JP4116223B2 - リチウムイオン2次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤモンド状炭素層を外装体材料あるいは端子の被覆材料として用いた電池等の電気化学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミラミネート材料は医薬品、食品分野等広く用いられてきている。その中で最近軽量化、薄層化を図る目的で、電池の外装袋のような外装体(容器)への検討が図られている。特にリチウムイオン2次電池の外装袋として使用される場合、従来の金属ケースを用いるものに比べ高エネルギー密度化が実現される。このような例としてアルミラミネート材料がある。これは最外層がPET(ポリエチレンテレフタレート)層で最内層は熱溶着性の材料(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレン系のアイオノマー、ポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂)からなり、電極および電解液を内部(最内層側)に封入する。アルミニウム箔は、電池外部からの水分の侵入あるいは電池内部からの電解液の蒸発を防止する役割を果たしている。最外層のPET層はこのアルミニウム箔を保護する目的、すなわちアルミニウム箔を突き刺し等の外力から守る役割を果たしている。このような層構成を使用することにより従来の金属ケースに比べ軽量化を図ることができ、また電池の厚みも減少するため今までにない薄型の電池を提供することが可能となった。
【0003】
また、上記のようなアルミラミネート材料を用いた電気化学素子(特にリチウムイオン2次電池)の正極端子としてはアルミニウムが用いられている。
【0004】
しかしながら、このような層構成によっても突き刺し等の外力にはまだ不十分であった。このような層構成のフィルムを実際に使用する場合には、切断して袋あるいは容器に加工するが、アルミニウムは柔らかいためこの切断面においてアルミニウムがだれる場合があった。その結果、このだれたアルミニウムと端子(金属)とが接触し電池がショートする場合があった。このようにして生じるショートを防止しようとして、アルミニウムがだれている危険性のある領域(端部)を残して封止することも行われているが、作業が複雑になる。また、シール性や強度が低下しやすくなる。
【0005】
また、アルミニウム製の正極端子は電池に使用されている電解質のLiPF6と外部から侵入してきた水分とが反応して生成したふっ酸によって腐食し、電池の漏液の原因になっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ショートを防止することができる電気化学素子を提供することであり、さらには外力に対し十分な強度をもつ、あるいは保存中の漏液を防止することができるなど、耐久性に優れた電気化学素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記したような背景を踏まえて本発明者らは外装体のアルミニウムにかわる材料、あるいはアルミニウムの弱点をカバーできる材料を検討した結果、ダイヤモンド状炭素がショート防止、突き刺し強度の改善に有効であることを見い出した。また、特に、正極端子のアルミニウムにダイヤモンド状炭素をコーティングしたものは、耐腐食性に優れ電気化学素子の耐漏液性に優れていることを見い出した。
【0008】
すなわち、本発明は下記のとおりである。
(1) ラミネート外装体と、アルミニウムで形成された端子を備えた電気化学素体とを有し、この電気化学素体が前記外装体に封入されたリチウムイオン2次電池において、
前記外装体が、少なくとも1層のダイヤモンド状炭素層を有する多層構成の材料で形成されているリチウムイオン2次電池。
(2) 前記多層構成の材料が、少なくとも1層の樹脂層を有する上記(1)のリチウムイオン2次電池。
(3) 前記多層構成の材料が、前記電気化学素体側に熱接着性樹脂層を有し、この熱接着性樹脂層の前記電気化学素体と反対側にダイヤモンド状炭素層を有する構成である上記(2)のリチウムイオン2次電池。
(4) 前記多層構成の材料が、ダイヤモンド状炭素層と、アルミニウム層、シリコン酸化物層およびアルミニウム酸化物層から選ばれる金属系の層との積層構造を有し、前記電気化学素体からより遠い側に前記金属系の層を有する構成である上記(1)〜(3)のいずれかのリチウムイオン2次電池。
(5) 熱接着性樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂層である上記(3)または(4)のリチウムイオン2次電池。
(6) アルミラミネート外装体と、アルミニウムで形成された端子を備えた電気化学素体とを有し、この電気化学素体が前記外装体に封入されたリチウムイオン2次電池において、
前記アルミニウム端子の少なくとも一部が、ダイヤモンド状炭素層で被覆されているリチウムイオン2次電池。
(7) 端子の前記外装体と接する部位が、ダイヤモンド状炭素層で被覆されている上記(6)の電気化学素子。
(8) 分解してふっ酸を生じる電解質を含む上記(6)または(7)のリチウムイオン2次電池。
【0009】
