JP3705720B2 - 磁気シールド型鉄道高架橋 - Google Patents
磁気シールド型鉄道高架橋 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3705720B2 JP3705720B2 JP26463299A JP26463299A JP3705720B2 JP 3705720 B2 JP3705720 B2 JP 3705720B2 JP 26463299 A JP26463299 A JP 26463299A JP 26463299 A JP26463299 A JP 26463299A JP 3705720 B2 JP3705720 B2 JP 3705720B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- viaduct
- magnetic shield
- sheet member
- railway
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Bridges Or Land Bridges (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は磁気シールド型鉄道高架橋に関し、とくに都市圏において高架橋に敷設される電気鉄道の電車線路電流に起因する高架橋周囲への磁気的影響を抑制する磁気シールド型鉄道高架橋に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市圏において、街路との平面交差を避けて交通能率や事故防止を図るため、高架鉄道が建設される。図1に示す高架鉄道の一例は、橋脚26により地盤から支持したスラブ27上に、道床28、枕木29、レール4、5、トロリー線2、き電線3等を設けたものである。高架である点を除き、トロリー線2及びき電線3で電源から電車6へ電流を供給し、電車6に供給した電流をレール4、5経由で電源へ戻す構成は普通の鉄道と同じである。例えば都市圏の直流電源方式の高架鉄道では、トロリー線2、き電線3及びレール4、5(以下、これらを纏めて電車線路1ということがある。)の各々に日中で約1,500〜2,000A、ラッシュ時には3,000〜4,000Aを超える大電流が流れる。
【0003】
一般に電車線路1周囲の任意の点Pには、図7及び図8を示すように、トロリー線2及びき電線3の往路電流による磁界の磁束密度Bfと、レール4、5上の復路電流による磁界の磁束密度Brとのベクトル和に相当する磁束密度B(B=Bf+Br)の磁界(以下、単に周囲磁界という。)が発生する。
【0004】
点Pが電車線路1から十分離れていれば、往路電流による磁界Bf及び復路電流による磁界Brは磁界の距離減衰特性により十分小さくなり、周囲磁界Bは実用上無視できる。しかし、点Pが電車線路1に近いときは、周囲磁界Bが無視できない値となる。例えばCRT等の電子ビーム利用機器8等が点Pに存在すると、機器8内部の電子ビームがその周囲磁界Bによって不所望の偏向を受け、画像に歪や色ずれその他の乱れが生ずる等の磁気障害が経験されている。また点Pに医療機関等があるときは、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、ペースメーカその他医療機器8の誤動作を招くおそれもある。
【0005】
限られた用地に建設する高架鉄道では、民家との距離が接近している場合があり、周囲磁界Bが大きくなる場所に置かれた前記電子ビーム利用機器や医療機器等(以下、被障害機器という。)8に対する対策が必要となることがある。従来、電車線路1による磁気障害への対策としては、被障害機器8を磁気遮蔽材料で覆う方法が実施されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の被障害機器8を磁気遮蔽材料で覆う方法は、機器8の取扱が不便になり、機器8自体の商品的意匠が損われ、強い周囲磁界Bが存在する場合には大量の磁気遮蔽材料が必要となり重くなって移動に不便となる等の問題点がある。またこの方法は、機器8側で周囲磁界Bの影響を遮断する受動的シールドであるため、多数の機器8に対して個別に対応しなければならない問題点がある。
【0007】
一方、本発明者は、電車線路1の周囲磁界Bを低減する技術として、き電線3の移設による周囲磁界抑制方法を開発し、特許第2974302号に開示した。同特許の発明を、図9を参照して本発明の理解に必要な程度において説明する。
【0008】
