JP3936503B2 - ポジ型フォトレジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケ−ションプロセスに使用するポジ型レジスト組成物に関し、特に薄膜プロセスに使用され高解像力でパターン倒れのないポジ型レジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、集積回路はその集積度を益々高めており、超LSI等の半導体基板の製造においてはハーフミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。その必要性を満たすためにフォトリソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外線の中でも短波長のエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArF等)を用いることが検討されるまでになってきている。
この波長領域におけるリソグラフィーのパターン形成に用いられるものとして、化学増幅系レジストがある。
【0003】
一般に化学増幅系レジストは、通称2成分系、2.5成分系、3成分系の3種類に大別することができる。2成分系は、光分解により酸を発生する化合物(以後、光酸発生剤という)とバインダー樹脂とを組み合わせている。該バインダー樹脂は、酸の作用により分解して、樹脂のアルカリ現像液中での溶解性を増加させる基(酸分解性基ともいう)を分子内に有する樹脂である。2.5成分系はこうした2成分系に更に酸分解性基を有する低分子化合物を含有する。3成分系は光酸発生剤とアルカリ可溶性樹脂と上記低分子化合物を含有するものである。
【0004】
上記化学増幅系レジストは紫外線や遠紫外線照射用のフォトレジストに適しているが、その中でさらに使用上の要求特性に対応する必要がある。
露光放射の波長が従来の紫外(UV)あるいは深UV領域(すなわち、約240nm〜約370nm)にあるようなデバイス製造のためのリソグラフィプロセスでは、エチレン系あるいは芳香族の不飽和性を有するポリマー(重合体)を含むレジスト材料が一般に使用される。しかし、このようなレジスト材料は、露光放射が193nmのプロセスには不適当であることが多い。その理由は、炭素−炭素二重結合がこの波長の放射を吸収するためである。その結果、露光放射の波長が248nm以上であるようなリソグラフィプロセスで使用されているレジスト材料は一般に、波長193nmの露光放射を使用するプロセスでは用いられない。0.18μm及び0.13μmのデザインルールを用いたデバイスを製造するリソグラフィプロセスは露光放射として波長193nmの光を使用することが多いため、エチレン系不飽和性をあまり含まないレジストポリマーが所望される。
ArF光源用のフォトレジスト組成物としては、部分的にヒドロキシ化したスチレン系樹脂よりもさらに吸収の少ない(メタ)アクリル系樹脂を光によつて酸を発生する化合物と組み合わせたフォトレジスト組成物が提案されている。例えば特開平7−199467号、同7−252324号等がある。中でも特開平6−289615号ではアクリル酸のカルボキシル基の酸素に3級炭素有機基がエステル結合した樹脂が開示されている。
【0005】
さらに特開平7−234511号ではアクリル酸エステルやフマル酸エステルを繰り返し構造単位とする酸分解性樹脂が開示されているが、パターンプロファイル、基板密着性等が不十分であり、満足な性能が得られていないのが実情である。
【0006】
更にまた、ドライエッチング耐性付与の目的で脂環式炭化水素部位が導入された樹脂が提案されている。
特開平9−73173号、特開平9−90637号、特開平10−161313号公報には、脂環式基を含む構造で保護されたアルカリ可溶性基と、そのアルカリ可溶性基が酸により脱離して、アルカリ可溶性とならしめる構造単位を含む酸感応性化合物を用いたレジスト材料が記載されている。
【0007】
また、特開平9−90637号、同10−207069号、同10−274852号公報には、特定ラクトン構造を有する酸分解性樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。
【0008】
特開平10−10739号及び特開平10−307401号では、波長193nmに対する透明性は改善されているものの、必ずしも高感度とは言えず0.13μm以降のリソグラフィーを考えた場合には解像力が不足している。
【0009】
特に、0.10μmデザインルール以降にも適用されるArFリソグラフィは極めて高い解像力が求められる。
この問題を解決する1つの手段として、レジストの使用膜厚を薄くした薄膜プロセスの適用が検討されている。これにより解像力や焦点深度等の性能向上が期待される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ArF露光用の化学増幅系フォトレジストにおいては種々の問題が生じた。上記のように酸分解性基を含有する樹脂が種々検討されてきたが、それらを用いた既存のレジスト組成物では原因は明確ではないものの面内均一性がとれず、またパターンの側壁に定在波が発生したりといった諸性能が劣化し、満足に薄膜プロセスには対応することができないことが判明した。
特に、本発明者らの研究によれば、面内均一性を保持するために膜厚を厚くすると解像性が満足でない上にパターンの倒壊という問題が生じることを新たに見出した。この問題はこれまでの経験からは思いもつかない事実であり、従って、薄膜プロセスでも十分な面内均一性が保持され、定在波の発生がなく、パターンの倒壊なく、所望の感度、解像力を得ることのできるレジスト組成物を提供するという新規な課題が存在することを本発明者らは知った。
【0011】
従って、本発明の目的は、遠紫外光とくにArFエキシマレーザー光(波長193nm)を使用するリソグラフィの薄膜化に対応する技術課題を解決することであり、具体的には薄膜プロセスにおいても十分な面内均一性が保持され、所望のレジストパターンを高感度、高解像力で再現し得るレジスト組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ポジ型化学増幅系レジスト組成物の組成を鋭意検討した結果、塗布液が特定の粘度を持つように組成を調整することにより、本発明の目的が達成されることを知り、本発明に至った。
即ち、上記目的は下記構成の組成物により達成される。
【0013】
1.(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び
(C)溶剤、
を含有し、25℃での粘度が2〜7センチポアズであることを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。
2.塗布、乾燥後に形成された塗膜が、波長193nmの光に対して40〜70%/350nmの透過率を有することを特徴とする上記1に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
3.上記樹脂(A)が下記一般式(I)及び(II)で表される繰り返し構造単位を含有し、酸の作用により分解する基を有する樹脂であることを特徴とする上記1又は2に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0014】
【化6】
【0015】
(上記一般式(I)、(II)中:
R1は、水素原子又はメチル基を表す。
R2は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Wは、単結合、又はアルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基あるいはこれらの基を組み合わせた2価の基を表す。
Ra,Rb,Rc,Rd,Reは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
m、nは、各々独立に、0〜3の整数を表し、m+nは2以上6以下である。4.上記(A)樹脂が下記一般式(III-a)〜(III-d)で表される繰り返し構造単位のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする上記3に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0016】
【化7】
【0017】
(上記式中:
R1は、上記と同意である。
R3〜R10は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
mは、1〜10の整数を表す。
Xは、単結合、又は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよい環状アルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基あるいはこれらの基を組み合わさせた基であって、酸の作用により分解しない2価の基を表す。
