JP4115896B2 - 吸光式分析計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種流体中の特定成分の濃度を測定する吸光式分析計に関するもので、特に試料中共存する複数成分の干渉影響などを軽減した高精度の流体濃度測定装置に有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種製造プロセスにおいては、管理対象物質および各種の妨害物質の濃度管理が不可欠となり、多種多様な用途に対応できる精度の良い測定器が求められ、従来から、汎用性が高く、同一構成で多種の成分測定が可能で、多成分同時測定が可能な非分散赤外線分析計(以下、「NDIR」という。)や非分散紫外線分析計(以下「NDUV」という。)などの吸光式分析計が多く用いられている。こうした吸光式分析計は、基本的に試料に非接触であることから各種のプロセスのインラインモニターとしても有用である。
【0003】
ここで、多成分の吸光式分析計として多用されている光断続方式NDIRについて、図9の構成例に基づいて説明する。光源用電源4からの電力を注入すると光源部1からの赤外線が試料セル部2を介して検出器3、3’、3”に導入されるが、モータ5によって駆動されるチョッパ6がその光学系の中間に設けられ、前記赤外線は断続光となって、検出器3、3’、3”に投入される。光源部1と検出器3、3’、3”の間には、通常測定対象成分に対応した波長域の赤外線を選択的に透過する光学フィルタ7、7’、7”が設けられ、試料セル部2に導入された試料流体中の測定成分による赤外線吸収の変化のみを検出するようにしている。検出器出力は前置増幅器等(図示せず)で増幅された後、信号処理部8に入力され整流等の信号処理の後、濃度演算されて表示部9に濃度表示され、通常変調周期は5〜100Hzが多く使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、上記の機械的光断続方式におけるチョッパ6の代わりに、光源用電源4と光源1の間に光源電圧変調手段を設けて光源1に印加される電力をON−OFFさせて変調する方式や、さらに上記の光変調機構に代わり、流体切換機構を用いて試料流体と基準(比較)流体を一定周期で切換えて変調させ、試料セル部内での赤外線の吸収量の変化分のみを交流信号として取り出す流体変調式NDIRなどが知られている。
【0005】
さらに、多成分で安定な吸光度分析計として、図10に示すように、光源1と検出器3との中間に設けられた光学素子7、7’を光路に対して所定の傾斜を有して配し、複数の検出器3、3’、3”に対して光を分波し導入することで、試料セル部2における吸光度の変化を検出することができる方法が実用化されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
また、こうした構成を有する測定方法は、上記のNDIRだけでなく、NDUVについても同様に提案・実用化されている(例えば特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−185816号公報
【特許文献2】
特許第2903457号公報
【特許文献3】
特開平8−43302号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術で述べた吸光式分析計では、以下のような課題が生じることがある。
つまり、上記のように測定装置に対しては、信頼性の高い高精度の測定値が求められており、複数の成分が混在する試料を測定する吸光度分析計にあっては、特に、共存する他成分によって生じる干渉影響が無視できないことが多い。通常、成分毎に別個の干渉補償用の検出器を用いて、こうした干渉影響を補償する方法が採られるが、各測定器の保守管理の面からも煩雑となりやすい。
【0009】
また、こうした干渉影響は使用する光学フィルタの波長選択性に依存する一方、一般に光学フィルタは多層膜を形成することから中心波長や透過波長領域のバラツキは避けることができず、こうしたバラツキによって干渉補償の精度が少なからず影響を受けることがある。
【0010】
さらに、複数の測定成分が混在する試料にあっては、各測定成分について共存する他成分によって生じる相互の干渉影響が無視できないことが多い。特に、1の検出器に対する1の成分の干渉影響は補償が容易であるが、2成分以上の干渉補償は非常に困難であり、光学フィルタの波長選択性を厳格に選別するなどの方法によって調整しているが、作業性が悪く改善が求められている。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す吸光式分析計により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0013】
本発明は、光源部、複数の光学素子、試料セル部および複数の検出器を構成要素とし、該光源部と検出器との中間に少なくとも1の光学素子(光学素子A)を光路に対して所定の傾斜を有して配し、該光学素子Aが1の測定成分に対応する波長選択性を有し、該光学素子Aを透過する光を受ける1の検出器を設けるとともに、該光学素子Aによって反射した光を受ける少なくとも1の他の検出器との中間に他の光学素子(光学素子B)を配する吸光式分析計であって、
