JP4115542B2 - ディフラクトグラムによる無標準相分析法 - Google Patents

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Description

本発明は、物質の混合物の各成分の濃度を決定する方法に関する。この方法においては、各物質について、関連する回折反射の組を混合物の放射線ディフラクトグラム(diffractogram)において識別し、回折反射の各組毎の相対強度が決定される。
この種の方法は、「”Journal of Applied Crystallography”, (1977), Vol. 10, pp. 147-150」及び「L.S. Zevin著”A Method of Quantitative Phase Analysis without Standards”」に記載されている。
異なる相の混合物の組成を決定するには、このような混合物を回折、例えばX線回折することが可能である。ここで言う「相」とは、ディフラクトグラムで独自の回折反射(回折線または略して線ともいう)を示す混合物の一成分を意味する。したがって、ひとつの相は、個別の化学組成を持つ物質によって形成された成分である場合もあるし、化学組成的には混合物内の他の成分と違わないが結晶の外観のみが異なる物質で形成された成分である場合もある。混合物の多様な相の定量化、すなわち、混合物のディフラクトグラムに基づく混合物の成分の物質量の決定には、その定量化の実行に際して、混合物に関する情報が事前に必要であるという問題が常にある。既存の定量化の方法には次の2種類ある。ひとつは標準を利用するものと、もうひとつは標準なしで行うものである。
標準を使用する方法を実行するには、n個の相の混合物である場合、少なくともn−1個の相についてディフラクトグラム(反射の位置及びその絶対強度)が既知でなければならない。こうしたデータは、実験的及び理論的に、例えばコンピュータ・シミュレーションなどによって決定できる。しかし多くの場合は、例えば天然鉱物の場合に時折みられるように、混合物のいくつかの成分の構造は未知であり、これらの成分は別個にも得られないため、上記のようなデータが得られない。
標準を使用しない方法を実行するには、n−1個の相の反射位置のみが事前にわかればよく、強度は必要ではない。したがって、これらの方法のみが、それぞれの成分が混じりけのない状態でなくても実行できる。このような方法には、例えば前出のZevinによる論文に記された方法がある。
前出の論文は、標準値を用いることなく物質の混合物の成分濃度を決定できる方法を示している。しかし、この公知の方法には多数の問題点がある。第1の問題点は、前出の論文の「”Discussion and Conclusions”」の節にも述べられているように、吸収コントラストが低くなった時、分析結果の信頼性は大幅に低下するという点である。これは鉱物や有機物(特に薬剤物質)の場合の問題点である。この公知の方法の更なる問題点には、有効吸収係数が未知である点、試料のテクスチャーの影響が大きい場合がある点、n個の成分を含む試料にはn回の測定を行わなければならない点などがある。
本発明の目的は、吸収コントラストの低い成分を含む混合物の場合でも成分の正確な濃度決定が可能な、ディフラクトグラムによる無標準相分析の方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の方法は、
各物質について、すべての相対的な分散力(相対パワー・スペクトル)が前記相対強度から求められ、
各物質について、電子密度の2乗の体積積分がその化学組成式から求められ、
各物質について、前記体積積分と相対パワー・スペクトルの比率と等しいスケール・ファクターSが求められ、前記スケール・ファクターSは混合物のそれぞれの成分の濃度を決定するために利用されることを特徴をする。
本発明は、回折において物質量毎の総分散力が理論的に予測できるという事実に基づくものである。この点については後に詳しく述べる。本発明はまた、有効吸収係数が既知である必要がなく、試料のテクスチャーも結果に影響を及ぼさず、n個の成分を含む試料についても1回の測定で事足りるという利点がある。
本発明の別の実施例では、上記相対パワー・スペクトルは補外によって測定された相対強度から決定される。したがって、理論的な変化が既知の変化に適用される過程において補外関数のひとつのパラメータのみが決定されればよい。
