JP4115163B2 - 車両用湿式多板ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業車両用ブレーキ装置を含む各種車両用ブレーキ装置に適用され、アクスルハウジングに連結されるフレームサポート側に取り付けられたメーティングプレートとアクスルシャフトに連結されるブレーキハブ側に取り付けられたフリクションプレートとを油圧ピストンにより接脱するように構成されるとともに、パーキングブレーキ装置を併設してなる車両用湿式多板ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォークリフト、特殊作業用車両等の装輪産業車両に用いられるブレーキ装置としては、メーティングプレートとフリクションプレートとを油圧ピストンにより接脱するように構成された湿式多板ブレーキが多く用いられている。
【0003】
かかる湿式多板ブレーキは、例えば特開2000−161403号に示されるように、アクスルハウジングの外周フランジ及び車体側フレームの内周にボルト結合されたフレームサポート側のスプラインに噛み合わされた複数のメーティングプレートと、アクスルシャフトの軸端に固定されたホイールハブにボルト結合されたブレーキハブ側のスプラインに噛み合わされた複数のフリクションプレートとを、作動油で駆動される油圧ピストンにより接脱するように構成されている。
【0004】
図3は駐車用のパーキングブレーキ装置を併設した湿式多板ブレーキの1例を示す。図において、かかる湿式多板ブレーキは、3分割されたブレーキカバー200とリテーナ201内に、ブレーキハブ202側のスプラインに軸方向移動可能かつ回転不能に係合された複数のメーティングプレート203と、前記メーティングプレート203と互い違いに配置されて前記ブレーキカバー200のスプラインに軸方向移動可能かつ回転不能に係合された複数のフリクションプレート204と、前記メーティングプレート203とフリクションプレート204とを圧接するサービスブレーキピストン205と、該サービスブレーキピストン205の背面外側に配置され車両の駐車時にパーキングスプリング206のばね力で該サービスブレーキピストン205を介して前記メーティングプレート203とフリクションプレート204とを圧接し得るパーキングブレーキピストン207とを収納して構成されている。尚、208は前記サービスブレーキピストン205の戻し用スプリングである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示される湿式多板ブレーキは、環状に形成されたサービスブレーキピストン205の背面外側にパーキングブレーキピストン207を軸方向及び径方向に重ねるようにして設けると共に、サービスブレーキピストン205の外周側にパーキングスプリング206を設置するように構成されているため、サービスブレーキピストン205の内周からパーキングブレーキピストン207の外周に至る作動ピストン部の径方向寸法が大きくなり、またサービスブレーキピストン205とパーキングブレーキピストン207とパーキングスプリング206とが軸方向に重ねられた形態で構成されているため、前記作動ピストン部の軸方向寸法が大きくなって、湿式多板ブレーキ全体が大型化するとともに該作動ピストン部の重量が増大する。
【0006】
また、かかる従来技術にあっては、パーキングブレーキピストン207及びパーキングスプリング206の内側にサービスブレーキピストン205が配置され該パーキングブレーキピストン207及びパーキングスプリング206とサービスブレーキピストン205とが軸方向に重ねられた構造であるため、サービスブレーキピストン205の点検、整備を行う場合には、パーキングブレーキピストン207及びパーキングスプリング206を取り外した後に行わざるを得ず、該サービスブレーキピストン205の点検、整備が煩雑で多くの工数を必要とし、メインテナンス性に課題がある、
等の問題点を有している。
【0007】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、サービスブレーキピストン、パーキングブレーキピストン、パーキングスプリング等からなる作動ピストン部の径方向及び軸方向寸法を最小にして小型コンパクトな構造とするとともに、該サービスブレーキピストン及びパーキングブレーキピストンの点検、整備を簡単化して該点検、整備の作業工数を低減し得る車両用湿式多板ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、請求項1記載の発明として、アクスルハウジングに連結されるフレームサポート側に取り付けられたメーティングプレートとアクスルシャフトに連結されるブレーキハブ側に取り付けられたフリクションプレートとを油圧ピストンにより接脱するように構成された車両用湿式多板ブレーキ装置において、前記油圧ピストンは車両のサービスブレーキ時に作動せしめるサービスブレーキ用の油圧ピストンであり、該油圧ピストンはブレーキ軸心を中心とする円周に沿って複数個設けられるとともに、前記油圧ピストン毎に該油圧ピストンに作用する作動油が給排される油室を備え、前記油圧ピストンが開放され車両の駐車時に前記メーティングプレートとフリクションプレートとを押圧するように付勢するパーキングブレーキ用の複数個のパーキングスプリングを前記サービスブレーキ用の油圧ピストンおよび油室と同一円周上に周方向に沿って配置するとともに、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンおよび油室を径方向の両側と該径方向に直交する径方向の片側に配置し、該片寄って配置された側に前記油室に連通される油路の入口を設けてなり、さらに、前記複数個の油圧ピストン、油室及び複数個のパーキン グスプリングの外周側であって、前記メーティングプレートとフリクションプレートに対して、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンと油室とが配設される側と同じ側に、前記ブレーキ軸心を中心として環状に形成されて前記サービスブレーキの作動時に前記パーキングスプリングを押圧してこれを不作動とするパーキングブレーキピストンおよび該パーキングブレーキピストンに作用する作動油が給排される油室を設けてなることを特徴とする車両用湿式多板ブレーキ装置を提案する。
【0009】
【0010】
【0011】
かかる発明によれば、サービスブレーキ用の油圧ピストンを、ブレーキ軸心を中心とする円周に沿って複数個設けるとともに油圧ピストン毎に作動油の油室を設け、さらに複数個のパーキングスプリングを該油圧ピストン及び油室と同一円周上に沿って配置したので、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングを同一円周上に配置することにより、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングの外周側にパーキングブレーキピストンとその油室を従来のものよりも径方向寸法を増大することなく配設することが可能となる。
【0012】
また、かかる発明によれば、同一円周上に配置したサービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングの外周側であって、前記メーティングプレートとフリクションプレートに対して、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンと油室とが配設される側と同じ側に、パーキングブレーキピストンとその油室を配置可能となるため、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室、並びにパーキングブレーキ用のパーキングスプリング、パーキングブレーキピストンとその油室を、従来のものよりも軸方向寸法を大幅に縮小して配設することができる。
【0013】
従って、かかる発明によれば、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室、並びにパーキングブレーキ用のパーキングスプリング、パーキングブレーキピストンとその油室の径方向寸法及び軸方向寸法を従来のものよりも減少した小型コンパクトかつ軽量の湿式多板ブレーキ装置を得ることができる。
【0014】
また、同一円周上に配置したサービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングの外周側つまり径方向にパーキングブレーキピストンとその油室を配置可能となることから、従来のもののようにサービスブレーキ側部品とパーキングブレーキ側部品とが軸方向に重ねられた構造とならずに円周方向及び径方向に沿って配置された構造となっている。
このため前記サービスブレーキ側部品とパーキングブレーキ側部品を覆っているフレームサポートを取り外せば、該サービスブレーキ側部品及びパーキングブレーキ側部品の点検、整備が容易にできて点検、整備工数が低減され、メインテナンス性が向上する。
【0015】
さらに、サービスブレーキ用の油圧ピストン及びその油室を円周方向に沿って複数個独立して設けているため、複数個の油圧ピストン及び油室のうちの何れかに油漏れ、油圧ピストンのスティック等の故障が生じても故障のない他の油圧ピストン及び油室を作動させてブレーキ作用をなすことができる。これにより、故障対応力にすぐれた信頼性の高い湿式多板ブレーキ装置を得ることができる。
【0016】
また、かかる発明によれば、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンおよび油室を径方向の両側と該径方向に直交する径方向の片側に配置し、該片寄って配置された側に前記油室に連通される油路の入口を設ける。
