JP4114522B2 - 超高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてロール成形やプレス成形される自動車部品などに用いて好適な超高強度冷延鋼板およびその製造方法に関し、特に引張強さTSが1180 MPa以上という超高強度の下で、良好な強度−伸びバランスを有し、さらには曲げ加工後における伸び劣化の有利な低減を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
種々の強化方法により、材料強度は、目標とする強度を達成することは可能であるが、高強度化に伴い加工性は低下するのが実情であった。特に従来の高強度鋼板では、組織的不均一やTSを確保する上で必要な硬質相と軟質相の局所的な混在などのために、このような加工性は、高強度鋼板になればなるほど大きく低下するのが一般的であった。
このため、従来の鋼板製造技術では、高強度化と延性および曲げ性などの加工性との両立は極めて難しかった。
【0003】
例えば特許文献1には、TSがl180 MPa級の冷延鋼板について開示されているが、この鋼板は強度−伸びバランス(TS−Elバランス)が低く、十分なレベルとはいえない。
また、特許文献2および特許文献3には、高い伸びを有する鋼板についての記載があるが、曲げ特性、曲げ後の延性については何ら考慮が払われていない。
さらに、特許文献4には、引張強さ:980 MPa 以上を有し、低降伏比で伸び、曲げ性および遅れ破壊特性に優れた高張力冷延鋼板を提供するために、C:0.10〜0.20%、Si:0.8 %以下、Mn:1.6 〜2.7 %、P:0.03%以下、S:0.010 %以下、Al:0.005 〜0.10%、N:0.0020〜0.0080%およびTi:{48/14・N(%)+0.005 }〜0.12%を含有すると共に、粒径:5μm 以下のフェライト、マルテンサイト、オーステナイトを所定割合で有する構成が開示されている。
この特許文献4には、超高強度冷延鋼板についても開示されているが、この鋼板は、TSが1219 MPaと超高強度でかつ伸びも良好ではあるものの、曲げ加工後の伸びの劣化が大きいところに問題を残していた。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−57375 号公報
【特許文献2】
特開昭63−179047号公報
【特許文献3】
特開平8−134589号公報
【特許文献4】
特開2001−81533 号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したとおり、強度と加工性は相反する傾向を示すのが一般的であり、現状では、良好な加工性と引張強さ:1180 MPa以上を兼ね備えた超高強度冷延鋼板は知られていない。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、1180 MPa以上の引張強さを有すると共に、強度−伸びバランス(TS×El)が 17000 MPa・%以上と高く、しかも良好な曲げ性を有し、かつ曲げ加工後における伸びの劣化が少ない超高強度冷延鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
実際のプレス成形過程を考慮すると、フランジ部でのダイ肩を通過してからポンチ、金型内に材料が流入してプレス製品となる。すなわち、ダイ肩を通過することによりある種のダメージを受けた後に実際の成形過程に移る、と言える。
従って、ダイ肩通過後に伸びの劣化が少ないことは、プレス成形にとって極めて有利な特性である。
【0007】
そこで、発明者らは、上記の点を考慮して、超高強度で、延性に優れ、ひいては強度−伸びバランスに優れるだけでなく、曲げ性および曲げ後の伸び劣化が少ない鋼板を開発すべく、鋼成分、製造条件および金属組織などの面から鋭意実験を行い、かつ検討を重ねた。
その結果、成分組成と製造条件を適正範囲に制御して、冷間圧延前の組織を、一定量のポリゴナルフェライトと一定量のパーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトから構成される組織へと最適化し、その後の加熱温度かつ冷却停止温度を制御することにより、一定量のフェライト相と一定量の残留オーステナイト相から構成される組織とすることによって初めて、所期した目的が有利に達成され、プレス成形性に優れた超高強度冷延鋼板が得られることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0008】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.C:0.12〜0.18mass%、
Si:0.8 〜1.8 mass%、
Mn:2.5 〜3.5 mass%、
P:0.050 mass%以下、
S:0.0050mass%以下、
Al:0.005 〜0.05mass%、
N:0.0050mass%以下および
Ti:0.001 〜0.030 mass%
を、次式(1)
−7.5[C] + 3.6 ≦[Mn]≦−7.5[C] + 4.4 --- (1)
ここで、 [C], [Mn] はそれぞれ、C,Mnの含有量(mass%)