本発明の更に別の実施例では、上記補外の補外関数が、成分のそれぞれの原子の電子密度のフーリエ変換を含む。この関数は、電子密度が表形式で表されている既知の表から容易に決定される。また、フーリエ変換を引き出す既知のコンピュータ・アルゴリズムも存在する。
本発明の別の実施例では、上記補外関数が物質の温度によって可変の項を含む。総分散力のどの論理的な変化かがわかっている時は、この総分散力を表す関数の適用はより正確かつ容易になる。上記の温度による可変項を加えることによってこうした高い精度が得られる。
本発明の更に別の実施例では、それぞれの物質について、化学構造式から上記電子密度の2乗の体積積分が決定される。単に化学組成式ではなく構造式を用いることで、分析される物質の結晶構造についての更なる情報が得られる。したがって、電子密度の2乗の体積積分を決定する際の精度をさらに高くできる。また、分析される混合物の成分濃度の決定においても高い精度が得られる。
本発明の別の実施例では、既知の濃度の既知の物質を試料に加える。この方法は、分析される混合物が非晶質の成分を含む場合に適格である。混合物の結晶質成分の濃度は、既知の濃度の既知の物質を試料に加えることによって決定できる。つまり、上記の既知の物質の回折線のスケール・ファクター及び相対強度は既知でなければならない。この方法は混合物の分析される相の標準を必要としないので、これも無標準分析である。
既に述べたように、本発明の基となる原理を以下に詳細に説明する。結晶質物質についてX線回折が行われる場合、総反射強度を決定するのは原則として不可能である。ブラッグの関係式
2.d.sinθ=n.λ(dは結晶の格子間の距離)から既知であるすべての回折角度θ(θ=0からθ=2π)に関連付けられたすべての強度が、ディフラクトグラムを形成する間にトラバース測量される場合にも、上記の総反射強度の決定は不可能である。この事実は、公知のように、任意の結晶の格子のすべての可能な反射を定義する既知の格子因数
Figure 0004115542
を考慮すれば容易に理解できる。ここで、絶対値
Figure 0004115542
は、
Figure 0004115542
であり、ブラッグの関係式によると、1/d≦2/λでなければならないので、
Figure 0004115542
の関係が成り立つ反射のみが観測されるようである。したがって、
Figure 0004115542
に関連付けられた観測に関しては根本的に上限がある。その物理的な結果、
Figure 0004115542
である
Figure 0004115542
の値が、測定可能な回折反射(線)を生じさせなくなる。
上述の問題は、観測される回折反射(線)に基づいて総分散力を推定する本発明の基づく原理によって回避できる。これには以下の方法が用いられる。まず最初に、
Figure 0004115542
のすべての値に関連付けられた回折線の強度の平均変化を表す曲線の概観は
Figure 0004115542
の関数として理論的に既知であるとしても、対応する相の概観及び位置は、試料によって可変のパラメータによって決定しなければならない。このパラメータは、観測された回折線及び既知であると思われる試料の化学組成式とから、補外によって決定できる。
更に詳しく説明すると、相の回折線の観測された絶対値Iiには次の関係が成り立つ。
Ii=K.A.S.Ii,relC (1)
この式において、Kは使用される回折計によってのみ可変な定数、Aはその物質の吸収係数、Sは線の観測された相対強度Ii.rel(線の強度が、別の線、好ましくは最も高い強度を持つ線の強度で表される)とその絶対強度Iiとの関係を確立するスケール・ファクター、Cは検査される混合物の相の濃度である。
一般的に言えば、相の相対強度Ii.relの値は表からわかる(または測定できる)。例として、分析される相の混合物が2つの相D及びEから構成され、その混合物は非晶質成分を含まないとする。したがって、式(1)の変数には、相D及びEに関連する時、指数DまたはEを付与することができる。よって、式(1)から次のようになる。
Figure 0004115542
