JP2001266813A - 電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
る強度改善や、保存中の漏液の防止など、耐久性に優れ
た電気化学素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも1層のDLC層を有する多層
構成の材料で外装体を形成するか、あるいは少なくとも
一部がDLC層で被覆された端子を用いた電気化学素子
とする。
Description
素層を外装体材料あるいは端子の被覆材料として用いた
電池等の電気化学素子に関する。
野等広く用いられてきている。その中で最近軽量化、薄
層化を図る目的で、電池の外装袋のような外装体(容
器)への検討が図られている。特にリチウムイオン2次
電池の外装袋として使用される場合、従来の金属ケース
を用いるものに比べ高エネルギー密度化が実現される。
このような例としてアルミラミネート材料がある。これ
は最外層がPET(ポリエチレンテレフタレート)層で
最内層は熱溶着性の材料(例えば、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
ポリエチレン系のアイオノマー、ポリプロピレンのよう
なポリオレフィン樹脂)からなり、電極および電解液を
内部(最内層側)に封入する。アルミニウム箔は、電池
外部からの水分の侵入あるいは電池内部からの電解液の
蒸発を防止する役割を果たしている。最外層のPET層
はこのアルミニウム箔を保護する目的、すなわちアルミ
ニウム箔を突き刺し等の外力から守る役割を果たしてい
る。このような層構成を使用することにより従来の金属
ケースに比べ軽量化を図ることができ、また電池の厚み
も減少するため今までにない薄型の電池を提供すること
が可能となった。
を用いた電気化学素子(特にリチウムイオン2次電池)
の正極端子としてはアルミニウムが用いられている。
も突き刺し等の外力にはまだ不十分であった。このよう
な層構成のフィルムを実際に使用する場合には、切断し
て袋あるいは容器に加工するが、アルミニウムは柔らか
いためこの切断面においてアルミニウムがだれる場合が
あった。その結果、このだれたアルミニウムと端子(金
属)とが接触し電池がショートする場合があった。この
ようにして生じるショートを防止しようとして、アルミ
ニウムがだれている危険性のある領域(端部)を残して
封止することも行われているが、作業が複雑になる。ま
た、シール性や強度が低下しやすくなる。
使用されている電解質のLiPF6と外部から侵入して
きた水分とが反応して生成したふっ酸によって腐食し、
電池の漏液の原因になっていた。
ートを防止することができる電気化学素子を提供するこ
とであり、さらには外力に対し十分な強度をもつ、ある
いは保存中の漏液を防止することができるなど、耐久性
に優れた電気化学素子を提供することである。
まえて本発明者らは外装体のアルミニウムにかわる材
料、あるいはアルミニウムの弱点をカバーできる材料を
検討した結果、ダイヤモンド状炭素がショート防止、突
き刺し強度の改善に有効であることを見い出した。ま
た、特に、正極端子のアルミニウムにダイヤモンド状炭
素をコーティングしたものは、耐腐食性に優れ電気化学
素子の耐漏液性に優れていることを見い出した。
し、この電気化学素体が前記外装体に封入された電気化
学素子において、前記外装体が、少なくとも1層のダイ
ヤモンド状炭素層を有する多層構成の材料で形成されて
いる電気化学素子。 (2) 前記多層構成の材料が、少なくとも1層の樹脂
層を有する上記(1)の電気化学素子。 (3) 前記多層構成の材料が、前記電気化学素体側に
熱接着性樹脂層を有し、この熱接着性樹脂層の前記電気
化学素体と反対側にダイヤモンド状炭素層を有する構成
である上記(2)の電気化学素子。 (4) 前記多層構成の材料が、ダイヤモンド状炭素層
と、アルミニウム層、シリコン酸化物層およびアルミニ
ウム酸化物層から選ばれる金属系の層との積層構造を有
し、前記電気化学素体からより遠い側に前記金属系の層
を有する構成である上記(1)〜(3)のいずれかの電
気化学素子。 (5) 熱接着性樹脂層が、酸変性ポリオレフィン樹脂
層である上記(3)または(4)の電気化学素子。 (6) 外装体と、端子を備えた電気化学素体とを有
し、この電気化学素体が前記外装体に封入された電気化
学素子において、前記端子の少なくとも一部が、ダイヤ
モンド状炭素層で被覆されている電気化学素子。 (7) アルミニウムで形成された端子を備え、このア
ルミニウム端子の少なくとも一部が、ダイヤモンド状炭
