JP4112873B2 - 接着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品またはその周辺材料を接着するのに使用される耐電食性と耐熱性にすぐれる感圧性または熱接着型の接着シート(シート状、テープ状、フィルム状などの形態を含む)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子部品またはその周辺材料の固定には、エポキシ系などの接着剤が使用されてきたが、その作業性の悪さ、信頼性に劣るなどの理由から、シート状やテープ状としたアクリル系の感圧性接着シート類が使用されてきた。
【0003】
しかしながら、上記従来の感圧性接着シート類は、接着強度に乏しくて本体より脱落しやすく、さらに接着剤に含まれるハロゲン化合物や酸成分ないし酸系残存モノマ―などにより、使用した接着シート類の周辺の配線を電食させるという大きな問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、本発明者らは接着剤組成物の主成分としてスチレン−共役ジエンブロック共重合体を用いるとともに、接着剤組成物またはこれを用いた接着シート類の全体を煮沸蒸留水で処理した際に、抽出陰イオンが10ppm 以下となるように設定することにより、電子部品などに対する接着強度が大きく、かつ耐電食性にすぐれるものが得られることを見出した(特開平05−179218号公報)。
【0005】
しかしながら、この接着剤組成物または接着シート類は、接着強度の面では非常に優れているが、高温、特に100℃以上の耐熱性が要求される用途では接着特性が低下する場合があり、改良が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の事情に鑑み、電子部品またはその周辺材料を接着するのに使用される接着シートにおいて、接着性や耐電食性にすぐれるとともに、100℃以上の耐熱性にもすぐれる感圧性または熱接着型のシート状、テープ状などの接着シートに関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、接着剤組成物の主成分としてスチレン−共役ジエンブロック共重合体を用いるとともに、紫外線を照射することによってラジカルを発生するオリゴマー型光架橋剤を配合し紫外線照射により架橋処理を施し、さらに接着シートの全体を煮沸蒸留水で処理した際に、抽出される陰イオンが10ppm 以下となるように設定することにより、電子部品などに対する接着性や耐電食性にすぐれるとともに、100℃以上の耐熱性にもすぐれる感圧性または熱接着型のシート状、テープ状などの接着シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、スチレン−共役ジエンブロック共重合体100重量部、粘着付与樹脂40〜200重量部、軟化剤0〜80重量部および紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤を含む接着剤組成物を支持体の片面または両面に塗布し、紫外線を照射して架橋処理されてなる接着シートであって、紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤がオリゴマー型の光架橋剤であり、煮沸蒸留水での抽出陰イオンが10ppm 以下であることを特徴とする耐電食性と耐熱性にすぐれる感圧性の接着シートに係るものである。
【0009】
また、本発明の第2は、スチレン−共役ジエンブロック共重合体100重量部、スチレン系粘着付与樹脂を一部成分として含む粘着付与樹脂40〜200重量部(このうちスチレン系粘着付与樹脂10〜100重量部)、軟化剤0〜80重量部および紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤を含む接着剤組成物を支持体の片面または両面に5〜200μmの厚さで塗布し、紫外線を照射して架橋処理されてなる接着シートであって、紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤がオリゴマー型光架橋剤であり、煮沸蒸留水での抽出陰イオンが10ppm 以下であることを特徴とする耐電食性と耐熱性にすぐれる熱接着型の接着シートに係るものである。
【0010】
さらに本発明は、5〜200μmの厚さで接着剤層を設けたことを特徴とする耐電食性と耐熱性にすぐれる感圧性または熱接着型の接着シートに係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるスチレン−共役ジエンブロック共重合体としては、スチレンポリマーのブロックと共役ジエンポリマーのブロックが交互に存在するA−B−A型ブロック共重合体が好ましく用いられる。具体的には、スチレンとブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンとのブロック共重合体、あるいはその水素添加物が挙げられ、耐久性の点よりスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ないしその水素添加物が好ましい。