なお、「プラスチックス インフォ ワールド」,アーイン社(1999年12月)の59ページには、ビール収納容器として、PETにダイヤモンド状炭素を被覆した材料が記載されているが、電気化学素子に用いることについては全く示されていない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電気化学素子は、端子を備えた電気化学素体が外装体に封入されたものであり、ダイヤモンド状炭素層を少なくとも1層有する多層構成の材料で形成された外装体を用いるか、あるいは少なくとも一部がダイヤモンド状炭素層で被覆された端子を用いる。
【0011】
ダイヤモンド状炭素がコーティングされた例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような、本発明の外装体材料は、従来品に比べ突き刺し強度が増加する。また、ダイヤモンド状炭素は電気導電性がないためショートは起こらないし、アルミニウムのような導電性材料と併用した場合においてもダイヤモンド状炭素層の存在により、ショートを防止することができる。
【0012】
ダイヤモンド状炭素がコーティングされた例えばアルミニウム箔のような、本発明の端子は、ふっ酸に侵されず耐漏液性に優れている。また、アルミニウムのような導電性材料層を有する外装体材料を用いても、外装体と端子とが接する部位にダイヤモンド状炭素をコーティングすることにより、外装体端部の導電性材料と端子との接触によるショートを防止することができる。従来、このようなショートを防止しようとして、外装体端部の一定領域を残して密封(シール)することが行われており、このようにすると、端部まで密封する場合に比べて、作業が複雑になるとともに、密封性が悪くなり、かつ強度が低下する問題があったが、本発明は端部まで密封することができるので、こうした問題が生じない。
【0013】
本発明におけるダイヤモンド状炭素膜、つまりDLC(Diamond Like Carbon )は、炭化水素を励起し、分解して得た高硬度炭素であり、ダイヤモンド様炭素、i−カーボン等と称されることもある。DLCは、電気導電性がなく、高硬度で、耐摩耗性があること、成膜したとき平坦な表面が得られること、化学的に不活性であること等の性質を有している。また、水蒸気等のガス遮断性に関しても、現行の包材に使用のアルミニウムと遜色のないレベルにある。
【0014】
DLCについては、例えば、特開昭62−145646号、同62−145647号、New Diamond Forum 、第4巻第4号(昭和63年10月25日発行)等に記載されている。
【0015】
また、上記文献(New Diamond Forum )に記載されているように、ラマン分光分析において、1550cm-1にブロードな(1520〜1560cm-1)ラマン吸収のピークを有し、1333cm-1に鋭いピークを有するダイヤモンドや、1581cm-1に鋭いピークを有するグラファイトとは、明らかに異なった構造を有する物質である。
【0016】
上記DLCは、上記したようにアモルファス状態の炭素と水素を主成分とし、、炭素同士のsp3結合がランダムに存在することによって形成されている。DLCのC:H原子比は、通常、95〜60:5〜40程度である。
【0017】
また、DLCは、炭素および水素に加えてSi,N,O,Fの1種または2種以上を含有していてもよい。この場合、ダイヤモンド状炭素は、基本組成をCHxSiyOzNvFwと表したとき、
モル比を表すx,y,z,v,wがそれぞれ、
0.05≦x≦0.7、
0≦y≦3.0、
0≦z≦1.0、
0≦v≦1.0、
0≦w≦0.2
であることが好ましい。
【0018】
DLCは、使用目的等に合わせて、その組成を適宜選択することができる。
【0019】
DLC膜のラマン分光分析における吸収ピークは、上記のように1550cm-1にブロード(1520〜1560cm-1)な吸収を有するが、上記元素を含有することにより、これから±100cm-1程度変動する場合もある。
【0020】
DLCは、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、スパッタ法などでPET等の適宜の外装体材料上、あるいは端子上に、成膜することができる。
【0021】
DLCをプラズマCVD法により形成する場合、例えば特開平4−41672号等に記載されている方法により成膜することができる。プラズマCVD法におけるプラズマは、直流、交流のいずれであってもよいが、交流を用いることが好ましい。交流としては数ヘルツからマイクロ波まで可能である。また、ダイヤモンド薄膜技術(総合技術センター発行)などに記載されているECRプラズマも使用可能である。また、バイアス電圧を印加してもよい。
【0022】
DLCをプラズマCVD法により成膜する場合、原料ガスには、下記のグループに属する化合物を使用することが好ましい。
【0023】
CおよびHを含有する化合物として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン等の炭化水素が挙げられる。
【0024】
