JP4108851B2 - 1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような1,3−オキソラン−2−チオン誘導体はエポキシ化合物と二硫化炭素の反応により得られることが従来より知られている。かかる合成方法として▲1▼Zh.Obshch.Kim.第33巻,第1366頁(1963)にテトラエチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩を用いて反応させる方法、▲2▼特開昭63−218672号公報には、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いて高温、高圧下で反応させる方法、▲3▼英国特許第1135798号明細書にはあるかアルカリ金属塩を用いて、メタノールのようなプロトン性極性溶媒中で常温で反応させる方法、▲4▼特開平5−247027には非プロトン性極性溶媒中、アルカリ金属塩存在下で常温で反応させる方法等が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記▲1▼の方法では収率が低く、▲2▼の方法では副生成物が多く生成し、また高温、高圧下で反応させるため特別な装置が必要である。▲3▼の方法ではエピスルフィドなどの副生成物が多い。また▲4▼の方法では原料であるエポキシ化合物および二硫化炭素と同重量部の非プロトン性極性溶媒が必要であり、反応後に長時間の脱溶剤工程が必要になる等問題が多かった。本発明は溶剤を使用せず工程を簡略化し、穏和な条件下で反応させて、不純物が少なく、且つ収率の良い、1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体を得る製造法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体の製造法において、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、炭素数6〜8の脂肪族アルコールのグリシジルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物(A)と二硫化炭素を、アルカリ金属塩(B1)および/またはアルカリ土類金属塩(B2)触媒の存在下、更に予め添加する、分子中に1個以上の1,3−オキサチオラン−2−チオン環を有する1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体(D)の存在下、且つ溶剤の非存在下で反応させることを特徴とする1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体(C)の製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ化合物(A)は、(1)式の構造を有する化合物であり、二硫化炭素と反応することにより(2)式の構造を有する1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体を生成する。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
〔式中、Rはフェノール類、アルコール類、アミン類の残基(活性水素を除いた残基)である炭化水素基、R1、R2、R3は水素又は炭化水素基、RとR1は結合して環を形成してもよい。mは0又は1,nは1〜6の整数を表す。〕
【0008】
(A)は分子中に1個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されず、用途、目的に応じて適宜選択することができる。好ましくは1分子中にエポキシ基の数は1〜6個である。エポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は通常58〜1,000であり、好ましいのは90〜500である。(1)式で表される(A)としては具体的には、グリシジルエーテル系(A1)、グリシジルエステル系(A2)、グリシジルアミン系(A3)、脂環式エポキシ系(A4)またはその他のエポキシ化合物(A5)等が挙げられる。
グリシジルエーテル系(A1)としては、フェノール類のグリシジルエーテルおよび脂肪族アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
フェノール類のグリシジルエーテルとしては、
(i)モノグリシジルエーテル
C6〜C22のフェノール類のモノグリシジルエーテル例えば、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル等;
【0009】
(ii)ジグリシジルエーテル
C6〜C30の多価フェノール類のジグリシジルエーテル例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル
、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル等;
【0010】
(iii)3〜6官能又はそれ以上のポリグリシジルエーテル
C6〜C50又はそれ以上で分子量250〜3,000の3〜6価又はそれ以上の多価フェノール類のポリグリシジルエーテル例えば、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tert−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られる分子量400〜5,000のポリフェノールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0011】
脂肪族アルコールのグリシジルエーテルとしては、
(iv)モノグリシジルエーテル