【0012】
このようなスチレン−共役ジエンブロック共重合体におけるスチレンポリマーの含有量(以下、スチレン含量という)としては、通常10〜40重量%、好ましくは13〜35重量%の範囲にあるのがよい。スチレン含量が10重量%未満では凝集力に劣り、40重量%を超えると接着性に劣る場合がある。また、共重合体全体の分子量としては、重量平均で一般に5万〜70万、好ましくは10万〜40万の範囲にあるのがよい。分子量が5万未満では凝集力に劣り、70万を超えると作業性に劣る場合がある。
【0013】
本発明における粘着付与樹脂としては、たとえば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、水添石油系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂などが挙げられ、接着剤組成物が感圧性であるか熱接着型であるかによって、その種類または使用量が決定される。
【0014】
感圧性の接着剤組成物にあっては、上記の如き粘着付与樹脂の中から、その1種または2種以上が選択して用いられ、その使用量は、ブロック共重合体100重量部に対し、40〜200重量部、好ましくは50〜170重量部とするのがよい。少なすぎると接着性に乏しくなり、多すぎると衝撃に対し脆くなる。
【0015】
また、熱接着型の接着剤組成物にあっては、特にスチレン系粘着付与樹脂を必須成分のひとつとして使用し、これをブロック共重合体100重量部に対し、10〜100重量部、好ましくは20〜70重量部用いるのがよい。このような配合により、室温ではタックが少なくて、電子部品を固定するための位置決め作業を行いやすく、一方この位置決め後加熱することにより容易に接着できる熱接着型の接着剤組成物の調製が可能となる。また、この場合、接着特性上スチレン系粘着付与樹脂以外の粘着付与樹脂を併用してもかまわないが、その使用量は、スチレン系粘着付与樹脂との合計量が、ブロック共重合体100重量部に対し、40〜200重量部、好ましくは50〜170重量部とするのがよい。少なすぎると接着性に乏しくなり、多すぎると衝撃に対し脆くなる。
【0016】
本発明における軟化剤としては、ナフテン系などのものがあり、タックを向上させる目的で必要により用いられる。その使用量は、ブロック共重合体100重量部に対し、80重量部を上限とする。これを超えて用いると、接着剤の凝集力が低下して、耐熱性が悪くなる。
【0017】
本発明における光架橋剤としては、紫外線を照射することによってラジカルを発生し、スチレン−共役ジエンブロック共重合体を架橋しうるものである。このような光架橋剤としては、ヒドロキシケトン類、ベンジルジメチルケタール類、アミノケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾフェノン類などを用いることができる。これらの中でも特にオリゴマー型の光架橋剤は、ラジカルの発生点が一分子中に複数個存在する多官能型の光架橋剤であって酸素による架橋阻害の影響を受けにくく、少量の架橋剤で架橋処理できること、支持体に塗布する際に無溶剤のホットメルト状態でも光架橋剤が飛散せず、ポリマー中からも抽出されないなどの理由から好ましく用いられる。
【0018】
本発明におけるオリゴマー型の光架橋剤としては、紫外線を照射することによってラジカルを発生できる官能基を有する単量体の低分子量重合物であり、例えばアクリル化ベンゾフェノン(UCB社製『EbecrylP36』)を重合したオリゴマー、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製『Irgacure2959』)の一級水酸基と2−イソシアナートエチルメタクリレートの反応物を重合したオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(Lamberti社製『EsacureKIP150』)などを挙げることができる。これらのオリゴマー型の光架橋剤の分子量は50000程度までが好ましく、これを超えるとスチレン−共役ジエンブロック共重合体との相溶性が悪くなる場合があり好ましくない。
【0019】
また本発明において光開始剤の使用量はブロック共重合体100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部であり、0.1重量部未満では充分な架橋が行われず耐熱性の改良効果がなく、10重量部を超えると接着性能が低下するため好ましくない。
【0020】
本発明に用いられる接着剤組成物には、上記の各成分のほか、必要に応じて、その他のポリマー、充てん剤、顔料、老化防止剤などを配合するようにしてもよい。
