JP4111616B2 - コンクリート平板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱線を埋設したコンクリート平板に関するものである。なお、本発明においてコンクリート平板とは、コンクリートで作られた平板状のブロック体の全てをいう。例えば駅のホームで使用されているホーム先端タイル、知覚障害者用の誘導タイル、道路に敷き詰めて使用するコンクリートブロック等がある。
【0002】
【従来の技術】
例えば、駅のプラットホームの先端側にはコンクリート平板(ホーム先端タイルと呼ばれている)が取り付けられている。
このような駅のプラットホームの先端側のコンクリート平板上には冬季に積雪が生じ易く、またコンクリート平板上は冬季に凍結し易いという問題がある。
【0003】
駅のプラットホームの先端側のコンクリート平板上の積雪や凍結を防止するためには、コンクリート平板の下に発熱線を埋め込むことが考えられる。
すなわち図11に示すように、床盤コンクリートパネル1の上に発熱線2を配置し、その上に砂、空練りモルタル又はモルタル3等を被せ、その上にコンクリート平板4を配置する構成である。なお図11において、符号11はコンクリート平板4の表面に設けられた滑り止めゴム、6は知覚障害者用の誘導タイルであり、この誘導タイルの下面にも発熱線2が配置してある。また符号7は床盤コンクリートパネル1上に設けられたアスファルト舗装またはタイル舗装である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のように、コンクリート平板の下に発熱線を埋め込む構成であると、現場で発熱線を敷設しなければならないのでその敷設作業が面倒であるという問題がある。また、発熱線からの熱流は床盤コンクリートパネル1側にも多く流れるので、コンクリート平板側が温まり難く、特に通電開始後の温度立ち上がりが遅くなるという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の如き課題を解決したコンクリート平板を提供するものであり、その構成は、内部に発熱線が埋設されており、かつ裏面側にコンクリートと一体化された断熱層が形成されていることを特徴とするものである。
【0006】
このように、発熱線を埋設すると共に裏面側にコンクリートと一体化された断熱層を形成することにより、現場での発熱線の敷設作業を省略することができると共に発熱線からの発熱を効率良くコンクリート平板の表面側に流すことができる。
【0007】
発熱線として2層の導体が同軸状に形成された同軸構造のケーブルを使用することが好ましい。このような同軸構造のケーブルを使用すると、内側の導体と外側の導体とに、行きの電流と帰りの電流を互いに逆方向に流すことができ、その結果、各々の電流で発生する磁界の向きが逆になり、両磁界が互いに打ち消しあって外部への磁界の漏れが殆ど無くなるという効果がある。
【0008】
また発熱線にはリード線接続部を接続し、該リード線接続部はコンクリート面から突出しない状態でコンクリート内に配置しておくことが好ましい。このように構成しておくと、コンクリート平板の運搬時にリード線接続部の損傷が防止できるので好ましい。
【0009】
また断熱層は、多数の球状の断熱球体で構成しておくことが好ましい。このように構成しておくと、断熱層形成作業が容易に行える等の効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は本発明に係るコンクリート平板10の一実施の形態を示す斜視図であり、ホーム先端タイルに本発明を適用した場合である。
このコンクリート平板10は、表面に滑り止めゴム11が取り付けられており、また内部には図2に示すような発熱線20が配置されている。発熱線20はコンクリートの補強鉄筋として使用されている溶接金網13に蛇行させた状態で固定してある。また発熱線20としては、図3に示すように同軸構造のケーブルが使用される。この発熱線20は、内側導体21の外周に内側絶縁層22、外側導体23、外側絶縁層24及びシース25を順次形成した構造である。この発熱線の先端部は図2の符号26で示すように、内側導体21と外側導体23が接続された状態となっている。このように内側導体21と外側導体23を接続しておくと、内側導体21と外側導体23とに、行きの電流と帰りの電流を互いに逆方向に流すことができ、その結果、各々の電流で発生する磁界の向きが逆になり、両磁界が互いに打ち消しあって外部への磁界の漏れが殆ど無くなるという効果がある。したがってホーム先端タイル等に使用した場合においても、軌道に設置されている障害物検知システムや車両に搭載されている電子機器に悪影響を及ぼすことがない。なお、発熱線20は、内側導体21または外側導体23のいずれか一方または両方共に発熱するようにするものである。
