JP4109757B2 - 光ファイバジャイロ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、航空機、船舶、自動車等に適用される回転角速度または回転角度を検出する光ファイバジャイロに関し、特に、階段状のセロダイン信号によりサニャック位相シフトを打ち消すよう閉ループに構成されたデジタル方式の光ファイバジャイロに関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバジャイロにおいて、光ファイバループを互いに反対方向に伝搬する2つの光を再結合することで得られた干渉光の光強度変化は、該2つの光のサニャック位相差をφsとすると、cos(φs)である。このため、図32に示すように、サニャック位相差が0近傍では、該位相差の変化に対して僅かしか光強度が変化しない。
【0003】
この問題を解決する光ファイバジャイロとして、特開昭56−94680号公報記載のものがある。
【0004】
この技術では、光ファイバループを伝搬する2つの光を位相変調する位相変調器を設け、図32に示すように、+π/2および−π/2の位相シフトを2τ(τ:光ファイバループでの光の伝搬時間)周期で生じさせる矩形波の位相変調信号を該位相変調器に加えることで、前記干渉光の光強度変化をcos(φs±π/2)で取り出せるようにしている。
【0005】
また、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロでは、サニャック位相差検出のダイナミックレンジ拡大のため、各階段の持続時間が通常τの階段信号であるセロダイン信号を位相変調器に入力して、光ファイバジャイロへの入力角速度に応じたサニャック位相差と同量、異符号の位相差を生じるよう位相変調を行わせている。これにより、光ファイバループを伝搬する2つの光のサニャック位相差を打ち消すよう閉ループに構成されている。ただし、セロダイン信号の出力を無限に大きくすることはできないため、通常、セロダイン信号による位相シフトが±2πに達したときにリセットしている。
【0006】
ところで、セロダイン信号のリセットが正確に行われない場合、すなわち、変調ゲインに誤差が含まれると、光ファイバジャイロの入力レートと出力レートとの関係において、スケールファクタ誤差が生ずる。
【0007】
この問題を解決するデジタル方式の光ファイバジャイロとして、特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のものがある。
【0008】
前者は、位相変調器に入力する位相変調信号として、
δφ1=φ0
δφ2=aφ0
δφ3=−φ0
δφ4=−aφ0
(ここで、φ0は一定の位相シフト、aはcosφ0=cos(aφ0)を満足する正の定数である)
からなる4つのステップを一周期とする信号を用いている。
【0009】
ここで、位相変調信号の各ステップの継続時間は、たとえばτ/2(合計で2τ)である。またaは2である。この場合、変調位相差は、図33のようになる。
【0010】
一方、後者は、位相変調器に入力する位相変調信号として、
位相差電気信号から得た利得信号と合計位相変調信号とを演算することで得られた信号を用いている。この合計位相変調信号は、以下の信号を合計することで得られる。
【0011】
・第一の周波数を用いて作成したセロダイン信号。
【0012】
・第一の周波数を有した周期的方形波よりなる速度バイアス信号。
【0013】
・セロダイン信号の周期の半分に等しい連続した等間隔時間の終わりで遷移する一連のステップ電圧よりなる利得バイアス信号。
【0014】
ここで、連続した等間隔時間は、たとえばτ/2である。この場合、速度バイアス信号は周波数1/2τとなる。また、速度バイアス信号はπ/2および−π/2間を遷移する方形波であり、利得バイアス信号は、2π、0、−2πおよび0の一連の誘起位相シフトを有する。この場合、変調位相差は、たとえば、
0〜τ/2 期間: +π/2+2π=+5π/2
τ/2〜τ 期間: +π/2+0=+π/2
τ〜3τ/2 期間: −π/2−2π=−5π/2
3τ/2〜2τ期間: −π/2+0=−π/2
となり、したがって、図34のようになる。
【0015】
両者とも、位相変調器に所定周期で位相シフトさせる信号を印加することで、サニャック位相差が0となる光強度の点を周期的にシフトさせている。このようにすることで、サニャック位相差の0近傍における光強度の感度を向上させることができる。
【0016】
また、図33および図34に示すように、位相変調器に所定周期で±iπ(図33ではa=2のとき±4/3π、図34では±2π)の位相シフトを誘起させる信号を印加することで、該位相シフトの際に生ずる変調ゲイン誤差を検出できるようにしている。
【0017】
このようにすることで、該変調ゲイン誤差がゼロとなるように変調制御を行い、位相変調信号およびセロダイン信号の変調ゲインを最適値に制御することが可能となり、これにより、セロダイン信号によって発生するジャイロ出力におけるスケールファクタ誤差を低減することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明した特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロには、以下のような問題がある。
【0019】
(1)デジタル方式の光ファイバジャイロは、通常、干渉光を電流信号に変換する受光器、上記電流信号を電圧信号に変換する電流/電圧変換器、上記電圧信号を増幅する電圧増幅器、上記増幅された電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、上記デジタル信号を用い各種信号処理を行うデジタル信号処理器、および、位相変調信号やセロダイン信号を出力するD/A変換器等により構成される。
【0020】
上記のA/D変換を行う際、サンプリング定理に基づき信号帯域を制限してサンプリングを行う手法が広く用いられている。この帯域制限は、信号に重畳している高周波電磁ノイズを減衰させるため、より安定な閉ループ動作及び回転角速度検出を行う上で極めて有効な方法である。
【0021】
上記の特開平3−210417号公報記載および特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロにおいて、それぞれ図33および図34に示すように、2τの周期で位相変調を行った場合、サンプリング定理より1/2τの周波数で信号帯域制限を行えばよい。ただし、干渉光に誘起される一連の位相シフトの各ステップの継続時間がτ/2であるので、変調ゲインの誤差(変調制御系の偏差信号)を検出するためには、少なくともτ/2の時間間隔でサンプリングを行う必要がある。
【0022】
デジタル方式の光ファイバジャイロは、その要求性能に応じて、様々な光ファイバ径および光ファイバ長の光ファイバが用いられる。光ファイバ長は、通常、100m〜2km程度である。コストの低減や装置の小型化という観点からいえば、少しでも短い光ファイバ長の光ファイバを用いることが望まれるが、光ファイバ長を短くすると、位相変調の各ステップ時間が短くなり、サンプリング周波数が高くなるため、高速D/A変換器、高速A/D変換器、および高速デジタル信号処理が必要となり、かえって、コストの高騰や装置の大型化を招いてしまうという問題がある。
【0023】
たとえば、光ファイバ長を100mとすると、光ファイバループでの光の伝搬時間τはおよそ0.5μsである。この場合、上記の特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロでは、τ/2=0.25μsの時間間隔で位相変調と検出信号のサンプリングおよびデジタル信号処理を行わなければならない。これでは、光ファイバ長を短くしてコストの低減や装置の小型化を図ろうとしても、かえって、コストの高騰や装置の大型化を招いてしまう。
【0024】
上記の特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロは、一連の位相シフト各々の継続時間をτ/2とすることを前提として構成されており、この継続時間を長くする(たとえば、τにする)ために必要な構成について、何ら教示していない。
【0025】
(2)矩形波により位相変調を行うデジタル方式の光ファイバジャイロでは、位相シフトの際に干渉光のピーク点(最明点)またはボトム点(最暗点)を短時間で通過するため、出力波形にスパイク状のノイズ(光スパイク)が発生する。
【0026】
この光スパイクノイズは、セロダイン制御を行うためのサニャック位相差信号や変調制御を行うための変調ゲイン誤差信号とは無関係であり、不要な信号である。
【0027】
上記の特開平3−210417号公報記載および特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロでは、位相変調信号による位相シフトの際に発生する前記光スパイクの向き(波形が鈍る部分)が異なる。このため、検出光信号に含まれる光スパイクによる誤差を効率よく除去することができないという問題がある。
【0028】
以下に、この問題について詳しく説明する。
【0029】
特開平3−210417号公報記載の技術では、上述したように、位相変調器に入力する位相変調信号として、
δφ1=φ0
δφ2=aφ0
δφ3=−φ0
δφ4=−aφ0
からなる4つのステップを一周期とする信号を用いている。このため、検出される干渉光に含まれる光スパイクは、図33に示すように、φ0→aφ0、−φ0→−aφ0の位相シフトのときに生ずる光スパイクと、aφ0→−φ0、−aφ0→φ0の位相シフトのときに生ずる光スパイクとで、位相シフト終了時における向き(上から下へか、あるいは下から上へか)が互いに異なる。
【0030】
この特開平3−210417号公報には、これらの光スパイクを含んだ検出光信号において、サンプリング定理にしたがい、1/2τの周波数帯域制限を行った後、A/D変換器によりサンプリングする旨記載されている(ただし、τ間隔のサンプリングでは、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すことができても、変調ゲイン誤差に応じた信号を取り出すことはできない。変調ゲイン誤差に応じた信号を取り出すためには、上記(1)で説明したように、τ/2間隔でサンプリングする必要がある)。
【0031】
1/2τの帯域制限を1次ローパスフィルタにより行った場合のA/D変換器に入力される信号波形を図35に示す。
【0032】
この信号波形は、サニャック位相差及び変調ゲイン誤差をともに零とした場合であるが、τ周期の交流信号が現れている。これは、上記光スパイク波形が帯域制限フィルタにより鈍らされた結果、生じているものである。
【0033】
なお、図中のSP1〜SP4は、A/D変換器によるサンプリングポイントの一例である。
【0034】
変調ゲイン誤差は、τ/2離れたサンプル同士の差、すなわち、(SP1−SP2)、(SP3−SP4)の復調処理により検出されるため、光スパイクの影響を除去することができない。このため、変調制御が正確に行われず、変調ゲイン誤差が発生し、その結果、ジャイロのスケールファクタ誤差を十分に抑制することができないという問題が生じる。
【0035】
帯域制限しない場合においても、D/A変換器等の遅延時間やセトリング時間、および干渉光の光強度変化を検出する受光器や電流/電圧変換器等でのフィルタ効果等により波形が鈍り、同様の問題が生じる場合がある。
【0036】
また、特開平3−48715号公報記載の技術でも、図34に示すように、5π/2→π/2、−5/2π→π/2の位相シフトのときに生ずる光スパイクと、π/2→−5π/2、−π/2→5π/2の位相シフトのときに生ずる光スパイクとで、位相シフト終了時における向きが互いに異なる。
【0037】
この特開平3−48715号公報には、これらの光スパイクを含んだ検出光信号において、サニャック位相差を検出するため、1/2τの周波数帯のみを通過させる第1のバンドパスフィルタにより帯域制限を行った後、第1のA/D変換器によりサンプリングし、変調ゲイン誤差を検出するため、1/τの周波数帯のみを通過させる第2のバンドパスフィルタにより帯域制限を行った後、第2のA/D変換器によりサンプリングする旨記載されている。
【0038】
1/τの帯域制限を1次ローパスフィルタにより行った場合のA/D変換器に入力される信号波形を図36に示す。
【0039】
この信号波形は、サニャック位相差及び変調ゲイン誤差をともに零とした場合であり、τ周期の交流信号は、上記光スパイク波形が帯域制限フィルタにより鈍らされた結果、生じているものである。特開平3−48715号公報では、サニャック位相差の検出部と変調ゲイン誤差の検出部とを別々に有し、それぞれの信号に合わせて帯域制限を行っているため、変調ゲイン検出部における信号帯域制限を1/τとすることが可能である。しかしながら、図36から明らかなように、変調ゲイン誤差は、τ/2離れたサンプル同士の差、すなわち、(SP1−SP2)、(SP3−SP4)の復調処理により検出されるため、光スパイクの影響を十分に除去することはできず、変調ゲイン誤差が発生し、その結果、ジャイロのスケールファクタ誤差を十分に抑制することができないという問題が生じる。さらに、特開平3−48715号公報では、高速で信号の検出及び処理を行うサニャック位相差検出部と変調ゲイン検出部とを個々に有するため、回路の大型化、高コスト化、大電力化をもたらすという問題をも有する。
【0040】
このように、光ファイバループを互いに反対方向に伝搬する2つの光を再結合することで得られた干渉光に含まれる光スパイクの、位相シフト終了時における向きが一定でないと、A/D変換する際に必要な帯域制限フィルタにより光スパイクが鈍り、A/Dサンプリング信号に重畳し、これにより変調制御において誤差が発生し、正確な各種位相変調信号及びセロダイン信号が生成されず、結果として、ジャイロ出力におけるスケールファクタ誤差が発生する。
【0041】
帯域制限しない場合においても、D/A変換器等の遅延時間やセトリング時間、および干渉光の光強度変化を検出する受光器や電流/電圧変換器等でのフィルタ効果等により波形が鈍り、同様の誤差が発生する。
【0042】
