JP4114582B2 - 無線タグリーダライタ - Google Patents

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Description

本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグに対して情報の読み書きを行う無線タグリーダライタに関する。
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)に対して所定の無線タグリーダライタや読み出し専用の質問器等により非接触で情報の書き込みや読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、前記無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。例えば、特許文献1に記載されたRFIDタグを用いた検査システムがそれである。
特開2002−308437号公報
前記無線タグに対する情報の書き込みや読み出しにおいては、その無線タグとの間に情報の通信を行う必要がある。例えば、UHF帯等の高周波を用いた通信により斯かる情報の読み書きが行われるが、高周波を用いる場合には通信距離が長いことから、対象となる無線タグのみに情報を書き込むためにはシールドされた環境下で行うか、その無線タグを識別する通信を行わねばならなかった。斯かる弊害を解消するために、前記無線タグリーダライタの出力を下げることが考えられるが、前記無線タグの態様によっては、対象ではない無線タグからの通信と混信してしてしまい、正常な通信が行われなくなる可能性が残される。
ところで、前記無線タグのアンテナと無線タグリーダライタのアンテナとの距離をそれらが接触しないようにしつつ極接近させた場合、それらのアンテナが相互結合して双方のアンテナの共振周波数が変動する。本発明者等は、この相互作用に着目して鋭意研究を継続した結果、対象となる無線タグのみとの間で確実に通信を行い得る無線タグリーダライタを発案するに至った。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、対象となる無線タグのみとの間で確実に通信を行う無線タグリーダライタを提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、無線タグとの間で通信を行うことにより情報の読み書きを行う無線タグリーダライタであって、その無線タグが所定の近接通信範囲内に配置されたときのその無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの相互結合によって変化したその無線タグのアンテナの共振周波数に基づいてその無線タグリーダライタが送信する搬送波の周波数を設定することを特徴とするものである。
このようにすれば、前記無線タグが所定の近接通信範囲内に配置されたときのその無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの相互結合によって変化したその無線タグのアンテナの共振周波数をその無線タグリーダライタが送信する搬送波の周波数として設定するものであることから、その近接範囲内にある通信対象となる無線タグは感度が強く、それ以外の無線タグは感度が弱くなるため、通信対象となる無線タグとの通信が通信対象ではない無線タグと混信するを好適に防止することができる。すなわち、対象となる無線タグのみとの間で確実に通信を行う無線タグリーダライタを提供することができる。
ここで、好適には、前記近接通信範囲は、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグが単体で存在する場合、或いは無線タグリーダライタのアンテナと無線タグのアンテナとの相互結合が無視できる位置に置かれたときの共振周波数(以下、自由空間共振周波数と称する)に対応する波長の0.1倍以下となる範囲であり、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグの自由空間共振周波数に対応する波長の0.5倍の位置におけるその無線タグのアンテナの共振周波数より高い周波数を有する搬送波を発生させるものである。このようにすれば、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの相互結合によるその無線タグのアンテナの共振周波数の変化は、その無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグの自由空間共振周波数に対応する波長の0.5倍となる位置で極大値を示し、0.1倍以下となる位置においてはその極大値を超える値をとることから、その範囲の周波数及び通信範囲を用いて通信を行うことで、更に確実に対象となる無線タグのみとの間で通信を行うことができる。
また、好適には、前記アンテナとして半波長ダイポールアンテナを備えた無線タグとの間で通信を行うことにより情報の読み書きを行う無線タグリーダライタであって、前記近接通信範囲は、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグの自由空間共振周波数に対応する波長の0.05倍以下となる範囲であり、前記無線タグの自由空間共振周波数の1.03倍以上の周波数を有する搬送波を発生させるものである。このようにすれば、前記無線タグの自由空間共振周波数の1.03倍以上の周波数を発生させた場合、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグの自由空間共振周波数に対応する波長の0.05倍以下となる位置において感度が高い値を示すことから、その範囲の周波数及び通信範囲を用いて通信を行うことで、更に確実に対象となる無線タグのみとの間で通信を行うことができる。
また、好適には、前記近接通信範囲は、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグの自由空間共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲であり、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその範囲内である位置におけるその無線タグのアンテナの共振周波数を有する搬送波を発生させるものである。このようにすれば、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの相互結合によるその無線タグのアンテナの共振周波数の変化は、その無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離がその無線タグの自由空間共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲で極小値を示すことから、その範囲の周波数及び通信範囲を用いて通信を行うことで、更に確実に対象となる無線タグのみとの間で通信を行うことができる。