前記複数の光学素子のうち少なくとも光学素子Aおよび光学素子Bを可動調整できる構造を有し、光路に対して角度を調整することによって、光学素子Aの透過光および反射光の波長領域を調整するとともに、前記反射光に対して他の検出器に入射する光学素子Bの透過光の波長領域を調整することを特徴とする。こうした構成を有する分析計によって、光学素子の波長選択性を調整可能とし、検出器の選択性に対して影響の大きい光学素子のバラツキによる誤差の発生を防止し、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。また、1の測定成分に対応した波長を測定用として選択し、該波長の近傍の波長を干渉補償用として選択することによって、該成分測定における干渉影響を適切に補正することができるとともに、光学的に微調整を行うことができことから、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。さらに、光学素子に傾斜を与えた場合に変化する波長特性を利用することで、光学素子の光学特性のバラツキだけではなく、吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となる。
【0014】
ここで、前記光学素子Bの波長選択性が、光学素子Aと重複する透過波長領域を有し、光学素子Aの反射光のうち光学素子Bの透過した光であって、光学素子Aの透過光よりも長波長領域または/および短波長領域の光を干渉補償用として選択するとともに、光路に対する角度を調整することによって干渉影響を光学的に微調整しつつ補正することを特徴とする。透過波長領域が重複する光学素子を用い、光学素子Aの反射光の波長領域と光学素子Bの透過波長領域が重複する波長として、測定用の波長領域よりも長波長領域または/および短波長領域の光、つまり、いわゆるサイドバンドを干渉補償用として選択することによって、精度の高い干渉補償を行うことができる。このとき、光学素子の傾斜角度を変えることによって、光学素子の光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、光学的な微調整によって、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0015】
また、前記光学素子Bが、前記光学素子Aと中心波長を同一とし、透過波長領域が前記1の光学素子よりも広い波長特性を有する光学素子であり、光路に対して傾斜した光学素子Aとの中心波長の差異を形成することによって、光学素子Aの反射光のうち光学素子Bの透過した光であって、光学素子Aの透過光よりも長波長領域および短波長領域の光を干渉補償用として選択するとともに、光路に対する角度を調整することによって、複数の成分 から受ける干渉影響を光学的に微調整しつつ補正することが好適である。1の測定成分に対応した波長を測定用として選択し、該波長のいわゆるサイドバンドを干渉補償用として選択することによって、精度の高い干渉補償を行うことができるとともに、光学的な微調整によって、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。特に、光学素子の傾斜角度を変えることによって、光学素子の光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、各波長域のバランスを調整することができ、複数の干渉成分に対する検出出力を光学的に微調整し、非常に選択性の高い測定が可能となる。
【0016】
あるいは、同一の波長選択性を有する少なくとも2つの光学素子を、傾斜角度を変えて異なる中心波長を有する光学素子Aと光学素子Bとして使用することによって、光学素子Aの反射光のうち光学素子Bの透過した光であって、光学素子Aの透過光よりも長波長領域または短波長領域の光を干渉補償用として選択するとともに、光路に対する角度を調整することによって、複数の成分から受ける干渉影響を光学的に微調整しつつ補正することが好適である。同じ特性の光学素子を複数用い、一方を測定用、他方を干渉補償用とすることで、両者の波長特性の差を同一化することができ、安定な干渉補償が可能となるとともに、単一の光学素子による保守管理の簡素化を図ることができる。特に、光学素子の傾斜角度を変えることによって、補償用検出器への照射光(透過光C)を減衰することができることから、光と関係しない外部影響(例えば、周囲温度や振動など)を補償する信号として利用することが可能となる。また、光学素子の光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、複数の干渉成分に対する検出出力を光学的に微調整し、非常に選択性の高い測定が可能となる。
【0017】
以上の吸光式分析計において、光学素子の光路に対する角度と検出器の出力との相関特性を事前に把握し、検出器出力に基づき該角度を制御することで最適な調整を可能とし、検出器の選択性に対して影響の大きい光学素子のバラツキによる誤差の発生を防止し、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、主としてNDIRに適用した場合を中心に説明する。
