JP4112107B2 - ストレッチフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はストレッチフィルムに係わり、詳しくは特定の組成物からなる層を積層したストレッチフィルムであって、透明性、機械包装適性に優れるストレッチフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
青果物、鮮魚、精肉、総菜等の食品を直接またはポリスチレンペーパー(PSP)等の軽量プラスチック製トレーに載せてストレッチフィルムをオーバーラップする、いわゆる業務プリパック用のストレッチフィルムとしては、主に塩化ビニル(以下「塩ビ」という。)系のものが使用されてきた。これは透明性がよく、更に包装の作業効率がよく、包装仕上がりもしわが無く綺麗であるなどの包装適性の他、底シール性も良好であり、輸送および陳列中にストレッチフィルム底部重なり部の剥がれが発生しにくいなど、商品価値が低下しないという販売者、消費者の双方に認められた品質の優位性を持っているためである。
【0003】
しかし、近年、塩ビ系ストレッチフィルムに対し焼却時に発生する塩化水素ガスや、含有する可塑剤の溶出などが問題視されてきた。このため、塩ビにかわるものが種々検討されている。
【0004】
特開昭60−171148にはプロピレン系樹脂および低結晶性エチレン−α−オレフィン共重合体を配合してなる樹脂組成物よりなる層を中間層とし、該中間層の両面にエチレン−酢酸ビニル共重合体よりなる外層が形成されている多層フィルムが記されている。
【0005】
しかし、このフィルムは透明性が劣る他に自動包装機で包装したときにしわが入ってしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は透明性がよく、更に包装の作業効率、特に機械包装、自動包装機での効率がよく、包装仕上がりもしわが無く綺麗であるなどの包装適性を有する非塩ビ系ストレッチフィルムを得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、上記諸特性に優れた非塩ビストレッチフィルムを得ることに成功したものであり、その要旨は、結晶性ポリプロピレン60重量%〜80重量%、プロピレン−ブテン共重合体20重量%〜30重量%、エチレン−プロピレン共重合体10重量%〜30重量%を中間層とするストレッチフイルムであり、更にその中間層の両側に表面層を有するストレッチフイルムであり、また該表面層がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アルキルメタアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンメタクリレート共重合体、アイオノマー、プロピレン系エラストマー、メタロセン触媒を用いたポリエチレン系樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂を表面層として積層したストレッチフィルムである。該ストレッチフィルムは各種包装体の包装として好適に使用される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳しく説明する。
本発明で使用される結晶性ポリプロピレンは、プロピレンモノマーを主成分として重合したポリマーであるが、10重量%程度までエチレン、ブテン、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンと共重合したものでもよい。共重合体はランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでも良い。結晶性ポリプロピレンはインフレーション法による製膜性の面で230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが0.1g/10分〜20g/10分のものが好ましく、更に好ましくは0.4g/10分〜10g/10分のものである。
【0009】
結晶性ポリプロピレンは中間層に60重量%〜80重量%の範囲で含有される。60重量%未満であるとストレッチフィルムが柔らかく腰がないために、自動包装機においてカット性が悪くなる。ここで言うカット性とは自動包装機で搬送ベルトによりストレッチフィルムが繰り出されたときに搬送ベルトの間に設置されたカット刃が突き出ることによってストレッチフィルムにミシン目が入り、その後搬送ベルトによりストレッチフィルムは引っ張られることでミシン目から引きちぎれることをいう。ストレッチフィルムが柔らかく腰がないと刃が突き出たときに伸びる為にミシン目が入りにくくなる。また、結晶性ポリプロピレンが80重量%を超えるとストレッチフィルムの透明性が低下する。
【0010】
本発明で使用するプロピレン−ブテン共重合体はブテン−1の含有量が30〜50重量%で、数平均分子量が1、500〜10、000のものが使用できる。プロピレン−ブテン共重合体は中間層に20重量%〜30重量%の範囲で含有される。この作用としては結晶性ポリプロピレンの結晶を微分散させることで透明性と柔軟性が得られる。自動包装機でストレッチフィルムに柔軟性がないと包装したときトレーを変形させてしまう。プロピレン−ブテン共重合体は20重量%未満であると透明性が得られにくく、また柔軟性も不足する。30重量%を超えるとストレッチフィルムが柔らかすぎて腰が無くなる。
【0011】
本発明で使用するエチレン−プロピレン共重合体はプロピレンの含有量が20重量%〜30重量%のものが使用できる。エチレン−プロピレン共重合体は中間層に10重量%〜30重量%で含有される。この作用としては柔軟性、回復性と突き刺し強度を付与することが出来る。自動包装機で回復性がないと包装したときにしわが入り、また突き刺し強度がないとストレッチフィルムが折り畳まれる際に破れてしまう。エチレン−プロピレン共重合体は10重量%未満ではこれらの性質が得られにくく、30重量%を超えるとストレッチフィルムが柔らかすぎて腰が無くなる。
【0012】
上記組成物からなる中間層の両側に積層される表面層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アルキルメタアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンメタクリレート共重合体、アイオノマー、プロピレン系エラストマー、メタロセン触媒を用いたポリエチレン系樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂が使用できる。
なかでも、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(以下EVA)が好ましく、190℃におけるメルトフローレートが0.3g/10分〜5g/10分、酢酸ビニル含有量が5重量%〜25重量%であるものが更に好ましい。
【0013】
本発明のストレッチフィルムを成形するためには、溶融押出法、即ち、T−ダイ法、テンタ延伸法、インフレーション法、チューブラー二軸延伸法などを採用することが出来る。ここで、製膜方向と幅方向の応力バランス、また横方向の応力を調整するためには使用する材料の特性に応じて、溶融押出後の冷却、引き取り条件、インフレーション法においてはブローアップ比を、延伸を伴う場合には、その温度や延伸倍率を調整することで適正な範囲に制御することが出来る。
【0014】
本発明のストレッチフィルムの厚さは、通常のストレッチフィルムとして使用される範囲、即ち7〜30μm程度、好ましくは9〜20μm程度の範囲である。
【0015】
本発明のストレッチフィルムに、防曇剤、帯電防止剤、適度の滑り性、自己粘着性などを付与するため以下のような添加剤を任意の層に添加することが出来る。例えばPL規格(食品添加剤リスト)に準ずる界面活性剤として、グリセリン脂肪酸(c8〜22)エステル、ソルビタン脂肪酸(C8〜22)エステル、プロピレングリコール脂肪酸(C8〜22)エステル、ショ糖脂肪酸(C8〜22)エステル、クエン酸モノ(ジまたはトリ)ステアリン酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸(C8〜22)エステル、ポリグリセリン脂肪酸(C8〜22)エステル、ポリオキシエチレン(20)グリセリン脂肪酸(C8〜22)エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸(C8〜22)エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸(C8〜22)エステル、ポリオキシエチレン(9.5)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(4〜14.30〜50)アルキル(C4、9、12)フェニルエーテル、N、N−ビス(2)−ヒドロキシエチル脂肪酸(C12〜18)とジエタノールアミンによる縮合生成物、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンブロック共重合体、ポリエチレングリコール(分子量200〜9500)、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0016】
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のパラフィン、炭化水素樹脂類、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアロアミド、オキシシテアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、シリノールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘナミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド類、n−ブチルステアレート、メチルヒドロキシシステアレート等の脂肪酸エステル類等が挙げられる。