C1〜C22アルコールのグリシジルエーテル例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、炭素数12〜22の高級アルコールのグリシジルエーテル等;
(v)ジグリシジルエーテル
C2〜C100、分子量150〜5,000のジオールのジグリシジルエーテル例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(分子量150〜4,000)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(分子量180〜5,000)ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド(1〜20モル))付加物のジグリシジルエーテル等;
(vi)3〜6官能又はそれ以上のポリグリシジルエーテル
C6〜C50又はそれ以上で分子量290〜10,000の3〜6価又はそれ以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0012】
グリシジルエステル系(A2)としては、C6〜C20又はそれ以上の1〜6価又はそれ以上の芳香族モノ又はポリカルボン酸のグリシジルエステル例えば、フタル酸類のグリシジルエステルおよびC6〜C20又はそれ以上の1〜6価又はそれ以上の脂肪族もしくは脂環式モノ又はポリカルボン酸のグリシジルエステル例えば脂肪酸のグリシジルエステルが等挙げられる。
(I)フタル酸類のグリシジルエステルとしては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等;
(II)脂肪族もしくは脂環式モノ又はポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、上記フェノール系のグリシジルエステルの芳香核水添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体等が挙げられる。
【0013】
グリシジルアミン系(A2)としては、C6〜C20又はそれ以上の1〜10価又はそれ以上の芳香族アミン類のグリシジルアミンおよび脂肪族アミンのグリシジルアミンが挙げられる。
芳香族アミン類のグリシジルアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルフォン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジルアミノフェノール等が挙げられる。
脂肪族アミンのグリシジルアミンとしてはN,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその芳香核の水添化合物、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン、トリスグリシジルメラミン等が挙げられる。
【0014】
脂環系エポキシ(A4)としては、C6〜C50又はそれ以上の分子量90〜2,500、エポキシ基の数1〜4又はそれ以上のもので例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等が挙げられる。また、前記フェノール類のエポキシ化合物の核水添化物も含む。
【0015】
その他のエポキシ化合物(A5)として、炭素数3〜4の脂肪族オキシド(プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド)やスチレンオキシド、トリスグリシジルメラミン、グリシジルエーテルとグリシジルエステルを同一分子内に含む化合物等が挙げられる。
上記のエポキシ化合物は1種又は2種以上併用して使用することができる。
これらのうち好ましいのは、グリシジルエーテル化合物であり、さらに好ましくは脂肪族アルコール系グリシジルエーテルであり、特に好ましくは炭素数8以下の脂肪族アルコールのグリシジルエーテルである。
【0016】
本発明において二硫化炭素の量は(A)のエポキシ基に対し0.5〜10倍当量、好ましくは0.9〜1.5倍当量である。二硫化炭素の量が0.5倍未満であると未反応のエポキシ化合物が多くなり、10倍を越えると脱二硫化炭素工程が長時間となり生産性が低下する。
【0017】
本発明におけるアルカリ金属塩(B1)としては無機酸塩例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウム等のアルカリ金属の弗化物、塩化物、臭化物、沃化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、炭酸塩並びにそれらの水和物等が挙げられる。また、アルカリ土類金属塩(B2)としては無機酸塩例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属の弗化物、塩化物、臭化物、沃化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、炭酸塩並びにそれらの水和物等が挙げられる。これらのうちで好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物であり、更に好ましくはナトリウムおよびリチウムの塩化物、臭化物および沃素化物でり、特に好ましくはリチウムの塩化物、臭化物および沃素化物である。(B1)および/または(B2)の量は(A)のエポキシ基に対し0.001〜1.0倍当量である。好ましくは0.01〜0.1倍当量である。これらの(B1)(B2)は粉末状であり、使用時には粉末をそのまま使用してもよく、後述する製造時に添加する1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体(D)に溶解して反応系に投入してもよい。
【0018】