本発明は、光源部、複数の光学素子、試料セル部および複数の検出器を構成要素として含む吸光式分析計であって、該光源部と検出器との中間に少なくとも1の光学素子(光学素子A)を光路に対して所定の傾斜を有して配するとともに、前記複数の光学素子のうち少なくとも1つの光学素子(光学素子Aを含む)を光路に対して角度を調整可能に配することを特徴とする。本発明者は光学素子、例えば光学フィルタが入射角によって波長選択性が変化することを利用し、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能であることを見出したもので、光学素子の波長選択性を調整し、検出器に対する選択性を上げて、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供しようとするものである。
【0019】
ここで、光学素子とは、基板に多層膜を形成した光学フィルタや特定の波長域を透過する基材一般をも含む広い概念をいう。前者としては、例えば特定波長域を透過するバンドパスフィルタ(BPF)、特定波長よりも長い波長域のみを透過するロングパスフィルタ(LPF)や特定波長よりも短い波長域のみを透過するショートパスフィルタ(SPF)などが挙げられる。また、後者としては、紫外線〜赤外線透過基材として、約3.5μmまでを透過する石英(SiO2)約4μmまでを透過するサファイア(Al2O3)、約6μmまでを透過するフッ化リチウム(LiF)、約8μmまでを透過するフッ化カルシウム(CaF2)、約12μmまでを透過するフッ化バリウム(BaF2)や約13μmまでを透過する塩化ナトリウム(NaCl)などが挙げられる。
【0020】
試料セルとしては、試料導入口および排出口を有するステンレス鋼やアルミニウムなどの金属製あるいは樹脂製の円筒管の両側に光学結晶を固定した構造をとることが多い。
【0021】
検出器としては、NDIRでは、コンデンサマイクロフォンやフローセンサを内蔵したニューマティック検出器や、パイロ素子あるいはサーモパイル素子などを用いた固体検出器などが挙げられ、前者は検出感度や選択性に優れ、後者は量産性・小型化・汎用性に優れた検出器であり、用途に応じて使い分けが可能である。NDUVでは、光電子倍増管や、フォトセルやフォトダイオードなどの固体検出器などが挙げられ、前者は検出感度や選択性に優れ、後者は量産性・小型化・汎用性に優れた検出器である。
【0022】
具体的に、吸光度分析計における最も単純な基本構成としてNDIRの光学系を図1に例示する。光源用電源4からの電力を受けた光源部1、試料セル部2、検出器3、3’、モータ5によって駆動されるチョッパ6、光学素子である光学フィルタ7、7’、信号処理部8および表示部9からなる構成は、既述の図8と同様であるが、光学フィルタ7または/および光学フィルタ7’が可動調整できる構造となっている点に特徴がある。
【0023】
図2にその光学フィルタ7および7’を設けた部材の詳細を例示する。試料セル2を通過した赤外線Inが光学フィルタ7に入射し、特定波長域の透過光Aが検出器3に入射する一方、光学フィルタ7で反射された前記以外の波長域の反射光Bが光学フィルタ7’を通過した後(透過光C)検出器3’に入射する。ここで、光学フィルタ7は、通常入射光Inに対し例えば入射角略45°の位置で配しているが、Dを支点として移動し入射角を増加または減少することで、波長特性を変えることができる。また、同様に、光学フィルタ7’についても、通常反射光Bに対し例えば入射角略0°の位置で配しているが、Eを支点として移動し入射角を増加または減少することで、波長特性を変えることができる。
【0024】
光学素子と入射角との関係は、透過波長域や光学素子の構成によって異なるが、例えば多層膜光学フィルタにおける実測例を図3に示す。入射角が大きくなると、図3(A)のようにBPFの中心波長が短波長へシフトすることを表しており、さらに概念的には、図3(B)に示すように、半値幅wが広がり、立上り波長域(u)および立下り波長域(d)の傾斜が緩やかになるとの知見を得たものである。本発明は、この特性を上記光学系に活用したものである。
【0025】
また、光学フィルタの作製において立上りおよび立下り特性を均一にすることは困難であり、光学フィルタ7と光学フィルタ7’の立上り波長域uが所望の領域から広がる方向にバラツキが生じた場合においては、吸光度分析計の精度は大きく低下することがある。本発明は、光学フィルタ7あるいは光学フィルタ7’のいずれかあるいは両方のフィルタの光路に対する角度を調整することによって、こうしたバラツキを解消することができるものである。
【0026】
なお、図2における光学フィルタ7のように予め入射角を所定値有する場合には、入射角を増減することで長波長側あるいは短波長側いずれへのシフトも調整可能であることはいうまでもなく、本発明の光学系は係る点においても上記知見を有効に活用したものである。
【0027】
光学フィルタ7、7’を移動した時の各検出器3および3’に入射する光AおよびCの波長特性を図4に例示する。「7」、「7’」は光学フィルタ7、7’の波長特性を示し、「A」「B」「C」は各々透過光A、反射光B、透過光Cの波長特性を表している。図4において、斜線部が光学フィルタの透過特性あるいは光自体の波長特性を表している。
【0028】