を満足する範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、フェライト相分率:30〜70 vol%および残留オーステナイト相分率:2〜15 vol%を含む組織を有し、引張強さが1180 MPa以上で強度−伸びバランスに優れ、かつ曲げ加工後の伸び劣化が少ないことを特徴とする超高強度冷延鋼板。
【0009】
2.上記1において、鋼板が、さらに
Cu:0.01〜0.50mass%、
Ni:0.01〜0.50mass%、
Mo:0.01〜0.50mass%および
Cr:0.01〜0.50mass%
のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。
【0010】
3.上記1または2において、鋼板が、さらに
Nb:0.001 〜0.050 mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。
【0011】
4.上記1〜3のいずれかにおいて、鋼板が、さらに
V:0.001 〜0.300 mass%および
Zr:0.001 〜0.300 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。
【0012】
5.上記1〜4のいずれかにおいて、鋼板が、さらに
B:0.0001〜0.0050mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。
【0013】
6.上記1〜5のいずれかにおいて、鋼板が、さらに
Ca:0.0001〜0.0050mass%および
REM:0.0001〜0.0050mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。
【0014】
7.C:0.12〜0.18mass%、
Si:0.8 〜1.8 mass%、
Mn:2.5 〜3.5 mass%、
P:0.050 mass%以下、
S:0.0050mass%以下、
Al:0.005 〜0.05mass%、
N:0.0050mass%以下および
Ti:0.001 〜0.030 mass%
を、次式
−7.5[C] + 3.6 ≦[Mn]≦−7.5[C] + 4.4
但し、 [C], [Mn] はそれぞれ、C,Mnの含有量(mass%)
を満足する範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、鋳造後、直ちにまたは一旦冷却して1100〜1300℃に加熱したのち、仕上げ圧延終了温度:850 〜950 ℃にて熱間圧延し、その後 700℃以上、{ 700℃+ 0.8(T1 −700 ℃)}以下の温度での熱処理を施し、ついで冷間圧延後、鋼板に連続焼鈍を施すに際し、 760〜860 ℃の温度域の焼鈍温度に加熱し、その後の冷却過程において、焼鈍温度から 300〜500 ℃の温度域まで冷却速度:10〜70℃/sで冷却し、冷却終了後、鋼板温度を上昇させることなく 300〜500 ℃の温度範囲に60〜900 秒間保温することを特徴とする強度冷延鋼板の製造方法。
記
ここで、T1 (℃)= 900− [C]1/2+40[Si]−40[Mn]+700[P]
但し、 [C], [Si], [Mn], [P] はそれぞれ、C, Si, Mn, Pの含有量(ma ss%)
【0015】
8.上記7において、鋼スラブが、さらに
Cu:0.01〜0.50mass%、
Ni:0.01〜0.50mass%、
Mo:0.01〜0.50mass%および
Cr:0.01〜0.50mass%
のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。
【0016】
9.上記7または8において、鋼スラブが、さらに
Nb:0.001 〜0.050 mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。
【0017】
10.上記7〜9のいずれかにおいて、鋼スラブが、さらに
V:0.001 〜0.300 mass%および
Zr:0.001 〜0.300 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。
【0018】
11.上記7〜10のいずれかにおいて、鋼スラブが、さらに
B:0.0001〜0.0050mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。
【0019】
12.上記7〜11のいずれかにおいて、鋼スラブが、さらに
Ca:0.0001〜0.0050mass%および
REM:0.0001〜0.0050mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明において、鋼の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.12〜0.18mass%
Cは、低温変態相を利用して鋼を強化するために不可欠であり、1180 MPa以上の引張強さを得るためには0.12mass%以上の含有を必要とする。また、C量が多い方が残留オーステナイト相は存在し易くなるが、0.18mass%を超えて含有されると、TSの変動が大きくなり、また溶接性も著しく劣化する。従って、C量は0.12〜0.18mass%の範囲に限定した。
【0021】