なお、特開平3−48715号公報記載の技術によれば、π/2および−π/2間を遷移する速度バイアス信号と、2π、0、−2πおよび0の一連の誘起位相シフトを有する利得バイアス信号との組合せによっては、変調位相差は、たとえば、
0〜τ/2 期間: −π/2+0=−π/2
τ/2〜τ 期間: −π/2+2π=3π/2
τ〜3τ/2 期間: +π/2+0=+π/2
3τ/2〜2τ期間: +π/2−2π=−3π/2
となる。この場合、位相シフト終了時における光スパイクの向きが一定(すべて、下から上の向き)になる。しかしながら、図34に示したように、速度バイアス信号と利得バイアス信号との組合せによっては、位相シフト終了時における光スパイクの向きが一定にならない場合もあるため、検出光信号に含まれる光スパイクによる誤差を、常に効率よく除去することができるとは限らない。つまり、検出光信号に含まれる光スパイクによる誤差を常に効率よく除去することを可能とする構成について、何ら教示していない。
【0043】
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、その目的は、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べ、位相変調の各ステップ時間を長くし、サンプリング周波数を低くし、デジタル信号処理を低速にすることができ、これにより、コストの低減や装置の小型化を図ることが可能な光ファイバジャイロを提供することにある。
【0044】
また、変調信号による位相シフトの際に発生する光スパイクによる影響を除去することができ、これにより、正確な変調制御を可能として、ジャイロ出力のスケールファクタ特性を向上させることが可能な光ファイバジャイロを提供することにある。
【0045】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、光ファイバループを互いに反対方向に伝搬する2つの光を再結合することで得られる干渉光のサニャック位相差に応じた回転角速度または回転角度を検出する光ファイバジャイロであって、
各種位相変調の合成信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段で生成された各種位相変調の合成信号にしたがい、前記2つの光を各々位相変調する位相変調器と、を備え、
前記各種位相変調の合成信号は、
光ファイバループでの光の伝搬時間をτとした場合、前記干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、の合成信号である
ことを特徴とする。
【0046】
ここで、前記信号生成手段は、周期2τの第一の矩形波信号と、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち上がり、前記第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち下がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成するものでもよい。
【0047】
あるいは、周期2τの第一の矩形波信号と、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち下がり、前記第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち上がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成するものでもよい。
【0048】
本発明の第一の態様によれば、前記各種位相変調の合成信号により、誘起される一連の位相シフトの各ステップは、継続時間τとなる。したがって、干渉光より得られた電気信号をτの時間間隔でサンプリングすれば、変調ゲイン誤差およびサニャック位相差の両方を検出することができる。これにより、光ファイバ長を短くした場合でも、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べ、位相変調の各ステップ時間を長くし、サンプリング周波数を低くし、デジタル信号処理を低速にすることができるので、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明の第一の態様において、
前記干渉光の光強度を検出して電気信号に変換する受光手段と、
前記受光手段の出力を復調信号により復調し、復調結果から変調ゲイン誤差に応じた信号を生成する演算手段と、をさらに備え、
前記信号生成手段が、前記演算手段から出力された変調ゲイン誤差に応じた信号にしたがい、前記各種位相変調の合成信号のゲインを制御するようにしてもよい。この場合、前記復調信号は、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、最初の時間τが正、それに続く時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号であることが好ましい。
【0050】
このようにすることで、復調結果に含まれる光スパイクの向きがすべて同じ方向に揃うため、前記演算手段における復調結果の演算処理において、光スパイクの影響を相殺させ除去することができるので、より正確な変調制御が可能になり、光ファイバジャイロのスケールファクタ誤差を低減することができる。
【0051】
また、本発明の第一の態様において、
各階段の継続時間τの階段波状の前記セロダイン信号を生成するセロダイン信号生成手段と、
前記セロダイン信号生成手段でのセロダイン信号の生成をリセットするリセット手段と、をさらに備えてもよい。
【0052】
この場合、前記リセット手段は、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が第一の閾値に達すると、干渉光の位相差が−2πの位相シフトとなるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットし、かつ、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が前記第一の閾値よりも2π低い第二の閾値に達すると、干渉光の位相差が+2πの位相シフトとなるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットすることが好ましい。
【0053】
このようにした場合、たとえば第一の閾値を+π、第二の閾値を−πに設定することで、上記従来の技術で説明したデジタル方式の光ファイバジャイロのように、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が±2πに達したときに0にリセットする場合に比べ、セロダイン信号のピーク−ピーク値を小さくすることができる。これにより、消費電力を減らすことができる。
【0054】
また、たとえば、前記第一の閾値を+2π、第二の閾値を0に設定することで、セロダイン信号生成のための電源として、単電源を用いることが可能となる。
【0055】
また、本発明の第二の態様によれば、光ファイバループを互いに反対方向に伝搬する2つの光を再結合することで得られる干渉光のサニャック位相差に応じた回転角速度または回転角度を検出する光ファイバジャイロであって、
各種位相変調の合成信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段で生成された各種位相変調の合成信号にしたがい、前記2つの光を各々位相変調する位相変調器と、を備え、
前記各種位相変調の合成信号は、
光ファイバループでの光の伝搬時間をτとした場合、前記干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
の第一のパルスと、前記第一のパルスに続く、
振幅 :−γ
継続時間:τ
の第二のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、の合成信号である
ことを特徴とする。
【0056】
ここで、前記信号生成手段は、周期2τの矩形波信号と、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記矩形波信号の立ち下がりに同期して前記パルス波信号の正パルスが立ち上がり、前記矩形波信号の立ち上がりに同期して前記パルス波信号の負パルスが立ち上がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成するものでもよい。
【0057】
あるいは、周期2τの矩形波信号と、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記矩形波信号の立ち上がりに同期して前記パルス波信号の正パルスが立ち上がり、前記矩形波信号の立ち下がりに同期して前記パルス波信号の負パルスが立ち上がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成するようにしてもよい。
【0058】
本発明の第二の態様によれば、上記説明した本発明の第一の態様と同様、前記各種位相変調の合成信号により、誘起される一連の位相シフトの各ステップは、継続時間τとなる。したがって、干渉光より得られた電気信号をτの時間間隔でサンプリングすれば、変調ゲイン誤差およびサニャック位相差の両方を検出することができる。これにより、光ファイバ長を短くした場合でも、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べ、位相変調の各ステップ時間を長くし、サンプリング周波数を低くし、デジタル信号処理を低速にすることができるので、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0059】
なお、本発明の第二の態様において、
前記干渉光の光強度を検出して電気信号に変換する受光手段と、
前記受光手段の出力を復調信号により復調し、復調結果から、変調ゲイン誤差に応じた信号を生成する演算手段と、をさらに備え、
前記信号生成手段は、前記演算手段から出力された変調ゲイン誤差に応じた信号にしたがい、前記各種位相変調の合成信号のゲインを制御するようにしてもよい。この場合、前記復調信号は、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが0、第3番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号、あるいは、第一番目の時間τが0、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号、または、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号であることが好ましい。
【0060】
このようにすることで、本発明の第一の態様と同様、復調結果に含まれる光スパイクの向きがすべて同じ方向に揃うため、前記演算手段における復調結果の演算処理において、光スパイクの影響を相殺させ除去することができるので、より正確な変調制御が可能になり、光ファイバジャイロのスケールファクタ誤差を低減することができる。
【0061】
また、本発明の第二の態様においても、本発明の第一の態様と同様に、
各階段の継続時間τの階段波状の前記セロダイン信号を生成するセロダイン信号生成手段と、
前記セロダイン信号生成手段でのセロダイン信号の生成をリセットするリセット手段と、をさらに備えてもよい。
【0062】
この場合、前記リセット手段は、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が第一の閾値に達すると、干渉光の位相差が−2πの位相シフトとなるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットし、かつ、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が前記第一の閾値よりも2π低い第二の閾値に達すると、干渉光の位相差が+2πの位相シフトとなるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットすることが好ましい。
【0063】
このようにした場合、たとえば第一の閾値を+π、第二の閾値を−πに設定することで、上記従来の技術で説明したデジタル方式の光ファイバジャイロのように、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が±2πに達したときに0にリセットする場合に比べ、セロダイン信号のピーク−ピーク値を小さくすることができる。これにより、消費電力を減らすことができる。
【0064】
また、たとえば、前記第一の閾値を+2π、第二の閾値を0に設定することで、セロダイン信号生成のための電源として、単電源を用いることが可能となる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の第一実施形態について説明する。
【0066】
図1は、本発明の第一実施形態が適用されたデジタル方式の光ファイバジャイロの概略構成図である。
【0067】
ここで、符号500は光干渉計である。光干渉計500は、光源1、カプラ2、偏光子3、カプラ4、位相変調器5、および、光ファイバが複数回巻かれて構成された光ファイバループ6で構成されている。
【0068】
光源1には、コヒーレンス長が長いスーパルミネッセントレーザダイオード(SLD)や、SLDよりもさらに出力強度が高いエルビウムドウプト光ファイバ光源(EDFS)などが用いられる。
【0069】
なお、一般に、偏光子3、カプラ4、および位相変調器5は、光集積回路(IOC:Integrated Optical Circuit)として、一つの基板に集積されている。また、図1では、光ファイバループ6の一端に位相変調器5を設けているが、これを両端に設け、光ファイバループ6に対して互いに逆方向に位相変調を行うようにしてもよい。
【0070】
光源1から発せられた光は、カプラ2および偏光子3を経てカプラ4に入射され、そこで2つの光に分割される。この2つの光のうちの一方は、光ファイバループ6を右回りで伝搬し、位相変調器5で位相変調された後、カプラ4に戻る。他方は、光ファイバループ6を左回りで伝搬し、位相変調器5で位相変調された後、カプラ4に戻る。そして、両者は、カプラ4にて合波される。これにより、干渉光が形成される。
