JP4106154B2 - 光パルス発生器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光増幅媒体としての光ファイバを含んで構成されたリングレーザを用いて光パルスを発生する光パルス発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光パルス発生器を光線路の伝送損失を測定するOTDR(Optical Time Domain Reflectmetry)測定装置の光源として用いた場合、光源から出力される光パルスの性能として、長距離まで測定可能であることと、距離分解能が高精度であることが要求される。測定可能距離を拡大するためにはパルス幅の広い高出力の光パルスが必要であり、また、距離分解能を向上させるためには狭いパルス幅の光パルスが必要となる。
【0003】
従来から、光増幅媒体としての光ファイバを用いて光ループを形成した光ファイバリングレーザによって所定の光パルスを発生させる光パルス発生器が知られている。例えば、特開平6−249750号公報にはQスイッチリングレーザと光スイッチ等を組み合わせた光パルス発生器が開示されている。
【0004】
図12は、特開平6−249750号公報に開示された従来の光パルス発生器の構成を示す図である。図12に示す光パルス発生器900は、光ファイバ111、励起光源112、光合波器113、光増幅媒体114、光スイッチ115、光分岐器116および光アイソレータ117によって構成されるQスイッチリングレーザと、光分岐器116によって分岐された光パルスを整形して光パルス発生器900の出力とする光スイッチ118とを含んで構成されている。このQスイッチリングレーザは、光ファイバ111、励起光源112、光合波器113、光増幅媒体114、光スイッチ115、光分岐器116および光アイソレータ117をリング状に接続して光ループを形成し、励起光源112から出射された光を光合波器113を介して光増幅媒体114に導く構成を有している。
【0005】
光増幅媒体114は、希土類元素が添加された光ファイバで構成されており、光合波器113の出力光によって励起される。例えば、希土類元素としてエルビウム(Er)を用いる場合には、励起光源112として、1.48μmの波長の光を用いることによって、光増幅媒体114が励起される。光スイッチ115は、タイミング発生器131から出力される同期信号に応じて動作し、一定時間オンとなって、その他の時間はオフとなる。その損失は、オンのときは2dBであり、オフのときは60dB以上でほぼ完全遮断状態になる。光スイッチ115をオフ状態にして光増幅媒体114が励起光により励起された状態で、光スイッチ115を所定周期で所定時間オン状態にして正帰還系を構成すると、励起されたエネルギーが光信号としてループ内を周回する。ループを周回する光は、光増幅媒体114内部で正帰還増幅されるため、1周回する毎に強度が増加し、ある時間経過してピークに達した後に、光増幅媒体114内に蓄積されたエネルギーの減少とともに減衰する。
【0006】
図13は、光スイッチ115、118の動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。図13(a)は光スイッチ115のオンオフタイミングを、図13(b)は光分岐器116の第2の出力端子Bから出力される光波形を、図13(c)は光スイッチ118のオンオフタイミングを、図13(d)は光スイッチ118から出力される光パルス波形をそれぞれ示している。図13(b)に示すように、光分岐器116の第2の出力端子Bから出力される光パルスにおいて、ピークパワーP0 をもつパルスのパルス幅(T8 −T0 )は、Qスイッチリングレーザを発振光が一周回する時間TR に相当する。そのため、リング長を変えることにより、任意のパルス幅を設定することができる。なお、光スイッチ115のオンオフ時間間隔は、Qスイッチリングレーザのリング長および光増幅媒体114の効率に応じて適宜設定される。
【0007】
Qスイッチリングレーザにおいて光分岐器116から分岐出力される光パルスは、図13(b)に示すようにピークパワーP0 をもつパルスを中心に、ピークパワーP1 〜P14のサイドローブが存在する。この状態の光パルスを光パルス発生器900の出力として取り出して光パルス試験を行うと距離分解能が低下する。このため、光スイッチ118を用いて、Qスイッチリングレーザから分岐出力される光パルスをそのピーク位置を中心にして波形整形する。この光スイッチ118は、Qスイッチリングレーザ内を周回する光パルスがピークとなるタイミングでオンとなるようにタイミング制御がなされる。これにより、光パルス発生器900からは、矩形形状を有する単一の光パルスを出力することができる。
【0008】
図14は、特開平6−249750号公報に開示された他の従来の光パルス発生器の構成を示す図である。図14に示す光パルス発生器910は、光ファイバ111、励起光源112、光合波器113、光増幅媒体114、1×2光スイッチとして用いる音響光学スイッチ121および光アイソレータ117により構成されるQスイッチリングレーザと、音響光学スイッチ121の0次側出力端子から取り出された光パルスを整形して光パルス発生器910の出力とする光スイッチ118とを有する。
【0009】
このQスイッチリングレーザは、光ファイバ111を介して、光合波器113、光増幅媒体114、音響光学スイッチ121の1次側出力端および光アイソレータ117をリング状に接続して光ループを形成し、励起光源112から出射された光を光合波器113を介して光増幅媒体114に導く構成を有している。音響光学スイッチ121は、タイミング発生器132から出力される同期信号に応じて動作し、一定時間オンとなってその他の時間はオフとなる。光増幅媒体114が励起光により励起された状態で、音響光学スイッチ121を所定周期で所定時間だけオンにするQスイッチ動作をさせると、Qスイッチリングレーザとして所定の波長でパルス発振する。その光パルス波形は、図13に示したものと同じである。但し、音響光学スイッチ121は、オンのときに0次側出力端子から出力される光パルスの損失は7dBであり、出力光パルスのピークパワーは図12に示した光パルス発生器900の約半分になる。