Si:0.8 〜1.8 mass%
Siは、強度向上に寄与する元素である。また、Siを添加することにより、2相分離が促進されて母相のフェライトを清浄化できると共に、焼鈍時にオーステナイトへのCの濃化が促進され、最終的に鋼板中に安定な残留オーステナイト相が得られ、その結果伸びの向上と共に、曲げ加工後の伸びの劣化を小さくすることができる。しかしながら、これらの効果はSi含有量が 0.8mass%未満では小さく、一方 1.8mass%を超えて含有させてもその効果は飽和し、むしろ表面性状の劣化および曲げ性の劣化を招く。よって、本発明では、Si量は 0.8〜1.8 mass%の範囲に限定した。なお、上記の効果を得るためには、Si量は 0.9mass%以上とすることが好ましい。
【0022】
Mn:2.5 〜3.5 mass%
Mnは、Ar3変態点を低下させる作用を通じて結晶粒の微細化に寄与し、強度−伸びバランスを高める作用を有する。また、Sによる熱間脆性に起因した表面割れを抑制する面でも重要な元素である。さらに、オーステナイト安定化元素であり、TS確保の観点から安定的にオーステナイトからの低温変態相を得るには、2.5 mass%以上のMnが必要であるが、3.5 mass%を超えて含有すると、材質の均一性が低下する傾向にあり、また軟質なフェライト相の生成が過度に抑制され、第2相自身も硬質化し、TS×E1バランスが著しく低下する。よって、Mnは 2.5〜3.5 mass%の範囲に限定した。
【0023】
P:0.050 mass%以下
Pは、加工性および耐食性を低下させる元素であるので、極力低減することが好ましく、特にP含有量が 0.050mass%を超えると、その影響が顕著に現れるので、P量は 0.050mass%以下に制限した。なお、P量の過度の低減は製造コストの増加を伴うので、P量の下限は、現状技術で大きなコスト増を伴わない 0.001mass%程度とすることが好ましい。
【0024】
S:0.0050mass%以下
Sは、加工性、特に局部延性に悪影響を及ぼす元素であるため、極力低減することが好ましいが、0.0050mass%までは許容できるので、S量は0.0050mass%以下に限定した。なお、S量の過度の低減は製造コストの増加を伴うので、Sの下限は、現状の技術で大きなコスト増を伴わずに達成できる0.0001mass%程度とするのが好ましい。
【0025】
Al:0.005 〜0.05mass%
Alは、脱酸剤として、また炭化物形成元素の歩留りを向上させる元素として有用なだけでなく、鋼板の清浄度を向上させる上でも有効な元素であり、このためには 0.005mass%以上の添加が必要である。一方、0.05mass%超えて添加しても効果は飽和し、むしろ加工性や表面性状の劣化を招くので、Alは 0.005〜0.05mass%の範囲に限定した。
【0026】
N:0.0050mass%以下
Nは、耐時効性の観点から0.0050mass%以下に制限する必要がある。なお、N量の過度の低減は製造コストの増大を伴うので、Nの下限は、現状の技術で大きなコスト増を伴わずに達成できる0.0001mass%程度とするのが好ましい。
【0027】
Ti:0.001 〜0.030 mass%
Tiは、鋼組織の微細化に有効な元素であるが、含有量が 0.001mass%未満ではその添加効果に乏しく、一方 0.030mass%を超えて添加しても効果は飽和し、むしろ表面欠陥が発生する危険性が増すので、Ti量は 0.001〜0.030 mass%の範囲に限定した。
【0028】
さらに、本発明では、C量とMn量について次式(1) の範囲を満足させることが重要である。
−7.5[C] + 3.6 ≦[Mn]≦−7.5[C] + 4.4 --- (1)
ここで、 [C], [Mn] はそれぞれ、C,Mnの含有量(mass%)
というのは、CやMnは、強度−伸びバランスやスポット溶接性に及ぼす影響が極めて大きいため、両者をバランス良く含有させることが必要だからである。ここに、Mn量が(−7.5[C] + 3.6 )より少ないと、強度の確保が困難であり、一方(−7.5[C] + 4.4 )を超えて含有すると、フェライト生成が抑制され、強度レベルは高くなるものの伸びが低下する不利が生じる。
【0029】
以上、基本成分について説明したが、本発明では、その他にも、以下に述べるA〜Eの各群のうちから選んだ一群または二群以上を適宜含有させることができる。
(A群)Cu:0.01〜0.50mass%、Ni:0.01〜0.50mass%、Mo:0.01〜0.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%のうちから選んだ一種または二種以上
(B群)Nb:0.001 〜0.050 mass%
(C群)V:0.001 〜0.300 mass%、Zr:0.001 〜0.300 mass%のうちから選んだ少なくとも一種
(D群)B:0.0001〜0.0050mass%
(E群)Ca:0.0001〜0.0050mass%、 REM:0.0001〜0.0050mass%のうちから選んだ少なくとも一種
【0030】
以下、各元素の含有量の限定理由について説明する。
(A群)Cu:0.01〜0.50mass%、Ni:0.01〜0.50mass%、Mo:0.01〜0.50mass%、Cr:0.01〜0.50mass%のうちから選んだ一種または二種以上