素層で被覆されている上記(6)の電気化学素子。 (8) 端子の前記外装体と接する部位が、ダイヤモン
ド状炭素層で被覆されている上記(7)の電気化学素
子。 (9) 電池である上記(1)〜(8)のいずれかの電
気化学素子。 (10) リチウムイオン2次電池である上記(9)の
電気化学素子。 (11) 分解してふっ酸を生じる電解質を含む上記
(10)の電気化学素子。
ルド」,アーイン社(1999年12月)の59ページには、
ビール収納容器として、PETにダイヤモンド状炭素を
被覆した材料が記載されているが、電気化学素子に用い
ることについては全く示されていない。
本発明の電気化学素子は、端子を備えた電気化学素体が
外装体に封入されたものであり、ダイヤモンド状炭素層
を少なくとも1層有する多層構成の材料で形成された外
装体を用いるか、あるいは少なくとも一部がダイヤモン
ド状炭素層で被覆された端子を用いる。
例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
のような、本発明の外装体材料は、従来品に比べ突き刺
し強度が増加する。また、ダイヤモンド状炭素は電気導
電性がないためショートは起こらないし、アルミニウム
のような導電性材料と併用した場合においてもダイヤモ
ンド状炭素層の存在により、ショートを防止することが
できる。
例えばアルミニウム箔のような、本発明の端子は、ふっ
酸に侵されず耐漏液性に優れている。また、アルミニウ
ムのような導電性材料層を有する外装体材料を用いて
も、外装体と端子とが接する部位にダイヤモンド状炭素
をコーティングすることにより、外装体端部の導電性材
料と端子との接触によるショートを防止することができ
る。従来、このようなショートを防止しようとして、外
装体端部の一定領域を残して密封(シール)することが
行われており、このようにすると、端部まで密封する場
合に比べて、作業が複雑になるとともに、密封性が悪く
なり、かつ強度が低下する問題があったが、本発明は端
部まで密封することができるので、こうした問題が生じ
ない。
まりDLC(Diamond Like Carbon)は、炭化水素を励
起し、分解して得た高硬度炭素であり、ダイヤモンド様
炭素、i−カーボン等と称されることもある。DLC
は、電気導電性がなく、高硬度で、耐摩耗性があるこ
と、成膜したとき平坦な表面が得られること、化学的に
不活性であること等の性質を有している。また、水蒸気
等のガス遮断性に関しても、現行の包材に使用のアルミ
ニウムと遜色のないレベルにある。
145646号、同62−145647号、New Diamon
d Forum 、第4巻第4号(昭和63年10月25日発
行)等に記載されている。
記載されているように、ラマン分光分析において、15
50cm-1にブロードな(1520〜1560cm-1)ラマ
ン吸収のピークを有し、1333cm-1に鋭いピークを有
するダイヤモンドや、1581cm-1に鋭いピークを有す
るグラファイトとは、明らかに異なった構造を有する物
質である。
ス状態の炭素と水素を主成分とし、、炭素同士のsp3
結合がランダムに存在することによって形成されてい
る。DLCのC:H原子比は、通常、95〜60:5〜
40程度である。
Si,N,O,Fの1種または2種以上を含有していて
もよい。この場合、ダイヤモンド状炭素は、基本組成を
CH xSiyOzNvFwと表したとき、モル比を表すx,
y,z,v,wがそれぞれ、 0.05≦x≦0.7、 0≦y≦3.0、 0≦z≦1.0、 0≦v≦1.0、 0≦w≦0.2 であることが好ましい。
成を適宜選択することができる。
ークは、上記のように1550cm-1にブロード(152
0〜1560cm-1)な吸収を有するが、上記元素を含有
することにより、これから±100cm-1程度変動する場
合もある。
着法、スパッタ法などでPET等の適宜の外装体材料
上、あるいは端子上に、成膜することができる。
場合、例えば特開平4−41672号等に記載されてい
る方法により成膜することができる。プラズマCVD法
におけるプラズマは、直流、交流のいずれであってもよ
いが、交流を用いることが好ましい。交流としては数ヘ
ルツからマイクロ波まで可能である。また、ダイヤモン
ド薄膜技術(総合技術センター発行)などに記載されて
いるECRプラズマも使用可能である。また、バイアス
電圧を印加してもよい。
場合、原料ガスには、下記のグループに属する化合物を
使用することが好ましい。
ン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、
エチレン、プロピレン等の炭化水素が挙げられる。
メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テ
トラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラ
ン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テ
トラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメ
チルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、ト
リメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリル
メチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用して
も良く、シラン系化合物と炭化水素を用いても良い。
OH、C2H5OH、HCHO、CH3COCH3等があ
る。
化アンモニウム、シアン化水素、モノメチルアミン、ジ
メチルアミン、アリルアミン、アニリン、ジエチルアミ
ン、アセトニトリル、アゾイソブタン、ジアリルアミ
ン、エチルアジド、MMH、DMH、トリアリルアミ
ン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニ
ルアミン等がある。
あるいはSi+C+H+Nを含む化合物等とO源あるい
はON源、N源、H源等とを組み合わせてもよい。
て、CO、CO2 等、Si+H源として、SiH4 等、
H源として、H2 等、H+O源として、H2 O等、N源
として、N2N+H源として、NH3 等、N+O源とし
て、NO、NO2 、N2 OなどNOx で表示できるNと
Oの化合物等、N+C源として、(CN)2 等、N+H
+F源として、NH4 F等、O+F源として、OF2 、
O2F2 、O3F2 等を用いても良い。
じて適宜決定すればよい。成膜圧力は、通常0.1〜1
00Pa(0.001〜1Torr)、投入電力は、通常1
0W〜5kW程度が好ましい。
により成膜することができる。イオン化蒸着法は、例え
ば特開昭58−174507号、特開昭59−1745
08号公報等に記載されている。ただし、これらに開示
された方法、装置に限られるものではなく、原料用イオ
ン化ガスの加速が可能であれば他の方式のイオン蒸着技
術を用いても良い。
えば、実開昭59−174507号に記載されたイオン
直進型またはイオン偏向型のものを用いることができ
る。
1×10-4Pa(10-6Torr)程度までの高真空とす
る。この真空容器内には交流電源によって加熱されて熱
電子を発生するフィラメントが設けられ、このフィラメ
ントを取り囲んで対電極が配置され、フィラメントとの
間に電圧Vdを与える。また、フィラメント、対電極を
取り囲んでイオン化ガス閉じこめ用の磁界を発生する電
磁コイルが配置されている。原料ガスはフィラメントか
らの熱電子と衝突して、プラスの熱分解イオンと電子を
生じ、このプラスイオンはグリッドに印加された負電位
Vaにより加速される。この、Vd,Vaおよびコイル
の磁界を調整することにより、組成や膜質を変えること
ができる。また、バイアス電圧を印加してもよい。
合、原料ガスには、プラズマCVD法と同様のものを用
いれば良い。上記原料ガスの流量はその種類に応じて適
宜決定すればよい。動作圧力は、通常0.1〜100P
a(0.001〜1Torr)程度が好ましい。
り成膜することができる。すなわち、Ar、Kr等のス
パッタ用のスパッタガスに加えて、O2 、N2 、N
H3 、CH4、H2 等のガスを反応性ガスとして導入す
ると共に、C、Si、SiO2 、Si3 N4 、SiC等
をターゲットとしたり、C、Si、SiO2 、Si3 N
4、SiCの混成組成をターゲットとしたり、場合によ
っては、C、Si、N、Oを含む2以上のターゲットを
用いても良い。また、ポリマーをターゲットとして用い
ることも可能である。この様なターゲットを用いて交流
電力(特に高周波電力)、または直流電力を加え、ター
ゲットをスパッタし、これを基板上にスパッタ堆積させ
ることによりDLCを成膜する。高周波スパッタ電力
は、通常50W〜2kW程度である。動作圧力は、通常1
0-3〜10-1Pa(10-5〜10-3Torr)が好ましい。
面を参照しながら説明する。図1は、本発明の電気化学
素子の概略の構造を示すものである。図2、図3は、図
1(c)におけるA−A’断面一部矢視図であり、図2
は、DLC層を有する外装体材料を用いた態様、図3
は、DLC層を有する端子を用いた態様であり、端子を
含むシール部の断面構造を示している。