【0021】
本発明の感圧性または熱接着型の接着シートは、厚さが通常2〜150μm程度の支持体の片面または両面に上記の接着剤組成物を塗工し、必要により乾燥した後、紫外線を照射して架橋処理して厚さ5〜200μmとなる接着剤層を形成して、テープ状やシート状などの形態としたものである。粘着剤層の厚さが5μm未満では、接着性に乏しくなりであり、200μmを超えると作業性が悪くなる場合があり好ましくない。上記の支持体としては、紙、プラスチックラミネート紙、布、プラスチックラミネート布、プラスチックフィルム、金属箔、発泡体などが用いられる。また、支持体に代えて離型処理を行った紙やプラスチックフィルムなどを用いて、この離型紙上に塗布することにより、各種支持体への転写や、電子部品またはその周辺材料への転写が可能な転写用接着シートとすることもできる。この支持体上に接着剤組成物を塗工する際には、必要により加熱して粘度を低下させた状態で塗工することができ、具体的には、ホツトメルトコータ、コンマロール、グラビアコータ、ロールコータ、キスコータ、スロットダイコータ、スクイズコータなどが用いられる。
【0022】
本発明の紫外線照射による架橋処理は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、エキシマレーザ、メタルハライドランプ、などの適宜の紫外線源を用いて行うことができる。紫外線の照射量は、必要とする架橋度に応じて決められるが、通常は、50mJ/cm2 〜5J/cm2 の範囲内で選択するのが望ましい。またその際、必要により、短波長側の紫外線をカットするフィルタやポリエステルシートを用いることもできる。さらに、紫外線照射時の温度は、とくに限定はなく、室温から140℃までの加熱条件を適宜選択することができる。
【0023】
本発明の感圧性または熱接着型の接着シートは、スチレン−共役ジエンブロック共重合体を紫外線架橋処理して、網状化を行わせて架橋ポリマーを生成させ、これにより接着性と耐熱性をともに満足する、すぐれた粘着特性を発揮させる。その際、紫外線架橋後において、ブロック共重合体の溶剤可溶分が5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%となるようにするのがよい。このような溶剤可溶分とするには、光架橋剤の使用量を選択したり、紫外線の照射量を選択するなどして、架橋度を適宜調節すればよい。
【0024】
このような配合成分からなる本発明の感圧性または熱接着型の接着シートは、煮沸蒸留水での抽出陰イオン、たとえばハロゲンイオンやリン酸イオン、硫酸イオンなどが10ppm 以下、好ましくは5ppm 以下に設定されていることが必要で、上記イオンが10ppm を超えて存在すると、接着剤の周辺に存在する銅配線などを電食するという弊害が起こる。
【0025】
この明細書における「煮沸蒸留水での抽出陰イオン」とは、接着シートを試料として、その1gを蒸留水50g中に投入し、これを1時間煮沸したのち、この液中に含まれる陰イオンを、イオンクロマト装置を用いて測定することにより、求められる値である。
【0026】
このように測定される抽出陰イオンを10ppm 以下に設定するには、接着剤組成物の主成分となるスチレン−共役ジエンブロック共重合体として、これが不純物としての陰イオンを含まないように、十分に精製して用いる。たとえば、ハロゲン化合物からなるカップリング剤を用いてスチレン−共役ジエンブロック共重合体をカップリング方式で合成する場合のように、ハロゲン化合物の混入が不可避で、不純物としてのハロゲン化合物による陰イオンが検出されるときは、生成物を十分に精製し、その不純物としてのハロゲン化合物を除去して用いる。
【0027】
なお、スチレン−共役ジエンブロック共重合体の合成方法には、ハロゲン化合物を用いなくてよい逐次反応方式があり、この方式で得られるスチレン−共役ジエンブロック共重合体は不純物としての陰イオンをほとんど含まないため、本発明において特に好ましく用いられる。
【0028】
また架橋剤においても、一般にゴムの架橋に用いられる硫黄や硫黄系加硫剤、加硫促進剤を用いると、硫化物イオンや硫酸イオンが大量に発生していしまうため、本発明においては用いることは出来ない。また陰イオンを発生しない過酸化物を用いた架橋では、架橋が不十分で十分な耐熱性を得ることが出来ない。したがって、本発明においては、このような陰イオンを生じず十分な架橋を行える光架橋剤を用いるものである。
【0029】
また、その他の材料、つまり粘着付与樹脂や軟化剤、さらにこれら以外の前記任意成分についても、煮沸蒸留水による抽出陰イオンが検出されないような材料、特にハロゲンや酸基を含まない材料を選択して用いるか、あるいは十分に精製して用いるのが望ましい。
【0030】