上の式では、因数K.Aは上記の混合物の2つの相について同じであるため省かれている。(吸収係数は、その混合物の性質によってのみ可変である。)また、変数A及びKが、例えば測定が2つの異なる装置について行われたため、及び/または測定が異なる試料について行われたため、異なることもある。そのような場合には、因数K.Aの比率を、例えば相互較正などにより、知る必要がある。上記の仮定された2相の混合物についてはまた、CD+CE=1が成り立つ(非晶質成分が存在しないため)。式(2)の左項は測定によって決定できる。相対強度の比率は既知であるため、スケール・ファクターSD及びSEの比率が既知であれば、濃度の比率も決定され、CD及びCEのそれぞれの値も上記の式CD+CE=1から決定できる。ここで、例としてあげた上記の2相の場合は、任意の数n個の相を含む場合にも適用できる。そのような場合には、式(2)に類似したn−1個の式と、各相の濃度の合計は1であるとする式が1個存在する。このように、あとは各相のスケール・ファクターSを決定すればよいだけとなる。
ひとつの相のスケール・ファクターSを決定する際、以下の手順が用いられる。回折に使われる総強度は、体積V中に存在する回折対象の物質の電子雲の電荷分布のフーリエ変換を2乗することによって求められる。このフーリエ変換の2乗は次のようになる。
Figure 0004115542
上の式において、
Figure 0004115542
は体積V内の位置ベクトル、
Figure 0004115542
は体積中の電荷分布、
Figure 0004115542
は逆格子ベクトルである。上記電荷分布
Figure 0004115542
が周期的である時(結晶質物質の場合のように)は、
Figure 0004115542
は回折の際の回折反射を構成する離散値の系列からなる。このことから、総分散力Itotは次のように表される。
Figure 0004115542
したがって、式(2)において、回折対象の体積から可能なすべてのベクトルに対して総計計算が行われ、総分散力が得られる。この回折反射のおよそ無限(なぜなら、大きさ順の1023個のベクトル
Figure 0004115542
が合計される;ちなみに、1023という数はアボガドロ数から出ている。)の強度の系列は、パワー・スペクトルと呼ばれる。この強度の系列は、
Figure 0004115542
により可変であり、よって、
Figure 0004115542
である。既出の制限条件
Figure 0004115542
のため、実際には全パワー・スペクトルを観測するのは不可能であるが、部分的には可能である。その場合には以下のようになる。
Figure 0004115542
これは、部分的なスペクトルにおいてN個の反射のみが観測されることを示している。この回折反射の部分的な系列は、強度スペクトルと呼ばれる。一方、いわゆるパワー理論として知られる数学的定理を利用すると、以下のようになる。
Figure 0004115542
上の式において、
Figure 0004115542
は、偏光によって補正されたithの反射の強度である。式(2)からわかるように、上記の式において絶対強度Iiを決定するために積S.Ii,relのみが重要である。これに基づき、式(6)は以下のように表される。
Figure 0004115542
ここでは、φは、公知の方法によって求められる偏光のための補正因数である。
ここでまだ未知のパワー・スペクトルが決定でき、まだ未知の式(7)の左項も決定できるなら、あとはスケール・ファクターSがわかれば、原則としては問題は解決するはずである。
既知の強度スペクトラムに基づき、この未知のパワー・スペクトルは、その適切な近似が得られるように、本発明による強度スペクトルの補外を行うことによって得られる。この近似を得るために、
Figure 0004115542
は、結晶単位セル中に存在する個別の原子の電子雲の電荷密度のフーリエ係数としての
Figure 0004115542
とともに減少すると仮定する。
Figure 0004115542
の関数としての曲線
Figure 0004115542
の変化の適切な概算はこの仮定から出るものである。上記曲線の減少の異なる物理的な理由は、上記2つの因数が積として結合する場合の温度の影響である。これは次の式の形で表される。
Figure 0004115542
ここでは、式(8)の指数部分の係数Bが、上記曲線の測定点(Ii,relへの当てはめを実現する変化をもつパラメータである。
式(7)の未知の左項は、本発明によれば公知の方法を使って決定できる。この方法では、上記左項の積分は、結晶質単位セル中に存在する成分の電子雲の既知の電荷密度分布から決定される。化合物の中の個々の原子の重み付けされたものが使用され、その重み付け係数は化学組成式から出される(例えば、CaCl2において、ClはCaの2倍に重み付けされている)。
