JP4111874B2 - 遮光容器、及び遮光容器の製造方法 - Google Patents

遮光容器、及び遮光容器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線などの光線透過をより確実に防止するため、容器の胴部及び底面が遮光性ラベルで被覆された遮光容器及び該遮光容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲料や食品などの容器として所謂ペットボトルなどの合成樹脂成形容器やガラス容器などが広く用いられている。また、緑茶やヨーグルトなどのように光によって変質や変色が起こりやすい内容物を充填する場合には、遮光性を付与するために着色容器が用いられてきたが、近年、容器リサイクル強化の観点から、透明な容器が使用されている。
【0003】
そこで、透明容器のような光透過性容器の胴部に、例えば、白色系フィルムからなる筒状ラベルを装着した遮光容器が知られている。しかしながら、容器の胴部に遮光性の筒状ラベルを装着だけでは、容器の底面を通じて紫外線などが透過するため、十分に遮光性を備えた容器とならない。
このような点に鑑み、特開2002−68202号には、容器の胴部に紫外線遮断フィルムからなる熱収縮性ラベルを装着すると共に、容器の底面に紫外線遮断インキ層を施した紫外線遮断性ボトルが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−68202号公報(第2頁の[請求項1]及び図1等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる公報記載の手段では、容器のリサイクル時に、筒状ラベルの除去に加えて、紫外線遮断インキを剥離しなければならず、簡単に容器をリサイクルすることができないという問題点がある。また、搬送時などの擦れによって、底面に塗布された紫外線遮断インキ層が部分的に剥離する虞がある。
また、上記公報記載の遮光容器を製造する際には、筒状ラベルの装着工程に加えて、容器の底面にインキを塗布しなければならず、特に、底面の形状が複雑な容器にインキを塗工することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、光透過性容器の胴部及び底面からの光透過を防止でき、リサイクル時には、この光遮断手段を簡易に除去することができる遮光容器を提供することを課題とする。
また、本発明は、容器の胴部及び底面を遮光性ラベルで被覆した遮光容器を簡易に製造することができる遮光容器の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の遮光容器は、光透過性容器2の胴部21から底面22にかけて、1つの遮光性筒状ラベル3で被覆されていることを特徴とする。
すなわち、本発明は、胴部21と、自立させるための接地部221が形成され且つ内側へ凹んだ凹部222が形成された底面22と、を有する光透過性容器2と、前記容器2の胴部21及び底面22を被覆可能な遮光性の熱収縮性筒状ラベル3とを備え、筒状ラベル3が、熱収縮により前記容器2の胴部21に装着され、且つ接地部221の形状に沿って装着されていると共に、筒状ラベル3の接地部装着部36が、接地部221の内側に向かって次第に大きく熱収縮され、筒状ラベル3の下方開口部35を閉塞する閉塞部32が、筒状ラベル3の下端部31を合わせて筒状ラベル3の表面に添着することによって形成され、閉塞部32が、凹部222で区画される空間28内に納められている遮光容器を提供する。
【0008】
上記遮光容器1は、紫外線などの透過をより確実に防止でき、又、光遮断手段が、遮光性の筒状ラベル3で容器2の胴部21及び底面22を被覆するという手段であるため、リサイクル時には、筒状ラベル3を切り取りこれを簡単に除去することができる。また、ラベル3で被覆されているので、搬送時に容器2の底面22が擦れても、剥がれる虞がない。
さらに、筒状ラベル3は、容器2の接地部221の形状に沿って装着されているので、容器2を支障なく自立させることができ、外観上も美麗な容器となる。
