JP4114624B2 - 光送信装置 - Google Patents

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Description

本発明は光送信装置に関し、より具体的には広い温度範囲で使用可能光送信装置に関する。
ブロードバンドサービスの普及などによるインターネット・トラフィックの急増により、大容量通信ネットワークの構築が急務となっている。このような伝送容量増大の要求に応えるために、信号を超高速な時分割多重(TDM)で伝送するTDM伝送システム、及び、異なる波長を有する複数の光信号を伝送する波長分割多重(WDM)伝送システムが開発された。
WDM伝送システムには、波長を高密度で配置するDWDM(Dense DWM)と、波長間隔を広く取ったCDWM(Coarse WDM)がある。DWDMは、ITU−Tで波長グリッドの標準化も実施され、特に、幹線系システム及び海底ケーブルシステムで広く実用化されている。DWDMシステムは、波長の精密な管理が必要であり、光源の波長及び波長合分波フィルタの波長特性を安定化するシステムが必要である。
これに対し、CWDM伝送システムでは、DWDM伝送システムほどの精密な波長管理を必要としない。波長数は制限されるものの、光源波長及び波長合分波フィルタの波長特性の安定化への要求は低くなる。CWDMは、低コストな近距離の伝送システムへの導入が検討されている。
このように、WDM技術は、光ファイバ資源の有効活用・再利用技術として、幹線系から近距離システムにまでその応用範囲を広げている。今後、さらに、アクセス系、及び、自動車内のデータ伝送システムにまで広がる動向がある。
その場合、通信システムの設置場所の温度環境は厳しくなる。例えば、屋外環境及び他の装置の発熱の影響などを考慮すると、−30°Cから+120°Cの150度の範囲で動作可能なことが求められる。また、送信部と受信部は、必ずしも同一の温度にあるわけではない。一般的には、送信部、受信部及び伝送路が全く異なる温度になる状況もあり得る。
このような環境でのWDM伝送では、光源の波長及び波長合分波フィルタの波長特性を一定に維持する為に、これらの温度を精密に制御する必要がある。この方法は、コストが大き過ぎる。
それに対処する方法として、特許文献1には、広帯域の光源、具体的には発光ダイオードの出力光から、可変波長型光分波器で特定の波長成分を抽出し、その波長成分で信号を送信する構成が記載されている。この構成では、発光ダイオードの温度制御は不要であり、数10度の温度範囲に対応可能である。ただし、一般的な光半導体材料の発光帯域は30nm程度で、温度依存性は0.1乃至0.3nm/Kであるので、150度の温度範囲では、15乃至45nmの波長変動がある。この波長変動範囲で発光効率を一定に保つことは難しい。
特別に広帯域化した光源を用いる方法もある。例えば、発光層組成及び/又は発光層量子井戸の厚みを徐々に変化させた発光ダイオードである。この種の発光ダイオードは、構造が複雑で高コストになる。また、広帯域の光から一定幅の波長を切り出す場合、光源が広帯域なほどエネルギー変換効率が低下する。
特開平10−262031号公報
結局のところ、環境温度が100度以上に変化する環境で使用可能なWDMシステムを構築するには、特殊な広帯域の光源を用いるか、光源の温度を制御する必要があった。
本発明は、光源の温度制御無しに広い温度範囲でWDMシステムを可能にす光送信装置を提示することを目的とする。
本発明に係る光送信装置は、互いに波長の異なる複数の発光ダイオードと、当該複数の発光ダイオードを駆動する駆動信号であって、データを搬送する駆動信号を発生する駆動信号発生回路と、当該複数の発光ダイオードの出力光を合波する光合波器と、当該合波器による合波光から信号波長(λs)の成分を抽出する光バンドパスフィルタと、当該駆動信号を電力増幅する電力増幅器と、周囲温度を測定する温度計と、当該温度計の測定結果に従うパワー分配率で、当該電力増幅器の出力を当該複数の発光ダイオードに分配するパワー分配器とを具備することを特徴とする。これにより、周囲温度の変化に対して、信号波長の成分の光パワーを安定化できる。総駆動電力一定の下で、周囲温度の変化に対して発光ダイオードを効率的なパワーで駆動できる。
