JP4104941B2 - 巻芯用紙管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品包装用フィルム、アルミ箔シート、その他各種シートの巻芯として用いられる紙管に係り、フィルムやシートの消費後に容易に切断して短小化することが可能な紙管に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニリデンやポリオレフィンからなる透明な食品包装用フィルム、アルミ箔シートあるいは台所で用いられる紙シートなどは、長尺のものが通常外径35〜42mm、厚み1mm〜1.5mmの紙管を巻芯として巻回されて提供されている。巻芯用紙管としては、一般的には、細長い板紙を螺旋状に巻いて接着剤で固定されて製造されるいわゆるスパイラル紙管が用いられている。巻芯用紙管は、フィルムやシートを巻き取る工程において一定以上の強度が必要とされるため強固である。このため、廃棄時に容易に潰すことができない。フィルムやシートで巻幅の小さいものは、巻芯も短いので、フィルム、シートの消費後に紙管をそのまま廃棄しても問題がないが、巻幅が25〜30cm以上の幅広のものは、それに応じて巻芯も長く、紙管をそのまま廃棄した場合には、かさばり、ごみ箱の蓋が閉まらないなどの問題があった。
【0003】
巻芯用紙管であって折って分断するための切り込み部を有するものとして、実公平3−48137号や特許第2905467号が提案されている。実公平3−48137号は、同時に複数のフィルムを巻き取り、巻き取り後に切断するのが容易な紙管を提供するものであって、円筒状本体の少なくとも一箇所に、全周状の溝部を設け、該溝部の一部に更に深い切り込み部を設けたことを特徴とする。
【0004】
特許第2905467号は、ビニールハウス用のビニールシートを巻回するための紙管であって、長尺の紙管の複数箇所に、同時に別個のビニールシートを巻き付け、紙管を切断して一巻ずつに分けることのできる紙管を提供するものである。この発明は、紙管を一周して、該紙管の内外に貫通する切り込みを断続的に施し、隣り合う切り込みと切り込み間の繋がり部は紙管の外周面よりも凹んでおり、紙管の外周層は、紙管の分断予定部で全周に亘って分断されていることを特徴としている。
【0005】
これらの従来例はいずれも、紙管の分断によって複数の製品を同時に提供しようとするものであり、紙管の切断面は製品の側面となる。このため、特許第2905467号では、見映えを考慮して、分断部の外表面層が剥がれず、バリを生じないようにすることを課題としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、廃棄時に簡単に手で折ったり、テーブルや机などに打ち付けて折ったりできるなど、容易に短小化して、かさばることなく廃棄できる紙管を提供しようとするものである。本発明者は、フィルムやシートの使用終了後に、紙管が容易に分断できるように、紙管上の円周に沿って切り込みを設けることを検討した。切り込みを設ける位置は、フィルムやシートが巻かれる際には、その下部となる。上記従来例のように、分断部が製品の側面となるわけではないので、見映えを考慮する必要はないが、上部にフィルムやシートが巻かれる際にトラブルを生じないようにすることが必要となる。
【0007】
本発明者らの研究によれば、実公平3−48137号における全周状の溝部や、特許第2905467号のように、繋がり部が紙管の外周面よりも凹んでおり、紙管の外周層は、紙管の分断予定部で全周に亘って分断されている構造は、その上部にフィルムやシートを巻く際に、溝部や凹み部の幅によっては、フィルムやシートが食い込まれたりするおそれがあって適さない。従って、本発明は、容易に切断して短小化することが可能であるとともに、フィルム、シートを巻く際にトラブルを生じない紙管を提供することを課題としてなされたものである。この課題を解決すべく、本発明者は、紙管の切断が予定される個所において、フィルムやシートを保持すべく紙管の外周面にも接続部が存在する構造とし、この構造において、適切なる切り込み数や切り込み長さなどを検討し、本発明に到達したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外径35〜42mm、厚み1〜1.5mmの紙管上の少なくとも一個所の円周に沿って2個以上6個以下の切り込みを有し、各切り込みは横幅0.1〜1mmであって、隣り合う切り込みと切り込みとの間の接続部は該紙管の外周面から内周面にかけて接続し、該接続部の周方向の長さは1.5〜4mmであることを特徴とする巻芯用紙管に関する。