【0071】
ここで、光ファイバループ6に回転角速度Ωが加えられたとする。この際、光ファイバループ6を互いに反対方向に伝搬している2つの光の間に光路長差が生じ、結果として位相差が生じる。この位相差は、上記従来の技術で説明したように、サニャック位相差φsと呼ばれている。このサニャック位相差φsは、次式で表される。
【0072】
φs=(2πDL/λc)Ω (1)
ここで、Dは光ファイバループ6のループ径、Lは光ファイバ長、λは光源1から発せられる光の波長、そして、cは光速である。
【0073】
また、干渉光の強度Pとサニャック位相差φsとは、次式の関係がある。
【0074】
P=(P0/2)(1+cosφs) (2)
ここで、P0は、干渉光の強度のピーク値である。
【0075】
さて、カプラ4で形成された干渉光は、受光器7で受光され、干渉光の強度に応じた電流信号に変換される。この電流信号は、電流/電圧(I/V)変換器8にて、電圧信号に変換された後、広帯域の増幅器9で増幅される。
【0076】
増幅器9で増幅された電圧信号は、ハイパスフィルタや直流オフセット加算器により構成された直流除去器20により直流成分が除去された後、広帯域の増幅器22で増幅される。その後、セロダイン制御および変調制御のためのA/D変換器26に入力され、そこで、基準信号発生器300からのサンプリング信号Cにしたがい、サンプリングされて、デジタル信号に変換される。
【0077】
なお、サンプリング方法は、サンプリング定理に基づき、周期2Tの信号に対し、1/2T[Hz]の帯域制限を行った後、1/T[Hz]の周波数でサンプリングを行う方法と、信号帯域を特に制限せず広帯域とし、その帯域より十分高い周波数によりサンプリングを行うオーバサンプリング法とがある。
【0078】
後者は、サンプル数および信号処理の大幅な増加を伴い、さらに高周波電磁ノイズの影響を受け易い等の問題を有する。
【0079】
それに対し、前者は、サンプル数と信号処理の省力化が可能であり、さらに高周波電磁ノイズを帯域制限フィルタにより容易に除去することが可能であるため、より安定な回転角速度または回転角度検出を行うデジタル方式の光ファイバジャイロにおいて極めて有効な方法である。
【0080】
サンプリング定理により、信号の帯域制限を行う場合、この帯域制限は電流/電圧変換器8、増幅器9および増幅器22のうちのどの部分で行ってもよい。
【0081】
光ファイバジャイロは、その要求性能に応じて、様々な光ファイバループ径Dと光ファイバ長Lが用いられる。低精度な光ファイバジャイロから高精度な光ファイバジャイロにおいて、一般的に、光ファイバ長Lは、100m〜2km程度である。
【0082】
光ファイバループ6の光ファイバ長をL、光ファイバループ6を構成する光ファイバの屈折率n0、光速をcとした場合、光ファイバループ6での光の伝搬時間τは、次式で表される。
【0083】
τ=n0L/c (3)
したがって、光ファイバ長Lが100m〜2km程度の場合、光ファイバループの伝播時間τは、上式より、約0.5μs〜10μsである。
【0084】
本実施形態で用いるA/D変換器26は、後述するように、位相変調器5により誘起される一連の位相シフトの各ステップの継続時間がτであるので、少なくともτの時間間隔でサンプリングすることが要求される。
【0085】
デジタル信号処理器100は、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機、あるいはASIC(Application Specific Integreted Circuits)、FPGA(Field Programable Gate Array)などの集積ロジックICで構成される。このデジタル信号処理器100は、干渉光のサニャック位相差φsに応じたジャイロ出力(角速度あるいは角度)を算出する。
【0086】
また、デジタル信号処理器100は、干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、を位相変調器5に行わせる各種位相変調の合成信号を生成する。
【0087】
この各種位相変調の合成信号は、たとえば、周期2τの第一の矩形波信号と、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号と、サニャック位相差を打ち消すための、各階段の継続時間がτの階段状波のセロダイン信号とを、第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して第二の矩形波信号が立ち上がり、第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して第二の矩形波信号が立ち下がるように、合成することで生成される。
【0088】
あるいは、周期2τの第一の矩形波信号と、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号と、サニャック位相差を打ち消すための、各階段の継続時間がτの階段状波のセロダイン信号とを、第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して第二の矩形波信号が立ち下がり、第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して第二の矩形波信号が立ち上がるように、合成することで生成される。
【0089】
以下、前者によって各種位相変調の合成信号を生成する方式を矩形波信号−γ方式と呼び、後者によって各種位相変調の合成信号を生成する方式を矩形波信号+γ方式と呼ぶこととする。
【0090】
なお、セロダイン信号はその出力を無限に大きくすることができない。このため、デジタル信号処理器100は、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が第一の閾値(たとえば+πや+2πなど)に達すると、干渉光の位相差が−2πの位相シフトとなるようにセロダイン信号をリセットし、かつ、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が第一の閾値よりも2π低い第二の閾値に達すると、干渉光の位相差が+2πの位相シフトとなるように、セロダイン信号をリセットしている。
【0091】
デジタル信号処理器100で生成された各種位相変調の合成信号は、D/A変換器10にてアナログ信号に変換された後、ドライバ11を介して位相変調器5に入力される。
【0092】
これを受けて、位相変調器5は、上述した第一の位相変調と、第二の位相変調と、セロダイン変調とを行うように、光ファイバループ6を互い反対方向に伝搬する2つの光を各々変調する。
【0093】
本実施形態による位相変調により、光ファイバループ6を互いに反対方向に伝搬する2つに光の間に生ずる変調位相差と、該2つの光を再結合することで得られる干渉光の光強度との関係について、図2および図3を用いて説明する。
【0094】
図2は、矩形波信号−γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示している。また、図3は、矩形波信号+γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示している。なお、図2および図3では、第二の位相変調による振幅γ=2πとしている。また、説明の簡略化のため、セロダイン信号を省略している。
【0095】
矩形波信号−γ方式により生成された各種位相変調の合成信号は、図2(a)に示すようになる。干渉の位相差はτずれたもの同士の差として現れるので、この合成信号により、干渉光の位相差において、図2(b)に示すような一連の位相シフトを誘起することになる。このため、検出された干渉光の光強度は、図2(c)、(d)に示すようになる。
【0096】
また、矩形波信号+γ方式により生成された各種位相変調の合成信号は、図3(a)に示すようになる。干渉の位相差はτずれたもの同士の差として現れるので、この合成信号により、干渉光の位相差において、図3(b)に示すような一連の位相シフトを誘起することになる。このため、検出された干渉光の光強度は、図3(c)、(d)に示すようになる。
【0097】
図2および図3のいずれに示す場合においても、干渉光の位相差として現れる一連の位相シフトは、各ステップの継続時間がτとなる。このため、A/D変換器26におけるサンプリング周波数は1/τあればよい。したがって、従来の技術で説明した特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロに対し、D/A変換器およびA/D変換器は1/2の低速化が可能となり、デジタル信号処理も1/2以下の低速化が可能となる。
【0098】
このように、本実施形態によれば、位相変調の各ステップ時間を長くし、サニャック位相差φsおよび変調ゲインGの誤差検出に要求されるサンプリング周波数、すなわち、セロダイン制御および変調制御のために必要とされるサンプリング周波数を、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べて低く設定することができるので、光ファイバループ6の光ファイバ長Lを短くした場合でも、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べて低速のD/A変換器、低速のA/D変換器、および低速のデジタル信号処理器を用いることが可能となる。これにより、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0099】
次に、本実施形態の主要な構成であるデジタル信号処理器100について、詳しく説明する。
【0100】
なお、以下に説明するデジタル信号処理器の各構成は、ASIC、FPGAなどの集積ロジックICによりハード的に実行されるものでもよいし、あるいは、DSPなど計算機によりソフトウエア的に実行されるものでもよい。また、各構成での具体的な処理は、以下に説明するものに限定されるものではなく、同じ機能を実現できるものではれば、どのようなものであってもよい。
【0101】
図4は、本実施形態の光ファイバジャイロに用いるデジタル信号処理器100の概略構成図である。
【0102】
このデジタル信号処理器100は、図4に示すように、信号処理部110と、セロダイン制御部140と、変調制御部170と、ジャイロ出力演算部240とでなる。
【0103】
信号処理部110は、A/D変換器26から出力された信号を復調する。
【0104】
図5は、図4に示す信号処理部110の概略構成図である。
【0105】
第1復調器112は、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aにより、A/D変換器26の出力信号を復調する。この復調器は、たとえば乗算器で構成される。
【0106】
第1演算器116は、第1復調器112の出力信号について、時間τずれたもの同士の和を順次とり出力する処理(この処理を逐次演算処理と呼ぶこととする)を行う。第1演算器116の出力信号は、セロダイン制御部140を含む閉ループであるセロダイン制御系の偏差信号である。
【0107】
ここで、図2に示すような矩形波信号−γ方式による位相変調動作において、光ファイバループ6に角速度が入力され、サニャック位相差φsが生じた場合を想定する。この場合、変調位相差は図6に示すようになる。
【0108】
図示するように、A/D変換器26の出力(検出信号)を第1復調器112により周波数1/2τの復調信号で復調し、この復調結果に逐次演算処理を施すことで、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すことが可能となる。
【0109】
なお、ここでは、矩形波信号−γ方式の場合を例にとり説明したが、図3に示すような矩形波信号+γ方式による位相変調動作の場合も同様に、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すことが可能となる。
【0110】
第2復調器114は、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aおよび周波数1/(2(2n+1)τ)の信号Bにより、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、最初の時間τが正、それに続く時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号を生成する。そして、この信号を復調信号として、A/D変換器26の出力信号を復調する。この復調器は、たとえば乗算器で構成される。
【0111】
第2演算器122は、第2復調器114の出力信号について、復調信号の極性が正のときに得られた出力信号と該極性が負のときに得られた出力信号との差を検出し出力する。第2演算器122の出力信号は、変調制御部170を含む閉ループである変調制御系の偏差信号である。
【0112】
ここで、図2に示すような矩形波信号−γ方式による位相変調動作において、位相変調器5による位相変調の変調ゲインGに誤差が含まれている場合を想定する。この場合、変調位相差は図7に示すようになる。
【0113】
図示するように、A/D変換器26の出力に対して、第2復調器114により、最初の時間τが正、それに続く時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す復調信号を用いて復調し、この復調結果について、復調信号の極性が正のときに得られた出力信号と該極性が負のときに得られた出力信号との差を検出することにより、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)を取り出すようにしている。このようにすることで、図7(d)に示すように、変調ゲインGの誤差検出のために用いられる検出信号の光スパイクの向きがすべて同じ方向になる。このため、光スパイクによる影響を効率よく除去することが可能になる。
【0114】