ここで式(7)の左項が、右項のパワー・スペクトル同様、既知となったので、スケール・ファクターSを混合物の各相について決定できる。式(2)の濃度CD、CEはこのようにして求められる。
ここまでの説明では、分析される混合物が非晶質成分を含まないと仮定してきた。しかし、非晶質成分を含む場合には、上記の式CD+CE=1は有効ではなくなる。そのような場合でも、試料に既知の濃度の既知の物質、例えば0.1%のAl23を加えることによって、混合物の結晶質成分の濃度を決定することが可能である。ここでは既知であるSの値を用いれば、因数K.Aを式(1)から決定することができる。式(7)を用いて、スケール・ファクターSが未知の相についても決定される。続いて、その未知の相の濃度が式(1)から決定される。
以下、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図面中、
図1は、本発明によるX線回折装置の概略図であり、
図2は、本発明による方法の工程を示すフローチャートである。
図1に示されたX線回折装置において、ゴニオメータ4はフレーム2に取り付けられている。ゴニオメータ4には、X線源7の回転角度を測定するための目盛6が設けられており、検出装置9も取り付けられている。ゴニオメータ4は更に、試料10を載せるための試料ホルダ8を備える。試料の回転角度測定が必要な場合は、目盛13を備える。X線源7は、X線管(図示せず)用のホルダ12を備え、X線管は固定リング20によってホルダ12内に固定されている。X線管は、高圧コネクタ16を備え、この高圧コネクタ16を介して、X線管に高圧及びフィラメント電流を高圧ケーブルを通して供給する。X線管の冷水用の供給・排出管22及び24は、X線管の同じ側に取り付けられる。管ホルダ12はまた、X線14用の出口窓及びX線光線を平行にするための部(ソーラー・スリット)16を備える。検出装置9は、ソーラー・スリットのためのホルダ26と、モノクロメータ・クリスタル用のホルダ28と、検出器30とからなる。X線源が、図示するように、検出器とともに試料に対して回動可能であれば、試料を回動可能に載置する必要はない。しかし、X線源を固定的に取り付けることも可能であり、大きくて重いX線源の場合にはそうすることが必要である。そのような場合には、検出器とともに試料ホルダも回動可能にする。
図1に示すX線回折装置はまた、多様な測定データを処理する処理装置を有する。処理装置は、中央処理部32からなり、中央処理部32には、多種のデータの供給と、測定及び計算の結果を表示するためのメモリ部36及びモニタ34とが接続されている。メモリ部36は別個に形成される必要はなく、中央処理部32の一部として形成してもよい。ゴニオメータ4に取り付けられたX線源7、検出装置9、試料ホルダ8はすべてゴニオメータの目盛に対する対象物の位置角度を決定する部(図示せず)を備える。この位置角度を表す信号は、接続リード38−1、38−2、38−3を介して中央処理部32に供給される。メモリ部36は、後に図2を参照して詳細に説明するように分析を行うために必要なデータを記憶する。図1に示すX線回折装置を使って、定量化される混合物のディフラクトグラムは既知の方法で作成される。すなわち、多数の回折線の強度及び位置角度が、角度範囲0≦θ<2π全体をトラバース測定法で測ることにより決定される。
図2は、作成されたX線ディフラクトグラムから定量化される混合物の成分の濃度を決定するための多数の工程を表すフローチャートである。ここでは、多数の相からなる、定量化される混合物のディフラクトグラムが利用できると仮定する。ディフラクトグラムは、それぞれの強度を持つ多数の回折反射または回折線からなる。それぞれの回折線の相対強度Ii,relが決定される(ステップ40)。つまり、各回折線の強度は、全体のディフラクトグラムで最も高い強度を持つ回折線の強度に対して表される。
全体のディフラクトグラムは、回折線の完全にまたは部分的に重なっている多数の組からなる。定量化される混合物の相にその都度ひとつの組が関連付けられる。一般的には相毎のディフラクトグラム(Ii,relの値及び回折線の位置)はわかるため(例えば、ピュアフェーズについての表や測定から)、全体のディフラクトグラムはディフラクトグラムの別々の組に分けら、それぞれが相のうちのひとつに関連付けられる。
フローチャートの続く(44)から(50)のステップでは、変数
Figure 0004115542