C,HおよびSiを含む化合物としては、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テトラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、トリメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリルメチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用しても良く、シラン系化合物と炭化水素を用いても良い。
【0025】
C+H+Oを含む化合物としては、
CH3OH、C2H5OH、HCHO、CH3COCH3等がある。
【0026】
C+H+Nを含む化合物としては、シアン化アンモニウム、シアン化水素、モノメチルアミン、ジメチルアミン、アリルアミン、アニリン、ジエチルアミン、アセトニトリル、アゾイソブタン、ジアリルアミン、エチルアジド、MMH、DMH、トリアリルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等がある。
【0027】
この他、Si+C+H、Si+C+H+OあるいはSi+C+H+Nを含む化合物等とO源あるいはON源、N源、H源等とを組み合わせてもよい。
【0028】
O源として、O2 、O3 等、
C+O源として、CO、CO2 等、
Si+H源として、SiH4 等、
H源として、H2 等、
H+O源として、H2 O等、
N源として、N2
N+H源として、NH3 等、
N+O源として、NO、NO2 、N2 OなどNOx で表示できるNとOの化合物等、
N+C源として、(CN)2 等、
N+H+F源として、NH4 F等、
O+F源として、OF2 、O2F2 、O3F2 等を用いても良い。
【0029】
上記原料ガスの流量は原料ガスの種類に応じて適宜決定すればよい。成膜圧力は、通常0.1〜100Pa(0.001〜1Torr)、投入電力は、通常10W 〜5kW程度が好ましい。
【0030】
本発明ではまた、DLCをイオン化蒸着法により成膜することができる。イオン化蒸着法は、例えば特開昭58−174507号、特開昭59−174508号公報等に記載されている。ただし、これらに開示された方法、装置に限られるものではなく、原料用イオン化ガスの加速が可能であれば他の方式のイオン蒸着技術を用いても良い。
【0031】
この場合の装置の好ましい例としては、例えば、実開昭59−174507号に記載されたイオン直進型またはイオン偏向型のものを用いることができる。
【0032】
イオン化蒸着法においては、真空容器内を1×10-4Pa(10-6Torr)程度までの高真空とする。この真空容器内には交流電源によって加熱されて熱電子を発生するフィラメントが設けられ、このフィラメントを取り囲んで対電極が配置され、フィラメントとの間に電圧Vdを与える。また、フィラメント、対電極を取り囲んでイオン化ガス閉じこめ用の磁界を発生する電磁コイルが配置されている。原料ガスはフィラメントからの熱電子と衝突して、プラスの熱分解イオンと電子を生じ、このプラスイオンはグリッドに印加された負電位Vaにより加速される。この、Vd,Vaおよびコイルの磁界を調整することにより、組成や膜質を変えることができる。また、バイアス電圧を印加してもよい。
【0033】
DLCをイオン化蒸着法により成膜する場合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを用いれば良い。上記原料ガスの流量はその種類に応じて適宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.1〜100Pa(0.001〜1Torr)程度が好ましい。
【0034】
本発明ではまた、DLCをスパッタ法により成膜することができる。すなわち、Ar、Kr等のスパッタ用のスパッタガスに加えて、O2 、N2 、NH3 、CH4、H2 等のガスを反応性ガスとして導入すると共に、C、Si、SiO2 、Si3 N4 、SiC等をターゲットとしたり、C、Si、SiO2 、Si3 N4 、SiCの混成組成をターゲットとしたり、場合によっては、C、Si、N、Oを含む2以上のターゲットを用いても良い。また、ポリマーをターゲットとして用いることも可能である。この様なターゲットを用いて交流電力(特に高周波電力)、または直流電力を加え、ターゲットをスパッタし、これを基板上にスパッタ堆積させることによりDLCを成膜する。高周波スパッタ電力は、通常50W 〜2kW程度である。動作圧力は、通常10-3〜10-1Pa(10-5〜10-3Torr)が好ましい。
【0035】
次に、本発明の電気化学素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の電気化学素子の概略の構造を示すものである。図2、図3は、図1(c)におけるA−A’断面一部矢視図であり、図2は、DLC層を有する外装体材料を用いた態様、図3は、DLC層を有する端子を用いた態様であり、端子を含むシール部の断面構造を示している。
【0036】
