JP4116812B2 - 自転車用車体フレーム構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の操縦性を高めるとともに、車体フレームに伝わる大きな荷重を支えるのに好適な自転車用車体フレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自転車用車体フレーム構造としては、例えば、(1)特開平9−263282号公報「緩衝装置付き自転車フレーム」、(2)特公平4−43834号公報「自動二輪車のフレーム」に記載されたものが知られている。
【0003】
上記(1)の図1には、ヘッドパイプ1(符号については、同公報に記載されているものを使用した。以下同じ。)から後方斜め下方に上パイプ2及びこの上パイプ2より下側に位置する下パイプ3をそれぞれ延ばし、これらの上パイプ2の後端と下パイプ3の後端とに立パイプ4を連結した三角フレームが記載されている。
【0004】
上記(2)の第1図には、ヘッドパイプ2(符号については、同公報に記載されているものを使用した。以下同じ。)から後方斜め下方に延ばしたメインフレーム部材5と、このメインフレーム部材5の後端に取付けたリヤアーム10と、メインフレーム部材5及びリヤアーム10のそれぞれの間にリンクを介して取付けた油圧緩衝器31とを備えた自動二輪車が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)では、上パイプ2、下パイプ3及び立パイプ4からなる三角フレームは、それぞれのパイプが一端から他端まで一定の外形寸法を有するため、剛性はどの部分でもほぼ一定になる。
【0006】
一般に、車体フレームは、剛性が高いほどひずみやねじれが少なくなるので、路面から伝わる大きな荷重に対して有利である上、荷重に対する車体の敏感性も高くなるが、車体フレームの剛性が高すぎると、例えば、路面から衝撃荷重を受けたときに、その衝撃荷重に対して車体が機敏に反応し、運転者はそれらの動きに対して反応するために非常に疲れ易くなる。また、車体にねじれが起こりにくくなるため、良好な旋回特性が得られなくなることがある。
【0007】
逆に、車体フレームの剛性が低すぎると、車体のねじれが大きくなりすぎたり的確な路面情報が運転者に伝わりにくくなったりする。従って、運転者の動きに対して鈍感に反応するため、機敏な動きを取ることが難しくなる。
【0008】
特に路面の凹凸が大きく、且つコーナーを高速で走行するダウンヒルのような競技では、上記の理由により、車体フレームに、剛性の高い部分と剛性の低い部分とを備えることが望ましく、上記(1)の三角フレームでは、大荷重の支持と操縦性の向上とを両立させるのは難しい。
【0009】
また、上記(2)では、リヤアーム10が上下にスイングすれば、リヤアーム10からリンク、油圧緩衝器31を介してメインフレーム部材5の中間部に曲げ荷重が作用する。従って、メインフレーム部材5は、上記の曲げ荷重に耐え得るよう剛性を高めなければならない。
【0010】
しかしながら、メインフレーム部材5の剛性を高めれば、車体重量が増し、運動性能が低下することになる。例えば、上記のリヤアーム10からメインフレーム部材5に伝わる荷重を、メインフレーム部材5の軸方向の荷重として受けることができれば、メインフレーム部材5でリヤアーム10からのより大きな荷重を支えることが可能になり、軽量化も図れ、運動性能も向上する。
【0011】
そこで、本発明の目的は、自転車用車体フレーム構造を改良することで、車両の操縦性を高めるとともに、車体フレームに伝わる前輪側及び後輪側からの大きな荷重を支えることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体フレームの前部に前輪をフロントフォークを介して操舵可能に取付け、車体フレームの後部に上下スイング可能にスイングアームを取付けるとともにこのスイングアームの後端に後輪を取付けた自転車において、車体フレームを、フロントフォークを回転可能に取付けるヘッドパイプと、このヘッドパイプから後方斜め下方に延ばしたボックス状のボックスフレーム部と、このボックスフレーム部の後端から左右に分けて後方斜め下方に延ばすとともにボックスフレーム部の車幅方向外形寸法よりも狭くしたツインチューブ部と、このツインチューブ部の各後端から後方斜め下方に延ばすとともにツインチューブ部よりも車幅方向に広くした後部フレーム部とから構成し、ボックスフレーム部の下部から後方斜め下方にダウンチューブを延ばし、側面視でこのダウンチューブはボックスフレーム部近傍で前後方向に幅広く形成したことを特徴とする。
