以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用されるRFIDシステム10を説明する図である。このRFIDシステム10において、本発明の一実施例である複数の無線タグリーダライタ12は、有線或いは無線による通信回線14を介してルートサーバ16、端末18、汎用コンピュータ20、及び複数の情報サーバ22に接続されている。
図2は、上記無線タグリーダライタ12の構成を説明する図である。この無線タグリーダライタ12は、図3(b)及び(c)等に示す無線タグラベル24を作成するためのもので、後述するように表面に文字等の印字を施すと共に所望の書き込みID及び物品情報等をIC回路部80に書き込む等してユーザの要望に応じた無線タグラベル24を即座に作成できるようにしたものである。また、無線タグリーダライタ12は、その無線タグラベル24を構成するアンテナ部64及びIC回路部80から成る無線タグ回路24aが所定の間隔で連続して配設された帯状のタグテープ26を収納する着脱自在のカートリッジ28と、カートリッジ用モータ30を駆動してそのカートリッジ28からのタグテープ26の送出を制御するカートリッジ用モータ駆動回路32と、上記タグテープ26に印刷を行うためにサーマルヘッド34の駆動を制御する印刷駆動回路36と、そのタグテープ26を矢印で示す方向に送出するための送出ローラ38と、送出ローラ用モータ40を介してその送出ローラ38の駆動を制御する送出ローラ駆動回路42と、上記タグテープ26をカートリッジ28から搬出口44へ案内するための非磁性体材料から成る搬送ガイド46と、ソレノイド48の駆動に応じてそのタグテープ26を所定の長さで切断して個々の無線タグラベル24に分割するカッタ50と、上記搬出口44におけるそのタグテープ26の有無を検出するセンサ52と、上記無線タグ回路24aとの間で通信を行うための送受信アンテナ54と、対象となる無線タグ回路24aの共振周波数fを変更するために上記タグテープ26に関してその送受信アンテナ54の反対側に配設された共振周波数変更要素であるフェライトコア55と、上記送受信アンテナ54を介してそのフェライトコア55に近接した無線タグ回路24aに情報を書き込むための通信回路56と、その無線タグ回路24aから読み出された信号を処理して情報を読み出すための信号処理回路58と、上記カートリッジ用モータ駆動回路32、印刷駆動回路36、送出ローラ駆動回路42、ソレノイド48、通信回路56、及び信号処理回路58等を介して上記無線タグリーダライタ12の駆動を制御するための制御回路60とを、備えて構成されている。その制御回路60は、入出力インターフェイス62により上記通信回線14に接続されている。また、本実施例では詳しい説明を省略するが、上記タグテープ26は、例えば、印刷可能表面を有する帯状の第1基材と、上記無線タグ回路24aが所定の間隔で連続して配設された帯状の第2基材とが貼り合わされることで形成されるものであり、それら第1基材及び第2基材がそれぞれ巻回された状態で上記カートリッジ28内に収納されている。
図3は、上記無線タグラベル24の構成を説明する図であり、(a)は無線タグラベルに備えられた無線タグ回路の電気的構成、(b)は平面図、(c)は(b)のIII‐III断面図をそれぞれ示している。この図3(a)に示すように、上記無線タグ回路24aは、前記無線タグリーダライタ12の送受信アンテナ54との間で、或いはその無線タグリーダライタ12とは異なる質問器との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部64と、そのアンテナ部64に接続されたIC回路部80とから成り、そのIC回路部80は、上記アンテナ部64により受信された搬送波を整流する整流部66と、その整流部66により整流された搬送波のエネルギを蓄積するための電源部68と、上記アンテナ部64により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部76に供給するクロック抽出部70と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部72と、上記アンテナ部64に接続された変復調部74と、上記整流部66、クロック抽出部70、及び変復調部74等を介して上記無線タグ回路24aの作動を制御するための制御部76とを、備えて構成されている。この制御部76は、前記無線タグリーダライタ12と通信を行うことにより上記メモリ部72に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部64により受信された搬送波を上記変復調部74において上記メモリ部72に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで反射波として上記アンテナ部64から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
また、図3(b)及び(c)に示すように、前記無線タグラベル24の片側の面(表面)には、例えば、その無線タグラベル24の種類を示す「RF−ID」等の印字25aが印刷されている。また、上記IC回路部80は、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム25bの裏面に固設されており、上記アンテナ部64は、そのベースフィルム25bの表面に印刷等により形成されている。また、上記ベースフィルム25bの表側には粘着層25cを介して透明なカバーフィルム25dが、裏側には粘着層25eを介して剥離紙25fがそれぞれ接着されている。なお、前記無線タグラベル24が所定の商品等に貼り付けられる際には、上記剥離紙25fが剥がされて粘着層25eにより接着される。
図4は、前記無線タグ回路24aの構成を説明する前記タグテープ26の平面図である。この図4に示すように、前記無線タグ回路24aに備えられたアンテナ部64は、好適には、所定の共振周波数fを有するコイル状のループアンテナであり、前記タグテープ26には、その同じ共振周波数fのアンテナ部64を備えた無線タグ回路24aが所定間隔で連続して配設されている。一般にコイルのリアクタンスLは、係数をk、磁芯の透磁率をμ、コイルの巻数をn、コイルの断面積をS、コイルの長さをlとして次の数式1で表される。また、コイル状のループアンテナの共振周波数fは、そのループアンテナにより形成される回路のリアクタンスをL、キャパシタンスをCとして次の数式2で表される。すなわち、前記アンテナ部64の共振周波数fは、そのアンテナ部64により形成される回路のリアクタンスL、延いてはコイルに備えられた磁芯の透磁率μの関数である。