【0010】
図15は、音響光学スイッチ121の0次側出力端子から分岐出力される光波形を示す図である。図15に示すように、光パルスのピークパワーに対応する時点T0 で、音響光学スイッチ121をオフにして光パルスを取り出せば、出力時の損失は3dBに抑えることができる。また、光スイッチ118を用いて、Qスイッチリングレーザから分岐出力される光パルスをそのピークを中心に整形する。このように、音響光学スイッチ121を用いた場合でも、高出力光パルスを発生させることができる。なお、この光パルスのパルス幅は、Qスイッチリングレーザを発振光が一周回する時間に相当するので、リング長を変えることにより容易に任意のパルス幅を設定することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の光パルス発生器900、910には、以下に示す問題があった。
【0012】
(1)従来の光パルス発生器900、910においては、出力される光パルスのパルス幅は、Qスイッチリングレーザを発振光が一周回する時間に相当する。このため、例えばリング長が20mであれば100ns、100mでも500nsと比較的パルス幅が小さく、この光パルス発生器900、910をOTDR測定に用いた場合には、100km程度の長距離の被測定ファイバを測定するために必要とされる数μsのパルス幅を得るには数百m〜数kmのリング長が必要となってシステムが大きくなるとともに、発振を開始してから光パルスが出力されるまでに時間がかかるという問題があった。例えば、リング長20mで光パルスが出力されるまでに6μsかかる場合には、リング長が800mになると光パルスが出力されるまでに240μsを要することになる。光パルスが出力されるまでに要する時間が長くなるということは、特に繰返し測定により加算平均を行う際のスループットに影響する。
【0013】
(2)従来の光パルス発生器900、910のように光パルスの切り出しをQスイッチリングレーザ内の発振ピークに合わせたタイミングで行うと、希土類元素が添加された光ファイバが飽和し、方形波に近い綺麗な矩形パルスが得られないという問題があった。例えば、Qスイッチリングレーザのリング長が比較的長い場合、光パルス発生器900の光分岐器116から分岐出力される光パルスを図16に示す。図16において、ピークP0 のパワーは約1.0Wであり、ピークP0 とピークP2 の間隔から、Qスイッチリングレーザを発振光が一周回する時間がTR が740nsで、リング長が148mであることがわかる。光スイッチ118を用い、ピークP0 を中心にT0 からT1 までの740nsの幅で光パルスを切り出すと、出力される光パルスは図16のピークP0 近傍の歪んだ矩形パルスとなり、光パルスの半値幅PWHAは100nsにしかならないことがわかる。出力光パルスのパワーの変化をP(t)=Pp ・exp(−α(t−T0 ))で近似し(α=−(ln0.5)/PWHM)、この光パルスのエネルギーEaをピークパワーPp 、パルス幅PW=740nsの方形波のエネルギーEbと比較すると、両者の比は、
で表される。図16に示した例では、歪んだ矩形波のエネルギーは方形波の1/5以下となり、ピークパワー200mW、パルス幅740nsの方形波光パルスのエネルギーに及ばないことがわかる。このように、歪んだ形状を有する光パルスは、ピークパワーが十分でも実効的なパルス幅は狭くなるので、光パルスのエネルギーが十分でなく、方形波光パルスに比べるとOTDR測定において大きなダイナミックレンジが得られない欠点がある。また、歪んだ光パルスの先端の高出力パワーにより、光パルス発生器およびOTDR測定器等の光学部品に損傷を与えたり、人体へ障害をもたらすおそれがあるなどの問題があった。
【0014】
(3)従来の光パルス発生器900、910では、希土類元素が添加された光ファイバを用いたQスイッチリングレーザのリング内に光フィルタを追加して発振波長を変えると、希土類元素が添加された光ファイバの利得の波長依存性等の特性上、励起パワー等の条件が一定であっても光パルスのピークパワーが大きく変化するという問題があった。図17に、光パルス発生器910のリング内に光フィルタを挿入し、発振波長を1530nmから1565nmまで変化させた場合のピークパワーの変化を示す。リングのループ長は160m、出力光パルス幅は500ns、音響光学スイッチ121のオン時間は3.70μsである。発振波長領域内(1530nm〜1565nm)で励起光源112の出カパワーは一定であり、光フィルタ、光スイッチ118、音響光学スイッチ121、光アイソレータ117の損失ははぼ一定である。このピークパワーの波長依存性は、光増幅媒体114の自然放出(ASE)光の波長依存性および利得の波長依存性に起因することがわかっている。この例では、1530nm〜1565nmの範囲で25dB以上のピークパワーの変化が観測された。波長を変えてOTDR測定を行う際にピークパワーの大きな変化は、ダイナミックレンジや測定可能距離範囲に大きな変化をもたらすことになる。
【0015】
希士類元素が添加された光ファイバを用いたQスイッチリングレーザでは、励起エネルギーを大きくすることによって、ピークパワーで100W、エネルギーで1μJを越える十分な光パルスを発生できることが報告されている。OTDR測定では、被測定光ファイバや被測定システム上の制約により、被測定光ファイバに入力できる光パルスのピークパワーは、+30dBm(1W)以下であり、パワーをこれ以上大きくすることはできない。OTDR測定で高ダイナミックレンジを達成するためには、高エネルギー光パルスが必要であり、ピークパワーだけでなく、光パルスの波形やパルス幅も重要な要素である。
