JP4108994B2 - 柱状発泡樹脂成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建材用途では扉、窓枠等の建具、家具等に使用し得る、発泡樹脂を柱状に成形した柱状発泡樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、建材用途では、扉等の建具、家具、壁等の内装材等に於いて、木材が幅広く使用されている。一方、用途によっては樹脂を用いる場合もあるが、内部に空洞が無い緻密な樹脂を用いると、木材に比較して重くなってしまう。そこで、軽量化の為に発泡樹脂を用いることがある。そして、異形押出成形等の樹脂成形法によって製造した柱状の発泡樹脂成形品として使用される。この様な発泡樹脂に使用する樹脂としては、近年、廃棄時に塩素ガスを放出しない等の環境面への配慮、及び、コスト等の観点から、ポリオレフィン系樹脂が注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ポリオレフィン系樹脂の代表樹脂としては、ポリエチレンとポリプロピレンがあるが、これらのなかでも一般に成形性が良いと言われる低密度ポリエチレン(LDPE)では、例えば建具等の機械的強度が必要な用途には、十分な強度性能が得られない。この点では、高密度(HDPE)や、より高融点のポリプロピレンを用いれば強度性能を向上できる。
しかしながら、これらの高密度ポリエチレンやポリプロピレンでは、今度は発泡樹脂成形品としての成形適性が不足した。
【0004】
それは、単なる緻密な樹脂成形品とするのではなく、発泡剤を添加して発泡樹脂成形品とする場合に、発泡過程で形成される気泡が細胞状の気泡にはならずに、気泡が連続化してボイドとなってしまい、所望の発泡倍率まで発泡しないという問題があった。更に、ボイドの発生によって、機械的強度も低下する。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、発泡樹脂を柱状に成形した柱状発泡樹脂成形品について、気泡連続化によるボイドを無くして、均一な細胞状の発泡とし、それによる機械的強度の低下を防ぐことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の柱状発泡樹脂成形品では、ポリオレフィン系樹脂を用い気泡が連続したボイドが無くて細胞状となった気泡を有する細胞状発泡体からなる中空又は中実の柱状発泡樹脂成形品として、前記ポリオレフィン系樹脂が高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂100質量部に対して自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンを副成分樹脂の範囲内で5質量部添加した樹脂からなる構成とした。
【0007】
この様な構成とすることで、ポリオレフィン系樹脂に添加した自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンによって、気泡が連続化して出来るボイドが無くなり、発泡が均一化して細胞状の気泡が得られる。この為、機械的強度低下も起きない。
【0008】
また、本発明の柱状発泡樹脂成形品は、上記構成に於いて更に、表面に装飾処理として化粧シートが積層されてなる構成とした。
【0009】
この様な構成とすることで、意匠性が高まる。その結果、化粧部材等として、建材用途等の各種用途に好適な物品となる。しかも、化粧シート表面にはボイドによる凹凸発生が生じず、化粧シート意匠を損なうことが無い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を詳述する。
【0011】
〔発泡樹脂〕
本発明による柱状発泡樹脂成形品は、その発泡樹脂にポリオレフィン系樹脂を用いるが、さらにその中には、自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンが添加されているポリオレフィン系樹脂を用いる。つまり、使用する発泡樹脂は、その主成分樹脂として、自由端長鎖分岐構造ポリプロピレン以外のポリオレフィン系樹脂を使用し、更に副成分樹脂として自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンを使用する。
【0012】
主成分とするポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂が、立体形状の成形品としての機械的強度が得やすい点で好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、この他、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン系モノマーと他のビニル系モノマーとの共重合体でも良い。これらのなかでも、ポリオレフィン系樹脂として、特に、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンは機械的強度に加えて、低コストでもある点で、より好ましい。更に、ポリプロピレンは高密度ポリエチレンに比べて融点が高い為、経時的に形状が変形し難い等の耐熱性等の点で、より好ましい。
【0013】
一方、自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンは、そのモノマー成分は専らプロピレンであるが、その分子構造が直鎖状では無く、枝分かれを有する、ポリプロピレンポリマーである。この様な長鎖分岐構造を有するポリプロピレンは、公知のグラフト重合によるものを使用できる。例えば、特開昭62−121704号公報にて開示されている「自由端長鎖枝分れを有するポリプロピレン」である。該公報では、この樹脂を、直鎖状のポリプロピレンを出発原料として用いて、該直鎖状ポリプロピレンに対して電子線を照射して製造する。もちろん、電子線照射は、該直鎖状のポリプロピレンの主鎖の連鎖切断が起こるのには十分だが、ポリプロピレンのゲル化(分岐の架橋化)を起こさせるのには不十分な時間照射する。そして電子線照射されたポリプロピレンを相当量の長鎖分岐が生成するのに十分な時間を確保した後、照射で生成した遊離基は失活処理を行うというものである。従って、生成した自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンは、ゲルを含まないポリプロピレンである。
【0014】
自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンの添加量は、樹脂の組み合わせ、要求物性等に応じて、副成分樹脂としての範囲内で適宜調整すれば良い。例えば、異形押出成形の場合の一例で示せば、主成分樹脂100質量部に対して5質量部の添加で、ボイド解消の効果が得られた。
また、発泡樹脂の樹脂全量を、この自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンという特有の樹脂を用いる事無く、主成分樹脂としては、より一般的なポリプロピレンや高密度ポリエチレンを用いる方が、コスト的にも有利である。
【0015】
なお、発泡樹脂のポリオレフィン系樹脂としては、前記主成分樹脂、及び副成分樹脂としての自由端長鎖分岐構造ポリプロピレン以外に、使用した主成分樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を、物性調整等の為に、副成分としての範囲内で更に添加した樹脂であっても良い。
【0016】
なおもちろんだが、発泡前の段階での発泡樹脂としては、発泡剤を含んでいる。該発泡剤としては、アゾジカーボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル、N−N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、等の熱分解型発泡剤、又はポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂球殻中にヘキサン、イソブタン、ペンタン等の熱膨張性気体を封入したマイクロカプセル型発泡剤等を、1種単独又は2種以上混合して用いる。なお、発泡剤の添加量は、発泡剤や樹脂の種類、それらの組み合わせ、及び必要な発泡量等に応じた量とすれば良く、通常は樹脂分100質量部に対し1〜10質量部である。
【0017】
また、必要に応じ適宜、発泡促進剤を併用しても良い。発泡促進剤は、熱分解型発泡剤の発泡開始温度を低下させる化合物であり、熱分解型発泡剤に応じた従来公知のものを使用する。例えば、該発泡剤がアゾ系のアゾジカルボンアミドの場合には、発泡促進剤としては、亜鉛、鉛、カルシウム等の化合物、例えば、酸化亜鉛、二塩基性硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、ステアリン酸鉛等の他、尿素、蓚酸、エタノールアミン等を単独、又は二種以上混合して用いる。なお、発泡促進剤の添加量は、通常、樹脂分100質量部に対して1〜10質量部程度である。
【0018】
また、本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は、自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンを含み、また発泡前の段階では未発泡状態の発泡剤を含む樹脂組成物であるが、この他、物性を調整・改善する為に適宜、充填剤、難燃剤、着色剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤)、酸化防止剤、等の公知の各種添加剤を添加しても良い。
【0019】
例えば、(無機)充填剤は、重量増とはなるが、樹脂使用量を相対的に減らして低コスト化となる上、機械的強度の増大、燃焼時発熱カロリーの低減等に効果的である。この様な充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、アルミナ等の無機物粉末が使用される。また、難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が使用される。また、着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ベンジジンイエロー、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等を用いることができる。
【0020】
以上の如き発泡樹脂をそれが含有する発泡剤で発泡させれば、ボイドが無く均一な発泡が成され細胞状の気泡を有する細胞状発泡体が得られる事になる。従って、気泡が連続化したボイドによる、柱状発泡樹脂成形品の機械的強度低下も起きない。
【0021】
ここで、図1の斜視図で、本発明による柱状発泡樹脂成形品10の形態例を示す。図1(A)は、発泡樹脂1を成形したままの無垢状態の柱状発泡樹脂成形品10の一例であり、図1(B)は、その成形された発泡樹脂1の表面に装飾処理の一種として化粧シート2を接着剤3を介して貼り付けて積層した状態の柱状発泡樹脂成形品10の一例である。
【0022】
なお、図1(A)及び(B)に例示した柱状発泡樹脂成形品10は、その発泡樹脂1部分の断面に於いて中実の成形品であったが、例えばパイプの如く中空の成形品でも良い。また、同図では断面形状は長方形であったが、例えば、三角形、L字形、コの字形、その他複雑形状等、用途に応じた任意の形状で良い。これらの断面形状任意である本発明の柱状発泡樹脂成形品は、その製造方法は特に限定されるもので無い。しかし、好適には、該柱状発泡樹脂成形品は、公知の異形押出成形法で製造することができる。
【0023】
〔装飾処理〕
次に、装飾処理について説明する。柱状発泡樹脂成形品は、発泡樹脂の成形品の無垢のままでも、用途次第では、そのままで使用する事ができる。適用される部分が人目に触れずに表面意匠が問題にならない用途、或いは、人目に触れるが発泡樹脂成形品の表面の質感そのものの意匠感でも良いか或いはその方が良い用途等の場合である。
しかし、柱状発泡樹脂成形品は、その発泡樹脂の表面に何らかの装飾処理を施す事によって、表面がより高意匠となり、例えば建材分野では化粧材等と各種用途への適用範囲を広めることが可能となる。
【0024】
無垢の柱状発泡樹脂成形品の表面、つまり成形され発泡した発泡樹脂1の表面に対して施す装飾処理としては、建材分野等に於ける公知の装飾処理を、用途に応じて適宜採用することができる。代表的には、発泡樹脂1の表面に化粧シートを貼着して積層する装飾処理があるが、これ以外にも、発泡樹脂1の表面に対して直接印刷する等して行う装飾処理、発泡樹脂中に着色剤等を添加する発泡樹脂1自体に対する装飾処理等もある。これらのなかでも、化粧シートの積層による装飾処理は、他の装飾処理に比べて、より高意匠化が可能の点で優れている。しかも、本発明では発泡樹脂のボイド発生を防いであるので、ボイドが化粧シート表面に影響してその表面が凹凸になるのが防げ、化粧シートによる高意匠を損なう事も無い。
【0025】
次に、化粧シートの積層による装飾処理に於いて、使用する化粧シートとしては、従来公知のものを適宜使用すれば良い。化粧シートとしては、単なる樹脂シートや紙等でも使用できるが、通常はより高意匠が得られる点で、基材シートに対して装飾処理が施された構成の化粧シートが使用される。例えば、基材シートとしては、樹脂シート(フィルム)、紙、不織布、金属箔、木材薄板(突板)、或いはこれらの積層体等が用いられる。また、装飾処理としては、例えば、樹脂シート中への着色剤の練り込み、基材シートへの印刷等による装飾層の形成、エンボス加工による凹凸模様の賦形等が適宜採用される。またこれら装飾処理は、適宜組合わせる。
【0026】
なお、化粧シートの基材シートとしては、それが樹脂シートの場合には、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等が適宜使用される。なかでも、前述発泡樹脂同様に環境対応の点で塩素非含有の樹脂であり、且つ低コストである、ポリオレフィン系樹脂は好ましい熱可塑性樹脂の一つである。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等が使用される。
【0027】
また、基材シートが紙の場合には、薄葉紙、クラフト紙、上質紙、リンター紙、バライタ紙、硫酸紙、和紙等の紙が用いられる。また、不織布の場合には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ナイロン、ビニロン、硝子等の繊維による不織布が用いられる。また、これらによる織布等も用いられる。
【0028】
また、基材シートへの装飾層は、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷、転写印刷等の公知の印刷法で形成する。なお、装飾層の柄が全面ベタの場合には、ロールコート等の公知の塗工法で形成することもできる。
【0029】
装飾層は基材シートの表面、裏面、表裏両面に設ける他、基材シートが多層の場合は層間に設けることもある。また、上記インキ(或いは)塗料は、そのバインダーの樹脂として、例えば、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等が1種又は2種以上の混合樹脂として使用され、また、その着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ベンジジンイエロー、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等が1種単独使用、又は2種以上併用される。
【0030】
なお、装飾層の模様は、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ等である。
また、装飾層としては、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜し金属薄膜層等も使用される。金属薄膜層は、部分的にパターン状に或いは全面に設ける。
【0031】
また、凹凸模様は、エンボス加工により賦形するのが、特に熱可塑性樹脂からなる基材シートの場合には代表的であるが、この他、ヘアライン加工等のその他の方法で賦形する場合もある。エンボス加工は、基材シートを加熱軟化させ、エンボス版で加圧し、賦形し、冷却固定するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機が使用される。なお、熱可塑性樹脂の基材シートでは、シート成膜時の冷却ローラをエンボス版と兼用する等して、成膜同時エンボスすることもできる。
【0032】
また、化粧シートの最表面には表面保護層を設けることもある。表面保護層としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、紫外線や電子線で硬化するアクリレート系等の電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂による塗膜を塗工形成する。
【0033】
なお、化粧シートの裏面側には、必要に応じ適宜、樹脂基材との接着性を向上させる為に、コロナ放電処理、プラズマ処理、ウレタン樹脂等によるプライマー層形成等の公知の易接着処理を施す。また、化粧シート層内も同様である。
また、耐候性が望まれる場合には、必要に応じ適宜、樹脂からなる基材シート、装飾層、表面保護層、プライマー層等には、公知の耐光剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤)が添加する。
【0034】
なお、化粧シートを柱状発泡樹脂成形品の所望の面に貼り付けて積層するには、それが一面であれば、間に接着剤を介して単にローラで加圧し積層する等してもよいが、図1(B)に例示の如く、隣接する2面以上に跨って連続して積層するには公知のラッピング加工法(特公昭61−5895号公報、特公昭56−23771号公報等参照)によれば良い。ラッピング加工法では、柱状の被着体(柱状発泡樹脂成形品)に対して、その長軸方向に、化粧シートを間に接着剤を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラにより、被着体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して化粧シートを積層してゆく。
【0035】
なお、化粧シートの積層時に使用する接着剤としては、特に制限は無い。接着する材料、用途、要求物性等に応じて、公知の接着剤の中から適宜なものを選択使用すれば良い。例えば、接着剤としては、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等からなる接着剤を使用する。接着剤は、ロールコート、スプレーコート等の公知の塗工法で施せば良い。なお、接着剤は、被着体(柱状発泡樹脂成形品)、化粧シート、或いはこれら両方に施した後、化粧シートを被着体に貼り合わせて積層する。
【0036】
ところで、装飾処理を化粧シートの積層によらずに、成形された発泡樹脂1の表面に対して直接行う場合の装飾処理としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷、転写印刷等の各種印刷方法による絵柄表現の為等の装飾層の形成、ロールコート、スプレーコート等の各種塗工方法による塗膜(全面ベタ)形成、熱エンボスによる表面の凹凸模様の形成等が挙げられる。印刷や塗工で用いるインキや塗料は、前記化粧シートに於ける装飾層で述べたもの等が適宜使用される。
なお、発泡樹脂中への着色剤添加は発泡樹脂の説明中で既に述べたが、これによる装飾処理では、化粧シート積層に比べて単調ではあるが表面の装飾以外に、内部も装飾されるので、柱状成形品の切断端面も表面と同様の外観に装飾できる利点がある。
【0037】
〔用途〕
本発明による柱状発泡樹脂成形品の用途は、特に制限は無いが、例えば、扉、扉枠、窓枠等の建具、回縁、幅木等の造作部材、箪笥、キャビネット、机、食卓等の家具の部材、或いは、壁、天井等の建築物内装材等の建材用途は、最適な用途の一つである。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって、更に具体的に説明する。
【0039】
〔実施例1〕
幅木用途に使用できる形状の柱状発泡樹脂成形品を次に様にして作製した。
発泡樹脂としては、主成分樹脂とする直鎖状のポリオレフィン系樹脂(チッソ株式会社製、高結晶性ポリプロピレン、商品名「チッソHCPP」)100質量部に対して、自由端長鎖分岐構造ポリプロピレン(モンテル・JPO株式会社製、分岐ポリプロピレン、商品名「PF814」)5質量部、発泡剤として炭酸水素ナトリウム系発泡剤(永和化成工業株式会社製、商品名「セルボン SC−P」1.5質量部、着色剤3質量部を含む樹脂組成物を用意した。そして、この発泡樹脂を異形押出成形機で発泡と同時に押出成形して、図1(A)の如き、表面無垢の発泡樹脂1からなる柱状発泡樹脂成形品10を得た。
【0040】
そして更に、上記柱状発泡樹脂成形品10の4側面の表面に対して、シリコーンゴムローラを用いたラッピング加工法で、ウレタン系の接着剤3を使用して化粧シート2を貼り合わせて積層し、図1(B)の如き、化粧シートで表面が装飾処理された柱状発泡樹脂成形品10を得た。なお、この柱状発泡樹脂成形品は、使用時に長さが長い場合には所望の長さに切断して使用する。
【0041】
なお、上記化粧シートとしては、隠蔽性の着色裏面シートと透明表面シートの2層の基材シート間に装飾層を設け、表面に凹凸模様及び表面保護層を設けたものを使用した。具体的には、水素添加ブタジエンスチレンゴムが添加されたポリプロピレン系の厚さ80μmのオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる着色裏面シートの表裏両面をコロナ放電処理を施した後、その表側とする面に対して、アクリルウレタン樹脂系2液硬化型インキを使用して、グラビア印刷により木目柄の装飾層を形成して、先ず印刷シートとした。そして、この印刷シートの印刷面に、エチレン−プロピレン−ブテン3元ランダム共重合体に紫外線吸収剤が添加された厚さ60μmの透明表面シートを、2液硬化型ウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法で積層して積層シートとした。次いで、この積層シートの透明表面シートの面に、エンボス版を用いたエンボス加工で木目導管溝の凹凸模様を賦形した。そして、エンボス加工後、表側全面に、アクリルウレタン樹脂系の透明塗料をロールコートして、表面保護層を形成して所望の化粧シートとした。
【0042】
〔評価〕
得られた柱状発泡樹脂成形品は、発泡樹脂部分にはボイドが見られなかった。また、表面は化粧シートにより、単なる樹脂成形品に比べて、より高意匠であった。また、化粧シート表面にはボイドによる凹凸も見られなかった。
【0043】
【発明の効果】
(1)本発明の柱状発泡樹脂成形品によれば、気泡が連続化したボイドが無くなり、発泡が均一化して細胞状の気泡となる。この為、機械的強度低下も起きない。
(2)更に、表面に装飾処理として化粧シートが積層されてなる構成とすれば、意匠性が高まる。その結果、化粧部材等として、建材用途等の各種用途に好適な物品となる。しかも、化粧シート表面にはボイドによる凹凸が生じず、化粧シート意匠を損なうことが無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による柱状発泡樹脂成形品の形態例を説明する斜視図。
【符号の説明】
1 発泡樹脂
2 化粧シート
3 接着剤
10 柱状発泡樹脂成形品
Claims (2)
- ポリオレフィン系樹脂を用い気泡が連続したボイドが無くて細胞状となった気泡を有する細胞状発泡体からなる中空又は中実の柱状発泡樹脂成形品であり、前記ポリオレフィン系樹脂が高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂100質量部に対して自由端長鎖分岐構造ポリプロピレンを副成分樹脂の範囲内で5質量部添加した樹脂からなる柱状発泡樹脂成形品。
- 表面に装飾処理として化粧シートが積層されてなる、請求項1記載の柱状発泡樹脂成形品。
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