Zは、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、アルキレン基あるいはこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R11は、単結合、又はアルキレン基、アリーレン基、あるいはこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R12は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R13は、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R14は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
Aは、下記に示す官能基のいずれかを表す。)
【0018】
【化8】
【0019】
5.上記樹脂(A)が下記一般式(IVa)及び一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位のうち少なくともいずれかと下記一般式(V)で表される繰り返し構造単位とを有し、かつ酸の作用により分解する基を有する重合体であることを特徴とする上記1又は2に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【0020】
【化9】
【0021】
式(IVa)中:
R15、R16は、各々独立に、水素原子、シアノ基、水酸基、−COOH、−COOR19、−CO−NH−R20、−CO−NH−SO2−R20、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよい環状炭化水素基、又は下記−Y基を表す。ここで、R19は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換されていてもよい環状炭化水素基又は下記−Y基を表す。R20は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換されていてもよい環状炭化水素基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
−Y基:
【0022】
【化10】
【0023】
(−Y基中、R21〜R30は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。a,bは1又は2を表す。)
式(IVb)中:
Z2は、−O−又は−N(R3)−を表す。ここでR3は、水素原子、水酸基又は−OSO2−R4を表す。R4は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
式(V)中:
R17,R18は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Zは、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する成分、本発明のポジ型フォトレジスト組成物の物性、該組成物の使用形態につき説明する。
〔1〕(A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう)。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物に用いられる好ましい酸分解性樹脂としては、上記一般式(I)及び(II)で表される繰り返し構造単位を有する樹脂(以下、「酸分解性樹脂(イ)」ともいう)、並びに上記一般式(IVa)及び一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位のうち少なくともいずれかと上記一般式(V)で表される繰り返し構造単位とを有する樹脂(以下、「酸分解性樹脂(ロ)」ともいう)を挙げることができるが、これらに制限されない。
【0025】
<酸分解性樹脂(イ)>
まず、酸分解性樹脂(イ)について説明する。
酸分解性樹脂(イ)の繰り返し構造単位を表す一般式(I)、(II)において、R2、Ra〜Reの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
酸分解性樹脂(イ)の繰り返し構造単位を表す一般式(II)において、Wのアルキレン基としては、下記のX,Z,R11,R13で表されるアルキレン基と同様の基が挙げられる。
酸分解性樹脂(イ)は、一般式(III-a)〜(III-d)で表される繰り返し構造単位を含有することが好ましい。これにより、様々なピッチで線幅再現性の良い疎密依存性良好なポジ形フォトレジストを得ることができる。
一般式(III-a)〜(III-d)において、R3〜R10、R、R12、R14のアルキル基は、直鎖状、分岐状いずれでもよく、また置換基を有していてもよい。直鎖状あるいは分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12のものが好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のものであり、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基を好ましく挙げることができる。
R、R12、R14の環状のアルキル基としては、炭素数3〜30のものが挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基、ステロイド残基等を挙げることができる。
【0026】
R、R12、R14のアリール基としては、炭素数6〜20のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。具体的にはフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
R、R12、R14のアラルキル基としては、炭素数7〜20のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。具体的には、ベンジル基、フェネチル基、クミル基等が挙げられる。
R14のアルケニル基としては、炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、3−オキソシクロヘキセニル基、3−オキソシクロペンテニル基、3−オキソインデニル基等が挙げられる。これらのうち環状のアルケニル基は、酸素原子を含んでいてもよい。
【0027】
連結基Xとしては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよい環状アルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基、又はこれらの基の少なくとも2つ以上が組み合わされ、酸の作用により分解しない2価の基が挙げられる。
【0028】
Zは、単結合、エーテル基、エステル基、アミド基、アルキレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R11は、単結合、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R13は、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
X、R11、R13において、アリーレン基としては、炭素数6〜10のものが挙げられ、置換基を有していてもよい。具体的にはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
Xの環状アルキレン基としては、前述の環状アルキル基が2価になったものが挙げられる。
X、Z、R11、R13におけるアルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Rf)(Rg)〕r−
上記式中、Rf、Rgは、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数である。
連結基Xの具体例を以下に示すが本発明の内容がこれらに限定されるものではない。
【0029】
【化11】
【0030】
上記アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキレン基、環状アルキレン基、アリーレン基における更なる置換基としては、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アセチルアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基が挙げられる。
ここでアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の低級アルキル基を挙げることができる。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のものを挙げることができる。アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0031】
以下、一般式(III-b)における側鎖の構造の具体例として、Xを除く側鎖の構造を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【化12】
【0033】
以下、一般式(III-c)で表される繰り返し構造単位に相当するモノマーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
以下、一般式(III-d)で表される繰り返し構造単位に相当するモノマーの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0038】
【化16】