【0016】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的はシステムが小さく、発振を開始してから光パルスが出力されるまでに要する時間を短くすることができる光パルス発生器を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、方形波に近い光パルスを得ることができる光パルス発生器を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ピークパワーの波長依存性を抑制した光パルス発生器を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の光パルス発生器は、リングレーザによって構成される光ループ内に減衰手段を挿入し、この光ループを周回する光の減衰量を制御しており、光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーを調整して、方形波に近い波形を有する光パルスを得ることができる。
【0019】
また、制御対象となる減衰量に関する情報をあらかじめ記憶手段に記憶しておいて、これを減衰量制御手段によって読み出して減衰手段の減衰量の制御を光増幅媒体の利得変化を打ち消すように行うことが望ましい。減衰手段を用いない状態で光を周回させたときの減衰特性をあらかじめ測定しておいて、この減衰特性の変動を打ち消すような減衰量の情報を記憶手段に記憶しておくことにより、この情報に基づいて減衰手段の減衰量を設定するだけで容易にパワーが一定に制御された光パルスを得ることができる。
【0020】
特に、光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーが、リングレーザを1周回する時間よりも長い時間において一定となるように減衰手段における減衰量を制御することにより、大きなパルス幅を有し、その全域にわたって方形波に近い波形を有する光パルスを得ることが容易となる。しかも、光パルスのパルス幅を大きくするためにリングレーザのリング長(光ループ長)を長くする必要がないため、リングレーザの大きさを小さくすることができ、光パルス発生器のシステム構成を小型化することができる。また、短いリング長のリングレーザを用いることができるため、リング長が長いリングレーザを用いる場合に比べると、同じ光の周回数を実現するまでの時間が短縮され、所望のパワーを有する光パルスが出力されるまでの時間を短くすることができる。
【0021】
また、光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーが、リングレーザを1周回する時間と同じ時間、あるいはこれより短い時間において一定となるように減衰手段における減衰量を制御するようにしてもよい。この場合には、小さなパルス幅を有し、その全域にわたって方形波に近い波形を有する光パルスを得ることができる。
【0022】
また、所定の波長成分を通過させる光フィルタが光ループ内に含まれている場合、光フィルタを通過させた所定の波長成分の光パルスについて光増幅媒体の利得変化を打ち消すように減衰手段の減衰量を制御することが望ましい。光パルス出力手段から出力される光パルスの波長を切り替えた場合であっても、一定のパワーの有する光パルスを得ることができ、ピークパワーの波長依存性を抑制することができる。
【0023】
また、光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーを検出手段によって検出する場合に、この検出された光パルスのパワーが一定になるように減衰手段の減衰量を制御することが望ましい。経時変化や温度変化によって、出力される光パルスのパワーが変動する場合があるが、このパワーの変動の状態に応じて減衰手段の減衰量を制御することにより、経時変化や温度変化によってパワーが変化しない安定した光パルスを得ることができる。
【0024】
また、上述した減衰手段は音響光学変調器によって構成することが望ましい。音響光学変調器は、入力する高周波駆動信号のパワーを可変することにより変調度が変化するため、これを用いてリングレーザを構成することにより、リングレーザの光ループを周回する光の減衰量を制御することが可能となる。また、音響光学変調器の1次光出力端子から出力される光を減衰させながら光ループを介して光増幅媒体の入力側に帰還させるとともに、0次光出力端子から出力される光を光ループの外部に出力することが望ましい。入力端子と1次光出力端子とが光ループに含まれるように音響光学変調器を接続することにより、この音響光学変調器を減衰手段および光スイッチング手段として用いることができるため、これらの手段に対応する部品を別々に備える場合に比べて、部品点数の低減によるシステム構成の簡素化が可能になる。しかも、0次光出力端子から光パルスを光ループの外部に出力することにより、光ループを周回する光を分岐する分岐手段としてこの音響光学変調器を用いることができるため、別に光分岐器を備える場合に比べてさらなる部品点数の低減が可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の光パルス発生器について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
〔第1の実施形態〕
本発明を適用した第1の実施形態の光パルス発生器は、Qスイッチリングレーザを構成するリング内のAOM(音響光学変調器)の損失量を制御することによって、波形歪みの少ない方形波に近い光パルスを出力することに特徴がある。