支持体においても、抽出陰イオンが検出されない材料、例えばポリエステルフィルムやポリエステル100%の不織布が好適に使用される。また、離型紙上に塗布し、各種支持体への転写や、電子部品またはその周辺材料への転写が可能な転写用接着シート類とする場合、離型紙は使用に際し剥離除去するため、それ自体の抽出陰イオンはあまり重視されないが、離型処理剤が接着剤層に接触するため、望ましくは陰イオンを含まないような離型処理剤で処理されたものであるのがよい。
【0031】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0032】
実施例1
逐次反応方式により合成した重量平均分子量が約13万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン含量30重量%)を用い、このブロック共重合体100部、水素添加石油樹脂125部、ナフテン系軟化剤2部、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(Lamberti社製『EsacureKIP150』)1部、老化防止剤1部を、トルエンで均一に溶解し、固形分を50重量%に調整して、感圧性の接着剤組成物の溶液を得た。
【0033】
つぎに、この接着剤組成物の溶液を、厚さが25μmのポリエステルフィルムからなる支持体の両面に、乾燥後の厚さが片面で50μmになるように塗布し100℃で5分乾燥後、高圧水銀ランプにて2.5J/cm2の紫外線を照射して、感圧性の両面接着シートを作製した。また、煮沸蒸留水での抽出陰イオンは3ppm であった。
【0034】
実施例2
逐次反応方式により合成した重量平均分子量が約11万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン含量25重量%)を用い、このブロック共重合体100部、水素添加石油樹脂100部、ナフテン系軟化剤5部、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(Lamberti社製『EsacureKIP150』)2部、老化防止剤1部を、トルエンで均一に溶解し、固形分を50重量%に調整して、感圧性の接着剤組成物の溶液を得た。
【0035】
つぎに、この接着剤組成物の溶液を、剥離処理した剥離紙の上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し100℃で5分乾燥後、高圧水銀ランプにて2.5J/cm2の紫外線を照射して、感圧性の転写用接着シートを作製した。また、煮沸蒸留水での抽出陰イオンは5ppm であった。
【0036】
実施例3
スチレン−共役ジエンブロック共重合体として、ハロゲン化合物を用いたカップリング方式により合成した重量平均分子量が11万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン含量30重量%)を、十分に精製して用いた以外は、実施例1と全く同様の配合組成にて感圧性の接着剤組成物の溶液を得、これを用いて実施例1と同様にして感圧性の両面接着シートを作製した。煮沸蒸留水での抽出陰イオンは4ppm であった。
【0037】
実施例4
逐次反応方式により合成した重量平均分子量が約13万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン含量30重量%)を用い、このブロック共重合体100部、スチレン系樹脂50部、脂環族飽和炭化水素樹脂100部、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(Lamberti社製『EsacureKIP150』)1部、老化防止剤1部を、トルエンで均一に溶解し、固形分を50重量%に調整して、熱接着型の接着剤組成物の溶液を得た。
【0038】
つぎに、この接着剤組成物の溶液を、厚さが25μmのポリエステルフィルムからなる支持体の両面に、乾燥後の厚さが片面で50μmになるように塗布し100℃で5分乾燥後、高圧水銀ランプにて2.5J/cm2の紫外線を照射して、熱接着型の接着シートを作製した。また、煮沸蒸留水での抽出陰イオンは3ppm であった。
【0039】
実施例5
実施例4と同様にして得られた接着剤組成物の溶液を、剥離処理した剥離紙の上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し100℃で5分乾燥後、高圧水銀ランプにて2.5J/cm2の紫外線を照射して、熱接着型のの転写用接着シートを作製した。さらにポリエステル100%の不織布の両側にこの接着シートを貼り付けて100℃で転写し、不織布を支持体とする熱接着型の接着シートを作製した。また、煮沸蒸留水での抽出陰イオンは3ppm であった。
【0040】
比較例1〜5
実施例1〜5の各接着シート剤において、それぞれの接着剤組成物に光架橋剤を配合しなかった以外は同様にして、感圧性あるいは熱接着型の接着シートを作製した。
【0041】
比較例6