【0009】
また、上記遮光容器1は、筒状ラベル3の下方開口部35を閉塞する閉塞部32が、凹部222で区画される空間28内に納められているので、閉塞部32が底面21の接地部221から下方側に突出せず、従って、上記遮光容器1は、従来の容器と何ら変わらずに、自立安定性が確保され、更に、搬送時、この閉塞部32にゴミなどが付着したり、或いは障害物に引掛かることを防止できる。
【0010】
さらに、上記閉塞部32が、筒状ラベル3の下端部31を合わせて筒状ラベル3の表面に添着することによって形成されているので、閉塞部32が嵩張らず、又、搬送時などの振動などによって、閉塞された下方開口部35が不用意に開口することを防止できる。
【0011】
また、本発明の第2の手段は、製造方法にあり、胴部21と、内側へ凹んだ凹部222が形成された底面22とを有する容器2に、遮光性を有する熱収縮性筒状ラベルが装着された遮光容器の製造方法であって、容器2の胴部21及び底面22を被覆可能な長さの熱収縮性筒状ラベル3を、容器2の胴部21及び底面22から下方側へ突出させた状態で容器2に挿入する挿入工程、筒状ラベル3を加熱して熱収縮させる熱収縮工程、熱収縮の後、容器2の底面22下方に突出する筒状ラベル3の下端部31を、筒状ラベル3の下端部31が軟化している間に、容器2の底面22の凹部222側へと押圧し、容器2の凹部222で区画される空間28内において筒状ラベル3の下方開口部35を閉塞する閉塞部32を形成する閉塞工程、を含む遮光容器の製造方法を提供する。
【0012】
上記製造方法によれば、筒状ラベル3を挿入して熱収縮させ、且つ収縮後に生じるラベル3の下端部31を、容器2の底面22側へと押圧するという簡易な工程で、容器2の胴部21及び底面22に遮光性の筒状ラベル3を装着でき、且つその下方開口部35を閉塞できる。
従って、胴部21及び底面22が筒状ラベル3で被覆され、閉塞部32が容器2の凹部222内に納められた遮光容器1を簡易に製造することができる。
【0013】
また、上記閉塞工程が、熱収縮時の余熱によって筒状ラベル3の下端部31が軟化している間に押圧する上記製造方法によれば、別途加熱工程を設けることなく、下端部31を塑性変形させて下方開口部35を閉塞することができるので好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。尚、本明細書に於いて方向を示す用語としての「上」、「下」は、容器を自立させた状態を基準とする。
図1に於いて、1は、遮光性を有する熱収縮性筒状ラベル3によって、自立可能な光透過性容器2の少なくとも胴部21及び底面22が被覆されている遮光容器を示す。
【0017】
具体的には、容器2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製容器(いわゆるPETボトル)などの合成樹脂製成形容器、ガラス製などの透明容器からなり、内部に液体などの充填物を収納する収納部23、この充填物を出入れするための取出し部24、胴部21及び自立させるための底面22を有する。取出し部24には、注出口241と外周壁に形成されたネジ部242とが形成されており、このネジ部242には、注出口241を開閉するための非透明樹脂成形品、金属製などのキャップ25が螺合されている。このネジ部242の下方には、外側に突出した鍔部26が形成されている。胴部21には、この鍔部26から次第に拡径する肩部211と実質的に筒状の胴本体部212とが形成されている。底面22には、この胴本体部212に連続するコーナー部27を介して、台上などの載置面に容器を自立させるため該載置面に接する接地部221とこの接地部221よりも内側であって中央部が内側(容器の収納部側)に凹んだ凹部222とが形成されている。この接地部221は、下端面が平坦な底面視リング状に形成されており、この接地部221に囲われるように、ドーム(底上げ)状の凹部222が形成されている。
【0018】