【0013】
車体フレームを、ヘッドパイプ近傍ではボックス状のボックスフレーム部として高剛性とし、ツインチューブ部では細く左右に分けて低剛性とすることにより、路面から前輪、フロントフォークを介してヘッドパイプに伝わる大きな荷重をボックスフレーム部で支えることができるとともに、車体中心部にねじれを発生し易くして車両の操縦性を高めることができる。
【0014】
請求項2は、後部フレーム部のほぼ中間部にスイングアームの取付部を備えたことを特徴とする。
スイングアームを車幅方向に広い後部フレーム部に取付けるので、スイングアームから後部フレーム部に伝わるねじりモーメントを間隔の大きな2つの支点で受けることができるため、そのねじりモーメントにより発生する荷重を小さくすることができ、このように後部フレーム部に作用する荷重を小さくすれば、後部フレーム部のスイングアーム取付部の剛性アップを小さくすることができて、後部フレーム部の重量増加を抑えることができる。
また、スイングアームのねじれに対して有利となるため、良好なスイングアームの揺動(クッションの伸縮)が得られる。
【0015】
請求項3は、スイングアームを、後部フレーム部に備えた取付部から後方斜め上方に延ばした立上がり部と、この立上がり部の上端から後方斜め下方に延ばした後部延出部とからなるほぼL字状の部材とし、車体フレームのツインチューブ部の後端に、後輪から車体フレームに伝わる衝撃を緩和するリヤクッションユニットを介して、立上がり部と後部延出部との接続部を連結することで、ボックスフレーム部、ツインチューブ部、リヤクッションユニット及び後部延出部をほぼ一直線上に配置したことを特徴とする。
【0016】
ボックスフレーム部、ツインチューブ部、リヤクッションユニット及び後部延出部をほぼ一直線上に配置したことにより、スイングアームからリヤクッションユニットを介してボックスフレーム部、ツインチューブ部に伝わる荷重を、ボックスフレーム部、ツインチューブ部にほぼ軸圧縮荷重として作用させることができ、例えば、スイングアームから車体フレームに伝わる荷重が曲げ荷重として作用する場合に比べて、車体フレームでより大きな荷重を支持することができる。
【0017】
請求項4は、ツインチューブ部の後端と後部フレーム部とに、サドルを支持するサドルフレームを取付け、このサドルフレームの下方にリヤクッションユニットを配置したことを特徴とする。
【0018】
サドルフレームの下方にリヤクッションユニットを配置したことで、リヤクッションユニットは、サドルフレームと後部フレーム部とに囲まれるため、飛び石等からリヤクッションユニットを保護することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車体フレーム配置構造を採用した自転車の斜視図であり、自転車10は、ダウンヒル用の車両であり、林道、スキー場等に高速コーナーやジャンプセクションを設けた未舗装のコースを下ることによりタイムを競う競技に使用するため、前輪11及び後輪12ではそれぞれフロントフォーク14、リヤクッションユニット15により路面からの衝撃を吸収し、車体フレーム16では剛性を高めることで大荷重を支え、一方では車体フレーム16の一部にしなやかさを備えることで操縦性を高め、更に、前輪11及び後輪12の制動力を高めるためにディスクブレーキ(後で詳述する。)を採用したものである。
【0020】