【0027】
図1は、第1の実施形態の光パルス発生器の構成を示す図である。図1に示す光パルス発生器10は、光ファイバ11、励起光源12、波長多重光合波器13、光増幅媒体14、AOM19、光アイソレータ17、光スイッチ18、タイミング発生器31、変調度制御器32、AOM駆動回路33、記憶装置34を含んで構成されている。
【0028】
光増幅媒体14は、希土類元素が添加された光ファイバで構成されており、励起光源12から出力される所定波長の励起光によって励起される。添加される希土類元素としてエルビウム(Er)を用いる場合には、励起光源12として、1.48μmの波長の半導体レーザを用いることによって、光増幅媒体14が励起される。
【0029】
波長多重光合波器13は、2つの入力端子を有し、励起光源12の出力端が一方の入力端子に接続されており、励起光源12から出力される光が光増幅媒体14に導かれる。
【0030】
AOM19は、1次光出力端子と0次光出力端子とを有しており、AOM駆励回路33に接続された変調度制御器32の制御によって、光増幅媒体14から入射された光を変調および減衰させて1次光出力端子から出力するとともに、この入射された光の一部を0次光出力端子から出力する。オフ状態(最大減衰時)のAOM19の入力端子と1次光出力端子との間のアイソレーションは通常60dB以上であり、ほぼ完全に遮断状態となる。また、オン状態(最小減衰時)のAOM19の入力端子と1次光出力端子との間の損失は、通常10dB以下となる。また、AOM19の入力端子と0次光出力端子との間の損失は、入力端子と1次光出力端子との間がオン状態(最小減衰時)のときに約7dB、オフ状態(最大減衰時)のときに約3dBとなる。
【0031】
光アイソレータ17は、2つの端子を有しており、一方の端子から他方の端子へは光を通すが、その反対方向の光は遮断する。逆向きの光が存在すると、光増幅媒体14による光増幅動作が妨げられるため、光アイソレータ17によってこの反対方向の光が除去される。この光アイソレータ17を通すことにより、AOM19の1次光出力端子から出力された光が波長多重光合波器13の他方の入力端子側に導かれる。
【0032】
光スイッチ18は、AOM19の0次光出力端子から出力される光が入射され、オン状態のときにこの入射された光を出力し、オフ状態のときには入射された光を遮断する。
【0033】
タイミング発生器31は、所定のタイミング制御信号を変調度制御器32および光スイッチ18に出力することにより、AOM19の変調度の変更タイミングと光スイッチ18のオンオフタイミングとを制御する。変調度制御器32は、タイミング発生器31からタイミング制御信号が出力されると、予め記憶装置34に記憶されていた変調度制御データに基づいて、AOM駆動回路33の高周波出カパワーを増減させる。この変調度制御データは、AOM19の減衰量に関する情報であり、AOM19を最小減衰となる状態でQスイッチリングレーザの光ループを光が周回した場合の光ループの利得をあらかじめ測定しておいて、これを打ち消すような減衰量の制御情報が設定されている。AOM駆動回路33の高周波出力パワーが大きいときはAOM19の回折効率が上がり、AOM19の入力端子と1次光出力端子との間の損失が減少する。逆に、AOM駆動回路33の高周波出力が小さいときはAOM19の回折効率が下がり、AOM19の入力端子と1次光出力端子との間の損失が増大する。このようにして、AOM19の1次光出力端子から出力される光の強度を時間的に制御することができる。
【0034】
図1に示した光パルス発生器10では、光ファイバ11、波長多重光合波器13、光増幅媒体14、AOM19、光アイソレータ17によってリング状の光ループが形成される。この光ループと励起光源12とが組み合わされて光ファイバリングレーザが構成される。励起光源12から出力され、波長多重光合波器13を介して光ループ内に入力される所定の光によって光増幅媒体14が励起される。この状態で、AOM19を所定周期で所定時間オン状態にすると、光増幅媒体14の出力側から出射された自然放出光は、AOM19の0次光出力端子によって一部が分岐出力されつつ、1次光出力端子を通り、さらに光アイソレータ17、波長多重光合波器13を通って光増幅媒体14の入力側に戻る正帰還系が構成される。これにより、光増幅媒体14に励起・蓄積されたエネルギーが光信号としてループ内を周回する。光が周回するたびに光増幅媒体14に蓄積されたエネルギーが光に変換されて減少するが、そのエネルギーの減少の度合いが残っているエネルギーに比べ十分小さい間は、光増幅媒体14の利得はほぼ一定で飽和の起こらないリニア領域とみなすことができる。光増幅媒体14の利得が一定であれば、リング内に挿入されたAOM19の減衰量を変化させてリング内の光の帰還量を制御することによって、AOM19の0次光出力端子から出力される光パルスの波形やピークパワーを容易に制御することができる。さらに、光増幅媒体14の利得が変化する場合でも、AOM19の減衰量を光増幅媒体14の利得変化を打ち消すように詳細に制御することによって、同等の効果が得られる。
【0035】
上述したAOM19が光スイッチング手段、減衰手段に、光スイッチ18、AOM19が光パルス出力手段に、変調度制御器32、AOM駆動回路33が減衰量制御手段に、記憶装置34が記憶手段にそれぞれ対応する。
【0036】
次に、本実施形態の光パルス発生器10の動作について説明する。図2は、AOM19および光スイッチ18の動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。図2(a)はAOM19の減衰量を調整することで制御されるリング内の全損失量ΣLiのタイミング波形を、図2(b)はAOM19の0次光出力端子から出力される光波形をそれぞれ対数表示したものである。また、図2(c)は光スイッチ18のオンオフタイミングを、図2(d)は光スイッチ18から出力される光パルス波形をそれぞれ示している。ここでは、光増幅媒体14の利得が常に一定であるものとして説明する。