【0011】
また発熱線20の他端側には、リード線接続部30が接続されており、該リード線接続部30にはリード線40が接続されている。このリード線40も前記発熱線20と同様に同軸構造のケーブルを使用することが好ましい。リード線40として同軸構造のケーブルを使用すると、発熱線20と同様に外部への磁界の漏れを防止できるという効果がある。
【0012】
上記の溶接金網13、発熱線20、発熱線20の内側導体21と外側導体23の接続部26、リード線接続部30及びリード線40の一部はコンクリート内に埋設されているものである。
【0013】
なお、発熱線20は、発熱線20からコンクリート平板の表面までの厚さが、発熱線20からコンクリート平板の裏面までの厚さより薄くなる位置にすなわち、コンクリート平板の表面側に位置するように配置しておくことが好ましい。このように発熱線20をコンクリート平板の表面側に位置するように配置しておくと、コンクリート平板の表面を効率良く加熱できるものである。
【0014】
またコンクリート平板10の裏面側には、コンクリートと一体化された断熱層50が形成されている(図1参照)。断熱層50としては、例えば、図4に示すような多数の球状の断熱球体51が使用される。すなわち図4(イ)に示すように球状の樹脂又は発泡体で作った断熱球体51や、図4(ロ)に示すように内部に空気層を有した樹脂又は発泡体の断熱球体51が使用される。
【0015】
上記のような断熱球体51を使用して断熱層50を形成する作業は次のように行う。
図5に示すように、先ず成形型60を用意する。次に成形型60の内面に所定間隔を開けて滑り止めゴム11を配置する。次に成形型60の厚さのほぼ中間に溶接金網13に蛇行させて固定した発熱線20を配置する。なお、発熱線20にはリード線40が接続されている。この状態で成形型60内にコンクリートを流し込む。コンクリートは、発熱線20が被る程度まで流し込む。次に流し込んだコンクリートの表面に多数の断熱球体51を積層する。次に多数の断熱球体51上に更にコンクリートを流し込んで所定の厚さに形成する。この時成形型60に適当な振動を与える。すると断熱球体51は比重が軽いためコンクリートの表面側に集まり断熱層50を形成する。なお、断熱球体51上に更にコンクリートを流し込む際に断熱球体51が発熱線20より下側に移動しないように、断熱球体51が通り抜けることのない網目を有した金網を発熱線20上に設け、該金網上に断熱球体51を積層するようにしてもよい。
【0016】
上記のように形成したコンクリート平板は、滑り止めゴム11側を上側に、断熱層50側を下側にして使用するものである。
【0017】
上記構成からなるコンクリート平板10は、図6に示すように床盤コンクリートパネル1上に取り付けて使用する。図6においては、知覚障害者用の誘導タイル6にも本発明を適用した例が示してある。なお図6において符号3は砂、空練りモルタル又はモルタル、11は滑り止めゴム、20は発熱線、50は断熱層、7はアスファルト舗装又はタイル舗装である。
【0018】
本発明においては、床盤コンクリートパネル1上に、コンクリート平板10を設置するだけで発熱線20の敷設も行うことができるものである。また断熱層50が存在することからコンクリート平板10の表面を効率良く加熱することができるものである。
【0019】
図7及び図8は本発明の他の実施形態を示すものである。このコンクリート平板10は、発熱線20の他端側に接続したリード線接続部30に予めリード線を接続しない状態を示したものである。すなわち前記実施形態においては、リード線接続部30に予めリード線40を接続し、これをコンクリート内に埋設したものを示したが、この実施形態においては、リード線接続部30に着脱自在にリード線40が取り付けられる様に構成したものである。図7に示すよに、リード線接続部30は、蛇行した発熱線20の間に設けられており、図8に示すように、裏面側においてリード線引き込み口31が開口した状態でコンクリート内に埋め込まれているものである。リード線引き込み口31の開口面はコンクリートの裏面と同一平面になるように埋め込まれている。
【0020】
このように、リード線接続部30に着脱自在にリード線40を取り付ける様に構成しておくと、コンクリート平板10の運搬時にリード線が損傷しない等の効果がある。また、リード線接続部30をコンクリート面から突出しない状態でコンクリート内に配置しておくと、コンクリート平板の運搬や敷設等の際にリード線接続部30が損傷したり邪魔になることがない。
【0021】