図1(c)に示す電気化学素子1は、図1(a)に示す電気化学素体10を、図1(b)に示す第1シール部21で袋状に形成された外装体20の中に電気化学素体10の端子13、14が外部に突き出した状態で収納し、外装体20の開口した端面を端子13、14を挟んで熱融着で封口して第2シール部22を形成して構成されている。電気化学素子1は、電気化学素体10を外装体20内に密封すると共に、第2シール部22から端子13、14が外部に突き出した構造を有する。
【0037】
電気化学素体10は、アルミニウム箔や銅箔等の集電体に活物質、バインダ等が塗布されている正負極11、12と図示しない高分子固体電解質とを含む。正負極11、12には、図1(a)に示すようにそれぞれ端子13、14が接続されている。端子13、14には、概念上それぞれ第2シール部22で覆われる領域のシール部13a、14aが存在する。
【0038】
外装体20は、図1(b)に示すように、予め2枚の外装体材料30をそれらの3辺の端面相互を好ましくは熱接着して第1シール部21を形成し、1辺が開口した袋状に形成される。あるいは、一枚のラミネートフィルムのような外装体材料を折り返して両辺の端面を熱接着してシール部を形成して袋状としてもよい。
【0039】
本発明の電気化学素子の第2シール部22では、図2、図3に示すように、端子13、14が外装体20を構成する外装体材料30で挟まれている。
【0040】
なお、端子13、14を備えた電気化学素体10は、電解液への浸漬など、所定の処理を施したのち、外装体20内に収納され、端子13、14の先端部を外部に導出した状態で外装体20の第2シール部(開口部)22を好ましくは加熱、加圧することで封止される(熱融着される)。
【0041】
まず、図2の態様について説明する。図2は、DLC層を有する外装体材料を用いたものである。外装体材料30はDLC層を含む積層体である。この積層体は、DLC層と樹脂層とを含むことが好ましく、最内層(電気化学素体10側)には、熱シールを行って封口する関係上、熱接着性樹脂を用いることが好ましい。図2の例は、外装体材料30として、最内層である第1層30aを熱接着性樹脂層とし、第2層30bをDLC層とし、第3層(最外層)30cを耐熱性樹脂層としたラミネートフィルムを用いたものである。
【0042】
DLC層は、通常、1層設けるのみでよいが、場合によっては2層以上設けてもよい。2層以上設ける場合、連続的に設けることも樹脂層等を介して断続的に設けることもできる。また組成をかえることもできる。DLC層の厚みは、2層以上のときは、合計厚みで、0.01〜20μm であることが好ましい。このような厚みとすることで、本発明の効果が向上する。これに対し、DLC層が薄くなると、本発明の実効が得られず、厚くなると、剥離が起こりやすくなる。
【0043】
また、ラミネートフィルムの最内層とされる熱接着性樹脂層は、1層構成が一般的であるが、場合によっては内側の層として多層構成としてもよく、その厚みは、2層以上のときは合計厚みで30〜130μm であることが好ましい。このような厚みとすることで熱シールした場合のシール性が良好になる。これに対し、薄くなると、端子の厚みが一般的に50〜100μm であることを考えると、この端子の周囲を熱接着性樹脂で十分にはシールできなくなり、厚くなると、熱シールする時の熱板などからの熱が十分端子部に伝わらなくなって十分シールできなくなり、また厚いと電池の総厚みも厚くなり、薄型化には逆行する。
【0044】
また、DLC層および熱接着性樹脂層と組み合わせて好ましく用いられる耐熱性樹脂層の厚みは、2層以上のとき(連続的あるいは断続的に設けるときの両方を含む。)は合計厚みで10〜50μm であることが好ましく、ラミネートフィルム全体の厚みは50〜130μm であることが好ましい。
【0045】
上記において用いられる熱接着性樹脂は、好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレン系のアイオノマー、等)などのポリオレフィン樹脂、等であり、DLCとの密着性を向上させる上では、酸変性ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂として、例えばカルボン酸等の酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸をグラフト重合して得られる酸変性ポリプロピレン等を例示できるが、特に酸変性ポリプロピレンが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基がDLCとの密着性を向上させると考えられる。
【0046】
無水マレイン酸をグラフト重合して得られる酸変性ポリプロピレンとしては、例えば、三井化学株式会社より、商品名アドマーとして販売されている。このアドマーのなかでも特に、ポリプロピレン−タイプアドマーが好ましく、特に、ホモポリマーとして、QF305(融点:160℃)、QF500(融点:165℃)、エチレンとのコポリマーとして、QF551(融点:135℃)、QB540(融点:150℃)、QB550(融点:140℃)、QE060(融点:139℃)が好ましい。また、同様な樹脂として三菱化学株式会社のモディックがある。ポリプロピレン系のモディックとしては、P502(ホモポリマー)、P513V(ランダムコポリマー)、P505(ランダムコポリマー)、P517(ランダムコポリマー)等がある。
【0047】
