JP4111599B2 - 永久磁石式同期モータの制御装置 - Google Patents

永久磁石式同期モータの制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石式同期モータの制御装置に係わり、特に、エレベータ等の機械装置の駆動源に利用される永久磁石式同期モータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型で強力な永久磁石を界磁に使用した同期モータを利用することにより、同期モータおよび同期モータを含む駆動装置の小型化および効率の向上が図られ、永久磁石式同期モータを利用したエレベータ装置等の各種の機械装置への適用が進みつつある。
【0003】
通常、同期モータのトルクを制御するには、電流の大きさを制御するだけでなく、同期モータの磁極位置に対応し、電流位相を制御するために同期モータの磁極位置(回転角度)を把握することが必須である。磁極位置の推定には、実用的に磁極位置検出器が用いられる。これをエレベータに応用したものとしては特開平10−80188号公報がある。しかし、磁極位置の推定に、磁極位置検出器を用いると、モータ端に磁極位置検出器を設けなければならず、取り付けのためにモータに構造上の制約が生じたり、磁極位置検出器の取り付け時にモータ軸と検出軸の位置合わせが必要となる。この問題をなくすため、磁極位置センサレス駆動が研究されてきており、例えば、平成10年電気学会全国大会「NO、883 永久磁石同期モータ簡易磁極位置センサレス方式の性能評価」がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の磁極位置センサレス駆動は、モータが突極型でなければ、利用できず、また、場合によってはモータからトルクリプルが出るおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、上記の種々の問題点に鑑みて、永久磁石式同期モータの形式にかかわらず、磁極位置検出器を設けることなく、磁極位置(磁極位相)の推定を可能にした永久磁石式同期モータの制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、次のような手段を採用した。
【0007】
電力変換装置から出力される可変電圧および可変周波数によって制御される永久磁石式同期モータ、および該永久磁石式同期モータによって駆動される機械装置における永久磁石式同期モータの制御装置において、前記機械装置の停止を保持するブレーキ装置を解除し、前記永久磁石式同期モータの電機子に定格電機子電流の2倍以上の直流電流を流し、モータ発生トルクと負荷トルクが平衡したときの前記永久磁石式同期モータの磁極位相を、前記電機子に流れる直流電流の値から推定する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図1から図7を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係わる永久磁石式同期モータの制御装置を適用したエレベータ装置の一例を示す図である。
【0022】
同図において、11はかご、12はカウンタウエイト、13は両端にかご11とカウンタウエイト12が吊り下げられるロープ、51は永久磁石式同期モータ、52,53,54はそれぞれ永久磁石式同期モータ51の回転軸に接続されるシーブ,ブレーキドラム,エンコーダ、21はブレーキドラム53を制御するブレーキ装置31にブレーキ信号を出力し、またエンコーダ54によって永久磁石式同期モータ51の回転角度を検出して永久磁石式同期モータ51への速度制御信号を出力する制御装置である。
【0023】
このエレベータ装置は、永久磁石式同期モータ51が駆動されると、シーブ52が回転し、ロープ13を介してかご11、カウンタウエイト12が図示されていない昇降路内を昇降する。制御装置21からの指令によりブレーキ装置31のコイルに電流が流れると、ブレーキドラム53を押し付けているブレーキシューが解放され、ブレーキがかからない状態になる。エンコーダ54は永久磁石式同期モータ51の回転角度に従ったパルスを出力し、その周波数は永久磁石式同期モータ51の回転速度に比例する。
【0024】