(a)に示す電気化学素体10を、図1(b)に示す第
1シール部21で袋状に形成された外装体20の中に電
気化学素体10の端子13、14が外部に突き出した状
態で収納し、外装体20の開口した端面を端子13、1
4を挟んで熱融着で封口して第2シール部22を形成し
て構成されている。電気化学素子1は、電気化学素体1
0を外装体20内に密封すると共に、第2シール部22
から端子13、14が外部に突き出した構造を有する。
箔等の集電体に活物質、バインダ等が塗布されている正
負極11、12と図示しない高分子固体電解質とを含
む。正負極11、12には、図1(a)に示すようにそ
れぞれ端子13、14が接続されている。端子13、1
4には、概念上それぞれ第2シール部22で覆われる領
域のシール部13a、14aが存在する。
予め2枚の外装体材料30をそれらの3辺の端面相互を
好ましくは熱接着して第1シール部21を形成し、1辺
が開口した袋状に形成される。あるいは、一枚のラミネ
ートフィルムのような外装体材料を折り返して両辺の端
面を熱接着してシール部を形成して袋状としてもよい。
では、図2、図3に示すように、端子13、14が外装
体20を構成する外装体材料30で挟まれている。
体10は、電解液への浸漬など、所定の処理を施したの
ち、外装体20内に収納され、端子13、14の先端部
を外部に導出した状態で外装体20の第2シール部(開
口部)22を好ましくは加熱、加圧することで封止され
る(熱融着される)。
は、DLC層を有する外装体材料を用いたものである。
外装体材料30はDLC層を含む積層体である。この積
層体は、DLC層と樹脂層とを含むことが好ましく、最
内層(電気化学素体10側)には、熱シールを行って封
口する関係上、熱接着性樹脂を用いることが好ましい。
図2の例は、外装体材料30として、最内層である第1
層30aを熱接着性樹脂層とし、第2層3bをDLC層
とし、第3層(最外層)3cを耐熱性樹脂層としたラミ
ネートフィルムを用いたものである。
が、場合によっては2層以上設けてもよい。2層以上設
ける場合、連続的に設けることも樹脂層等を介して断続
的に設けることもできる。また組成をかえることもでき
る。DLC層の厚みは、2層以上のときは、合計厚み
で、0.01〜20μm であることが好ましい。このよ
うな厚みとすることで、本発明の効果が向上する。これ
に対し、DLC層が薄くなると、本発明の実効が得られ
ず、厚くなると、剥離が起こりやすくなる。
る熱接着性樹脂層は、1層構成が一般的であるが、場合
によっては内側の層として多層構成としてもよく、その
厚みは、2層以上のときは合計厚みで30〜130μm
であることが好ましい。このような厚みとすることで熱
シールした場合のシール性が良好になる。これに対し、
薄くなると、端子の厚みが一般的に50〜100μm で
あることを考えると、この端子の周囲を熱接着性樹脂で
十分にはシールできなくなり、厚くなると、熱シールす
る時の熱板などからの熱が十分端子部に伝わらなくなっ
て十分シールできなくなり、また厚いと電池の総厚みも
厚くなり、薄型化には逆行する。
み合わせて好ましく用いられる耐熱性樹脂層の厚みは、
2層以上のとき(連続的あるいは断続的に設けるときの
両方を含む。)は合計厚みで10〜50μm であること
が好ましく、ラミネートフィルム全体の厚みは50〜1
30μm であることが好ましい。
好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レン、ポリエチレン系のアイオノマー、等)などのポリ
オレフィン樹脂、等であり、DLCとの密着性を向上さ
せる上では、酸変性ポリオレフィン樹脂が特に好まし
い。酸変性ポリオレフィン樹脂として、例えばカルボン
酸等の酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸をグラフト
重合して得られる酸変性ポリプロピレン等を例示できる
が、特に酸変性ポリプロピレンが好ましい。酸変性ポリ
オレフィン樹脂中のカルボキシル基がDLCとの密着性
を向上させると考えられる。
る酸変性ポリプロピレンとしては、例えば、三井化学株
式会社より、商品名アドマーとして販売されている。こ
のアドマーのなかでも特に、ポリプロピレン−タイプア
ドマーが好ましく、特に、ホモポリマーとして、QF3
05(融点:160℃)、QF500(融点:165
℃)、エチレンとのコポリマーとして、QF551(融
点:135℃)、QB540(融点:150℃)、QB
550(融点:140℃)、QE060(融点:139
℃)が好ましい。また、同様な樹脂として三菱化学株式
会社のモディックがある。ポリプロピレン系のモディッ
クとしては、P502(ホモポリマー)、P513V
(ランダムコポリマー)、P505(ランダムコポリマ
ー)、P517(ランダムコポリマー)等がある。
レンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂や
ポリアミド樹脂などである。
に、DLC層とアルミニウム等の金属層、シリコン酸化
物層およびアルミニウム酸化物層から選ばれる金属系の
層との積層構造を適用することも好ましい。具体的に
は、耐熱性樹脂層30cとDLC層30bとの間に、金
属系の層を介在させることが好ましい。これにより、水
分遮断性が向上する。また、アルミニウム等の金属層が
存在しても、端子との接触がDLC層によって妨げられ
るため、ショートの危険性がなくなる。
で形成したものなどであってよく、シリコン酸化物層、
アルミニウム酸化物層は蒸着法により形成したものであ
ってよい。
2層以上を連続的に設けてもよいし、樹脂層等を介して
断続的に設けてもよい。この場合の金属系の層の厚み
は、2層以上とするときは合計厚みで3〜50μm であ
ることが好ましい。
ィルムは上述のものに限定されることなく、積層数や積
層順を種々のものとすることができる。ただし、最内層
は熱接着性樹脂層であることが好ましく、金属系の層と
DLC層との積層構造を適用するときは、金属系の層を
DLC層より外側に位置する層として積層することが好
ましい。金属系の層とDLC層とは、直接、接するよう
にして積層することが好ましいが、場合によっては、樹
脂層を介在させてもよい。
3は、DLC層をその一部に被覆した端子を用いたもの
である。DLC層15は、端子13、14のシール部1
3a、14aに設けることが好ましい。DLC層は通常
1層のみ設けられるが、2層以上を連続的に設けてもよ
いし、樹脂層等を介して断続的に設けてもよい。DLC
層15の厚みは0.01〜20μm が好ましい。2層以
上とするときは、合計でこの範囲の厚みとすることが好
ましい。このような厚みとすることで、本発明の効果が
向上する。これに対し、DLC層が薄くなると、本発明
の実効が得られず、厚くなると、DLC層が剥離しやす
くなると同時に内部応力が大きくなり加工が難しくな
る。
シール強度等を得る上で、端子13、14のシール部1
3a、14aのほぼ全域に設けることが好ましいが、場
合によってはシール部13a、14aの一部(例えば1
/2以上、さらには2/3以上)であってもよい。
銅、ステンレス鋼などの金属ないし合金、種々の金属箔
にチタン、タンタル、クロム、亜鉛、ニッケル、錫など
の表面処理を施したものなどが用いられ、矩形または円
形の断面を有するリード状に構成されるが、これらのな
かでもアルミニウム、ニッケルで構成されたものが好ま
しい。
のではないが、通常、幅:3〜5mm、厚み:50〜10
0μm 程度である。その長さも特に規制されるものでは
なく、電気化学素子の種類や用途などにより必要な長さ
とすればよいが、通常、5〜30mm程度である。
ム製の端子において特に有効であり、LiBF4、Li
PF6等のように、分解してふっ酸を生じる電解質、す
なわち水との反応によってふっ酸を生じさせうる電解質
との組合せにおいて、ふっ酸による腐食が原因となって
生じる漏液の防止を図ることができる。
a、14aにはDLC層の上に、酸変性ポリオレフィン
樹脂層を被覆してもよい。これにより、外装体との接着
性を向上させることができる。酸変性ポリオレフィン樹
脂層の厚み(2層以上のときは合計厚み)は、3〜10
0μm 程度が好ましい。
する前に行う。
装体材料は、従来のアルミラミネートフィルムなどであ
ってもよく、特に制限なく用いることができる。図3の
例は、最内層である第1層30pを熱接着性樹脂層と
し、第2層30qを耐熱性樹脂層、第3層30rをアル
ミニウム等の金属層、第4層30sを耐熱性樹脂層とし
たラミネートフィルムである。
で、DLC層によって、ラミネートフィルムの金属層と
端子(金属製)との接触を防止することができるが、さ
らに金属層と熱接着性樹脂層との間に耐熱性樹脂層を設
けることによっても絶縁を確実にすることができる。こ
うした目的で設けられる耐熱性樹脂層は、通常1層のみ
であるが、2層以上としてもよく、その厚み(2層以上
とするときは合計厚み)は5〜20μm 程度とすること
が好ましい。
とすることが好ましく、金属層を設ける場合は、熱接着
性樹脂層、金属層、耐熱性樹脂層の積層順とすることが
好ましいが、図示例に限定されるものではなく、こうし
た制限下で、積層数や積層順などをかえることができ
る。
る熱接着性樹脂層は、1層構成が一般的であるが、場合