一方、耐熱性樹脂は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂やポリアミド樹脂などである。
【0048】
また、図2において、ラミネートフィルムに、DLC層とアルミニウム等の金属層、シリコン酸化物層およびアルミニウム酸化物層から選ばれる金属系の層との積層構造を適用することも好ましい。具体的には、耐熱性樹脂層30cとDLC層30bとの間に、金属系の層を介在させることが好ましい。これにより、水分遮断性が向上する。また、アルミニウム等の金属層が存在しても、端子との接触がDLC層によって妨げられるため、ショートの危険性がなくなる。
【0049】
アルミニウム等の金属層は金属箔や蒸着法で形成したものなどであってよく、シリコン酸化物層、アルミニウム酸化物層は蒸着法により形成したものであってよい。
【0050】
金属系の層は、通常1層のみとされるが、2層以上を連続的に設けてもよいし、樹脂層等を介して断続的に設けてもよい。この場合の金属系の層の厚みは、2層以上とするときは合計厚みで3〜50μm であることが好ましい。
【0051】
図2のような態様において、ラミネートフィルムは上述のものに限定されることなく、積層数や積層順を種々のものとすることができる。ただし、最内層は熱接着性樹脂層であることが好ましく、金属系の層とDLC層との積層構造を適用するときは、金属系の層をDLC層より外側に位置する層として積層することが好ましい。金属系の層とDLC層とは、直接、接するようにして積層することが好ましいが、場合によっては、樹脂層を介在させてもよい。
【0052】
次に、図3の態様について説明すると、図3は、DLC層をその一部に被覆した端子を用いたものである。DLC層15は、端子13、14のシール部13a、14aに設けることが好ましい。DLC層は通常1層のみ設けられるが、2層以上を連続的に設けてもよいし、樹脂層等を介して断続的に設けてもよい。DLC層15の厚みは0.01〜20μm が好ましい。2層以上とするときは、合計でこの範囲の厚みとすることが好ましい。このような厚みとすることで、本発明の効果が向上する。これに対し、DLC層が薄くなると、本発明の実効が得られず、厚くなると、DLC層が剥離しやすくなると同時に内部応力が大きくなり加工が難しくなる。
【0053】
DLC層15は、図示例のように、十分なシール強度等を得る上で、端子13、14のシール部13a、14aのほぼ全域に設けることが好ましいが、場合によってはシール部13a、14aの一部(例えば1/2以上、さらには2/3以上)であってもよい。
【0054】
端子としては、アルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属ないし合金、種々の金属箔にチタン、タンタル、クロム、亜鉛、ニッケル、錫などの表面処理を施したものなどが用いられ、矩形または円形の断面を有するリード状に構成されるが、これらのなかでもアルミニウム、ニッケルで構成されたものが好ましい。
【0055】
端子の大きさとしては、特に規制されるものではないが、通常、幅:3〜5mm、厚み:50〜100μm 程度である。その長さも特に規制されるものではなく、電気化学素子の種類や用途などにより必要な長さとすればよいが、通常、5〜30mm程度である。
【0056】
このようなDLC層の被覆は、アルミニウム製の端子において特に有効であり、LiBF4、LiPF6等のように、分解してふっ酸を生じる電解質、すなわち水との反応によってふっ酸を生じさせうる電解質との組合せにおいて、ふっ酸による腐食が原因となって生じる漏液の防止を図ることができる。
【0057】
さらに、端子13、14のシール部13a、14aにはDLC層の上に、酸変性ポリオレフィン樹脂層を被覆してもよい。これにより、外装体との接着性を向上させることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂層の厚み(2層以上のときは合計厚み)は、3〜100μm 程度が好ましい。
【0058】
なお、DLC層等の被覆は、電解液に浸漬する前に行う。
【0059】
DLC層を被覆した端子を用いる場合、外装体材料は、従来のアルミラミネートフィルムなどであってもよく、特に制限なく用いることができる。図3の例は、最内層である第1層30pを熱接着性樹脂層とし、第2層30qを耐熱性樹脂層、第3層30rをアルミニウム等の金属層、第4層30sを耐熱性樹脂層としたラミネートフィルムである。
【0060】
DLC層を被覆した端子を用いているので、DLC層によって、ラミネートフィルムの金属層と端子(金属製)との接触を防止することができるが、さらに金属層と熱接着性樹脂層との間に耐熱性樹脂層を設けることによっても絶縁を確実にすることができる。こうした目的で設けられる耐熱性樹脂層は、通常1層のみであるが、2層以上としてもよく、その厚み(2層以上とするときは合計厚み)は5〜20μm 程度とすることが好ましい。
【0061】
図3においても、最内層は熱接着性樹脂層とすることが好ましく、金属層を設ける場合は、熱接着性樹脂層、金属層、耐熱性樹脂層の積層順とすることが好ましいが、図示例に限定されるものではなく、こうした制限下で、積層数や積層順などをかえることができる。
【0062】
また、ラミネートフィルムの最内層とされる熱接着性樹脂層は、1層構成が一般的であるが、場合によっては内側の層として多層構成としてもよく、その厚みは、2層以上のときは合計厚みで30〜130μm であることが好ましい。このような厚みとすることで熱シールした場合のシール性が良好になる。これに対し、薄くなると、端子の厚みが一般的に50〜100μm であることを考えると、この端子の周囲を熱接着性樹脂で十分にはシールできなくなり、厚くなると熱シールする時の熱板などからの熱が十分端子部に伝わらなくなって十分シールできなくなり、また厚いと電池の総厚みも厚くなり、薄型化には逆行する。
【0063】
また、金属層は通常1層のみとされるが、場合によっては2層以上とすることもできる。その厚みは、2層以上のときは合計厚みで、20〜50μm が好ましい。
【0064】
また、金属層の外側に設けられる耐熱性樹脂層の厚みは、2層以上のときは合計厚みで、10〜50μm であることが好ましく、ラミネートフィルム全体の厚みは50〜130μm であることが好ましい。
【0065】
上記に用いる熱接着性樹脂は、好ましくは、前記と同様のポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂などであり、このようななかで酸変性ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。耐熱性樹脂は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂やポリアミド樹脂などである。金属層にはアルミニウム等の金属箔が用いられる。また、金属蒸着膜としてもよい。このほか、金属層のかわりに、またこれと組み合わせて、前記と同様のシリコン酸化物層やアルミニウム酸化物層を用いることもできる。
【0066】
もちろん、DLC層を有するラミネートフィルムを外装体材料としてよいが、図3のように、端子にDLC層を被覆する態様では、従来、汎用されている外装体材料を用いうるところに利点がある。
【0067】
本発明の電気化学素子は、次のようなリチウム2次電池として用いることが好ましい。
【0068】
<リチウム2次電池>
本発明のリチウム2次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極、負極および高分子固体電解質から構成され、シート型電池や円筒型電池等に好適に適用される。
【0069】
また、高分子固体電解質と組み合わせる電極は、リチウム2次電池の電極として公知のものの中から適宜選択して使用すればよく、好ましくは電極活物質とゲル電解質、必要により導電助剤との組成物を用いる。
【0070】
負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物等のような正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム2次電池を得ることができる。
【0071】
負電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。
【0072】
正極活物質として用いるリチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV2O4などが挙げられる。
【0073】
電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好ましい。
【0074】
電極組成は、正極では、質量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:3〜10:10〜70の範囲が好ましく、負極では、質量比で、活物質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:0〜10:10〜70の範囲が好ましい。ゲル電解質は、特に限定されず、通常用いられているものを用いればよい。また、ゲル電解質を含まない電極も好適に用いられる。この場合、バインダとしてはフッ素樹脂、フッ素ゴム等を用いることができ、バインダの量は3〜30質量%程度とする。
【0075】
電極の製造は、まず、活物質と必要に応じて導電助剤を、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分散し、塗布液を調製する。
【0076】
そして、この電極塗布液を集電体に塗布する。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。
【0077】
集電体は、電池の使用する素子の形状やケース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。なお、集電体は金属箔、金属メッシュなどが、通常、使用される。
【0078】
そして、溶媒を蒸発させ、電極を作製する。塗布厚は、50〜200μm 程度とすることが好ましい。
【0079】
高分子膜は、例えば、PEO(ポリエチレンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微多孔膜を用いることができる。また、SiO2等の微粒子を高分子材料に添加することによって多孔膜化したものを用いてもよい。