【0037】
図2(a)に示すように、光増幅媒体14の出力側から自然放出光(PASE )が出射された状態において、AOM19が最大減衰(オフ)状態から最小減衰(オン)状態に変わると、AOM19の0次光出力端子から図2(b)に示すP3 のパワーに相当する光が分岐出力される。AOM19の最小減衰(オン)状態における入力端子と0次光出力端子との間の損失をLjとすると、P3 は、
P3 [dBm]=PASE [dBm]−Lj[dB]
となる。リング内を光が1〜2周回する間は、リング内の全損失ΣLiはLmin で一定であるから、光増幅媒体14の一定の利得をG0とすると、2周期目、3周期目にAOM19の0次光出力端子から分岐出力される光のパワーP2 、P1 は、
となる。リング内を光が3周回する間、リング内の全損失ΣLiはL1であるから、4周期目にAOM19の0次光出力端子から分岐出力される光のパワーP0 は、
となる。P3 〜P0 の右辺はリング内の全損失ΣLi(L1、Lmin )の項以外は一定値であるから、AOM19の減衰量の制御をリング長に相当する時間の周期で行うことによって、AOM19の0次光出力端子から分岐出力される光は、きれいな階段状にパワーが増加し、4周回目で所望する一定の出カパワーP0 に到達する。5周回目以降は、リング内の全損失L0を光増幅媒体14の利得G0と等しく、すなわちリング全体の総利得を1とすることによって、一定のパワーP0 で所望のパルス幅の光パルスが得られる。このような光パルスを得るために必要なAOM19の制御データは、予め測定しておいて、記憶装置34に記憶しておくことが望ましい。この制御データを記憶装置34から読み出すだけで、AOM19のオンオフ動作を制御することができるため、制御が容易となる。
【0038】
なお、AOM19は、図2にVIIIで示す期間に最大損失になって、それ以後にリング内を周回する光は減衰するが、最大損失になる直前の光がリングを1周回してAOM19の0次出力からパワーP0 の光パルスとして出力されるため、0次光出力端子から出力される光パルスの減衰はAOM19の損失変化から1周期分遅れる。
【0039】
AOM19から分岐出力された図2(b)に示す光パルスを、図2(c)に示すタイミングで光スイッチ18によって切り出して整形することにより、図2(d)に示されるようなリング長に相当するより大きなパルス幅でパワーが一定(Pout )の方形波に近い光パルスを出力することができる。
【0040】
どれだけのパワーでどれだけの周回数まで一定のパワーが保持できるかは、励起光源12がどれだけ光増幅媒体14を励起でき、その励起されたエネルギーを光増幅媒体14が光に変換できるかに依存する。よって、励起光源12に高出力のもの、光増幅媒体14に変換効率の高いものを用いることによって、高エネルギー化は容易に可能である。
【0041】
図3は、図1に示した光パルス発生器10を用いて実際に得られた光波形の一例を示す図である。ここでは、リング長50mのときにリングを光が一周する時間が250nsであり、リング4周回分の1μsでピークパワー200mWの方形波に近い光パルスが得られている。
【0042】
さらに、報告されているような1μJを越えるエネルギーの光パルスを発生する能力のあるQスイッチリングレーザで構成された光パルス発生器10を用いれば、パワーが1Wで一定であって、パルス幅1μs以上の方形波に近い光パルスを得ることもできる。
【0043】
このように、本実施形態の光パルス発生器10は、AOM19を駆動するために用いられるAOM駆動回路33の高周波出力のパワーを調整してAOM19を介して周回する光の減衰量を制御することにより、AOM19の0次光出力端子から出力されて光スイッチ18を介して取り出される光パルスの波形を整形しており、方形波に近い光パルスを得ることができる。また、光スイッチ18から出力される光パルスの波形整形を、光ファイバリングレーザのリング内を光が複数回周回する時間にわたって行うことにより、光がリングを1周回する時間よりも長いパルス幅を有する光パルスを容易に得ることができる。
【0044】
次に、光増幅媒体14の利得が変化する場合に、AOM19の減衰量を光増幅媒体14の利得変化を打ち消すように調整する光パルス発生器10の他の動作について説明する。
【0045】
図4は、AOM19および光スイッチ18の動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。図4(a)はAOM19の減衰量を調整することで制御されるリング内の全損失量ΣLiのタイミング波形を、図4(b)はAOM19の0次光出力端子から出力される光波形をそれぞれ対数表示したものである。また、図4(c)は光スイッチ18のオンオフタイミングを、図4(d)は光スイッチ18から出力される光パルス波形をそれぞれ示している。
【0046】
図4(a)に示すように、AOM19が最大減衰(オフ)状態から最小減衰(オン)状態に変わると、光増幅媒体14の出力側から出射した自然放出光は、AOM19の0次光出力端子からその一部が図4(b)に示すパワーP6 の光パルスとして分岐出力されつつ、1次光出力端子から出力され、さらに光アイソレータ17、波長多重光合波器13を通って光増幅媒体14の入力側に戻る正帰還系が構成される。これにより、光増幅媒体14に励起・蓄積されたエネルギーが光信号としてループ内を周回する。光増幅媒体14に蓄積されたエネルギーは、光が周回するたびに光に変換されて一部がパワーP5 、P4 、P3 、…、P0 の光としてAOM19の0次光出力端子から出力されるため、次第に減少する。そのエネルギーの減少の度合いが、光増幅媒体14に残っているエネルギーに比べ十分小さい間は、光増幅媒体14の利得はほぼ一定であるが、出力される光エネルギーが大きくなれば、光増幅媒体14の利得が徐々に減少する。それにより、オン状態で全くリング内の損失を制御しないQスイッチリングレーザーから出力される光波形は、きれいな階段状ではなく、図15や図16に示したような指数関数的に減衰する波形となる。
【0047】
図4(a)に示すように、光増幅媒体14の利得の変化を打ち消すようにAOM19の減衰量を調整することにより、周回ごとのリング内の損失をほぼ一定に制御することができるため、図4(b)に示すようなきれいな階段状の光出力を得ることができる。例えば、VIIで示す期間内の光増幅媒体14の利得の変化をG(t)=G0 ・exp(−α(t−t0 ))とする。ここで、t0 は期間VIIの開始時間、αは光増幅媒体14の利得減衰定数である。この利得の変化を打ち消すには、期間VIのAOM19の減衰量の制御をL(t)=L1 ・exp(−α(t−t0 −TR ))のように行えばよい。これらの制御データは、前もって測定しておいて、記憶装置34に記憶しておく。その後、光スイッチ18を用いて、図4(b)の光波形を所望のパルス幅で切り出して整形すればよい。
【0048】
このように、図1に示した光パルス発生器10は、リング長に相当するより長いパルス幅を有するほぼ方形波の光パルスを得るだけでなく、リング長に相当する、あるいはこれよりも短いパルス幅を有するほぼ方形波の光パルスを出力することができる。
【0049】
〔第2の実施形態〕
Qスイッチリングレーザにおいて、光増幅媒体14の利得がほぼ一定で飽和の起こらないリニア領域であっても、リングに光フィルタを挿入し、発振波長を変化させると、光増幅媒体14の特性上、光増幅媒体14の自然放出光のパワーおよび利得が変化する。これらの変化をAOM19の減衰量を調整してキャンセルすることによって、広い波長範囲でパワーが一定で方形波に近い光パルスを発生することができる。
【0050】
図5は、本発明を適用した第2の実施形態の光パルス発生器110の構成を示す図である。図5に示す光パルス発生器110は、光ファイバ11、励起光源12、波長多重光合波器13、光増幅媒体14、光フィルタ16、AOM19、光アイソレータ17、光スイッチ18、タイミング発生器31、変調度制御器32、AOM駆動回路33、記憶装置34を含んで構成されている。この光パルス発生器110は、図1に示した光パルス発生器10のリング内に光フィルタ16を挿入したものであり、その他の構成は基本的に同じである。光フィルタ16は、光増幅媒体14から出力される光が入力されており、所定の波長成分を通過させる。
【0051】
図6は、図5に示した光パルス発生器110におけるAOM19および光スイッチ18の動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。図6(a)はAOM19の減衰量を調整することで制御されるリング内の全損失量ΣLiのタイミング波形を、図6(b)はAOM19の0次光出力端子から出力される光波形をそれぞれ対数表示したものである。また、図6(c)は光スイッチ18のオンオフタイミングを、図6(d)は光スイッチ18から出力される光パルス波形をそれぞれ示している。
【0052】
本実施形態の光パルス発生器110においては、発振波長を変えたことによって光増幅媒体14の自然放出光のパワーおよび利得が変化する場合に、AOM19の減衰量を調整することによってリング内の全損失量ΣLiを波長ごとに変えて、AOM19の0次光出力の変化を打ち消している。
【0053】
まず、図6(a)に示すリング内の全損失量L14を、図に示すようなタイミングで波長ごとに変えることにより、5周回目の出カパワーを所望の一定値P10に保つ。6周回以降は、波長ごとに変わる光増幅媒体14の利得をリング内の全損失L10でキャンセルしてリング全体の総合利得を1とすることで、図6(b)に示すように、出カパワーを一定値P10に保持する。AOM19の波長ごとの減衰量の制御データは、予め測定して求めておいて、記憶装置34に記憶しておくとよい。
【0054】
また、AOM19の0次光出力端子から出力される光パルスを、光スイッチ18によって図6(c)に示すようなタイミングで切り出して整形することにより、図6(d)に示されるようなリング長に相当するより大きなパルス幅を有し、発振波長によらずパワーが一定(Pout )であるほぼ方形波の光パルスを出力することができる。
【0055】
図7は、本実施形態の光パルス発生器110に含まれるAOM19の減衰量と波長との関係を示す図であり、波長を変えても出カパワーを一定に保つ目的でリング内の全損失量L14を制御するために用いられるAOM19の減衰量の波長依存性が示されている。AOM19の減衰量に図7に示すような波長依存性を持たせるために必要な減衰量制御データを予め記憶装置34に記憶しておくことにより、光フィルタ16を通過させる波長を変えて発振波長を変更したときに、AOM19の減衰量がこの変更後の波長に対応した値となるように制御される。
【0056】
図8は、減衰量が図7に示した波長依存性を有するようにAOM19を制御した場合に、上述した光パルス発生器110から出力される光パルスの出力パワーと波長との関係を示す図である。なお、このときに出力される光パルスのパルス幅は500nsに設定されている。このように、従来では図17に示したような波長ごとに大きく変化していた出力パワーの波長依存性が、本実施形態の光パルス発生器110において十分に改善され、それぞれの波長に対応する出力パワーがほぼ一定になっていることがわかる。
【0057】
〔第3の実施形態〕
温度変化や経時変化等により、Qスイッチリングレーザの出力パワーが変動することが知られており、次に、出力パワーのレベルを監視してその値を一定に制御する光パルス発生器について説明する。
【0058】
図9は、本発明を適用した第3の実施形態の光パルス発生器120の構成を示す図である。図9に示す光パルス発生器120は、光ファイバ11、励起光源12、波長多重光合波器13、光増幅媒体14、光フィルタ16、AOM19、光アイソレータ17、光スイッチ18、タイミング発生器31、変調度制御器32、AOM駆動回路33、記憶装置34、光分岐器35、受光器36を含んで構成されている。この光パルス発生器120は、図5に示した光パルス発生器110に対して、出力側に光分岐器35と受光器36を付加したものであり、その他の構成は基本的に同じである。
【0059】
光分岐器35は、光スイッチ18から出力される光パルスを分岐し、2つの出力端子のそれぞれから出力する。一方の出力端子から出力される光パルスは、光パルス発生器120の出力として取り出される。また、他方の出力端子は受光器36に接続されており、この他方の出力端子から出力される光パルスが受光器36に導かれる。受光器36は、光分岐器35から入力される光パルスのパワーを検出する検出手段として機能し、この検出値を変調度制御器32に向けて出力する。
【0060】
光パルス発生器120から出力される光パルスのパワーが受光器36によって検出されると、変調度制御器32は、この検出された光パルスのパワーを、記憶装置34に予め記憶しておいた適正基準値と比較し、比較結果に応じてAOM19の減衰量を制御する。具体的には、検出された光パルスのパワーがこの基準値よりも小さい場合には、AOM19の減衰量を小さくして図6(a)に示したリング内の全損失量L14を小さくし、出力される光パルスのパワーが増すような制御が行われる。反対に、検出された光パルスのパワーがこの基準値よりも大きい場合には、AOM19の減衰量を大きくしてリング内の全減衰量L14を大きくし、出力される光パルスのパワーを減じるような制御が行われる。
【0061】
このようにして、出力される光パルスのパワーと記憶装置34に記憶されている適正基準値とが異なる場合には、AOM19の減衰量が調整されるため、出力される光パルスのパワーが常に適正基準値に一致するように制御される。したがって、出力される光パルスのパワーが温度変化や経時変化等によらずに初期状態で設定した所定値に保たれる。なお、受光器36によって光パルスのパワーを検出する場合に、光パルス列のピークを検出する方法と光パルス列を時間的に平均化する方法とが考えられるが、いずれの方法を用いるようにしてもよい。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した各種の実施形態では、光パルス発生器のリングの外部に光スイッチ18を設けたが、これをAOS(音響光学スイッチ)に置き換えるとともにリング内に挿入して配置してもよい。図10は、リング内において光スイッチの代わりにAOSを用いた光パルス発生器の構成を示す図である。図10に示す光パルス発生器130は、光ファイバ11、励起光源12、波長多重光合波器13、光増幅媒体14、光フィルタ16、AOS20、AOM19、光アイソレータ17、タイミング発生器31、変調度制御器32、AOM駆動回路33、記憶装置34、AOS駆動回路37を含んで構成されている。この光パルス発生器130は、図5に示した光パルス発生器110の光スイッチ18をAOS20に置き換えるとともに、このAOS20をリング内に挿入したものである。また、AOS20にはAOS駆動回路37が接続されており、このAOS駆動回路37は、タイミング発生器31から出力されるタイミング制御信号に応じてAOS20を駆動する。AOS20の入力端子と0次光出力端子とを含んで光ファイバリングレーザのループが形成されており、AOS20の1次光出力端子から出力される光パルスが光パルス発生器130の出力として外部に取り出される。なお、この場合にはAOM19の0次光出力端子からは光パルスを取り出す必要がないため、AOM19においては1次光出力端子のみが使用される。
【0063】
また、上述した各種の実施形態では、リング内にAOM19を備えることにより、リングを周回する光の減衰量を制御するようにしたが、他の部品を用いてリングを周回する光の減衰量を制御するようにしてもよい。図11は、光スイッチ、光減衰器および光分岐器を組み合わせた光パルス発生器の構成を示す図である。図11に示す光パルス発生器140は、光ファイバ11、励起光源12、波長多重光合波器13、光増幅媒体14、光フィルタ16、光スイッチ15、18、光分岐器16、光減衰器21、光アイソレータ17、タイミング発生器31、変調度制御器32、記憶装置34を含んで構成されている。この光パルス発生器140は、リングを周回する光のオンオフ動作を光スイッチ15によって行うとともに、この周回する光の減衰量を光減衰器21によって調整している。この光減衰器21における減衰量は、タイミング発生器31に接続された変調度制御器32によって、光分岐器16から分岐出力されて光スイッチ18を介して切り出される光パルスのパワーがほぼ一定となるように制御される。
【0064】
また、図11に示した光パルス発生器140に含まれる光減衰器21をAOMに置き換えたり、図10に示した光パルス発生器130に含まれるAOM19を光減衰器に置き換えるようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、リングレーザによって構成される光ループ内に減衰手段を挿入し、この光ループを周回する光の減衰量を制御しており、光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーを調整して、方形波に近い波形を有する光パルスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の光パルス発生器の構成を示す図である。
