JP4103526B2 - 燃料電池セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒鉛質成形体よりなる燃料電池セパレータに係り、特に、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子とを混合、造粒して得られる造粒物を加圧成形、焼成してなる燃料電池セパレータであって、貫通穴やリブ付きの、大面積の燃料電池セパレータであっても、良好な面精度で歩留り良く製造することが可能な燃料電池セパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電効率が高く環境性にも優れているエネルギー供給源として、燃料電池が注目されている。中でも、電解質に固体高分子を使った固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cells)が最も注目されている。この固体高分子型燃料電池は、電解質となるフィルム状のイオン交換膜の両側に触媒層を有し、更にその両側には集電体が設けられ、膜・電極接合体(MEA)を形成している。そして、その外側に、燃料の通り道となる溝を付けたセパレータが設けられ、MEAとセパレータとの間を水素あるいは酸素が通り、これらを全てを一体化して1枚のセルを構成している。このセル1枚で約0.7Vの電位差が得られる場合に、例えばこのセルを300枚重ねて直列につなぎ、例えば210Vの電圧を得るスタックを構成することができる。
【0003】
この燃料電池に用いられるセパレータは、板面に細い溝(流路)と、厚さ方向に貫通する貫通穴とが形成された板状体である。板面に形成された溝は、ガス拡散電極とガスとの接触面積を増大させる目的で、セパレータの主要領域に対して蛇行して細かなピッチで形成されている。また、貫通穴はこのような溝へ流体を導入又は流出させるためのマニホールド、或いは、スタック組み立てのための取り付け孔となるものであり、その形状は円形、長円形、三角形、正方形、長方形、台形等の各種の形状であり、板状体の側辺縁近傍ないし中央部など、目的に応じた箇所に形成されている。
【0004】
このセパレータの性能としては、供給される水素や酸素のガスを透過させないことが要求されると共に、燃料電池の集電体として機能することから、高い導電性が要求される。更に、セパレータとMEAとの間での導電性の悪化を防止し、また溝内を流れるガスのガス漏れやショートパスを防止するために、面精度を確保することが要求されている。
【0005】
従来、このような燃料電池セパレータとしては、一般に、黒鉛質成形体よりなるものが用いられており、従って、このような複雑な溝形状及び貫通穴を有する黒鉛質成形体を良好な面精度で歩留まり良く安価に製造することが望まれている。
このような黒鉛質成形体を冷間プレスで安価に製造する方法として、特開2000-319068号公報には、炭化時に自己焼結性を有する成分を含有する平均粒径が10μm以下の炭素質炭素化合物微粒子と、平均粒径が10〜70μmの黒鉛質炭素微粒子を乾燥脱水した後に乾燥状態で撹拌混合し、得られた均一混合体に粒子相互結着用添加剤を含む水溶液を加えて撹拌混合造粒して最大粒径が0.5mm以下の造粒物とし、次いで水分を除去して得られる乾燥造粒物を加圧成形し、得られた生成形体を非酸素雰囲気下で炭素化する方法が記載されている。
【0006】
本公報においては、炭素質炭素化合物微粒子の粒径を、黒鉛質炭素微粒子よりも小さいものとしているが、黒鉛質炭素微粒子の粒径は、ガス透過性や溝の平滑性の観点から、あまり大きなものは許容されないことが記載されている。さらに本公報には黒鉛質炭素微粒子の好ましい平均粒径は10〜50μmと記載されており、実施例として具体的に開示されているのは、平均粒径25μmの黒鉛質炭素微粒子のみである。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−319068号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは成形時のひび発生を防ぐ方法を鋭意検討した結果、このような小粒径の黒鉛質微粒子用いたのでは、後述する比較例にあるように、板面に溝および貫通孔を有し、かつ大面積のセパレータを加圧成形しようとすると、平板の成形は可能であるが、成形時にひび割れが発生し易く、製造歩留まりが悪いことが判明した。特に、板面の辺縁近傍に貫通孔がもうけられた場合、貫通孔と辺縁との間に形成された細い成形体部分において、貫通孔から成形体の辺縁に至るひび割れが発生し易く、このことが生産性を損なう原因となることが判明した。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決し、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子の混合物を造粒し、造粒物を加圧成形した後、焼成することにより得られる黒鉛質成形体からなる燃料電池セパレータであって、貫通穴及びリブ付きの、大面積のものであっても、ひび割れ等の欠陥を防止して歩留り良く製造することが可能な燃料電池セパレータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池セパレータの製造方法は、平均粒径が 70 μ m より大きく 180 μ m 以下である黒鉛質炭素微粒子と、平均粒径がこの黒鉛質炭素微粒子の 50 %以下である自己焼結性炭素微粒子との混合物を造粒し、得られた造粒物を加圧成形して、主板面の片面又は両面に溝を有し、且つ主板面を貫通する貫通穴を有する成形板とし、この成形板を焼成することを特徴とする。
【0011】
本発明に従って、平均粒径が70 μ m より大きく 180 μ m 以下の黒鉛質炭素微粒子を用いることにより、成形時のひび割れ等の欠陥を防止して、貫通穴及びリブ付きの、大面積のセパレータであっても歩留り良く製造することができる。
本発明において、黒鉛質炭素微粒子の平均粒径が92μm以上、154μm以下であることが好ましい。
【0012】
また、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合割合(黒鉛質炭素微粒子/自己焼結性炭素微粒子)は重量比で9/1以下、5/5以上であることが好ましく、造粒が湿式造粒法であることが好ましい。