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】
一般式(III-b)において、R3〜R10としては、水素原子、メチル基が好ましい。Rとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。mは、1〜6が好ましい。
一般式(III-c)において、R11としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が好ましく、R12としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、樟脳残基等の環状アルキル基、ナフチル基、ナフチルメチル基が好ましい。Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、炭素数1〜6のアルキレン基、あるいはこれらの基を組み合わせた基が好ましく、より好ましくは単結合、エステル結合である。
一般式(III-d)において、R13としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。R14としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ネオペンチル基、オクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、メンチル基、モルホリノ基、4−オキソシクロヘキシル基、置換基を有していてもよい、フェニル基、トルイル基、メシチル基、ナフチル基、樟脳残基が好ましい。これらの基は置換基を有していてもよい。これらの基の更なる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基等が好ましい。
【0042】
一般式(III-a)〜(III-d)の中でも、一般式(III-b)及び一般式(III-d)で表される繰り返し構造単位が好ましい。
【0043】
酸分解性樹脂(イ)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
【0044】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、(A)成分としての酸分解性樹脂(イ)に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0045】
具体的には、以下の単量体を挙げることができる。
アクリル酸エステル類(好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルアクリレート):
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等。
【0046】
メタクリル酸エステル類(好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルメタアクリレート):
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等。
【0047】
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシエチル基等がある。)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等。
【0048】
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜10のもの、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基等がある)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基等がある)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等。
【0049】
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等)、アリルオキシエタノール等。
【0050】
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等。
【0051】
ビニルエステル類:
ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート等。
【0052】
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレート等。
【0053】
その他アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等。
【0054】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0055】
酸分解性樹脂(イ)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0056】
酸分解性樹脂(イ)中の一般式(I)で表される繰り返し構造単位の含有量は、全繰り返し構造単位中、30〜80モル%が好ましく、より好ましくは32〜75モル%、更に好ましくは35〜70モル%である。
また、酸分解性樹脂(イ)中、一般式(II)で表される繰り返し構造単位の含有量は、全繰り返し構造単位中、30〜70モル%が好ましく、より好ましくは32〜68モル%、更に好ましくは35〜65モル%である。
酸分解性樹脂(イ)中、一般式(III-a)〜(III-d)で表される繰り返し構造単位の含有量は、全繰り返し構造単位中0〜20モル%が好ましく、より好ましくは0〜18モル%、更に好ましくは0〜16モル%である。
【0057】
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、一般式(I)及び(II)で表される繰り返し構造単位を合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
【0058】
上記のような酸分解性樹脂(イ)の分子量は、重量平均(Mw:GPC法によるポリスチレン換算値)で、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは1,500〜500,000、更に好ましくは2,000〜200,000、より更に好ましくは2,500〜100,000の範囲であり、大きい程、耐熱性等が向上する一方で、現像性等が低下し、これらのバランスにより好ましい範囲に調整される。
また、酸分解性樹脂(イ)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。
【0059】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物において、酸分解性樹脂(イ)のレジスト組成物全体中の配合量は、全固形分中40〜99.99重量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97重量%である。
【0060】
以下に、(A)成分としての酸分解性樹脂(イ)の繰り返し構造単位の組み合わせの好ましい具体例を示す。
【0061】
【化19】
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
<酸分解性樹脂(ロ)>
次に、(A)成分として好ましい酸分解性樹脂(ロ)について説明する。
上述したように、酸分解性樹脂(ロ)は、上記一般式(IVa)及び一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位のうち少なくとも一つと上記一般式(V)で表される繰り返し構造単位とを有し、かつ酸の作用により分解する基を有する。
【0066】
上記一般式(IVa)において、R15、R16は、各々独立に、水素原子、シアノ基、水酸基、−COOH、−COOR19 、−CO−NH−R20 、−CO−NH−SO2 −R20 、置換されていてもよい、アルキル基、アルコキシ基あるいは環状炭化水素基、又は上記−Y基を表す。ここで、R19 は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状炭化水素基又は上記−Y基を表す。R20は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい環状炭化水素基を表す。
上記−Y基において、R21〜R30は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、a、bは1又は2を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2 −又は−NHSO2 NH−を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0067】
式(IVb)において、Z2は、−O−又は−N(R3)−を表す。ここでR3は、水素原子、水酸基又は−OSO2−R4を表す。R4は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
【0068】
上記R15 、R16 、R4、R19 、R20 、R21〜R30におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