この変調ゲインGの誤差に応じた信号は、温度変化や経年変化により位相変調器5やD/A変換器10等の変調ゲインが変化した場合に、変調制御部170で生成される各種位相変調の合成信号のゲインを調整するためのものである。このため、信号処理部110、変調制御部170、および干渉計500を含んだサーボループは、高速である必要がない。また、第2演算部122の変調制御部170への応答は、数Hz〜数百Hzでよい。
【0115】
なお、ここでは、矩形波信号−γ方式の場合を例にとり説明したが、図3に示すような矩形波信号+γ方式による位相変調動作の場合も同様に、変調ゲインGの誤差に応じた信号を取り出すことが可能となる。
【0116】
図4に戻って説明を続ける。
【0117】
セロダイン制御部140は、信号処理部110の第1演算器116から出力されたサニャック位相差φsに応じた信号にしたがいセロダイン信号を生成する。
【0118】
図8は、図4に示すセロダイン制御部140の概略構成図である。
【0119】
第1演算器142は、信号処理部110から送られてきたサニャック位相差φsに応じた信号(セロダイン制御系の偏差信号)をτあるいは2τの時間間隔で積分する。この結果は、光ファイバループ6への入力角速度に比例した信号になる。
【0120】
第2演算器144は、増幅器あるいはローパスフィルタとして機能する。なお、ゲインあるいはフィルタ定数の設定は、セロダイン制御系のサーボループの設計にしたがい行う。
【0121】
第3演算器146は、第2演算器144を介して送られてきた第1演算器142の出力信号をτの時間間隔で積分する。上述したように、第1演算器142の出力信号は、光ファイバループ6への入力角速度に比例した信号である。該入力角速度が一定ならば、第1演算器142の出力信号も一定となる。この場合、第3演算器146の出力結果は、各階段の継続時間がτで高さが一定の階段信号になる。この階段信号は、セロダイン信号として変調制御部170へ出力される。
【0122】
比較器150は、第3演算器146から出力されたセロダイン信号による変調位相差の累積結果が、第一の閾値、あるいは第一の閾値よりも2π低い第二の閾値に達したか否かを判断する。
【0123】
そして、第一の閾値に達した場合は、干渉光の位相差が−2πの位相シフトとなるように第3演算器146をリセットする。また、第二の閾値に達した場合は、干渉光の位相差が+2πの位相シフトとなるように第3演算器146をリセットする。
【0124】
基準値記憶部148は、比較器150で用いる第一、第二の閾値を特定するための値や、第3変調器146でのリセットのための加減算値を格納する。
【0125】
ここで、比較器150の動作を、図9〜図12を用いて、さらに詳しく説明する。
【0126】
図9は、第一の閾値を+2π、第二の閾値を−2πに設定した場合における、比較器150の動作フローを示している。
【0127】
比較器150は、まず、第3演算器146で生成されたセロダイン信号による変調位相差の累積結果が2πに達したか否かを判断する(ステップ1001)。
【0128】
2πに達した場合は、−2πの位相シフト(負リセット)を行うものと判定する(ステップ1002)。その後、第3演算器146に対して、干渉光の位相差が−2πの位相シフトとなるように指令を出す(ステップ1003)。これを受けて、第3演算器146は、干渉光の位相差が−2πの位相シフトとなるようにセロダイン信号の出力を調節する。
【0129】
一方、2πに達していない場合は、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が−2πに達したか否かを判断する(ステップ1004)。
【0130】
−2πに達した場合は、+2πの位相シフト(正リセット)を行うものと判定する(ステップ1005)。その後、第3演算器146に対して、干渉光の位相差が+2πの位相シフトとなるように指令を出す(ステップ1006)。これを受けて、第3演算器146は、干渉光の位相差が+2πの位相シフトとなるようにセロダイン信号の出力を調節する。
【0131】
一方、−2πに達していない場合は、リセットの必要なしと判断する(ステップ1007)。この場合、第3演算器146に対して位相シフトの指令を出力しない。
【0132】
図10は、第一の閾値を+2π、第二の閾値を0に設定した場合における、比較器150の動作フローを示している。このフローにおいて、図9に示すフローと異なる点は、ステップ1004の代わりにステップ1004aを設け、ここで、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が0より小さくなったか否かを判断する。そして、0より小さい場合はステップ1005へ移行し、そうでない場合はステップ1007へ移行する。
【0133】
図11は、第一の閾値を+π、第二の閾値を−πに設定した場合における、比較器150の動作フローを示している。このフローにおいて、図9に示すフローと異なる点は、ステップ1001、1004の代わりにステップ1001a、1004bを各々設けたことである。
【0134】
ステップ1001aでは、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が+πに達したか否かを判断する。+πに達した場合はステップ1002へ移行し、そうでない場合はステップ1004bへ移行する。
【0135】
ステップ1004bでは、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が−πに達したか否かを判断する。−πに達した場合はステップ1005へ移行し、そうでない場合はステップ1007へ移行する。
【0136】
図12に第3演算器146から出力されるセロダイン信号の波形を示す。ここで、図12(a)は図9に示すフローにより第3演算器146で生成されるセロダイン信号の波形を示しており、図12(b)は図10に示すフローにより第3演算器146で生成されるセロダイン信号の波形を示している。また、図12(c)は図11に示すフローにより第3演算器146で生成されるセロダイン信号の波形を示している。
【0137】
これらの波形から分かるように、図10のフローによれば、光ファイバループ6への入力角速度の極性によらず、セロダイン信号を単極性で生成することができる。このため、セロダイン信号生成のためのD/A変換器やドライバを単電源で構成することが可能となる。
【0138】
一般に、デジタル信号処理器100および基準信号発生器300は、+5V等の単電源で動作するため、D/A変換器10が単電源で動作可能であることは、電源の共通化が可能となり、装置の小型化、低コスト化が可能となる利点を有する。
【0139】
なお、図10のフローにおいて、ステップ1001で、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が0より大きくなったか否かを判断し、ステップ1004aで、セロダイン信号による変調位相差の累積結果が−2π以下になったか否かを判断するようにしても、同様の効果を奏する。
【0140】
また、図11のフローによれば、セロダイン信号のピーク−ピーク値は、図9に示すフローに比べ1/2に低減される。これにより、位相変調器5の終端抵抗での消費電力を1/4に低減させることが可能となる。
【0141】
図4に戻って説明を続ける。
【0142】
変調制御部170は、干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、を位相変調器5に行わせるための、各種位相変調の合成信号を生成する。
【0143】
図13は、図4に示す変調制御部170の概略構成図である。
【0144】
基準値記憶部196には、第一の位相変調(振幅θ)および第二の位相変調(振幅γ)を各々行わせるために必要な基準値(たとえば、2πの位相シフトを行わせるために必要な出力値)が記憶されている。
【0145】
振幅θ発生器202は、基準値記憶部196に記憶された基準値を基に、θの位相シフトを行わせるために必要な値を生成し、これを定出力信号として第1変調発生器204に出力する。
【0146】
振幅γ発生器208は、基準値記憶部196に記憶された基準値を基に、γの位相シフトを行わせるために必要な値を生成し、これを定出力信号として第2変調発生器200に出力する。
【0147】
第1変調発生器204は、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aにしたがい、振幅θ発生器202で生成された定出力信号を変調する。これにより、周期2τの第一の矩形波信号を生成する。この第1変調発生器204は、たとえば乗算器で構成される。
【0148】
第2変調発生器200は、基準信号発生器300で生成された周波数1/(2(2n+1)τ)の信号Bにしたがい、振幅γ発生器208で生成された定出力信号を変調する。これにより、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号を生成する。この第2変調発生器200は、たとえば乗算器で構成される。
【0149】
具体的には、矩形波信号−γ方式の場合、第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して立ち上がり、第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して立ち下がるように、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号を生成する。また、矩形波信号+γ方式の場合は、第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して立ち下がり、第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して立ち上がるように、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号を生成する。
【0150】
加算器176は、第1変調発生器204で生成された第一の矩形波信号と、第2変調発生器200で生成された第二の矩形波信号と、セロダイン制御部140で生成されたセロダイン信号とを加算し、各種位相変調の合成信号を生成する。
【0151】
第1演算器172は、信号処理部110から送られてきた変調制御系の偏差信号(変調ゲインGの誤差に応じた信号)を積分する積分器である。
【0152】
第2演算器174は、増幅器あるいはローパスフィルタである。変調制御系のサーボループの設計に合わせてゲインあるいはフィルタ定数を設計する。
【0153】
乗算器178は、加算器176から出力された各種位相変調の合成信号のゲインを、第2演算器174から出力された変調制御系の偏差信号にしたがい調節する。この結果は、D/A変換器10へ出力される。
【0154】
図14および図15に、図13に示す変調制御部170の各部での信号波形を示す。図14は矩形波信号−γ方式を適用した場合における変調制御部170の各部での信号波形を示しており、図15は、矩形波信号+γ方式を適用した場合における変調制御部170の各部での信号波形を示している。
【0155】
また、各図において、(a)は第1変調発生器204の出力信号(第一の矩形波信号)波形を、(b)は第2変調発生器200の出力信号(第二の矩形波信号)波形を、そして、(c)は、加算器176において、第一の矩形波信号および第二の矩形波信号が加算されることにより生成された信号の波形を、各々示している。
【0156】
図示するように、矩形波信号−γ方式では、第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して立ち上がり、第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して立ち下がるように、第二の矩形波信号が生成され、矩形波信号+γ方式では、第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して立ち下がり、第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して立ち上がるように、第二の矩形波信号が生成される。
【0157】
図14(c)および図15(c)に示す第一の矩形波信号および第二の矩形波信号の合成信号は、それぞれ、図2(a)および図3(a)に示す信号波形と一致しており、これらの信号で位相変調器5を駆動することにより、それぞれ図2および図3に示すような干渉光の位相差を得ることができる。
【0158】
図4に戻って説明を続ける。
【0159】
ジャイロ出力演算部240は、セロダイン制御部140の第1演算器142から送られてきたサニャック位相差φsに応じた信号にしたがい、光ファイバループ6への入力角速度あるいは回転角度を算出する。
【0160】
図16は、図4に示すジャイロ出力演算部240の概略構成図である。
【0161】
第1演算部242は、セロダイン制御部140の第1演算器142から送られてきたサニャック位相差φsに応じた信号、すなわち光ファイバループ6への入力角速度に応じた信号を時間積分する。この結果は、光ファイバループ6の回転角度に比例したものとなる。なお、平均角速度を求める場合は、この積分結果をさらに積分時間で除算してやればよい。
【0162】
レジスタ244には、光ファイバジャイロの初期状態における、入出力のスケールファクタ値が記憶される。
【0163】
第2演算器246は、レジスタ244に記憶されたスケールファクタ値と第1演算器242の出力とを基に、光ファイバループ6への入力角速度あるいは回転角度を算出する。この第2演算器246は、たとえば乗算器で構成される。
【0164】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。
【0165】
本発明の第一実施形態では、デジタル信号処理器100で生成された各種位相変調の合成信号により、干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、を位相変調器5に行わせている。
【0166】