本発明において製造時に併用して用いられる1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体(D)は分子中に1個以上の1,3−オキサチオラン−2−チオン環を有していれば、特に限定されず、用途、目的に応じて適宜選択することができる。好ましくは製造の目的とする1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体と同一構造である。(D)の量はエポキシ化合物1モルに対し、0.001〜5モル、好ましくは0.1〜1.0モル、特に好ましくは0.2〜0.5モルである。(D)の量が0.001モル未満であると反応速度が著しく遅くなり、5モルを越えると生成する1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体の割合が低くなり生産性が低下する。
【0019】
本発明において(A)と二硫化炭素を(B1)または(B2)の存在下、且つ溶剤の非存在下、穏和な条件下で反応して得られる。また(B1)または(B2)および(D)存在下でも同様である。反応機構は触媒の(B1)または(B2)が二硫化炭素と錯体を形成し、その金属錯体がエポキシ環の炭素を求核攻撃するという求核置換反応で進行する。そのため、反応系中にプロトン性溶媒が存在すると反応速度が著しく低下し、また極性が高い溶媒を使用する程、1,3−ジチオラン−2−オン等の異性体の量が多くなり、不純物の含量も多くなる。そのため溶媒の非存在下で反応させるのが好ましい。さらに触媒の溶解度を向上させるために、製造の目的とする1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体を予め添加しておくと更に上記の効果が高まる。製造は通常バッチで行うが限定はない。また、(A)、(B1)、(B2)、(D)の仕込む順序、仕込む温度も特に限定はない。反応温度、反応時間および反応圧力のいずれも特に限定されないが、反応温度は通常20〜100℃であり、反応は通常4〜48時間で完了するが反応温度により異なる。反応圧力は常圧から加圧下いずれでもよいが、通常、常圧下で行うのがよい。反応の終点は後述するガスクロマトグラフィーの測定により目的の生成物の量で確認を行う。
【0020】
本発明の製造法によると1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体は85%以上の収率で得られ、且つエピスルフィド誘導体等の副生成物や1,3−ジチオラン−2−オン等の異性体等の不純物の含量は10%以下となる。好ましくは、収率は90%以上であり、不純物の含量は7%以下である。収率及び不純物の含量の測定はガスクロマトグラフィー(GC)の全ピ−ク面積と各々の生成物のピ−ク面積の面積比から算出する。測定機器は島津製作所製GC−14B、使用カラムは島津製作所製キャピラリーカラムHR−1(0.53mmID×30mL、1.0μmdf)を使用する。分子量はガスクロマトグラフ質量分析機で測定した。測定機器は島津製作所製QP−1100EX、使用カラムは島津製作所製キャピラリーカラムHR−1(0.53mmID×30mL、1.0μmdf)を使用した。
1,3−オキソチオラン−2−チオン誘導体は、生理活性物質の中間体として有用な化合物であり、また求核試剤との反応性を利用して感光性樹脂や高分子の架橋剤として塗料、インキの分野でも利用されている。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部は重量部を表わす。
参考例1
撹拌機を付した反応容器に2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル(エポキシ当量186)を186部、二硫化炭素80部および臭化リチウム5部を仕込んで攪拌し、40℃に保ちながら6時間反応した。減圧下で、過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、5−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオン(D−1)が得られ、ガスクロマトグラフ質量分析機で測定した分子量は262であった。異性体として1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体(D−2)、副生成物としてエピスルフィド誘導体(D−3)が生成した。ガスクロマトグラフィーの面積から計算した収率は(D−1)が94.0%、(D−2)が2.4%、(D−3)が1.9%であった。
【0022】
参考例2
撹拌機を付した反応容器に1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(エポキシ当量155)155部、二硫化炭素80部および臭化リチウム5部を仕込んで攪拌し、40℃に保ちながら12時間反応した。減圧下で、過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、1,6−ジ(1,3−オキサチオラン−5−メトキシ−2−チオン)ヘキサン(D−4)が得られ、ガスクロマトグラフ質量分析機で測定した分子量は462であった。異性体として1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体(D−5)、副生成物としてエピスルフィド誘導体(D−6)が生成した。ガスクロマトグラフィーの面積から計算した収率は(D−4)が93.2%、(D−5)が3.0%、(D−6)が2.1%であった。
【0023】
実施例1
