JP4114482B2 - 筺体の密閉構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筺体内に雨水または塵埃あるいはガス等の流入を阻止する筺体の密閉構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の筺体の密閉構造は、一方のケースに設けた2重の水抜き溝に、他方のケースに設けた嵌合凸片が嵌合することにより水の通る通路が形成されるものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
また、ロアーケースの開口端面の全周に設けたU字溝にパッキンを嵌入させ、このパッキンをアッパーケースの開口端面で押圧するものもある。(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0004】
【特許文献1】
実開平3−81682号公報(7頁第17〜19行、第3図)
【特許文献2】
実開平6−60027号公報(段落「0015」、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の筺体の密閉構造のうち前者の構造においては、嵌合凸片を水抜き溝に嵌合させる構造であるため、組付けが煩雑であるというばかりではなく、嵌合凸片と水抜き溝の製造上のばらつきにより密閉性にも欠けるという問題があった。
また、後者の構造では、U字溝がケースの開口端面の全周に設けられているため、このU字溝にパッキンを組み付ける作業が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、第1の目的は組付けが容易であることにある。また、第2の目的は密閉性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本願発明は、ベース板と、一部に開口部が設けられたアッパーケースと、このアッパーケースの開口部を開閉するカバーとによって構成した筺体の密閉構造において、前記アッパーケースの開口部の一端に、対向する第1および第2の壁とこれら第1および第2の壁間を連結する底部とからなる断面コ字状の溝を設けるとともに、アッパーケースの開口部と反対側の部位に前記ベース板の外周部を覆う袴部を設け、かつこの袴部にアッパーケースの開口部を囲む囲い壁を立設し、前記カバーの一端に前記第1の壁に枢支される第3の壁を形成し、この第3の壁と前記溝の底部とに挟まれるシール材を備え、前記溝は前記筺体の左右端まで延設されかつ左右両端は開口され、前記溝の底部を中央に対して両端が前記袴部側に位置付けられるように湾曲面によって形成し、前記第3の壁を前記カバーの左右端に延在するように形成するとともに、この第3の壁の下端部を前記溝の底部と同じ曲率で湾曲面によって形成し、この下端部によって前記シール材を前記溝部の底部に押し付けるものである。
したがって、アッパーケースとカバーとの隙間から侵入した雨水等はパッキンによってアッパーケースの開口部内に侵入するのが規制され、パッキン上を流れて囲い壁から袴部に導かれて筺体の外部に排出される。また、雨水等は溝に装填されたシール材上で滞留しないで袴部に導かれる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明の筺体の密閉構造を分解して示す斜視図、図2は同じく筺体の外観を示す斜視図、図3は図4におけるIII-III 線断面図、図4は同じくカバーを取った状態のアッパーケースの平面図である。図5は図4のカバーを取り付けた状態におけるV-V 線断面図、図6は図4における V-V線断面図であってアッパーケースからカバーを取り外した状態を示す、図7は図5において要部を拡大して示した図、図8は図3において要部を拡大して示した図である。
【0011】
図1に示すように、全体を符号1で示す筺体1は、ベース板2と、このベース板2を覆うようにベース板2に固定されるアッパーケース3と、このアッパーケース3の開口部31を開閉自在に着脱するカバー5とによって概略構成されている。
【0012】
ベース板2の上面の外周縁には、このベース板2を囲むように枠状に形成した押え部21が突設されており、四隅にはねじ挿通孔が形成されたボス22が立設されている。同図に符号6で示すものは第1のシール材であって、ゴム材によって前記ベース板2の押え部21と外形が略同じ寸法の枠状に形成されている。
