI)で表される化合物を含有し、一般式(CI)におけるR’が、3級アルキル基、イソボロニル基、置換基を有していてもよい1−アルコキシエチル基、置換基を有していてもよいアルコキシメチル基、置換基を有していてもよいテトラヒドロピラニル基、置換基を有していてもよいテトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリル基、または3−オキソシクロヘキシル基であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
- (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)下記一般式(I−1)で表される基を有する繰り返し単位及び下記一般式(a)で表される繰り返し単位を含有する、酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂、及び(C)下記一般式(CI)で表される化合物、一般式(CII)で表される化合物、及び下記一般式(CIII)で示される多環式構造上に酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を含む置換基を少なくともひとつ有する構造を、少なくとも二つ有する化合物から選ばれる少なくともひとつの化合物を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
R1〜R5は同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基を表す。R1〜R5の内の2つは、結合して環を形成してもよい。
一般式(CI)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−N(R53)−、又は単結合を表す。R51、R52及びR53は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R’は、−COOR’で酸分解性基を構成する基を表す。Rは有橋式炭化水素、飽和環式炭化水素またはナフタレン環を含むn1 価の残基を表す。n1は1〜4の整数を示し、q1は0〜10の整数を示す。
一般式(CII)中、R60は、アルキル基又はハロゲン原子を表し、R61は、−O−R61で酸分解性基を構成する基を表し、m1は0〜4の整数を示す。p1は1〜4の整数を示す。
- (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)下記一般式(I−2)〜(I−4)の少なくともいずれかで表される基を有する繰り返し単位を含有する、酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂、及び(C)下記一般式(CI)で表される化合物、一般式(CII)で表される化合物、及び下記一般式(CIII)で示される多環式構造上に酸不安定性基により保護されているカルボン酸基を含む置換基を少なくともひとつ有する構造を、少なくとも二つ有する化合物から選ばれる少なくともひとつの化合物を含有することを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
R1〜R5は同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基又はアルケニル基を表す。R1〜R5の内の2つは、結合して環を形成してもよい。
一般式(CI)中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−N(R53)−、又は単結合を表す。R51、R52及びR53は、各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、R’は、−COOR’で酸分解性基を構成する基を表す。Rは有橋式炭化水素、飽和環式炭化水素またはナフタレン環を含むn1 価の残基を表す。n1は1〜4の整数を示し、q1は0〜10の整数を示す。
一般式(CII)中、R60は、アルキル基又はハロゲン原子を表し、R61は、−O−R61で酸分解性基を構成する基を表し、m1は0〜4の整数を示す。p1は1〜4の整数を示す。 - 樹脂(B)が、一般式(I−2)で表される基を有する繰り返し単位を含有する、酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
- 樹脂(B)が、一般式(I−4)で表される基を有する繰り返し単位を含有する、酸の作用により分解しアルカリに対する溶解性が増加する樹脂であることを特徴とする請求項4に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
- 樹脂(B)が、更に下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式炭化水素構造を含む基のうちの少なくとも1種の基で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物。
R11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
R12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
R17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表す。
R22〜R25は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を
表す。 - 請求項1〜9のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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