また、好適には、前記近接通信範囲内にある無線タグのみと通信する近接通信モードと、その近接通信範囲外にある無線タグと通信する遠方通信モードとを切り換えるモード切換部を備えており、前記近接通信モードにおいて発生させる搬送波の周波数と、前記遠方通信モードにおいて発生させる搬送波の周波数とを、それぞれ異なる周波数に設定するものである。このようにすれば、前記近接通信範囲内外における前記無線タグリーダライタが送信する搬送波の周波数をそれぞれ設定できることから、前記近接通信範囲内にある無線タグのみとの間で確実に通信を行うことができると共に、その近接通信範囲外にある無線タグとも好適に通信を行うことができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用されるRFIDシステム10を説明する図である。このRFIDシステム10において、本発明の一実施例である複数の無線タグリーダライタ12は、有線或いは無線による通信回線14を介してルートサーバ16、端末18、汎用コンピュータ20、及び複数の情報サーバ22に接続されている。
図2は、上記無線タグリーダライタ12の構成を説明する図である。この無線タグリーダライタ12は、図4に示す無線タグ24を作成するためのもので、後述するように所定の印字文字等の印刷を施したり、所望の書き込みID及び物品情報等をIC回路部80に書き込む等してユーザの要望に応じた無線タグ24を即座に作成できるようにしたもので、その無線タグ24の基材となるタグテープ26を生成するための後述するカバーフィルム86、インクリボン98、アンテナ部64及びIC回路部80から成る無線タグ回路24aが所定の間隔で帯状に配設された基材テープ92等を収納する着脱自在のカートリッジ28と、カートリッジ用モータ30を駆動してそのカートリッジ28からのタグテープ26の送出を制御するカートリッジ用モータ駆動回路32と、上記タグテープ26に印刷を行うためにサーマルヘッド34の駆動を制御する印刷駆動回路36と、そのタグテープ26を矢印で示す方向に送出するための送出ローラ38と、送出ローラ用モータ40を介してその送出ローラ38の駆動を制御する送出ローラ駆動回路42と、上記タグテープ26をカートリッジ28から搬出口44へ案内するための搬送ガイド46と、ソレノイド48の駆動に応じてそのタグテープ26を所定の長さで切断して個々の無線タグ24に分割するカッタ50と、上記搬出口44におけるそのタグテープ26の有無を検出するセンサ52と、上記無線タグ24との間で通信を行うための送受信アンテナ54と、その送受信アンテナ54を介してその無線タグ24に情報を書き込むための高周波回路56と、その無線タグ24から読み出された信号を処理して情報を読み出すための信号処理回路58と、上記カートリッジ用モータ駆動回路32、印刷駆動回路36、送出ローラ駆動回路42、ソレノイド48、高周波回路56、及び信号処理回路58等を介して上記無線タグリーダライタ12の駆動を制御するための制御回路60とを、備えて構成されている。その制御回路60は、入出力インターフェイス62により上記通信回線14に接続されている。
図3は、上記無線タグ24の構成を説明する図である。この図3に示すように、上記無線タグ24は、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との間で、或いはその無線タグリーダライタ12とは異なる質問器との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部64と、そのアンテナ部64により受信された搬送波を整流する整流部66と、その整流部66により整流された搬送波のエネルギを蓄積するための電源部68と、上記アンテナ部64により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部76に供給するクロック抽出部70と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部72と、上記アンテナ部64に接続された変復調部74と、上記整流部66、クロック抽出部70、及び変復調部74等を介して上記無線タグ24の作動を制御するための制御部76とを、備えて構成されている。この制御部76は、前記無線タグリーダライタ12と通信を行うことにより上記メモリ部72に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部64により受信された搬送波を上記変復調部74において上記メモリ部72に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで反射波として上記アンテナ部64から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。上記アンテナ部64は、好適には、一対の線状エレメントから成る半波長ダイポールアンテナである。
図4は、前記無線タグ24の外観を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。また、図5は、図4のV‐V視断面図である。この図4(a)に示すように、前記無線タグ24の片側の面(表面)には、例えば、その無線タグ24の種類を示す「RF−ID」等の印字78が印刷されている。図5に示すように、上記整流部66、電源部68、クロック抽出部70、メモリ部72、変復調部74、及び制御部76等を含むIC回路部80は、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム82と一体的に設けられており、上記アンテナ部64は、そのベースフィルム82の表面に印刷等により形成されている。そして、そのベースフィルム82の表側には粘着層84を介して透明なカバーフィルム86が、裏側には粘着層88を介して剥離紙90がそれぞれ接着されている。上記印字78は、上記カバーフィルム86の裏面すなわち上記粘着層84側の面に印刷されている。また、前記無線タグ24が所定の商品等に貼り付けられる際には、上記剥離紙90が剥がされて粘着層88により接着される。
図6は、前記カートリッジ28の構成を詳しく説明する図である。このカートリッジ28には、一部を拡大して示すように、前記アンテナ部64及びIC回路部80等が連続配置された帯状の基材テープ92が巻回された第1ロール94と、その基材テープ92と略同じ幅である前記カバーフィルム86が巻回された第2ロール96と、インクリボン98が巻回されたインクリボンロール100と、そのインクリボン98を巻き取るための巻取ローラ102と、上記基材テープ92とカバーフィルム86とを押圧してそれらを接着させつつ矢印で示す方向にテープ送りをする圧着ローラ104とが、それぞれの軸心回りに自転可能に設けられている。上記インクリボンロール100及び巻取ローラ102は、上記カバーフィルム86の裏面側すなわち上記基材テープ92と接着される側に配設されており、上記インクリボン98は、前記無線タグリーダライタ12本体に設けられたサーマルヘッド34に押圧されることで、上記カバーフィルム86の裏面に当接させられるようになっている。
前記タグテープ26の形成においては、前記カートリッジ用モータ30の駆動により上記巻取ローラ102と圧着ローラ104とが矢印で示す方向にそれぞれ同期して自転させられる。この際に、前記印刷駆動回路36により前記サーマルヘッド34に備えられた複数の発熱素子に通電されると、前記カバーフィルム86の裏面すなわち上記基材テープ92と接着される側の面に所定の文字や記号、或いはバーコード等が印刷され、その印刷が行われたうえで上記圧着ローラ104により上記基材テープ92と接着されて前記タグテープ26として形成される。前記無線タグ24の作成に際しては、前記高周波回路56等によりそのタグテープ26に備えられた各IC回路部80に所定の情報が書き込まれた後、前記カッタ50に所定の長さで切断されて個々の無線タグ24に分割される。
図7は、前記センサ52の電気的構成を説明する図である。この図7に示すように、前記センサ52は、例えば、投光器106及び受光器108から成る透過型の光電センサである。その投光器106と受光器108の間に前記タグテープ26乃至は無線タグ24がない場合には、その投光器106から出力された光が受光器108に入力される一方、上記投光器106と受光器108の間に前記タグテープ26乃至は無線タグ24がある場合には、その投光器106から出力された光が遮蔽されて受光器108からの制御出力が反転させられるようになっている。
図8は、前記制御回路60の構成を説明する図である。この図8に示すように、前記制御回路60は、中央演算処理装置であるCPU110、ROM(Read Only Memory)112、及びRAM(Random Access Memory)114等から成り、RAM114の一時記憶機能を利用しつつROM112に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータシステムである。また、この制御回路60は、前記入出力インターフェイス62を介して前記通信回線14に接続されており、前記ルートサーバ16、端末18、汎用コンピュータ20、及び情報サーバ22等との間で情報のやりとりが可能とされている。図9は、前記無線タグリーダライタ12による前記無線タグ24への情報の書き込みに際して、前記端末18又は汎用コンピュータ20に表示される画面の一例である。この図9に示すように、前記無線タグ24に印刷される印字文字、その無線タグ24に固有のIDである書き込みID、前記情報サーバ22に記憶された物品情報のアドレス、及び前記ルートサーバ16におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末18又は汎用コンピュータ20に表示可能とされており、その端末18又は汎用コンピュータ20の操作により前記無線タグリーダライタ12が作動させられて、前記カバーフィルム86に上記印字文字が印刷されると共に、前記IC回路部80に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる。また、前記無線タグ24のIDとその無線タグ24に書き込まれた情報との対応関係が前記ルートサーバ16に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
図10は、前記高周波回路56の構成を詳しく説明する図である。この図10に示すように、前記高周波回路56は、前記無線タグ24に対して所定の信号を送信する送信部116と、その無線タグ24からの反射波を受信する受信部118とから成り、その送信部116は、前記無線タグ24に情報を書き込むための搬送波を発生させる搬送波発生部120と、前記信号処理回路58から供給される情報信号に基づいてその搬送波発生部120により発生させられた搬送波を変調(例えば、TX−ASK信号に基づく振幅変調)する搬送波変調部122と、その搬送波変調部122により変調された変調波を増幅する変調波増幅部124とを、備えて構成されている。その変調波増幅部124の出力は、カプラ126を介して前記送受信アンテナ54に伝達され、その送受信アンテナ54から送信されて前記無線タグ24のアンテナ部64を介してIC回路部80に供給される。
前記送受信アンテナ54により受信された前記無線タグ24からの反射波は、上記カプラ126を介して上記受信部118に入力される。その受信部118は、前記送受信アンテナ54からの受信信号を増幅するLNA(Low Noise Amp)128と、そのLNA128により増幅された受信信号における所定の周波数帯域の信号のみを通過させる帯域通過フィルタ130とを、備えて構成されている。その帯域通過フィルタ130の出力は、前記信号処理回路58に入力されてその信号処理回路58により復調処理され、前記無線タグ24による変調に関する情報すなわち前記メモリ部72に記憶された情報が読み出される。
図10に示すモード切換部132及び周波数設定部134は、何れも前記制御回路60の制御機能であり、このモード切換部132は、所定の近接通信範囲内にある前記無線タグ24のみと通信する近接通信モードと、その近接通信範囲外にある前記無線タグ24と通信する遠方通信モードとを切り換える。周波数設定部134は、斯かる近接通信モードにおいて前記高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数と、遠方通信モードにおいてその高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数とを、予め定められたそれぞれ異なる周波数に設定する。
図11は、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離を変えた場合の共振周波数の変化について説明する図であり、それらのアンテナが何れも線状エレメント長さ57.0mm、断面半径0.5mm、抵抗50Ω、自由空間共振周波数2.44GHzの半波長ダイポールアンテナである場合を例示している。前記高周波回路56から出力される通常の搬送波すなわち相互結合による共振周波数の変化を考慮せず通信を行う際の理想的な搬送波(以下、基本搬送波と称する)の周波数は約2.44GHzである。図11に示すように、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離を変えた場合、共振周波数の変化はその距離が上記基本搬送波の4分の1波長周期で変動し、2分の1波長となる位置で極大値を示す。そして、それよりも近接してその極大値を超えるのは、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が上記基本搬送波の約10分の1波長以下となる位置である。図12は、図11と同様に、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離を変えた場合の共振周波数の変化について説明する図であり、それらのアンテナが何れも線状エレメント長さ114.0mm、断面半径0.5mm、抵抗50Ω、2.44GHzで約1波長の長さとなるダイポールアンテナである場合を例示している。この場合においても、共振周波数の変化は上記基本搬送波の4分の1波長周期で変動しており、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が上記基本搬送波の2分の1波長となる位置で極大値を示し、それよりも近接してその極大値を超えるのはその距離が10分の1波長以下となる位置であることが分かる。
前記周波数設定部134は、好適には、前記近接通信モードにおいて前記高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数を、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が上記基本搬送波の2分の1波長すなわちその波長の0.5倍となる位置における共振周波数より高い周波数に設定する。また、前記遠方通信モードにおいて前記高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数を、上記基本搬送波の周波数に設定する。この態様では、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が上記基本搬送波の10分の1波長以下すなわちその波長の0.1倍以下となる範囲が前記近接通信範囲とされ、それ以外の範囲が遠方通信範囲とされる。その近接通信範囲内における共振周波数は、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が上記基本搬送波の2分の1波長となる位置における共振周波数より高いことから、前記近接通信モードでは、上記近接範囲内にある無線タグ24は感度が強く、それ以外の無線タグ24は感度が弱くなるため、その近接範囲内にある無線タグ24のみとの間で確実に通信を行うことができるのである。
また、図11及び図12に示すように、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が前記基本搬送波の20分の1波長以内となる位置では、共振周波数が前記無線タグ24の自由空間共振周波数である2.44GHzの1.03倍以上であることが分かる。
前記周波数設定部134は、好適には、前記近接通信モードにおいて前記高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数を、前記無線タグ24のアンテナ部64単体の共振周波数の1.03倍以上の周波数に設定する。この態様では、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が前記基本搬送波の20分の1波長以下すなわちその波長の0.05倍以下となる範囲が前記近接通信範囲とされ、それ以外の範囲が遠方通信範囲とされる。前記高周波回路56の搬送波発生部120により前記無線タグ24のアンテナ部64単体の共振周波数の1.03倍の周波数の搬送波が発生させられた場合、上記近接範囲内にある無線タグ24は感度が強く、それ以外の無線タグ24は感度が弱くなるため、その近接範囲内にある無線タグ24のみとの間で確実に通信を行うことができるのである。
また、図11及び図12に示すように、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が前記基本搬送波の5分の1波長以上5分の2波長以下となる位置では、共振周波数がアンテナ単体の共振周波数である2.44GHzの0.97倍程度の値をとり極小値を示していることが分かる。
前記近接通信範囲は、好適には、前記近接通信モードにおいて前記高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数を、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離がその無線タグ24のアンテナ部64単体の共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲内である位置におけるその無線タグ24のアンテナ部64の共振周波数に設定する。この態様では、上記範囲すなわち前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離がその無線タグ24のアンテナ部64単体の共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲が前記近接通信範囲とされ、それ以外のより遠方の範囲が遠方通信範囲とされる。このように、前記基本搬送波の周波数よりも低い周波数を用いることによっても、前記近接通信モードでは、上記近接範囲内にある無線タグ24は感度が強く、それ以外の無線タグ24は感度が弱くなるため、その近接範囲内にある無線タグ24のみとの間で確実に通信を行うことができるのである。
続いて、以上のように構成されたRFIDシステム10による無線タグ24への情報書き込み動作及びそれに先立つ書き込み準備動作について説明する。
図13は、前記RFIDシステム10による無線タグ24への情報書き込みに先立ち実行される、前記無線タグリーダライタ12の初期化動作を説明するフローチャートである。先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SPAにおいて、前記無線タグリーダライタ12の機械情報が初期化される。次に、SPBにおいて、前記無線タグリーダライタ12の高周波回路56に備えられた搬送波発生部120の設定が初期化された後、本ルーチンが終了させられる。
図14は、図13のSPAにおける前記無線タグリーダライタ12の機械情報の初期化動作を説明するフローチャートである。先ず、SPA1において、前記カートリッジ28の有無が判定される。次に、SPA2において、前記カートリッジ28の種別すなわち前記タグテープ26の幅及びRFIDの有無等が判定される。次に、SPA3において、前記カートリッジ28のタグテープ26が使い切られているか等が判定された後、本ルーチンが終了させられる。
図15は、図13のSPBにおける前記無線タグリーダライタ12の高周波回路56に備えられた搬送波発生部120の設定初期化動作を説明するフローチャートである。先ず、SPB1において、前記変調波増幅部124へ供給されて送信信号強度を定める信号TX_PWRがオフとされる。次に、SPB2において、前記搬送波発生部120に備えられたPLL(Phase Locked Loop)に搬送波周波数設定されて、同じくその搬送波発生部120に備えられたVCO(Voltage Controlled Oscillator)の発振周波数がPLLからの制御電圧により固定された後、本ルーチンが終了させられる。
図16は、前記無線タグリーダライタ12による無線タグ24への情報書き込み動作を説明するフローチャートである。先ず、SWAにおいて、前記無線タグ24へ情報を書き込むための準備が行われる。次に、SWBにおいて、情報の書き込み対象となる前記無線タグ24が特定される。次に、SWCにおいて、前記無線タグ24への情報の書き込みが行われた後、本ルーチンが終了させられる。
図17は、図16のSWAにおける前記無線タグ24へ情報を書き込むための準備動作を説明するフローチャートである。先ず、SWA1において、前記無線タグ24へ書き込まれる情報である書き込みID及び物品情報等が設定される。この情報の対応関係は、前記無線タグ24への情報の書き込みに前後して前記通信回線14を介して前記情報サーバ22に登録される。次に、SWA2において、SWA1にて設定された情報からCRC(Cyclic Readundancy Check)符号が計算される。このCRC符号とは、前記無線タグ24との間における通信の誤りを検出するための信号であり、例えば、X16+X12+X+1といった多項式で表される。後述する無線タグ24の特定動作において、無線タグリーダライタ12は、受信したデータからCRC符号の計算を行い、同様に受信したCRC符号の値とその計算結果とを比較することで通信の誤りを検出する。次に、SWA3において、SWA1にて設定された情報に基づいてコマンドフレームが作成された後、本ルーチンが終了させられる。