[数式1]
L=k・μ・n2 ・S/l
[数式2]
f=1/{2π・(L・C)1/2}
図5は、前記無線タグリーダライタ12による前記無線タグ回路24aへの情報の書き込み動作を概略的に示す図である。前記無線タグリーダライタ12に備えられた送受信アンテナ54は、好適には、ループアンテナである前記アンテナ部64と磁気結合して通信を行うことで対象となる無線タグ回路24aのIC回路部80への情報の書き込みを行う。共振周波数変更要素である前記フェライトコア55は、通信を行うための位置に予め位置決めされる対象となる無線タグ回路24aのアンテナ部64の近傍に配設されている。また、換言すれば、対象となる無線タグ回路24aが通信を行うための位置に位置決めされることによりその無線タグ回路24aのアンテナ部64の共振周波数fを変更し得る位置に配設されている。図5に示すように、対象となる無線タグ回路24aが搬送されて前記送受信アンテナ54の近傍に位置させられると、その無線タグ回路24aは前記フェライトコア55に近接させられる。この場合、斯かるフェライトコア55は、対象となる無線タグ回路24aのループアンテナに対して磁芯として働くことでその共振周波数fを変更する。例えば、前記フェライトコア55の透磁率をμaとすると、そのフェライトコア55を磁芯とするコイルのリアクタンスLaは、次の数式3で表され、変更された前記アンテナ部64の共振周波数faは、次の数式4により表される値となる。この態様における共振周波数変更要素は、ループアンテナである前記アンテナ部64のリアクタンスLを十分に変化させ得る磁芯として働くものであればよく、前記フェライトコア55は、好適には、高周波特性に優れたMnZnフェライト材等から成り、例えば、周波数が13.5MHz程度では透磁率μが100以上である他の磁性体から成るコアに置き換えられても構わない。なお、前記搬送ガイド46は、好適には、斯かる共振周波数変更要素の作用が目的の無線タグ回路24aに対して適用されるように、すなわち磁気シールド或いは静電シールドとならないようにプラスチック等の材料から形成される。このように、前記送受信アンテナ54による情報書込位置すなわちその送受信アンテナ54及びフェライトコア55の近傍に位置させられた対象となる無線タグ回路24aのみの共振周波数をfaに変更したうえで、その共振周波数faにより前記送受信アンテナ54との間で通信を行うことで、対象ではない他の無線タグ回路24aとの間で誤って通信が行われるのを好適に防止できる。
[数式3]
La=k・μa・n2 ・S/l
[数式4]
fa=1/{2π・(La・C)1/2}
図6は、前記センサ52の電気的構成を説明する図である。この図6に示すように、前記センサ52は、例えば、投光器82及び受光器84から成る透過型の光電センサであり、その投光器82と受光器84の間に前記タグテープ26乃至は無線タグラベル24がない場合には、その投光器82から出力された光が受光器84に入力されるが、上記投光器82と受光器84の間に前記タグテープ26乃至は無線タグラベル24がある場合には、その投光器82から出力された光が遮蔽されて受光器84からの制御出力が反転させられるようになっている。この制御出力は、前記タグテープ26乃至は無線タグラベル24の有無を表す信号として前記制御回路60に供給される。
図7は、前記制御回路60の構成を説明する図である。この図7に示すように、前記制御回路60は、中央演算処理装置であるCPU86、ROM(Read Only Memory)88、及びRAM(Random Access Memory)90等から成り、RAM90の一時記憶機能を利用しつつROM88に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータシステムである。また、この制御回路60は、前記入出力インターフェイス62を介して前記通信回線14に接続されており、前記ルートサーバ16、端末18、汎用コンピュータ20、及び情報サーバ22等との間で情報のやりとりが可能とされている。図8は、前記無線タグリーダライタ12による前記無線タグ回路24aへの情報の書き込みに際して、前記端末18又は汎用コンピュータ20に表示される画面の一例である。この図8に示すように、前記無線タグラベル24に印刷される印字文字、その無線タグラベル24に固有のIDである書き込みID、前記情報サーバ22に記憶された物品情報のアドレス、及び前記ルートサーバ16におけるそれらの対応情報の格納先アドレス等が前記端末18又は汎用コンピュータ20に表示可能とされており、その端末18又は汎用コンピュータ20の操作により前記無線タグリーダライタ12が作動させられて、前記タグテープ26等に所定の印字文字が印刷されると共に、前記IC回路部80に上記書き込みID及び物品情報等の情報が書き込まれる。また、前記無線タグ回路24aのIDとその無線タグ回路24aに書き込まれた情報との対応関係が前記ルートサーバ16に記憶され、必要に応じて参照できるようになっている。
図9は、前記通信回路56の構成を詳しく説明する図である。この図9に示すように、前記通信回路56は、前記無線タグ回路24aに対して所定の信号を送信する送信部92と、その無線タグ回路24aからの反射波を受信する受信部94とから成り、その送信部92は、前記制御回路60からの指令に基づいて前記無線タグ回路24aに情報を書き込むための搬送波を発生させる搬送波発生部96と、前記信号処理回路58から供給される情報信号に基づいてその搬送波発生部96により発生させられた搬送波を変調(例えば、TX−ASK信号に基づく振幅変調)する搬送波変調部98と、その搬送波変調部98により変調された変調波を増幅する変調波増幅部100とを、備えて構成されている。その変調波増幅部100の出力は、結合回路102を介して前記送受信アンテナ54に伝達され、磁気結合等により前記アンテナ部64を介して前記IC回路部80に供給される。また、上記搬送波発生部96は、PLL(位相制御ループ)96a及びVCO(電圧制御発振回路)96bを備えており、前記制御回路60からの指令に応じて発生させる周波数を設定できるようになっている。