図4(1)は、入射角略45°で配された光学フィルタ7としてBPF、光学フィルタ7’としてLPFを用いた場合の移動前の状態を示している。透過光Aの波長特性は、光学フィルタ7の波長特性(透過光Aの破線部)よりも短波長域を中心としたBPF特性(実線部)となる。反射光Bは、入射光Inから透過光Aを除いた波長特性を示す。ここで、透過光Aを1の測定成分用検出器(図2の検出器3に相当)に入射し、透過光Cを他の測定成分用検出器(図2の検出器3’に相当)に入射して試料を測定した場合には、優れた波長選択性の検出・測定が可能となる。また、光学フィルタ7’の立上り波長域uを反射光Bの立上り波長域u’よりも長波長側にある場合、透過光Cの立上り波長域u”は光学フィルタ7’の立上り波長域uに依存し、光学フィルタ7’の立上り波長域uが反射光Bの長波長側の立上り波長域u’と接するあるいは近接する場合には、透過光Cは両者の相乗効果によって鋭い立上り波長特性を有することとなる。ここでは、光学フィルタ7がBPFの場合を例示しているが、むろんLPFあるいはSPFを使用できることは上述の通りである。また同様に、光学フィルタ7’としてBPFやSPFを使用できる。
【0029】
図4(2)は、上記の条件から光学フィルタ7’に傾斜を与えた場合の各波長特性の変化(破線部→実線部)を示している。光学フィルタ7’の透過特性が変化し、立上り波長域uが短波長側にシフトし、その結果、透過光Cの波長特性も短波長側にシフトする。特に、上記のように光学フィルタ7’の立上り波長域uが反射光Bの長波長側の立上り波長域u’と接するあるいは近接する場合には、透過光Cの波長特性の短波長側へのシフトとともに、反射光Bとの相乗効果によって鋭い立上り波長特性を有することとなる。従って、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となり、特に透過光Cの立上り波長特性を制御する場合に、本発明は非常に効果的に作用する。
【0030】
図4(3)は、光学フィルタ7の傾斜角を変えた場合の各波長特性の変化を示している。透過光Aの波長特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長あるいは長波長側にシフトし(図では長波長側を表している)、反射光Bも同様にシフトする。その結果、光学フィルタ7’と反射光Bとの相乗効果が長波長側にシフトし、透過光Cの立上り波長域u”における短波長側の光遮断効果が少し減衰する。ただし、上記のように光学フィルタ7’の立上り波長域uが反射光Bの長波長側の立上り波長域u’と接するあるいは近接する場合には、透過光Cは長波長側にシフトした波長特性を有するとともに、反射光Bとの相乗効果によって鋭い立上り波長特性を有することとなる。従って、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となる。
【0031】
図4(2)または(3)では、光学フィルタ7’または光学フィルタ7の傾斜角を単独で変えた場合を例示したが、両者を同時に変えて調整することによって、さらに精微な調整をすることが可能である。
【0032】
また、本発明は、前記光学素子Aが、1の測定成分に対応する波長選択性を有し、該光学素子Aを透過する光を受ける1の検出器を設けるとともに、該光学素子Aによって反射した光を受ける少なくとも1の他の検出器との中間に他の光学素子(光学素子B)を配し、該光学素子Bの波長選択性が光学素子Aと重複する透過波長領域を有することを特徴とする。本発明者は上記の知見から、光学素子Bの波長選択性が光学素子Aと重複する透過波長領域を有する場合に本発明の技術的効果がより活かされることを見出したもので、例えば、1の測定成分に対応した波長を選択し、該波長の近傍の波長を干渉補償用として選択する場合において、該成分測定における干渉影響を適切に補正することができるとともに、光学的に微調整を行うことができることから、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0033】
一般に、試料中に多くの成分が含まれている場合であって、吸光度分析計を用いて特定の成分を測定する場合においては、測定成分用のBPFが用いられるが、他の共存成分の干渉影響として、その光学フィルタの立上りあるいは立下り波長域での他の共存成分の吸収による関与が大きい。従って、本発明のように、特定波長域の光を測定用とし、そのいわゆるサイドバンド領域の光を干渉補償用として用い、光学フィルタの傾斜角度を変えて最適の透過光の波長特性に調整することによって、非常に選択性の高い測定が可能となる。
【0034】
具体的に、本発明の第2の構成例として、透過波長領域が重複する光学フィルタ7、7’を移動した時の透過光AおよびCの波長特性を図5に例示する。基本的には、図4と同様であるが、光学フィルタ7と光学フィルタ7’の透過波長領域とが重複している点において相違する。ここでは、光学フィルタ7、7’がBPFの場合を例示しているが、むろんLPFあるいはSPFを使用できることは上述の通りである。
【0035】
図5(1)において、「7」「7’」は光学フィルタ7、7’の波長特性を示し、「A」「B」「C」は各々透過光A、反射光B、透過光Cの波長特性を表している。また、測定対象成分の吸光スペクトルを「p」、干渉影響成分の吸光スペクトルを「q」として表している。ここで、透過光Aを測定用検出器(図2の検出器3に相当)に入射し、透過光Cを補償用検出器(図2の検出器3’に相当)に入射した場合において試料を測定した場合には、測定用検出器では測定成分および干渉成分の吸収変化(濃度信号に相当)を検出し、補償用検出器では干渉成分の吸収変化を検出することになる。従って、両者の差を演算することで干渉影響を除去した測定信号を得ることができる。なお、ここでいう「演算」あるいは「補償」は差の計算だけでなく、各検出器出力の比や増幅などを含む広い概念をいうものであり、本文において同様である。