本発明に係る光送信装置は、互いに波長の異なる複数の発光ダイオードと、当該複数の発光ダイオードを駆動する駆動信号であって、データを搬送する駆動信号を発生する駆動信号発生回路と、当該複数の発光ダイオードの出力光を合波する光合波器と、当該合波器による合波光から信号波長(λs)の成分を抽出する光バンドパスフィルタと、当該駆動信号を電力増幅する電力増幅器と、当該電力増幅器の出力を当該複数の発光ダイオードに分配するパワー分配器と、当該光バンドパスフィルタの出力光パワーをモニタする光パワーモニタと、当該光パワーモニタの出力に従い当該電力増幅器及び当該パワー分配器を制御する制御装置であって、当該光パワーモニタによりモニタされる光パワーが最大になるように、当該パワー分配器のパワー分配率を制御し、その後、当該光パワーモニタによりモニタされる光パワーが所定値になるように当該電力増幅器の電力増幅率を制御する制御装置とを具備することを特徴とする。これにより、周囲温度の変化に関わらず、信号波長の成分の光パワーを精密に安定化できる。総駆動電力一定の下で、発光ダイオードを効率的なパワーで駆動できる。
本発明に係る光送信装置は、互いに波長の異なる複数の発光ダイオードと、当該複数の発光ダイオードを駆動する駆動信号であって、データを搬送する駆動信号を発生する駆動信号発生回路と、当該複数の発光ダイオードの出力光を合波する光合波器と、当該合波器による合波光から信号波長(λs)の成分を抽出する光バンドパスフィルタと、当該駆動信号を電力増幅する電力増幅器と、当該電力増幅器の出力を当該複数の発光ダイオードに分配するパワー分配器と、当該光バンドパスフィルタの出力光パワーをモニタする光パワーモニタと、周囲温度を測定する温度計と、当該光パワーモニタ及び当該温度計の出力に従い当該電力増幅器及び当該パワー分配器を制御する制御装置であって、当該温度計により測定された周囲温度に対応するパワー分配率に当該パワー分配器を制御し、当該光パワーモニタによりモニタされる光パワーが最大になるように、当該パワー分配器のパワー分配率を制御し、当該光パワーモニタによりモニタされる光パワーが所定値になるように当該電力増幅器の電力増幅率を制御する制御装置とを具備することを特徴とする。これにより、周囲温度の変化に関わらず、信号波長の成分の光パワーを精密に安定化できる。総駆動電力一定の下で、周囲温度の変化に対して発光ダイオードを効率的なパワーで駆動できる。
本発明によれば、簡素な構造で、光源の温度制御無しに、広い温度範囲で実質的に一定の波長の信号光を出力する光送信装置を実現できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施例の概略構成ブロック図を示す。変調回路10はデータ12により搬送波を変調、例えば、振幅変調する。直流電源14はバイアスとなる直流電圧を発生する。混合回路16は、直流電源14の出力電圧に変調回路10からの変調信号を重畳する。電力増幅器18は、混合回路16の出力を電力増幅する。電力増幅器18は、電圧信号を電流信号に変換する電圧/電流変換器であってもよい。
電力増幅器18の出力信号は、中心発光波長λ1の発光ダイオード20と、λ1より長い中心波長λ2の発光ダイオード22に印加される。波長λ1と波長λ2は、発光ダイオード20,22の発光スペクトルの半値幅程度だけ、異なる。発光ダイオード20,22は、電力増幅器18の出力電気信号に応じて光強度の変化する光信号を出力する。即ち、発光ダイオード20,22は電気信号を光信号に変換するE/O変換器である。発光ダイオード20,22は温度制御されていないので、周囲温度の変化により、中心発光波長λ1,λ2が変化する。
光合波器24は、発光ダイオード20,22の出力光を合波し、その合波光は、光バンドパスフィルタ26に印加される。光合波器24としては、ハーフミラー、偏光ビーム合波器及びWDMカップラ等を使用できる。光バンドパスフィルタ26の中心透過波長はλs、透過帯域幅はΔλとする。λsは、使用温度範囲内でλ1以上、λ2以下である。Δλは例えば、10nmである。光バンドパスフィルタ26の透過中心波長λsは、一般に温度に対して発光ダイオードほどには変化しない。例えば、150Kの温度範囲内では、一般的な光バンドパスフィルタの中心透過波長λsの変化量は、1.5nm程度である。