同図の周囲磁界抑制方法は、トロリー線2、き電線3及びレール4、5のように3本以上の平行導線を含む往復給電線の各導線電流を決定する手段30、往復給電線周囲の所定位置Pの磁束密度B(=Bf+Br)を低減する如く往復給電線中の一本の導線(例えば、き電線3)の位置を選択する手段31、任意配置の往復給電線上の被決定電流による磁束密度Bの分布を求める演算手段32、所定位置Pでの磁束密度Bの許容値を与える環境条件入力手段33、及び演算手段32で求めた所定位置Pの磁束密度Bが許容値以下であるか否か判定する手段34を備えてなる。判定手段34による判定が否の時に、選択手段31によるき電線3の位置の変更と演算手段32による磁束密度Bの分布の再演算と判定手段34による判定とを反復することにより、き電線3の位置を所定位置Pにおける磁束密度Bが許容値以下となる位置に決定する。
【0009】
しかし、上記周囲磁界抑制方法は、所定位置Pの磁束密度Bを許容値以下に低減できるものの、電車線路周囲の磁束密度Bを全体的に低減することは難しい。電車線路周囲の磁束密度Bを全体的に低減するためには、発生源において磁界を遮断する能動的シールドが必要である。とくに民家と接近する都市圏の高架鉄道において、能動的シールドにより周囲への影響を低減する技術の開発が望まれている。
【0010】
そこで本発明の目的は、高架鉄道の電車線路電流に起因する周囲磁界を低減する磁気シールド型鉄道高架橋を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
図1の実施例を参照するに、本発明の磁気シールド型鉄道高架橋は、電気鉄道の高架橋25の軌道を支えるスラブ27と道床 28 との間に防水工として敷き詰められ且つ防水層 11 と強磁性体層 12 とを積層した磁気シールドシート部材10、及び前記軌道の片側又は両側にシート部材10と磁気的に連結して線路長さ方向に延ばした磁気シールド壁体15を備えてなり、電車線路電流に起因する高架橋25のスラブ 27 下側及び壁体 15 外側の磁束密度Bをシート部材10及び壁体15からなる線路長さ方向と交差する断面L字型又はU字型の磁路により低減してなるものである。
【0012】
好ましくは、図3に示すように、壁体15を全面に亘り強磁性体層18が設けられた防音壁16とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図5は、高架鉄道のトロリー線2、き電線3及びレール4、5を平行と仮定した上で、図9の演算手段32により求めた電車線路1周囲の磁束密度Bの分布図を示す。同図は、ラッシュ時間帯における各導線の直流電流の実測最大値(き電線電流値I3=2,440A、各レールの電流値I4、I5=2,300A、トロリー線電流値I2=2,300×2−2,440=2,160A)による電車線路1周囲の磁束密度分布図を表し、図中の数値は磁束密度Bの大きさ(単位μT)を示す。本発明者は、前記特許第2974302号に開示したように、電車線路1の各導線の幾何学的配置を選択し、各導線に流れる電流値を決定すれば、図9の演算手段32により線路周囲の磁束密度分布が高精度に予測・把握できることを実際の現場で確認した。
【0014】
図5の磁束密度Bの分布は、高架鉄道周囲が一様な空気である場合のビオ・サバールの法則(図9参照)に基づく演算結果であるが、周囲に磁性材料が存在する場合にも、図9の演算手段32に示すMaxwellの法則と有限要素法や境界要素法によって線路周囲の磁束密度分布を演算できる。
【0015】
図6は、高架鉄道の高架橋25のスラブ27上に磁気シールドシート部材10を敷設し、高架橋25の片側にシート部材10と磁気的に連結して線路長さ方向に磁気シールド壁体15を設けた場合に、図9の演算手段32で演算した線路周囲の磁束密度分布図を示す。
【0016】
本発明者は、同図に示すように、磁気シールド機能を有するシート部材10と壁体15とにより高架橋25に断面L字型の磁束の通り道(以下、磁路という。)を形成すれば、線路1から発生する磁束をその磁路へ集中させ、壁体15の外側及び高架橋25のスラブ27下側へ広がる磁束を低減できることを見出した。例えば図5及び6に示す家屋7の被障害機器8の位置では、L字型磁路のない図5の場合は磁束密度Bが約130μTであるのに対し、図6のようなL字型磁路を設けることにより、磁束密度Bが約65μTと50%程度に低減できる。
【0017】
なお図6は高架橋25の片側の壁体15とシート部材10とからなる断面L字型の磁路を示すが、必要に応じて高架橋25の軌道の両側に磁気シールド壁体15を設け、両側の壁体15とシート部材10とにより断面U字型の磁路を形成することができる。U字型の磁路によれば、高架橋25の両側及びスラブ27下側へ広がる磁束を低減できる。
【0018】
更に本発明者は、断面L字型又はU字型の磁路の磁気的特性(比透磁率μ等)及び構造と、壁体15のシート部材10からの高さTと、電車線路1から壁体15までの距離Dとの選択により、磁気シールド型鉄道高架橋25の周囲磁束密度分布を調整できることを見出した。図4の流れ図を参照して、高架橋25周囲の磁束密度分布の調整方法を説明するに、先ずステップ401において、幾何学的配置が定められた高架橋25上の電車線路1の各導線2、3、4、5に流れる電流値を、検討に必要な数だけ設定する。例えば高架橋25建設後に、長時間継続して流れるベース負荷電流、短時間のみ流れるピーク電流、その中間電流等を測定して決定する。