このため、位相変調器5により誘起される一連の位相シフトの各ステップは、継続時間τとなる。したがって、干渉光より得られた電気信号をτの時間間隔でサンプリングすれば、変調ゲイン誤差およびサニャック位相差の両方を検出することができる。これにより、光ファイバ長を短くした場合でも、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べ、位相変調の各ステップ時間を長くし、サンプリング周波数を低くし、デジタル信号処理を低速にすることができるので、より低速のD/A変換器、A/D変換器およびデジタル信号処理器を用いることが可能となり、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0167】
また、本実施形態では、A/D変換器26の出力を、最初の時間τが正、それに続く時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す復調信号を用いて復調し、この復調結果について、復調信号の極性が正のときに得られた出力信号と該極性が負のときに得られた出力信号との差を検出することにより、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)を取り出すようにしている。このようにすることで、変調ゲインGの誤差検出のために用いられる検出信号の光スパイクの向きがすべて同じ方向になるので、光スパイクによる影響を効率よく除去することが可能になる。
【0168】
図17は、変調制御部170に矩形波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理により1/2τの周波数で帯域制限を行った場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。ここでは、τを2.5μsとしている。また、第二の位相変調の振幅γ=2π、サニャック位相差φs=0、そして、変調ゲインG=1としている。
【0169】
図示するように、A/D変換器26への入力信号は、τ毎に変動する交流波形となる。これは、光スパイク波形が1/2τの周波数で帯域制限されて鈍った結果、生じているものである。なお、本実施形態では、位相変調器5により誘起される一連の位相シフトの各ステップの継続時間がτであるので、時間τ毎に光スパイクが生じている。これに対し、従来の技術で説明した特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロは、一連の位相シフト各々の継続時間をτ/2とすることを前提として構成されているので、時間τ/2毎に光スパイクが生じることになる。したがって、本実施形態によれば、上記従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べて、光スパイクノイズの頻度を半分に低減することができる。
【0170】
また、図中に示すSP1〜SP4は、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントの一例である(図7(a)参照)。この場合、変調ゲインGの誤差は、SP1−SP2、およびSP3−SP4の復調処理により検出される。
【0171】
ここで、変調ゲインGの誤差をδGとすると、変調ゲインGの誤差に応じた信号は(P0/2)*2π*δGで表される。
【0172】
さて、ジャイロのスケールファクタ誤差を数十ppm以下に抑えるためには、0.1%以下の誤差で変調ゲインを制御することが要求される。このような制御精度を実現するためには、変調ゲインGの誤差に応じた信号が0.0063*(P0/2)以下でなければならない。
【0173】
この点、本実施形態では、図17に示すように、変調ゲインGの誤差に応じた信号を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントでの光スパイクの向きがすべて同じ方向になるので、帯域制限により波形が鈍った光スパイクの影響は、該サンプリングポイント付近において略一定となる。したがって、サンプリングポイントに含まれる光スパイク成分は、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調処理により、相殺され除去される。
【0174】
図17に示すシミュレーション結果において、各サンプリングポイントSP1〜SP4付近で得られる変調ゲインGの誤差に応じた信号(SP1−SP2、SP3−SP4により得られる信号)は、0.00027*(P0/2)である。これは、変調ゲイン制御の誤差としては、0.00433%に相当する。このように、本実施形態によれば、ジャイロのスケールファクタ誤差を数十ppm以下に抑えるために必要な、0.1%以下の変調ゲイン制御誤差を実現することができる。したがって、ジャイロスケールファクタ誤差を著しく低減することが可能となる。
【0175】
図18は、変調制御部170に矩形波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理による帯域制限を行なわない場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。ここでは、τを0.5μsとしている。また、第二の位相変調の振幅γ=2π、サニャック位相差φs=0、変調ゲインG=1、信号帯域を10MHz(セトリング時間=100ns)としている。サンプリング定理による帯域制限は、1/2τ=1MHzであるが、この波形図では、それよりも10倍高い周波数を信号帯域としている。
【0176】
図中に示すSP1〜SP4は、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントの一例である(図7(a)参照)。この場合、変調ゲインGの誤差は、SP1−SP2、およびSP3−SP4の復調処理により検出される。
【0177】
図示するように、τ毎に変動する非常に大きな交流波形は、光ファイバ長Lが短くなり、その結果、τが短くなったため、サンプリング定理による帯域制限を行わなくても、セトリング時間等による光スパイク波形の鈍りを無視できなくなっていることを示している。サンプリング定理により、信号帯域を制限しない場合であっても、このようにτが短くなると、セトリング時間等による光スパイク波形の鈍りが変調ゲインGの誤差に応じた信号の検出に与える影響を無視することができない。
【0178】
この点、本実施形態では、図18に示すように、変調ゲインGの誤差に応じた信号を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントでの光スパイクの向きがすべて同じ方向になるので、セトリング時間等により波形が鈍った光スパイクの影響は、該サンプリングポイント付近において略一定となる。したがって、サンプリングポイントに含まれる光スパイク成分は、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調処理により、相殺され除去される。このため、ジャイロスケールファクタ誤差を著しく低減することが可能となる。
【0179】
さらに、本実施形態では、以下のような効果を有する。
【0180】
従来のデジタル方式の光ファイバジャイロでは、たとえば、特開昭61−29715号公報記載のように、セロダイン信号(デジタルの階段状ランプ)に対して、該信号が2πに達すると−2πの位相シフトを行うようにリセットするとともに、セロダイン信号と位相変調信号との合成信号に対しても、該信号が2πに達すると−2πの位相シフトを行うようにリセットしている。
【0181】
このため、セロダイン信号と位相変調信号との合成信号が2πに達してから、セロダイン信号が2πに達するまで、リセットが繰り返し行われることになる。特に、光ファイバジャイロへの入力角速度が非常に低い場合、リセットの繰り返しが長時間に渡って行われることになるため、ロックイン現象と呼ばれる、入力角速度測定を測定不可能な不感帯が発生してしまう。
【0182】
これに対し、本実施形態では、セロダイン信号に対してのみリセットを行うようにしているので、光ファイバジャイロへの入力角速度が非常に低い場合に、リセットが繰り返し行われることはない。したがって、低入力角速度時におけるロックイン現象を防止することができる。
【0183】
なお、上記の実施形態では、信号処理部100の第1演算器116として、第1復調器112の出力信号に逐次演算処理を施すことで、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すものを用いているが、逐次演算処理の代わりに、第1演算器112の出力信号に2τの時間間隔で平均化する処理(平均化処理)を施すようにしてもよい。この場合でも、図6の(a)および(d)から明らかなように、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すことができる。
【0184】
ただし、平均化処理を行う第1演算器116を用いて、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出そうとすると、以下のような問題が生ずる。
【0185】
図1において、直流除去器20(たとえば、バンドパスフィルタ)でのフィルタリングが不十分であり、このためA/D変換器26の出力に含まれる直流成分が変動している場合(直流成分がある傾きをもって時間的に変化している場合)、第1復調器112の復調結果とτ時間前の第1復調器112の復調結果とを順次加算する逐次演算処理によれば、τの時間間隔で取り出されるサニャック位相差φsに応じた信号に含まれる直流成分の極性が交互に変化し、該直流成分による誤差が相殺される。
【0186】
たとえば、図19に示すように、A/D変換器26の入力信号に含まれる直流成分がat(tは時間)という傾きで変動していると仮定する。A/D変換器26は、この直流成分の変動を時間τ毎にサンプリングすることで検出する。したがって、第1復調器112に入力される信号は、τ毎に、a、2a、3a、4a、5a、6a、・・・・と変化してゆく。このとき、第1復調器112に入力される信号Aの極性を+、−、+、−・・・・とすると、逐次演算処理を行う第1演算器116の出力は、時間2τで−a、3τで+a、4τで−a、5τで+a、・・・というように、τ毎に+aと−aとが交互に出力される。つまり、A/D変換器26の入力における直流成分の変動は、逐次演算処理により誤差の極性が交互に変化する。このため、セロダイン制御部140の第1演算器142において逐次演算処理結果の積分を行うことにより、直流成分の変動をキャンセルすることができ、より正確なサニャック位相差の検出を行うことが可能となり、ジャイロの高性能化が可能となる。
【0187】
これに対し、平均化処理を行う第1演算器116を用いて、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出そうとすると、この直流成分の変動をキャンセルすることができない。
【0188】
たとえば、図20に示すように、直流成分がat(tは時間)という傾きで変動しているとき、A/D変換器26は、この直流成分の変動をτ毎にサンプリングすることで検出し、第1復調器112に入力される信号は、τ毎に、a、2a、3a、4a、5a、6a、....と変化してゆく。このとき、第1復調器112に入力される信号Aの極性を+、−、+、−、・・・・とすると、平均化処理を行う第1演算器116の出力は、時間2τで−a、4τで−a、6τで−a、となる。2τの時間毎に平均化を行う平均化処理では、結果をτ毎に出力することができず、2τ毎の出力となる。上記出力を2τ間隔で平均化すると、−a/2の誤差が発生する。つまり、A/D変換器26の入力における直流成分の変動は、キャンセルされず、サニャック位相差検出における誤差となり、ジャイロ出力における回転角速度または回転角度誤差をもたらす。
【0189】
上記直流成分の変動は、温度や振動等による光強度のゆらぎや、受光器7の出力からA/D変換器26の入力部における低周波電磁ノイズの混入等によって発生し、これらの外乱を完全に抑制することは極めて困難である。
【0190】
2τの時間間隔で平均化する平均化処理を行うことでサニャック位相差φsに応じた信号を取り出す方式(この方式は従来の技術で説明したデジタル方式の光ファイバジャイロでも用いられている)においては、上記直流成分の変動により検出誤差が発生し、ジャイロ出力における回転角速度誤差または回転角度誤差をもたらす。
【0191】
本実施形態の信号処理部110に、上記の逐次演算処理を行う第1演算器116を用いると、上記直流成分の変動によるサニャック位相差φsの検出誤差を低減することが可能となり、ジャイロにおける角速度または回転角度出力を高性能化することができる。したがって、上記の逐次演算処理は、光ファイバジャイロにおいて極めて有効な手段であるといえる。
【0192】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0193】
本発明の第二実施形態であるデジタル方式の光ファイバジャイロが図1に示す第一実施形態のものと異なる点は、デジタル信号処理器100に代えてデジタル信号処理器100aを用いたことである。その他の構成は図1に示す第一実施形態のものと同様であるので、本実施形態の概略構成図を省略する。
【0194】
デジタル信号処理器100aが第一実施形態で用いるデジタル信号処理器100と異なる点は、干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
の第一のパルスと、前記第一のパルスに続く、
振幅 :−γ
継続時間:τ
の第二のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、を位相変調器5に行わせる各種位相変調の合成信号を生成することである。
【0195】
この各種位相変調の合成信号は、たとえば、周期2τの矩形波信号と、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号と、各階段の継続時間がτの階段状波のセロダイン信号とを、矩形波信号の立ち下がりに同期してパルス波信号の正パルスが立ち上がり、矩形波信号の立ち上がりに同期してパルス波信号の負パルスが立ち上がるように、合成することで生成される。
【0196】