Cu,Ni,MoおよびCrはいずれも、伸びを大きく低下させることなしに強度を向上させるのに有効な元素であるが、0.01mass%未満ではその効果に乏しく、一方0.50mass%を超えて多量に含有させてもさらなる効果はなく、むしろ経済的に不利となるので、これらは単独添加または複合添加いずれの場合も0.01〜0.50mass%の範囲で含有させるものとした。より好ましくは0.01〜0.20mass%の範囲である。
【0031】
(B群)Nb:0.001 〜0.050 mass%
Nbは、NbCなどの析出物の存在形態や再結晶温度に影響を及ぼす元素である。特に本発明では、Nbは、組織の微細均一化に有効に作用することにより、高強度にもかかわらず高い伸びをもたらすという効果を有している。このような効果は、Nbを 0.001mass%以上含有させることで発現するが、0.050 mass%を超えて含有させると鋼中に硬質な析出物が多量に形成され、曲げ性を低下させるので、Nb量は 0.001〜0.050 mass%の範囲に限定した。より好ましくは 0.005〜0.020 mass%の範囲である。
【0032】
(C群)V:0.001 〜0.300 mass%、Zr:0.001 〜0.300 mass%のうちから選んだ少なくとも一種
VおよびZrはそれぞれ、炭化物の形成による結晶粒径の粗大化抑制効果を通じて鋼板の強度を上昇させるのに有効な元素である。このような効果を得るためには 0.001mass%以上含有させることが必要であるが、0.300 mass%を超えて含有させてもさらなる効果はなく、むしろ経済的に不利となる。よって、V,Zrはそれぞれ、0.001 〜0.300 mass%の範囲で含有させるものとした。なお、これらの元素は、単独でも複合して含有させても同様の挙動を示す。
【0033】
(D群)B:0.0001〜0.0050mass%
Bも、強度上昇に有効な元素である。Bを含有させることにより、フェライトが生成する臨界冷却速度が遅くなり、冷延後の焼鈍工程における連続冷却中に軟質なフェライト相の生成を抑制して低温変態相を形成し、TSを確保することが容易となる。このような効果を得るためには、Bを0.0001mass%以上含有させることが必要であるが、0.0050mass%を超えて含有させてもさらなる効果は得られないので、B量は0.0001〜0.0050mass%の範囲に限定した。
【0034】
(E群)Ca:0.0001〜0.0050mass%、 REM:0.0001〜0.0050mass%のうちから選んだ少なくとも一種
CaおよびREM はいずれも、硫化物などの析出物、例えばMnSなどを球状化して鋭角的な析出物を減少させ、応力集中源を減少させることによって局部伸びの低下を抑制し、曲げ性を確保する効果を有している。しかしながら、含有量がそれぞれ0.0001mass%未満では効果が小さく、一方0.0050mass%を超えて含有させても、その効果は飽和し、むしろコストの上昇を招く。そこで、Ca, REM はそれぞれ0.0001〜0.0050mass%の範囲で含有させるものとした。なお、これらの元素は、単独でも複合して含有させても同様の挙動を示す。
【0035】
次に、鋼組織を前記の範囲に限定した理由について説明する。
フェライト相の体積分率:30〜70 vol%
フェライト相の体積分率が30 vol%より少ないと、引張強さ(TS)は高くなるものの、伸び(El)が低下し、かつ曲げ性も悪くなる。一方、70 vol%を超えて存在すると、TS≧l180 MPaを確保することが困難となる。従って、フェライト相は体積分率で30〜70 vol%存在させるものとした。より好ましくは35〜55
vol%の範囲である。
【0036】
残留オーステナイト相の体積分率:2〜15 vol%
残留オーステナイトは、高い伸び(El)を得るために必要な組織であり、残留オーステナイト相分率が2 vol%より少ないと、延性が低下して高いTS×Elバランスを達成することが困難となる。一方、含有量が15 vol%を超えてもその効果は飽和し、むしろ硬質な残留オーステナイトの増加により曲げ性が低下する。従って、残留オーステナイト相の体積分率は2〜15 vol%の範囲に限定した。
【0037】
残部組織
基本的には、上記した所望のフェライト相分率および残留オーステナイト相分率が確保されていれば、残部組織については特に規定する必要がなく、例えばマルテンサイト、ベイナイトおよびセメンタイトのいずれであっても、TS×Elに関する残部組織の影響は小さい。
そして、上記した鋼組織とすることによって、TS≧l180 MPaを確保し、かつ高いTS×Elを満足し、さらに曲げ加工後に伸びの劣化が少ない鋼板が得られるのである。
【0038】
次に、本発明の製造方法において製造条件を前記の範囲に限定した理由について説明する。
なお、本発明では、前記した好適成分組成に調整した鋼スラブを、鋳造後、直ちにまたは一旦冷却後、後述するスラブ加熱温度に再加熱したのち、熱間圧延し、ついで熱処理を施して鋼組織を調整したのち、冷間圧延し、所定の条件で連続焼鈍を施す。
【0039】
再加熱時におけるスラブ加熱温度(SRT):1100〜1300℃