かかる光透過性の容器2の胴部21略全面に、遮光性を有する熱収縮性筒状ラベル3が熱収縮により装着されており、更に、容器2の接地部221に、内側(容器2の中心軸側)に向かうに従い大きく熱収縮されている筒状ラベル3の接地部装着部36が装着されていると共に、筒状ラベル3の下方開口部が、容器2の底面22において閉塞されている。
より具体的には、筒状ラベル2の下方側は、次第に大きく熱収縮しながらコーナー部27に沿って略直角に湾曲し、このコーナー装着部から水平に延びる接地部装着部36を備えている。この接地部装着部36は、接地部221の内側(容器2の中心軸側)に向かうに従い大きく熱収縮されている。さらに、この接地部装着部36から延びるラベル片は、同様に熱収縮しつつ容器2の凹部222側へと入り込むと共に、筒状ラベル3の下方開口部を閉塞するように下端部31が重ね合わされている。この下端部31の合わせ部分は、塑性変形によってラベル表面3aに添着させて略扁平状に成形され、これが下方開口部を閉塞する閉塞部32となっている。従って、この閉塞部32は、容器2の凹部222で区画される空間28内に位置して納められている。
【0019】
閉塞部32は、例えば、図2(a)−1,2に示すように、(恰も袋の底貼りの如く)下端部31の一方片31aを内側に折り込み且つその上に他方片31bを折り畳んだ形状、同図(b)−1,2に示すように、筒状の下端部31の内面を重ね合わせて板状にし、その板状重合部分31cをラベル表面3aへと折り畳んだ形状、同図(c)−1,2に示すように(恰もキャンディの捻り包装の如く)下端部31合わせながら捻って撚糸状にし、この捻り重合部分31dをラベル表面3aへと折り畳んだ形状、などのように筒状ラベル3の下端部31を規則的に合わせてラベル表面3aに添着させ、且つ塑性変形によって略扁平状に熱セットした構成や、同図(d)−1,2に示すように、下端部31を任意重なり合わせてラベル表面3aに添着させた形状、などのよう筒状ラベル3の下端部31を無秩序に合わせてラベル表面3aに添着させ、且つ塑性変形によって略扁平状に熱セットした構成などが例示される。
【0020】
容器2に装着する前(熱収縮前)の筒状ラベル3は、図3及び図4に示すように、容器2の胴部21に挿入脱可能な内径で、且つ熱収縮後に少なくとも容器2の胴部21及び底面22を被覆可能な長さのラベル基材5の両端部5a,5aを、センターシールし、且つこのセンターシール部4の近傍に易開裂手段としてミシン目6が形成された筒状体からなる。
この筒状ラベル3の上方側は、容器2の胴部21を被覆可能な胴部被覆領域33(容器2の胴部21のみならず、容器2のキャップ25の一部又は全部までも被覆する場合を含む)で、下方側は容器2の底面22を被覆可能な底面被覆領域34である。
【0021】
具体的に熱収縮前の筒状ラベル3の大きさは、容器の大きさ・形状などによって適宜設計されるものであるが、例えば、胴部被覆領域33が容器2の胴部21長さと略同長で、且つ底面被覆領域34が容器2の底面22の半径長さよりも長く形成されているものが例示される。もっとも、この底面被覆領域34が短いと、後述するように熱収縮後に筒状ラベル3の下方開口部35を閉塞することが困難となり、一方、余りに長いと閉塞部32が嵩張るので、例えば、図6に示すように、熱収縮により、底面22下方に生じる筒状ラベル3の下端部31の突出長さLが、下方開口部35の直径Dに対して1〜3倍程度の長さとなるように、底面被覆領域34の長さを設計することが好ましい。また、容器2のキャップ25の一部又は全部まで被覆された遮光容器1を構成する場合には、筒状ラベル3の胴部被覆領域33は、容器2のキャップ25の一部又は全部を被覆可能な長さにする。
尚、筒状ラベル3を構成する熱収縮性フィルムとして、長手方向にも熱収縮するフィルムを用いる場合には、熱収縮後の筒状ラベル3の長さが短くなるため、装着前の筒状ラベル3は、その収縮を考慮して収縮率相当分だけ長く形成しておけばよい。
【0022】
次に、筒状ラベル3を構成するラベル基材5は、少なくとも紫外線を略遮断可能な遮光性と、少なくとも幅方向(筒状ラベルとした場合には周方向)に熱収縮性を有するフィルムからなる。
具体的には、例えば、乳白色を呈する白色系フィルム7の裏面7aに、カーボンブラックなどの黒色顔料が配合された黒色インキからなる黒色系印刷層8がグラビア印刷法などによって設けられていると共に、白色系フィルム7の表面7bのうち、胴部被覆領域33相当面に商品名などを表示するための意匠印刷層9が設けられ且つ底面被覆領域34相当面に同様の黒色系印刷層8が設けられたラベル基材5を用いることができる。従って、白色系フィルム7の底面被覆領域34の表裏面7a,7bには、黒色系印刷層8が設けられている。尚、この意匠印刷層9及び黒色系印刷層8の表面には、図示したように、ニスなどのオーバー印刷層10が設けられている。
さらに、ラベル基材5の厚みは、20〜90μm程度、好ましくは30〜70μm程度に形成される。
【0023】
白色系フィルム7は、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、2種以上の混合物などの樹脂成分と、紫外線遮断剤として二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイトなどの白色顔料と、各種添加剤とを、公知の製膜法により製膜し、延伸することにより得ることができる乳白色のフィルムなどを用いることができる。延伸処理は、テンター方式、チューブ方式の何れでもよい。延伸処理は、通常、70〜110℃程度の温度で、幅方向(TD方向)に2.0〜8.0倍、好ましくは3.0〜7.0倍程度延伸することにより行われる。さらに、必要に応じて、長手方向(MD方向)にも、例えば1.5倍以下の低倍率で延伸処理を行ってもよい。得られたフィルム7は、一軸延伸フィルム又は主延伸方向と直交する方向に若干延伸された二軸延伸フィルムとなる。
【0024】
フィルム7の熱的性質は、ラベル3が少なくとも熱収縮により容器2の胴部21に装着可能な程度、更に、ラベル3の接地部装着部36に皺を生させず、容器2の接地部221の形状に沿って密着装着可能な程度まで少なくとも熱収縮するものが好ましい。
具体的には、少なくとも幅方向(筒状ラベルとした場合に周方向)に於ける熱収縮率(80℃の温水中に10秒間浸漬)が約30%以上、好ましくは約40%、より好ましくは約50%以上のフィルムを用いることが好ましい。尚、熱収縮率の上限は、熱収縮後の筒状ラベル3の下方開口部35の内径をより小さくできることから、出来るだけ大きいもの(フィルムの種類によって異なるが概ね70〜80%程度)が好ましい。
熱収縮率(%)=[{(幅方向の元の長さ)−(幅方向の浸漬後の長さ)}/(幅方向の元の長さ)]×100。
尚、長手方向についても若干熱収縮する熱収縮性フィルムが好ましい。
【0025】
また、ラベル基材5の遮光性の目安は、例えば波長200〜400nmの紫外線の最大透過率が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下程度のものが用いられる。
【0026】
上記構成からなる遮光容器1は、底面22まで遮光性のラベル3で被覆されているので、紫外線などの光透過を防止することができる。さらに、上記ラベル3は、白色系フィルム7の裏面7aに黒色系印刷層8が設けられた基材5からなるので、意匠印刷層8の下地となる白色背景の利点を有しつつ、可視光線の透過も防止できる。可視光線の遮光性の目安は、例えば、内容物がビールやビタミン剤などの場合、波長400〜600nmの最大透過率が20%以下、好ましくは10%以下である。
また、光遮断手段が、1つの筒状ラベル3によって容器2を被覆するものであるため、リサイクル時には、既知の胴部ラベル付き容器と同様に、消費者は、ミシン目6などを利用して、ラベル3を切り取りこれを簡単に除去することができる。尚、ミシン目6は微小な孔であるため、光透過の影響は殆ど無視できるほどに小さいが、より確実に遮光するには、上記のような貫通孔型のミシン目6に代えて、非貫通のミシン目やハーフカットの切取り線などのような非貫通型の易開裂手段を用いることが好ましい。
さらに、筒状ラベル3は、容器2の接地部221の形状に沿って装着されているので、容器2を何ら支障なく自立させることができ、外観上も美麗な容器となる。特に、筒状ラベル3の閉塞部32が、容器2の凹部222内に位置されているので、底面21からラベルの一部が突出することがないから自立安定性に優れ、さらに、搬送時、閉塞部32にゴミが付着したり、閉塞部32が不用意に障害物に引掛かることなどを防止できる。
【0027】
また、筒状ラベル3の下端部31が合わされ且つ塑性変形によって略扁平状に成形されているので、閉塞部32が嵩張らず、又、搬送時などの振動などによって、閉塞された筈の下方開口部35が再開口することなどを防止できる。
また、熱収縮によって装着する際、後述するように、筒状ラベル3の底面被覆領域34は大きく収縮することが好ましいところ、上記筒状ラベル3は、底面被覆領域34の表面7bにも黒色印刷層8が設けられているので、赤外線加熱した場合などの熱を吸収し易いという利点を有する。
【0028】
次に、上記筒状ラベル3を容器2に装着する方法及び遮光容器1の製造方法について説明する。
まず、ラベル基材5が連続的に繋がったラベル基材連続体を引出しながら、両端部5aをセンターシールし、これを巻き取ることにより、筒状ラベルが連続的に繋がった筒状ラベル連続体を得る。
この筒状ラベル連続体を、ラベラーなどのシュリンク装着機にセットし、所定長さに切断して1つの筒状ラベル3とし、コンベアなどの搬送装置から送られてくる透明容器2に挿入する。
【0029】
具体的には、図5に示すように、筒状ラベル3の上縁を容器2の鍔部26と略同レベルの位置に、且つ筒状ラベル3の底面被覆領域34を、容器2の底面22から下方側に突出させた状態となるように、筒状ラベル3を容器2に挿入する。次いで、これを温風などを備えるシュリンクゾーンに導いて、この筒状ラベル3を熱収縮させる。
かかる熱収縮により、図6に示すように、筒状ラベル3は、容器2の胴部21に装着され、コーナー部27を介して、内側に次第に大きく熱収縮する接地部装着部36が形成される。更に、この接地部装着部36が接地部221に密着装着され、底面22中央部に、非装着部分として、下方開口部35を含む筒状の下端部31が下方に突出した状態となる。
【0030】
熱収縮温度は、フィルムの種類に応じて適宜設計されるものであって通常60〜200℃程度であるが、美麗な底面を形成できることなどから、底面被覆領域34が容器2の接地部221の形状に沿って密着する程度に筒状ラベル3を熱収縮させることが好ましく、更に、熱収縮後に生じる下方開口部35の開口面積をより小さくすることができるという点から、フィルムの収縮限界又はこの近くまで熱収縮させることがより好ましい。
【0031】
次に、熱収縮時の余熱によって筒状ラベル3の下端部31が軟化しているうちに、図7に示すように、凹部222によって区画される空間28内に進入可能な治具11を用い、下端部31を底面22の凹部222側へと押圧し、前記空間28内で略扁平状に押し潰すことにより、下端部31を介して下方開口部35を閉塞する。この際、下端部31を凹部222(底面22)の表面に押し当てるようにして押圧することが好ましい。
その後、下端部31は、塑性変形により、ラベル表面3aに添着した略扁平状の塊となって、図1に示すような、閉塞部32が空間28内に納められ、この状態を維持できる遮光容器1が得られる。
押圧方法は、例えば、上面が平坦な治具11を用い、下方から底面22側に筒状ラベル3の下端部31を押圧すると、これが無秩序に押し潰され、図2(d)に示すような閉塞部32を形成することができる。また、上面に下端部31に係合する係合部(例えばヤスリ面のような凹凸面)を有する治具11を用い、長手軸周りに回転させながら下端部31を押圧すると、これが撚り糸状に押し潰され、図2(c)に示すような閉塞部32を形成することができる。また、複数の治具11を用い、下端部31を折り畳たむように順次押圧すると、図2(a)に示すような閉塞部32を形成することができる。
【0032】
上記製造方法によれば、筒状ラベル3を収縮させ、且つ収縮後に生じる非装着部分であるラベル3の下端部31を、容器2の底面22側へと押圧するという簡易な工程を経て、胴部21及び底面22が遮光性ラベル3で被覆された遮光容器1を製造することができる。
特に、底面22の凹部222側へと押圧することにより、凹部222の空間28内に閉塞部32が納められた遮光容器1を簡易に製造することができる。
さらに、熱収縮時の余熱により、下端部31が軟化している間に押圧することにより、別途加熱工程を設けずに、下端部31を塑性変形させて下方開口部35を閉塞することができる。もっとも、下端部31を確実に軟化させるために、下端部31を集中的に加熱するヒーターなどの加熱装置を用いて押圧してもよい。
【0033】
尚、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲で、適宜の構成を付加、代用、設計変更などすることができる。以下、上記各実施形態の変形例について、主として異なる部分を説明し、同様の構成については、用語及び図番を援用し、その説明を省略することがある。
【0034】
(ラベル基材の他の実施形態)
上記実施形態に於いて、ラベル基材5は、白色系フィルム7に黒色系印刷層8が設けられているので、上記の効果を奏するが、黒色系印刷層8が設けられていない白色系フィルム7を用いてラベル基材5を構成してもよい。また、ラベル基材5を構成するフィルムは、白色系フィルム7に限られず、例えば、特開2002−68202号の第4頁[0027]−[0030]に例示されているような、赤色、濃青などを呈する各種の着色剤や紫外線吸収剤などの紫外線遮断剤が適宜配合されて製膜された遮光性フィルムを用いてラベル基材5を構成してもよい。また、必要に応じて、かかる遮光性フィルムに、上記実施形態の如く、裏面及び/又は底面被覆領域34相当表面に適宜黒色系印刷層8を設けてラベル基材5を構成してもよい。
さらに、透明なフィルムの裏面及び/又は表面に、白色、黒色、濃青などを呈する着色剤や紫外線吸収剤などの紫外線や可視光線の遮断剤が配合された遮光印刷層が設けられた遮光性フィルムを用いてもよく、また、透明なフィルムと紫外線等遮断剤の配合されたフィルムとが積層された積層フィルムなどを用いてもよい。尚、紫外線のみを遮断する場合には、紫外線吸収剤などを含有した実質的に無色の透明フィルムでラベル基材5を構成してもよい。
また、上記実施形態では、フィルム7の表面7bに意匠印刷層9が設けられているが、意匠印刷層9を裏面7aに設けるなどしてもよい。
【0035】
(閉塞部の他の実施形態)
上記実施形態に於いて、閉塞部32は、凹部222の空間28内に位置して設けられているので接地部221下方に突出せずに好ましいものであるが、例えば、図8(a)に示すように、該空間28外であって、凹部対応位置に閉塞部32を設けてもよい。閉塞部32が凹部対応位置に設けられていると、遮光容器1を自立させた際、ラベル3の撓みよって閉塞部32が凹部22へと納まるので(二点鎖線で示す)、自立安定性を確保できる。
【0036】
(容器の他の実施形態)
上記実施形態に於いて、容器2は、その接地部221が、周方向に連続的に繋がる平坦状のものが例示されているが、例えば、図8(b)に示すように、周方向に複数の凸部が突設され、この凸部下端面が接地部221とされた容器2に適用してもよい。尚、かかる容器2は、隣り合う凸状の接地部221の間にも内側に凹んだ凹部222が形成されている。
【0037】
(遮光容器の製造方法の他の実施形態)
上記実施形態に於いては、熱収縮後の余熱によって筒状ラベル3の少なくとも下端部31が軟化している間にこれを押圧して下方開口部35を閉塞するので好ましいが、例えば、再加熱した上で、押圧してもよい。また、これらの手段は、押圧するだけで下方開口部35を閉塞できるので好ましいが、例えば、溶剤や接着剤を用いて、筒状ラベル3の下方開口部35を閉塞することも可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る遮光容器は、紫外線などの透過をより確実に防止でき、リサイクル時には、筒状ラベルを除去するだけで、光透過性容器を分離できる。また、本発明に係る遮光容器は、外観上も美麗である。