【0009】
本発明にかかる巻芯用紙管は、切り込みの形成された円周において、切断が容易となり、家庭において廃棄時に、巻芯用紙管を短小化することができる。切り込みを入れる円周の個所は、紙管の中央部に一個所設けることにより、紙管を半分の長さにすることができるが、必ずしも中央部である必要はなく、また二個所以上の円周に形成しても良い。更に、各切り込みの長さは、必ずしも均一でなくても良い。また、各切り込みは紙管の外周面から内周面にかけて貫通していてもよいし、貫通せずに、外周面に入った切り込みが内周面まで到達しない切り込みでもよい。切り込みが内周面まで届かない場合は、本発明にかかる紙管は、0.7mm以下の厚み、望ましくは0.3mm〜0.5mmの厚みの連続した内周層を有することを特徴とする。内周層の厚みが0.7mmを超えると、分割するのに力を要することになる。
【0010】
一個所の円周における切り込み数は2個以上6個以下である。切り込み数のより望ましい範囲は2個以上4個以下である。隣り合う切り込みと切り込みとの間に接続部があるので、接続部の数は、切り込みの個数と同じである。接続部の長さは、短いほど切断が容易となるが、短すぎると、フィルムやシートを巻き取る際の強度を保持することができない。このため接続部の長さは、1.5〜4mm、好ましくは、2〜3mmである。
【0011】
切り込みの長さが一定で等間隔であり、1つの円周上に形成される切り込みがn個の場合、切り込みの長さは、円周の長さのn分の1より短くなる。従って、本発明はまた、紙管上の少なくとも一つの円周に沿って円周の長さのn分の1より短いn個の切り込みを有することを特徴とする巻芯用紙管(但し、n=2〜6)に関する。円周の長さのn分の1と切り込み長さとの差は、切り込みと切り込みとの間の接続部の長さに相当する。接続部は1.5〜4mmとするので、切り込みの長さは、円周の長さのn分の1より1.5〜4mm短いものとなる。
【0012】
例えば、外径Xmmの紙管上の円周に2mm間隔の接続部を介して均等な長さのn個の切り込みを入れる場合には、一つの切り込み長さは、次のようになる。
円周の長さY: Y=(X×3.14)mm
1つの切り込みの長さZ: Z=(Y÷n−2)mmとなる。
(ここにおいて、X=35〜42mm、 n=2〜6)
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る巻芯用紙管の一例を示す斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図、図3は、図1の巻芯用紙管を両手で切断したところの斜視図である。図4は、本発明に係る巻芯用紙管がラップフィルムの巻芯として用いられた状態を示す斜視図である。
【0014】
図1、図2において、巻芯用紙管1は外径35〜42mmであり、中央部に位置する円周に4個の切り込み4a、4b、4c、4dを有している。各切り込みは、横幅0.1〜1mmであって、紙管の外周面から内周面にかけて貫通しており、円周の長さの4分の1よりも短い長さである。また、隣り合う切り込みと切り込みとの間の接続部5a、5b、5c、5dは、紙管の外周面から内周面にかけて接続し、すなわち、接続部は、紙管と同じ厚みを有している。接続部の周方向の長さは1.5〜4mmである。従って、フィルムやシートの消費後に紙管1は、図3に示すように、紙管部分2と紙管部分3とに容易に分割され得る構造になっているが、紙管1にフィルムやシートが巻かれる際には十分な強度を有している。図においては、切り込み数が4個の例を示したが、製造工程や紙管の強度、切断し易さなどから切り込み数は2個以上6個以下の範囲で個数を適宜選定することができる。接続部が紙管と同じ厚みを有しているため、切り込み数が6個より多いと分割し難くなる。
【0015】
上記のような円周に沿った切り込みは、例えば、回転運動している紙管に、切り欠き丸刃ナイフを接触させることにより形成することが可能である。切り欠き丸刃は、丸刃のところどころに刃を欠いている部分のあるもので、紙管との接触時に、紙管に切り込みされない部分が生じるため、この部分が接続部となる。そして、切り欠き丸刃における切り欠き長さや切り欠き個所数の設定により、接続部の長さや接続部の数(相対的に、切り込み長さや切り込みの数)などを調整することができる。また、紙管上の切り込みの横幅は、ナイフの厚みによって、0.1〜1mmとなるように形成する。