【0013】
アッパーケース3の上側は、左側が開口部31で示すように開口しており、右側はカバー32によって覆われている。開口部31の下方には底部33が設けられ、カバー32の下方は開口している。アッパーケース3の開口部31のカバー32側の一端には、図7に示すように、カバー32と後述する囲い壁41とのそれぞれに連設された第1の壁35と第2の壁36とが対向し、これら第1および第2の壁35,36と、これら第1および第2の壁35,36を連結する底部37とによって断面がコ字状の溝38が形成されている。
【0014】
この溝38は、図8に示すように、筺体1の左右端まで延設され、左右両端が開口しており、この溝38の底部37は左右両端が下方に位置付けられるように湾曲状に形成されている。第1および第2の壁35,36のカバー32側の第1の壁35の上部には係合凹部39が設けられている。アッパーケース3の下端には、全周にわたって袴部40が設けられており、この袴部40の上部の周端には開口部31を囲むように囲い壁41が立設されており、図3に示すように、この囲い壁41を介して袴部40と溝38の底部37とが連設されている。
【0015】
また、この袴部40に対向するように、アッパーケース3の下端の内側には、リブ40aが全周にわたって突設されており、ベース板2は、押え部21がこのリブ40aと袴部40との間に第1のシール材6を圧接するようにして係入してアッパーケース3の底部に取り付けられる。図4に符号42で示すものは袴部40にスリット状に穿孔された係入孔、43はアッパーケース3の底部33に設けられた電池収容部、46は囲い壁41から水平に突設された受板に螺設されたねじ穴である。
【0016】
カバー5は、図6に示すように、両側板51,51と、これら両側板51,51間を連結する上面板52と、背面板53とによって断面がL字状を呈するように形成されており、両側板51,51の下面には、袴部40の係入孔42に係入される係入突起54,54が突設されている。上面板52の凹嵌部には、図1に示すように、ねじ挿通孔55が設けられており、上面板52の前端には、下方に突設された第3の壁56がカバー5の左右端に延在するように設けられ、この第3の壁56の下端面は、カバー5の左右端方向において、溝38の底部37と同じ曲率で湾曲面によって形成されている。この第3の壁56には前記第1の壁35の係合凹部39に係合する係合突起57が突設されている。また、上面板52には、図6に示すように、第3の壁56に対向する第4の壁58が突設されている。
【0017】
図1に符号7で示すものは、ゴム材によって細長い直方体状に形成された第2のシール材であって、幅L2は、図6に示すように、溝38の幅L1よりも僅かに大きく形成されており、全長は、図8に示すように溝38の底部37よりもやや短く形成されている。
【0018】
このような構成において、第2のシール材7を、図5に示すように、アッパーケース3の溝38に係入し底部37上に載置する。次いで、カバー5の係合突起57をアッパーケース3の第1の壁35の係合凹部39に係入し、この係合突起57を回動中心として、カバー5を回動させてカバー5の係入突起54を袴部40の係入孔42に係入させ、カバー5の下端面を袴部40の上面に当接させて、カバー5によってアッパーケース3の開口部31を覆う。そして、カバー5のねじ挿通孔55から挿通したねじ(図示せず)をアッパーケース3のねじ穴46に螺合させることにより、カバー5をアッパーケース3に組付ける。
【0019】
このように組み付けたカバー5の第3の壁56は、図7に示すように、アッパーケース3の第1の壁35に対接するとともに、下端面で第2のシール材7を弾性変形させながら溝38の底部37に押し付けるので、下端面が第2のシール材7内に僅かに入り込んだ状態になる。また、カバー5の第4の壁58がアッパーケース3の第2の壁36に溝38と反対側において近接した状態で対向する。
【0020】
次に、図3および図7を用いて、筺体1の密閉構造について説明する。
図7に示すように、アッパーケース3の開口部31の一端と、カバー5の一端との間には隙間60が生じることにより、この隙間60から雨水または塵埃あるいはガス等が侵入すると、これら雨水等は第1の壁35と第3の壁56との間から第2のシール材7に到達する。
【0021】