上記R15 、R16 、R19 、R20における環状炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
上記R15 、R16 におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
上記R4 におけるハロアルキル基としてはトリフルオロメチル基、ナノフルオロブチル基、ペンタデカフルオロオクチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。上記R4 におけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0069】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基の更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッソ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0070】
上記一般式(IVa)及び(IVb)におけるAの2価の連結基としては、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
上記Aにおけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、下記式で表される基を挙げることができる。
−〔C(Ra )(Rb )〕r −
式中、Ra 、Rb は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選択される。置換アルキル基の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。rは1〜10の整数を表す。
【0071】
上記一般式(IVa)で表される繰り返し構造単位の具体例として次の[I−1]〜[I−65]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0072】
【化23】
【0073】
【化24】
【0074】
【化25】
【0075】
【化26】
【0076】
【化27】
【0077】
【化28】
【0078】
上記一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位の具体例として次の[I'−1]〜[I'−7]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0079】
【化29】
【0080】
【化30】
【0081】
上記一般式(V)において、R17、R18は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Zは、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。
【0082】
上記R17、R18におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R17、R18におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0083】
上記R17、R18のアルキル基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0084】
上記Zの脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し構造単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し構造単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、下記構造で示されるもの等が挙げられる。
【0085】
【化31】
【0086】
【化32】
【0087】
好ましい有橋式の脂環式炭化水素の骨格としては、上記構造のうち、(5)、(6)、(7)、(9)、(10)、(13)、(14)、(15)、(23)、(28)、(36)、(37)、(42)、(47)が挙げられる。
【0088】
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、下記一般式(V−A)あるいは(V−B)中のR13〜R16を挙げることができる。
上記有橋式の脂環式炭化水素を有する繰り返し構造単位の中でも、下記一般式(V−A)あるいは(V−B)で表される繰り返し構造単位が更に好ましい。
【0089】
【化33】
【0090】
上記一般式(V−A)あるいは(V−B)において、R13〜R16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR19 (R19 は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状炭化水素基又は上記一般式(IVa)におけると同様の−Y基を表す)、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A−R17、又は置換基を有していてもよいアルキル基あるいは置換基を有していてもよい環状炭化水素基を表す。nは0又は1を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2 −又は−NHSO2 NH−を表す。R17は、−COOH、−COOR19 、−CN、水酸基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、−CO−NH−R20 、−CO−NH−SO2 −R20(R19 、R20 は前記と同義である)又は上記一般式(IVa)の−Y基を表す。Aは、単結合または2価の連結基を表す。
【0091】
酸分解性樹脂(ロ)において、酸分解性基は、上記−C(=O)−X−A−R15 、−C(=O)−X−A−R16 に含まれてもよいし、一般式(V)のZの置換基として含まれてもよい。
酸分解性基の構造としては、−C(=O)−X1−R0 で表される。
式中、R0 としては、t−ブチル基、t−アミル基等の3級アルキル基、イソボロニル基、1−エトキシエチル基、1−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−シクロヘキシロキシエチル基等の1−アルコキシエチル基、1−メトキシメチル基、1−エトキシメチル基等のアルコキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、トリアルキルシリルエステル基、3−オキソシクロヘキシルエステル基、2−メチル−2−アダマンチル基、メバロニックラクトン残基、2−(γ−ブチロラクトニルオキシカルボニル)−2−プロピル基等を挙げることができる。X1は、上記一般式(IIa)のXと同義である。
【0092】
上記R13〜R16におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
【0093】
上記R13〜R16におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基である。
【0094】
上記R13〜R16における環状炭化水素基としては、例えば環状アルキル基、有橋式炭化水素であり、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンテニル基、ノボルナンエポキシ基、メンチル基、イソメンチル基、ネオメンチル基、テトラシクロドデカニル基等を挙げることができる。
上記R13〜R16のうち少なくとも2つが結合して形成する環としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の炭素数5〜12の環が挙げられる。
【0095】
上記R17におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0096】
上記アルキル基、環状炭化水素基、アルコキシ基における更なる置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アシル基、シアノ基、アシルオキシ基等を挙げることができる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものが挙げることができ、アシル基としてはホルミル基、アセチル基等を挙げることができ、アシルオキシ基としてはアセトキシ基等を挙げることができる。
【0097】
上記Aの2価の連結基としては、上記一般式(IVa)におけるAの2価の連結基と同様に、単結合、アルキレン基、置換アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせが挙げられる。
上記Aにおけるアルキレン基、置換アルキレン基としては、上記一般式(IVa)におけるAの2価の連結基のものと同様のものが挙げられる。
【0098】
酸分解性樹脂(ロ)おいては、酸の作用により分解する基は、一般式(IVa)で表される繰り返し構造単位、一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位、一般式(V)で表される繰り返し構造単位、及び後記共重合成分の繰り返し構造単位のうち少なくとも1種の繰り返し構造単位に含有することができる。