あるいは、周期2τの矩形波信号と、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号と、各階段の継続時間がτの階段状波のセロダイン信号とを、矩形波信号の立ち上がりに同期してパルス波信号の正パルスが立ち上がり、矩形波信号の立ち下がりに同期してパルス波信号の負パルスが立ち上がるように、合成することで生成される。
【0197】
以下、前者によって各種位相変調の合成信号を生成する方式をパルス波信号−γ方式と呼び、後者によって各種位相変調の合成信号を生成する方式をパルス波信号+γ方式と呼ぶこととする。
【0198】
本実施形態による位相変調により、光ファイバループ6を互いに反対方向に伝搬する2つに光の間に生ずる変調位相差と、該2つの光を再結合することで得られる干渉光の光強度との関係について、図21および図22を用いて説明する。
【0199】
図21は、パルス波信号−γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示している。また、図22は、パルス波信号+γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示している。なお、図21および図22では、第二の位相変調による振幅γ=2πとしている。また、説明の簡略化のため、セロダイン信号を省略している。
【0200】
パルス波信号−γ方式により生成された各種位相変調の合成信号は、図21(a)に示すようになる。干渉の位相差はτずれたもの同士の差として現れるので、この合成信号により、干渉光の位相差において、図21(b)に示すような一連の位相シフトを誘起することになる。このため、検出された干渉光の光強度は、図21(c)、(d)に示すようになる。
【0201】
また、パルス波信号+γ方式により生成された各種位相変調の合成信号は、図22(a)に示すようになる。干渉の位相差はτずれたもの同士の差として現れるので、この合成信号により、干渉光の位相差において、図22(b)に示すような一連の位相シフトを誘起することになる。このため、検出された干渉光の光強度は、図22(c)、(d)に示すようになる。
【0202】
図21および図22のいずれに示す場合においても、干渉光の位相差として現れる一連の位相シフトは、第一実施形態の場合と同様、各ステップの継続時間がτとなる。このため、A/D変換器26におけるサンプリング周波数は1/τあればよい。したがって、従来の技術で説明した特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロに対し、D/A変換器およびA/D変換器は1/2の低速化が可能となり、デジタル信号処理も1/2以下の低速化が可能となる。
【0203】
このように、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、位相変調の各ステップ時間を長くし、サニャック位相差φsおよび変調ゲインGの誤差検出に要求されるサンプリング周波数、すなわち、セロダイン制御および変調制御のために必要とされるサンプリング周波数を、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べて低く設定することができるので、光ファイバループ6の光ファイバ長Lを短くした場合でも、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べて低速のD/A変換器、低速のA/D変換器、および低速のデジタル信号処理器を用いることが可能となる。これにより、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0204】
次に、本実施形態のデジタル信号処理器100aについて、詳しく説明する。
【0205】
図23は、本発明の第二実施形態であるデジタル方式の光ファイバジャイロに用いるデジタル信号処理器100aの概略構成図である。
【0206】
このデジタル信号処理器100aは、図23に示すように、信号処理部110aと、セロダイン制御部140と、変調制御部170aと、ジャイロ出力演算部240とでなる。ここで、セロダイン制御部140およびジャイロ出力演算部240は図4に示す第一実施形態のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0207】
信号処理部110aは、A/D変換器26から出力された信号を復調する。
【0208】
図24は、図23に示す信号処理部110aの概略構成図である。
【0209】
第1復調器112は、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aにより、A/D変換器26の出力信号を復調する。この復調器は、たとえば乗算器で構成される。
【0210】
第1演算器116は、第1復調器112の出力信号について、時間τずれたもの同士の和を順次とり出力する逐次演算処理を行う。第1演算器116の出力信号は、セロダイン制御部140を含む閉ループであるセロダイン制御系の偏差信号である。
【0211】
ここで、図21に示すようなパルス波信号−γ方式による位相変調動作において、光ファイバループ6に角速度が入力され、サニャック位相差φsが生じた場合を想定する。この場合、変調位相差は図25に示すようになる。
【0212】
図示するように、A/D変換器26の出力(検出信号)を第1復調器112により周波数1/2τの復調信号で復調し、この復調結果に逐次演算処理を施すことで、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すことが可能となる。
【0213】
なお、ここでは、パルス波信号−γ方式の場合を例にとり説明したが、図22に示すようなパルス波信号+γ方式による位相変調動作の場合も同様に、サニャック位相差φsに応じた信号を取り出すことが可能となる。
【0214】
第2復調器114aは、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aおよび周波数1/(2(2n+1)τ)の信号Bにより、以下に示す復調信号a〜復調信号cのうちのいずれか一つの復調信号を生成する。
【0215】
復調信号a:時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが0、第3番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号。
【0216】
復調信号b:時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが0、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号。
【0217】
復調信号c:時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号。
【0218】
そして、生成した復調信号を用いてA/D変換器26の出力信号を復調する。この復調器は、たとえば乗算器で構成される。
【0219】
第2演算器122は、第2復調器114の出力信号について、復調信号の極性が正のときに得られた出力信号と該極性が負のときに得られた出力信号との差を検出し出力する。第2演算器122の出力信号は、変調制御部170aを含む閉ループである変調制御系の偏差信号である。
【0220】
ここで、図21に示すようなパルス波信号−γ方式による位相変調動作において、位相変調器5による位相変調の変調ゲインGに誤差が含まれている場合を想定する。この場合、変調位相差は図26に示すようになる。
【0221】
図示するように、A/D変換器26の出力に対して、第2復調器114により、上記の復調信号a〜cのいずれか一つを用いて復調し、この復調結果について、復調信号の極性が正のときに得られた出力信号と該極性が負のときに得られた出力信号との差を検出することにより、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)を取り出すようにしている。このようにすることで、図26(d)に示すように、変調ゲインGの誤差検出のために用いられる検出信号の光スパイクの向きがすべて同じ方向になる。このため、光スパイクによる影響を効率よく除去することが可能になる。
【0222】
なお、ここでは、パルス波信号−γ方式の場合を例にとり説明したが、図22に示すようなパルス波信号+γ方式による位相変調動作の場合も同様に、変調ゲインGの誤差に応じた信号を取り出すことが可能となる。
【0223】
図23に戻って説明を続ける。
【0224】
変調制御部170aは、干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
の第一のパルスと、前記第一のパルスに続く、
振幅 :−γ
継続時間:τ
の第二のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、を位相変調器5に行わせるための、各種位相変調の合成信号を生成する。
【0225】
図27は、図23に示す変調制御部170aの概略構成図である。
【0226】
基準値記憶部196には、第一の位相変調(振幅θ)および第二の位相変調(振幅γ)を各々行わせるために必要な基準値(たとえば、2πの位相シフトを行わせるために必要な出力値)が記憶されている。
【0227】
振幅θ発生器202は、基準値記憶部196に記憶された基準値を基に、θの位相シフトを行わせるために必要な値を生成し、これを定出力信号として第1変調発生器204に出力する。
【0228】
振幅γ発生器208は、基準値記憶部196に記憶された基準値を基に、γの位相シフトを行わせるために必要な値を生成し、これを定出力信号として第2変調発生器200aに出力する。
【0229】
第1変調発生器204は、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aにしたがい、振幅θ発生器202で生成された定出力信号を変調する。これにより、周期2τの矩形波信号を生成する。この第1変調発生器204は、たとえば乗算器で構成される。
【0230】
第2変調発生器200aは、基準信号発生器300で生成された周波数1/2τの信号Aおよび周波数1/(2(2n+1)τ)の信号Bにしたがい、振幅γ発生器208で生成された定出力信号を変調する。これにより、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号を生成する。
【0231】
具体的には、パルス波信号−γ方式の場合、矩形波信号の立ち下がりに同期して正パルスが立ち上がり、矩形波信号の立ち上がりに同期しての負パルスが立ち上がるように、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号を生成する。また、パルス波信号+γ方式の場合は、矩形波信号の立ち上がりに同期して正パルスが立ち上がり、矩形波信号の立ち下がりに同期してパルス波信号の負パルスが立ち上がるように、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号を生成する。
【0232】
加算器176は、第1変調発生器204で生成された矩形波信号と、第2変調発生器200aで生成されたパルス波信号と、セロダイン制御部140で生成されたセロダイン信号とを加算し、各種位相変調の合成信号を生成する。
【0233】
第1演算器172は、信号処理部110aから送られてきた変調制御系の偏差信号(変調ゲインGの誤差に応じた信号)を積分する積分器である。
【0234】
第2演算器174は、増幅器あるいはローパスフィルタである。変調制御系のサーボループの設計に合わせてゲインあるいはフィルタ定数を設計する。
【0235】
乗算器178は、加算器176から出力された各種位相変調の合成信号のゲインを、第2演算器174から出力された変調制御系の偏差信号にしたがい調節する。この結果は、D/A変換器10へ出力される。
【0236】
図28および図29に、図27に示す変調制御部170aの各部での信号波形を示す。図28はパルス波信号−γ方式を適用した場合における変調制御部170aの各部での信号波形を示しており、図29は、パルス波信号+γ方式を適用した場合における変調制御部170aの各部での信号波形を示している。
【0237】
また、各図において、(a)は第1変調発生器204の出力信号(矩形波信号)波形を、(b)は第2変調発生器200aの出力信号(パルス波信号)波形を、そして、(c)は、加算器176において、矩形波信号およびパルス波信号が加算されることにより生成された信号の波形を、各々示している。
【0238】
図示するように、パルス波信号−γ方式では、矩形波信号の立ち下がりに同期して正パルスが立ち上がり、矩形波信号の立ち上がりに同期しての負パルスが立ち上がるように、パルス波信号が生成され、パルス波信号+γ方式では、矩形波信号の立ち上がりに同期して正パルスが立ち上がり、矩形波信号の立ち下がりに同期してパルス波信号の負パルスが立ち上がるように、パルス波信号が生成される。
【0239】
図28(c)および図29(c)に示す矩形波信号およびパルス波信号の合成信号は、それぞれ、図21(a)および図22(a)に示す信号波形と一致しており、これらの信号で位相変調器5を駆動することにより、それぞれ図21および図22に示すような干渉光の位相差を得ることができる。
【0240】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。
【0241】
本発明の第二実施形態では、デジタル信号処理器100aで生成された各種位相変調の合成信号により、干渉光の位相差において、
振幅:θ
周期:2τ
の矩形波よりなる第一の位相変調と、
振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
継続時間:τ
の第一のパルスと、前記第一のパルスに続く、
振幅 :−γ
継続時間:τ
の第二のパルスが、
時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、を位相変調器5に行わせている。
【0242】
このため、位相変調器5により誘起される一連の位相シフトの各ステップは、第一実施形態と同様に継続時間τとなる。したがって、干渉光より得られた電気信号をτの時間間隔でサンプリングすれば、変調ゲイン誤差およびサニャック位相差の両方を検出することができる。これにより、光ファイバ長を短くした場合でも、従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べ、位相変調の各ステップ時間を長くし、サンプリング周波数を低くし、デジタル信号処理を低速にすることができるので、より低速のD/A変換器、A/D変換器、およびデジタル信号処理器を用いることが可能となり、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【0243】
また、本実施形態では、A/D変換器26の出力を、
復調信号a:時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが0、第3番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号、
復調信号b:時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが0、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号、
復調信号c:時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号、
のうちのいずれか一つの復調信号を用いて復調し、この復調結果について、復調信号の極性が正のときに得られた出力信号と該極性が負のときに得られた出力信号との差を検出することにより、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)を取り出すようにしている。このようにすることで、変調ゲインGの誤差検出のために用いられる検出信号の光スパイクの向きがすべて同じ方向になるので、光スパイクによる影響を効率よく除去することが可能になる。
【0244】
図30は、変調制御部170aに矩形波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理により1/2τの周波数で帯域制限を行った場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。ここでは、τを2.5μsとしている。また、第二の位相変調の振幅γ=2π、サニャック位相差φs=0、そして、変調ゲインG=1としている。
【0245】
図示するように、A/D変換器26への入力信号は、τ毎に変動する交流波形となる。これは、光スパイク波形が1/2τの周波数で帯域制限されて鈍った結果、生じているものである。なお、本実施形態では、第一実施形態と同様、位相変調器5により誘起される一連の位相シフトの各ステップの継続時間がτであるので、時間τ毎に光スパイクが生じている。これに対し、従来の技術で説明した特開平3−210417号公報記載や特開平3−48715号公報記載のデジタル方式の光ファイバジャイロは、一連の位相シフト各々の継続時間をτ/2とすることを前提として構成されているので、時間τ/2毎に光スパイクが生じることになる。したがって、本実施形態によれば、第一実施形態と同様に、上記従来のデジタル方式の光ファイバジャイロに比べて、光スパイクノイズの頻度を半分に低減することができる。
【0246】
また、図中に示すSP1〜SP4は、変調ゲインGの誤差に応じた信号(変調制御系の偏差信号)検出のための復調信号として上記の復調信号aを用いた場合における、当該信号を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントの一例である(図26(a)参照)。この場合、変調ゲインGの誤差は、SP1−SP2、およびSP3−SP4の復調処理により検出される。
【0247】
ここで、変調ゲインGの誤差をδGとすると、変調ゲインGの誤差に応じた信号は(P0/2)*2π*δGで表される。
【0248】
上述したように、ジャイロのスケールファクタ誤差を数十ppm以下に抑えるためには、0.1%以下の誤差で変調ゲインを制御することが要求される。このような制御精度を実現するためには、変調ゲインGの誤差に応じた信号が0.0063*(P0/2)以下でなければならない。
【0249】
この点、本実施形態では、図30に示すように、変調ゲインGの誤差に応じた信号を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントでの光スパイクの向きがすべて同じ方向になるので、帯域制限により波形が鈍った光スパイクの影響は、該サンプリングポイント付近において略一定となる(このことは、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調信号として、上記の復調信号bあるいは復調信号cを用いた場合でも、同様である)。したがって、サンプリングポイントに含まれる光スパイク成分は、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調処理により、相殺され除去される。
【0250】
図30に示すシミュレーション結果において、各サンプリングポイントSP1〜SP4付近で得られる変調ゲインGの誤差に応じた信号(SP1−SP2、SP3−SP4により得られる信号)は、6.6*10-6*(P0/2)である。これは、変調ゲイン制御の誤差としては、略0%に相当する。このように、本実施形態によれば、ジャイロのスケールファクタ誤差を数十ppm以下に抑えるために必要な、0.1%以下の変調ゲイン制御誤差を実現することができる。したがって、ジャイロスケールファクタ誤差を著しく低減することが可能となる。
【0251】
図31は、変調制御部170aにパルス波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理による帯域制限を行なわない場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。ここでは、τを0.5μsとしている。また、第二の位相変調の振幅γ=2π、サニャック位相差φs=0、変調ゲインG=1、信号帯域を10MHz(セトリング時間=100ns)としている。サンプリング定理による帯域制限は、1/2τ=1MHzであるが、この波形図では、それよりも10倍高い周波数を信号帯域としている。
【0252】
図中に示すSP1〜SP4は、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調信号として上記の復調信号aを用いた場合における、当該信号を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントの一例である(図26(a)参照)。この場合、変調ゲインGの誤差は、SP1−SP2、およびSP3−SP4の復調処理により検出される。
【0253】
図示するように、τ毎に変動する非常に大きな交流波形は、光ファイバ長Lが短くなり、その結果、τが短くなったため、サンプリング定理による帯域制限を行わなくても、セトリング時間等による光スパイク波形の鈍りを無視できなくなっていることを示している。サンプリング定理により、信号帯域を制限しない場合であっても、このようにτが短くなると、セトリング時間等による光スパイク波形の鈍りが変調ゲインGの誤差に応じた信号の検出に与える影響を無視することができない。
【0254】
この点、本実施形態では、図31に示すように、変調ゲインGの誤差に応じた信号を検出するのに用いるA/D変換器26のサンプリングポイントでの光スパイクの向きがすべて同じ方向になるので、セトリング時間等により波形が鈍った光スパイクの影響は、該サンプリングポイント付近において略一定となる(このことは、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調信号として、上記の復調信号bあるいは復調信号cを用いた場合でも、同様である)。したがって、サンプリングポイントに含まれる光スパイク成分は、変調ゲインGの誤差に応じた信号検出のための復調処理により、相殺され除去される。このため、ジャイロスケールファクタ誤差を著しく低減することが可能となる。なお、詳細な説明は省略したが、本発明の第一の態様および第二の態様において、サニャック位相差検出における光スパイクの影響は、少なくとも、2(2n+1)τの時間を通し相殺され、効率よく除去されるので、正確な入力角速度または回転角度を検出することができる。
【0255】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、位相変調の各ステップ時間を長くし、変調ゲイン誤差およびサニャック位相差検出のために必要なサンプリング周波数を低く設定することができるので、より低速のD/A変換器、A/D変換器、およびデジタル信号処理器を用いることが可能となり、コストの低減や装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態が適用されたデジタル方式の光ファイバジャイロの概略構成図である。
【図2】本発明の第一実施形態において、矩形波信号−γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態において、矩形波信号+γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態の光ファイバジャイロに用いるデジタル信号処理器100の概略構成図である。
【図5】図4に示す信号処理部110の概略構成図である。
【図6】図2に示すような矩形波信号−γ方式による位相変調動作において、光ファイバループ6に角速度が入力され、サニャック位相差φsが生じた場合の変調位相差を示す図である。
【図7】図2に示すような矩形波信号−γ方式による位相変調動作において、位相変調器5による位相変調の変調ゲインGに誤差が含まれている場合の変調位相差を示す図である。
【図8】図4に示すセロダイン制御部140の概略構成図である。
【図9】第一の閾値を+2π、第二の閾値を−2πに設定した場合における、図8に示す比較器150の動作を説明するためのフロー図である。
【図10】第一の閾値を+2π、第二の閾値を0に設定した場合における、図8に示す比較器150の動作を説明するためのフロー図である。
【図11】第一の閾値を+π、第二の閾値を−πに設定した場合における、図8に示す比較器150の動作を説明するためのフロー図である。
【図12】図8に示す第3演算器146から出力されるセロダイン信号の波形を示す図である。
【図13】図4に示す変調制御部170の概略構成図である。
【図14】矩形波信号−γ方式を適用した場合における、図13に示す変調制御部170の各部での信号波形を示す図である。
【図15】矩形波信号+γ方式を適用した場合における、図13に示す変調制御部170の各部での信号波形を示す図である。
【図16】図4に示すジャイロ出力演算部240の概略構成図である。
【図17】図4に示す変調制御部170に矩形波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理により1/2τの周波数で帯域制限を行った場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】図4に示す変調制御部170に矩形波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理による帯域制限を行なわない場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】本発明の第一実施形態において、信号処理部100に逐次演算処理を行う第1演算器116を用いた場合における、当該演算器の出力特性を説明するための図である。
【図20】本発明の第一実施形態において、信号処理部100に平均化処理を行う第1演算器116を用いた場合における、当該演算器の出力特性を説明するための図である。
【図21】本発明の第二実施形態において、パルス波信号−γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示す図である。
【図22】本発明の第二実施形態において、パルス波信号+γ方式により生成された各種位相変調の合成信号を用いて位相変調を行った場合における変調位相差と干渉光の光強度との関係の一例を示す図である。
【図23】本発明の第二実施形態であるデジタル方式の光ファイバジャイロに用いるデジタル信号処理器100aの概略構成図である。
【図24】図23に示す信号処理部110aの概略構成図である。
【図25】図21に示すようなパルス波信号−γ方式による位相変調動作において、光ファイバループ6に角速度が入力され、サニャック位相差φsが生じた場合の変調位相差を示す図である。
【図26】図21に示すようなパルス波信号−γ方式による位相変調動作において、位相変調器5による位相変調の変調ゲインGに誤差が含まれている場合の変調位相差を示す図である。
【図27】図23に示す変調制御部170aの概略構成図である。
【図28】パルス波信号−γ方式を適用した場合における、図23に示す変調制御部170aの各部での信号波形を示す図である。
【図29】パルス波信号+γ方式を適用した場合における、図23に示す変調制御部170aの各部での信号波形を示す図である。
【図30】図23に示す変調制御部170aに矩形波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理により1/2τの周波数で帯域制限を行った場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。
【図31】図23に示す変調制御部170aにパルス波信号−γ方式を適用した場合において、サンプリング定理による帯域制限を行なわない場合におけるA/D変換器26への入力信号波形のシミュレーション結果を示す図である。
【図32】従来のジャイロによる変調位相差を説明するための図である。
【図33】従来のジャイロによる変調位相差を説明するための図である。
【図34】従来のジャイロによる変調位相差を説明するための図である。
【図35】従来のジャイロでのA/D変換器への入力信号波形を示す図である。
【図36】従来のジャイロでのA/D変換器への入力信号波形を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2、4 カプラ
3 偏光子