【0036】
図5(2)は、上記の条件から光学フィルタ7’に傾斜を与えた場合の各波長特性の変化(破線部→実線部)を示している。光学フィルタ7’の透過特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長側にシフトし、その結果、透過光Cの波長特性も短波長側にシフトする。ただし、透過光Cの立上り波長域u”は反射光Bの特性に依存することから、このシフトによる透過光Cの変化は立下り波長域d”のみとなる。つまり、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、測定用の検出器には全く影響を与えずに補償用検出器の干渉成分の検出感度のみを減少させることができる。従って、測定用検出器の干渉影響値に合致した補償用検出器の干渉成分検出出力を光学的に微調整し、両検出器出力の差を求めることで精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0037】
図5(3)は、光学フィルタ7の傾斜角を変えた場合の各波長特性の変化を示している。透過光Aの波長特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長あるいは長波長側にシフトし(図では短波長側を表している)、反射光Bも同様にシフトする。その結果、透過光Cの波長特性も短波長側にシフトする。ただし、透過光Cの立上り波長域d”は光学フィルタ7’の特性に依存することから、このシフトによる透過光Cの変化は立上り波長域u”のみとなる。つまり、透過光Aの変化によって測定用の検出器の干渉成分の検出感度を減少させながら補償用検出器の干渉成分の検出感度のみを増加させることができる。従って、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、測定用検出器の干渉影響値に合致した補償用検出器の干渉成分検出出力を光学的に微調整し、両検出器出力の差を求めることで精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0038】
図5(2)または(3)では、光学フィルタ7’または光学フィルタ7の傾斜角を単独で変えた場合を例示したが、両者を同時に変えて調整することによって、さらに精微な調整をすることが可能である。
【0039】
また、本発明は、前記光学素子Bが、前記光学素子Aと中心波長を同一とし、透過波長領域が前記1の光学素子よりも広い波長特性を有することを特徴とする。本発明者は、光学素子Bの波長選択性が光学素子Aの透過波長領域を含む広域の透過波長領域を有する場合に本発明の技術的効果がより活かされることを見出したもので、例えば、1の測定成分に対応した波長を選択し、該波長のいわゆるサイドバンドを干渉補償用として選択することによって、複数の成分から受ける干渉影響を適切に補正することができるとともに、光学的に微調整を行うことができることから、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0040】
一般に、試料中に多くの成分が含まれている場合であって、吸光度分析計を用いて特定の成分を測定する場合において干渉影響を与える他の共存成分が複数存在することが多く、通常、図6(1)の「A」に示すように、その測定成分(吸光スペクトルp)に対応した波長域に対して長波長側(干渉影響成分の吸光スペクトルq)あるいは短波長側(干渉影響成分の吸光スペクトルr)の両方に異なる成分による干渉影響を受けることが多い。従って、本発明のように、特定波長域の光を測定用とし、そのいわゆるサイドバンドの両方の波長域を干渉補償用として利用し、光学フィルタの傾斜角度を変えることによって各波長域のバランスを調整することができれば非常に選択性の高い測定が可能となる。
【0041】
具体的に、本発明の第3の構成例として、同一の中心波長を有し、半値幅の異なる光学フィルタ7、7’を移動した時の透過光AおよびCの波長特性を図6に例示する。基本的には、図5と同様であるが、光学フィルタ7’の透過波長領域が、光学フィルタ7の透過波長領域を含む広域である点において相違する。ここでは、光学フィルタ7、7’がBPFの場合を例示しているが、むろんLPFあるいはSPFを使用できることは上述の通りである。
【0042】
図6(1)において、「7」「7’」は光学フィルタ7、7’の波長特性を示し、「A」「B」「C」は各々透過光A、反射光B、透過光Cの波長特性を表している。また、測定対象成分の吸光スペクトルを「p」、長波長側の干渉影響が大きい1の干渉影響成分の吸光スペクトルを「q」、短波長側の干渉影響が大きい他の干渉影響成分の吸光スペクトルを「r」として表している。ここで、透過光Cは、反射光Bと光学フィルタ7’との相乗作用によって、透過光Aのサイドバンドの両方を波長域とする波長特性を有することから、透過光Aを測定用検出器(図2の検出器3に相当)に入射し、透過光Cを補償用検出器(図2の検出器3’に相当)に入射した場合において試料を測定した場合には、測定用検出器では測定成分および干渉成分の吸収変化(濃度信号に相当)を検出し、補償用検出器では干渉成分の吸収変化を検出することになる。従って、両者の差を演算することで干渉影響を除去した測定信号を得ることができる。