前記送受信アンテナ54により受信された前記無線タグ回路24aからの反射波は、上記結合回路102を介して上記受信部94に入力される。その受信部94は、前記送受信アンテナ54からの受信信号を増幅するLNA(Low Noise Amp)104と、そのLNA104により増幅された受信信号における所定の周波数帯域の信号のみを通過させる帯域通過フィルタ106とを、備えて構成されている。その帯域通過フィルタ106の出力は、前記信号処理回路58に入力されてその信号処理回路58により復調処理され、前記無線タグ回路24aによる変調に関する情報すなわち前記メモリ部72に記憶された情報が読み出される。また、上記受信部94には、受信信号の強度を検出するためのRSSI回路107が備えられている。
図9に示す共振周波数検出手段108は、前記制御回路60の制御機能であり、上記RSSI回路107により受信信号の強度を検出して、共振周波数変更要素すなわち前記フェライトコア55により変更された前記無線タグ回路24aの共振周波数faを判定する。好適には、前記搬送波発生部96により発生させられる搬送波の周波数を制御することにより通信周波数を低周波から高周波へと変化させつつ対象である無線タグ回路24aとの間で通信を行い、その無線タグ回路24aからの応答信号強度が極大となる通信周波数を変更された共振周波数faとして検出する。この共振周波数検出手段108により検出された共振周波数faが対象となる無線タグ回路24aに情報を書き込むための通信周波数として用いられる。なお、この共振周波数検出手段108は、複数の無線タグ回路24aへの情報の書き込みに用いられる通信周波数として1つの無線タグ回路24aの変更された共振周波数faを検出するものであってもよいし、全ての無線タグ回路24aについて逐一変更された共振周波数faを検出するものであってもよい。また、この共振周波数faは、予め測定結果等に基づいて定められたものであってもよく、前記搬送波発生部96によりその周波数の搬送波を発生させるものであっても構わない。
前記送受信アンテナ54の近傍に備えられることで対象となる無線タグ回路24aの共振周波数fを変更するための共振周波数変更要素は、図10に示すように、ループアンテナである前記アンテナ部64との間の相互誘導により前記無線タグ回路24aの共振周波数fを変更するコイル110であってもよい。このコイル110は、好適には、前記フェライトコア55と同様に前記タグテープ26に関して前記送受信アンテナ54の反対側に配設される。図10に示すように、対象となる無線タグ回路24aが前記送受信アンテナ54の近傍に位置させられると、その無線タグ回路24aに関して反対側に配設された上記コイル110もまたその無線タグ回路24aに近接させられる。この場合、対象となる無線タグ回路24aのアンテナ部64とそのコイル110との間に相互誘導が生じてそのアンテナ部64のインダクタンスLが変化し、延いては共振周波数fが変更される。例えば、上記コイル110との相互誘導により変更された対象となる無線タグ回路24aのアンテナ部64のリアクタンスをLbとすると、変更されたそのアンテナ部64の共振周波数fbは、次の数式5により表される値となる。この態様では、対象となる無線タグ回路24aに情報を書き込むための通信周波数としてこの共振周波数fbを用いることで、対象ではない他の無線タグ回路24aとの間で誤って通信が行われるのを好適に防止できる。
[数式5]
fb=1/{2π・(Lb・C)1/2}
また、前記無線タグリーダライタ12に備えられる共振周波数変更要素は、対象となる無線タグ回路24aのアンテナ部64に並列に接続されることによりその無線タグ回路24aの共振周波数fを変更する容量素子112であってもよい。図11は、その容量素子112と並列に接続され得る無線タグ回路114aが所定の間隔で連続して配設された帯状のタグテープ116の平面図である。また、図12は、その無線タグ回路114aに上記容量素子112が並列に接続された様子を説明する図であり、(a)は無線タグラベル24を鎖線で示す平面図、(b)は(a)のXII‐XII断面図である。上記容量素子112は、例えば、比誘電率εが3以上であるフィルム状の誘電体118と、その誘電体118に接続された1対の接続電極120とから成るものであり、上記無線タグ回路114aのアンテナ部64におけるIC回路部80との接続部近傍には、それら1対の接続電極120と電気的に接続されることによりその無線タグ回路114aと容量素子112とを並列に接続させるための1対の接続電極122が設けられている。図12(b)に示すように、上記フィルム状の誘電体118は、好適には、上記タグテープ26を搬出口44へ案内するための搬送ガイド46の内面に貼り付けられる等して配設されたものである。
図13は、前記無線タグリーダライタ12による上記無線タグ回路114aへの情報の書き込み動作を概略的に示す図である。この図13に示すように、対象となる無線タグ回路114aが前記送受信アンテナ54の近傍に位置させられることによりその無線タグ回路114aに備えられた接続電極122及び上記容量素子112に備えられた接続電極120が直接或いは容量結合等により間接に電気的に接続されるように上記容量素子112が配設されている。上記無線タグ回路114aと容量素子112とが並列に接続されると、その無線タグ回路114aのアンテナ部64により形成される回路は、そのアンテナ部64のリアクタンスをL1、キャパシタンスをC1、上記容量素子112のリアクタンスをL2、キャパシタンスをC2として、図14の等価回路に示すような構成になり、それにより変更されたアンテナ部64の共振周波数fcは、数式6により表されるLc及び数式7により表されるCcを用いて、次の数式8により表される値となる。この態様では、対象となる無線タグ回路114aに情報を書き込むための通信周波数としてこの共振周波数fcを用いることで、対象ではない他の無線タグ回路114aとの間で誤って通信が行われるのを好適に防止できる。
[数式6]
Lc=L1
[数式7]
Cc=C1+C2
[数式8]
fc=1/{2π・(Lc・Cc)1/2}