【0019】
ステップ401と並行して、ステップ402において、高架橋25周囲の磁気レベル(磁束密度)をどの程度まで低減する必要があるかを調査する。磁界の影響を受ける機器は種々あり、障害を与える磁界の強さは各機器の許容限度によって異なる。例えば医療機関等で使用されるMRIの設置環境基準値は3〜20×10-7T以下とされている(日本建築学会「環境磁場の計測技術」1998年7月15日、p19)。被障害機器の種類と電車線路1に対する位置とに応じて、高架橋25周囲の磁束密度の低減レベル又は周囲所定位置における磁束密度の許容値を定める。
【0020】
次にステップ403で、磁路の磁気的特性・構造を選択する。例えばシート部材10及び壁体15に設ける強磁性体層12、18(図2及び3参照)の磁気的特性を、表1に示す各強磁性体材料から選択することができる。強磁性体材料と共にアルミニウム等の導電性材料を併用してもよい。また、磁路の構造としては、シート部材10及び壁体15の強磁性体層12、18を単層又は複数層構造とし、その層の厚さ及び/又は数を選択することができる。磁気シールド効果は、適度の空間を設けながら強磁性体層12、18を多層にすると更に高くなることが報告されている(前掲「環境磁場の計測技術」、p11〜12)。
【0021】
ステップ404において壁体15のシート部材10からの高さT、電車線路1から壁体15までの距離Dを例えば図1のように選択し、ステップ405〜407において図9に示す演算手段32により高架橋25周囲の磁束密度Bの分布を演算する。演算結果は、例えば図6のように表される。図6のような磁束密度分布図に、例えば被障害機器8の位置を書込めば、その機器8が置かれた環境の磁束密度Bを求め、磁束密度が低減できたか否かを判断できる。また図9に示すように、機器8が置かれた所定位置の磁束密度の許容値が与えられる場合は、その位置8における磁束密度Bと許容値とを比較することも可能である。
【0022】
【表1】
【0023】
ステップ401で設定した電流値ケースの全てについて上記ステップ405〜407を繰り返したのち、ステップ408〜409へ進み、高架橋25周囲の所定位置における磁束密度Bが低減できたか否かを判断する。所望の低減が得られない場合はステップ403へ戻り、例えば表1から他の強磁性体材料を選択し、強磁性体層18の厚さや積層数を変更し、又は壁体15の高さTや電車線路1からの距離Dを変更する。
【0024】
その後、ステップ405〜407を繰り返すことにより、新たな選択に基づく高架橋25の周囲磁束密度分布、すなわち所定位置における磁束密度を求めることができる。このサイクルを、所定位置における磁束密度が低減できるまで又は一定限度内の許容値以下になるまで繰り返すことにより、高架橋25周囲の所望の磁束密度低減が得られる断面L字型又はU字型の磁路の磁気的特性及び構造と、壁体15の高さT及び電車線路1からの距離Dとを定めることができる。
【0025】
高架橋25上に設ける壁体15の高さT又は電車線路1からの距離Dには沿線の日照の確保、耐風・耐震対策、景観保全などの観点から制約があるが、高さT又は距離Dの変更が難しい場合であっても、磁路の磁気的特性及び構造を適当に選択することにより、高架橋25周囲の磁束密度を低減し又は一定限度内の許容値以下とすることは可能である。
【0026】
こうして本発明の目的である「高架鉄道の電車線路電流に起因する周囲磁界を低減する磁気シールド型鉄道高架橋」の提供が達成できる。
【0027】
【実施例】
図1に示す磁気シールドシート部材10の一例は、防水層11と強磁性体層12とが積層された防水型シート部材10である。従来の高架橋25の構築工事ではスラブ27上に防水工を施すのが一般的である。その多くは塗料系又はシート系の防水材料を用いて施工される。こうした防水材料を兼ねた厚肉又は薄肉の強磁性体層12(図2参照)をスラブ27上に敷き詰めて、防水兼磁気シールドシート部材10とすることができる。強磁性体層12の磁気的特性は、例えば表1に示す各強磁性体材料から選択できる。
【0028】
例えば図2に示すように、ゴムアスファルト製の防水層11と厚肉又は薄肉の強磁性体層12とを積層して接着した防水型の磁気シールドシート部材10をスラブ27上に敷設する。図2は、3層に積層した強磁性体層12を示すが、強磁性体層12の厚さや数は高架橋25に付与するシールド性能に応じて調整可能である。またシート部材10によれば、従来の防水工をシート部材10の敷設作業に置き換えが可能となり、施工コストの低減も期待できる。
【0029】
更に、磁気シールドシート部材10に代えて、従来の鉄道高架橋25のスラブ27上に線路施設からの騒音・振動の吸収・減衰を目的として敷設される防音・防振マット部材に防水層11と強磁性体層12とが積層された防水型の防音・防振マット部材を用い、そのマット部材を相互に磁気的に連結してスラブ27上に敷き詰めてもよい。例えばゴムアスファルト製の防水層11と強磁性体層12とが積層された防水型の防音・防振マット部材を用いれば、磁気シールド型鉄道高架橋25に防音・防振性能と防水性能とを併せて付与することができる。