【0080】
このような正極、高分子膜、負極をこの順に積層し、圧着して電池素体とする。
【0081】
高分子膜に含浸させる電解液は一般に電解質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、LiBF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 CF3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリチウム塩が適用できる。
【0082】
電解液の溶媒としては、前述の高分子膜、電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はされないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネート(略称EC)、プロピレンカーボネート(略称PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(略称DMC)、ジエチルカーボネート(略称DEC)、エチルメチルカーボネート(略称MEC)等のカーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等が好適に用いられる。3−メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、エチルジグライム等を用いてもよい。
【0083】
このような電解液に微多孔性の高分子膜を浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高分子固体電解質となる。
【0084】
高分子固体電解質の組成を高分子/電解液で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解液の比率は40〜90質量%が好ましい。
【0085】
このほか、本発明の電気化学素子は、電気2重層キャパシタとして用いることができる。
【0086】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いて説明する。併せて比較例を示す。
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(厚み12μm )に、DLC層を約1μm の厚みに付けた。このフィルムのDLC面にマレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(厚み80μm 、PPと略記)を熱ラミネートした。このフィルムを用いて図1(b)のような袋状の電池用外装体を作製した。なおこの時PPが内側となるように製袋した(図2参照)。
【0087】
DLC層はプラズマCVD法により成膜した。原料ガスとしてCH4を用い、流量を5.1×10-2Pa・m3・s-1(30SCCM)とし、動作圧13.3Pa(0.1Torr)でプラズマ発生用の交流として、RF(13.56MHz)200Wを加え、セルフバイアス−150Vにて行った。成膜レートは0.1μm/分とした。DLCの組成はCH0.5であった。
【0088】
(電池の作製)
【0089】
正極はLiCoO2、カーボンブラック(HS−100、電気化学工業製)、グラファイト、PVDFからなるものをドクターブレード法でアルミニウム箔に塗布し作製した。負極は、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、カーボンブラック、PVDFからなるものをドクターブレード法で銅箔に塗布し作製した。高分子固体電解質用高分子膜としてPVDFにSiO2微粒子を添加して多孔化したPVDF微多孔膜を使用した。正極、負極は、横31mm、縦41mmに切断した。高分子固体電解質用高分子膜は横33mm、縦43mmに切断した。
【0090】
上記組成の正極、負極、高分子固体電解質用高分子膜を高分子固体電解質用高分子膜を挟んで正極と負極が対向するように順次積層した。正極集電体、負極集電体にはそれぞれアルミニウム製端子、ニッケル製端子を溶接した。この積層体を電解液に浸漬し、ゲル化させた。このゲル化したものを上で作製した電池用外装体に挿入し開口部をヒートシールした(図1参照)。
【0091】
なお、電解液はEC(エチレンカーボネート)とDEC(ジエチルカーボネート)の体積比3:7の混合溶媒にLiPF6を1mol/L溶解させた電解液を用いた。
【0092】
こうして電池を100個作製したが、ショートしたものは0個であった。また、DLC層を通して針を突き刺すことができず、突き刺し強度が十分であった。
【0093】
実施例2
実施例1において、DLC層の組成をCH0.38Si0.11にかえた外装体を用いるほかは、同様にして電池を作製し、同様に特性を調べたところ、同様の結果が得られた。
【0094】
なお、DLCの成膜は、原料ガスとしてSi(CH3)4を流量3.4×10-2Pa・m3・s-1(20SCCM)、C2H4を流量1.7×10-2Pa・m3・s-1(10SCCM)で用いるほかは、実施例1と同様にして行った。
【0095】
比較例1
電池用外装体に、