これらの界面活性剤、滑剤、粘着付与剤などの添加剤は少なくとも1種を各々の層を構成する樹脂に0.1〜5重量%配合することが出来る。
【0017】
本発明のストレッチフィルムはスクラップを中間層に戻すことが出来る。またこの時、表層成分が中間層に含まれることになる。
【0018】
【実施例】
以下実施例により、本発明を更に詳細に説明する。なおストレッチフィルム特性・性質は次の方法により測定評価した。
【0019】
1)透明性(Haze%)
ASTM−D1003に準拠して測定した。
2)自動包装機適性
幅350mmのストレッチフィルムを用い、自動包装機((株)寺岡精工社製AW−2600JrPE)によりPSPトレー(長さ196mm、幅153mm、高さ25mm)の包装試験を実施した。表3に示す、カット性、しわ、破れ、トレー変形、底シール性について評価した。
【0020】
(実施例1)
結晶性ポリプロピレンとしてプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有4モル%、MFR=0.5g/10分(230℃、2.16Kg))62.5重量%、プロピレン−ブテン共重合体としてプロピレン/ブテン−1の重量比が65/35で数平均分子量Mn6500であるプロピレン・ブテン−1共重合体(商品名REXTAC RT2780)22.5重量%、エチレン−プロピレン共重合体としてエチレン−プロピレンランダム共重合体(プロピレン含有量26モル%、MFR=3.2g/10分(230℃、2.16Kg))15%と防曇剤としてジグリセリンモノオレートを2重量部混合した組成物を中間層として6μm、EVA(酢酸ビニル含量15重量%、MFR=1.5g/10分(190℃、2.16Kg))100重量部に防曇剤としてジグリセリンモノオレートを2重量部添加した組成物を表面層として各々3μmとなるように、共押出インフレーション成形にて総厚み12μm(3μm/6μm/3μm)のストレッチフィルムを得た。
【0021】
Figure 0004112107
とした。
【0022】
(実施例2〜3)実施例1に使用したのと同じ樹脂を使用し、その比率を表1のように変更してストレッチフィルムを製膜した。
【0023】
【表1】
Figure 0004112107
【0024】
(比較例1)実施例1に使用したPPを80重量%、プロピレン・ブテン−1共重合体20重量%と防曇剤を1重量部混合した樹脂組成物を中間層として6μm、実施例1と同じ表面層を中間層の表面に3μmとなるように、共押出インフレーション成形にて総厚み12μm(3μm/6μm/3μm)のストレッチフィルムを得た。成形条件は実施例と同じで行った。
【0025】
(比較例2)実施例1に使用したPPを85重量%、エチレン−プロピレン共重合体15重量%と防曇剤を1重量部混合した樹脂組成物を中間層として6μm、実施例1と同じ表面層を中間層の表面に3μmとなるように、共押出インフレーション成形にて総厚み12μm(3μm/6μm/3μm)のストレッチフィルムを得た。成形条件は実施例と同じで行った。
【0026】
【表2】
Figure 0004112107
【0027】
【表3】
Figure 0004112107
【0028】
(比較例3)市販の塩ビストレッチフィルム(厚さ13μm)を使用した。
これらのストレッチフィルムについての特性、性能の評価結果を表1、2に示す。
【0029】
【発明の効果】
本発明のストレッチフィルムは表面層にEVAを使用することで底シール性を付与し、中間層に結晶性ポリプロピレン60重量%〜80重量%、プロピレン−ブテン共重合体20重量%〜30重量%、エチレン−プロピレン共重合体10重量%〜30重量%の組成とすることで透明性、適度な柔軟性、回復性と突き刺し強度を付与することが出来、その結果、塩ビストレッチフィルムと同等の機械包装適性に優れるストレッチフィルムを提供することが出来る。

Claims (3)

  1. 結晶性ポリプロピレン60重量%〜80重量%、プロピレン−ブテン共重合体20重量%〜30重量%、エチレン−プロピレン共重合体10重量%〜30重量%よりなる中間層の両側に表面層を有するストレッチフィルム。
  2. 表面層がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、エチレン−アルキルメタアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンメタクリレート共重合体、アイオノマー、プロピレン系エラストマー、メタロセン触媒を用いたポリエチレン系樹脂から選ばれた少なくとも一種の樹脂からなる請求項1記載のストレッチフィルム
  3. 請求項1または請求項2に記載のストレッチフィルムで包装された包装物。
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