JP4107182B2 - 非接触idタグ識別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷物の搬送ラインの途中に設置され、荷物に取り付けられた無線式非接触IDタグのデータの読取/書込装置であって、タグの読取り/書込み認識率を向上し、信頼性を改善した非接触IDタグ識別装置及びこれを用いた非接触IDタグ識別システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非接触ICカード(非接触IDタグ)を用いた読取/書込システムは、一般に非接触ICカードシステムと呼ばれ、例えば13.56MHzの周波数帯を利用した物流システム、航空貨物管理システム等々に実用化されつつある。
【0003】
一例として、(特許文献1)に記載された従来の非接触ICカードシステム(第1の従来例と言う)を図5に示す。なお、図5は従来の非接触ICカードシステムの説明図である。
【0004】
図5において、101は荷物、102は仕分け等のため荷物101を搬送する搬送ライン(ベルトコンベア等)である。搬送ライン102で搬送される全ての荷物101には、その荷物に関するデータ(製造業者名、行き先等)を記録した無線式非接触IDタグ103が取り付けられている。搬送ライン102の途中には無線式非接触IDタグ103のデータを読み取るための門形のアンテナ装置104が設置されている。アンテナ装置104にはループ状のアンテナが組み込まれている。このアンテナは読取/書込装置(図示せず)に接続されていて、搬送ライン102に向けて常に電波を放射している。荷物101がアンテナ装置104の中を通過すると、荷物101に取り付けられた無線式非接触IDタグ103がアンテナ装置104からの電力及び送信データを受信し、その電力で、記録されているデータを読み出して発信する。アンテナ装置104はこのデータを受信して読取/書込装置に送り、読取/書込装置がデータを読み取るようになっている。
【0005】
また、他の従来の非接触ICカードシステム(第2の従来例と言う)として、(特許文献2)に記載されており、これを図6に示している。図6は従来の非接触ICカードシステムの説明図である。なお、動作原理に関しては、いずれの従来例も同じである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−20649号公報
【特許文献2】
特開2002−279362号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら、第一、第二のいずれの従来例においても、搬送ラインの幅方向に対して1個のアンテナ、高さ方向に関して左右各1個のアンテナが配置され、計3個の搬送ラインの大きさに合わせて開口面積が1m2程度の大型のアンテナが用いられている。
【0008】
この場合何らかの原因、例えば外来ノイズ等により、適正な品質の信号が得られなかったことに起因する通信エラーが生じる事により、タグの読取り/書込み認識率が低下しタグの読取り/書込みに関して信頼性が低いという課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、高い信頼性を有する非接触IDタグ識別装置及びこれを用いた非接触IDタグ識別システムを提供する事を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の非接触IDタグ識別装置は、非接触IDタグに電磁誘導により電力と送信信号を供給し、前記非接触IDタグからの受信信号を負荷変動により取得するループアンテナを、矩形の筒状空洞体の上下面に配置したアンテナ群を設け、これを連接した構成とした。
【0011】
更に、本発明の非接触IDタグ識別システムは、荷物の搬送ラインの途中に設置され、荷物に取り付けられた無線式非接触IDタグを識別するために、小型ループアンテナを複数個、搬送ラインを囲むように行列状に配置し、個々のアンテナ群を時間的に交互に切り換えて複数個の読取/書込装置にてデータを取得することにより、搬送ラインにおける非接触IDタグ識別システムの認識率を向上し、信頼性を高めた構成としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、非接触IDタグに電磁誘導により電力と送信信号を供給し、非接触IDタグからの受信信号を負荷変動により取得するループアンテナを、矩形の筒状空洞体の上下面にそれぞれn個(n≧1)、左右面にそれぞれm個(m≧1)配置し、2×(n+m)個で構成したアンテナ群と、アンテナ群に接続した読取/書込装置と、読取/書込装置を制御する制御装置とを設け、アンテナ群をk列(k≧2)連接させて配置し、k列のアンテナ群にそれぞれ独立した読取/書込装置を接続し、k個の独立した読取/書込装置を時間的同期させ、対向する上下面内のループアンテナと左右面内のループアンテナとを、時間的に交互に切り換えることにより、上下面内にあるk×2×n個のループアンテナと左右面内にあるk×2×m個のループアンテナとを交互に駆動させることを特徴とする。