さらに、本発明に係る遮光容器は、筒状ラベルが熱収縮により容器の接地部の形状に沿って装着され、且つ筒状ラベルの下方開口部を閉塞する閉塞部が、凹部で区画される空間内に納められているので、自立安定性に優れ、又、搬送時に、ゴミなどが付着し難いので商品価値を低下させず、更に閉塞部が不用意に障害物に引掛かることを防止できる。
また、本発明に係る遮光容器は、閉塞部が、筒状ラベルの下端部を合わせて筒状ラベルの表面に添着することによって形成されているので、閉塞部が嵩張らず、又、搬送時などの振動などによって、下方開口部の再開口を防止できる。
【0039】
さらに、本発明に係る遮光容器の製造方法は、容器の胴部及び底面を遮光性ラベルで被覆した遮光容器を簡易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遮光容器の一実施形態を示す正面図であって、長手方向中心軸で右半分を断面として現した縦断面を含む正面図。
【図2】(a)〜(d)は、何れも遮光容器の閉塞部の各実施形態を示し、(a)−1〜(d)−1は、一部省略縦断面図、(a)−2〜(d)−2は、閉塞部を容器の底面側から見た状態を示す平面参考図。
【図3】熱収縮前の筒状ラベルの一実施形態を示す斜視図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】遮光容器の製造方法に於ける挿入工程を示す縦断面図。
【図6】同熱収縮工程を示す縦断面図。
【図7】同閉塞工程を示す縦断面図。
【図8】(a),(b)ともに、遮光容器の他の実施形態を示す一部省略縦断面図。
【符号の説明】
1…遮光容器、2…光透過性容器、21…容器の胴部、22…容器の底面、221…底面の接地部、222…底面の凹部、3…熱収縮性筒状ラベル、3a…ラベル表面、31…筒状ラベルの下端部、32…閉塞部、33…筒状ラベルの胴部被覆領域、34…筒状ラベルの底面被覆領域、35…下方開口部、36…接地部装着部、5…ラベル基材、6…ミシン目、7…フィルム、8…黒色系印刷層、9…意匠印刷層、11…治具

Claims (3)

  1. 胴部(21)と、自立させるための接地部(221)が形成され且つ内側へ凹んだ凹部(222)が形成された底面(22)と、を有する光透過性容器(2)と、前記容器(2)の胴部(21)及び底面(22)を被覆可能な遮光性の熱収縮性筒状ラベル(3)とを備える遮光容器であって、
    前記筒状ラベル(3)が、熱収縮により前記容器(2)の胴部(21)に装着され、且つ接地部(221)の形状に沿って装着されていると共に、前記筒状ラベル(3)の接地部装着部(36)が、接地部(221)の内側に向かって次第に大きく熱収縮され、前記筒状ラベル(3)の下方開口部(35)を閉塞する閉塞部(32)が、筒状ラベル(3)の下端部(31)を合わせて前記筒状ラベル(3)の表面に添着することによって形成され、前記閉塞部(32)が、前記凹部(222)で区画される空間(28)内に納められていることを特徴とする遮光容器。
  2. 胴部(21)と、内側へ凹んだ凹部(222)が形成された底面(22)とを有する容器(2)に、遮光性を有する熱収縮性筒状ラベルが装着された遮光容器の製造方法であって、前記容器(2)の胴部(21)及び底面(22)を被覆可能な長さの熱収縮性筒状ラベル(3)を、前記容器(2)の胴部(21)及び底面(22)から下方側へ突出させた状態で前記容器(2)に挿入する挿入工程、前記筒状ラベル(3)を加熱して熱収縮させる熱収縮工程、前記熱収縮の後、前記容器(2)の底面(22)下方に突出する筒状ラベル(3)の下端部(31)を、前記筒状ラベル(3)の下端部(31)が軟化している間に、容器(2)の底面(22)の凹部(222)側へと押圧し、前記容器(2)の凹部(222)で区画される空間(28)内において前記筒状ラベル(3)の下方開口部(35)を閉塞する閉塞部(32)を形成する閉塞工程、を含むことを特徴とする遮光容器の製造方法。
  3. 前記閉塞工程が、前記熱収縮工程の余熱によって筒状ラベル(3)の下端部(31)が軟化している間に行われる請求項2に記載の遮光容器の製造方法。
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