また、所定の共振周波数変更要素を前記無線タグリーダライタ12に配設することにより、ダイポールアンテナを備えた無線タグ回路の共振周波数fを変更することができる。図15は、アンテナ部128として共振周波数fを有するダイポールアンテナを備えた無線タグ回路124aが所定間隔で連続して配設されたタグテープ126の平面図であり、図16は、その無線タグ回路124aに情報を書き込むための無線タグリーダライタ12の構成を説明する図である。この無線タグリーダライタ12には、情報の書き込みに際して上記無線タグ回路124aが配置される所定位置に近接してその無線タグ回路124aと平行を成すように平板状誘電体130が配設されている。好適には、対象となる無線タグ回路124aを挟むように1対の上記平板状誘電体130が前記搬送ガイド46に固設されている。この平板状誘電体130の比誘電率εは、好適には、3以上である。この構成において、前記送出ローラ38によりタグテープ126が図16の矢印で示す方向に送られて対象となる無線タグ回路124aが上記所定位置に配置されると、図15に示すように、上記1対の平板状誘電体130がその無線タグ回路124aを両側から挟むような相対位置とされ、その無線タグ回路124aのアンテナ部128の電気的な長さが変化することでその共振周波数がfdに変更される。この態様では、対象となる無線タグ回路124aに情報を書き込むための通信周波数としてこの共振周波数fdを用いることで、対象ではない他の無線タグ回路124aとの間で誤って通信が行われるのを好適に防止できる。
続いて、以上のように構成されたRFIDシステム10による前記無線タグ回路24a、114a、124a(以下、特に区別しない場合には無線タグ回路24aと称する)への情報書き込み動作及びそれに先立つ書き込み準備動作について説明する。
図17は、前記RFIDシステム10による前記無線タグ回路24aへの情報書き込みに先立ち実行される、前記無線タグリーダライタ12の初期化動作を説明するフローチャートである。先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SPAにおいて、前記無線タグリーダライタ12の機械情報が初期化される。次に、SPBにおいて、前記無線タグリーダライタ12の通信回路56に備えられた搬送波発生部96の設定が初期化された後、本ルーチンが終了させられる。
図18は、図17のSPAにおける前記無線タグリーダライタ12の機械情報の初期化動作を説明するフローチャートである。先ず、SPA1において、前記カートリッジ28の有無が判定される。次に、SPA2において、前記カートリッジ28の種別すなわち前記タグテープ26、116、126(以下、特に区別しない場合にはタグテープ26と称する)の幅及びRFIDの有無等が判定される。次に、SPA3において、前記カートリッジ28のタグテープ26が使い切られているか等が判定された後、本ルーチンが終了させられる。
図19は、図17のSPBにおける前記無線タグリーダライタ12の通信回路56に備えられた搬送波発生部96の設定初期化動作を説明するフローチャートである。先ず、SPB1において、前記変調波増幅部100へ供給されて送信信号強度を定める信号TX−PWRがオフとされる。次に、SPB2において、前記搬送波発生部96に備えられたPLL(Phase Locked Loop)が搬送波周波数に設定されて、同じくその搬送波発生部96に備えられたVCO(Voltage Controlled Oscillator)の発振周波数がPLLからの制御電圧により目的の周波数に固定された後、本ルーチンが終了させられる。
図20は、前記無線タグリーダライタ12による前記無線タグ回路24aへの情報書き込み動作を説明するフローチャートである。先ず、SWAにおいて、前記無線タグ回路24aへ情報を書き込むための準備が行われる。次に、SFDにおいて、共振周波数変更要素である前記フェライトコア55、コイル110、容量素子112、平板状誘電体130(以下、特に区別しない場合には共振周波数変更要素と称する)により変更された対象となる無線タグ回路24aの共振周波数fa、fb、fc、fd(以下、特に区別しない場合には共振周波数faと称する)が検出される。次に、SWBにおいて、情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路24aが特定される。次に、SWCにおいて、前記無線タグ回路24aへの情報の書き込みが行われた後、本ルーチンが終了させられる。
図21は、図20のSWAにおける前記無線タグ回路24aへ情報を書き込むための準備動作を説明するフローチャートである。先ず、SWA1において、前記無線タグ回路24aへ書き込まれる情報である書き込みID及び物品情報等が設定される。これらの情報の対応関係は、前記無線タグ回路24aへの情報の書き込みに前後して前記通信回線14を介して前記情報サーバ22に登録される。次に、SWA2において、SWA1にて設定された情報からCRC(Cyclic Readundancy Check)符号が計算される。このCRC符号とは、前記無線タグ回路24aとの間における通信の誤りを検出するための信号であり、例えば、送信情報をX16+X12+X5+1といった多項式で除した剰余で表される。後述する無線タグ回路24aの特定動作では、その無線タグ回路24aにより反射変調されて受信されるデータから前記信号処理回路58等においてCRC符号の計算が行われ、同様に受信されるCRC符号の値とその計算結果とが比較されることで通信の誤りが検出される。次に、SWA3において、SWA1にて設定された情報に基づいてデータフレーム部が作成された後、本ルーチンが終了させられる。
図22は、前記無線タグ回路24aに情報を送信するための変調情報の生成について説明するフローチャートである。先ず、SWD1において、情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路24aを特定したり、情報の書き込みを行う等のファンクションが設定される。次に、SWD2において、SWD1にて設定されたファンクションに応じたコマンドが決定される。次に、SWD3において、SWD2にて決定されたコマンドと、図21のSWA3にて作成されたデータフレーム部等からコマンドフレームが作成される。次に、SWD4において、SWD3にて作成されたコマンドフレームが前記制御回路60のメモリバッファに記憶される。そして、SWD5において、そのメモリバッファに記憶されたコマンドフレームに基づく変調情報であるTX−ASK信号が前記信号処理回路58により生成される。