図2は、温度変化に対する発光ダイオード20,22のスペクトル変化を示す。図2(B)は室温時のスペクトル例を示し、図2(A)は、室温から100K上昇した高温時のスペクトル例を示し、図2(C)は、室温から50K低下した低温時のスペクトル例を示す。
図2では、発光ダイオード20の中心発光波長λ1は、室温時で760nm、高温時で780nm、低温時で750nmであり、発光ダイオード22の中心発光波長λ2は、室温時で790nm、高温時で810nm、低温時で780nmであるとしている。また、各発光ダイオード20,22の3dB帯域幅は30nmである。このような3dB帯域幅を具備する発光ダイオード20,22は、容易に入手可能である。合成後の発光スペクトルの3dB帯域幅は60nmになる。室温での光バンドパスフィルタ26の中心透過波長λsは、780nm、帯域幅は10nmである。光バンドパスフィルタ26の中心透過波長λsは、室温から100K上昇した高温時には、約781nmであり、室温から50K低下した低温時には、約779.5nmである。発光ダイオード20,22の波長の温度変化に比べれば、光バンドパスフィルタ26の中心波長λsの変化は無視できる。図2から、本実施例では、150Kの温度範囲に対応できることが分かる。
本実施例では、発光スペクトル幅だけ離れた異なる発光波長の2つの発光ダイオード20,22の出力光を合波することで、単独の場合に比べて実質的に2倍のスペクトル幅、例えば60nmの光源を作り出すことができる。しかも、単一の発光ダイオードで広いスペクトル幅を実現するのに比べ、極めて容易に広スペクトル幅を実現できる。光バンドパスフィルタ26が、その合成光から所望の波長成分を抽出する。光バンドパスフィルタ26の中心波長λsの温度変動は少ないので、最終的に出力される信号光の波長λsの変動も、少なく抑えることができる。本実施例では、2倍のスペクトル幅の範囲での温度変動を許容することになる。換言すると、150Kというような広い温度範囲に対応可能になる。
本実施例により、光源の温度制御無しに、広い温度範囲内で実質的に同じ波長の信号光を出力する光送信装置を実現できる。出力信号波長が互いに重ならないように各光送信装置の光バンドパスフィルタ26の通過帯域を設定することで、WDMシステムを容易に実現できる。即ち、使用温度範囲が広い装置にも、WDMシステムを適用できるようになる。
図3は、本発明の第2実施例の概略構成ブロック図を示す。図1に示す実施例では、2つの発光ダイオードを同じパワーで駆動したが、第2実施例では、2つの発光ダイオードの駆動パワーを温度に応じて調節する。
変調回路110はデータ112により搬送波を変調、例えば、振幅変調する。直流電源114はバイアスとなる直流電圧を発生する。混合回路116は、直流電源114の出力電圧に変調回路110からの変調信号を重畳する。電力増幅器118は、混合回路116の出力を電力増幅する。電力増幅器118は、電圧信号を電流信号に変換する電圧/電流変換器であってもよい。
電力増幅器118の出力電気信号は、パワー分配器130に印加される。パワー分配器130には、周囲の温度を測定する温度計132と、周囲温度と、発光ダイオード120,122に対する駆動パワーの分配率との関係を規定するパワー分配率テーブル134が接続する。
パワー分配器130は、温度計132の測定温度での駆動パワー分配率をパワー分配率テーブル134から読み出し、そのパワー分配率で電力増幅器118からの電気信号を発光ダイオード120と発光ダイオード122に分配する。発光ダイオード120の発光中心波長はλ1、発光ダイオード122の発光中心波長は、λ1より長いλ2である。波長λ1と波長λ2は、発光ダイオード120,122の発光スペクトルの半値幅程度だけ、異なる。発光ダイオード120,122は、パワー分配器130からの電気信号(駆動信号)に応じて光強度の変化する光信号を出力する。即ち、発光ダイオード120,122は電気信号を光信号に変換するE/O変換器である。発光ダイオード120,122は温度制御されていないので、周囲温度の変化により中心発光波長λ1,λ2が変化する。
