JP4108066B2 - 音響調整設備 - Google Patents
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Description
しかしながら、この様な各調整作業には、専門的な音響知識が必要な上、調整時間も掛かる。従って、音響知識の低い人がオペレーターを務めるような場合には、最小限度のボリューム調整のみを行っていることが少なくなく、音響調整設備が備えた機能をフルに発揮できていない場合が多い。
そこで、このような音信号発生機器の接続や、各チャンネル毎での音調整を、操作画面上でマウス等を操作して、比較的簡単に実施できるようにしたものが考えられつつある。
その一例としては、ユーザによる簡易なGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)操作の入力を基に、入力系統図(マイクからミキサまでの系統図)を作成できるようにしたもの(例えば、特許文献1参照)や、一度セッティングした各チャンネル毎のミキサー設定値を、そのままシーンメモリーに記憶できるようにして、それ以後に、同じセッティングでイベントを行う時に、記憶したシーンメモリーを読み出すことでミキサー設定を再現すると言ったものがあった(特許文献2参照)。
また、上述した従来の音響調整設備の後者のものによれば、調整したミキシングコンソールの各パラメータは、全体としてそのまま記憶できるものの、読み出して再現する際には、記憶時と同じ接続状態にしか適用できない。従って、入力系統や使用する音信号発生機器に変更があれば、読み出した各パラメータは実情と合わなくなるから、まったく役に立たなくなる危険性があり、この問題に対処するには、やはり、オペレータに専門的な音響知識が必要となり、誰でもが簡単には調整できない問題点がある。
更に詳しく説明すると、前記発生機器には、上述のように、マイクやCDやMDや、ダイレクトボックスからのライン入力となる電気楽器等、さまざまなものがあり、それぞれによって、入力レベルや、音の特性が異なっている。
従って、それら各発生機器の入力音を、ホール内等の空間でミキシングして違和感なく流すためには、入力レベルに関して言えば、大きいものは音割れして歪み易いから小さくし、小さいものは大きく調整することでバランスさせることが好ましい。また、音特性の一つである音質に関して言えば、高音域が強く出る機器の場合は高音域を抑える調整をしたり、低音域が強く出る機器の場合は低音域を抑える調整をしたりすることで、全体的に聞き易い状態の出力音にすることが可能である。
前記機器用データベースには、このような音調整手段の各調整用データを、各発生機器それぞれに対応させて記録しておくことができる。そして、第一割当手段によって、音調整手段の各入力部毎に接続する発生機器を選択して、音調整手段の該当するチャンネルに割り当てることができ、更には、各チャンネルに割り当てられた発生機器それぞれに対応する前記調整用データを、前記第一制御手段によって、機器用データベースから読み取って音調整手段の各チャンネルの音調整に反映させることができる。
その結果、オペレータは、音調整手段に接続する前記発生機器を、入力部毎に選択するだけの簡単な操作を行うだけで、その発生機器に相応しい状態に音調整手段が調整される。従って、音響調整作業そのものを、極めて簡単化することができながら、音響調整作業の品質は、専門の音響知識のあるオペレータが行うのと同じ状態に確保することが可能となる。また、実際に音響調整作業を行うオペレータが専門的な音響知識を備えている場合には、音響調整作業をより効率的に実施できるようになることは勿論である。何れにしても、ハイクォリティーな音響調整を、簡単に迅速に実施することができる。
更には、音響調整の対象となる催しにおいて、接続する前記発生機器の変更があったにしても、前記第一割当手段による発生機器の選択で該当する発生機器を選択し直せば、それに対応した調整が第一制御手段によって実施されるから、対応が迅速になり、例えば、先の〔背景技術〕で説明したような、シーンメモリーに音調整手段の全チャンネルの設定パラメータのみを記録しておき、それを読み込んで再現するような従来技術に比べて、即応性が向上する。
更に詳しく説明すると、前記対象者には、声の大きい人や小さい人、声の高さが高い人や低い人等、さまざまな人が居ることが考えられ、それぞれによって、入力レベルや、音質が異なっている。
従って、それら各対象の声を、ホール内等の空間でミキシングして違和感なく流すためには、入力レベルに関して言えば、大きい声は音割れして歪み易いから小さく調整し、小さいものは大きく調整することでバランスさせることが好ましい。また、音質に関して言えば、高音域が強い声は高音域を抑える調整をしたり、低音域が強い声の場合は低音域を抑える調整をしたりすることで、全体的に聞き易い状態に補正することが可能である。
前記対象者データベースには、このような音調整手段の各調整用データを、各対象者それぞれに対応させて記録しておくことができる。そして、第二割当手段によって、音調整手段の入力部に接続するマイク毎にそのマイクを使用する対象者を選択して、音調整手段の該当するチャンネルに割り当てることができ、更には、各チャンネルに割り当てられた対象者それぞれに対応する前記調整用データを、前記第二制御手段によって、対象者データベースから読み取って音調整手段の各チャンネルの音調整に反映させることができる。
その結果、オペレータは、音調整手段に接続するマイク毎に使用対象者を選択するだけの簡単な操作を行うだけで、その対象者に相応しい状態に音調整手段が調整される。従って、音響調整作業そのものを、極めて簡単化することができながら、音響調整作業の品質は、専門の音響知識のあるオペレータが行うのと同じ状態に確保することが可能となる。また、実際に音響調整作業を行うオペレータが専門的な音響知識を備えている場合には、音響調整作業をより効率的に実施できるようになることは勿論である。何れにしても、ハイクォリティーで使用対象者の声質にあった音響調整を、簡単に迅速に実施することができる。
更には、音響調整の対象となる催しにおいて、マイクを使用する対象者の変更があったにしても、前記第二割当手段による対象者の選択で該当する対象者を選択し直せば、それに対応した調整が第二制御手段によって実施されるから、対応が迅速になり、例えば、先の〔背景技術〕で説明したような、シーンメモリーに音調整手段の全チャンネルの設定パラメータのみを記録しておき、それを読み込んで再現するような従来技術に比べて、即応性が向上する。
ホールHは、ステージ1、客席2、ロビー3、音響調整室4等を備えて構成されている。そして、前記調整設備Sは、音響調整室4に設置されている。
そして、前記調整設備Sは、前記デジタルミキサーモジュール9とコンピュータ10とを備えて構成されており、この両者は、相互にデータを送受信自在に接続(例えば、USB接続)されており、コンピュータ10側から、デジタルミキサーモジュール9の各制御を実施出来るように構成されている。
因みに、音調整部12には、それぞれのチャンネル毎に、入力レベルを調整自在なトリム部や、入力音の音質を複数バンド毎に各別に調整自在な音質調整部や、エフェクタへのセンド量を調整自在なセンド調整部や、音量を調整自在な音量調整部や、チャンネルのオン・オフ切替自在な切替部等が備えられ、これらの操作は、前記コンピュータ10の操作画面上から前記デジタル制御部14を介してそれぞれ実施できるように構成されている。
前記コンピュータ10とデジタル制御部14とにおいて、特に、前記音量調整部の音量調整をコンピュータ10の操作画面上でのアイコン操作で実施可能に構成されたソフトウェア部分を音量調整操作手段20と言う(図3参照)。
因みに、前記調整用データD1の一例を示すと、前記トリム部や音質調整部のパラメータで構成してあり、例えば、発生機器Kがマイクの場合、入力レベルが他の発生機器K(CD・MDプレーヤ等)に比べて小さいから前記トリム部での入力レベルを大きくすると共に、音質調整部に対しては、当該ホールでのハウリングを生じ易い周波数域の音成分を下げると言った内容がパラメータとして設定される。
一方、前記調整用データD2の一例を示すと、前記音質調整部や音量調整部のパラメータで構成してあり、例えば、対象者Mが、声が低くて大きな男性である場合、音質調整部において低音域を少し下げると共に、前記音量調整部のレベルを少し下げると言った内容がパラメータとして設定される。
また、対象者Mの名前としては、当該整設備が、例えば、学校で使用されるような場合を例に挙げれば、「校長先生」や「教頭先生」や「山田○○先生」と言ったように具体的で解り易いものをデータとして打ち込んでおくことが好ましい。
コンピュータ10には、図3に示すように、データセクション10A、ソフトセクション10B、前記デジタルミキサーモジュール9を対象としてデータの送受信を行うインターフェース10C、データセクション10Aやソフトセクション10Bやインターフェース10Cの制御を行う制御部10Dとを備えて構成してある。
そして、データセクション10Aには、上述の、両データベースB1、B2が備えてある。
前記ソフトセクション10Bには、各種ソフトウェアが設けられており、前記入力部11毎に接続する前記発生機器Kを選択して前記音調整部12の任意のチャンネルに割当操作自在な第一割当手段15、及び、前記入力部11に接続する発生機器KがマイクK1である場合に、そのマイクK1を使用する対象者Mを選択して前記音調整部12の該当チャンネルに割当操作自在な第二割当手段16等のソフトウェアや、前記第一割当手段15によって各チャンネルに割り当てられた発生機器Kそれぞれに対応する前記調整用データD1を、前記機器用データベースB1から読み取って前記音調整部12の該当チャンネルの音調整に反映させる第一制御手段17、及び、第二割当手段16によって該当チャンネルに割り当てられた対象者Mそれぞれに対応する前記調整用データD2を、対象者データベースB2から読み取って前記音調整部12の該当チャンネルの音調整に反映させる第二制御手段18等のソフトウェアが設けられている。
更には、前記音量調整操作手段20が設けられていると共に、発生機器Kの指定操作や、第二割当手段16による前記対象者Mの指定操作を、操作画面上でのアイコン操作で実施できるように構成されたソフトウェアとして対象指定操作手段21が設けられている。
また、発生機器KとしてマイクK1が指定されている場合は、そのマイクK1を使用する対象者Mを、操作画面上のアイコン操作によって指定するだけで、それらの対象者M用の調整用データD2が対象者データベースB2からそれぞれデジタルミキサーモジュール9に読み込まれ、各チャンネルの音調整部12が自動的に前記調整用データD2のパラメータにセットされるから、オペレータに専門的な音響知識が無くても、予め設定された対象者M用のセッティングを、先のセッティングに追加して再現することができ、音響設備の仕込み作業の効率化と、音響設備を最良の状態で使いこなすこととが可能となる。
そして、催しが実施されている間に関しては、前記音量調整操作手段20によって、操作画面上に表示されたボリュームアイコンを状況に応じて上下させるだけで、より肌理の細かな音響調整を実施することができる(図4参照)。また、その際、ボリュームアイコンには、前記第二割当手段16で指定した対象者名(例えば、「校長先生」や「教頭先生」や「山田○○先生」等)が合わせて表示されるように前記音量調整操作手段20を構成してあれば、オペレータの誤操作を防止し易く、より使い易い音響調整設備とすることが可能となる。
この例によると、ステージ1の平面模式図f1や、発生機器Kのリストf2や、各チャンネルのボリュームフェーダf3等が表示され、そのステージ1上の任意の位置に、マウス操作で発生機器Kを配置して、チャンネルにアサインすることができる。そして、ボリュームフェーダf3を上下操作することで、チャンネルの音量調整をすることができる。
また、発生機器Kのプロパティーで、マイクK1に関しては、プルダウンメニューによって対象者Mを選択することも出来るように構成されている。
そして、図には示さないが、他にも、GUIとしての各種エディット画面が用意されており、コンピュータの表示画面上から、前記デジタルミキサーモジュール9の操作や、データの保存や読み込み等を実施できるように構成されている。
以下に他の実施の形態を説明する。
それらを総称して音響調整設備と言う。
〈2〉 前記機器用データベースB1に記録される音調整手段の調整用データD1は、先の実施形態で説明した前記トリム部や音質調整部のパラメータに限るものではなく、例えば、前記センド調整部や、前記音量調整部や、前記切替部等のパラメータであってもよい。
また、対象者データベースB2に記録される音調整手段の調整用データD2は、先の実施形態で説明した前記音質調整部や音量調整部のパラメータに限るものではなく、例えば、前記トリム部や、前記センド調整部や、前記切替部等のパラメータであってもよい。
11 入力部
12 音調整部(音調整手段に相当)
13 出力部
15 第一割当手段
16 第二割当手段
17 第一制御手段
18 第二制御手段
20 音量調整操作手段
21 対象指定操作手段
D1 調整用データ
D2 調整用データ
B1 機器用データベース
B2 対象者データベース
K 音信号発生機器(文中では単に発生機器と表現)
K1 マイク
M 対象者
Claims (3)
- 複数の音信号発生機器を各別に接続自在な複数の入力部と、前記入力部から入力された音信号を各別に調整自在な音調整手段と、前記音調整手段で調整された音信号をスピーカに出力自在な出力部とを備えた音響調整設備であって、
前記入力部に接続される前記音信号発生機器それぞれに対する前記音調整手段の調整用データを、前記各音信号発生機器毎に記録自在な機器用データベースが設けられ、前記入力部毎に接続する音信号発生機器を選択して前記音調整手段の任意のチャンネルに割当操作自在な第一割当手段が設けられ、第一割当手段によって各チャンネルに割り当てられた音信号発生機器それぞれに対応する前記調整用データを、前記機器用データベースから読み取って前記音調整手段の各チャンネルの音調整に反映させる第一制御手段が設けられ、前記音信号発生機器がマイクの場合、前記マイクを使用する対象者それぞれに対する前記音調整手段の調整用データを、前記対象者毎に記録自在な対象者データベースが設けられ、前記入力部に接続するマイク毎にそのマイクを使用する対象者を選択して前記音調整手段の任意のチャンネルに割当操作自在な第二割当手段が設けられ、第二割当手段によって各チャンネルに割り当てられた対象者それぞれに対応する前記調整用データを、対象者データベースから読み取って前記音調整手段の各チャンネルの音調整に反映させる第二制御手段が設けられている音響調整設備。 - 前記各入力部に接続する音信号発生機器、又は、マイクを使用する対象者の指定操作を、操作画面上でのアイコン操作で実施可能に構成された対象指定操作手段が設けられている請求項1に記載の音響調整設備。
- 前記音調整手段の各チャンネルに対応した音量調整操作を、操作画面上でのアイコン操作で実施可能に構成された音量調整操作手段が設けられている請求項1又は2に記載の音響調整設備。
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