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。なお、本発明における非接触ICタグの定義は、非接触で読取/書込装置との通信を行うことができる無線通信媒体である。よって、用途によっては非接触ICカードと呼ばれるものを含む。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別システムを示す斜視図であり、図1において、1は荷物、2は仕分け等のため荷物1を搬送する搬送ライン(ベルトコンベア等)、3はその荷物に関するデータ(製造業者名、行き先等)を記録した無線式の非接触IDタグ、4はアンテナシステム、5はループアンテナである。
【0026】
アンテナシステム4は、荷物1の搬送ライン2の途中に設置され、荷物1に取り付けられた非接触IDタグ3に電磁誘導により電力と送信信号を供給し、非接触IDタグ3からの受信信号を負荷変動により取得するループアンテナ5を、荷物1の搬送ライン2のコンベア進行方向に対して垂直な面の外周部に、各辺の長さがLx,Ly,Lzの矩形の筒状空洞体を設け、その上下面にそれぞれn個(n≧1)、左右面にそれぞれm個(m≧1)配置した構成のアンテナ群を設けこれを基本領域Aとしている。
【0027】
図1においては、一例としてn=2、m=2の場合を示している。この基本領域を荷物の搬送ライン2の進行方向に対して、k列(k≧2)設け、図1においては、一例としてk=3の場合を示し、基本領域A、基本領域B、基本領域Cからなる3つの領域を設けた構成としている。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別装置の斜視図であり、図2中、a11〜a14、b11〜b14は各々、矩形の筒状空洞体の上下面にそれぞれ2個計4個、左右面にそれぞれ2個計4個、基本領域A全体として計8個のループアンテナを配置した構成を示している。
【0029】
左右面に設けられたループアンテナa11〜a12、及びa13〜a14は、通信用のケーブル(同軸ケーブル等)7aにより、また上下面に設けられたループアンテナb11〜b12、及びb13〜b14は、通信用のケーブル(同軸ケーブル等)7bにより、読取/書込装置6に接続されている。
【0030】
読取/書込装置6はさらに制御装置8に接続されてデータの送受等のコントロールを受けている。
【0031】
そして、基本領域A内に配置した対向する上下面内の2×n個のループアンテナa11〜a14と、左右面内の2×m個のループアンテナb11〜b14とを、読取/書込装置6内に設けられた切り替えスイッチ(図示せず)にて、図4に示すアンテナ切り換えのタイミングチャートの領域A部に則り、時間的に交互に切り換えて電力供給のON、OFFを行い、磁界の発生の切り替えを行う。なお、図4は、本発明の実施の形態1によるアンテナ切り換えのタイミングチャートである。
【0032】
これにより、アンテナ群に囲まれた領域内においては、無線式非接触IDタグ3の正常な動作に必要な電力およびデータ信号が電磁誘導により充分供給される。また非接触IDタグ3からの受信信号を負荷変動により取得する場合もアンテナ群に囲まれているため良好に受信できる。
【0033】
また、図1で示した本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別システムでは、図2で示した基本領域Aを構成する非接触IDタグ識別装置の他、基本領域B、基本領域Cとで構成しているが、基本領域Aを構成する非接触IDタグ識別装置のみで構成してもよい。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別装置の斜視図であり、図1に記載の一例としてk=3の場合を示し、ループアンテナa11〜a14、b11〜b14から成る基本領域A、ループアンテナa21〜a24、b21〜b24から成る基本領域B、ループアンテナa31〜a34、b31〜b34から成る基本領域C、の3つの領域を設けた構成としている。
【0035】
この場合3個の基本領域A、B、Cにおのおの対応した、3個の独立した読取/書込装置6a、6b、6cを設けたことにより、非接触IDタグ3を添付した荷物1が、アンテナシステム4の搬送ライン2のコンベア進行方向の長さ(図1に示す)Ly内を通過する間に、k個(この場合3個)の基本領域を通過する事になり、3個の独立した読取/書込装置6a、6b、6cによりデータの送受が3回行われ、従来例の1個の読取/書込装置の1回の通信に対し、統計学上信頼性が向上する。
【0036】