実施例4において、光架橋剤の変わりに過酸化ベンゾイルを0.5部用い、紫外線照射を行わなかった以外は実施例4と同様にして、感圧性の接着シートを作製した。煮沸蒸留水での抽出陰イオンは3ppm であった。
【0042】
比較例7
実施例3において、ハロゲン化合物を用いたカップリング方式により合成した重量平均分子量が11万のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(スチレン含量30重量%)を、精製せずに用いた以外は、実施例3と同様にして感圧性の両面接着シートを作製した。煮沸蒸留水での抽出陰イオンは220ppm であった。
【0043】
評価方法
(接着力)
実施例および比較例の接着シートを、厚さが38μmのポリエステルフィルムで裏打ちし20mm幅に切断して評価用シートとした。これを、感圧性接着シートでは室温(23℃)にて2kgローラーで、熱接着型では100℃で1kg/cm2の圧力でステンレス板に貼り付け、23℃、60%RHの雰囲気で1時間放置後、50mm/分の引張速度で180度引き剥がし試験を行った。
【0044】
(保持力)
実施例および比較例の接着シートを、厚さが38μmのポリエステルフィルムで裏打ちし10mm幅に切断して評価用シートとした。これを接着面積が10mm×20mmになるよう、感圧性接着シートでは室温(23℃)にて2kgローラーで、熱接着型では100℃で1kg/cm2の圧力でステンレス板に貼り付け、23℃、60%RHの雰囲気で1時間放置後、接着シートの端に垂直方向で500g重の荷重をかけて、各雰囲気温度にて落下するまでの時間を測定した。
【0045】
(耐電食性)
実施例および比較例の各接着シートをプリント配線基板(150μm幅の銅配線)上に感圧接着または熱接着し、これを70℃に放置して、プリント基板上の銅配線の破断の有無により耐電食性を調べた。
【0046】
【表1】
【0047】
これらの結果から明らかなように、紫外線を照射することによってラジカルを発生するオリゴマー型の光架橋剤を配合し紫外線照射により架橋処理を施し、さらに接着シート類の全体を煮沸蒸留水で処理した際に抽出される陰イオンが10ppm 以下である実施例の感圧性または熱接着型の接着シート類は、接着性や耐電食性にすぐれるとともに、100℃以上の耐熱性にもすぐれるものである。これに対し、光架橋剤を配合しない比較例1〜5は耐熱性に劣ることが明らかである。また架橋剤に過酸化物を用いた比較例6でも、架橋が不十分で十分な耐熱性を得ることが出来ない。また抽出陰イオンが10ppm以上検出される比較例7では、耐電食性に劣る。
【0048】
【発明の効果】
本発明における感圧性または熱接着型の接着シート類は、接着剤組成物の主成分としてスチレン−共役ジエンブロック共重合体を用いるとともに、紫外線を照射することによってラジカルを発生するオリゴマー型の光架橋剤を配合し紫外線照射により架橋処理を施し、さらに接着シート類の全体を煮沸蒸留水で処理した際に抽出される陰イオンが10ppm 以下であることを特徴とし、電子部品などに対する接着性や耐電食性にすぐれるとともに、100℃以上の耐熱性にもすぐれるため、各種の電子部品またはその周辺材料の接着に有効に使用でき、接着作業の能率向上、信頼性の向上に寄与させることができる。
Claims (3)
- スチレン−共役ジエンブロック共重合体100重量部、粘着付与樹脂40〜200重量部、軟化剤0〜80重量部および紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤を含む接着剤組成物を支持体の片面または両面に塗布し、紫外線を照射して架橋処理されてなる接着シートであって、紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤がオリゴマー型光架橋剤であり、煮沸蒸留水での抽出陰イオンが10ppm 以下であることを特徴とする耐電食性と耐熱性にすぐれる感圧性の接着シート。
- スチレン−共役ジエンブロック共重合体100重量部、スチレン系粘着付与樹脂を一部成分として含む粘着付与樹脂40〜200重量部(このうちスチレン系粘着付与樹脂10〜100重量部)、軟化剤0〜80重量部および紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤を含む接着剤組成物を支持体の片面または両面に塗布し、紫外線を照射して架橋処理されてなる接着シートであって、紫外線を照射することによってラジカルを発生する光架橋剤がオリゴマー型光架橋剤であり、煮沸蒸留水での抽出陰イオンが10ppm 以下であることを特徴とする耐電食性と耐熱性にすぐれる熱接着型の接着シート。
- 5〜200μmの厚さで接着剤層を設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の耐電食性と耐熱性にすぐれる感圧性または熱接着型の接着シート。
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