【0043】
図6(2)は、上記の条件から光学フィルタ7’に傾斜を与えた場合の各波長特性の変化(破線部→実線部)を示している。光学フィルタ7’の透過特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長側にシフトし、その結果、透過光Cの波長特性も短波長側にシフトする。ただし、透過光Cの長波長側の立上り波長域u1”は反射光Bの特性に依存することから、このシフトによる透過光Cの変化は立下り波長域d1”のみとなる。また、透過光Cの短波長側の立下り波長域d2”は反射光Bの特性に依存することから、このシフトによる透過光Cの変化は立上り波長域u2”のみとなる。つまり、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、測定用の検出器には全く影響を与えずに補償用検出器の複数の干渉成分の検出感度をバランスよく調整することができる。従って、測定用検出器の干渉影響値に合致した補償用検出器の複数の干渉成分に対する検出出力を光学的に微調整し、両検出器出力の差を求めることで精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0044】
図6(3)は、光学フィルタ7の傾斜角を変えた場合の各波長特性の変化を示している。透過光Aの波長特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長あるいは長波長側にシフトし(図では短波長側を表している)、反射光Bも同様にシフトする。その結果、透過光Cの波長特性も短波長側にシフトする。ただし、透過光Cの長波長側の立下り波長域d1”は光学フィルタ7’の特性に依存することから、このシフトによる透過光Cの変化は立上り波長域u1”のみとなる。また、透過光Cの短波長側の立上り波長域u2”は光学フィルタ7’の特性に依存することから、このシフトによる透過光Cの変化は立上り波長域d2”のみとなる。つまり、透過光Aの変化によって測定用の検出器の干渉成分の検出感度を減少させながら補償用検出器の複数の干渉成分の検出感度のバランスを調整することができる。従って、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、測定用検出器の干渉影響値に合致した補償用検出器の複数の干渉成分の検出出力を光学的に微調整し、両検出器出力の差を求めることで精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0045】
図6(2)または(3)では、光学フィルタ7’または光学フィルタ7の傾斜角を単独で変えた場合を例示したが、両者を同時に変えて調整することによって、さらに精微な調整をすることが可能である。
【0046】
また、本発明は、前記光学素子Aと前記光学素子Bとが、同一の波長選択性を有することを特徴とする。同じ特性の光学素子を、一方光軸に対し傾斜を設けて配し(測定用)、他方を略直交に配する(干渉補償用)ことで、異なる波長選択性を有する光学素子として使用することができることを利用したもので、例えば、一方を測定用、他方を干渉補償用とするによって、複数の成分から受ける干渉影響を適切に補正することができるとともに、光学的に非常に安定な微調整を行うことができることから、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0047】
同一部材を同一構成によって形成される光学素子は、同一ロットにおいて均一な波長選択性を有する光学素子を生産することが容易となる。また、複数の素子を同一光学系に用いた場合、周囲温度など光学素子に対する外部要因の変化が生じた場合であっても、同一構成部材から形成されることから各素子が同様の影響を受けることが一般的であり、相互にその影響を補正し合うことが可能となる。従って、より精度の高い分析計を構成することができる。さらに、単一の光学素子による保守管理の簡素化を図ることができる。
【0048】
具体的に、本発明の第4の構成例として、同一波長特性を有する光学フィルタ7、7’を移動した時の透過光AおよびCの波長特性を図7に例示する。基本的には、図5と同様であるが、光学フィルタ7と光学フィルタ7’の透過波長領域が同一である点において相違する。ここでは、光学フィルタ7、7’がBPFの場合を例示しているが、むろんLPFあるいはSPFを使用できることは上述の通りである。
【0049】
図7(1)において、「7」「7’」は光学フィルタ7、7’の波長特性を示し、「A」「B」「C」は各々透過光A、反射光B、透過光Cの波長特性を表している。また、測定対象成分の吸光スペクトルを「p」、長波長側の干渉影響が大きい1の干渉影響成分の吸光スペクトルを「q」、短波長側の干渉影響が大きい他の干渉影響成分の吸光スペクトルを「r」として表している。同一波長特性であるが、光学フィルタ7が入射角略45°となるように傾斜を付けて設置しているため透過光Aは短波長側にシフトし、反射光Bも同様である。従って透過光Cは殆ど長波長側のみの光となり、1の干渉影響成分の吸光スペクトルqと重複する。ここで、透過光Aを測定用検出器(図2の検出器3に相当)に入射し、透過光Cを補償用検出器(図2の検出器3’に相当)に入射した場合において試料を測定した場合には、測定用検出器では測定成分および干渉成分の吸収変化(濃度信号に相当)を検出し、補償用検出器では1の干渉成分の吸収(p)変化を主として検出することになる。従って、両者の差を演算することで主として1の干渉影響成分の干渉影響を除去した測定信号を得ることができる。