スラブ加熱温度が1300℃を超えると、オーステナイト結晶粒径が大きくなり、最終的に均一な組織を得ることが困難となり、曲げ性が低下する。また、1300℃を超えると、幅方向の材質変動も大きくなるので、スラブ加熱温度は1300℃以下に限定した。一方、スラブ加熱温度の下限は、オーステナイト域での圧延、熱延時の圧延荷重の増加を抑制する観点から1100℃に定めた。
【0040】
仕上げ圧延終了温度:850 〜950 ℃
熱間圧延時の仕上げ圧延終了温度が 850℃未満では、バンド状の組織となり、組織の不均一化を生じて曲げ性が低下し、また圧延時の変形抵抗も大きくなって、熱間圧延性が低下する。一方、 950℃より高温ではオーステナイト粒が粗大化し、均一微細な組織が得られなくなり、また面荒れなど鋼板の表面性状が悪化する他、曲げ性も低下する。従って、仕上げ圧延終了温度は 850〜950 ℃の範囲に限定した。
【0041】
仕上げ圧延後の巻取り処理については、特に限定する必要はなく、熱延終了後の冷却パターンは急速冷却、緩冷却、前半冷却、後半冷却、前後半冷却などいずれでもよく、また巻取り温度も限定する必要はなく、熱延設備への負荷や経済的観点からは、通常の温度範囲すなわち 450〜700 ℃程度とすることが好ましい。
【0042】
熱処理温度:700 ℃以上、{ 700℃+ 0.8(T1 −700 ℃)}以下
ここで、T1 はA3 点の目安であり、次式
T1 (℃)= 900− [C]1/2+40[Si]−40[Mn]+700[P]
但し、 [C], [Si], [Mn], [P] はそれぞれ、C, Si, Mn, Pの含有量(ma ss%)
で表わされる。
本発明において、この熱処理は特に重要であり、上記の温度範囲で熱処理を施すことにより、冷間圧延前の組織をポリゴナルフェライトおよび体積分率:5〜60 vol%程度の主としてパーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトから構成される2相組織とする。ここに、熱処理温度が 700℃に満たないと、冷間圧延前の組織がフェライトとセメンタイトから構成される組織となり、冷延焼鈍後にTS≧l180 MPaを確保することが困難となり、またTS×Elバランスも低下する。一方、{ 700℃+ 0.8(T1 −700 ℃)}を超えて熱処理をすると、第2相の多い組織となり、その影響で冷延焼鈍後に延性が低下し、TS×Elバランスは劣化する。従って、この熱処理は 700℃〜{ 700℃+ 0.8(T1 −700 ℃)}の範囲で行うものとした。
【0043】
上記の温度範囲を制御した熱処理により、第2相の体積分率を5〜60 vol%程度と最適化し、残部をポリゴナルフェライトとすることができ、冷延焼鈍後に高いTS×Elバランスを達成することが初めて可能となる。
ここに、冷間圧延前の第2相の体積分率が60 vol%を超えると、Cは局在化せず広い範囲にわたって存在するため、冷延焼鈍後のオーステナイトへのC濃化が遅延し、残留オーステナイトを安定して得ることが困難となり、高延性化が難しくなる。一方、5 vol%に満たないと、冷延焼鈍時にフェライトから変態生成するオーステナイト中のC濃化量が不十分となり、結果として軟質な第2相が生成し、TS≧l180 MPaを確保することが困難となる。
すなわち、冷延焼鈍工程前に、ある程度の量のフエライト以外の相が存在し、Cが局所化していることが重要である。第2相は熱処理後の冷却速度に依存するが、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのいづれであっても構わない。
なお、本発明のようにMn含有量が多い場合、冷延焼鈍後の組織がバンド状となり易いが、上述したような熱処理を施すことにより、冷延焼鈍後のバンド状組織の発生を抑えることができ、良好な成形性を確保することができる。
【0044】
図1に、冷延焼鈍後の製品板の強度−伸びバランス(TS×El)に及ぼす熱延後の熱処理温度の影響について調べた結果を示す。
実験条件は次のとおりである。
C:0.151 mass%、Si:1.01mass%、Mn:2.89mass%、P:0.015 mass%、S:0.0007mass%、Al:0.042 mass%、N:0.0029mass%およびTi:0.012 mass%(T1 =835 ℃)を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるスラブを、スラブ加熱温度:1195℃、仕上げ圧延温度:905 ℃、巻取り温度:590 ℃、熱処理温度:600 〜850 ℃、冷延圧下率:50%、焼鈍温度:820 ℃、冷却速度:20℃/s、冷却停止温度:380 ℃、保温温度:370 ℃、保温時間:130 秒の条件で処理した。
【0045】
同図から明らかなように、熱間圧延後、適正な温度範囲で熱処理を施した場合には、優れた強度−伸びバランス(TS×El)を得ることができた。
【0046】
図2に(a), (b)に、600 ℃(比較例)および715 ℃(発明例)で熱処理した後の鋼組織を比較して示す。
同図から明らかなように、比較例では、フェライト中にセメンタイトが微細に分散した組織であったのに対し、発明例では、ポリゴナルフェライト中に適量のパーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトが分散した好適組織になっていることが分かる。
【0047】
焼鈍温度:760 〜860 ℃