【0030】
他方、図1に示す磁気シールド壁体15の一例は、例えば図3(A)に示すように、繊維強化コンクリート又は鉄筋コンクリート製防音壁16と強磁性体板19による強磁性体層18とをプレス整形したコンクリート壁体である。従来の過密都市圏における鉄道高架橋25では、沿線住民への騒音障害を避けるため、高架橋25の両側の高欄に防音壁16を取り付けることが多い。この防音壁16に磁気シールド性能を付与して本発明の磁気シールド壁体15とすることができる。同図は一枚の強磁性体板19をプレス成形した壁体15を示すが、板19の厚さ又は数は選択可能である。また必要に応じて強磁性体板19の間に石膏ボード層及び/又はゴムアスファルト層を設けることにより、壁体15の更なる防音効果、可撓性、軽量化、磁気シールド性能の向上が期待できる。
【0031】
また図3(A)に示すように、壁体15の軽量化を図るために、壁体15内に空洞24を設けてレンコン状の縦断面形状とすることができる。材料モルタルの骨材として軽量骨材の使用、発泡材添加による多孔質コンクリート化、ポリスチレンフォームの埋め込み等により、壁体15の更なる軽量化を図ることも可能である。壁体15の軽量化により施工の容易化が図れる。
【0032】
図3(B)は、長細い繊維状の強磁性体18を層状に詰めた型枠内へのセメントモルタル又はペーストの注入により造られたプレパックドコンクリート製壁体15とした実施例である。例えば、細長い繊維状の強磁性体18の群を相互に接触する状態で板状に整形し、その空隙中へ軽量細骨材や発泡材を含むセメントモルタル又はペーストを注入して空隙を充填する、いわゆるプレパックドコンクリート製造の要領で同図の壁体15を製造することができる。同図の壁体15を防音壁として用いることも可能である。
【0033】
本発明の磁気シールド型鉄道高架橋の施工方法を図1を参照して説明する。高架橋25を新設する場合は、構築後のスラブ27上に磁気シールドシート部材10を敷設し、その上に砕石その他の道床28を設ける。複数のシート部材10をスラブ27上に敷き詰める場合は、シート部材10と同等の磁気シールド性能が付与された連結手段(図示せず)により隣接するシート部材10を磁気的に密着して連結する。例えば幅910〜1,000mm、長さ1,820〜2,000mm、厚さ30〜70mm程度、重量20〜30kg程度の防音・防振マットを敷設する場合は、一部重畳させるか又は適当な連結手段を用いてマット相互間の磁気的連続性を確保する。
【0034】
また、既設の高架橋25に磁気シールド性能を付与する場合は、砕石などの道床28を一旦撤去した後に磁気シールドシート部材10を敷設し、シート敷設後に道床28を再度設置する。スラブ27上にコンクリート道床を打設する方式の、いわゆる直結道床の場合であっても、高架橋25の駆体スラブ27と直結道床との間に磁気シールドシート部材10を敷設することができる。
【0035】
例えば高架橋25の両側の高欄に必要な高さTの磁気シールド壁体15を取り付け、壁体15とシート部材10とを磁気的に連結する。図中の符号14は、壁体15とシート部材10とを磁気的に連結する連結部材を示す。壁体15とシート部材10との間の連結は、例えば柔軟性のあるシート部材10を壁体15側に折り曲げて磁気的に接続する方法により行なってもよい。
【0036】
磁気シールド壁体15を複数のパネル板体で構成する場合は、例えば図3に示すように各板体の隣接板体との突き合わせ部位に凹部22と凸部23を設け、隣接するパネル板体の凹凸嵌合部で強磁性体層18を磁気的に結合することにより、強磁性体層18の磁気的連続性を確保する。また必要に応じて、板体の間に強磁性体層18と同等の磁気シールド性能が付与されたパネル支持柱(図示せず)を設けてパネル板体相互間の磁気的連続性を確保しつつ壁体15を構築する。
【0037】
以上、磁気シールドシート部材10と磁気シールド壁体15とによる断面L字型又はU字型の磁路による高架橋25周囲の磁束密度低減について説明したが、高架橋25の上方からは周囲へ磁束が広がるため、高架橋25周囲の比較的高い位置の磁束密度の低減は難しい。本発明者は、電車線路1のき電線3に臨む磁気シールド傘部材を設ければ、断面L字型又はU字型の磁路と磁気シールド傘部材とにより高架橋25周囲の比較的高い位置の磁束密度をも低減し、必要に応じ一定限度内の許容値以下にすることができることを実験的に確認した。磁気シールド傘部材の一例は、き電線3を被覆する強磁性管体や、き電線3の磁束低減対象側に臨ませた断面コ字型の強磁性樋体等である。
【0038】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の磁気シールド型鉄道高架橋は、電気鉄道高架橋のスラブと道床との間に防水層 11 と積層して敷き詰めた磁気シールドシート部材と、スラブの片側又は両側にシート部材と磁気的に連結して線路長さ方向に延ばした磁気シールド壁体とにより断面L字型又はU字型の磁路を形成するので、次の顕著な効果を奏する。