図2は本発明に係る自転車の側面図であり、自転車10は、ヘッドパイプ21に操舵可能に前述のフロントフォーク14を取付け、このフロントフォーク14の下端に回転可能に前輪11を取付け、フロントフォーク14の上部にバーハンドル22を取付け、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に車体フレーム16を延ばし、この車体フレーム16の後部に上下スイング可能にL字状のスイングアーム23を取付け、このスイングアーム23の後端に後輪12を回転可能に取付け、車体フレーム16とスイングアーム23とにリヤクッションユニット15を渡し、車体フレーム16の後部に変速機25を取付け、この変速機25の左右にそれぞれペダル26,27を取付け、車体フレーム16の中間部にサドル28を取付けた車両である。
【0021】
ここで、31は前輪用ディスクブレーキ(32はブレーキキャリパ、33はブレーキディスク)、34,34(奥側の符号34は不図示)はフロントフォーク14の下部を保護するフロントフォークプロテクタ、35はフロントフェンダ、36はリヤクッションユニット15にホース37で接続したリザーバタンク、38は変速機25の出力軸に取付けた駆動側スプロケット、41は後輪12に取付けた被動側スプロケット、42はチェーン、43は後輪用ディスクブレーキ(44はブレーキキャリパ、45はブレーキディスク)である。
【0022】
図3は本発明に係る車体フレームの斜視図であり、車体フレーム16は、ヘッドパイプ21から後方斜め下方に延ばしたボックス状のボックスフレーム部51と、このボックスフレーム部51の後端から左右に分けて後方斜め下方、即ちボックスフレーム部51の延長線上に延ばしたツインチューブ部52と、このツインチューブ部52の後端から、ボックスフレーム部51及びツインチューブ部52の傾斜角よりも更に傾斜させて後方斜め下方に延ばした後部フレーム部53と、ボックスフレーム部51の前端下部から後方斜め下方に延ばすとともに後部フレーム部53の後端に連結したダウンチューブ54と、ツインチューブ部52の後端及び後部フレーム部53の中間部にサドル28(図2参照)を取付けるために設けたサドルフレーム56(図2参照)とからなる。なお、16A,16Bは後部フレーム部53の後端とダウンチューブ54の後端との連結部分を左右にボルトで結合するための円筒状の後端結合部である。
【0023】
ボックスフレーム部51は、ボックス状とすることで車体フレーム16の前部を高剛性とするための部分である。
ツインチューブ部52は、左右のチューブ52L,52Rに細く分けることで、剛性を低くして車体フレーム16の中央部を捩れやすくするための部分であり、後端内面にリヤクッションユニット15(図2参照)の前端を取り付けるためのクッション取付部52A,52Aを備え、後端上部にサドルフレーム56の前部を取り付けるためのサドルフレーム前部取付部52B,52Bを備える。
【0024】
後部フレーム部53は、左右幅を大きくすることで、変速機25(図2参照)を収納し易くするとともに、スイングアーム23(図2参照)の取付部に作用する捩れを支持する支持力を高めた部分であり、左右のフレーム部53L,53Rからなり、中間部内面にスイングアーム23の前端を取り付けるためのアーム取付部53A,53Bを備え、中間部上部にサドルフレーム56の後部を取付けるためのサドルフレーム後部取付部53C,53Cを備える。
【0025】
ダウンチューブ54は、後部に変速機25を支持するとともに後部フレーム部53の後端に連結するために二股状に形成した二股部54Aと、この二股部54Aの根元部分に変速機25を取付けるために開けた変速機取付穴54B,54Bとを備える。なお、54C,54Cは二股部54Aを構成する湾曲状アーム部である。
【0026】
ヘッドパイプ21の近傍では、高剛性のボックスフレーム部51とし、後部フレーム部53ではスイングアーム23の取付部を車幅方向に広く取付けることにより、後輪12(図2参照)からのねじれモーメントに対して高剛性としている。ボックスフレーム部51と後部フレーム部53とのほぼ中間部では、車幅方向に細くツインチューブ部52を設けることにより、前後輪11,12(図2参照)からの大荷重に対して車体の中間部がねじれ、それは運転者を含めた重心近傍となり、操縦性を高めることができる。
【0027】