焼鈍温度が 760℃より低いと冷間圧延時の組織の影響を完全に除去することが困難なためバンド状の2相組織となり、いわゆる不均一な組織となって、伸び、曲げ性が低下する。また、フェライト分率が増加し、TS≧l180 MPaを確保することが困難となる。一方、焼鈍温度が 860℃より高くなると、オーステナイト粒が急激に粗大化し、冷却過程においてフェライト変態が遅延し、最終的に第2相分率が増加し、伸びが低下する。従って、焼鈍温度は 760〜860 ℃の範囲に限定した。
【0048】
図3に、冷延焼鈍後の製品板の強度−伸びバランス(TS×El)に及ぼす焼鈍温度の影響について調べた結果を示す。
実験条件は次のとおりである。
C:0.160 mass%、Si:1.15mass%、Mn:2.75mass%、P:0.018 mass%、S:0.0008mass%、Al:0.045 mass%、N:0.0025mass%およびTi:0.015 mass%(T1 =848 ℃)を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるスラブを、スラブ加熱温度:1180℃、仕上げ圧延温度:905 ℃、巻取り温度:520 ℃、熱処理温度:720 ℃、冷延圧下率:50%、焼鈍温度:720 〜900 ℃、冷却速度:25℃/s、冷却停止温度:370 ℃、保温処理温度:370 ℃、保温時間:180 秒の条件で処理した。
【0049】
同図から明らかなように、 760〜860 ℃の温度範囲で焼鈍処理を施した場合には、優れた強度−伸びバランス(TS×El)が得られている。
【0050】
焼鈍後の冷却過程における冷却速度:10〜70℃/s
焼鈍温度から冷却停止温度までの冷却速度は、(冷却開始温度一冷却停止時の温度)/冷却時間(℃/s)で定義される。この冷却速度が10℃/sより遅いと、冷却中に過度にフェライトが生成して引張強さ(TS)が低下し、TS≧l180 MPaを確保するのが困難となるため、10℃/s以上の速度で冷却するものとした。一方、70℃/sを超える冷却速度で冷却してもその効果は飽和し、また伸びが低下する傾向にあるため、冷却速度は10〜70℃/sの範囲に限定した。このように、冷却速度は、水冷、ミスト冷却などの場合とは異なり平均冷却速度で10〜70℃/s程度で構わない。好ましくは10〜50℃/sの範囲である。
【0051】
冷却停止温度:300 〜500 ℃
300 ℃より低い温度で冷却を停止すると、オーステナイトが硬質なマルテンサイトに変態して硬質な第2相となり、高TS化して伸びが低下する。一方、500℃を超える温度で冷却を停止すると、パーライトの生成または高温で生成した第2相の軟質化などにより、TS≧l180 MPaを確保するのが困難となる。従って、冷却停止温度は 300〜500 ℃の温度範囲に限定した。
【0052】
冷却停止後の保温温度:300 〜500 ℃
この保温処理は、オーステナイトからベイナイトヘの変態を通じ、最終的な残留オーステナイト量:2〜15 vol%を得るのに重要な工程である。この際、保温温度が 300℃に満たないと、第2相の硬質化により高TS化して伸びが低下する。従って、保温温度は 300〜500 ℃の範囲に限定した。
なお、保温温度が冷却終了時点での鋼板温度以上になると、伸びが低下する傾向があるのに対し、保温温度が冷却終了時点での鋼板温度以下であれば十分にベイナイト変態が進行すると共に、適量の残留オーステナイトが確保され、十分な強度と伸びの両立が可能となる。従って、焼鈍温度からの冷却終了後、鋼板温度を上昇させることなく、上記温度範囲に保温することとした。
【0053】
保温時間:60〜900 秒
オーステナイトからベイナイトヘの変態を十分に行い、最終的な残留オーステナイト量:2〜15 vol%を得るためには、上記した保温温度と同様に、保温時間も重要であり、この保温時間が60秒に満たないと保温後の冷却過程において硬質なマルテンサイトが生成し、高TS化して伸びが低下し、その結果TS×Elバランスが低下し、成形性が劣化する。一方、900 秒を超えて保温してもその効果は飽和し、生産性の低下を招くだけなので、保温時間は60〜900 秒の範囲に限定した。
【0054】
なお、上記の保温処理終了後は、放冷または冷却速度:10〜60℃/分程度の冷却で 200℃程度まで冷却することが好ましい。また、その後の冷却については水冷、ミスト冷却、放冷などの冷却方法および冷却速度に関する制限はない。
【0055】
かくして、TS≧1180 MPaという高強度の下で、(TS×El)≧ 17000 MPa・%という優れた強度−伸びバランスを有し、しかも良好な曲げ性で、かつ曲げ加工後における伸びの劣化が少ない超高強度冷延鋼板を得ることができる。
【0056】
ここで、本発明の特徴である、曲げ加工後における伸び性について説明すると、通常のプレス成型では金型のダイ肩半径は概ね3mm以上であるが、本発明鋼板は、これより厳しいダイ型半径:2mmの場合でも曲げ加工後の劣化が小さく、例えば、図4に示すように、ダイ型半径:2mmの金型で引き抜き速度:1 m/min、工具押付け荷重:400 kgでL型摺動試験を行った前後における伸びの低下率が10%以下という曲げ加工後に伸びの劣化が少ない鋼板を得ることができる。
【0057】
図5に、本発明鋼板と従来鋼板を用いた場合における、曲げ加工の前後における伸びの低下率に及ぼすダイ肩半径の影響について調べた結果を、比較して示す。