【0039】
(イ)電車高架橋の電車線路電流に起因する周囲磁束を低減し、高架橋周囲の磁気障害の解決に寄与できる。
(ロ)磁気シールドシート部材に防水機能を含めることにより、スラブ上の防水工をシートの敷設作業で行うことが可能となり、磁気シールド施工コストの低減が図れる。
(ハ)シート部材に代えて、従来の防音・防振マットに磁気シールド性能と防水性能を付与した防水型の防音・防振マット部材を相互に磁気的に連結してスラブと道床との間に敷き詰めることにより、鉄道高架橋に対し一度の施工で磁気シールド性能と防音・防振性能と防水性能とを付与できる。
(ニ)プレキャストコンクリート製の磁気シールド防音パネル板の利用により、従来の防音壁施工と同程度の作業で施工できる。
(ホ)電車線路の高架き電線に臨む磁気シールド傘部材を設ければ、高架橋周囲の比較的高い位置の磁束密度をも効果的に低減することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の磁気シールド型鉄道高架橋の一実施例の説明図である。
【図2】は、磁気シールドシート部材の一例の説明図である。
【図3】は、磁気シールド壁体の一例の説明図である。
【図4】は、本発明によるシート部材と壁体の設置方法の流れ図である。
【図5】は、従来の鉄道高架橋における磁束密度分布図の一例である。
【図6】は、本発明の鉄道高架橋における磁束密度分布図の一例である。。
【図7】は、導線上の電流による磁界の図式的説明図である。
【図8】は、磁束密度分布の計算原理の図式的説明図である。
【図9】は、従来の給電線の周囲磁界抑制方法の説明図である。
【符号の説明】
1…電車線路 2…トロリー線
3…き電線 4、5…レール
6…電車 7…家屋
8…被障害機器 10…磁気シールドシート部材
11…防水層 12…強磁性体層
15…磁気シールド壁体 16…防音パネル
18…強磁性体層 19…強磁性体板
20…強磁性体の繊維 21…空洞
22…凹部 23…凸部
25…高架橋 26…橋脚
27…スラブ 28…道床
29…枕木 30…電流決定手段
31…選択手段 32…演算手段
33…環境条件設定手段 34…判定手段
Claims (5)
- 電気鉄道の高架橋の軌道を支えるスラブと道床との間に防水工として敷き詰められ且つ防水層と強磁性体層とが積層された磁気シールドシート部材、及び前記軌道の片側又は両側に前記シート部材と磁気的に連結して線路長さ方向に延ばした磁気シールド壁体を備えてなり、前記電気鉄道の電車線路電流に起因する高架橋のスラブ下側及び前記壁体外側の磁束密度を前記シート部材及び壁体からなる線路長さ方向と交差する断面L字型又はU字型の磁路により低減してなる磁気シールド型鉄道高架橋。
- 請求項1の鉄道高架橋において、前記シート部材に代えて、防水層と強磁性体層とが積層された防水型の防音・防振マット部材を相互に磁気的に連結してスラブと道床との間に敷き詰めてなる磁気シールド型鉄道高架橋。
- 請求項1又は2の鉄道高架橋において、請求項1のシート部材又は請求項2のマット部材と前記磁気シールド壁体とを磁気的に連結する連結部材を設けてなる磁気シールド型鉄道高架橋。
- 請求項1から3の何れかの鉄道高架橋において、前記壁体を、全面に亘り強磁性体層が設けられた防音壁としてなる磁気シールド型鉄道高架橋。
- 請求項1から4の何れかの鉄道高架橋において、前記電車線路の高架き電線に臨む磁気シールド傘部材を設け、前記断面L字型又はU字型の磁路及び前記磁気シールド傘部材により前記電車線路電流に起因する高架橋周囲の磁束密度を低減してなる磁気シールド型鉄道高架橋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26463299A JP3705720B2 (ja) | 1999-09-17 | 1999-09-17 | 磁気シールド型鉄道高架橋 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26463299A JP3705720B2 (ja) | 1999-09-17 | 1999-09-17 | 磁気シールド型鉄道高架橋 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001090025A JP2001090025A (ja) | 2001-04-03 |
JP3705720B2 true JP3705720B2 (ja) | 2005-10-12 |
Family
ID=17406053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26463299A Expired - Fee Related JP3705720B2 (ja) | 1999-09-17 | 1999-09-17 | 磁気シールド型鉄道高架橋 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3705720B2 (ja) |