図4は図3の4矢視図であり、車体フレーム16の各部の車幅方向外形寸法(以下、単に「幅」と記す。)を、ボックスフレーム部51で幅B1、ツインチューブ部52で幅B2、後部フレーム部53で幅B3とすると、B2<B1、B3>B2となる。
【0028】
即ち、ツインチューブ部52の幅B2をボックスフレーム部51の幅B1及び後部フレーム部53の幅B3よりも狭くすることで、運転者がペダルを漕ぐ際に膝を当たりにくくして膝の動きを阻害させないようにすることができ、良好なペダリング操作を行うことができる。
【0029】
また、後部フレーム部53の幅B3をツインチューブ部52の幅B2よりも広くすることで、左右のフレーム部53L,53R間のスペースSPを大きくし、このスペースSPに変速機25(図2参照)等の部品を収納しやすくすることができる。
更に、スイングアーム23(図2参照)のねじれに対して、幅を広く取り、支持することにより良好な後輪12(図2参照)の揺動(リヤクッションユニット15(図2参照)の伸縮)が得られる。
【0030】
図5は本発明に係る車体フレーム構造を示す側面図であり、スイングアーム23は、後部フレーム部53に取付けたピボット軸61から後方斜め上方に延ばした立上がり部62と、この立上がり部62の上端から後方斜め下方に延ばした後部延出部63とからなるほぼL字状の部材であり、立上がり部62と後部延出部63との接続部にリヤクッションユニット15の後端の取付軸64を取付ける。なお、65はリヤクッションユニット15の前端を取付けるためにツインチューブ部52に設けた取付軸、67は後輪12(図2参照)の車軸を取付けるために後部延出部63の後端に開けた長穴である。
【0031】
スイングアーム23を上記の形状にすることで、本発明の車体フレーム構造では、ボックスフレーム部51、ツインチューブ部52、リヤクッションユニット15及び後部延出部63をほぼ直線状、即ち直線70に沿った形状にすることができる。
【0032】
従って、後輪12からスイングアーム23、リヤクッションユニット15を介してボックスフレーム部51、ツインチューブ部52に伝わる荷重を、ボックスフレーム部51、ツインチューブ部52にほぼ軸圧縮荷重として作用させることができる。
【0033】
これにより、従来のような、スイングアームから車体フレームに伝わる荷重が、車体フレームに曲げ荷重として作用するのに比べて、本発明では、車体フレーム16で大きな荷重を支持することができる。
【0034】
サドルフレーム56は、ツインチューブ部52のサドルフレーム前部取付部52B,52B(奥側のサドルフレーム前部取付部52Bは不図示)に取付けた上部フレーム部56Aと、後部フレーム部53のサドルフレーム後部取付部53C,53Cに取付けた下部フレーム部56Bと、これらの上部フレーム部56A及び下部フレーム部56Bの各端部を取付ける円筒部56Cとからなり、円筒部56Cでサドル28(図2参照)の下部に取付けたサドルポスト28A(図2参照)を支持する。
【0035】
このように、サドルフレーム56の全体でリヤクッションユニット15の上方のほぼ全体及び側方の一部を覆うことで、リヤクッションユニット15を飛び石等から保護することができる。
【0036】
図6は本発明に係る車体フレームの要部を示す側面図であり、車体フレーム16のボックスフレーム部51の側面に、長手方向に延びる横リブ51A,51Bを平行に上下に形成したことを示す。
【0037】
このように、ボックスフレーム部51に横リブ51A,51Bを設けることで、ボックス形状と合わせてボックスフレーム部51をより一層高剛性にすることができる。従って、所定の剛性を確保しようとすれば、ボックスフレーム部51の肉厚をより薄くすることができ、ボックスフレーム部51をより軽量にすることができる。
【0038】
図7は本発明に係る車体フレームの下部を示す斜視図であり、幅を広くした後部フレーム部53の内側に変速機25を配置したことを示す。