PET(12μm )/Al(20μm )/PET(12μm )/PP(80μm )のラミネートフィルムを図1(b)のように製袋したものを用いた。この場合は内側はPPである。この外装体を用いた以外はすべて実施例1と同様に電池を100個作製した。
【0096】
ショートした電池は30個であった。
【0097】
ショートしなかった電池70個を3.8Vまで充電し、60℃、90%相対湿度の雰囲気中に20日間保存したところ、漏液したものは20個あった。
【0098】
なお、実施例1、2の外装体と比較例1の外装体に、上記の電解液を入れて、シールし、60℃の条件で21日間保存して、ラミネートフィルムのガス遮断性の目安として、そのシール体の保存による質量減少を比較した。60℃保存による質量減少率(%)を求めたところ、実施例1の外装体は0.2質量%、実施例2の外装体は0.3質量%、比較例1の外装体は0.3質量%であった。これより、本発明の外装体のDLC層は従来の20μm 厚のAl層と同レベルのガス遮断性を示すことがわかる。また、DLC層は1μm 厚で十分であり、素子の薄型化に合致する。
【0099】
実施例3
実施例1、2の外装体において、DLC層とPET層との間に5μm 厚のAl箔を載置するほかは同様にして電池を得、同様に特性を調べたところ、実施例1、2と同様の結果が得られた。
【0100】
実施例4
図3のようにアルミニウム製正極端子かつニッケル製負極端子の一部にDLC層を1μm の厚みにコーティングした。端子の大きさは、4mm幅、30mm長さ、80μm 厚とした。これらの正極端子、負極端子を用いた以外はすべて比較例1と同様に電池を100個作製した。図3に示すように、ヒートシール部にDLC層があるようになっている。このため外装体端部のアルミニウムがだれてもショートしない構造になっている。実際ショートした電池は0個であった。この電池を比較例1と同様に3.8Vまで充電し、60℃、90%相対湿度の雰囲気中に20日間保存したところ、漏液したものは0個であった。
【0101】
なお、DLC層は、実施例1と同様のものとし、同様にして成膜した。
【0102】
実施例5
実施例4において、端子を被覆するDLC層を実施例2と同様のものとするほかは、同様にして電池を作製し、同様にして特性を調べたところ、実施例4と同様の結果が得られた。
【0103】
【発明の効果】
本発明はDLCコーティングを施したラミネート樹脂を外装体として提供するものであり、電池のショート防止に効果がある。
【0104】
また、本発明はDLCコーティングを施した金属箔を端子として提供するものであり、電池のショート防止、耐漏液性の向上に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気化学素子の構造を示し、(a)は電気化学素体を構成する電極および端子を示す平面図、(b)は外装体を示す平面図、(c)は電気化学素体を外装体に封入して構成される電気化学素子を示す平面図である。
【図2】図1(c)において、DLC層を有する外装体を用いた場合のA−A’線に沿った一部断面図である。
【図3】図1(c)において、DLC層を有する端子を用いた場合のA−A’線に沿った一部断面図である。
【符号の説明】
1 電気化学素子
10 電気化学素体
11,12 電極(正負極)
13、14 端子
13a、14a シール部
15 DLC層
20 外装体
21 第1シール部
22 第2シール部
30 ラミネートフィルム
Claims (8)
- ラミネート外装体と、アルミニウムで形成された端子を備えた電気化学素体とを有し、この電気化学素体が前記外装体に封入されたリチウムイオン2次電池において、
前記外装体が、少なくとも1層のダイヤモンド状炭素層を有する多層構成の材料で形成されているリチウムイオン2次電池。 - 前記多層構成の材料が、少なくとも1層の樹脂層を有する請求項1のリチウムイオン2次電池。
- 前記多層構成の材料が、前記電気化学素体側に熱接着性樹脂層を有し、この熱接着性樹脂層の前記電気化学素体と反対側にダイヤモンド状炭素層を有する構成である請求項2のリチウムイオン2次電池。
- 前記多層構成の材料が、ダイヤモンド状炭素層と、アルミニウム層、シリコン酸化物層およびアルミニウム酸化物層から選ばれる金属系の層との積層構造を有し、前記電気化学素体からより遠い側に前記金属系の層を有する構成である請求項1〜3のいずれかのリチウムイオン2次電池。
- 熱接着性樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂層である請求項3または4のリチウムイオン2次電池。
- アルミラミネート外装体と、アルミニウムで形成された端子を備えた電気化学素体とを有し、この電気化学素体が前記外装体に封入されたリチウムイオン2次電池において、
前記アルミニウム端子の少なくとも一部が、ダイヤモンド状炭素層で被覆されているリチウムイオン2次電池。 - 端子の前記外装体と接する部位が、ダイヤモンド状炭素層で被覆されている請求項6の電気化学素子。
- 分解してふっ酸を生じる電解質を含む請求項6または7のリチウムイオン2次電池。
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