光合波器124は、発光ダイオード120,122の出力光を合波し、その合波光は、光バンドパスフィルタ126に印加される。光合波器124としては、ハーフミラー、偏光ビーム合波器及びWDMカップラ等を使用できる。光バンドパスフィルタ126の中心透過波長はλs、透過帯域幅はΔλとする。λsは、使用温度範囲内でλ1以上、λ2以下である。Δλは例えば、10nmである。光バンドパスフィルタ126の透過中心波長λsは、光バンドパスフィルタ26と同様に、温度に対して発光ダイオードほどには変化しない。例えば、150Kの温度範囲内では、一般的な光バンドパスフィルタの中心透過波長λsの変化量は、1.5nm程度である。
図4は、パワー分配率テーブル134の一例を示す。図4に示す例では、使用温度範囲内の最低温度−30°Cでは、パワー分配器130は、発光ダイオード122にのみ電力増幅器118からの電気信号を供給する。温度上昇と共に、発光ダイオード120への電力分配率が増加し、発光ダイオード122への電力分配率が低下する。使用温度範囲内の最高温度120°Cでは、パワー分配器130は、発光ダイオード120にのみ電力増幅器118からの電気信号を供給する。
図5は、周囲温度と、発光ダイオード120,122の発光スペクトルと、光バンドパスフィルタ126の透過波長帯との関係を示す。図5(B)は室温時のスペクトル例を示し、図5(A)は、室温から100K上昇した高温時のスペクトル例を示し、図5(C)は、室温から50K低下した低温時のスペクトル例を示す。
図2の場合と同様に、発光ダイオード120の中心発光波長λ1は、室温時で760nm、高温時で780nm、低温時で750nmであり、発光ダイオード122の中心発光波長λ2は、室温時で790nm、高温時で810nm、低温時で780nmであるとしている。また、各発光ダイオード120,122の3dB帯域幅は30nmであり、合成後の3dB帯域幅は60nmになる。室温での光バンドパスフィルタ126の中心透過波長λsは、780nm、帯域幅は10nmである。光バンドパスフィルタ126の中心透過波長λsは、室温から100K上昇した高温時には、約781nmであり、室温から50K低下した低温時には、約779.5nmである。発光ダイオード120,122の波長の温度変化に比べれば、光バンドパスフィルタ126の中心波長λsの変化は無視できる。
本実施例でも、実施例1と同様に、発光スペクトル幅だけ離れた異なる発光波長の2つの発光ダイオードの出力光を合波することで、単独の場合に比べて実質的に2倍のスペクトル幅の光源を作り出すことができる。しかも、単一の発光ダイオードで広いスペクトル幅を実現するのに比べ、極めて容易に実現できる。光バンドパスフィルタが、その合成光から所望の波長成分を抽出する。光バンドパスフィルタの中心波長の温度変動は少ないので、最終的に出力される信号光の波長の変動も、少なく抑えることができる。本実施例では、2倍のスペクトル幅の範囲での温度変動を許容することになる。換言すると、150Kというような広い温度範囲に対応可能になる。
本実施例では、光バンドパスフィルタ126で抽出される光パワーが、温度に関わらずほぼ一定になるように、パワー分配器130による駆動パワーの分配率が温度毎に設定され、そのような温度に対する分配率が、パワー分配率テーブル134に予め記録される。駆動パワーに対する波長λsでの発光パワーの割合が温度により異なる発光ダイオードを使用する場合には、この特性も考慮した駆動パワー分配率が、パワー分配率テーブル134に記録される。
本実施例では、実施例1の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。即ち駆動パワーの分配率を温度により制御することで、電力増幅器118の出力パワーを一定にしたままで、温度に関わらず光バンドパスフィルタ126の出力信号光パワーをほぼ一定に維持できる。
図6は、本発明の第3実施例の概略構成ブロック図を示す。図3に示す第2実施例と同じ構成要素には同じ符号を付してある。図3に示す第2実施例に対して変更した部分の構成と動作を説明する。
電力増幅器118Aは、混合回路116の出力電気信号を電力増幅し、その出力が、発光ダイオード120を駆動する。他方、電力増幅器118Bは、混合回路116の出力電気信号を電力増幅し、その出力が、発光ダイオード122を駆動する。駆動パワー制御回路136は、温度計132の測定温度での駆動パワー分配率又は電力増幅器118A,118Bの電力増幅率をパワー分配率テーブル134から読み出し、読み出されたパワー分配率又は電力増幅率に従い電力増幅器118A,118Bの電力増幅率を制御する。このような制御により、温度に関わらず、光バンドパスフィルタ126の出力信号光パワーをほぼ一定に維持できる。