図18aは、前記無線タグ24に情報を送信するための変調情報の生成について説明するフローチャートである。先ず、SWD1において、情報の書き込み対象となる前記無線タグ24を特定する、或いは前記無線タグ24への情報の書き込みを行う等のファンクションが設定される。次に、SWD2において、SWD1にて設定されたファンクションに応じたコマンドが決定される。次に、SWD3において、SWD2にて決定されたコマンド、図17のSWA1にて設定された書き込み情報、及びSWA2にて設定されたCRC符号等からコマンドフレームが作成される。次に、SWD4において、SWD3にて作成されたコマンドフレームが前記制御回路60のメモリバッファに記憶される。そして、SWD5において、そのメモリバッファに記憶されたコマンドフレームに基づく変調情報であるTX−ASK信号が前記信号処理回路58により生成される。
図18aのコマンドで決定されるコマンドの種類を図18bに示す。情報の書き込み対象となる前記無線タグ24を特定する通信では、その無線タグ24に記憶された情報を読み出すための「PING」及び「SCROLL ID」等のコマンドが用いられる。また、前記無線タグ24に情報を書き込むための通信では、その無線タグ24に記憶された情報を初期化するための「ERASE ID」、情報を書き込むための「PROGRAM ID」、書き込まれた情報を確認するための「VERIFY」、新たな情報の書き込みを禁止するための「LOCK」等のコマンドが用いられる。
図19は、図18aのSWD3で作成されるコマンドフレーム構造を詳しく説明する図である。前記コマンドフレームは、Tを1ビットの情報を送信するための時間として、2Tの送信パワーオフである「GAP」、5Tの送信パワーオンである「PREAMBL」、20箇の0信号を送信する「CLKSYNC」、コマンドの内容である「COMMAND」、8Tの送信パワーオンである「SET UP」、及び1箇の1信号を送信する「SYNC」から成る。タグにより解釈される部分である「COMMAND」は、コマンドの開始を示す「SOF」、図18bに示す個々のコマンド「CMD」、書き込み対象となる無線タグ24のメモリ位置を指定するポインタである「PTR」、書き込まれる情報の長さを示す「LEN」、書き込まれる情報の内容である「VAL」、「PTR」、「LEN」、「VAL」のパリティ情報である「P」、及びコマンドの終了を示す「EOF」から成る。
前記コマンドフレームは、図20に示す0信号、1信号、及び送信パワーオン・オフを要素として一連の信号を構成する。情報の書き込み対象となる前記無線タグ24の特定動作、或いは前記無線タグ24への情報の書き込み動作では、このコマンドフレームに基づく変調情報であるTX−ASK信号が前記高周波回路56の搬送波変調部122に供給され、その搬送波変調部122において搬送波のASK変調が行われて前記無線タグ24へ送信される。その信号を受信した無線タグ24では、コマンドに対応する前記メモリ部72への情報の書き込みや、情報の返信動作等が行われる。
前記無線タグ24による情報の返信動作では、以下に詳細に説明するリプライ情報は、図21に示す0信号及び1信号を要素とするFSK変調された一連の信号として構成され、その信号に基づいて搬送波が反射変調されて前記無線タグリーダライタ12へ返信される。例えば、情報の書き込み対象となる前記無線タグ24の特定動作では、図22に示すようなその無線タグ24に固有のIDを示す信号により変調された反射波が前記無線タグリーダライタ12へ返信される。
図23は、前記無線タグ24のメモリ構成を示す図である。この図23に示すように、前記無線タグ24のメモリ部72には、前述したCRC符号の計算結果、その無線タグ24に固有のID、及びパスワードが予め記憶されている。図24に示すように、「SCROLL ID」コマンドを含む信号が受信された場合には、0xFEで表される8bitの「PREAMBLE」信号と、前記メモリ部72に記憶されたCRC符号の計算結果である「CRC」、及びその無線タグ24のIDを示す「ID」から成るリプライ信号が作成される。
前述した図18bの「PING」コマンドは、複数の前記無線タグ24に対して各無線タグ24のメモリ部72に記憶された情報のうち、この「CRC」及び「ID」に該当する部分すなわち読み出し開始位置を指定して読み出しを行うものであり、図19に示すように、「PING」コマンドは、開始アドレスポインタ「PTR」、データ長「LEN」、及び値「VAL」の情報を含む。図25に示すように、前記メモリ部72に記憶された情報のうち「PTR」番目から後ろ「LEN」個のデータが「VAL」と等しい場合、「PTR+LEN+1」番目以降8bitのデータがリプライ信号となる。前記メモリ部72に記憶された情報のうち「PTR」番目から後ろ「LEN」個のデータが「VAL」と等しくない場合には、返信対象となっていないためリプライ信号は生成されない。
また、前記無線タグ24の「PING」コマンドに対する返信タイミングは、リプライ信号の上位3bitによって決まり、前記無線タグリーダライタ12から「PING」に続けて送られるBINパルスによって区切られた「bin0」乃至「bin7」の何れかの区間でリプライ信号が返される。例えば、「PING」コマンドとして「PTR=0」、「LEN=1」、「VAL=0」が送られてきた場合、前記メモリ部72に記憶された情報のうち1bit目が「VAL」と同じ0と一致した無線タグ24の場合には、図26(b)に示すような信号が抽出されてリプライ信号に組み込まれ、リプライ信号の上位3bitが「011」なら、図27に示される「PING」コマンドに対するリプライの中の区間「bin3」において返信される。
「PING」コマンドに対するリプライは、タグの数によって以下のように異なったものとなる。すなわち、前記無線タグリーダライタ12の通信範囲内に通信可能な無線タグ24が存在しない場合には、図27の「CASE1」に示すように、いかなるリプライ信号も返信されない。通信範囲内に通信可能な1つの無線タグ24が存在する場合には、図27の「CASE2」に示すように、例えば、「bin3」の区間において「ID1」を示すリプライ信号が返信される。通信範囲内に返信可能な2つの無線タグ24が存在する場合には、図28の「CASE3」に示すように、例えば、「bin0」の区間において「ID1」を示すリプライ信号が返信されると共に、「bin2」の区間において「ID2」を示す信号が返信される。通信範囲内に返信可能な2つの無線タグ24が存在する場合には、図28の「CASE4」に示すように、例えば、「bin2」の区間において「ID1」及び「ID2」を示す信号が返信される場合もある。これは、「ID1」及び「ID2」の上位3bitが等しいためである。「PTR」、「LEN」、「VAL」の値を変化させてからこの「PING」コマンドを繰り返すことで、返信可能な無線タグ24の個数及び各無線タグ24のIDを知ることができ、そのIDを用いて書き込み対象となる無線タグ24へ情報を書き込むことができる。
図29は、図16のSWBにおける情報の書き込み対象となる前記無線タグ24の特定動作を説明するフローチャートである。先ず、SWB1において、「PTR=0」及び「LEN=1」が、SWB2において、「VAL=0」及び先頭データフラグ「a=0」が設定される。次に、SWB3において、「PING」コマンドの回数を示す値「d」に「1」を、SWB4において、前記「d」におけるbin番号である「bn(d)」に「0」が設定され、SWB5において、「PING」コマンドフレームが作成されて送信される。次に、SWB6において、「bin(bn(d))」すなわち「bin0」にリプライ信号があるか否かが判断される。このSWB6の判断が肯定される場合には、メモリ部72の先頭から4bitが「0000」となっているタグであると推定できるので、この情報を元にSWB11において、「SCROLL ID」コマンドフレームを作成して送信することにより、その無線タグ24のCRC符号及びIDを読みとることができる。次に、SWB12において、その読みとられたIDのCRC符号が計算され、その計算結果が送られてきたCRC符号と一致するか否かが比較され、その結果が一致するか否かで斯かるIDが有効なIDが否かが判断される。SWB12の判断が肯定される場合には、読みとられたIDが有効なIDであると判るため、SWB21においてそのIDデータが記憶された後、SWB7の処理が実行される。また、上記SWB6の判断が否定される場合にも、SWB7の処理が実行される。このSWB7において、bin番号「dn(d)」に「1」が加算される。次に、SWB8において、bin番号「bn(d)」がbin区間の総数である「8」に達したか否かが判断される。このSWB8の判断が否定される場合には、上述したSWB6以下の処理が再び実行されるが、SWB8の判断が肯定される場合には、SWB9において、「PING」コマンドの回数を示す「d」が「1」であるか否かが判断される。このSWB9の処理が否定される場合には、SWB17において、「d」に「1」が加算され、SWB18において、「bn(d)」に「1」が加算された後、上述したSWB6以下の処理が再び実行されるが、SWB9の判断が肯定される場合には、前記メモリ部72の先頭データが同じものは全て確認されたことになるため、SWB10の処理が実行される。一方、SWB12の判断が否定される場合には、「bin(bn(d))」の区間で複数のタグが応答していることが考えられ、前回までに行った「PING」コマンドによって判別されるデータを元に、再度「PING」コマンドを作成して送信することで、更に細かく前記無線タグ24のIDを分別する必要がある。この場合、先ず、SWB13において、「LEN」の長さが再計算される。次に、SWB14において、「LEN」の長さが前記メモリ部72の格納総数「MEM_MAX」を超えているか否かが判断される。このSWB14の判断が肯定される場合には、前記メモリ部72のデータが全て読み出されたうえで且つデータにエラーがあるということになり、そのメモリ部72のデータに何らかの欠陥があるものとみなしてIDデータを記憶することなく、SWB22において、「d」から「1」が引かれて次のBIN区間の判定に移るが、SWB14の判断が否定される場合には、更に細かく前記無線タグ24を分別するために、SWB15において、前回までに行った「PING」コマンドによって判別されたデータを元に「VAL」の値が変更される。次に、SWB16において、「d」に「1」が加算された後、上述したSWB4以下の処理が再び実行される。SWB10では、先頭bitデータフラグ「a」の値が「0」であるか否かが判断される。このSWB10の判断が肯定される場合には、前記メモリ部72の先頭データが「0」のものを確認したことになり、次に、SWB19において、「LEN=1」が設定され、SWB20において、「VAL=1」、先頭bitデータフラグ「a=1」と設定された後、上述したSWB4以下の処理が再び実行されるが、SWB10の判断が否定される場合には、通信範囲内の全てのタグのIDを確認したことになるので、本ルーチンはそれをもって終了させられる。なお、本ルーチンにおいて、複数の無線タグ24が検出された場合には、詳細な説明を省略する「Quiet」コマンドにより、対象外のタグは以後のコマンドに応答しないようにした後、処理が進められる。対象となるタグの特定は、例えば、検出されたIDの番号が小さいものから判定することで行われる。また、無線タグ24が1つも検出されなかった場合には、エラーとして終了させられる。
図30は、図16のSWCにおける前記無線タグ24への情報の書き込み動作を説明するフローチャートである。先ず、SWC1において、「N=0」及び「M=0」が設定された後、SWC2において、「ERASE ID」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信されて、書き込み対象となる無線タグ24のメモリ部72が初期化される。次に、SWC3において、「VERIFY」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信された後、SWC4において、前記無線タグ24によるリプライ信号からその無線タグ24のメモリ部72に記憶された情報が確認され、前記無線タグ24のメモリ部72が正常に初期化されているか否かが判断される。このSWC4の判断が肯定される場合には、SWC5において、「PROGRAM ID」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信されて、前記無線タグ24に情報が書き込まれる。次に、SWC6において、「VERIFY」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信された後、SWC7において、前記無線タグ24によるリプライ信号からその無線タグ24のメモリ部72に記憶された情報が確認され、SWC5にて書き込まれた情報と一致するか否かが判断される。このSWC7の判断が肯定される場合には、SWC8において、「LOCK」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信されて、前記無線タグ24への新たな情報の書き込みが禁止された後、本ルーチンが終了させられるが、SWC7の判断が否定される場合には、SWC9において、「N←N+1」とされた後、SWC10において、「N=5」であるか否かが判断される。このSWC10の判断が否定される場合には、SWC5以下の処理が再び実行されるが、SWC10の判断が肯定される場合、すなわちSWC5以下の書き込み処理を5回以上失敗した場合には、SWC11において、前記無線タグ24への情報の書き込み失敗が確認された後、本ルーチンが終了させられる。一方、SWC4の判断が否定される場合、すなわち前記無線タグ24のメモリ部72が正常に初期化されていないと判断される場合には、SWC12において、「M←M+1」とされた後、SWC13において、「M=5」であるか否かが判断される。このSWC13の判断が否定される場合には、SWC2以下の処理が再び実行されるが、SWC13の判断が肯定される場合、すなわちSWC2以下の初期化処理を5回以上失敗した場合には、SWC11において、前記無線タグ24への情報の書き込み失敗が確認された後、本ルーチンが終了させられる。以上のルーチンにより、通信範囲内にある前記無線タグ24に所望の情報を書き込むことができる。
なお、本発明を用いることにより、複数個の前記無線タグ24と通信することはできなくなるため、図16のSWBによる処理は、「PING」コマンドではなく「SCROLL ID」コマンドのみを用いてもよい。この場合、SWBにおけるタグ特定処理時間が大幅に削減できるという利点がある。
図31は、図16のSWCにおける前記無線タグ24への情報の書き込み動作と並行して行われる、前記カバーフィルム86への印字動作及びタグテープ24の切断動作を説明するフローチャートである。先ず、ST1において、前記通信回線14を介して前記情報サーバ22から印字書き込み情報がダウンロード或いはアップロードされる。次に、ST2において、前記カートリッジ用モータ駆動回路32、印刷駆動回路36、及び送出ローラ駆動回路42等を介して前記カバーフィルム86への印字動作が実行されると共に、前記センサ52がオンとされるまで前記送出ローラ38等により前記タグテープ26が送出される。次に、前述したSWCにおける前記無線タグ24への情報の書き込み動作が実行される。次に、前記ソレノイド48等を介して前記カッタ50により前記タグテープ26が切断され、前記センサ52がオフとされるまで前記送出ローラ38等により分割された前記無線タグ24が送出される。そして、ST4において、印字及び情報書き込み動作の成功が確認された後、本ルーチンが終了させられる。以上のルーチンにより、所定の印字が行われると共に所定の情報が書き込まれた前記無線タグ24が生成される。
このように、本実施例によれば、前記無線タグ24が所定の近接通信範囲内に配置されたときのその無線タグ24のアンテナ部64と前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との相互結合によって変化したその無線タグ24のアンテナ部64の共振周波数をその無線タグリーダライタ12が送信する搬送波の周波数として設定することで、前記近接通信範囲内に配置された無線タグ24のみと通信するものであることから、その近接範囲内にある通信対象となる無線タグ24は感度が強く、それ以外の無線タグ24は感度が弱くなるため、通信対象となる無線タグ24との通信が通信対象ではない無線タグ24の通信と混信するのを好適に防止することができる。すなわち、対象となる無線タグ24のみとの間で確実に通信を行う無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記近接通信範囲は、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離がその無線タグ24のアンテナ部54の自由空間共振周波数に対応する波長の0.1倍以下となる範囲であり、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離がその無線タグ24の自由空間共振周波数に対応する波長の0.5倍の位置におけるその無線タグ24のアンテナ部54の共振周波数より高い周波数を有する搬送波を発生させるものであるため、共振周波数の容量性・誘導性の変化は、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離がその無線タグ24の自由空間共振周波数を有する搬送波の2分の1波長となる位置で極大値を示し、その距離がそれらアンテナ単体の10分の1波長以下となる位置においてはその極大値を超える値をとることから、その範囲の周波数及び通信範囲を用いて通信を行うことで、更に確実に対象となる無線タグ24のみとの間で通信を行うことができる。
また、前記アンテナ部64として半波長ダイポールアンテナを備えた無線タグ24との間で通信を行うことにより情報の読み書きを行う無線タグリーダライタ12であって、前記近接通信範囲は、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離がその無線タグ24の自由空間共振周波数に対応する波長の0.05倍以下となる範囲であり、前記無線タグ24の自由空間共振周波数の1.03倍以上の周波数を有する搬送波を発生させるものであるため、その無線タグ24のアンテナ部64単体の共振周波数の1.03倍以上の周波数を発生させた場合、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54と前記無線タグ24のアンテナ部64との距離が前記無線タグ24の自由空間共振周波数を有する搬送波の20分の1波長以下となる位置において感度が高い値を示すことから、その範囲の周波数及び通信範囲を用いて通信を行うことで、更に確実に対象となる無線タグ24のみとの間で通信を行うことができる。
また、前記近接通信範囲は、前記無線タグ24のアンテナ部64と前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との距離がその無線タグ24の自由空間共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲であり、前記無線タグ24のアンテナ部64と前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との距離がその範囲内である位置におけるその無線タグ24のアンテナ部64の共振周波数を有する搬送波を発生させるものであるため、前記無線タグ24のアンテナ部64と前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との相互結合によるその無線タグ24のアンテナ部64の共振周波数の変化は、その無線タグ24のアンテナ部64と前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との距離がその無線タグ24の自由空間共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲で極小値を示すことから、その範囲の周波数及び通信範囲を用いて通信を行うことで、更に確実に対象となる無線タグ24のみとの間で通信を行うことができる。
また、前記近接通信範囲内にある無線タグ24のみと通信する近接通信モードと、その近接通信範囲外にある無線タグ24と通信する遠方通信モードとを切り換えるモード切換部132を備えており、前記近接通信モードにおいて前記搬送波発生部120により発生させる搬送波の周波数と、前記遠方通信モードにおいてその搬送波発生部120により発生させる搬送波の周波数とを異なる周波数に設定するものであるため、前記近接通信範囲内外における前記無線タグリーダライタ12が送信する搬送波の周波数をそれぞれ設定できることから、前記近接通信範囲内にある無線タグ14のみとの間で確実に通信を行うことができると共に、その近接通信範囲外にある無線タグ24とも好適に通信を行うことができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
図32は、前記無線タグリーダライタ12の通信対象となる無線タグの他の態様を説明する図である。この図32に示す無線タグ136は、高絶縁体等から成る基板138の上面に形成されたアンテナパッチ140と下面に形成された地板142とから成るマイクロストリップアンテナを備えたものである。前記無線タグリーダライタ12は、斯かる無線タグ136との間でも好適に通信を行うことができる。その他、本発明の無線タグリーダライタの通信対象となる無線タグとしては、図33に示すようなマイクロストリップアンテナを備えた無線タグ144や、八木アンテナを備えた無線タグ等、様々な態様が考えられる。
また、前述の実施例において例示した前記高周波回路56の搬送波発生部120により発生させられる搬送波の周波数及び前記無線タグリーダライタ12の近接通信範囲は、あくまで好適な一実施例に過ぎず、前記無線タグ24のアンテナ部64と前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との相互結合によって変化するその無線タグ24のアンテナ部64の共振周波数に基づいて適宜定められるものである。