変速機25は、バーハンドル22(図2参照)に設けた変速用レバー(不図示)にワイヤ75を介して連結した装置であり、上記の変速用レバーを操作することにより、この変速用レバーに連結したワイヤ75を引いて、このワイヤ75の端部を連結した連結部76を作動させることで、ペダル26,27(ペダル27は不図示)の回転軸となるペダル軸と、駆動側スプロケット38(図2参照)を一体的に取付けた出力軸との間のギヤ比を変更する。
【0039】
図8は本発明に係る自転車の要部背面図であり、スイングアーム23の後部延出部63を、立上がり部62(図5参照)と接続するための接続部78から延びる左右のアーム部63L,63Rで構成したことを示す。
【0040】
このように、接続部78は左右のアーム部63L,63Rを連結するために剛性を高めた部分であり、この接続部78にリヤクッションユニット15の後端を接続するため、後輪12から後部延出部63を介してリヤクッションユニット15に荷重を効率よく伝えることができる。
【0041】
以上の図1、図3及び図4で説明したように、本発明は第1に、車体フレーム16の前部に前輪11をフロントフォーク14を介して操舵可能に取付け、車体フレーム16の後部に上下スイング可能にスイングアーム23を取付けるとともにこのスイングアーム23の後端に後輪12を取付けた自転車10において、車体フレーム16を、フロントフォーク14を回転可能に取付けるヘッドパイプ21と、このヘッドパイプ21から後方斜め下方に延ばしたボックス状のボックスフレーム部51と、このボックスフレーム部51の後端から左右に分けて後方斜め下方に延ばすとともにボックスフレーム部51よりも車幅方向に狭くしたツインチューブ部52と、このツインチューブ部52の各後端から後方斜め下方に延ばすとともにツインチューブ部52よりも車幅方向に広くした後部フレーム部53とから構成する。
【0042】
車体フレーム16を、ヘッドパイプ21近傍ではボックス状のボックスフレーム部51として高剛性とすることにより、路面から前輪11、フロントフォーク14を介してヘッドパイプ21に伝わる大きな荷重をボックスフレーム部51で支えることができるとともに、スイングアーム23の取付部となる後部フレーム部53で幅広くすることにより、後輪12に作用する荷重によるスイングアーム23のねじれを抑えることができる。
そして、そのほぼ中間部に位置するツインチューブ部52(低剛性部)において、ねじれを発生させることにより、重心近傍で変形するため、自転車10の操縦性を高めることができる。
【0043】
また、ツインチューブ部52の幅B2をボックスフレーム部51の幅B1及び後部フレーム部53の幅B3よりも狭くすることにより、ペダル26,27を漕ぐ際の運転者の膝の動きを阻害することがなく、良好なペダリング操作を行うことができて、運転性を高めることができる。
【0044】
更に、後部フレーム部53の幅B3を広くしたことから、左右の後部フレーム部53間のスペースSPを大きくすることができ、このスペースSPへの変速機25等の部品の収納性を向上させることができる。また更に、スイングアーム23の捩れを抑えることができる。
【0045】
本発明は第2に、後部フレーム部53のほぼ中間部にスイングアーム23の取付部としてのピボット軸61を備えたことを特徴とする。
スイングアーム23を車幅方向に広い後部フレーム部53に取付けるので、スイングアーム23から後部フレーム部53に伝わるねじりモーメントを間隔の大きな2つの支点で受けることができるため、そのねじりモーメントにより発生する荷重を小さくすることができ、このように後部フレーム部53に作用する荷重を小さくすれば、後部フレーム部53のスイングアーム取付部の剛性アップを小さくすることができて、後部フレーム部53の重量増加を抑えることができる。
【0046】
本発明は第3に、スイングアーム23を、ピボット軸61から後方斜め上方に延ばした立上がり部62と、この立上がり部62の上端から後方斜め下方に延ばした後部延出部63とからなるほぼL字状の部材とし、車体フレーム16のツインチューブ部52の後端に、後輪12から車体フレーム16に伝わる衝撃を緩和するリヤクッションユニット15を介して、立上がり部2と後部延出部63との接続部78を連結することで、ボックスフレーム部51、ツインチューブ部52、リヤクッションユニット15及び後部延出部63をほぼ一直線上に配置したことを特徴とする。
【0047】
ボックスフレーム部51、ツインチューブ部52、リヤクッションユニット15及び後部延出部63をほぼ一直線上に配置したことにより、スイングアーム23からリヤクッションユニット15を介してボックスフレーム部51、ツインチューブ部52に伝わる荷重を、ボックスフレーム部51、ツインチューブ部52にほぼ軸圧縮荷重として作用させることができ、例えば、スイングアームから車体フレームに伝わる荷重が曲げ荷重として作用する場合に比べて、本発明では、車体フレーム16でより大きな荷重を支持することができる。
【0048】
従って、前述したボックスフレーム部51による車体フレーム16の剛性アップと合わせて、車体フレーム16へ作用させる荷重の方向を変更することで、車体フレーム16によって、前輪11側及び後輪12側からのより一層大きな荷重を支持することができるから、車体フレーム16に所定の大きさの剛性を付与する場合には、車体フレーム16の肉厚をより小さくして軽量化を図ることができ、これによって、自転車10の重量を軽減することができる。
【0049】
この結果、自転車10の運動性能を向上させることができ、更に、悪路走行中での自転車10の各部に受けるダメージをも軽減することもでき、耐久性を向上させることができる。
【0050】
本発明は第4に、ツインチューブ部52の後端と後部フレーム部53とに、サドル28を支持するサドルフレーム56を取付け、このサドルフレーム56の下方にリヤクッションユニット15を配置したことを特徴とする。
【0051】
サドルフレーム56の下方にリヤクッションユニット15を配置したことで、リヤクッションユニット15は、この上方全体及び側方の一部を覆うサドルフレーム56と、側方下方を覆う後部フレーム部53とに囲まれるため、飛び石等からリヤクッションユニット15を保護することができる。
【0052】
尚、本発明の自転車用車体フレーム構造は、自転車に限らず、自動二輪車、特にオフロード用車両に採用してもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の自転車用車体フレーム構造は、車体フレームを、フロントフォークを回転可能に取付けるヘッドパイプと、このヘッドパイプから後方斜め下方に延ばしたボックス状のボックスフレーム部と、このボックスフレーム部の後端から左右に分けて後方斜め下方に延ばすとともにボックスフレーム部の車幅方向外形寸法よりも狭くしたツインチューブ部と、このツインチューブ部の各後端から後方斜め下方に延ばすとともにツインチューブ部よりも車幅方向に広くした後部フレーム部とから構成し、ボックスフレーム部の下部から後方斜め下方にダウンチューブを延ばし、側面視でこのダウンチューブはボックスフレーム部近傍で前後方向に幅広く形成したので、車体フレームを、ヘッドパイプ近傍ではボックス状のボックスフレーム部として高剛性とし、ツインチューブ部では左右に細く分けて低剛性とすることにより、路面から前輪、フロントフォークを介してヘッドパイプに伝わる大きな荷重をボックスフレーム部で支えることができるとともに、車体中心部にねじれを発生し易くして車両の操縦性を高めることができる。
【0054】
請求項2の自転車用車体フレーム構造は、後部フレーム部のほぼ中間部にスイングアームの取付部を備えたので、スイングアームを車幅方向に広い後部フレーム部に取付けることにより、スイングアームから後部フレーム部に伝わるねじりモーメントを間隔の大きな2つの支点で受けることができるため、そのねじりモーメントにより発生する荷重を小さくすることができ、このように後部フレーム部に作用する荷重を小さくすれば、後部フレーム部のスイングアーム取付部の剛性アップを小さくすることができて、後部フレーム部の重量増加を抑えることができる。
また、ねじれに対して有利となるため、良好なスイングアームの揺動(クッションの伸縮)が得られる。
【0055】