【0099】
上記一般式(V−A)あるいは一般式(V−B)におけるR13〜R16の各種置換基は、上記一般式(V)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基として挙げることができるものである。
【0100】
上記一般式(V−A)あるいは一般式(V−B)で表される繰り返し構造単位の具体例として次の[II−1]〜[II−166]が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0101】
【化34】
【0102】
【化35】
【0103】
【化36】
【0104】
【化37】
【0105】
【化38】
【0106】
【化39】
【0107】
【化40】
【0108】
【化41】
【0109】
【化42】
【0110】
【化43】
【0111】
【化44】
【0112】
【化45】
【0113】
【化46】
【0114】
【化47】
【0115】
【化48】
【0116】
【化49】
【0117】
【化50】
【0118】
酸分解性樹脂(ロ)は、一般式(IVa)及び一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位の少なくともいずれかの構造単位、並びに一般式(V)(一般式(V−A)、一般式(V−B)を包含する)で表される繰り返し構造単位を、それぞれ1種あるいは複数種を含む以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要要件である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で、様々な単量体の繰り返し構造単位を含む共重合体とすることができる。
好ましい共重合成分としては,下記一般式(IV')、(V')で表される繰り返し単位を挙げることができる。
【0119】
【化51】
【0120】
ここで式中、Zは酸素原子、−NH−、−N(−R50)−、−N(−OSO2 R50)−を表し、R50も前記一般式(V−A)におけるR13〜R16と同様の(置換)アルキル基、(置換)環状炭化水素基を意味を有する。
上記一般式(IV')、(V')で表される繰り返し構造単位の具体例として次の[IV'−9]〜[IV'−16]、[V'−9]〜[V'−16]が挙げられるが、これらの具体例に限定されるものではない。
【0121】
【化52】
【0122】
【化53】
【0123】
酸分解性樹脂(ロ)は、本発明の効果が有効に得られる範囲内で、更に以下のような単量体が該樹脂を構成する繰り返し構造単位を与えるものとして共重合されていてもよいが、下記単量体に限定されるものではない。
これにより、前記樹脂に要求される性能、酸分解性樹脂(イ)の場合と同様に、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
の微調整が可能となる。
このような共重合単量体としては、酸分解性樹脂(イ)の場合と同様に、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物などを挙げることができ、これら単量体の具体例も、酸分解性樹脂(イ)の場合と同じ既に記載した単量体を挙げることができる。
【0124】
酸分解性樹脂(ロ)おいて、一般式(IVa)及び/又は一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位、並びに一般式(V)(一般式(V−A)、一般式(V−B)も包含する)で表される繰り返し構造単位の含有量は、所望のレジストのドライエッチング耐性、感度、パターンのクラッキング防止、基板密着性、レジストプロファイル、さらには一般的なレジストの必要要件である解像力、耐熱性、等を勘案して適宜設定することができる。一般的に、酸分解性樹脂(ロ)おける一般式(IVa)及び/又は一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位、並びに一般式(V)で表される繰り返し構造単位の含有量は、各々、樹脂の全単量体繰り返し構造単位中25モル%以上が適当であり、好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上である。
【0125】
また、酸分解性樹脂(ロ)において、上記の好ましい共重合単量体から導かれる繰り返し構造単位(一般式(IV')あるいは一般式(V'))の樹脂中の含有量も、所望のジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、一般式(IVa)及び/又は一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位並びに一般式(V)で表される繰り返し構造単位を合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、一般式(IVa)及び/又は一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位並びに一般式(V)で表される繰り返し構造単位を合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
この更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の量が99モル%を越えると本発明の効果が十分に発現しないため好ましくない。
【0126】
また、酸分解性樹脂(ロ)おいては、酸の作用により分解する基は、一般式(IVa)及び/又は一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位、一般式(V)で表される繰り返し構造単位、更には共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位のいずれに含有されていても差し支えないが、酸の作用により分解する基を含有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し構造単位中8〜60モル%が適当であり、好ましくは10〜55モル%、更に好ましくは12〜50モル%である。
【0127】
酸分解性樹脂(ロ)は、一般式(V)で表される繰り返し構造単位に相当する単量体及び無水マレイン酸と、共重合成分を用いる場合は該共重合成分の単量体を共重合し、重合触媒の存在下に共重合し、得られた共重合体の無水マレイン酸に由来する繰り返し構造単位を、塩基性あるいは酸性条件下にアルコール類と開環エステル化し、あるいは加水分解し、しかる後生成したカルボン酸部位を所望の置換基に変換する方法によっても合成することができる。
【0128】
酸分解性樹脂(ロ)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000である。重量平均分子量が1,000未満では耐熱性やドライエッチング耐性の劣化が見られるため余り好ましくなく、200,000を越えると現像性が劣化したり、粘度が極めて高くなるため製膜性が劣化するなど余り好ましくない結果を生じる。
【0129】
本発明のポジ型フォトレジスト組成物において、酸分解性樹脂(ロ)の組成物全体中の配合量は、全レジスト固形分中40〜99.99重量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97重量%である。
酸分解性樹脂の配合量は、酸分解性樹脂(イ)の場合をも含んで、上記範囲が一般的に好ましい。
【0130】
〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」ともいう)
本発明で用いられる光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。
本発明で使用される光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームにより酸を発生する化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0131】
また、その他の本発明に用いられる光酸発生剤としては、たとえばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物等を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることができる。
【0132】
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0133】
上記電子線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体又は一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0134】
【化54】
【0135】
式中、R201は、置換もしくは未置換のアリール基、又は置換もしくは未置換のアルケニル基を表し、R202は、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアルキル基、又は−C(Y)3を表す。Yは塩素原子又は臭素原子を表す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0136】
【化55】