また、前記無線タグリーダライタ12は、前記無線タグ24に情報の書き込みを行うと共に、その無線タグ24を識別するための印刷を行うものであったが、この印刷は必ずしも行われなくともよく、書き込みのみ或いは情報の読み出しのみを行うものであっても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
本発明が好適に適用されるRFIDシステムを説明する図である。 本発明の一実施例である無線タグリーダライタの構成を説明する図である。 本発明の一実施例である無線タグの構成を説明する図である。 図3の無線タグの外観を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は底面図である。 図4のV‐V視断面図である。 図2のカートリッジの構成を詳しく説明する図である。 図2のセンサの電気的構成を説明する図である。 図2の制御回路の構成を説明する図である。 図2の無線タグリーダライタによる無線タグへの情報の書き込みに際して、図1の端末又は汎用コンピュータに表示される画面の一例である。 図2の高周波回路を詳しく説明する図である。 図2の無線タグリーダライタの送受信アンテナと図3の無線タグのアンテナ部との距離を変えた場合の共振周波数の変化について説明する図であり、それらのアンテナが何れも線状エレメント長さ57.0mm、断面半径0.5mm、抵抗50Ω、単体の共振周波数2.44GHzの半波長ダイポールアンテナである場合を例示するものである。 図2の無線タグリーダライタの送受信アンテナと図3の無線タグのアンテナ部との距離を変えた場合の共振周波数の変化について説明する図であり、それらのアンテナが何れも線状エレメント長さ114.0mm、断面半径0.5mm、抵抗50Ω、単体の共振周波数2.44GHzの1波長ダイポールアンテナである場合を例示するものである。 図1のRFIDシステムによる図3の無線タグへの情報書き込みに先立ち実行される、図2の無線タグリーダライタの初期化動作を説明するフローチャートである。 図13のSPAにおける無線タグリーダライタの機械情報の初期化動作を説明するフローチャートである。 図13のSPBにおける無線タグリーダライタの高周波回路に備えられた搬送波発生部の設定初期化動作を説明するフローチャートである。 図2の無線タグリーダライタによる図3の無線タグへの情報書き込み動作を説明するフローチャートである。 図16のSWAにおける無線タグへ情報を書き込むための準備動作を説明するフローチャートである。 図3の無線タグに情報を送信するための変調情報の生成について説明するフローチャートである。 図18aのコマンド決定ルーチンにて決定されるコマンドの種類を示す表である。 図18aのコマンドフレーム構造を詳しく説明する図である。 図18aのコマンドフレームの構成要素である0信号及び1信号について説明する図である。 図3の無線タグからのリプライ信号の作成に用いられる0信号及び1信号について説明する図である。 図3の無線タグに固有のIDを示す信号を例示する図である。 図3の無線タグのメモリ構成を示す図である。 図3の無線タグにおいて「SCROLL ID」コマンドを含む信号が受信された場合に返信される「SCROLL ID Reply」について説明する図である。 図3のメモリ部に記憶された情報の一部である「LEN」に続く情報が抽出される様子を説明する図である。 図24の「SCROLL ID Reply」について詳しく説明する図である。 図2の無線タグリーダライタが通信範囲内の無線タグを識別する動作を行った際に考えられる無線タグからの返信状態を例示する図である。 図2の無線タグリーダライタが通信範囲内の無線タグを識別する動作を行った際に考えられる無線タグからの返信状態を例示する図である。 図16のSWBにおける情報の書き込み対象となる無線タグの特定動作を説明するフローチャートである。 図16のSWCにおける無線タグへの情報の書き込み動作を説明するフローチャートである。 図16のSWCにおける無線タグへの情報の書き込み動作と並行して行われる、カバーフィルムへの印字動作及びタグテープの切断動作を説明するフローチャートである。 図2の無線タグリーダライタの通信対象となる無線タグの他の態様を説明する図である。 図2の無線タグリーダライタの通信対象となる無線タグの更に別の態様を説明する図である。
符号の説明
12:無線タグリーダライタ
24、136、144:無線タグ
54:送受信アンテナ
64:アンテナ部
132:モード切換部

Claims (5)

  1. 無線タグとの間で通信を行うことにより情報の読み書きを行う無線タグリーダライタであって、
    該無線タグが所定の近接通信範囲内に配置されたときの該無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの相互結合によって変化した該無線タグのアンテナの共振周波数に基づいて該無線タグリーダライタが送信する搬送波の周波数を設定することを特徴とする無線タグリーダライタ。
  2. 前記近接通信範囲は、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離が該無線タグが単体で存在するときのアンテナの共振周波数に対応する波長の0.1倍以下となる範囲であり、
    前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離が該無線タグが単体で存在するときの共振周波数に対応する波長の0.5倍の位置における該無線タグのアンテナの共振周波数より高い周波数を有する搬送波を発生させるものである請求項1の無線タグリーダライタ。
  3. 前記アンテナとして半波長ダイポールアンテナを備えた無線タグとの間で通信を行うことにより情報の読み書きを行う無線タグリーダライタであって、
    前記近接通信範囲は、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離が該無線タグが単体で存在するときの共振周波数に対応する波長の0.05倍以下となる範囲であり、
    前記無線タグが単体で存在するときの共振周波数の1.03倍以上の周波数を有する搬送波を発生させるものである請求項1の無線タグリーダライタ。
  4. 前記近接通信範囲は、前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離が該無線タグが単体で存在するときの共振周波数に対応する波長の0.2倍以上0.4倍以下となる範囲であり、
    前記無線タグのアンテナと前記無線タグリーダライタのアンテナとの距離が該範囲内である位置における該無線タグのアンテナの共振周波数を有する搬送波を発生させるものである請求項1の無線タグリーダライタ。
  5. 前記近接通信範囲内にある無線タグのみと通信する近接通信モードと、該近接通信範囲外にある無線タグと通信する遠方通信モードとを切り換えるモード切換部を備えており、前記近接通信モードにおいて発生させる搬送波の周波数と、前記遠方通信モードにおいて発生させる搬送波の周波数とを、それぞれ異なる周波数に設定するものである請求項1から4の何れかの無線タグリーダライタ。
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