上述したように、第3の壁56の先端が第2のシール材7内に僅かに入り込んだ状態になっているため、この第3の壁56と第2のシール材7とによって、雨水等がこの第3の壁56の下端を通過して第2の壁36側に移動するのが阻止される。仮に、雨水等が第3の壁56の下端を通過して第2の壁36側に移動したとしても、第2の壁36に第4の壁58が近接して対向しているため、電池収容部43側への流入が規制される。
【0022】
しかも、溝38の底部37が、図8に示すように、左右両端が下方に位置付けられるように湾曲面によって形成されているため、第3の壁56によってこの底部37に押し付けられた第2のシール材7も同じように湾曲状に弾性変形している。したがって、第2のシール材7上の雨水等は、第2および第3の壁36,56に案内され、この第2のシール材7の上面に沿って左右方向に流れるため、第2のシール材7上に滞留することなく、囲い壁41とカバー5との間に導かれ、カバー5の下端面と袴部40の上端面との隙間から外部に排出される。
【0023】
このとき、袴部40がベース板2の周端の全周を覆っているために、雨水等がベース板2の内側に侵入することが規制される。また、袴部40の内側には、図3に示すようにリブ40aが設けられ、これらは下部40とリブ40aとの間にはベース板2の押え部21によって押圧された第1のシール材6が介在しているために、この第1のシール材6およびリブ40aによって雨水等が筺体1の内部に侵入するようなことがない。
【0024】
このように、溝38の底部37に第3の壁56の下端面によって押し付けられた第2のシール材7を設け、かつ溝38の底部37と囲い壁41を介して連設されたベース板2の外周部を覆う袴部40を設けたことにより、筺体1の密閉性が向上する。また、第2のシール材7は直方体状に形成されているため、容易に溝38に嵌入させることができるので組付けが容易になる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、組付けが容易になるばかりではなく、密閉性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の筺体の密閉構造を分解して示す斜視図である。
【図2】 本発明の筺体の密閉構造における筺体の外観を示す斜視図である。
【図3】 図4におけるIII-III 線断面図である。
【図4】 本発明の筺体の密閉構造において、カバーを取った状態のアッパーケースの平面図である。
【図5】 図4のカバーを取り付けた状態におけるV-V 線断面図である。
【図6】 図4におけるV-V 線断面図であってアッパーケースからカバーを取り外した状態を示す。
【図7】 図5において要部を拡大して示した図である。
【図8】 図3において要部を拡大して示した図である。
【符号の説明】
1…筺体、2…ベース板、3…アッパーケース、5…カバー、6…第1のシール材、7…第2のシール材、21…押え部、31…開口部、32…カバー、35…第1の壁、36…第2の壁、37…底部、38…溝、39…係合凹部、40…袴部、40a…リブ、41…囲い壁、56…第3の壁、57…係合突起、58…第4の壁、60…隙間。
Claims (1)
- ベース板と、一部に開口部が設けられたアッパーケースと、このアッパーケースの開口部を開閉するカバーとによって構成した筺体の密閉構造において、前記アッパーケースの開口部の一端に、対向する第1および第2の壁とこれら第1および第2の壁間を連結する底部とからなる断面コ字状の溝を設けるとともに、アッパーケースの開口部と反対側の部位に前記ベース板の外周部を覆う袴部を設け、かつこの袴部にアッパーケースの開口部を囲む囲い壁を立設し、前記カバーの一端に前記第1の壁に枢支される第3の壁を形成し、この第3の壁と前記溝の底部とに挟まれるシール材を備え、前記溝は前記筺体の左右端まで延設されかつ左右両端は開口され、前記溝の底部を中央に対して両端が前記袴部側に位置付けられるように湾曲面によって形成し、前記第3の壁を前記カバーの左右端に延在するように形成するとともに、この第3の壁の下端部を前記溝の底部と同じ曲率で湾曲面によって形成し、この下端部によって前記シール材を前記溝部の底部に押し付けることを特徴とする筺体の密閉構造。
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