請求項3の自転車用車体フレーム構造は、スイングアームを、後部フレーム部に備えた取付部から後方斜め上方に延ばした立上がり部と、この立上がり部の上端から後方斜め下方に延ばした後部延出部とからなるほぼL字状の部材とし、車体フレームのツインチューブ部の後端に、後輪から車体フレームに伝わる衝撃を緩和するリヤクッションユニットを介して立上がり部と後部延出部との接続部を連結することで、ボックスフレーム部、ツインチューブ部、リヤクッションユニット及び後部延出部をほぼ一直線上に配置したので、スイングアームからリヤクッションユニットを介してボックスフレーム部、ツインチューブ部に伝わる荷重を、ボックスフレーム部、ツインチューブ部にほぼ軸圧縮荷重として作用させることができ、例えば、スイングアームから車体フレームに伝わる荷重が曲げ荷重として作用する場合に比べて、車体フレームでより大きな荷重を支持することができる。
【0056】
請求項4の自転車用車体フレーム構造は、ツインチューブ部の後端と後部フレーム部とに、サドルを支持するサドルフレームを取付け、このサドルフレームの下方にリヤクッションユニットを配置したので、リヤクッションユニットは、サドルフレームと後部フレーム部とに囲まれるため、飛び石等からリヤクッションユニットを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車体フレーム構造を採用した自転車の斜視図
【図2】 本発明に係る自転車の側面図
【図3】 本発明に係る車体フレームの斜視図
【図4】 図3の4矢視図
【図5】 本発明に係る車体フレーム構造を示す側面図
【図6】 本発明に係る車体フレームの要部を示す側面図
【図7】 本発明に係る車体フレームの下部を示す斜視図
【図8】 本発明に係る自転車の要部背面図
【符号の説明】
10…自転車、11…前輪、12…後輪、14…フロントフォーク、15…リヤクッションユニット、16…車体フレーム、21…ヘッドパイプ、23…スイングアーム、28…サドル、51…ボックスフレーム部、52…ツインチューブ部、53…後部フレーム部、54…ダウンチューブ、56…サドルフレーム、61…スイングアームの取付部(ピボット軸)、62…立上がり部、63…後部延出部、78…接続部、B1…ボックスフレーム部の車幅方向外形寸法(幅)。
Claims (4)
- 車体フレームの前部に前輪をフロントフォークを介して操舵可能に取付け、車体フレームの後部に上下スイング可能にスイングアームを取付けるとともにこのスイングアームの後端に後輪を取付けた自転車において、
前記車体フレームは、前記フロントフォークを回転可能に取付けるヘッドパイプと、このヘッドパイプから後方斜め下方に延ばしたボックス状のボックスフレーム部と、このボックスフレーム部の後端から左右に分けて後方斜め下方に延ばすとともにボックスフレーム部の車幅方向外形寸法よりも狭くしたツインチューブ部と、このツインチューブ部の各後端から後方斜め下方に延ばすとともにツインチューブ部よりも車幅方向に広くした後部フレーム部とからなり、前記ボックスフレーム部の下部から後方斜め下方にダウンチューブを延ばし、側面視でこのダウンチューブは前記ボックスフレーム部近傍で前後方向に幅広く形成したことを特徴とする自転車用車体フレーム構造。 - 前記後部フレーム部のほぼ中間部に前記スイングアームの取付部を備えたことを特徴とする請求項1記載の自転車用車体フレーム構造。
- 前記スイングアームを、前記取付部から後方斜め上方に延ばした立上がり部と、この立上がり部の上端から後方斜め下方に延ばした後部延出部とからなるほぼL字状の部材とし、前記車体フレームのツインチューブ部の後端に、後輪から車体フレームに伝わる衝撃を緩和するリヤクッションユニットを介して前記立上がり部と前記後部延出部との接続部を連結することで、ボックスフレーム部、ツインチューブ部、リヤクッションユニット及び後部延出部をほぼ一直線上に配置したことを特徴とする請求項2記載の自転車用車体フレーム構造。
- 前記ツインチューブ部の後端と前記後部フレーム部とに、サドルを支持するサドルフレームを取付け、このサドルフレームの下方に前記リヤクッションユニットを配置したことを特徴とする請求項3記載の自転車用車体フレーム構造。
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