【0050】
図7(2)は、上記の条件から光学フィルタ7’に傾斜を与えた場合の各波長特性の変化(破線部→実線部)を示している。光学フィルタ7’の透過特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長側にシフトし、その結果、透過光Cの波長特性も短波長側にシフトする。ただし、透過光Cの波長域は反射光Bの特性に依存することから、このシフトによって透過光Cは長波長側および短波長側のサイドバンドに僅かに透過する光のみとなる。つまり、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、測定用の検出器には全く影響を与えずに補償用検出器の干渉成分の検出感度を調整することができる。また、補償用検出器への照射光(透過光C)を減衰することができることから、光と関係しない外部影響(例えば、周囲温度や振動など)を補償する信号として利用することが可能となる。従って、両検出器出力の差を求めることで精微な補償を可能にすることができる。
【0051】
図7(3)は、光学フィルタ7の傾斜角を変えた場合の各波長特性の変化を示している。透過光Aの波長特性が変化し、立上り波長域uおよび立下り波長域dが短波長あるいは長波長側にシフトし(図では長波長側を表している)、反射光Bも同様にシフトする。従って、透過光Cは殆ど短波長側のみの光となり、他の干渉影響成分の吸光スペクトルrと重複する。つまり、透過光Aの変化によって測定用の検出器の干渉成分の検出感度を減少させながら補償用検出器の他の干渉成分の検出感度を主として調整することができる。従って、この特性を利用することで、光学フィルタの光学特性のバラツキや吸光度分析計の各構成要素の光学的なバラツキを調整することが可能となるとともに、測定用検出器の干渉影響値に合致した補償用検出器の複数の干渉成分の検出出力を光学的に微調整を行い、両検出器出力の差を求めることで精微な補償を可能にすることができる。
【0052】
図7(2)または(3)では、光学フィルタ7’または光学フィルタ7の傾斜角を単独で変えた場合を例示したが、両者を同時に変えて調整することによって、さらに精微な調整をすることが可能である。
【0053】
以上の吸光式分析計において、前記検出器出力に基づき、前記光学素子の光路に対する角度調整を行うことが好適である。光学素子の光路に対する角度と検出器の出力との相関特性を事前に把握し、例えば、検出器出力に基づき該角度を制御することで最適な光学素子の配置を設定することが可能となる。従って、検出器の選択性に対して影響の大きい光学素子のバラツキによる誤差の発生を防止し、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。
【0054】
具体的には、1の光学素子の光路に対する角度を検知し、いくつかの既知組成の試料を測定したときの、第1検出器の第1測定成分に対する出力および他の成分に対する出力、第2検出器の第2測定成分に対する出力および他の成分に対する出力、・・第n検出器と第n測定成分に対する出力および他の成分に対する出力の相関特性とから、初期設定からのズレを検知し元の状態に角度調整する方法が挙げられる。ここで、制御方法は手動・自動を問わず、調整角度の精度や制御部の配置空間などに応じて設定されるが、シリンダやアクチュエータなどの機構を用いることが可能である。また、フィードバック制御やフィードフォワード制御などによって、制御精度を上げることも可能である。
【0055】
なお、前記吸光式分析計であって、各検出器からの出力を入力する演算処理部を配し、各検出器信号を多変量解析によって複数の測定対象成分の濃度演算を行うことも可能である。つまり、複数の検出器信号を多変量解析することによって、共存する他成分によって生じる相互の干渉影響の補償を容易にするとともに、高精度の測定値を得ることができる。また、上記のように光学素子の光路に対する角度と検出器の出力との相関特性から、各検出器信号および各光学素子の角度情報を多変量解析によって、最適の角度を演算することも可能である。
【0056】
以上は、主として1つの試料セル部、2つの検出器と2つの光学素子を用いた吸光度分析計を中心に説明したが、本発明は、光学素子の透過光と反射光を利用し、さらに多数の試料セル部、検出器および光学素子とを組合せた吸光度分析計に適用することが可能であり、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。具体的には、図8に例示するような構成などが挙げられる。
【0057】
このように、本発明の技術は、従来技術で述べた各種のNDIRやNDUVなどの吸光式分析計に適用可能であり、複数の測定成分を含む試料に対して広い範囲において応用が可能であり、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、1の光学素子の光路に対する傾斜角あるいは光学素子に対する入射角を調整可能に配することを特徴とする分析計によって、光学素子の波長選択性を調整可能とし、検出器の選択性に対して影響の大きい光学素子のバラツキによる誤差の発生を防止し、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。
【0059】
ここで、波長選択性が重複する透過波長領域を有する複数の光学素子を用い、1の測定成分に対応した波長を測定用として選択し、該波長の近傍の波長を干渉補償用として選択することによって、該成分測定における干渉影響を適切に補正することができるとともに、光学的に微調整を行うことができことから、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0060】
また、中心波長を同一とし、透過波長領域が広い波長特性を有する複数の光学素子を組合せ、1の測定成分に対応した波長を測定用として選択し、該波長のいわゆるサイドバンドを干渉補償用として選択することによって、精度の高い干渉補償を行うことができるとともに、光学的な微調整によって、さらに精微な干渉補償を可能にすることができる。
【0061】
あるいは、同じ特性の光学素子を複数用い、一方を測定用、他方を干渉補償用とすることで、両者の波長特性の差を同一化することができ、安定な干渉補償が可能となるとともに、単一の光学素子による保守管理の簡素化を図ることができる。
【0062】
以上の吸光式分析計において、光学素子の光路に対する角度と検出器の出力との相関特性を事前に把握し、検出器出力に基き該角度を制御することで最適な調整を可能とし、検出器の選択性に対して影響の大きい光学素子のバラツキによる誤差の発生を防止し、複数の測定対象に対し、汎用性が高く、高い測定精度を有する吸光式分析計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸光式分析計の第1の構成例を示す説明図
【図2】本発明に係る吸光式分析計の第1の構成例の詳細を示す説明図
【図3】光学素子における入射角と波長特性との関係を例示する説明図
【図4】本発明に係る吸光式分析計の第1の構成例における光学素子および透過光・反射光の波長特性を例示する説明図
【図5】本発明に係る吸光式分析計の第2の構成例における光学素子および透過光・反射光の波長特性を例示する説明図
【図6】本発明に係る吸光式分析計の第3の構成例における光学素子および透過光・反射光の波長特性を例示する説明図
【図7】本発明に係る吸光式分析計の第4の構成例における光学素子および透過光・反射光の波長特性を例示する説明図
【図8】本発明に係る吸光式分析計の第5の構成例を示す説明図
【図9】従来技術に係る吸光式分析計の1の構成例を示す説明図
【図10】従来技術に係る吸光式分析計の他の構成例を示す説明図
【符号の説明】
1 光源
2 試料セル部
3 検出器
4 光源用電源
6 チョッパ
7 光学素子(光学フィルタ)
Claims (4)
- 光源部、複数の光学素子、試料セル部および複数の検出器を構成要素とし、該光源部と検出器との中間に少なくとも1の光学素子(光学素子A)を光路に対して所定の傾斜を有して配し、該光学素子Aが1の測定成分に対応する波長選択性を有し、該光学素子Aを透過する光を受ける1の検出器を設けるとともに、該光学素子Aによって反射した光を受ける少なくとも1の他の検出器との中間に他の光学素子(光学素子B)を配する吸光式分析計であって、
前記複数の光学素子のうち少なくとも光学素子Aおよび光学素子Bを可動調整できる構造を有し、光路に対して角度を調整することによって、光学素子Aの透過光および反射光の波長領域を調整するとともに、前記反射光に対して他の検出器に入射する光学素子Bの透過光の波長領域を調整することを特徴とする吸光式分析計。 - 前記光学素子Bの波長選択性が、光学素子Aと重複する透過波長領域を有し、
光学素子Aの反射光のうち光学素子Bの透過した光であって、光学素子Aの透過光よりも長波長領域または/および短波長領域の光を干渉補償用として選択するとともに、光路に対する角度を調整することによって干渉影響を光学的に微調整しつつ補正することを特徴とする請求項1に記載の吸光式分析計。 - 前記光学素子Bが、前記光学素子Aと中心波長を同一とし、透過波長領域が光学素子Aよりも広い波長特性を有する光学素子であり、光路に対して傾斜した光学素子Aとの中心波長の差異を形成することによって、
光学素子Aの反射光のうち光学素子Bの透過した光であって、光学素子Aの透過光よりも長波長領域および短波長領域の光を干渉補償用として選択するとともに、光路に対する角度を調整することによって、複数の成分から受ける干渉影響を光学的に微調整しつつ補正することを特徴とする請求項1または2に記載の吸光式分析計。 - 同一の波長選択性を有する少なくとも2つの光学素子を、傾斜角度を変えて異なる中心波長を有する光学素子Aと光学素子Bとして使用することによって、
光学素子Aの反射光のうち光学素子Bの透過した光であって、光学素子Aの透過光よりも長波長領域または短波長領域の光を干渉補償用として選択するとともに、光路に対する角度を調整することによって、複数の成分から受ける干渉影響を光学的に微調整しつつ補正することを特徴とする請求項1または2に記載の吸光式分析計。
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