-
1999
- 1999-09-17 JP JP26463299A patent/JP3705720B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001090025A (ja) | 2001-04-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6961898B2 (ja) | プレハブスラブ式防振軌道構造システム及びその施工方法 | |
US9745703B2 (en) | Pavement slab assembly and method of building a pavement slab assembly | |
US8602318B2 (en) | Method of covering a rail for a railway vehicle | |
JP2009046821A (ja) | 鉄道用のコンクリート構造物およびその補強構造 | |
CN105525541B (zh) | 轨道交通用预制板式减振轨道结构 | |
CN101701439B (zh) | 钢弹簧浮置板轨道钢筋笼轨排法施工工艺 | |
CN104594190B (zh) | 一种桥梁无缝化伸缩装置及其施工方法 | |
CN102653931B (zh) | 弹性支撑隔振构件道床 | |
CN104762873B (zh) | 一种桥台处隐式伸缩装置及其施工方法 | |
KR101817142B1 (ko) | 소음 저감을 위한 하로교 u형 거더 및 그 시공 방법 | |
CN106065564B (zh) | 一种钢混组合结构整体式无缝桥 | |
Lin et al. | Development of deflection prediction model for concrete block pavement considering the block shapes and construction patterns | |
JP3705720B2 (ja) | 磁気シールド型鉄道高架橋 | |
CN107761484B (zh) | 一种对城市轨道交通杂散电流进行防护的施工方法 | |
JP3635999B2 (ja) | 電車線路の磁気シールド防音壁 | |
RU128218U1 (ru) | Арматурный модуль | |
CN210826938U (zh) | 一种适用于城轨交通建设配套8字型轨道板的轨道结构 | |
CN209194326U (zh) | 一种装配式多向变位桥梁伸缩装置 | |
CN110439027A (zh) | 一种控制地铁运行振动及噪声对上盖物业影响的结构及其施工方法 | |
CN112195769A (zh) | 一种桥梁伸缩缝处沥青面层无高差施工方法 | |
KR101124572B1 (ko) | 듀얼 타입 전기자동차용 급전선로 시공방법 | |
CN110117920B (zh) | 一种现浇式电缆槽系统 | |
CN217307225U (zh) | 一种可周转集成式围挡结构 | |
JP3987007B2 (ja) | 鉄道軌道の底面間隙複層充填支承工法 | |
JPH09111714A (ja) | 立体金網と細粒アスファルト混合物を用いた連続強化舗装工法および舗装構造物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20041014 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20041020 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20041215 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20050426 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Effective date: 20050516 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050726 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050726 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 6 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110805 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |