JP4109417B2 - 改善された色性を有する臭化ポリスチレンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、改善された色性(color characteristics)を有する臭化ポリスチレン(brominated polystyrene)に関するものであり、特に生成された臭化ポリスチレンが改善された色性を有するように、臭素化剤,触媒,反応時間,単離工程及び温度制御の独特な組み合わせを有する臭化ポリスチレンの製造方法に関するものである。
【0002】
発明の背景
臭化ポリスチレンによりポリマに難燃特性(flame retardant properties)を付与する技術が知られている。例えば、ポリオレフィンを主体とするモールディング材料(polyolefin-based moldong materials)に臭化ポリスチレンを難燃添加剤として用いることが米国特許第3,474,067号に記載されている。この特許には、ポリエチレン,ポリプロピレンを基とするモールディング材料を三酸化アンチモンのような相乗剤(synergists)と共にいくつかの異なったベンゼン核−臭素置換ポリスチレン(nuclear-brominated polystyrene)と組み合わせることが示されている。この特許の表1では、ポリ−三臭化スチレン((poly-(tribromostylene))の使用が強調されている。しかしながら、この特許では、臭化ポリスチレンの分子量または製造方法が開示されていない。
【0003】
米国特許第3,975,354号には、飽和ポリエステル,相乗剤及び3〜30重量%のポリ(2,4,6−三臭化スチレン)の組成物を含む難燃熱可塑性強化ガラス繊維ポリエステルモールディング組成物(a flame-resistant thermoplastic glass fiber reinforced polyester molding composition)が記載されている。この特許には、ポリ(2,4,6−三臭化スチレン)は、2.3g/cmの密度と69%の臭素含有量とを有し商業的に入手可能な生成品であると報告されている。この特許には、その製造方法は記載されていない。
【0004】
塩化鉄または塩化アルミニウムの存在下における、塩素元素を用いた溶液中のポリスチレンの直接的な核ハロゲン化が英国特許第364,873号に記載されている。
【0005】
ポリスチレンの直接的な臭素化は、米国特許第3,050,476号に記載されている。ポリスチレン粒子の懸濁液を臭素の存在下で加熱して、臭素を高分子粒子と化学的に結合させる。臭素を加え非常に低いレベル(level)の臭素化を行う。
【0006】
米国特許第3,845,146号は、塩化臭素を臭素化剤として用い、塩化アルミニウムのような触媒による低アルキルベンゼンのような芳香族化合物の臭素化を記載している。この反応は、多くは50psigから100psigの範囲の自生圧力(autogenous pressure)下の密閉反応容器内で行われる。
【0007】
カボン(Cubbon)及びスミス(Smith)は、ポリマ10(Polymer, 10)479−487(1969)の中で三臭化スチレンの合成及び高分子化を記載している。トリブロモスチレンは、最初に2−ブロモエチルベンゼンを生成するためにスチレンの2重結合に臭化水素を添加し、次にこの材料を塩化鉄の存在下で臭素元素と反応させて芳香環に臭素を導入させる多段階反応で生成される。次に約30℃におけるカリウムエトキシド(potassium ethoxide)との反応により臭化水素を取り除いて二重結合を再度形成する。生成物は、核磁気共鳴スペクトルにより2,4,5−三臭化スチレンとして確認された。この三臭化スチレンの重合の割合は、約30℃におけるベンゼン溶液中で観察された。二臭化スチレンと重合割合の比較を行うと、臭素原子の導入がビニル基を重合させるように作用させ、二臭化スチレンより速く三臭化スチレンは重合し、順番に、二臭化スチレンはスチレンより速く重合されるとの結論に達した。
【0008】
ドイツ国特許第1,570,395号は、例2はポリ(2,4,6−三臭化スチレン)の製造を記載しており、例4は簡素にポリ(三臭化スチレン)の製造を記載している。
【0009】
他のいくつかの特許は、臭化ポリスチレンのオリゴマの製造及び難燃としての使用を記載している。ナーマン等(Naarmann et al)の米国特許第4,074,033号及び第4,143,221号によれば、これらのオリゴマは、水素化されたポリスチレンオリゴマに臭素元素を作用させる[ここで用いられる触媒は、塩化アルミニウム(ルイス酸触媒)]こと、または臭化スチレンの重合により生成することができる。
【0010】
米国特許第4,107,231号には、このような臭素化されたオリゴマが直鎖状のポリエステルに難燃特性を付与するのに有効であることが記載されている。このオリゴマの重合の程度は、3から20の範囲とすることができる。三臭化オリゴマの使用が記述されている。
【0011】
米国特許第4,137,212号には、3から90の重合度を有する同様な臭化ポリスチレンオリゴマがモールドされたナイロン組成物の耐燃焼に有効であることが記載されている。三臭化オリゴマが記述されている。
【0012】
米国特許第4,151,223号には、臭素化されたオリゴマが3から約100の範囲の重合度を有し、このオリゴマが直鎖状の熱可塑性ポリエステルの繊維及びフィラメントに難燃特性を付与するのに有効であることが記載されている。この特許は、ハロゲン化されたスチレンオリゴマが塩素化または臭素化のいずれかであり、ハロゲン化の程度は、完全なスペクトルを流す(run)ものであることを指摘している。
【0013】
米国特許第4,352,909号は、三臭化ポリスチレンポリマの生成を記載している。この生成プロセスでは、塩化臭素を臭素化剤として用いるので、典型的には生成物の1から2重量%は塩素である。
【0014】
米国特許第4,200,703号は、熱安定なベンゼン核−臭素置換ポリスチレン(nuclear brominated polystylene)の製造プロセスを開示している。このプロセスは、−20℃から40℃の温度における塩化臭素または臭素による臭素化を有している。ルイス酸触媒の存在下で塩化炭化水素中に溶解されたポリスチレンと、ルイス酸触媒1モルに対して0.02から2モルの求核物質(nucleophilic substance)が、水のようにルイス酸に対してルイス塩基として作用する。
【0015】
このプロセスでは、ポリスチレン出発原料の水素化を行うこと無しに高分子量の生成物を作ることができる。この生成物は、通常架橋がない。しかしながら、固形生成物の色は、黄土色から薄いベージュ色、白色、薄い黄色の範囲である。
【0016】
ヨーロッパ特許出願第0201411号は、米国特許第4,200,703号に類似した臭化ポリスチレンを開示している。この中でポリスチレンは陰イオン的(anionically)に重合し、400を超える重合度を有している。
【0017】
臭化ポリスチレンが熱可塑材の難燃添加剤として用いられる場合、その色は熱可塑材の製造にとって基本的に重要な特性となる。熱可塑材の製造者は、広い範囲の色で熱可塑材製品を製造することを望んでいる。添加剤の色がより濃く(highly)になれば、それを広い色の範囲で合わせる(製造する)のは困難になる。添加剤の色がより薄く(lightly)になれば、それを広い色の範囲で製造するのは容易になる。そのため、熱可塑材部材の製造者の要望及び従来の所望される薄い色特性を有する臭化ポリスチレンの製造プロセスの観点から、最終需用者が広い範囲の色をフォーミュレート(formulate)でき、市場の必要性及び要求に応えられるように製造された改善された薄色を有する臭化ポリスチレンの存在が必要になる。
【0018】
発明の概要
そこで、本発明の目的は、改善された色特性を有する臭化ポリスチレンを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、作業者が様々な反応組成物及び反応パラメータを選択でき、その中の選択から最良の色特性を有する臭化ポリスチレンを得られる製造方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、ポリスチレンの臭素化で得られる色特性に影響を与える様々な反応物質及び反応パラメータを見極める(identify)ことにある。
【0021】
以下の明細書から明らかになるであろう少なくとも1つまたはそれ以上の前述の目的は、存在する従来技術をしのぐ利点と共に、以下に記述し請求する本発明によってなしえるものである。
【0022】
通常、ポリマ母材(polymer matrices)に難燃性を付与するための添加剤としての臭化ポリスチレンの製造方法では、ハロゲン化炭化水素溶媒と約5から約20重量%のポリスチレン反応物質とからなるポリスチレン反応物質の溶液を用意し、ルイス酸臭素化触媒を徐々に加えて溶液を生成し、ポリスチレン反応物質の繰り返し単位1モルに対して約1から約3.3モルの臭素化剤を溶液に加え、ポリスチレン反応物質と臭素化剤とを約−20℃から約50℃の温度で反応させる。ここで本発明の改良点は、約500から約1,500,000の重量平均分子量を有するポリスチレン反応物質を選択し、ハロゲン化炭化水素溶媒によってポリスチレン反応物質のアルキル化を誘導することなくポリスチレン反応物質を臭素化させるのに十分な強さを持つということを基本にして触媒作用を及ぼすのに効果的な触媒の量を選択し、塩化臭素及び臭素からなる群より臭素化剤を選択し、選択された臭素化剤及び触媒と調和した前述の温度範囲内で最も低い温度で操作を行い、臭化ポリスチレンを単離し、これらにより反応時間及び温度、触媒、臭素化剤、並びに生成物単離方法の選択及び考察により臭素化ポリスチレン生成物の色特性を改善して臭素化ポリスチレン生成物の色特性を調整する。
【0023】
本発明を実施するための好ましい実施例
本発明のプロセスの好ましい実施例の一つは、下記の式で表される。
【0024】
【化1】
Figure 0004109417
化学式1に示すように、本発明のこの具体例の反応は通常溶媒中、好ましくは塩化炭化水素溶媒中で行われる。好ましい溶媒としては、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジブロモエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素がある。ここで特に好ましいのは、EDC(1,2-ジクロロエタン)である。これらの溶媒の混合物も用いることができる。
【0025】
最初にポリスチレン反応物質を溶媒に溶解して約5から約20重量%の濃度を有する溶液を作る。次に触媒を添加してから臭素化剤を徐々に添加する。これにより、この混合物は、効果的な温度制御で反応できるようになる。
【0026】
臭素化剤は、塩化臭素,臭素元素(elemental bromine),またはこれらの混合物からなる群から選択する。純粋な塩化臭素は約70重量%の臭素を有している。実際には、約65から約75重量%の総含有量の臭素を有する塩化臭素を用いる。また、臭素化剤は、好ましくは、そのまま(neat)添加するが、本プロセスでは、ポリスチレンの溶媒または相溶性のある他の溶媒と同様にハロゲン化炭化水素溶媒に臭素化剤を溶解した溶液を用いることができる。ポリスチレンの繰り返し単位に3つまでの臭素を結合させるために、ポリスチレン1モルに対して約2.8モルから約3.3モルの臭素化剤を添加する。より一般的には、臭素化剤の量は、ポリスチレン生成物の所望される臭素化量によって決定される。そのため、ポリスチレンの繰り返し単位に対して1から3の臭素元素を結合させるためには、1から3.3モルの臭素化剤を用いる。後者の量は臭素化を確実に行うために3モルをわずかに超える量とする。混合物中の塩化臭素と臭素との相対量は、本発明に限定されず、後述するように臭素化触媒に幾分か関連して決まる。
【0027】
触媒は、弱ルイス酸ハロゲン化触媒(weak Lewis acid halogenation catalyst)であり、好ましくは、三塩化アンチモンまたは三臭化アンチモン(antimony tribromide)である。弱(weak)であることより、本触媒はフリーデル・クラフツ・アルキル化反応(Friedel-Craft alkylation reaction)、即ち本反応系においては、ハロゲン化炭化水素とポリスチレンのような芳香族基(aromatic substrate)との反応には触媒作用を及ぼすことができないと理解できる。
【0028】
弱ルイス酸触媒は、効果的に触媒作用を及ぼす量を用いなければならない。触媒の量は約0.2重量%から約10重量%の範囲が望ましい。触媒の正確な量はその活性量に依存する。塩化臭素を臭素化剤として用い三塩化アンチモンを触媒として用いる場合には、塩化臭素がかなり過剰に用いられない限り、実験室レベルで約5重量%を下回る触媒量では、反応速度が遅くなり臭素化の少ない生成物(underbrominated products)ができる。本反応は非常に少量の触媒と理論的に必要とされている量を上回る非常に多量の臭素化剤とを用いても技術的に可能であり、または逆に非常に多量の触媒と理論的に求められている量よりも僅かに多い量の臭素化剤を用いても技術的には可能であるが、触媒の量を決定する最も重要な要件はルイス酸の強度である。言い換えるならば、強ルイス酸触媒では少量に用い、弱ルイス酸では多量に用いる。
【0029】
混合触媒は、本プロセスにおいて用いられるルイス酸触媒の強度も更に制御できる。このような混合物は、2以上のルイス酸を含むだけでなく、水,アルコール,エーテル,エステル,カルボン酸,酸塩基物,ケトン,アルデヒド,アミン,ニトリル等の1以上のルイス塩基との混合物でもよい。但しルイス塩基はこれらに限定されない。更に様々なルイス酸及びルイス塩基が論述されている(米国特許第4,200,703号参照)。この課題はここで文献として載せている。用いられる特定の臭素化剤の機能によって臭素化触媒または混合触媒を選択する。当業者により明らかなように、例えば、塩化臭素は、より反応性の高い臭素化剤であり、これにより、弱い触媒で高いレベルの臭素化を達成することができる。臭素を用いる場合には、芳香環の高いレベルでの臭素化を達成するために、より活性な触媒を用いる必要がある。臭素化剤が塩化臭素と臭素との混合物である場合には、当業者により明らかなように、これらの2つの相対量は、選択された触媒に対応して釣り合いを取る(逆も同様)ことができる。
【0030】
臭素化剤とポリスチレン反応物質との反応は、約−20℃から約50℃の範囲内であればいかなる温度でも行うことができる。一般に、最良の色性を得るためには、温度範囲の低端側が好ましい。しかしながら、低温では、反応速度は遅くなり、実際上商業的に受け入れられる速度にはならない。そのため、商業的に受け入れられる反応速度を達成するには、温度に関して折り合いを付ける必要がある。以下に報告された実験作業では、5時間反応速度(five hour reaction rate)が満足できるものであると思われた。我々は、また反応速度は、選択された臭素化剤及び選択された触媒によっても影響を受けることを観察した。
【0031】
用いられるポリスチレン反応物質は、オリゴマまたはポリマのいずれかである。したがって、ポリスチレンの初期分子量(initial molecuar weight)は約500
【外1】
Figure 0004109417
から約1,500,000
【外2】
Figure 0004109417
より好ましくは、約500
【外3】
Figure 0004109417
から約500,000
【外4】
Figure 0004109417
である。このプロセスは、ベンゼン核が置換された(substitution being nuclear)置換ポリスチレン(substituted polystyren)の臭素化にも有効である。ベンゼン核の置換は、臭素化が起きる部位及び発生する臭素化の付与量に影響を与える。本発明の方法により臭素化する置換ポリスチレンの例としては、ポリ−(臭化スチレン),ポリ−(クロロスチレン),ポリ−(ジクロロスチレン),ポリ−(二臭化スチレン),ポリ−(クロロ−臭化−スチレン),ポリ−(4−メチル−スチレン)及びポリ−(モノ−低−アルキル−スチレン)(poly-(mono-lower alkyl styrene)のようなハロゲン化及びアルキル化されたポリマがある。ハロゲン置換基は塩基及び臭素を含み、アルキル置換基は1から約4つの炭素原子を有する低アルキル基(lower alkyl group)を含んでいる。したがって、本明細書及び請求の範囲を通して用いられるポリスチレン反応物質または単なるポリスチレンの語は、本発明の範疇において置換ポリスチレンと同様に前述のホモポリスチレン(homopolystylene)及びオリゴマをも示すものである。
【0032】
反応は、3つまでの臭素原子を各芳香環(aromatic nucleus)に導入して行う。塩化水素または臭化水素が、塩化臭素または臭素のどちらかを用いたかによって、反応の副生成物として生成される。
【0033】
上記の式1に示すように、実質的な三臭化ポリスチレンの製造のために本発明を用いることができるが、本発明の方法は、3つまでの所望の臭素化の程度を有する臭化ポリスチレン生成物の製造に一般的に利用できる。
【0034】
適当に薄く色がついた材料(light colored material)の製造において、スチレンポリマまたはオリゴマに適用される従来の臭素化技術は、本方法に比べて一般的に効果が低い。非常に良好な色特性、即ち非常に薄い色を持った製品をあらゆる所望の臭素化レベルで本発明の好ましい方法により生成することができる。そのため、高臭素化生成物は、プラスチック産業において好ましい難燃添加剤になる。実質的な三臭化ポリスチレンよりも臭素化の程度の低い生成物も難燃添加剤としての利用価値は高い。
【0035】
本発明の反応をより好ましい具体例によって行うために、ポリスチレン反応物質は、約500またはそれ以上、より好ましくは150,000またはそれ以上から約1,500,000までの重量平均分子量を有するものから選択すべきである。機械的攪拌機を備えた反応器内で、前述したように、ポリスチレン反応物質をエチレンジクロライドまたは他の適当な溶媒に溶解する。触媒をこのポリスチレン溶液に加える。次に、前述した経済的な時間(reasonable time)内で反応を行うように、通常数時間になる所定の時間に亘って臭素化剤を反応器内に徐々に加える。
【0036】
この添加の間、反応器内の溶液の温度は、通常約−20℃から約50℃の制御された範囲内に維持する。低温においても反応は進行するが、速度は遅い。また、高温でも反応は進行するが、温度が上昇すると生成物の色性は低下する。反応は発熱反応なので、冷却を行う。生成物の色性が重要である場合、しばしばそうであるように、三臭化ポリスチレン生成物では、反応混合物(reaction mixture)の温度制御を効果的に維持することを重点的に考慮する。臭素化剤の添加が完了したら、反応混合物を更に所定時間攪拌して、反応を完全に行わせる。
【0037】
反応時間は反応温度に部分的に基づいているが、このような時間は約1から20時間の間で大きく変えることができる。比較的強くて反応性が高い触媒を選択すれば、反応温度若しくは反応時間またはこれら両者は小さくすることができる。反応を低温度範囲まで充分に冷却できない場合には、ポリスチレン添加剤の色特性の制御は、反応時間を短くすることにより達成できる。本目的が最良の可能性の色性を提供するものであることが理解できるであろう。したがって、本発明の精神の範囲内において、反応時間及び温度は、臭素化触媒,臭素化剤,及び沈殿方法を考慮した上で決定及び選択できる。
【0038】
所定の時間を上回ったり下回ったりするのは、必ずしも除外されるべきではなく、最初に示した時間の範囲は、最も商業的に受け入れられる時間を満足させるものである。
【0039】
反応が完了したと思われたら、重亜硫酸アルカリ金属(alkali metal bisulfite)の水溶液等の還元剤を添加して、あらゆる余剰の臭素化剤を分解する。そして、反応混合物の攪拌を停止して、相分離(phase separation)を生じさせる。
【0040】
生成物の回収は、例えば、水のフラッシング(flashing)または非溶媒沈殿(non-solvent precipitation)等のあらゆる容認されている方法により行うことができる。後者の方法では、反応生成物が溶解している有機液と混和できる非溶媒(non-solvent)を、周囲温度において分離容器中に維持する。適当な非溶媒液はアルカノールズ(alkanols)、及び好ましくは、メタノール,またはアセトンのようなケトンであり、生成物を沈殿する。反応器の内容物を攪拌されている非溶媒中にゆっくりと入れる。適切な条件下では、臭化ポリマは、微粒子(fine particles)の形で沈殿し、これは濾過及び乾燥により回収できる。水のフラッシングによる方法では、生成物の溶液を熱水に徐々に入れる。これにより溶液がフラッシュオフ(flash off)されて、生成物はスラリとして水中に残る。次に生成物を公知の方法で回収する。
【0041】
生成物の単離方法も臭化生成物の色特性の調整の1つの要件になるが、ここでの調査は、非溶媒沈殿が良好な色性を得る他の手段として水のフラッシングより好ましいことを報告している。
【0042】
基本的には、三臭化生成物(tribrominated product)は、臭素の含有量が少なくとも66%である。しかしながら、本発明の方法では、臭素化剤として塩化臭素を用いると、核の臭化に加えていく分かのベンゼン核の塩化(nuclear chlorination)が常に起きる。したがって、一般にこのような場合、生成物の臭素含有量が生成物の約66重量%から約69重量%の範囲になり、塩素含有量は典型的には生成物の約0.5から1重量%になるが、生成物の約2重量%までに高くなることもある。
【0043】
好ましい方法の実施により生成された典型的な三臭化ポリスチレン生成物は、分析すると約66重量%から約69重量%の臭素と、約0.5重量%から2重量%の塩素と、通常約0.2重量%から0.5重量%の揮発物(volatiles)とを含有しているのが分かる。もし、各芳香環の核に3つの臭素原子が置換されているということに基づいて反応の生成量を計算すれば、本発明の方法では、典型的には、少なくとも約90%またはそれ以上の生成量を得る。
【0044】
好ましい本方法の実施においては、特に工業的なスケールでは、本発明の範囲内であれば前述した一般的な方法から離れた多くの方法を行える。例えば、商業的に入手可能な塩化臭素を直接反応器内に入れたり、塩化臭素溶液を用いることができる。通常、いく分過剰の塩化臭素を用いなければならないが、過剰となる量は、例えば、溶媒中の含水量、触媒の選択、反応温度等の反応条件に依存する。
【0045】
反応媒体として選択された有機溶媒は、反応物質を溶解し、不活性または反応物質に非常にわずかにしか反応しないものである。有機溶媒は、特に塩化されたハロゲン化物または飽和脂肪族炭化水素が好適である。溶媒の炭素飽和は、ハロゲンの付加を防ぐために基本的に必要なことである。上記したように、好ましい溶媒は、四塩化炭素,クロロホルム,1,1,2,2-テトラクロロエタン,塩化メチレン,1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジブロモエタン等であるが、EDC(1,2-ジクロロエタン)が特に好ましい。もし、塩化メチレンを用いるのであれば、塩化メチレンを収容するのに好適な装置を用いるべきである。なぜなら塩化メチレンは、その低い沸点と高い揮発性により蒸発しやすいからである。
【0046】
単一で存在する弱ルイス酸触媒を用いる場合は、水がこの触媒を損傷したり不活性化させるので、溶媒は実質的に非水状態にすべきである。通常、商業的グレード(commercial grades)の溶媒が用いられる。製造者は、この目的のために、最大水分レベル(maximum moisture level)を大抵明記するので、市販の溶媒(commercial solvents)の使用は満足いくものである。しかしながら、水分レベルを確かめるのが賢明であり、もしできるならば共沸蒸留で溶媒を乾燥すべきである。商業的に入手可能なハロゲン化炭化水素中に通常に存在する僅かな量の水分は、触媒の活性を和らげるが、いくつかのケースでは、多少なりとも触媒は、存在する水分の総量によっては、所望する結果を出すために更に必要になることがある。
【0047】
いかなる臭化ポリスチレン生成物も本質的に難燃特性を有している。ホストポリマ(host polymer)への難燃添加剤として用いるには、添加量は限りなく少ないことが望まれる。このため、一般に臭素含有量の高いポリスチレンを難燃添加剤として製造及び使用することが望ましい。工業的には、プラスチック組成物中に用いられる臭化添加剤の量を、特定の耐発火性を得るように調整することが一般である。通常、特定の添加剤の臭素含有量が多くなる程、その効果は高くなり、添加剤の量は少なくて済む。用いる添加剤の量が少ない程、経済性が良くなるとよく言われている。いくつかのケースでは、難燃剤の使用は、組成物全体のある物理的特性を高めることもあるが、通常多くの場合、添加剤の使用は、所望の物理的特性を低下させる傾向がある。そのため、この理由によっても、同等の難燃結果が得られるときは、添加剤の量を少なくすることが好ましい。
【0048】
これらの考察は、完全な臭素化が望ましいことを示しているが、このような特定のケースでは実際的ではない。本発明の繰り返された実証(demonstration)が示すように、溶媒として用いられるエチレンジクロライド中でトリハロゲン化(trihalogenation)が達成された時、ハロゲン化されたポリスチレンは、分離相を形成し始める。この変化は、架橋とは関係なく、用いられている特定の溶媒への溶解性が変化したものである。この相分離は、生成物の製造プロセス及び回収を困難にする。この理由により、本発明の好ましい方法は、通常はトリハロゲン化されたポリスチレン生成物、即ち本質的には三臭化ポリスチレン生成物の製造において実践的である。
【0049】
一般的実験
本発明は、その明細な実証の記述書により更に詳細に記述される。以下の例及び本出願を通じて、特に他の指示がない場合は、全ての率(parts)及びパーセンテージは重量によるものであり、全ての温度は摂氏(degrees Celsius)で示される。
【0050】
ここで用いられるEDC溶媒は、共沸蒸留(azeotropic distillation)または乾燥した分子篩い(dried over molecular sieves)により水分が100ppm以下になるまで乾燥したものである。
【0051】
実験の手順
機械的攪拌機,温度計,蛇管冷却器(spiral condenser)及び500mlジャケット付き均等圧力添加用漏斗(jacketed pressure equalized addition funnel)を備えた1Lレジンフラスコ(resin flask)内に50.1g(スチレンの繰り返し単位に対して0.481モル)のポリスチレン及び350mlの1,2-ジクロロエタン(EDC)を入れた。この溶液を攪拌しながら、溶液中に2.5g(0.01096モル)の三塩化アンチモン(EDC0.2g/mlの溶液として加える)を加え、溶液を20℃まで冷却した。187.5g(1.625モル)の塩化臭素と2.7g(0.0169モル)の臭素と187.5gのEDCとからなる塩化臭素溶液を、臭素化温度を20℃±2℃に維持しながらポリスチレン溶液中に連続して3時間を超えた時間で入れた。臭素含有量が最終生成物の最低でも66%になるように、この反応系をほぼ2時間以上攪拌した(臭素化時間の総計は5時間であった)。
【0052】
重亜硫酸ソーダ水溶液180g(20重量%)を35℃を超えないような割合(rate)で加えた。ここで用いた重亜硫酸ソーダ水溶液の重量と同じ重量の脱イオン水をこの混合物に加えた。この混合物を更に10〜15分攪拌してから、2L分液漏斗(separetor funnel)に移した。
【0053】
有機層(organic layer)が分離してから、1Lの新鮮な脱イオン水で3回洗浄した。3回目の洗浄の間に、ほぼ60gの重炭酸ソーダ(sodium bicarbonate)の飽和溶液を増量添加して水層のpHをほぼ7に調整した。3回目の洗浄後、有機相(organic phase)を適当な寸法の添加用漏斗内に入れた。これを、機械的攪拌機,蒸留ヘッド(distillation head),冷却器,受け器(receiver)及び加熱マントル(heating mantle)を備えた3Lモルトンレジンフラスコ(Molton resin flask)に入れた。このフラスコには、2Lの脱イオン熱水も勢いよく攪拌した状態で入れておく。この熱水に溶液を入れている間に、EDCはEDC/水の共沸混合物としてフラッシュオフ(flashed off)される。
【0054】
この操作中、温度は91℃から100℃の間に維持した。溶液の投入が完了したら、生成されたスラリをほぼ100℃で更に1時間保持した。
【0055】
濾過により生成物を収集してから、これを4Lの脱イオン温水(hot deionized water)で濾過洗浄してから、4Lの脱イオン冷却水(cold deionized water)で濾過洗浄した。生成物を100℃、5〜10torr(666〜1333Pa)で48時間真空乾燥した。生成物の量は約138〜148gであった。
【0056】
色特性と反応温度との関係を実証するために、いくつかのポリスチレンの臭素化を40℃,20℃及び0℃で通常の手順と同様に行った。色特性は、2つの異なった方法を用いて行った。1つ目は、ガードナーカラースケール法(Gardner Color Scale Method)とも呼ばれるASTM D1544−68法であった。2つ目は、総合色差(Total Color Difference)(ΔE)であった。総合色差は、クロロベンゼンに対して10重量%の濃度の生成溶質のハンターL,a,b値(Hunter L,a,bscales)を用い、次式にしたがって算出して求めた。
【0057】
【数1】
Figure 0004109417
結果は、表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004109417
表1に示すように、低温において、より好ましいΔEの低い数値及び良好なガードナーカラーが得られた。
【0059】
色特性と一連の反応温度との関係を調べる別の実験は、表1で報告されたデータで用いたものより低分子量のポリスチレンを用いて行った。このポリスチレンは、約900の重量平均分子量を有することで知られているHercules Res M1187であった。結果は、表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0004109417
臭素化時間と最終生成物の色特性との関係を実証するため、臭素化温度を35℃としその他は通常の方法と同様にした臭素化において、臭素化時間を変えた3つの実験を行った。ここで用いたポリスチレンは、ほぼ9.1重量%の溶液を生成するためにEDCに溶解したChevron EA3000、300,000
【外5】
Figure 0004109417
であり、三塩化アンチモンを触媒として用いた。総合色差(ΔE)は、クロロベンゼンに対して10重量%の濃度の生成溶質を測定して求めた。結果は、表3に示す。
【0061】
【表3】
Figure 0004109417
表3のデータは、35℃における臭素化時間と最終生成物の色特性との関係を確立するものである。一般にΔEが低い良好な色特性は、臭素化時間を短くした結果で得られる。
【0062】
次の一連の実験(work)では、3つの異なった触媒と2つの臭素化剤と3つの異なった臭素化温度におけるポリスチレンの臭素化の比較をChevron AE3000、300,000
【外6】
Figure 0004109417
を用い、ほぼ10.25重量%溶液を生成して行った。ポリスチレンに対する各触媒の量(重量%)は、例1〜6では5%であり、例7〜12では3.88%であり、例13〜18では4.68%であった。測定した色特性は、反応した組成物及び反応データと共に下記表4に示す。
【0063】
【表4】
Figure 0004109417
表4の上記のデータから分かるように、最良の色特性は、あらゆる面において、低い範囲の反応温度で、塩化臭素を臭素化剤として用い、三塩化アンチモンを触媒として用いた場合に得られる。これにもかかわらず、本発明の方法の利点は、データによって等しく実証される。例えば、もし与えられた状況下で入手できる好適な臭素化剤が臭素である場合を考えると、0℃まで反応温度を低下させること(実験4)によって、塩化臭素を20℃で反応させたもの(実験2)(実験4及び実験2は両方とも三塩化アンチモンを触媒として用いている)より良好な色特性を得られる。別の例では、反応温度を容易に低下できない場合でも、塩化臭素を臭素化剤として用いれば、臭素を用いたものより良好な色特性を得られる(実験6と実験3との比較)。また、別の例では、塩化鉄は触媒として最良の結果を得られないが、反応温度を低下させて塩化臭素を臭素化剤として選択することにより良好な色特性の数値を得られる(実験13〜15)。実際、溶液ΔEの数値を比較すると、塩化鉄及び臭素を選択し0℃のものは、三塩化アンチモン及び臭素を用い40℃のものに匹敵する色特性が得られたのが分かる。これより、特定の方法のパレメータ(parameters)に適用するために、1またはそれ以上の方法のパレメータを変更できるのは明らかである。
【0064】
一連の実験の最後では、反応温度と単離操作との組み合わせによる色特性上の効果を実証する比較を行った。臭素化と生成物単離の2つの方法とを以下のように行った。選択したポリスチレンは、DOW XP 6065、200,000
【外7】
Figure 0004109417
である。全ての色測定は、Illuminant"C"を用いるPacific ScientificのGardner XL-20 Tristimulus Colorimeter上をクロロベンゼンへの4%溶液にして流して(run)行った。
【0065】
調整器付き加熱マントル,機械的攪拌機,温度計,垂直側腕脱着管(vertical sidearm take-off tube)(Lab Glass LG-1 781 T)付き蒸留ヘッド,蛇管冷却器及び500mlジャケット付き均等圧力添加用漏斗を備えた1Lレジンフラスコ内に50.1g(スチレンの繰り返し単位に対して0.481モル)のポリスチレン及び600mlの1,2-ジクロロエタン(EDC)を入れた。溶液を攪拌しながら加熱して環流し、反応系から共沸混合物として水を除去するために、60mlのEDC/H0を取り除いた。溶液を20℃まで冷却し、EDC中に三塩化アンチモンを溶解した溶液(0.2g/mL)12.5mLを加えた。187.5g(1.625モル)の塩化臭素と2.7g(0.0169モル)の臭素と187.5gのEDCとからなる塩化臭素溶液を、臭素化温度を20℃±2℃に維持しながらポリスチレン溶液中に連続して3時間を超えた時間で入れた。臭素含有量が最終生成物の最低でも66%になるように、この反応系をほぼ2時間以上攪拌した(臭素化時間の総計は5時間であった)。
【0066】
水酸化ナトリウム水溶液100mL(25重量%)を35℃を超えないようなレート(rate)で加えた。この混合物を更に10〜15分攪拌してから、2L分液漏斗(separetor funnel)に移した。
【0067】
有機層(organic layer)を分離させてから、700mLの新鮮な脱イオン水で2回洗浄した。2回目の洗浄後、700mLの有機相(organic phase)が半分に分離した。
【0068】
溶媒を熱水中にフラッシュオフすることによる生成物の単離
有機相の一つを200mLのEDCに希釈してから、適当な寸法の添加用漏斗内に入れた。これを、機械的攪拌機,蒸留ヘッド,冷却器,受け器,加熱マントルを備え、且つ勢いよく攪拌された状態で1.2Lの脱イオン熱水が入っている2Lモルトンレジンフラスコに入れた。この熱水に溶液を入れるときに、EDCがEDC及び水の混合物としてフラッシュオフ(flashed off)され、スラリがフラスコ内に得られる。
【0069】
この操作中、温度は91℃から100℃の間に維持した。溶液の投入が完了したら、生成されたスラリをほぼ100℃で更に1時間保持した。
【0070】
濾過により生成物を収集し、これを2Lの脱イオン温水で洗浄してから、2Lの周囲温度の脱イオン水で洗浄した。生成物を60℃で12時間真空乾燥(水吸引器)してから、重量が変化しなくなるまで(to a constant weight)5〜10torr(666〜1333Pa)の真空下で120℃中に晒した。生成物の量は約65〜75gであった。
【0071】
ポリマ溶液を非溶媒中で沈殿させることによる生成物の単離
別の有機相を200mLのEDCに希釈してから、適当な寸法の添加用漏斗内に入れた。これを、機械的攪拌機を備え、1.2Lのメタノールが入っている4Lモルトンレジンフラスコに入れた。2時間及び1時間半の投入後に更に15分の攪拌して室温で沈殿を行った。
【0072】
生成物を濾過で収集し、メタノール中で30分間で再度スラリ化させてから濾過により再度収集した。生成物を重量が変化しなくなるまで60℃で12時間真空乾燥(水吸引器)した。生成物の量は約65〜75gであった。白色指数(WI)及び黄色指数(YI)をASTM E1313−73により測定した。結果を以下の表5に示す。なお、WI及びYIの式は下記の通りである。
【0073】
WI=0.1L(L−5.7b) 白色指数(WI)が高くなるほど、サンプルの色は白くなる。
【0074】
YI=100(0.72a+1.79b)/L 黄色指数(YI)が低くなるほど、サンプルはより白色に近づく。
【0075】
【表5】
Figure 0004109417
表5は、明らかに2つの傾向を示している。第1に、温度以外の他の変数を一定にした場合、臭化ポリスチレンの色特性は、臭素化が低温で行われたときにより良好であったことである。第2に、色特性は、熱水中で溶媒をフラッシュオフするより、非溶媒沈殿(メタノール)により臭素化ポリスチレンを単離させた方がより良好(より白色)であったことである。同様の結果が上記の表のデータからの推量により引き出せる。
【0076】
したがって、本発明の方法が、改良された色特性を有する臭化ポリスチレンの生成に高い効果を得られるのは明らかである。
【0077】
前述の開示に基づけば、ここで述べた方法の使用が上記の目的を達成するのは明らかである。したがって、請求された本発明の範囲内においてあらゆる変更が行えることが理解できる。そのため、ここで開示及び述べられた本発明の精神から離れることなく、特定の組成物の選択を決定できる。特に本発明による臭素化剤、触媒、反応温度及び時間、並びに他の反応条件は、必ずしもここで述べるものに限定されるものではない。その結果、本発明の範囲は、添付する請求の範囲の範囲内で行える全ての修正及び変更を含むものである。

Claims (18)

  1. ハロゲン化炭化水素溶媒と5ら20重量%のポリスチレン反応物質とからなるポリスチレン反応物質の溶液を用意し、
    ルイス酸臭素化触媒を加えて溶液を生成し、
    前記ポリスチレンの繰り返し単位1モルに対して1ら3.3モルの臭素化剤を前記溶液に加え、
    前記ポリスチレンと前記臭素化剤とを−20℃から50℃の温度で反応させて、ポリマ母材に難燃性を付与する添加剤としての臭化ポリスチレンを製造する方法において、
    00から1,500,000の重量平均分子量を有する前記ポリスチレン反応物質を選択し、
    前記ハロゲン化炭化水素溶媒によって前記ポリスチレン反応物質のアルキル化を誘導することなく、前記ポリスチレン反応物質を臭素化させるのに十分な強さを持つということを基本にして触媒作用を及ぼすのに効果的な前記触媒の量を選択し、
    塩化臭素及び臭素からなる群より臭素化剤を選択し、
    選択された前記臭素化剤及び前記触媒と調和した前記温度範囲内の最も低い可能な温度で操作を行い、
    前記臭化ポリスチレンを単離し、
    反応時間及び温度、触媒、臭素化剤、並びに生成物単離方法の選択及び考察により前記臭素化生成物の色特性を改善することにより前記臭化ポリスチレンの生成物の色特性を調整することを特徴とする臭化ポリスチレンの製造方法。
  2. 前記炭化水素溶媒は、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、1,2-ジブロモエタン及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 重亜硫酸アルカリ金属の水溶液により前記反応をクエンチングする工程を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記触媒は、三塩化アンチモン、三臭化アンチモン及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記反応を行う工程は、1から20時間の範囲の時間で行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記単離を行う工程は、有機物及び酸素を含む非溶媒中で行い、
    反応器内の内容物を攪拌している前記非溶媒中に入れる工程と、
    前記臭化ポリマを沈殿させる工程と、
    前記臭化ポリマを回収し乾燥する工程とを有していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記非溶媒がアセトンであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記触媒が三塩化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が塩化臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記炭化水素溶媒は、1,2-ジクロロエタンからなることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記触媒が三臭化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が塩化臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  11. 前記触媒が三塩化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  12. 前記触媒が三臭化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  13. 前記単離の工程は、水のフラッシングを通して行い、
    反応器内の内容物を攪拌している熱水中に入れて、前記溶媒をフラッシュオフしてスラリを生成する工程と、
    前記臭化ポリマを前記スラリ中から回収する工程とを有していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  14. 前記触媒が三塩化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が塩化臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記触媒が三臭化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が塩化臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  16. 前記触媒が三塩化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  17. 前記触媒が三臭化アンチモンであり、
    前記臭素化剤が臭素であり、
    前記反応温度が0℃であり、
    前記反応時間が5時間であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  18. 前記ポリスチレン反応物質は、ホモポリスチレン、ポリスチレンオリゴマ、ハロゲン化ポリスチレン及びアルキル化ポリスチレンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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