図7は、本発明の第4実施例の概略構成ブロック図を示す。図7に示す第4実施例では、出力信号光(波長λs)の光パワーをモニタし、その光パワーが所定値に維持されるように、2つの発光ダイオードの駆動パワーを制御する。
変調回路210はデータ212により搬送波を変調、例えば、振幅変調する。直流電源214はバイアスとなる直流電圧を発生する。混合回路216は、直流電源214の出力電圧に変調回路210からの変調信号を重畳する。電力増幅器218は、混合回路216の出力を電力増幅する。制御装置232が、後述する光パワーモニタ230の測定結果に従い電力増幅器218の電力増幅率を制御される。電力増幅器218は、電圧信号を電流信号に変換する電圧/電流変換器であってもよい。
電力増幅器218の出力電気信号は、パワー分配器219に印加される。パワー分配器219は、制御装置232により制御されるパワー分配比で電力増幅器218の出力電気信号を発光ダイオード220,222に供給する。発光ダイオード220の発光中心波長はλ1、発光ダイオード222の発光中心波長は、λ1より長いλ2である。波長λ1と波長λ2は、発光ダイオード220,222の発光スペクトルの半値幅程度だけ、異なる。発光ダイオード220,222は、パワー分配器219からの電気信号、即ち、駆動信号に応じて光強度の変化する光信号を出力する。即ち、発光ダイオード220,222は電気信号を光信号に変換するE/O変換器である。発光ダイオード220,222は温度制御されていないので、周囲温度の変化により中心発光波長λ1,λ2が変化する。
光合波器224は、発光ダイオード220,222の出力光を合波し、その合波光は、光バンドパスフィルタ226に印加される。光合波器224としては、ハーフミラー、偏光ビーム合波器及びWDMカップラ等を使用できる。光バンドパスフィルタ226の中心透過波長はλs、透過帯域幅はΔλであるとする。λsは、使用温度範囲内でλ1以上、λ2以下である。Δλは例えば、10nmである。光バンドパスフィルタ226の透過中心波長λsは、光バンドパスフィルタ26,126と同様に、温度に対して発光ダイオードほどには変化しない。例えば、150Kの温度範囲内では、一般的な光バンドパスフィルタの中心透過波長λsの変化量は、1.5nm程度である。
光分波器228は、光バンドパスフィルタ226の出力光の一部を分離し、光パワーモニタ230に印加する。光パワーモニタ230は、光分波器228から入力する光のパワーを計測する。即ち、光パワーモニタ230は、光バンドパスフィルタ226の出力信号光のパワーを測定する。制御装置232は、波長λsの信号光の光パワーが所定値以下になると、図8に示すフローに従って電力増幅器218の電力増幅率及びパワー分配器219のパワー分配率を制御する。
制御装置232は先ず、パワー分配器219の最適なパワー分配率を決定する。具体的には、制御装置232は、光パワーモニタ230で測定される光パワーが増加しなくなるまで(S2)、パワー分配器219における発光ダイオード220へのパワー分配率を段階的に上げる(S1)。制御装置232は次に、信号光の光パワーが増加しなくなるまで(S4)、パワー分配器219における発光ダイオード222へのパワー分配率を上げる(S3)。このような2方向の制御により、一定駆動パワーの下で波長λsの信号光の光パワーが最大になるパワー分配器219におけるパワー分配率が決定する。最適なパワー分配率が現在のパワー分配率に対して少ない側にあるのか多い側にあるのかは、一般的には不明である。しかし、図8に示すように、パワー分配器219のパワー分配率を2方向に掃引することで、最適なパワー分配率を決定できる。
この後、制御装置232は、波長λsの信号光の光パワーが所望値になるように、電力増幅器218の電力増幅率を制御する(S5)。
この実施例では、実施例1の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。即ち、使用時の温度に応じて最適な駆動パワー及びパワー分配率で2つの発光ダイオード220,222を駆動できる。