【図2】音響光学変調器および光スイッチの動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。
【図3】図1に示した光パルス発生器を用いて実際に得られた光波形の一例を示す図である。
【図4】音響光学変調器および光スイッチの動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。
【図5】本発明を適用した第2の実施形態の光パルス発生器の構成を示す図である。
【図6】図5に示した光パルス発生器における音響光学変調器および光スイッチの動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。
【図7】第2の実施形態の光パルス発生器に含まれる音響光学変調器の減衰量と波長との関係を示す図である。
【図8】図7に示した波長依存性を有するように音響光学変調器の減衰量を制御した場合における光パルスの出力パワーと波長との関係を示す図である。
【図9】本発明を適用した第3の実施形態の光パルス発生器の構成を示す図である。
【図10】リング内において光スイッチの代わりにAOSを用いた光パルス発生器の構成を示す図である。
【図11】光スイッチ、光減衰器および光分岐器を組み合わせた光パルス発生器の構成を示す図である。
【図12】従来の光パルス発生器の構成を示す図である。
【図13】図12に示す光パルス発生器における光スイッチの動作状態と光パルス波形との関係を示す図である。
【図14】他の従来の光パルス発生器の構成を示す図である。
【図15】図14に示す光パルス発生器において音響光学スイッチの0次側出力端子から分岐出力される光波形を示す図である。
【図16】Qスイッチリングレーザのリング長が比較的長い場合に、光パルス発生器の光分岐器から分岐出力される光パルスの波形を示す図である。
【図17】光パルス発生器のリング内に光フィルタを挿入し、発振波長を1530nmから1565nmまで変化させた場合のピークパワーの変化を示す図である。
【符号の説明】
10、110、120、130、140 光パルス発生器
11 光ファイバ
12 励起光源
13 波長多重光合波器
14 光増幅媒体
17 光アイソレータ
18 光スイッチ
19 AOM(音響光学変調器)
31 タイミング発生器
32 変調度制御器
33 AOM駆動回路
34 記憶装置
Claims (8)
- 周回する光を増幅する光増幅媒体と前記光増幅媒体から出力される光の周回動作を所定のタイミングでオンオフする光スイッチング手段とを含むリングレーザと、前記リングレーザを周回する光を分岐して波形整形を行うことにより光パルスを取り出す光パルス出力手段とを備える光パルス発生器において、
前記リングレーザによって形成される光ループ内に挿入され、減衰量が制御可能であって前記リングレーザを周回する光を減衰させる減衰手段と、
前記減衰手段の減衰量を前記光増幅媒体の利得変化を打ち消すように制御する減衰量制御手段と、
を備えることを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項1において、
前記減衰量制御手段によって制御される前記減衰手段の減衰量に関する情報を記憶する記憶手段と、
をさらに備えることを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項1または2において、
前記減衰量制御手段によって前記減衰手段における減衰量を制御することにより、前記光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーが、前記リングレーザを1周回する時間よりも長い時間において一定に設定されることを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項1または2において、
前記減衰量制御手段によって前記減衰手段における減衰量を制御することにより、前記光パルス出力手段から出力される光のパワーが、前記リングレーザを1周回する時間と同じ時間、あるいはこれより短い時間において一定に設定されることを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記光ループ内に、所定の波長成分を通過させる光フィルタが含まれており、
前記減衰量制御手段は、前記光フィルタを通過させた所定の波長成分の光パルスについて前記光増幅媒体の利得変化を打ち消すように前記減衰手段の減衰量を制御することを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記光パルス出力手段から出力される光パルスのパワーを検出する検出手段をさらに備えており、
前記減衰量制御手段は、前記検出手段によって検出される光パルスのパワーが一定となるように前記減衰手段における減衰量を制御することを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記減衰手段は音響光学変調器であり、
前記減衰量制御手段は、前記音響光学変調器を駆動するために印加される高周波駆動信号のパワーを可変することにより、前記音響光学変調器の減衰量を制御することを特徴とする光パルス発生器。 - 請求項7において、
前記音響光学変調器は、前記減衰手段としての機能の他に、前記光パルス出力手段として前記光ループの外部に光パルスを取り出す機能を有し、
前記音響光学変調器は、1次光出力端子と0次光出力端子とを有しており、前記1次光出力端子から出力される光を減衰させながら前記光ループを介して前記光増幅媒体の入力側に帰還させるとともに、前記0次光出力端子から出力される光を前記光ループの外部に出力することを特徴とする光パルス発生器。
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