5 位相変調器
6 光ファイバループ
7 受光器
8 電流/電圧(I/V)変換器
9、22 増幅器
10 D/A変換器
11 ドライバ
20 直流除去器
26 A/D変換器
100、100a、ディジタル信号処理器
110、110a 信号処理部
112 第1復調器
114、114a 第2復調器
116、142、172、242 第1演算器
122、144、174、246 第2演算器
140 セロダイン制御部
146 第3演算器
148、196 基準値記憶部
150 比較器
170、170a 変調制御部
176 加算器
178 乗算器
200、200a 第2変調発生器
202 振幅θ発生器
204 第1変調発生器
208 振幅γ発生器
240 ジャイロ出力演算部
244 レジスタ
300 基準信号発生器
500 干渉計

Claims (24)

  1. 光ファイバループを互いに反対方向に伝搬する2つの光を再結合することで得られる干渉光のサニャック位相差に応じた回転角速度または回転角度を検出する光ファイバジャイロであって、
    各種位相変調の合成信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段で生成された各種位相変調の合成信号にしたがい、前記2つの光を各々位相変調する位相変調器と、を備え、
    前記各種位相変調の合成信号は、
    光ファイバループでの光の伝搬時間をτとした場合、前記干渉光の位相差において、
    振幅:θ
    周期:2τ
    の矩形波よりなる第一の位相変調と、
    振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
    継続時間:τ
    のパルスが、
    時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
    毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
    サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、
    の合成信号である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  2. 請求項1記載の光ファイバジャイロであって、
    前記信号生成手段は、
    周期2τの第一の矩形波信号と、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち上がり、前記第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち下がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  3. 請求項1記載の光ファイバジャイロであって、
    前記信号生成手段は、
    周期2τの第一の矩形波信号と、周期2(2n+1)τの第二の矩形波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記第一の矩形波信号の立ち下がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち下がり、前記第一の矩形波信号の立ち上がりに同期して前記第二の矩形波信号が立ち上がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  4. 請求項2または3記載の光ファイバジャイロであって、
    前記干渉光の光強度を検出して電気信号に変換する受光手段と、
    前記受光手段の出力を復調信号により復調し、復調結果から変調ゲイン誤差に応じた信号を生成する演算手段と、をさらに備え、
    前記信号生成手段は、前記演算手段から出力された変調ゲイン誤差に応じた信号にしたがい、前記各種位相変調の合成信号のゲインを制御する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  5. 請求項4記載の光ファイバジャイロであって、
    前記復調信号は、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、最初の時間τが正、それに続く時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  6. 請求項2または3記載の光ファイバジャイロであって、
    前記干渉光の光強度を検出して電気信号に変換する受光手段と、
    前記受光手段の出力を周期2τの復調信号で復調し、復調結果から、前記サニャック位相差に応じた信号を生成する演算手段と、をさらに備え、
    前記信号生成手段は、前記演算手段から出力されたサニャック位相差に応じた信号にしたがい、各階段の継続時間τの階段波状の前記セロダイン信号を生成するセロダイン信号生成手段を有する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  7. 請求項6記載の光ファイバジャイロであって、
    前記演算手段は、前記受光手段の出力を周期2τの復調信号で復調し、時間τずれた復調結果の和を順次とる逐次演算処理を行うことで、前記サニャック位相差に応じた信号を生成する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  8. 請求項6または7記載の光ファイバジャイロであって、
    前記セロダイン信号生成手段により生成した前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が閾値に達したときに、前記セロダイン信号生成手段をリセットするリセット手段をさらに備える
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  9. 請求項8記載の光ファイバジャイロであって、
    前記リセット手段は、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が第一の閾値に達すると、−2πの位相シフトを生じさせるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットし、かつ、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が前記第一の閾値より2π低い第二の閾値に達すると、+2πの位相シフトを生じさせるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットする
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  10. 請求項9記載の光ファイバジャイロであって、
    前記第一の閾値は+πであり、前記第二の閾値は−πである
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  11. 請求項9記載の光ファイバジャイロであって、
    前記第一の閾値は+2πであり、前記第二の閾値は0である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  12. 光ファイバループを互いに反対方向に伝搬する2つの光を再結合することで得られる干渉光のサニャック位相差に応じた回転角速度または回転角度を検出する光ファイバジャイロであって、
    各種位相変調の合成信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段で生成された各種位相変調の合成信号にしたがい、前記2つの光を各々位相変調する位相変調器と、を備え、
    前記各種位相変調の合成信号は、
    光ファイバループでの光の伝搬時間をτとした場合、前記干渉光の位相差において、
    振幅:θ
    周期:2τ
    の矩形波よりなる第一の位相変調と、
    振幅 :γ=2kπ、kは1以上の整数
    継続時間:τ
    の第一のパルスと、前記第一のパルスに続く、
    振幅 :−γ
    継続時間:τ
    の第二のパルスが、
    時間:(2n+1)τ、nは1以上の整数
    毎に、正負交互に現れるパルス波よりなる第二の位相変調と、
    サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン変調と、
    の合成信号である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  13. 請求項12記載の光ファイバジャイロであって、
    前記信号生成手段は、
    周期2τの矩形波信号と、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記矩形波信号の立ち下がりに同期して前記パルス波信号の正パルスが立ち上がり、前記矩形波信号の立ち上がりに同期して前記パルス波信号の負パルスが立ち上がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  14. 請求項12記載の光ファイバジャイロであって、
    前記信号生成手段は、
    周期2τの矩形波信号と、継続時間τのパルスが時間(2n+1)τ毎に正負交互に現れるパルス波信号と、サニャック位相差を打ち消すためのセロダイン信号とを、前記矩形波信号の立ち上がりに同期して前記パルス波信号の正パルスが立ち上がり、前記矩形波信号の立ち下がりに同期して前記パルス波信号の負パルスが立ち上がるように、合成することで、前記各種位相変調の合成信号を生成する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  15. 請求項13または14記載の光ファイバジャイロであって、
    前記干渉光の光強度を検出して電気信号に変換する受光手段と、
    前記受光手段の出力を復調信号により復調し、復調結果から、変調ゲイン誤差に応じた信号を生成する演算手段と、をさらに備え、
    前記信号生成手段は、前記演算手段から出力された変調ゲイン誤差に応じた信号にしたがい、前記各種位相変調の合成信号のゲインを制御する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  16. 請求項15記載の光ファイバジャイロであって、
    前記復調信号は、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが0、第3番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  17. 請求項15記載の光ファイバジャイロであって、
    前記復調信号は、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが0、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  18. 請求項15記載の光ファイバジャイロであって、
    前記復調信号は、時間(2n+1)τを時間τ間隔で区分した場合、第一番目の時間τが正、第二番目の時間τが正、第三番目の時間τが負で、その他が0となる極性の変化を、時間(2n+1)τ間隔で繰り返す信号である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  19. 請求項13または14記載の光ファイバジャイロであって、
    前記干渉光の光強度を検出して電気信号に変換する受光手段と、
    前記受光手段の出力を周期2τの復調信号で復調し、復調結果から、前記サニャック位相差に応じた信号を生成する演算手段と、をさらに備え、
    前記信号生成手段は、前記演算手段から出力されたサニャック位相差に応じた信号にしたがい、各階段の継続時間τの階段波状の前記セロダイン信号を生成するセロダイン信号生成手段を有する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  20. 請求項19記載の光ファイバジャイロであって、
    前記演算手段は、前記受光手段の出力を周期2τの復調信号で復調し、時間τずれた復調結果の和を順次とる逐次演算処理を行うことで、前記サニャック位相差に応じた信号を生成する
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  21. 請求項19または20記載の光ファイバジャイロであって、
    前記セロダイン信号生成手段により生成した前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が閾値に達したときに、前記セロダイン信号生成手段をリセットするリセット手段をさらに備える
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  22. 請求項21記載の光ファイバジャイロであって、
    前記リセット手段は、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が第一の閾値に達すると、−2πの位相シフトを生じさせるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットし、かつ、前記セロダイン信号による変調位相差の累積結果が前記第一の閾値より2π低い第二の閾値に達すると、+2πの位相シフトを生じさせるように、前記セロダイン信号生成手段をリセットする
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  23. 請求項22記載の光ファイバジャイロであって、
    前記第一の閾値は+πであり、前記第二の閾値は−πである
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  24. 請求項22記載の光ファイバジャイロであって、
    前記第一の閾値は+2πであり、前記第二の閾値は0である
    ことを特徴とする光ファイバジャイロ。
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