またリード線接続部30のリード線引き込み口31をコンクリート平板の裏面に位置させておくと、リード線40の引き込みを簡単に行うことができる。すなわち図9に示すように、床盤コンクリートパネル1にリード線収納溝42を設けることができるので、リード線引き込み口31にリード線40を簡単に接続することができるものである。なお図9においては、知覚障害者用の誘導タイル6にも本発明を適用した例が示してある。図9において、符号3は砂、空練りモルタル又はモルタル、11は滑り止めゴム、20は発熱線、50は断熱層、7はアスファルト舗装又はタイル舗装である。
【0022】
図10は、床盤コンクリートパネル1として穴あきPC板を使用した場合であり、この場合は図9に示すように床盤コンクリートパネル1に直接リード線収納溝を設けることが出来ないので、穴あきPC板を使用した床盤コンクリートパネル1の上面に設けた砂、空練りモルタル又はモルタル3の層にリード線収納溝42を形成し、該リード線収納溝42にリード線40を収納したものである。なお図10において図9と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0023】
なお、本発明で使用する発熱線である同軸ケーブルの構造は実施例のものに限定されるものではなく、また発熱線は同軸ケーブルでなく単線ケーブルであってもよい。また本発明で使用する断熱層は、多数の球状の断熱球体で構成したものに限定されるものではない。さらに本発明は各種のコンクリート平板に適用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明に係るコンクリート平板は、内部に発熱線が埋設されており、かつ裏面側にコンクリートと一体化された断熱層が形成されていることを特徴とするものである。したがって本発明によれば、現場での発熱線の敷設作業を省略することができると共に発熱線からの発熱を効率良くコンクリート平板の表面側に流すことができる。
【0025】
また発熱線として2層の導体が同軸状に形成された同軸構造のケーブルを使用すると、内側の導体と外側の導体とに、行きの電流と帰りの電流を互いに逆方向に流すことができ、その結果、各々の電流で発生する磁界の向きが逆になり、両磁界が互いに打ち消しあって外部への磁界の漏れが殆ど無くなるという効果がある。
【0026】
また発熱線にはリード線接続部を接続し、該リード線接続部はコンクリート面から突出しない状態でコンクリート内に配置しておくと、コンクリート平板の運搬時にリード線接続部が損傷しない等の効果がある。
【0027】
また断熱層を、多数の球状の断熱球体で構成しておくと、断熱層形成作業が容易に行える等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート平板の斜視図。
【図2】本発明で使用する発熱線の説明図。
【図3】本発明で使用する発熱線の側面図。
【図4】本発明で使用する断熱球体の説明図。
【図5】本発明の製造状態の説明図。
【図6】本発明のコンクリート平板を敷設した状態の説明図。
【図7】本発明の他の実施形態の説明図。
【図8】図7の発熱線を組み込んだコンクリート平板の裏面側斜視図。
【図9】図8のコンクリート平板を敷設した状態の説明図。
【図10】コンクリート平板を敷設した状態の他の例を示す説明図。
【図11】従来の発熱線の敷設状態の説明図。
【符号の説明】
10 コンクリート平板
20 発熱線
30 リード線接続部
40 リード線
50 断熱層

Claims (4)

  1. 内部に発熱線が埋設された第1のコンクリート層と、コンクリートと一体化された断熱層とが形成されたコンクリート平板であって、
    前記断熱層は、前記第1コンクリート層の上に流し込まれた第2のコンクリート層に埋め込まれた多数の断熱球体から構成され、
    該断熱球体は、流し込まれたコンクリートとの比重差によって、第2のコンクリート層の表面側に集まっていることを特徴とするコンクリート平板。
  2. 発熱線として同軸構造のケーブルを使用することを特徴とする請求項1記載のコンクリート平板。
  3. 発熱線にはリード線接続部が接続されており、該リード線接続部はコンクリート面から突出しない状態でコンクリート内に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のコンクリート平板。
  4. 前記発熱線と断熱球体との間に、断熱球体が通り抜けることのない網目を有した金網が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート平板。
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