撹拌機を付した反応容器に2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル(エポキシ当量186)を186部、二硫化炭素80部、臭化リチウム5部および2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテルと二硫化炭素の反応物である4−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオン50部を仕込んで攪拌し、40℃に保ちながら6時間反応した。減圧下で、過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、5−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオン(D−1)が得られ、ガスクロマトグラフ質量分析機で測定した分子量は262であった。異性体として1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体(D−2)、副生成物としてエピスルフィド誘導体(D−3)が生成した。ガスクロマトグラフィーの面から計算した収率は(D−1)が97.1%、(D−2)が1.9%、(D−3)が0.6%であった。
【0024】
参考例3
撹拌機を付した反応容器にイソブチレンオキシド(エポキシ当量72)72部、二硫化炭素80部、塩化リチウム5部およびイソブチレンジオキシドと二硫化炭素の反応物である1,3−オキサチオラン−5,5−ジメチル−2−チオン50部を仕込んで攪拌し、40℃で12時間熟成した。減圧下で、過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、1,3−オキサチオラン−5,5−ジメチル−2−チオン(D−7)がえられ、ガスクロマトグラフ質量分析機で測定した分子量は148であった。異性体として1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体(D−8)、副生成物としてエピスルフィド誘導体(D−9)が生成した。ガスクロマトグラフィーの面積から計算した収率は(D−7)が96.1%、(D−8)が1.6%、(D−9)が0.8%であった。
【0025】
比較例1
撹拌機を付した反応容器に2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル(エポキシ当量186)を186部、二硫化炭素80部、テトラヒドロフラン200部および臭化リチウム5部を仕込んで攪拌し、40℃に保ちながら6時間反応した。減圧下で、過剰の二硫化炭素とテトラヒドロフランを留去した後、ろ過して、5−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオン(D−1)が得られ、ガスクロマトグラフ質量分析機で測定した分子量は262であった。異性体として1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体(D−2)、副生成物としてエピスルフィド誘導体(D−3)が生成した。ガスクロマトグラフィーの面積から計算した収率は(D−1)が82.4%、(D−2)が11.1%、(D−3)が3.1%であった。
【0026】
比較例2
撹拌機を付した反応容器にイソブチレンオキシド(エポキシ当量72)72部、二硫化炭素80部、テトラヒドロフラン200部および塩化リチウム5部を仕込んで攪拌し、40℃で20時間熟成した。減圧下で、過剰の二硫化炭素とテトラヒドロフランを留去した後、ろ過して、1,3−オキサチオラン−5,5−ジメチル−2−チオン(D−7)のみえられ、ガスクロマトグラフ質量分析機で測定した分子量は148であった。ガスクロマトグラフィーの面積から計算した収率は5.2%であった。異性体として1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体(D−8)および副生成物エピスルフィド誘導体(D−9)は生成しなかった。
実施例1、比較例1〜2、参考例1〜3の製造原料組成と得られた結果を表1に示した。本発明の製造方法によれば、1,3−オキソチオラン−2−チオン誘導体を高収率かつ高純度で得ることができることが明白である。
【0027】
【表1】
*実施例1および参考例3で添加した1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体50部を除外した値である。
【0028】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、穏和な反応条件において、1,3−オキソチオラン−2−チオン誘導体を高収率かつ高純度で得ることができる。また、溶剤を使用しないので工程が簡略化出来る。
Claims (4)
- 炭素数6〜8の脂肪族アルコールのグリシジルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物(A)と二硫化炭素を、アルカリ金属塩(B1)および/またはアルカリ土類金属塩(B2)の存在下、更に予め添加する、分子中に1個以上の1,3−オキサチオラン−2−チオン環を有する1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体(D)の存在下、且つ溶剤の非存在下で反応させることを特徴とする1,3−オキサチオラン−2−チオン誘導体(C)の製造法。
- (A)が、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよび1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルからなる群から選ばれるエポキシ化合物である請求項1記載の製造方法。
- (B1)および/または(B2)の量が、(A)のエポキシ基に対し0.01〜0.1倍当量である請求項1または2記載の製造法。
- (D)の量が、(A)1モルに対し0.1〜1.0モルである請求項1〜3のいずれか記載の製造法。
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