本発明鋼板は、C:0.155 mass%、Si:1.20mass%、Mn:2.95mass%、P:0.016 mass%、S:0.0008mass%、Al:0.035 mass%、N:0.0035mass%およびTi:0.008 mass%(T1 =841 ℃)を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるスラブを、スラブ加熱温度:1180℃、仕上げ圧延温度:900 ℃、巻取り温度:550 ℃、熱処理温度:740 ℃、冷延圧下率:50%、焼鈍温度:800 ℃、焼鈍後の冷却速度:15℃/s、冷却停止温度:375 ℃、保温処理温度:370 ℃、保温時間:150 秒として製造して得たものである。
一方、従来鋼板は、上記の工程のうち熱延後の熱処理工程を省略し、熱延後、直ちに冷間圧延を施して得たものである。
【0058】
同図に示したとおり、本発明鋼板は、従来鋼板に比べて、金型のダイ肩半径が小さくなった場合であっても、曲げ加工後の伸びの劣化が極めて少ないことが分かる。
【0059】
本発明鋼板において、曲げ加工後の伸びの劣化が効果的に抑制される詳細な機構は不明であるが、熱延後の熱処理により、冷間圧延前に固溶Cの少ない清浄なポリゴナルフェライトとC濃化の進んだ第2相との複合組織とすることにより、最終的に得られる残留オーステナイト相中のC濃度が高く、残留オーステナイト相のひずみ安定性が増したこと、また通常の熱延−冷延−焼鈍工程で得られるものより、同じフェライト相ではあっても、よりフェライト相中の固溶C量が少なく、軟質相であるフェライト相自体の延性がさらに高くなったためと考えられる。
【0060】
【実施例】
表1に示す種々の成分組成になる鋼スラブを、表2に示す条件で処理することにより、冷延鋼板とした。
かくして得られた冷延鋼板の鋼組織および各種機械的性質について調べた結果を表3に示す。
【0061】
なお、各特性の評価方法および組織の測定方法は次のとおりである。
・引張特性:圧延方向と直交する方向を長手方向(引張り方向)とするJIS Z 2201の5号試験片を用い、JIS Z 2241に準拠した引張り試験を行って評価した。・曲げ特性:圧延方向(L方向)を長手方向とする40mm幅×200 mm長さのJIS Z2204の3号試験片を用い、JIS Z 2248に準拠した押し曲げ法による曲げ試験を行って、評価した。
・フェライト相体積分率:板厚1/4 面近傍の1000倍の SEM像を基に画像解析にて2階調化して面積率を求め、n=5で単純平均した値である。この面積率をもって体積分率とした。
・第2相体積分率:板厚1/4 面近傍の1000倍のSEM 像を基に画像解析にて2階調化したのち、フエライト相を除去し、残部の面積率を求め、n=5で単純平均した値である。この面積率をもって体積分率とした。
・残留オーステナイト相体積分率:X繰回折装置でMoのKα線を用いて、fcc鉄の(200),(220),(311)面とbcc鉄の(200),(211),(220)面の積分強度より求めた。
なお、本発明鋼では、フェライト相および残留オーステナイト相以外は、マルテンサイト、ベイナイトおよびセメンタイトのいずれであった。
・曲げ加工後の伸びの測定方法:圧延方向を長手方向とする40mm幅×200mm 長さの試験片を用い、引き抜き速度:1m/min 、工具押し付け荷重:400 kgで金型ダイ肩半径:2mmの工具を用い、L型摺動試験を行い、ひずみが導入された加工部からJIS Z 2201の5号試験片を採取して、引張試験を実施した。このようにして求めたL型摺動試験後の伸び(El2)と試験前の伸び(El)から、次式により曲げ加工前後の伸びの低下率を求めた。
伸びの低下率=〔(El−El2)/El〕× 100(%)
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
表3に示したとおり、発明例はいずれも、TS≧1180 MPaという高強度およびTS×El≧ 17000 MPa・%という優れた強度−伸びバランスが得られるだけでなく、L方向 180°U曲げ最小曲げ半径が2mmという優れた曲げ性が得られ、また曲げ加工の前後における伸びの低下率も10%以下と極めて少なかった。
【0066】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、1180 MPa以上の引張強さを有すると共に、強度−伸びバランス(TS×El)が 17000 MPa・%以上と高く、しかも良好な曲げ性を有し、かつ曲げ加工後における伸びの劣化が少ない超高強度冷延鋼板を、安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 冷延焼鈍後の製品板の強度−伸びバランス(TS×El)に及ぼす熱延後の熱処理温度の影響を示した図である。
【図2】 熱間圧延後、熱処理したのちの鋼組織((a) 600℃処理(比較例)、(b) 715℃処理(発明例))を示した写真である。
【図3】 冷延焼鈍後の製品板の強度−伸びバランス(TS×El)に及ぼす焼鈍温度の影響を示した図である。
【図4】 曲げ加工後の伸びの測定方法を示した図である。
【図5】 本発明鋼板と従来鋼板を用いた場合における、曲げ加工の前後における伸びの低下率に及ぼすダイ肩半径の影響を示した図である。