(式(6)、(7)参照)の推定値が単位セル中の原子毎に出され、その積分は単位セルの体積全体に及ぶ。このことから、化学組成式のそれぞれの原子iについて、まず電子雲の電荷密度
Figure 0004115542
の値を求める。この計算は以下の2通りの方法で行われる。第1の方法は、「ハートリー・フォック算法」として知られるアルゴリズムを利用したものである。この方法は、「”International Tables for Crystallography”, Volume C, Kluwer Academic Publishers出版、1992年刊」のパラグラフ6.1.1.3に記載されている。この公知の方法によれば、原子番号Ziを入力とし、電荷密度
Figure 0004115542
は、位置ベクトル
Figure 0004115542
の関数として得られる。その結果は球対称であるため、ρiは単にrの関数と言ってもよい。このハートリー・フォック法によると、後に必要となるそれぞれの原子iの体積も得られる。rの関数としての電荷密度を求めるもうひとつの方法では、一般的に知られる表を利用する。上記のうちひとつの方法によって得られた値(rの関数としてのρ)の配列は、メモリ36に保存され、そこからコンピュータ・プログラムによる処理の必要に応じて取り出される。フローチャートのステップ44は、位置ベクトル
Figure 0004115542
の関数としての電荷密度
Figure 0004115542
の取得を表している。
化学組成式中のそれぞれの原子についてrの関数としてのρiの値が既知の時、それぞれの原子についての値
Figure 0004115542
を合計することによって、化学組成式中の原子のすべてについて、変数
Figure 0004115542
の適正な近似値が得られる(ステップ46)。積分が及ぶべき体積を得るため、ハートリー・フォック法によって既に得られたN個の独立した原子のN個の体積Vi,atが合計され、単位セルの体積Veの適正な近似値が得られる(ステップ48)。既に得られた値(rの関数としてのρ)の配列は、メモリ部36に保存され、積分の数値計算に利用される。この積分は、変数
Figure 0004115542
に、球体4πr2drの外壁の非常に小さな体積を連続的に乗じ、得られた積を累積していくものである。この積分は単位セルの体積に対して実行される。したがって、積分は、値rが単位セルに対し定められた体積が求められるような値になるまで続けられる。すなわち、rがVe=(4/3)πr3となるような値を持つようになるまで、積分は続けられる。この過程はステップ50に象徴的に表されている。この積分値が既知の時、式(7)の左項が公知であり使用できる。
フローチャートの続くステップ(52)から(60)において、定量化される混合物のそれぞれの相について、スケール値Sが決定される。ここでまず、フーリエ変換
Figure 0004115542
が決定される。変数
Figure 0004115542
は既にわかっている。ステップ44及び46において、これらの変数は、化学組成式中の原子を合計することによって出された中間結果として得られている。これらの変数のフーリエ変換の実行(ステップ52)は一般的に知られている方法なので、ここでは説明を省略する。この変換は、
Figure 0004115542
の値の配列を、
Figure 0004115542
の関数として引き出す。
すでに求めたように、
Figure 0004115542
は、各相の相対強度の配列であるので(ステップ42)、式(8)の左項は、すでにわかっている。この配列の関数値は、
Figure 0004115542
の、または、回折角である2θの関数である。式(8)の右項において、因数
Figure 0004115542
はわかっていないが、この因数においては、Bの値は、他の既知の変数にこの未知の関数を適合させることによって決定される(ステップ54)。
スケール値Sを求める過程は次の通りである。まず第1に、わかっている強度Ii,relの系列は、関数
Figure 0004115542
としての曲線であると仮定し、Gの最初の値をG0、最後の値(最後に測定された回折線の値)をG1とする。その後、上記曲線の下、及びG0とG1の間の面積が、定数Kに、測定された値Ii,relの合計を乗じたものと等しいとする(ステップ56)。したがって、強度G0からG=∞の合計は、定数Kを前記合計で乗じた値を、G0とG=∞の間の曲線の下の面積に等しいと仮定して、決定される。Bの値が上記曲線の適用によって得られ、曲線のすべての軌跡がわかるため、この面積がわかる(ステップ58)。G0からG=∞の強度の合計は、式(7)の右項にあてはめることができる。(この分極を行うための補正率φの導入は、表などから一般的に知られているため、ここでは説明を省く。)式(7)の左項はすでにわかっているため(ステップ50)、スケール値Sが、定量化される混合物のそれぞれの相について、ここで決定される(ステップ60)。