このように構成すれば、油圧ピストンの油室までの作動油通路が短縮され、作動油通路周りの構造が簡単化される。
【0017】
さらに請求項1において好ましくは請求項2のように、前記複数の油圧ピストン及び油室を、前記入口から前記各油室に連通される油路が互いに直角な方向あるいは平行な方向になるように配置するのがよい。
このように構成すれば、油路が互いに直角方向あるいは平行方向の穴加工によって形成できることとなって斜め穴の加工が無くなり、該油路の加工工数が低減される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0019】
図1は本発明の実施例に係る湿式多板ブレーキの構造を示す縦断面図、図2は図1のA―A矢視図である。
【0020】
図1〜2において、300は湿式多板ブレーキ、1は車体側のアクスルハウジング、2は該アクスルハウジング1の中心部に挿通されたアクスルシャフトである。
10は環状に形成されたフレームサポートで、内周側を複数のボルト10aにより前記アクスルハウジング1のフランジ部1aに固定され、外周側を複数のボルト51により車体側のフレーム50に固定されている。
4はホイールハブで、内周側を前記アクスルシャフト2の軸端部に形成されたフランジ部2aに複数のボルト5により固定され、外周側を後述するブレーキハブ6の外側の端部フランジ6aと共締めにて複数のボルト7により車輪のリム7aに固定されている。
【0021】
3は前記ホイールハブ4を前記アクスルハウジング1の端部外周に軸支する軸受で、ラジアル荷重及びスラスト荷重を受圧可能な2個のローラ軸受からなる。3cは前記ホイールハブ4の内周とアクスルハウジング1の端部外周との間に介装されたシールリングで、前記2つの軸受3、3間に配置されている。3aは前記軸受3をボルト3bにより固定するためのリテーナである。
【0022】
6は環状に形成されたブレーキハブ、9は環状に形成されたブレーキカバー、9aは環状に形成されたセンターカバーで、該ブレーキカバー9及びセンターカバー9aは複数のボルト9bにより共締めにて前記フレームサポート10に固定されている。
また前記ブレーキハブ9の内側には外歯スプラインが形成され、該外歯スプラインには複数枚のフリクションプレート8が軸方向移動可能に係合されている。一方、前記センターカバー9aの内周には内歯スプラインが形成され該内歯スプラインにはメーティングプレート13が前記フリクションプレート8と交互になるように軸方向移動可能に係合されている。
【0023】
16はパーキングブレーキピストンで、前記フレームサポート10の内周に軸方向に往復動可能に嵌合されている。15は前記フレームサポート10の内側面と前記パーキングブレーキピストン16の側面との間に架設された圧縮ばねからなるパーキングスプリングで、車両の駐車時に該パーキングスプリング15のばね力により前記パーキングブレーキピストン16を押しリテーナ14aを介して前記フリクションプレート8とメーティングプレート13とを圧接するようになっている。
【0024】
14は前記フレームサポート10内に設けられたサービスブレーキピストンである。該サービスブレーキピストン14は、図2に示されるように、ブレーキ軸心22に関して半周側つまり片側寄りに2箇所ずつ計6箇所に軸方向に沿ってフレームサポート10に形成されたシリンダ10b内に軸方向移動可能に嵌合されている。
そして、図2に示されるように、前記パーキングスプリング15は前記サービスブレーキピストン14と同一円周上に沿って該サービスブレーキピストン14が設けられていない部位に複数個設置されている。
【0025】
20aは前記サービスブレーキピストン14が臨む油室で、該サービスブレーキピストン14毎に形成されている。
20hは作動油入口継手、20gは作動油出口継手、20cは入口側及び出口側の油路、20fは周方向の連通油路、20eは軸方向の分岐油路であり、ブレーキ弁(図示省略)からの作動油は、前記作動油入口継手20hから入口側の油路20c、軸方向の分岐油路20e、及び周方向の連通油路20fを通して各油室20aに入り、各油室20aから排出された作動油は周方向の連通油路20f、軸方向の分岐油路20e、及び出口側の油路20cを通して作動油出口継手20gに送出されるようになっている。
前記のように、サービスブレーキピストン14をブレーキ軸心22に関して半周側つまり片側寄りに設け、該サービスブレーキピストン14への油路を前記のように構成することにより、該サービスブレーキピストン14の油室20aまでの作動油通路が短縮され、作動油通路周りの構造が簡単化される。
【0026】
前記各サービスブレーキピストン14及び油室20aは、各油室20aに接続される入口側及び出口側の油路20c、周方向の連通油路20f、及び軸方向の分岐油路20eが、互いに直角な方向あるいは平行な方向に穿孔されるように配置する。