図9は、本発明の第5実施例の概略構成ブロック図を示す。図7に示す実施例に、温度計234とパワー分配率テーブル236を追加した。図7の制御装置232に代えて制御装置238を配置した。図7に示す実施例と同じ構成要素には同じ符号を付してある。制御装置238は、光パワーモニタ230のモニタ結果、温度計234の測定結果及びパワー分配率テーブル236を参照して、電力増幅器218の電力増幅率及びパワー分配器219のパワー分配率を制御する。
制御装置238の制御態様を具体的に説明する。先ず、制御装置238は、温度計234により測定された周囲温度に対するパワー分配率をパワー分配率テーブル236から読み出し、そのパワー分配率にパワー分配器219を制御する。その後、制御装置238は、光パワーモニタ230のモニタ結果、即ち波長λsの信号光の光パワーが最大になるように、光パワー分配器219のパワー分配率を制御する。最後に、制御装置238は、波長λsの信号光の光パワーが所望値になるように、電力増幅器218の電力増幅率を制御する。
周囲温度及び分配率テーブル236によるパワー分配器219の制御は、いわば粗調であり、光パワーモニタ230によるパワー分配器219の制御は、いわば、微調である。光パワーモニタ230による電力増幅器218の電力増幅率の制御は、最終調整である。微調におけるパワー分配器219の制御により、発光ダイオード220,222の劣化の程度を判定できる。
本実施例では、実施例1の作用効果に加えて、発光ダイオード220,222の劣化具合を判定できるという利点がある。
上述の各実施例では、出力信号光の波長λsは、温度に対して光バンドパスフィルタ26,126,226の安定度と同じ安定度で安定する。従って、光受信装置には、光バンドパスフィルタ256,126,226と同じ光バンドパスフィルタを使用すればよい。WDMシステムに適用する際には、波長間隔を、光バンドパスフィルタ26,126,226の透過波長幅Δλ以上に設定すれば良い。
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上述の各実施例では、発光波長が所定量だけずれた2つの発光ダイオードを使用するとしたが、互いの波長の異なる3つ以上の発光ダイオードを使用しても良いことは明らかである。
本発明の第1実施例の概略構成ブロック図である。 温度変化に対する発光ダイオード20,22のスペクトル変化例であり、図2(A)は高温時、図2(B)は室温時、図2(C)は低温時のスペクトル例をそれぞれ示す。 本発明の第2実施例の概略構成ブロック図である。 パワー分配率テーブル134の一例である。 周囲温度と、発光ダイオード120,122の発光スペクトルと、光バンドパスフィルタ126の透過波長帯との関係を示す模式図であり、図5(A)は高温時、図5(B)は室温時、図5(C)は低温時のスペクトルと透過波長帯をそれぞれ示す。 本発明の第3実施例の概略構成ブロック図である。 本発明の第4実施例の概略構成ブロック図である。 制御装置232による電力増幅器218及びパワー分配器219の制御フローである。 本発明の第5実施例の概略構成ブロック図である。
符号の説明
10:変調回路
12:データ
14:直流電源
16:混合回路
18:電力増幅器
20,22:発光ダイオード
24:光合波器
26:光バンドパスフィルタ
110:変調回路
112:データ
114:直流電源
116:混合回路
118,118A,118B:電力増幅器
120,122:発光ダイオード
124:光合波器
126:光バンドパスフィルタ
130:パワー分配器
132:温度計
134:分配率テーブル
136:駆動パワー制御装置
210:変調回路
212:データ
214:直流電源
216:混合回路
218:電力増幅器
219:パワー分配器
220,222:発光ダイオード
224:光合波器
226:光バンドパスフィルタ
228:光分波器
230:光パワーモニタ
232:制御装置
234:温度計
236:パワー分配率テーブル
238:制御装置

Claims (4)

  1. 互いに波長の異なる複数の発光ダイオード120,122と、
    当該複数の発光ダイオード120,122を駆動する駆動信号であって、データ112を搬送する駆動信号を発生する駆動信号発生回路110,114,116と、
    当該複数の発光ダイオード120,122の出力光を合波する光合波器124と、
    当該合波器124による合波光から信号波長(λs)の成分を抽出する光バンドパスフィルタ126)と、
    当該駆動信号を電力増幅する電力増幅器(118)と、
    周囲温度を測定する温度計(132)と、
    当該温度計(132)の測定結果に従うパワー分配率で、当該電力増幅器(118)の出力を当該複数の発光ダイオード(120,122)に分配するパワー分配器(130)
    とを具備することを特徴とする光送信装置。
  2. 互いに波長の異なる複数の発光ダイオード(220,222)と、
    当該複数の発光ダイオード(220,222)を駆動する駆動信号であって、データ(212)を搬送する駆動信号を発生する駆動信号発生回路(210,214,216)と、
    当該複数の発光ダイオード(220,222)の出力光を合波する光合波器(224)と、
    当該合波器(224)による合波光から信号波長(λs)の成分を抽出する光バンドパスフィルタ(226)と、
    当該駆動信号を電力増幅する電力増幅器(218)と、
    当該電力増幅器(218)の出力を当該複数の発光ダイオード(220,222)に分配するパワー分配器(219)と、
    当該光バンドパスフィルタ(226)の出力光パワーをモニタする光パワーモニタ(230)と、
    当該光パワーモニタ(230)の出力に従い当該電力増幅器(218)及び当該パワー分配器(219)を制御する制御装置(232)であって、当該光パワーモニタ(230)によりモニタされる光パワーが最大になるように、当該パワー分配器(219)のパワー分配率を制御し、その後、当該光パワーモニタ(230)によりモニタされる光パワーが所定値になるように当該電力増幅器(218)の電力増幅率を制御する制御装置(232)
    とを具備することを特徴とする光送信装置。
  3. 互いに波長の異なる複数の発光ダイオード(220,222)と、
    当該複数の発光ダイオード(220,222)を駆動する駆動信号であって、データ(212)を搬送する駆動信号を発生する駆動信号発生回路(210,214,216)と、
    当該複数の発光ダイオード(220,222)の出力光を合波する光合波器(224)と、
    当該合波器(224)による合波光から信号波長(λs)の成分を抽出する光バンドパスフィルタ(226)と、
    当該駆動信号を電力増幅する電力増幅器(218)と、
    当該電力増幅器(218)の出力を当該複数の発光ダイオード(220,222)に分配するパワー分配器(219)と、
    当該光バンドパスフィルタ(226)の出力光パワーをモニタする光パワーモニタ(230)と、
    周囲温度を測定する温度計(234)と、
    当該光パワーモニタ(230)及び当該温度計(234)の出力に従い当該電力増幅器(218)及び当該パワー分配器(219)を制御する制御装置(238)であって、当該温度計(234)により測定された周囲温度に対応するパワー分配率に当該パワー分配器(219)を制御し、当該光パワーモニタ(230)によりモニタされる光パワーが最大になるように、当該パワー分配器(219)のパワー分配率を制御し、当該光パワーモニタ(230)によりモニタされる光パワーが所定値になるように当該電力増幅器(218)の電力増幅率を制御する制御装置(238)
    とを具備することを特徴とする光送信装置。
  4. 当該駆動信号発生回路が、
    搬送波を当該データで変調する変調回路(10、110,210)と、
    直流電源(14、114,214)と、
    当該変調回路(10,110,210)の出力電気信号に当該直流電源(14,114,214)の出力を混合する混合回路(16,116,216)
    とを具備することを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の光送信装置。
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