更に、k個(この場合3個)の独立した読取/書込装置6a、6b、6cを図4に示すアンテナ切り換えのタイミングチャートの領域A部、領域B部、領域C部に則り、時間的同期して、一つの制御装置8にて制御するようにしたものである。これにより送信のタイミングと受信のタイミングとが個々の領域A部、領域B部、領域C部間で同期がとれ、非接触IDタグ3と読取/書込装置6a、6b、6cとの通信が可能となる。
【0037】
なお、図1で示した本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別システムでは、基本領域A、基本領域B、基本領域Cを構成する図3で示した非接触IDタグ識別装置を備えており、図2で示した一つの基本領域を構成する非接触IDタグ識別装置を設けることに比して、更に、高い信頼性を得ることができるのは言うまでもない。
【0038】
ここで、非接触IDタグ識別システムの優位性について説明する。即ち、k個の基本領域から成る搬送ラインを非接触IDタグが通過する時間内に、少なくともk回(この場合3回)、非接触IDタグと読取/書込装置が通信するようにした事により、統計学上信頼性が向上する。
【0039】
例えば、時間的に不変でない原因による通信エラー確立が、仮にα(%)であったとすると、通信をk回試行することにより、通信エラー確立は以下の(式1)に示される値となる。
【0040】
通信エラー確立=(α/100)^k (式1)
仮に、通信エラー確立が、2(%)であったとすると通信を3回試行することにより、(式1)より、通信エラー確立は0.023=8×10-6となり、通信エラー確立が8×10-4(%)に改善される。時間的に不変な原因、例えばタグの回路不良・故障等が無く、時間的に不変でない原因のみにより通信エラーが発生する。
【0041】
通信の信頼性が仮に98(%)のシステムに対して、本発明の非接触IDタグ識別装置の構成を適用した場合、1−(1−0.98)3=0.999992となり、99.999(%)の通信の信頼性をもつ非接触IDタグ識別システムが実現できる。
【0042】
なお、本実施の形態1では非接触IDタグ識別システムとして、物流システム、航空貨物管理システムで例示される、荷物に関するデータを記録した非接触IDタグを荷物に貼付し仕分けを行う例を示したが、本発明の非接触IDタグ識別装置は、個人認証、入場管理、物品管理等の他のシステムへの応用が可能であるのは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明により、読取/書込装置を時間的同期させ、対向する上下面内のループアンテナと左右面内のループアンテナとを、時間的に交互に切り換え、上下面内にあるk×2×n個のループアンテナと左右面内にあるk×2×m個のループアンテナとを交互に駆動させることにより、搬送ラインにおける非接触IDタグ識別システムの認識率を向上し、信頼性を高めるこができる。
【0044】
よって、本発明により、高い信頼性を有する非接触IDタグ識別装置及びこれを用いた非接触IDタグ識別システムを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別システムを示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別装置の斜視図
【図3】本発明の実施の形態1による非接触IDタグ識別装置の斜視図
【図4】本発明の実施の形態1によるアンテナ切り換えのタイミングチャート
【図5】従来の非接触ICカードシステムの説明図
【図6】従来の非接触ICカードシステムの説明図
【符号の説明】
1 荷物
2 搬送ライン
3 非接触IDタグ
4 アンテナシステム
5 ループアンテナ
6 読取/書込装置
7a,7b 通信用のケーブル
8 制御装置

Claims (1)

  1. 非接触IDタグに電磁誘導により電力と送信信号を供給し、前記非接触IDタグからの受信信号を負荷変動により取得するループアンテナを、矩形の筒状空洞体の上下面にそれぞれn個(n≧1)、左右面にそれぞれm個(m≧1)配置し、2×(n+m)個で構成したアンテナ群と、前記アンテナ群に接続した読取/書込装置と、前記読取/書込装置を制御する制御装置とを設け、前記アンテナ群をk列(k≧2)連接させて配置し、k列の前記アンテナ群にそれぞれ独立した前記読取/書込装置を接続し、前記制御装置はk個の独立した前記読取/書込装置を時間的同期させ、対向する上下面内の前記ループアンテナと左右面内の前記ループアンテナとを、時間的に交互に切り換えることにより、上下面内にあるk×2×n個の前記ループアンテナと左右面内にあるk×2×m個の前記ループアンテナとを交互に駆動させることを特徴とする非接触IDタグ識別装置。
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