定量化される混合物が非晶質相を含んでいない時は(ステップ62)、各相の濃度CD、DEなどは、既知のスケール・ファクターSD,SEなどによって求められる(ステップ62)。定量化される混合物が非晶質相を含まない時は(ステップ62)は、既知の濃度の既知の標準物質、例えば0.1%のAl23、を試料に加えなければならない。この物質のスケール・ファクターS及びIi,relの値は既知である。この既知の値Sを使って、式(1)の因子K.Aが求められ、式(7)を使って、スケール・ファクターSが未知の相について決定される。その後、式(1)によって、未知の相の濃度が求められる(ステップ66)。
本発明による方法の効果をコンピュータシミュレーションによってテストした。このシミュレーションは、2つの既知の相SiO2とPbO2の、どちらも50%の既知の濃度Cactでの混合物の試料によって行った。推定スケール・ファクターSestは、この方法で求められ、実スケール・ファクターactが求められ、その結果、本方法によって推定された濃度Cestが求められた。結果を下の表に示す。
Figure 0004115542
表中のCactとCestとの近似性は、本発明の方法で、混合物の濃度の正確な推定を行えることを示している。

Claims (7)

  1. 物質それぞれについて、関連する回折反射の組を放射線ディフラクトグラムにて識別し、回折反射のそれぞれの組の相対強度が求められる、物質の混合物の成分の濃度を決定する方法であって、
    各物質について、相対パワー・スペクトルが前記相対強度から求められ、
    各物質について、電子密度の2乗の体積積分がその化学組成式から求められ、
    各物質について、前記体積積分と相対パワー・スペクトルとの比率と等しいスケール・ファクターSが求められ、前記スケール・ファクターSは混合物のそれぞれの成分の濃度を決定するために利用されることを特徴をする、物質の混合物の成分の濃度を決定する方法。
  2. 上記相対パワー・スペクトルが、補外によって測定された相対強度から求められることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 上記補外の補外関数が、対応する成分のそれぞれの原子の電子密度のフーリエ変換を含むことを特徴とする、請求項2記載の方法。
  4. 上記補外関数が、対応する物質の温度によって可変の項を含むことを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. それぞれの物質について、上記電子密度の2乗の体積積分はその化学構造式から求められることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  6. 既知の物質を既知の濃度で試料に加えることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  7. 検査される物質の混合物の試料を保持する試料保持部と、分析放射によって試料位置を照射する放射線源と、
    試料から発せられる回折放射を検知する検知器とを含み、
    上記試料保持部、上記放射線源、及び上記検出器で試料の放射線ディフラクトグラムを形成する、X線回折分析装置であって、
    上記の物質それぞれに関連付けられた回折反射の組を識別する手段と、
    回析反射のそれぞれの組の相対強度を決定する手段と、
    上記相対強度から、それぞれの物質について相対パワー・スペクトルを決定する手段と、
    物質の化学組成式から、それぞれの物質について電子密度の2乗の体積積分を決定する手段と、
    それぞれの物質について、上記体積積分と相対パワー・スペクトルとの比率に等しいスケール・ファクターを決定する手段と、
    上記の決定されたスケール・ファクターから、混合物の成分それぞれの濃度を決定する手段と、
    を備えてなることを特徴とする、X線回折分析装置。
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