【0137】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、又は一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0138】
【化56】
【0139】
ここで式Ar1、Ar2は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を表す。
R203、R204、R205は、各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、又は置換もしくは未置換のアリール基を表す。
【0140】
Z-は、対アニオンを表し、例えばBF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6 -、SiF6 2-、ClO4 -、CF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0141】
またR203、R204、R205のうちの2つ及びAr1、Ar2はそれぞれの単結合又は置換基を介して結合してもよい。
【0142】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
【化57】
【0144】
【化58】
【0145】
【化59】
【0146】
【化60】
【0147】
【化61】
【0148】
【化62】
【0149】
【化63】
【0150】
一般式(PAG3)、(PAG4)で表される上記オニウム塩は公知であり、例えば、米国特許第2,807,648 号及び同4,247,473号、特開昭53-101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0151】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体又は一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0152】
【化64】
【0153】
式中、Ar3、Ar4は、各々独立に、置換もしくは未置換のアリール基を表す。R206は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を表す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
【化65】
【0155】
【化66】
【0156】
【化67】
【0157】
(4)下記一般式(PAG7)で表されるジアゾジスルホン誘導体。
【0158】
【化68】
【0159】
ここでRは、直鎖、分岐又は環状アルキル基、あるいは置換していてもよいアリール基を表す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
【化69】
【0161】
これらの光酸発生剤の添加量は、組成物中の固形分を基準として、通常0.001〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲で使用される。光酸発生剤の添加量が、0.001重量%より少ないと感度が低くなり、また添加量が40重量%より多いとレジストの光吸収が高くなりすぎ、プロファイルの悪化や、プロセス(特にベーク)マージンが狭くなり好ましくない。
【0162】
〔3〕(C)溶剤
本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、上記(A)成分、(B)成分、さらには後述する各成分を(C)溶剤に溶解して支持体上に塗布され、レジスト塗膜が形成される。
本発明で使用する(C)溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用する。
【0163】
上記の中でも、好ましい(C)溶剤としては2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0164】
〔4〕本発明のポジ型フォトレジスト組成物の粘度及びレジスト塗膜の透過率
本発明のポジ型レジスト組成物は、上記(A)成分、(B)成分及び後述する必要に応じて用いられる各成分を上記(C)溶剤に溶解して、溶液として調製される。
本発明の溶液として調製されたポジ型フォトレジスト組成物は、その粘度が25℃で測定された値として、2〜7センチポアズ(cps)であり、好ましくは3〜6cpsである。更に好ましくは3〜5センチポアズ(cps)である。本発明のポジ型フォトレジスト組成物が上記範囲の粘度を有することにより、詳細は不明であるが、薄膜プロセスでもパターンの倒壊が実質上なく、しかも面内均一性に優れたレジストパターンが得られる。
粘度の調整は、主として(A)成分に対する(C)溶剤の使用割合により行なうことができる。通常、(A)成分100重量部に対して、(C)溶剤を400〜5000重量部、好ましくは700〜2000重量部用いられるが、後述する任意成分の種類、量により上記割合を適宜変更することができる。
粘度調整の具体的方法としては、例えばまず、初めに(A)成分100重量部に対して、(C)溶剤を400重量部使用し固形分を溶解させ、そこへ(B)成分を加え溶解させる。必要に応じてその他添加剤を加える事もできる。得られた組成物の粘度を測定し、所望のものより高粘度の場合は上記で固形分を溶解せしめた同様の溶剤を用いて逐次希釈し、粘度を測定する。
組成物の粘度は、その(A)成分の繰り返し単位の種類、共重合比、分子量や分散度、またその他添加成分との組合せにより大きく変化する。そのため最適使用溶剤量および希釈による粘度の変化量をあらかじめ予測することは極めて困難であるので、上記具体的方法は有効である。
【0165】
本発明の溶液状ポジ型フォトレジスト組成物は、基板上に塗布され、引き続く乾燥により溶剤が除去されてレジスト塗膜が形成される。この塗膜の膜厚は、0.1〜1.2μmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.35μmである。
本発明においては、形成されたレジスト塗膜が、波長193nmの光に対して40〜70%/350nm、特には45〜65%/350nmの透過率を有することが好ましい。レジスト塗膜が上記範囲の透過率を有することにより、定在波のみられない矩形なプロファイルを得ることが可能となり、好ましい結果が得られる。
透過率の調整法としては、例えば組成物の波長193nmの光に対する透過率は、(A)成分中での各繰り返し単位の種類、共重合比および分子量により調整することも可能である。さらに、その波長に吸収を持つような(B)成分、酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、界面活性剤、光増感剤、有機塩基化合物、および露光部の現像液に対する溶解性を促進させる化合物の添加量を適宜調整することによりなされる。
【0166】
〔5〕その他の成分
本発明のポジ型フォトレジスト組成物には、必要に応じて更に上記(A)成分、(B)成分及び(C)溶剤以外の成分、即ち酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、界面活性剤、光増感剤、有機塩基性化合物、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0167】
本発明のポジ型レジスト組成物には、好ましくはフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有する。
本発明のポジ型レジスト組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型フォトレジスト組成物が上記酸分解性樹脂と上記界面活性剤とを含有することにより、パターンの線幅が一層細い時に特に有効であり、現像欠陥が一層改良され、コンタクトホールの解像性がより優れるようになる。
これらの界面活性剤として、例えば特開昭62-36663号、特開昭61-226746号、特開昭61-226745号、特開昭62-170950号、特開昭63-34540号、特開平7-230165号、特開平8-62834号、特開平9-54432号、特開平9-5988号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0168】
界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分を基準として、通常0.001重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
上記の他に使用することのできる界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
これらの他の界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100重量部当たり、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
【0169】
本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物は、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
【0170】
【化70】
【0171】