によっては内側の層として多層構成としてもよく、その
厚みは、2層以上のときは合計厚みで30〜130μm
であることが好ましい。このような厚みとすることで熱
シールした場合のシール性が良好になる。これに対し、
薄くなると、端子の厚みが一般的に50〜100μm で
あることを考えると、この端子の周囲を熱接着性樹脂で
十分にはシールできなくなり、厚くなると熱シールする
時の熱板などからの熱が十分端子部に伝わらなくなって
十分シールできなくなり、また厚いと電池の総厚みも厚
くなり、薄型化には逆行する。
場合によっては2層以上とすることもできる。その厚み
は、2層以上のときは合計厚みで、20〜50μm が好
ましい。
脂層の厚みは、2層以上のときは合計厚みで、10〜5
0μm であることが好ましく、ラミネートフィルム全体
の厚みは50〜130μm であることが好ましい。
は、前記と同様のポリプロピレン、ポリエチレン等のポ
リオレフィン樹脂などであり、このようななかで酸変性
ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。耐熱性樹脂は、好
ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)等のポ
リエステル樹脂やポリアミド樹脂などである。金属層に
はアルミニウム等の金属箔が用いられる。また、金属蒸
着膜としてもよい。このほか、金属層のかわりに、また
これと組み合わせて、前記と同様のシリコン酸化物層や
アルミニウム酸化物層を用いることもできる。
ィルムを外装体材料としてよいが、図3のように、端子
にDLC層を被覆する態様では、従来、汎用されている
外装体材料を用いうるところに利点がある。
ウム2次電池として用いることが好ましい。
次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極、負極
および高分子固体電解質から構成され、シート型電池や
円筒型電池等に好適に適用される。
極は、リチウム2次電池の電極として公知のものの中か
ら適宜選択して使用すればよく、好ましくは電極活物質
とゲル電解質、必要により導電助剤との組成物を用い
る。
ウム合金あるいは酸化物材料のような負極活物質を用
い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デ
インターカレート可能な酸化物等のような正極活物質を
用いることが好ましい。このような電極を用いることに
より、良好な特性のリチウム2次電池を得ることができ
る。
えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然
あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラ
ック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。
インターカレート・デインターカレート可能な酸化物と
しては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例え
ば、LiCoO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiV
2O4などが挙げられる。
る。導電助剤としては、好ましくは黒鉛、カーボンブラ
ック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の
金属が挙げられ、特に黒鉛、カーボンブラックが好まし
い。
質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:3〜10:1
0〜70の範囲が好ましく、負極では、質量比で、活物
質:導電助剤:ゲル電解質=30〜90:0〜10:1
0〜70の範囲が好ましい。ゲル電解質は、特に限定さ
れず、通常用いられているものを用いればよい。また、
ゲル電解質を含まない電極も好適に用いられる。この場
合、バインダとしてはフッ素樹脂、フッ素ゴム等を用い
ることができ、バインダの量は3〜30質量%程度とす
る。
て導電助剤を、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分
散し、塗布液を調製する。
る。塗布する手段は特に限定されず、集電体の材質や形
状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、メタルマ
スク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレー
コート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラ
ビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。
その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール
等により圧延処理を行う。
ース内への集電体の配置方法などに応じて、適宜通常の
集電体から選択すればよい。一般に、正極にはアルミニ
ウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。な
お、集電体は金属箔、金属メッシュなどが、通常、使用
される。
る。塗布厚は、50〜200μm 程度とすることが好ま
しい。
ンオキシド))系、PAN(ポリアクリロニトリル)
系、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)系等の高分子微
多孔膜を用いることができる。また、SiO2等の微粒
子を高分子材料に添加することによって多孔膜化したも
のを用いてもよい。
に積層し、圧着して電池素体とする。
質塩と溶媒よりなる。電解質塩としては、例えば、Li
BF4 、LiPF6 、LiAsF6 、LiSO3 C
F3 、LiClO4 、LiN(SO2 CF3 )2 等のリ
チウム塩が適用できる。
電解質塩との相溶性が良好なものであれば特に制限はさ
れないが、リチウム電池等では高い動作電圧でも分解の
起こらない極性有機溶媒、例えば、エチレンカーボネー
ト(略称EC)、プロピレンカーボネート(略称P
C)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート
(略称DMC)、ジエチルカーボネート(略称DE
C)、エチルメチルカーボネート(略称MEC)等のカ
ーボネート類、テトラヒドロフラン(THF)、2−メ
チルテトラヒドロフラン等の環式エーテル、1,3−ジ
オキソラン、4−メチルジオキソラン等の環式エーテ
ル、γ−ブチロラクトン等のラクトン、スルホラン等が
好適に用いられる。3−メチルスルホラン、ジメトキシ
エタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、
エチルジグライム等を用いてもよい。
浸漬すると、高分子膜が電解液を吸収してゲル化し、高
分子固体電解質となる。
で示した場合、膜の強度、イオン伝導度の点から、電解
液の比率は40〜90質量%が好ましい。
2重層キャパシタとして用いることができる。
る。併せて比較例を示す。 実施例1 ポリエチレンテレフタレート(厚み12μm )に、DL
C層を約1μm の厚みに付けた。このフィルムのDLC
面にマレイン酸変性ポリプロピレンフィルム(厚み80
μm 、PPと略記)を熱ラミネートした。このフィルム
を用いて図1(b)のような袋状の電池用外装体を作製
した。なおこの時PPが内側となるように製袋した(図
2参照)。
た。原料ガスとしてCH4を用い、流量を5.1×10
-2Pa・m3・s-1(30SCCM)とし、動作圧13.3Pa
(0.1Torr)でプラズマ発生用の交流として、RF
(13.56MHz)200Wを加え、セルフバイアス−1
50Vにて行った。成膜レートは0.1μm/分とした。
DLCの組成はCH0.5であった。
(HS−100、電気化学工業製)、グラファイト、P
VDFからなるものをドクターブレード法でアルミニウ
ム箔に塗布し作製した。負極は、メソカーボンマイクロ
ビーズ(MCMB)、カーボンブラック、PVDFから
なるものをドクターブレード法で銅箔に塗布し作製し
た。高分子固体電解質用高分子膜としてPVDFにSi
O2微粒子を添加して多孔化したPVDF微多孔膜を使
用した。正極、負極は、横31mm、縦41mmに切断し
た。高分子固体電解質用高分子膜は横33mm、縦43mm
に切断した。
用高分子膜を高分子固体電解質用高分子膜を挟んで正極
と負極が対向するように順次積層した。正極集電体、負
極集電体にはそれぞれアルミニウム製端子、ニッケル製
端子を溶接した。この積層体を電解液に浸漬し、ゲル化
させた。このゲル化したものを上で作製した電池用外装
体に挿入し開口部をヒートシールした(図1参照)。
ト)とDEC(ジエチルカーボネート)の体積比3:7
の混合溶媒にLiPF6を1mol/L溶解させた電解液を用
いた。
ートしたものは0個であった。また、DLC層を通して
針を突き刺すことができず、突き刺し強度が十分であっ
た。
にかえた外装体を用いるほかは、同様にして電池を作製
し、同様に特性を調べたところ、同様の結果が得られ
た。
i(CH3)4を流量3.4×10-2Pa・m3・s-1(20S
CCM)、C2H4を流量1.7×10-2Pa・m3・s-1(10
SCCM)で用いるほかは、実施例1と同様にして行った。
)/PET(12μm )/PP(80μm )のラミネ
ートフィルムを図1(b)のように製袋したものを用い
た。この場合は内側はPPである。この外装体を用いた
以外はすべて実施例1と同様に電池を100個作製し
た。
まで充電し、60℃、90%相対湿度の雰囲気中に20
日間保存したところ、漏液したものは20個あった。
外装体に、上記の電解液を入れて、シールし、60℃の
条件で21日間保存して、ラミネートフィルムのガス遮
断性の目安として、そのシール体の保存による質量減少
を比較した。60℃保存による質量減少率(%)を求め
たところ、実施例1の外装体は0.2質量%、実施例2
の外装体は0.3質量%、比較例1の外装体は0.3質
量%であった。これより、本発明の外装体のDLC層は
従来の20μm 厚のAl層と同レベルのガス遮断性を示
すことがわかる。また、DLC層は1μm 厚で十分であ
り、素子の薄型化に合致する。
の間に5μm 厚のAl箔を載置するほかは同様にして電
池を得、同様に特性を調べたところ、実施例1、2と同
様の結果が得られた。
極端子の一部にDLC層を1μm の厚みにコーティング
した。端子の大きさは、4mm幅、30mm長さ、80μm
厚とした。これらの正極端子、負極端子を用いた以外は
すべて比較例1と同様に電池を100個作製した。図3
に示すように、ヒートシール部にDLC層があるように
なっている。このため外装体端部のアルミニウムがだれ
てもショートしない構造になっている。実際ショートし
た電池は0個であった。この電池を比較例1と同様に
3.8Vまで充電し、60℃、90%相対湿度の雰囲気
中に20日間保存したところ、漏液したものは0個であ
った。
とし、同様にして成膜した。
と同様のものとするほかは、同様にして電池を作製し、
同様にして特性を調べたところ、実施例4と同様の結果
が得られた。
ミネート樹脂を外装体として提供するものであり、電池
のショート防止に効果がある。
た金属箔を端子として提供するものであり、電池のショ
ート防止、耐漏液性の向上に効果がある。
電気化学素体を構成する電極および端子を示す平面図、
(b)は外装体を示す平面図、(c)は電気化学素体を
外装体に封入して構成される電気化学素子を示す平面図
である。
を用いた場合のA−A’線に沿った一部断面図である。
用いた場合のA−A’線に沿った一部断面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 外装体と、端子を備えた電気化学素体と
を有し、この電気化学素体が前記外装体に封入された電
気化学素子において、 前記外装体が、少なくとも1層のダイヤモンド状炭素層
を有する多層構成の材料で形成されている電気化学素
子。 - 【請求項2】 前記多層構成の材料が、少なくとも1層
の樹脂層を有する請求項1の電気化学素子。 - 【請求項3】 前記多層構成の材料が、前記電気化学素
体側に熱接着性樹脂層を有し、この熱接着性樹脂層の前
記電気化学素体と反対側にダイヤモンド状炭素層を有す
る構成である請求項2の電気化学素子。 - 【請求項4】 前記多層構成の材料が、ダイヤモンド状
炭素層と、アルミニウム層、シリコン酸化物層およびア
ルミニウム酸化物層から選ばれる金属系の層との積層構
造を有し、前記電気化学素体からより遠い側に前記金属
系の層を有する構成である請求項1〜3のいずれかの電
気化学素子。 - 【請求項5】 熱接着性樹脂層が、酸変性ポリオレフィ
ン樹脂層である請求項3または4の電気化学素子。 - 【請求項6】 外装体と、端子を備えた電気化学素体と
を有し、この電気化学素体が前記外装体に封入された電
気化学素子において、 前記端子の少なくとも一部が、ダイヤモンド状炭素層で
被覆されている電気化学素子。 - 【請求項7】 アルミニウムで形成された端子を備え、
このアルミニウム端子の少なくとも一部が、ダイヤモン
ド状炭素層で被覆されている請求項6の電気化学素子。 - 【請求項8】 端子の前記外装体と接する部位が、ダイ
ヤモンド状炭素層で被覆されている請求項7の電気化学
素子。 - 【請求項9】 電池である請求項1〜8のいずれかの電
気化学素子。 - 【請求項10】 リチウムイオン2次電池である請求項
9の電気化学素子。 - 【請求項11】 分解してふっ酸を生じる電解質を含む
請求項10の電気化学素子。
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