このように構成すれば、前記各油路20c、20e、20fが互いに直角方向あるいは平行方向の穴加工によって形成できることとなって斜め穴の加工が無くなり、該油路の加工が簡単となる。
また、20bは前記フレームサポート10の内周に形成されて前記パーキングブレーキピストン16の背面が臨む油室、20dは該油室20bに作動油を給排するための油路である。
【0027】
前記のように、かかる実施例においては、同一円周上に配置した複数個のサービスブレーキピストン14とその油室20a及び複数個のパーキングスプリング15の外周側つまり径方向にパーキングブレーキピストン16とその油室20bを配置した構造となる。
【0028】
かかる湿式多板ブレーキにおいて、サービスブレーキ作動時には、ブレーキ弁(図示省略)からの作動油は、作動油入口継手20hから入口側の油路20c、周方向の連通油路20f、及び軸方向の分岐油路20eを通して各サービスブレーキピストン14の油室20aに入り、各サービスブレーキピストン14を押圧する。
一方、油室20bには、油路20dを通して作動油が導入され、前記パーキングスプリング15のばね力に抗して該パーキングブレーキピストン16を押し戻し、パーキングブレーキを不作動とする。
これにより、サービスブレーキピストン14がリテーナ14aを介して前記フリクションプレート8とメーティングプレート13とを圧接せしめ、前記リム7aに連結されている車輪が制動される。
【0029】
また、車両の駐車時には、ブレーキ弁(図示省略)により油室20a内の作動油を軸方向の分岐油路20e、周方向の連通油路20f及び出口側の油路20cを通して作動油出口継手20gに送出し、該パーキングブレーキピストン16用の油室20b内の作動油を油路20dを通して抜く。これにより、パーキングスプリング15のばね力によってパーキングブレーキピストン16及びリテーナ14aを介してフリクションプレート8とメーティングプレート13とを圧接せしめ、前記リム7aに連結されている車輪の回転が阻止される。
【0030】
かかる実施例によれば、サービスブレーキピストン14を、ブレーキ軸心22を中心とする円周上に沿って複数個設けるとともにサービスブレーキピストン14毎に作動油の油室20aを設け、さらに複数個のパーキングスプリング15を該サービスブレーキピストン14及び油室20aと同一円周上に沿って配置したので、サービスブレーキピストン14とその油室20a及びパーキングスプリング15を同一円周上に配置することにより、サービスブレーキピストン14とその油室20a及びパーキングスプリング15の外周側にパーキングブレーキピストン16とその油室20bを従来のものよりも径方向寸法を増大することなく配設することが可能となる。
【0031】
また、同一円周上に配置した前記サービスブレーキピストン14とその油室20a及びパーキングスプリング15の外周側つまり径方向にパーキングブレーキピストン16とその油室20bを配置可能となるため、サービスブレーキピストン14とその油室20a、並びにパーキングブレーキ用のパーキングスプリング15、パーキングブレーキピストン16とその油室20bを、従来のものよりも軸方向寸法を大幅に縮小して配設することができる。
これにより、サービスブレーキピストン14とその油室20a、並びにパーキングブレーキ用のパーキングスプリング15、パーキングブレーキピストン16とその油室20bの径方向寸法及び軸方向寸法が従来のものよりも減少し、小型コンパクト、かつ軽量となる。
【0032】
また、同一円周上に配置したサービスブレーキピストン14とその油室20a及びパーキングスプリング15の外周側つまり径方向にパーキングブレーキピストン16とその油室20bを配置していることから、サービスブレーキ側部品とパーキングブレーキ側部品とが軸方向に重ねられた構造とならずに円周方向及び径方向に沿って配置された構造となっている。
このため前記サービスブレーキ側部品とパーキングブレーキ側部品を覆っているフレームサポート10を取り外せば、該サービスブレーキ側部品及びパーキングブレーキ側部品の点検、整備が容易にできる。
【0033】
【発明の効果】
以上記載の如く本発明によれば、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングを複数個、同一円周上に周方向に沿って配置することにより、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングの外周側にパーキングブレーキピストンとその油室を径方向寸法を増大することなく配設することが可能となる。