ここで、R250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基であり、ここでR251とR252は互いに結合して環を形成してもよい。
【0172】
【化71】
【0173】
(式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す)
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダーゾル、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0174】
含窒素塩基性化合物の好ましい具体例として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、N−ベンジルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CHMETU)等の3級モルホリン誘導体、特開平11−52575号公報に記載のヒンダードアミン類(例えば該公報〔0005〕に記載のもの)等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0175】
特に好ましい具体例は、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、4,4−ジメチルイミダゾリン、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、ピリダジン類、ピリミジン類、CHMETU等の3級モルホリン類、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート等のヒンダードアミン類等を挙げることができる。
中でも、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、ヘキサメチレンテトラミン、CHMETU、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲートが好ましい。
【0176】
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。含窒素塩基性化合物の使用量は、感光性樹脂組成物の全組成物の固形分に対し、通常、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。0.001重量%未満では上記含窒素塩基性化合物の添加の効果が得られない。一方、10重量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0177】
〔6〕本発明のポジ型フォトレジスト組成物の使用の形態
本発明のポジ型フォトレジスト組成物が塗布される基板上に、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を設けることができる。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、α−シリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型が用いることができる。前者は膜形成に真空蒸着装置、CVD装置、スパッタリング装置等の設備を必要とする。有機反射防止膜としては、例えば特公平7−69611号記載のジフェニルアミン誘導体とホルムアルデヒド変性メラミン樹脂との縮合体、アルカリ可溶性樹脂、吸光剤からなるものや、米国特許5294680号記載の無水マレイン酸共重合体とジアミン型吸光剤の反応物、特開平6−118631号記載の樹脂バインダーとメチロールメラミン系熱架橋剤を含有するもの、特開平6−118656号記載のカルボン酸基とエポキシ基と吸光基を同一分子内に有するアクリル樹脂型反射防止膜、特開平8−87115号記載のメチロールメラミンとベンゾフェノン系吸光剤からなるもの、特開平8−179509号記載のポリビニルアルコール樹脂に低分子吸光剤を添加したもの等が挙げられる。
また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAC−2、AC−3等を使用することもできる。
【0178】
上記レジスト液を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上に(必要により上記反射防止膜を設けられた基板上に)、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。ここで露光光としては、好ましくは150nm〜250nmの波長の光である。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等が挙げられる。
【0179】
現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0180】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0181】
樹脂の合成
合成例(1)〔(A)成分である酸分解性樹脂(イ)の前記した樹脂1の合成〕
2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、ブチロラクトンメタクリレート、40/60の割合(モル比)で仕込み、テトラヒドロフランに溶解し、固形分濃度20%の溶液100mLを調製した。この溶液にV−65(商品名、和光純薬製)を全モノマーモル数に対して2mol%加え、これを窒素雰囲気下、2時間かけて55℃に加熱したテトラヒドロフラン10mLに滴下した。滴下終了後、反応液を6時間加熱、撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、蒸留水3Lに晶析、析出した白色粉体を回収した。
C13NMRから求めた樹脂の組成は、モル比で、41/59(2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/ブチロラクトンメタクリレート)であった。また、GPC測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は12700であった。
【0182】
合成例(2)〜(15)〔(A)成分である酸分解性樹脂(イ)の前記した樹脂2〜15の合成〕
合成例1と同様な操作で、樹脂2〜15を合成した。樹脂の組成比、重量平均分子量を表1に示す。表1の繰り返し構造単位1、2、3は、前記した各樹脂の構造単位の左からの順番に相当する構造単位を表す。
【0183】
【表1】
【0184】
合成例(16)〔(A)成分である酸分解性樹脂(ロ)の下記構造の樹脂16の合成例〕
3−オキソ−1,1−ジメチルブタノールのメタクリル酸エステルとシクロペンタジエンタジエンとの反応により得られる下記構造のテトラシクロドデセン誘導体(1−1)と無水マレイン酸の等モルの混合物をテトラヒドロフランに溶解し、固形分50%の溶液を調製した。これを3つ口フラスコに仕込み、窒素気流下60℃で加熱した。反応温度が安定したところで和光純薬社製ラジカル開始剤V−60を5mol%加え反応を開始させた。6時間加熱した後、反応混合物をテトラヒドロフランで2倍に希釈した後、大量のヘキサンに投入し白色粉体を析出させた。析出した粉体を濾過取り出しし、乾燥、目的物である下記樹脂16を得た。
【0185】
【化72】
【0186】
得られた樹脂16のGPCによる分子量分析を試みたところ、ポリスチレン換算で6800(重量平均)であった。また、NMRスペクトルより樹脂16のテトラシクロドデセン繰り返し単位と無水マレイン酸繰り返し単位のモル比率は50/50であることが判明した。
【0187】
合成例(17)〜(21)〔(A)成分である酸分解性樹脂(ロ)の下記構造の樹脂17〜21の合成例)
上記と同様の方法で樹脂17〜21を合成した。合成した樹脂16〜21の構造を下記する。
【0188】
【化73】
【0189】
【化74】
【0190】
また、上記樹脂17から21の各繰り返し単位のモル比率と重量平均分子量を表2に示す。
【0191】
【表2】
【0192】
実施例1〜23及び比較例1〜2
<ポジ型レジスト組成物の調製と評価>
上記合成例で示した表1、2に示す樹脂を1.48g、光酸発生剤60mg、有機塩基性化合物(アミン)1.5mg、必要により界面活性剤(30mg)を配合し、6.0gのプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)で溶解させた。得られた組成物の粘度を測定し、所望の粘度(表3)より高粘度の場合は上記で固形分を溶解せしめた同様の溶剤(PGMEA)を用いて、逐次希釈し、粘度を測定するということを繰り返し、所望の粘度とした。その得られた溶液を0.1μmのミクロフィルターで濾過し、実施例1〜23のポジ型レジスト組成物を得た。尚、実施例22、23の組成物は、光酸発生剤の添加量(60mg)を、各々120mg(実施例22)、30mg(実施例23)に代えた。
また、比較例1〜2として、各々の粘度が本発明で特定される範囲(25℃で2〜7センチポアズ)から外れた組成物を同様に調製した。
【0193】
各例の組成物を調製に当たって使用した各成分を表3に記載した。
但し表3において:
光酸発生剤1はトリフェニルスルホニウムトリフレートを表し、光酸発生剤2はトリフェニルスルホニウムノナフレートを表す。また、光酸発生剤3は上記(PAG3−28)を表す。
また、界面活性剤としては、