なお、同図において、エンコーダ54は永久磁石式同期モータ51の軸端に接続したが、モータの回転角度に比例したパルス信号を検出することができればよいので、軸端にこだわる必要はない。例えば、エンコーダをシーブ52の周り沿わせて装着し、シーブ52の回転に合わせて信号を得たり、かご11やカウンタウエイト12に装着して、その動きに合わせて信号を得てもよい。即ち、エンコーダの信号は、モータの回転角度の絶対値に比例しなくとも、相対的な動きがわかればよく、このため、エンコーダ54の設置の自由度は増す。
【0025】
図2は、図1に示す制御装置21の構成の概要を示すブロック図である。
【0026】
同図において、22は交流電源、211は電流制御演算部214からの制御信号によってPMW制御により交流電源22からの電力を変換して永久磁石式同期モータ51に可変電圧および可変周波数を出力するインバータ、212は速度指令、213は速度指令212による速度指令信号とエンコーダ54からの回転速度信号との偏差に応じてトルク指令信号を出力する速度制御演算部、214は、後に詳述するように、起動電流指令部218からの磁極位相の推定を行うための起動電流指令信号を出力する、またはエレベータ装置の運転時、速度制御演算部213からの速度指令信号、エンコーダ54からの回転速度信号、電流検出器217によって検出される電機子電流信号、および磁極位置推定部215によって推定される磁極位置信号の各信号に基づいて、インバータ211に所定の制御信号を出力する電流制御演算部、215は後に詳述するように、電流検出器217によって検出される電機子電流信号および電圧検出器216によって検出された永久磁石式同期モータ51の端子電圧信号に基づいて磁極位置(磁極位相)を演算し、エンコーダ54によって出される磁極位置(磁極位相)を修正する磁極位置推定部、218は起動電流指令信号を出力する起動電流指令部である。上記のごとく、速度制御を行うには、磁極位置の推定が不可欠である。
【0027】
なお、上記の磁極位置信号を基準にして永久磁石式同期モータの速度をベクトル制御することは、例えば、「中野道雄他著:サーボ技術とパワーエレクトロニクス(共立出版1994年9月発行)136頁〜137頁」や、「中野孝良著:交流モータのベクトル制御(日刊工業新聞社1996年3月発行)58頁〜59頁」に記載されているように周知であるので、詳細な動作説明を省略する。
【0028】
次に、電源投入直後の磁極位置推定の処理手順を図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0029】
ステップ1において、電源22を投入し、制御電源、主回路電源を確立する。次に、ステップ2において、電源投入直後の磁極位置推定を行うため、起動電流指令部218からの指令により電流制御演算部214を動作させる。ステップ3において、電流制御演算部214はインバータ211に永久磁石式同期モータ51に直流電流が流すように指令する。次いで、ステップ4において、ブレーキ装置31によりブレーキドラム53のブレーキを解放させる。ステップ5において、ブレーキの解放により、永久磁石式同期モータ51からのトルクと、負荷トルクとのバランス点まで運転させ停止させる。ステップ6において、概略の負荷トルクはかご11に設置された秤装置(図示せず)により分かるので、後述する原理でこの点の概略の磁極位相が演算できる。次に、ステップ7において、ステップ6において演算された磁極位相を初期値として記憶し、電流制御演算部214への起動電流指令部218からの指令に代えて速度指令演算部213からの指令に切り換える。次いで、ステップ8においてかごを再起動させ、ステップ9において、初期値として記憶した磁極位相に基づいて、速度制御による通常の運転モードに入る。
【0030】
ここで、上記の永久磁石式同期モータに直流電流を流して磁極位置を推定する原理について図4を用いて説明する。
【0031】
図4は、かご上昇方向走行を正とするモータ回転角度(θ)とかご上昇方向走行を正とするモータトルク(T1,T2)との関係を示す図であり、T1は永久磁石式同期モータ51の回転角度に対するモータ発生トルク(正弦波)の変化を表し、T2は永久磁石式同期モータ51に対する負荷トルク(直線)を表す。Aはモータ発生トルクT1と負荷トルクT2との平衡点を表す。
【0032】
起動付近の低速回転時における、電機子電流Iaとモータ磁束(後述するd軸)との位相差をθとすると、モータ発生トルクT1は、次式で表わされる。なお、ここで電機子電流Iaは直流であるので一定である。
【0033】
T1∝Ia×sinθ (数1)
今、電機子電流Iaとモータ磁束との位相差がθ1の状態において、直流の電機子電流Iaを流し、ブレーキを解放すると、図示するように、モータ発生トルクT1は負荷トルクT2より大きいので、かごはその差分によって、上昇方向に動く。この時、モータ回転角度θは大きくなり、図の左から右に動く。それに伴って、モータ発生トルクT1はθに従って変化する。そして、モータ発生トルクT1と負荷トルクT2との平衡点Aを過ぎると、モータ発生トルクT1は負荷トルクT2より小さくなって、今度は、かごは下降方向に戻される。このため、回転角度θは小さくなる方向に動く。こうして、結局、平衡点Aで、かごは停止する。また、位相θ2の状態で直流の電機子電流Iaを流し、ブレーキを解放した場合も、前記と同様に、かごは平衡点Aで停止する。平衡動作は負荷トルクの大小や正負に関係なく成立する。
【0034】
以上の説明から理解されるように、永久磁石式同期モータ51に直流の電機子電流Iaを流し、ブレーキを解放すれば、モータ51は負荷トルクT2とのバランス点で自動的に停止する。即ち、数式1の関係が成立する点で停止する。ここで、負荷トルクT2の大きさは、かごの秤装置から分かり、電機子電流Iaは既知であるので、数式1の関係から、モータ回転角度θが分かり、磁極位置を推定することができる。この推定された磁極位置は、磁極位置の初期値として記憶される。
【0035】
ここで、直流の電機子電流Iaの大きさは、負荷トルクT2が分かるので、それに応じて、定めてもよい。
【0036】
また、負荷トルクT2が不明なときは、次の方法により磁極位置を推定できる。
【0037】
この場合、負荷トルクT2は少なくとも定格の−100%から+100%の間にある。従って、定格の200%の大きさの直流電流を流し、その時のモータ発生トルクT1’に対する予測される正負の最大の負荷トルクT2’との平衡点Aは、図4の座標で、150°<θ<210°の範囲に入る。θはかごの上昇方向または下降方向にそれぞれ30°の範囲に限定されたので、この中間値を磁極位置として推定する。この時、モータ発生トルクT’の所定値からの変化は±15%以内であり、以後の再起動には特に支障はない。また、200%電流も短時間であればモータに悪影響は与えない。さらに、200%以上とすれば、さらにθの範囲は限定される。
【0038】
以上の方法によれば、電源投入直後で永久磁石式同期モータの磁極位置が分からない時でも磁極位置の推定が行え、磁極位置検出器なしに運転が行える。
【0039】
また、起動電流指令による運転に入るのは、電源の投入直後であることを認識し、自動的に行うこともできる。また、これは、保守員などによりマニュアルによって行ってもよい。この時、起動電流指令による運転であることを認識させるため、釦などでそれを押している間だけこれを実行させ、釦を離すと直ちにブレーキ装置31が動作し、かご11を停止させてもよい。また、図3のステップ8において、再起動は自動的に運転を継続してもよいし、一旦停止後、再度、指令に従って、運転を行なってもよい。
【0040】
次に、運転中の磁極位置推定の原理について説明する。
【0041】
はじめに、永久磁石式同期モータ51の端子電圧(相電圧)をet 、永久磁石式同期モータ51での誘起電圧(相電圧)をe0 、同期インダクタンスをL、電機子電流をiとすると、一般に、下式の関係が得られる。
【0042】
0 =et −L(di/dt) (数2)
なお、この式では、電機子抵抗はある速度以上では、相対的に小さいので無視しているが、精度を上げるため考慮にしてもよい。
【0043】
モータの磁束Φは、数式2から下式のように求められる。
【0044】
Φ=∫e0 dt=∫et dt−Li (数3)
数式3から理解されるように、端子電圧et 、同期インダクタンスL、および電機子電流iを知ることができれば、モータの磁束Φの磁極位相を演算によって求めることができる。
【0045】
次に、運転中の磁極位置推定の修正について図5を用いて説明する。
【0046】
図5は、図2に示す磁極位置推定部215の構成を示すブロック図であり、同図において、2151は電圧検出器216によって検出される永久磁石式同期モータ51の端子電圧et を積分する積分器、2152は電流検出器217によって検出される電機子電流iに同期インダクタンスLをかけ算するゲイン設定器、2153は、数式3に従って磁束Φを演算する加算器、2154は演算された磁束Φが零クロスする磁極位相の零点を検出する比較器、2155は永久磁石式同期モータ51の磁極位置の推定に適した回転速度にあるかを判定する速度判定部、2156は磁極位置の推定に適した回転速度に達した時、速度判定部2155からの指令により閉成されるスイッチ、2157は、上述の電源投入直後の処理の結果得られて記憶されている磁極位置の初期値に、エンコーダ54からのパルス信号を回転方向によって積分(加算または減算)して磁極位置信号を出力するとともに、比較器2154からの零クロス信号が出力される毎に、積分値が修正された磁極位置信号を出力する積分器である。
【0047】
ここで、エレベータ装置の運転時、電極位置推定部215は、電圧検出器216を介して端子電圧et 、および電流検出器217を介して電機子電流iを検出する。検出された端子電圧et は積分器2151で積分され、また検出された電機子電流iはゲイン設定器2152によって同期インダクタンスLがかけ算され、それぞれの出力は、数式3に従って、加算器2153において加算される。加算器2153からは磁束Φが出力され、その出力はさらに、比較器2154において零クロスする磁極位相の零点が検出され、零クロス信号が出力される毎に、積分器2157の積分値が修正され修正された磁極位置信号が出力される。この修正により、エンコーダ54からのパルス信号にノイズなどが入り、それを誤積分した誤った磁極位置信号の出力を出し続けるのを防止することができる。
【0048】
上記のごとく、本実施形態では、エレベータ装置の運転中の電極位置の推定は、電源投入直後の処理によって推定された電極位置を初期値として、その初期値をエンコーダ54からのパルス信号を回転方向によって積分(加算または減算)して得られる運転中の電極位置を、別途演算によって得られる磁束Φに基づく零クロス信号によって修正しようとするものである。
本実施形態によれば、極低速度から定格速度まで、速度に無関係に磁極位置の推定演算ができる。
【0049】
なお、エレベータ装置の停止時は、これまで積分器2157によって積分された値を記憶すればよい。そして、次の起動時には、この記憶した値を磁極位置に対応させて運転を開始することができる。従って、電源投入直後の磁極位置の推定は、積分器2157における積分した値が記憶されなくなった時だけ行なえばよい。このため、例えば、エレベータの運転を休止する時は、主回路電源だけを遮断し、積分器2157を活かしておけばよい。さらに、長期間停止する時などは、積分値だけを不揮発メモリに記憶しておき、次に運転する時にこの値を利用すればよい。
【0050】
なお、本実施形態の、上記の磁極位置の修正は零クロス点ではなく、そのときの磁束信号そのものを利用してもよい。また、磁極位相の演算も、3相交流であることを利用し、3つの電圧の互いの大きさから位相を測定してもよい。
【0051】
また、磁極位置推定部215をハード回路で構成したが、無論、マイコンなどによってソフト的で行なってもよい。さらに、端子電圧et の検出を主回路の端子電圧を検出して行なうようにしたが、インバータ211を制御する信号から得ることもできる。即ち、電流制御演算部214からインバータ211への制御信号は後述するように電圧指令信号であり、この信号は端子電圧et に比例するので、インバータ211への制御信号を用いてもよい。
【0052】
次に、図2に示す電流制御演算部214の構成および動作を図6を用いて説明する。
【0053】
図6は電流制御演算部214の具体的構成の一例を示す図であり、この基本構成は周知であり、例えば、電気学会論文誌D、117巻、5号(1997年5月)、539頁、図5に記載されている。
【0054】
同図において、2141は電流検出器217により検出された3相の電機子電流iu,iv,iwを磁極位置推定部215において推定された磁極位置に基づいて、電機子電流の磁束方向軸成分Idと磁束方向軸成分Idとの直交成分Iqとを演算するId/Iq演算部、2142は起動電流指令部218からの指令と速度制御演算部213からの指令とを切り換える切換スイッチ、2143は起動電流指令部218からの指令と磁極位置推定部215からの信号とを切り換える切換スイッチ、2144は起動電流指令部218からの指令とエンコーダ54からの信号とを切り換える切換スイッチ、2145は速度制御演算部213から出力された電流指令成分Iq* と直交成分Iqとの偏差を演算する加算器、2146は電流指令成分Id* と磁束方向軸成分Idとの偏差を演算する加算器、2147は偏差増幅器(ACR−q)、2148は偏差増幅器(ACR−d)、2149は電流指令成分Iq* とエンコーダ54から得られるモータの回転速度(電気的回転角周波数)ωとの掛算器、2150は電流指令成分Id* とエンコーダ54から得られるモータの回転速度(電気的回転角周波数)ωとの掛算器、2151および2152はそれぞれ同期インダクタンスLに相当するゲインを設定するゲイン設定器、2153は磁束Φに相当するゲインを設定するゲイン設定器、2154は、電流偏差Iq* −Iqと、電流偏差Iq* −Iqを補償するためのゲイン設定器2152,2153からの出力とを加算し、インバータ211に電圧指令信号Eq* を出力する加算器、2155は、電流偏差Id* −Idと、電流偏差Id* −Idを補償するためのゲイン設定器2148からの出力とを加算し、インバータ211に電圧指令信号Ed* を出力する加算器である。
【0055】
上記のごとく、電源投入直後の磁極位相の推定時は、切換スイッチ2142,2143,2144のそれぞれが起動電流指令部218からの指令を入力するように切り換わり、エレベータ装置の運転時は、切換スイッチ2142,2143,2144のそれぞれが速度制御演算部213からの指令を入力するように切り換わる。
【0056】
この速度制御演算部214の演算は、電機子電流をd、q軸成分に分けて制御しているのが特徴であるが、電源投入直後の直流電流を流す場合は、起動電流指令部218から、所定の直流電流を流す電流指令、速度信号、磁極位相信号が出される。起動電流を電流指令成分Iq* として与えているため、電流指令成分Iq* に比例した直流電流が流れればよい。このため、電流指令成分Id* と、回転速度(電気的回転角周波数)ωは零である。また、磁極位置はId/Iq演算2141での演算で、流れている電流がすべて直交成分Iqとして検出される一定位相に固定する。このように制御することにより、起動時に所定の直流電流が流れる。なお、起動電流の指令は、電流制御系を構成せず、インバータ211に直接、所定の直流電流を流す指令、例えば、直流電圧を与えてもよい。
【0057】
また、上記の電流指令成分Id* は運転中も通常零に設定されるが、モータの力率制御を行なうため、所要力率が得られるようにId* を与えてもよい。
【0058】
また、インバータ211のPWM制御を実行する際、正弦波の瞬時値電圧指令信号が必要なときは、演算部2141の逆演算を行えばよい。この演算は周知なので省略する。
【0059】
以上説明した各種演算は、ハード回路で行なってもよいし、またマイクロコンピュータなどを利用してソフト的に行なってもよいのは言うまででもない。
【0060】
次に、図3に示す磁極位置推定と異なる電源投入直後の磁極位置推定の処理手順を図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0061】
この磁極位置推定は、図3に示すものが起動電流として直流電流を用いているのに対して、低周波の交流電流を用いている点で相違する。はじめに、ステップ11において、電源22を投入し、制御電源、主回路電源を確立する。次に、ステップ12において、電源投入直後の磁極位置推定を行うため、起動電流指令部218からの指令により電流制御演算部214を動作させる。ステップ13において、電流制御演算部214はインバータ211に永久磁石式同期モータ51に低周波の交流電流を流すように指令する。次いで、ステップ14において、ブレーキ装置31によりブレーキドラム53のブレーキを解放させる。ステップ15において、ブレーキの解放後は、周波数を少しづつ上昇して、負荷を外部から与えた電流によるトルクに追従させる。ステップ16において、速度が所定値以上に上昇したら、磁極位相が演算する。次に、ステップ17において、ステップ16において演算された磁極位相を、磁極位置推定部215の積分器2157に初期値としてセットする。次いで、ステップ18において、電流制御演算部214を起動電流指令部218からの指令に代えて速度指令演算部213からの指令に切り換える。ステップ19において、速度制御による通常の運転モードに入る。
【0062】
この電源投入直後の磁極位置推定は、かご11の運転方向が一方向に定められていたときに採用することができ、例えば、かごが最上階や最下階にあり、運転方向が片方向に限られるときに有効である。運転方向はモータ電機子電流の周波数の相順で定まり、運転方向の決定は、自動的、または保守員などの設定によって決めることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、機械装置としてエレベータ装置への適用例について説明したが、エレベータ装置以外にも、電源投入直後に所定電機子電流を流した時、モータ発生トルクと負荷トルクとのバランスから運転できる他の機器、例えば、ホイストにも応用できる。
【0064】
以上説明したように、本発明によれば、磁極位置検出器を使用することなく磁極位置を推定できるので、エレベータ装置の円滑な運転が可能となる。
【0065】
【発明の効果】
上記のごとく、本発明によれば、永久磁石式同期モータの制御に必要な磁極位置の推定に、磁極位置検出器を使用しないので、モータ、マシンの設計の自由度が大きくり、また、磁極位置検出器を使用しないため、メンテナンスが容易になりコストの低減が可能となる。さらに、起動時には容易に磁極位置を推定できるとともに、運転中は磁極位置を修正する機能を設けたので、高精度の磁極位置の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる永久磁石式同期モータの制御装置を適用したエレベータ装置の一例を示す図である。
【図2】図1に示す制御装置21の構成の概要を示すブロック図である。
【図3】電源投入直後の磁極位置推定の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す電源投入直後の磁極位置推定を説明するための図である。
【図5】図2に示す磁極位置推定部215の構成を示すブロック図である。
【図6】図2に示す電流制御演算部214の構成を示すブロック図である。
【図7】電源投入直後の他の磁極位置推定の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
21 制御装置
211 インバータ
212 速度指令
213 速度制御演算部
214 電流制御演算部
2141 Id/Iq演算部
215 磁極位置推定部
2151 積分器
2152 レベル設定器
2153 加算器
2154 比較器
2155 速度判定部
2157 積分器
218 起動電流指令部
22 電源
31 ブレーキ装置
51 永久磁石式同期モータ
53 ブレーキドラム
54 エンコーダ

Claims (4)

  1. 電力変換装置から出力される可変電圧および可変周波数によって制御される永久磁石式同期モータ、および該永久磁石式同期モータによって駆動される機械装置における永久磁石式同期モータの制御装置において、
    前記機械装置の停止を保持するブレーキ装置を解除し、前記永久磁石式同期モータの電機子に定格電機子電流の2倍以上の直流電流を流し、モータ発生トルクと負荷トルクが平衡したときの前記永久磁石式同期モータの磁極位相を、前記電機子に流れる直流電流の値から推定することを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。

  2. 請求項1記載の永久磁石式同期モータの制御装置において、
    前記機械装置の運転時、前記電力変換装置は、前記推定された磁極位相に基づいて電力変換制御を行うことを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。

  3. 請求項1記載の永久磁石式同期モータの制御装置において、
    前記機械装置の運転時、前記電力変換装置は、前記推定された磁極位相および当該永久磁石式同期モータの回転時に誘起される電圧を演算して得られる磁極位相に基づいて電力変換制御を行うことを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置。

  4. 請求項1記載の永久磁石式同期モータの制御装置において、
    前記機械装置の運転時、前記電力変換装置は、前記推定された磁極位相および当該永久磁石式同期モータの回転時に誘起される電圧を演算して得られる磁束の零クロス位置に基づいて電力変換制御を行うことを特徴とする永久磁石式同期モータの制御装置
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