また、サービスブレーキ用の油圧ピストンとその油室及びパーキングスプリングの外周側であって、前記メーティングプレートとフリクションプレートに対して、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンと油室とが配設される側と同じ側に、つまり径方向にパーキングブレーキピストンとその油室を配置可能となるため、かかるサービスブレーキ用部品及びパーキングブレーキ用部品を従来のものよりも軸方向寸法を大幅に縮小して配設することができる。
これにより、サービスブレーキ用部品及びパーキングブレーキ用部品の径方向寸法及び軸方向寸法を従来のものよりも減少した小型コンパクトかつ軽量の湿式多板ブレーキ装置を得ることができる。
【0034】
また、前記のように、サービスブレーキ側部品とパーキングブレーキ側部品が、軸方向に重ねられた構造とならずに円周方向及び径方向に沿って配置された構造となっているため、サービスブレーキ側部品とパーキングブレーキ側部品を覆っているフレームサポートを取り外せば、該サービスブレーキ側部品及びパーキングブレーキ側部品の点検、整備が容易にできて点検、整備工数が低減され、メインテナンス性が向上する。
【0035】
さらに、サービスブレーキ用の油圧ピストン及びその油室を円周方向に沿って複数個独立して設けているため、複数個の油圧ピストン及び油室のうちの何れかに油漏れ、油圧ピストンのスティック等の故障が生じても故障のない他の油圧ピストン及び油室を作動させてブレーキ作用をなすことができる。これにより、故障対応力にすぐれた信頼性の高い湿式多板ブレーキ装置を得ることができる。
また、かかる発明によれば、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンおよび油室を径方向の両側と該径方向に直交する径方向の片側に配置し、該片寄って配置された側に前記油室に連通される油路の入口を設けるため、油圧ピストンの油室までの作動油通路が短縮され、作動油通路周りの構造が簡単化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る湿式多板ブレーキを示す縦断面図である。
【図2】 図1のA―A矢視図である。
【図3】 従来技術に係る湿式多板ブレーキの要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 アクスルハウジング
2 アクスルシャフト
3 軸受
4 ホイールハブ
6 ブレーキハブ
7a リム
8 フリクションプレート
9 ブレーキカバー
9a センターカバー
10 フレームサポート
13 メーティングプレート
14 サービスブレーキピストン
15 パーキングスプリング
16 パーキングブレーキピストン
20a、20b 油室
20c、20d、20e、20f 油路
50 フレーム
51 ボルト
300 湿式多板ブレーキ
Claims (2)
- アクスルハウジングに連結されるフレームサポート側に取り付けられたメーティングプレートとアクスルシャフトに連結されるブレーキハブ側に取り付けられたフリクションプレートとを油圧ピストンにより接脱するように構成された車両用湿式多板ブレーキ装置において、前記油圧ピストンは車両のサービスブレーキ時に作動せしめるサービスブレーキ用の油圧ピストンであり、該油圧ピストンはブレーキ軸心を中心とする円周に沿って複数個設けられるとともに、前記油圧ピストン毎に該油圧ピストンに作用する作動油が給排される油室を備え、前記油圧ピストンが開放され車両の駐車時に前記メーティングプレートとフリクションプレートとを押圧するように付勢するパーキングブレーキ用の複数個のパーキングスプリングを前記サービスブレーキ用の油圧ピストンおよび油室と同一円周上に周方向に沿って配置するとともに、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンおよび油室を径方向の両側と該径方向に直交する径方向の片側に配置し、該片寄って配置された側に前記油室に連通される油路の入口を設けてなり、さらに、前記複数個の油圧ピストン、油室及び複数個のパーキングスプリングの外周側であって、前記メーティングプレートとフリクションプレートに対して、前記サービスブレーキ用の油圧ピストンと油室とが配設される側と同じ側に、前記ブレーキ軸心を中心として環状に形成されて前記サービスブレーキの作動時に前記パーキングスプリングを押圧してこれを不作動とするパーキングブレーキピストンおよび該パーキングブレーキピストンに作用する作動油が給排される油室を設けてなることを特徴とする車両用湿式多板ブレーキ装置。
- 前記複数の油圧ピストン及び油室を、前記入口から前記各油室に連通される油路が互いに直角な方向あるいは平行な方向になるように配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用湿式多板ブレーキ装置。
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