W1:メガファックF176(大日本インキ(株)製)(フッ素系)
W2:メガファックR08(大日本インキ(株)製)(フッ素及びシリコーン系)
W3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
W4:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
を表す。
アミンとしては、
1は、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)
2は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバゲート3は、トリn−ブチルアミン
を表す。
【0194】
上記各組成物につき下記の評価試験を行い、結果を表3に示した。なお、評価試験法は下記の通りである。
(評価試験法)
(1)粘度:調整した組成物を精密恒温槽により25℃で30分間保持した後、組成物の粘度をE型粘度計で測定し、その値を25℃での粘度として示した。
透過率:組成物を石英基板上にスピンコータを用いて塗布し、140℃で90秒間乾燥し膜厚350nmのレジスト膜を得た。紫外可視分光器を用いてこの膜の透過スペクトルを測定した。表3の値はこの時の193nmでの透過率を記載したものである。
(2)面内均一性:実施例1〜23、比較例1、2について、得られたポジ型レジスト液をスピンコーターでブリュワー社製DUV30(160nm)を塗布した基板にスピンコーターで塗布した後、140℃で90秒間乾燥し膜厚0.35μm以下のレジスト膜を得た。膜厚計(Prometrix社製、Spectra Map SM3000)によりウエハ内の49点について膜厚を測定し、測定データを基にその範囲(最大値と最小値の差:オングストローム)と標本に基づいた標準偏差を算出し面内均一性の指標とした。
また、比較例2と同様の組成物を面内均一性の満足がいくような厚い膜を塗布したところ、その時の膜厚が500nmとなり、それを比較例2aとした。
(3)解像力:上記のようにして塗布された基板をISI社製ArFステッパー(ISI9300、NA=0/60、0.70sigma)で露光し、線幅0.15μmのマスクパターン(Line/Space比が1:1)を再現する露光量での限界解像力をもって定義した。
(4)パターン倒れ:線幅0.15μmのマスクパターンを再現する露光量において、線幅0.14μm(Line/Space比が1:1)繰り返しパターンで、端パターンの倒壊および消失が観測される(表中×)、されない(表中○)で定義した。
【0195】
【表3】
【0196】
表3の結果から明らかなように、比較例1、2は面内均一性に問題を含んでいた(範囲大、標準偏差大)。また、比較例2aは比較例2と同様の組成物を面内均一性がとれるような厚い膜厚(500nm)で塗布し、評価試験を行なったものである。ここでは面内均一性の問題は小さくなるものの、解像性の劣化やパターンの倒壊といった問題が生じた。
従って、本発明のポジ型フォトレジスト組成物は、薄膜プロセス中においても面内均一性に優れ、十分満足のいく解像性能を発揮することができ、更にパターンの倒壊という問題も生じなかった。すなわち、本発明のポジ型フォトレジスト組成物が遠紫外光とくにArFエキシマレーザー光(波長193nm)をはじめとするリソグラフィの薄膜化に対応することができることを明らかにしている。
【0197】
上記実施例1〜23のポジ型レジスト組成物について、それを上記と同様に塗膜を形成し、露光、現像し、レジストパターンプロファイルを作成した。それらについて以下のようにプロファイル、定在波を評価した。
(5)プロファイル:線幅0.15μmのマスクパターンを再現する露光量での、0.15μmパターンにおいて、図1に示したTop−size/Bottom−sizeの比が0.8〜1.0のものを「矩形」とし、0.8未満のものについては「台形」とした。
(6)定在波:線幅0.15μmのマスクパターンを再現する露光量での、0.15μmパターンにおいて定在波が観測されたものには「あり」、観測されなかったものには「なし」と記載した。
これらの結果を下記表4に示す。
【0198】
【表4】
【0199】
上記表4に示すように、本発明の組成物が、好ましい塗膜の透過率の範囲に入ることにより、更にプロファイルが優れ、定在波がなくなることが判る。
【0200】
【発明の効果】
本発明の遠紫外線露光用ポジ型レジスト系組成物は、170〜220nmといった範囲の遠紫外波長領域を持つ光に対して好適に適応するこができ、薄膜プロセスにおいても十会な面内均一性が保持され、パターンの倒壊等の問題なしに微細パターンを再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パターンプロファイルの評価法を説明するための図である。
Claims (6)
- (A)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂、
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び
(C)溶剤、
を含有し、25℃での粘度が2〜7センチポアズであることを特徴とするポジ型フォトレジスト組成物。 - 塗布、乾燥後に形成された塗膜が、波長193nmの光に対して40〜70%/350nmの透過率を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
- 上記(A)樹脂が、下記一般式(III-a)〜(III-d)で表される繰り返し構造単位のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項3に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
R1は、上記と同意である。
R3〜R10は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
mは、1〜10の整数を表す。
Xは、単結合、又は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよい環状アルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルフォンアミド基、ウレタン基、ウレア基あるいはこれらの基を組み合わさせた基であって、酸の作用により分解しない2価の基を表す。
Zは、単結合、又はエーテル基、エステル基、アミド基、アルキレン基あるいはこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R11は、単結合、又はアルキレン基、アリーレン基、あるいはこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R12は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
R13は、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
R14は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
Aは、下記に示す官能基のいずれかを表す。)
- 上記樹脂(A)が下記一般式(IVa)及び一般式(IVb)で表される繰り返し構造単位のうち少なくともいずれかと下記一般式(V)で表される繰り返し構造単位とを有し、かつ酸の作用により分解する基を有する重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
R15、R16は、各々独立に、水素原子、シアノ基、水酸基、−COOH、−COOR19、−CO−NH−R20、−CO−NH−SO2−R20、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよい環状炭化水素基、又は下記−Y基を表す。ここで、R19は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換されていてもよい環状炭化水素基又は下記−Y基を表す。R20は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換されていてもよい環状炭化水素基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
−Y基:
式(IVb)中:
Z2は、−O−又は−N(R3)−を表す。ここでR3は、水素原子、水酸基又は−OSO2−R4を表す。R4は、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。
式(V)中:
R17,R18は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
Zは、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、置換基を有していてもよい脂環式構造を形成するための原子団を表す。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型フォトレジスト組成物によりレジスト膜を形成し、当該レジスト膜を露光、現像することを特徴とするパターン形成方法。
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