図22のSWD2にて決定されるコマンドの種類を図23に示す。情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路24aを特定する通信では、その無線タグ回路24aに記憶された情報を読み出すための「PING」及び「SCROLL ID」等のコマンドが用いられる。また、前記無線タグ回路24aに情報を書き込むための通信では、その無線タグ回路24aに記憶された情報を初期化するための「ERASE ID」、情報を書き込むための「PROGRAM ID」、書き込まれた情報を確認するための「VERIFY」、新たな情報の書き込みを禁止するための「LOCK」等のコマンドが用いられる。
図24は、図22のSWD3にて作成されるコマンドフレーム構造を詳しく説明する図である。前記コマンドフレームは、T0 を1ビットの情報を送信するための時間として、2T0 の送信パワーオフである「GAP」、5T0 の送信パワーオンである「PREAMBL」、20箇の0信号を送信してクロック同期をとるための「CLKSYNC」、コマンドの内容である「COMMAND」、8T0 の送信パワーオンである「SET UP」、及び1箇の1信号を送信する「SYNC」から成る。前記無線タグ回路24aにより解釈される部分である「COMMAND」は、コマンドの開始を示す「SOF」、図23に示す個々のコマンド「CMD」、書き込み対象となる無線タグ回路24aのメモリ位置を指定するポインタである「PTR」、情報の長さを示す「LEN」、送信する情報の内容である「VAL」、上記「PTR」、「LEN」、及び「VAL」のパリティ情報である「P」、及びコマンドの終了を示す「EOF」から成る。
前記コマンドフレームは、図25に示す0信号、1信号、及び所定時間の連続した送信パワーオン・オフを要素として構成される。情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路24aの特定動作や、情報の書き込み動作では、このコマンドフレームに基づく変調情報であるTX−ASK信号が前記通信回路56の搬送波変調部98に供給され、その搬送波変調部98において搬送波のASK変調が行われて前記送受信アンテナ54により無線タグ回路24aへ送信される。その信号が対象である無線タグ回路24aに受信されると、前記制御部76によりコマンドに対応する前記メモリ部72への情報の書き込みや、情報の返信動作等が行われる。
前記無線タグ回路24aによる情報の返信動作において、以下に詳細に説明するリプライ情報は、図26に示す0信号及び1信号を要素とするFSK変調された一連の信号として構成され、その信号に基づいて搬送波が反射変調されて前記無線タグリーダライタ12へ返信される。例えば、情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路24aの特定動作では、図27に示すようなその無線タグ回路24aに固有のIDを示す信号により変調された反射波が返信される。
図28は、前記無線タグ回路24aのメモリ構成を示す図である。この図28に示すように、前記無線タグ回路24aのメモリ部72には、前述したCRC符号の計算結果、その無線タグ回路24aに固有のID、及び「LOCK」コマンドに用いられるパスワードが予め記憶されている。上記リプライ情報は、これらの情報に基づいて作成されるものであり、例えば、図29に示すように、「SCROLL ID」コマンドを含む信号が受信された場合には、0xFEで表される8ビットの「PREAMBLE」信号と、前記メモリ部72に記憶されたCRC符号の計算結果である「CRC」、及びその無線タグ回路24aのIDを示す「ID」から成るリプライ信号が作成される。
前述した図23の「PING」コマンドは、複数の前記無線タグ回路24aに対して各無線タグ回路24aのメモリ部72に記憶された情報に対応して図28に示すメモリ上の位置を指定して応答させるためのコマンドであり、図24に示すように、開始アドレスポインタ「PTR」、データ長「LEN」、及び値「VAL」の情報を含む。例えば、図30に示すように、前記メモリ部72に記憶された情報のうち「PTR」番目から後ろ「LEN」個のデータが「VAL」と等しい場合、「PTR+LEN+1」番目以降8ビットのデータがリプライ信号となる。前記メモリ部72に記憶された情報のうち「PTR」番目から後ろ「LEN」個のデータが「VAL」と等しくない場合には、返信対象となっていないためリプライ信号は生成されない。
また、前記無線タグ回路24aの「PING」コマンドに対する返信タイミングは、リプライ信号の上位3ビットによって決まり、前記無線タグリーダライタ12から「PING」に続けて送られるBINパルスによって区分される「bin0」乃至「bin7」のうち何れかの区間でリプライ信号が返される。例えば、図31(a)に示すように、「PING」コマンドとして「PTR=0」、「LEN=1」、「VAL=0」が送られてきた場合、前記メモリ部72に記憶された情報のうち1ビット目が「VAL」と一致する「0」である無線タグ回路24aでは、図31(b)に示すような信号が抽出されてリプライ信号に組み込まれ、そのリプライ信号の上位3ビットが「011」であれば、図32に示される「PING」コマンドに対するリプライの中の区間「bin3」においてそのリプライ信号が返信される。
「PING」コマンドに対するリプライは、前記無線タグリーダライタ12の通信範囲内に存在する通信可能な無線タグ回路24aの数によって以下のように異なったものとなる。すなわち、前記無線タグリーダライタ12の通信範囲内に通信可能な無線タグ回路24aが存在しない場合には、図32の「CASE1」に示すように、いかなるリプライ信号も返信されない。通信範囲内に通信可能な1つの無線タグ回路24aが存在する場合には、図32の「CASE2」に示すように、例えば、「bin3」の区間において「ID1」を示すリプライ信号が返信される。通信範囲内に返信可能な2つの無線タグ回路24aが存在する場合には、図33の「CASE3」に示すように、例えば、「bin0」の区間において「ID1」を示すリプライ信号が返信されると共に、「bin2」の区間において「ID2」を示す信号が返信される。また、リプライ信号の上位3ビットが等しい場合には、図33の「CASE4」に示すように、例えば、「bin2」の区間において「ID1」及び「ID2」を示す信号が重なって返信される場合もある。「PTR」、「LEN」、及び「VAL」の値を変化させつつこの「PING」コマンドを繰り返すことで、前記無線タグリーダライタ12の通信範囲内に存在する返信可能な無線タグ回路24aの個数及び各無線タグ回路24aのIDを知ることができ、そのIDを用いて書き込み対象となる無線タグ回路24aへ情報を書き込むことができる。
図34は、図20のSFDにおける前記無線タグ回路24aの共振周波数検出動作を説明するフローチャートである。先ず、SFD1において、前記搬送波発生部96に備えられたPLLの設定が初期値fφとされる。次に、SFD2において、前記無線タグ回路24aからの応答信号の強度であるRSSI(Recieved Signal Strength Indicator)データ「RSSI_1」が検出される、「RSSI_φ」としてメモリであるRAM90等に記憶される。次に、SFD3において、前記搬送波発生部96に備えられたPLLの設定がfφ+fnとされる。ここで、fnはnが増加するにつれ大きくなる値であり、PLLの設定値はそのnの増加に従い低周波から高周波へと変化させられる。次に、SFD4において、前記無線タグ回路24aからの応答信号の強度であるRSSIデータ「RSSI_n」が検出されてRAM90に記憶される。次に、SFD5において、「RSSI_n」が「RSSI_n-1」よりも大きいか否かが判断される。このSFD5の判断が肯定される場合には、SFD7において、「n←n+1」とされた後、SFD3以下の処理が再び実行されるが、SFD5の判断が否定される場合、すなわち「RSSI_n」が極大であることが確認された場合には、SFD6において、前記共振周波数変更要素により変更された対象である無線タグ回路24aの共振周波数をfφ+fnと検出した後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SFD1乃至SFD7が前記共振周波数検出手段108に対応する。
図35は、図20のSWBにおける情報の書き込み対象となる前記無線タグ回路24aの特定動作を説明するフローチャートである。先ず、SWB1において、「PTR=0」及び「LEN=1」が、SWB2において、「VAL=0」及び先頭データフラグ「a=0」が設定される。次に、SWB3において、「PING」コマンドの回数を示す値「d=1」が、SWB4において、前記「d」におけるbin番号である「bn(d)=0」が設定される。次に、SWB5において、SWB1及びSWB2にて設定された「PTR」、「LEN」、及び「VAL」に対応する「PING」コマンドフレームが作成されて送信される。次に、SWB6において、「bin(bn(d))」すなわち「bin0」にリプライ信号があるか否かが判断される。このSWB6の判断が肯定される場合には、メモリ部72の先頭から4ビットが「0000」となっているタグであると推定できるので、この情報を元にSWB11において、「SCROLL ID」コマンドフレームが作成されて送信されることで、対象となる無線タグ回路24aのCRC符号及びIDを含むリプライ信号が得られる。次に、SWB12において、SWB11にて読みとられたIDのCRC符号が計算され、その計算結果が受信されたCRC符号と一致するか否かが比較されることでそのIDが有効なIDが否かが判断される。SWB12の判断が肯定される場合には、読みとられたIDが有効なIDであると判断されるため、SWB21においてそのIDデータが記憶された後、SWB7以下の処理が実行される。一方、SWB6の判断が否定される場合にも、SWB7以下の処理が実行される。このSWB7において、bin番号「dn(d)」に「1」が加算された後、SWB8において、bin番号「bn(d)」がbin区間の総数である「8」より小さいか否かが判断される。このSWB8の判断が肯定される場合には、SWB6以下の処理が再び実行されるが、SWB8の判断が否定される場合には、SWB9において、「PING」コマンドの回数を示す「d」が「1」であるか否かが判断される。このSWB9の判断が否定される場合には、SWB17において、「d」から「1」が引かれ、SWB18において、「bn(d)」に「1」が加算された後、SWB6以下の処理が再び実行されるが、SWB9の判断が肯定される場合には、前記メモリ部72の先頭データが同じものは全て確認されたことになるため、SWB10において、先頭データフラグ「a」の値が「0」であるか否かが判断される。一方、SWB12の判断が否定される場合には、「bin(bn(d))」の区間で複数のタグが応答していることが考えられ、前回までに実行された「PING」コマンドによって判別されるデータを元に、再度「PING」コマンドが作成されて送信されることで、更に細かく前記無線タグ回路24aのIDが分別される。すなわち、SWB13において、「LEN」の長さが再計算された後、SWB14において、「LEN」の長さが前記メモリ部72の格納総数「MEM_MAX」より大きいか否かが判断される。このSWB14の判断が肯定される場合には、前記メモリ部72のデータが全て読み出されたうえで且つデータにエラーがあるということになり、そのメモリ部72のデータに何らかの欠陥があるものとみなされてIDデータが記憶されることなく、SWB22において、「d」から「1」が引かれて次のBIN区間の判定に移るが、SWB14の判断が否定される場合には、SWB15において、前回までに実行された「PING」コマンドによって判別されたデータを元に「VAL」の値が変更され、SWB16において、「d」に「1」が加算された後、SWB4以下の処理が再び実行される。SWB10の判断が肯定される場合、すなわち先頭データフラグ「a」の値が「0」であると判断される場合には、前記メモリ部72の先頭データが「0」のものが確認されたことになり、SWB19において、「LEN=1」が設定され、SWB20において、「VAL=1」、先頭データフラグ「a=1」と設定された後、SWB4以下の処理が再び実行されるが、SWB10の判断が否定される場合、すなわち先頭データフラグ「a」の値が「0」ではないと判断される場合には、通信範囲内に存在する全ての無線タグ回路24aのIDが確認されたことになるので、本ルーチンはそれをもって終了させられる。なお、本ルーチンにおいて、複数の無線タグ回路24aが検出された場合には、詳細な説明を省略する「QUIET」コマンドにより、通信対象ではない無線タグ回路24aにおける応答が禁止された後、それに続く処理が進められる。対象となる無線タグ回路24aの特定は、例えば、検出されたIDの番号が小さいものから行われ、また、無線タグ回路24aが1つも検出されなかった場合には、エラーとして終了させられる。