【0016】
従来、用途に応じた長さの巻芯用紙管を得るために、回転運動している長い紙管に上下動する切断用丸刃ナイフを接触させて、所望の長さに切断している。刃物シャフトに固定された刃物ホルダーに、切断用丸刃ナイフを等間隔で複数装着することにより、同時に多数の巻芯用紙管を得ることができる。この切断用丸刃ナイフの中間に切り込み形成用の切り欠き丸刃ナイフを装着することにより、切断と切り込み形成を同時に行うことができる。
【0017】
上記は、切り込みが外周面から内周面にかけて貫通している例であるが、本発明においては、切り込みが内周面まで到達せずに、紙管が連続した内周面を有するものであってもよい。図5は、図2とは別の例を示す紙管の断面図である。判りやすくするために、図5は、図2より拡大して描いてある。図5は、巻芯用紙管の中央部に位置する円周に3個の切り込みを有する例である。図5において、各切り込み6a、6b、6cは、横幅0.1〜1mmであり、円周の長さの3分の1よりも短い長さである。各切り込みは、紙管の内周面まで貫通せずに、紙管は、0.7mm以下の厚み、望ましくは0.3〜0.5mmの厚みの連続した内周層8を有する。また、隣り合う切り込みと切り込みとの間の接続部7a、7b、7cは、紙管の外周面から内周面にかけて接続し、すなわち、接続部は、紙管と同じ厚みを有している。接続部の周方向の長さは1.5〜4mmである。
【0018】
【実施例】
実施例1
紙管原紙、ライナー及び上質紙の構成からなる厚さ1.35mm、幅80mmの帯状の板紙を用いて製造された、外径40.7mm(内径38.0mm)のスパイラル紙管を、長さ308.0mmの紙管となるように切断するとともに、この紙管の中央部の円周上に円周に沿って、図2に示されるような4個の切り込みが等間隔で入るように、刃物シャフトに固定された刃物ホルダーに、切断用丸刃/切り込み形成用切り欠き丸刃/切断用丸刃のセットを装着して、回転している紙管に接触させた。
【0019】
切り込み形成用丸刃は、丸刃先端の外径が紙管の内径の3/2であり、等間隔に長さ2mmの切り欠き部を6個有するものであった。丸刃の先端部が紙管の内周まで届くように切り込むとともに、紙管円周上の丸刃切り欠き部と接触した部分が切り込まれることなく接続部として残された。この結果、紙管の中央部の円周に沿って、長さ29.9mmの4個の切り込みが等間隔で形成された。切り込みと切り込みとの間の接続部は2mmであった。切り込みの幅は、約0.3mmであった。
【0020】
このようにして切り込み入り紙管を複数製造した。これらの紙管について、島津オートグラフAGS−5KNGを用いて、室温23±1℃、支点間距離100mm、試験速度20mm/min.の条件で3点曲げ試験を行い、切断強度を測定した。10個の紙管についての試験で切断強度は、最大184.8N、最小132.1N、平均値159.8Nであった。
【0021】
得られた切り込み入り紙管の両端部に近いところをそれぞれ右手、左手で持って、折ったところ、力を要することなく容易に切断でき、半分の長さにすることができた。また、片手で持って、机に打ち付けたところ、同様に容易に切断された。得られた紙管を幅30cm、長さ20mのラップフィルム用の巻芯として用いたところ、フィルムの巻取りにおいては十分な強度を有し、何らトラブルを生じなかった。
【0022】
実施例2
丸刃の切り欠き部の長さを3mmとした他は実施例1と同様にして、紙管中央部の円周上に4個の切り込みを入れた紙管を複数製造した。切り込み長さは、28.9mm、接続部長さは3mmであった。これらの紙管について、島津オートグラフAGS−5KNGを用いて、室温23±1℃、支点間距離100mm、試験速度20mm/min.の条件で3点曲げ試験を行い、切断強度を測定した。10個の紙管についての試験で切断強度は、最大232.2N、最小169.5N、平均値201.7Nであった。
【0023】
得られた切り込み入り紙管の両端部に近いところをそれぞれ右手、左手で持って、折ったところ、力を要することなく容易に切断でき、半分の長さにすることができた。また、片手で持って、机に打ち付けたところ、同様に容易に切断された。得られた紙管を幅30cm、長さ20mのラップフィルム用の巻芯として用いたところ、フィルムの巻取りにおいては十分な強度を有し、何らトラブルを生じなかった。
【0024】
実施例3
丸刃の切り欠き部の長さを4mmとした他は実施例1と同様にして、紙管中央部の円周上に4個の切り込みを入れた紙管を複数製造した。切り込み長さは、27.9mm、接続部長さは4mmであった。これらの紙管について、島津オートグラフAGS−5KNGを用いて、室温23±1℃、支点間距離100mm、試験速度20mm/min.の条件で3点曲げ試験を行い、切断強度を測定した。10個の紙管についての試験で切断強度は、最大255.1N、最小191.8N、平均値215.3Nであった。
【0025】
得られた切り込み入り紙管の両端部に近いところをそれぞれ右手、左手で持って、折ったところ、やや力を要したが切断でき、半分の長さにすることができた。また、片手で持って、机に強く打ち付けたところ、半分に切断された。得られた紙管を幅30cm、長さ20mのラップフィルム用の巻芯として用いたところ、フィルムの巻き取りにおいては十分な強度を有し、何らトラブルを生じなかった。
【0026】
実施例4
実施例1で用いたのと同様の紙管を用いて、紙管中央部の円周上に図5に示すような断面を有する3個の切り込みを入れた紙管を複数製造した。切り込み長さは、39.6mm、接続部長さは3mmであった。また、内周層の厚みは0.5mmであった。
【0027】
得られた切り込み入り紙管の両端部に近いところをそれぞれ右手、左手で持って、折ったところ、力を要することなく容易に切断でき、半分の長さにすることができた。また、片手で持って、机に打ち付けたところ、同様に容易に切断された。得られた紙管を幅30cm、長さ20mのラップフィルム用の巻芯として用いたところ、フィルムの巻取りにおいては十分な強度を有し、何らトラブルを生じなかった。
【0028】
比較例1
刃物ホルダーに、切り込み形成用切り欠き丸刃を装着せずに、切断用丸刃/切断用丸刃のセットを装着して、回転している紙管に接触させた他は実施例1と同様にして、切り込みのない標準品の紙管を複数製造した。これらの紙管について、島津オートグラフAGS−5KNGを用いて、室温23±1℃、支点間距離100mm、試験速度20mm/min.の条件で3点曲げ試験を行い、切断強度を測定した。10個の紙管についての試験で切断強度は、最大305.2N、最小277.6N、平均値288.9Nであった。
【0029】
得られた紙管の両端部に近いところをそれぞれ右手、左手で持って、折ろうとしてが、力を尽くしても曲げることもできなかった。また、片手で持って、机に強く打ち付けたが切断することができなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、巻芯用紙管が円周に沿って切り込みを有するため、廃棄時に簡単に手で折ったり、打ち付けて折ったりできるなど、容易に短小化して、かさばることなく廃棄できる紙管を提供される。また、接続部が紙管と同じ厚みを有し、紙管の外周面に存在するので、フィルムやシートを巻き取る際にトラブルを生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる巻芯用紙管の一例を示す斜視図
【図2】 図1のA−A線断面図
【図3】 図1の巻芯用紙管を両手で切断したところの斜視図
【図4】 本発明に係る巻芯用紙管がラップフィルムの巻芯として用いられた状態を示す斜視図
【図5】 本発明にかかる巻芯用紙管の別の一例を示す断面図
Claims (4)
- フィルムやシートの巻芯用紙管であって、外径35〜42mm、厚み1〜1.5mmの紙管上の少なくとも一個所の円周に沿って2個以上6個以下の切り込みを有し、各切り込みは横幅0.1〜1mmであって、隣り合う切り込みと切り込みとの間の接続部は該紙管の外周面から内周面にかけて接続し、該接続部の周方向の長さは1.5〜4mmであることを特徴とする巻芯用紙管。
- 切り込みの数が2個以上4個以下であることを特徴とする請求項1に記載の巻芯用紙管。
- 切り込みが、紙管の外周面から内周面にかけて貫通してなることを特徴とする請求項1に記載の巻芯用紙管。
- 切り込みは内周面にまで到達せずに、0.7mm以下の厚みの連続した内周層を有することを特徴とする請求項1に記載の巻芯用紙管。
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