Claims (12)
- C:0.12〜0.18mass%、
Si:0.8 〜1.8 mass%、
Mn:2.5 〜3.5 mass%、
P:0.050 mass%以下、
S:0.0050mass%以下、
Al:0.005 〜0.05mass%、
N:0.0050mass%以下および
Ti:0.001 〜0.030 mass%
を、次式(1)
−7.5[C] + 3.6 ≦[Mn]≦−7.5[C] + 4.4 --- (1)
ここで、 [C], [Mn] はそれぞれ、C,Mnの含有量(mass%)
を満足する範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、フェライト相分率:30〜70 vol%および残留オーステナイト相分率:2〜15 vol%を含む組織を有し、引張強さが1180 MPa以上で強度−伸びバランスに優れ、かつ曲げ加工後の伸び劣化が少ないことを特徴とする超高強度冷延鋼板。 - 請求項1において、鋼板が、さらに
Cu:0.01〜0.50mass%、
Ni:0.01〜0.50mass%、
Mo:0.01〜0.50mass%および
Cr:0.01〜0.50mass%
のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。 - 請求項1または2において、鋼板が、さらに
Nb:0.001 〜0.050 mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、鋼板が、さらに
V:0.001 〜0.300 mass%および
Zr:0.001 〜0.300 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、鋼板が、さらに
B:0.0001〜0.0050mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、鋼板が、さらに
Ca:0.0001〜0.0050mass%および
REM:0.0001〜0.0050mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板。 - C:0.12〜0.18mass%、
Si:0.8 〜1.8 mass%、
Mn:2.5 〜3.5 mass%、
P:0.050 mass%以下、
S:0.0050mass%以下、
Al:0.005 〜0.05mass%、
N:0.0050mass%以下および
Ti:0.001 〜0.030 mass%
を、次式
−7.5[C] + 3.6 ≦[Mn]≦−7.5[C] + 4.4
但し、 [C], [Mn] はそれぞれ、C,Mnの含有量(mass%)
を満足する範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、鋳造後、直ちにまたは一旦冷却して1100〜1300℃に加熱したのち、仕上げ圧延終了温度:850 〜950 ℃にて熱間圧延し、その後 700℃以上、{ 700℃+ 0.8(T1 −700 ℃)}以下の温度での熱処理を施し、ついで冷間圧延後、鋼板に連続焼鈍を施すに際し、 760〜860 ℃の温度域の焼鈍温度に加熱し、その後の冷却過程において、焼鈍温度から 300〜500 ℃の温度域まで冷却速度:10〜70℃/sで冷却し、冷却終了後、鋼板温度を上昇させることなく 300〜500 ℃の温度範囲に60〜900 秒間保温することを特徴とする強度冷延鋼板の製造方法。
記
ここで、T1 (℃)= 900− [C]1/2+40[Si]−40[Mn]+700[P]
但し、 [C], [Si], [Mn], [P] はそれぞれ、C, Si, Mn, Pの含有量(ma ss%) - 請求項7において、鋼スラブが、さらに
Cu:0.01〜0.50mass%、
Ni:0.01〜0.50mass%、
Mo:0.01〜0.50mass%および
Cr:0.01〜0.50mass%
のうちから選んだ一種または二種以上を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。 - 請求項7または8において、鋼スラブが、さらに
Nb:0.001 〜0.050 mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。 - 請求項7〜9のいずれかにおいて、鋼スラブが、さらに
V:0.001 〜0.300 mass%および
Zr:0.001 〜0.300 mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。 - 請求項7〜10のいずれかにおいて、鋼スラブが、さらに
B:0.0001〜0.0050mass%
を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。 - 請求項7〜11のいずれかにおいて、鋼スラブが、さらに
Ca:0.0001〜0.0050mass%および
REM :0.0001〜0.0050mass%
のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする超高強度冷延鋼板の製造方法。
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