なお、前記無線タグリーダライタ12によれば、複数個の前記無線タグ回路24aとの間で誤って通信を行う虞はないため、図20のSWBにおける無線タグ特定処理は、「PING」コマンドではなく「SCROLL ID」コマンドのみを用いてCRCを含め正しいIDを取得する方法でもよい。更には、SWBにおける無線タグ特定処理を省略しても構わない。このようにすれば、可及的速やかに前記無線タグラベル24を作成できることに加え、プロトコルの実装を少なくすることができるという利点がある。
図36は、図20のSWCにおける前記無線タグ回路24aへの情報の書き込み動作を説明するフローチャートである。先ず、SWC1において、「N=0」及び「M=0」が設定された後、SWC2において、「ERASE ID」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信されて、書き込み対象となる無線タグ回路24aのメモリ部72が初期化される。次に、SWC3において、「VERIFY」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信された後、SWC4において、前記無線タグ回路24aによるリプライ信号からその無線タグ回路24aのメモリ部72に記憶された情報が確認され、前記無線タグ回路24aのメモリ部72が正常に初期化されているか否かが判断される。このSWC4の判断が肯定される場合には、SWC5において、「PROGRAM ID」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信されて、前記無線タグ回路24aに情報が書き込まれる。次に、SWC6において、「VERIFY」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信された後、SWC7において、前記無線タグ回路24aによるリプライ信号からその無線タグ回路24aのメモリ部72に記憶された情報が確認され、SWC5にて書き込まれた情報と一致するか否かが判断される。このSWC7の判断が肯定される場合には、SWC8において、「LOCK」コマンドに基づいて変調された信号が前記送受信アンテナ54から送信されて、前記無線タグ回路24aへの新たな情報の書き込みが禁止された後、本ルーチンが終了させられるが、SWC7の判断が否定される場合には、SWC9において、「N←N+1」とされた後、SWC10において、「N=5」であるか否かが判断される。このSWC10の判断が否定される場合には、SWC5以下の処理が再び実行されるが、SWC10の判断が肯定される場合、すなわちSWC5以下の書き込み処理を5回以上失敗した場合には、SWC11において、前記無線タグ回路24aへの情報の書き込み失敗が確認された後、本ルーチンが終了させられる。一方、SWC4の判断が否定される場合、すなわち前記無線タグ回路24aのメモリ部72が正常に初期化されていないと判断される場合には、SWC12において、「M←M+1」とされた後、SWC13において、「M=5」であるか否かが判断される。このSWC13の判断が否定される場合には、SWC2以下の処理が再び実行されるが、SWC13の判断が肯定される場合、すなわちSWC2以下の初期化処理を5回以上失敗した場合には、SWC11において、前記無線タグ回路24aへの情報の書き込み失敗が確認された後、本ルーチンが終了させられる。以上のルーチンにより、通信範囲内にある前記無線タグ回路24aに所望の情報を書き込むことができる。
図37は、図20のSWCにおける前記無線タグ回路24aへの情報の書き込み動作と並行して行われる、前記タグテープ26への印字動作及びそのタグテープ26の送出・切断動作を説明するフローチャートである。先ず、ST1において、前記通信回線14を介して前記情報サーバ22から印字書き込み情報がダウンロード或いはアップロードされる。次に、ST2において、前記無線タグ回路24aのIC回路部80に書き込まれる書き込みID及び物品情報等の書込情報が前記通信回線14を介して前記情報サーバ22からダウンロード或いはアップロードされる。次に、ST3において、前記カートリッジ用モータ駆動回路32、印刷駆動回路36、及び送出ローラ駆動回路42等を介して前記タグテープ26への印字動作が実行される。次に、ST4において、前記送出ローラ38により前記タグテープ26が図2等に矢印で示す方向に送出される。次に、ST5において、前記タグテープ26に備えられた無線タグ回路24aが所定の書込位置に達したか否かが前記センサ52の検出結果等に基づいて判断される。このST5の判断が否定されるうちは、判断が繰り返されることにより待機させられるが、ST5の判断が肯定される場合には、ST6において、前記送出ローラ38による送出が停止された後、前述したSWCにおける前記無線タグ回路24aへの情報の書き込み動作が実行される。次に、ST7において、所定のベリファイ動作すなわち印字及び情報書き込みの確認動作が実行される。次に、ST8において、前記送出ローラ38により前記タグテープ26が図2等に矢印で示す方向に送出される。次に、ST9において、前記タグテープ26が所定の切断位置まで送出されたか否かが前記センサ52の検出結果等に基づいて判断される。このST9の判断が否定されるうちは、判断が繰り返されることにより待機させられるが、ST9の判断が肯定される場合には、ST10において、前記カッタ50によりタグテープ26が切断される。そして、ST11において、前記タグテープ26から分割された無線タグラベル24の排出動作が実行された後、本ルーチンが終了させられる。以上のルーチンにより、所定の印字が行われると共に所定の情報が書き込まれた無線タグラベル24が作成される。
このように、本実施例によれば、通信を行うための位置に予め位置決めされた対象となる無線タグ回路24aのアンテナ部64の近傍に、そのアンテナ部64の共振周波数fを変更するための共振周波数変更要素が配設されていることから、その変更後の共振周波数faによりその無線タグ回路24aとの間で通信を行うことで、無線タグリーダライタ12のカートリッジ28内等に収納されている切断前のタグテープ26や既に書き込みの完了した無線タグ回路24a等との間で誤って通信が行われるのを好適に防止できる。すなわち、対象となる無線タグ回路24aのみに確実に情報の通信を行うことができる簡単な構成の無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記無線タグ回路24aは、前記無線タグリーダライタ12との間で通信を行うためのアンテナ部64としてループアンテナを備えたものであり、前記共振周波数変更要素は、そのアンテナ部64に対して磁芯として働くことで前記無線タグ回路24aの共振周波数fを変更する磁性体であるため、ループアンテナであるアンテナ部64を備えた無線タグ回路24aに関して対象となる無線タグ回路24aのみに確実に情報の書き込みを行うことができる簡単な構成の無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記共振周波数変更要素は、フェライトから成るフェライトコア55であるため、そのフェライトコア55が前記アンテナ部64に対して実効ある磁芯として働くことで、前記無線タグ回路24aの共振周波数fを好適に変更することができる。
また、前記共振周波数変更要素は、ループアンテナである前記アンテナ部64との間の相互誘導により前記無線タグ回路24aの共振周波数fを変更するコイル110であるため、ループアンテナであるアンテナ部64を備えた無線タグ回路24aに関して対象となる無線タグ回路24aのみに確実に情報の書き込みを行うことができる簡単な構成の無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記共振周波数変更要素は、前記無線タグ回路24aに関して前記送受信アンテナ54の反対側に配設されたものであるため、ループアンテナであるアンテナ部64を備えた無線タグ回路24aに関して対象となる無線タグ回路24aのみに確実に情報の書き込みを行うことができる実用的な態様の無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記共振周波数変更要素は、ループアンテナである前記アンテナ部64に並列に接続されることにより前記無線タグ114の共振周波数fを変更する容量素子112であるため、ループアンテナを備えた無線タグ回路24aに関して対象となる無線タグ回路24aのみに確実に情報の書き込みを行うことができる実用的な態様の無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記無線タグ124は、前記無線タグリーダライタ12との間で通信を行うためのアンテナ部128としてダイポールアンテナを備えたものであり、前記共振周波数変更要素は、情報の書き込みに際して前記無線タグ124が配置される所定位置に近接してその無線タグ124と平行を成すように配設された平板状誘電体130であるため、ダイポールアンテナであるアンテナ部128を備えた無線タグ124に関して対象となる無線タグ124のみに確実に情報の書き込みを行うことができる実用的な態様の無線タグリーダライタ12を提供することができる。
また、前記無線タグ124を挟むように配設された1対の前記平板状誘電体130を備えたものであるため、対象となる無線タグ124の共振周波数fを更に好適に変更できる。
また、前記共振周波数変更要素により変更された前記無線タグ回路24aの共振周波数faを検出するための共振周波数検出手段108(SFD1乃至SFD7)を含むものであるため、前記無線タグ回路24aとの間で好適な同調を実現できる。
また、前記共振周波数検出手段108は、通信周波数を低周波から高周波へと変化させつつ前記無線タグ回路24aとの間で通信を行い、その無線タグ回路24aからの応答が極大となる通信周波数を変更された共振周波数faとして検出するものであるため、変更された各無線タグ回路24aの共振周波数faを好適に検出することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、前記無線タグ回路24aにはアンテナ部としてループアンテナ或いはダイポールアンテナが設けられていたが、これはあくまで本発明の好適な実施例であり、所定の共振周波数変更要素により共振周波数fを変更し得るアンテナであればよく、マイクロストリップアンテナ、八木アンテナ等の様々なアンテナが無線タグの態様に応じて適宜選択されて設けられる。
また、前述の実施例において、前記無線タグリーダライタ12には前記無線タグ回路24aとの間で通信を行うためのアンテナとして平面型の送受信アンテナ54を備えていたが、例えば、コイル等の情報送受信要素をアンテナとして備えたものであっても構わない。
また、前述の実施例において、前記タグテープ26に備えられた無線タグ回路24aが書込位置に接近したことを検出して、そのタグテープ26の送出及び印刷動作等を一旦停止させた状態でRFID書込動作を行う無線タグリーダライタ12について説明したが、前記タグテープ26の送出を停止させることなく、RFID書込動作及びベリファイ動作等を繰り返し行うようにして、前記搬送ガイド46に沿って移動中の無線タグ回路24aに対して情報の書き込み等を行うものであっても構わない。
また、前述の実施例において、前記無線タグリーダライタ12は、前記無線タグ回路24aに情報の書き込みを行うと共に、その無線タグラベル24を識別するための印刷を行うものであったが、この印刷は必ずしも行われなくともよい。また、前記無線タグ回路24aに対して情報の書き込み或いは読み出しのみを行うものであっても構わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。