また、加圧成形圧力は1t/cm2(98.0MPa)以上、2.4t/cm2(235MPa)以下であり、焼成温度は500℃以上であることが好ましい。
【0013】
このような本発明の燃料電池セパレータは、特に、一辺の長さが10cm以上、100cm以下で、厚さが0.5mm以上、10mm以下の板形状であり、少なくとも一方の主板面に溝が形成された燃料電池セパレータに好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の燃料電池セパレータの実施の形態を詳細に説明する。
本発明で用いる黒鉛質炭素微粒子は、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれであっても良く、これらの混合物であっても良い。黒鉛質炭素微粒子の平均粒径は40μm以上であるが、特に60μm以上、さらには70μmを越える粒径であるのが好ましく、180μm以下、特に170μm以下、さらには160μm以下であることが好ましい。黒鉛質炭素微粒子の平均粒径が小さすぎると成形性が悪く、圧縮成形時にひび割れが生じやすい。平均粒径が大きすぎると得られる成形体表面の平滑性が失われ、燃料電池として組み立てた際にガス漏れを生じてしまう。また、成形体の表面に微細な溝形状を付与するためには溝サイズより小さな粒径の黒鉛質炭素微粒子を用いる必要がある。
【0015】
一方、自己焼結性炭素質微粒子を構成する自己焼結性炭素化合物は、バインダーを用いなくとも成形、焼成することにより、それ自体で形状を保持して黒鉛化可能な炭素質化合物であり、従来公知の任意のものを使用することができる。中でも、γ成分(キノリン可溶、トルエン不溶成分)含有量が3質量%以上、好ましくは5質量%以上、30質量%以下、好ましくは25質量%以下の炭素質化合物を用いることが好ましい。γ成分含有量が少なすぎると、所定物性値の要求範囲内で所望の強度を発現しにくくなる。γ成分含有量があまりに多すぎると、例えばコールタールのように100℃以下で溶融してしまい、成形体形状を保持し得ず、また自己焼結性炭素質化合物の偏在化を引き起こしてしまう恐れがある。
【0016】
上記γ成分含有量を満たす市販の自己焼結性炭素質化合物としては、例えば、大阪化成社製TGPシリーズ、大阪ガスケミカル社製MCMBグリーンパウダー、川崎製鉄社製KMFC等を挙げることができる。これ以外の高軟化点ピッチも上記のγ成分含有量を満たせば自己焼結性炭素微粒子として用いることができる。上記γ成分含有量範囲を満たす限り、自己焼結性炭素化合物がコールタール、石油系重質油のいずれを出発原料にしていても問題はない。また、大阪化成社製MPC−1のように、空気酸化によって酸素含有量を大きくした素材であっても、γ成分が上記含有量を満たす限り何ら問題はない。
【0017】
自己焼結性炭素微粒子の平均粒径は黒鉛質炭素微粒子の平均粒径より小さいことが重要であり、好ましくは黒鉛質炭素微粒子の平均粒径の80%以下(0.8倍以下)、特に50%以下(0.5倍以下)であることが好ましい。即ち、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子とを混合した際に、黒鉛質炭素微粒子の周囲を自己焼結性炭素微粒子が覆うことで焼成時に強度が発現する。従って、黒鉛質炭素微粒子の平均粒径と自己焼結性炭素微粒子の平均粒径との比が大きいほど、少ない自己焼結性炭素微粒子の量で高い強度を発現することができ、好ましい。ただし、自己焼結性炭素を粒径3μm以下に粉砕することは工業的には難しいことから、自己焼結性炭素微粒子の平均粒径の下限は通常3μm以上である。
【0018】
黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合割合は、質量比で黒鉛質炭素微粒子/自己焼結性炭素微粒子=9/1以下、特に8/2以下であり、5/5以上、特に6/4以上、即ち、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との合計質量に対して黒鉛質炭素微粒子の割合が90質量%以下、特に80質量%以下で、50質量%以上、特に40質量%以上であることが好ましい。この範囲よりも黒鉛質炭素微粒子の割合が多過ぎると、相対的に自己焼結性炭素微粒子が少なくなって、黒鉛質炭素微粒子の周囲を自己焼結性炭素微粒子で十分に覆うことができず、焼結性が不十分となりやすく、十分な強度を発現し得なくなる。逆に、この範囲よりも黒鉛質炭素微粒子が少ないと、相対的に自己焼結性炭素微粒子が多くなって、焼成時の収縮が大きくなる傾向があり、割れが生じ易くなると共に、軟化溶融し易くなるため、形状の保持が難しくなる。また、黒鉛質炭素微粒子に由来する電気伝導度、熱伝導度、成形体の寸法安定性等における優れた効果が得られなくなる。
【0019】
なお、上記以外に、炭素繊維やカーボンブラック等の炭素微粒子を、本発明の性能を損なわない範囲で使用してもよい。
黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合は乾式で行っても湿式で行っても良く、通常の粉体混合法を用いることができるが、焼成時の強度発現のために、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子は高度に均一に混合されていることが重要である。黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合は、乾式でも十分行うことができ、例えば、乾燥した黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子とを、ハイスピードミキサー(深江パウテック製)を用いて乾式混合することにより、十分に均一に混合することができる。
【0020】
本発明においては、プレス成形時のハンドリングを容易にし、発塵を防止するために、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合粉を造粒する。この造粒は、通常の湿式造粒法により、例えばハイスピードミキサー(深江パウテック製)、グラニュレックス(フロイント産業製)などを用いて行うことができる。このような湿式造粒で用いる造粒剤としては特に制限はないが、有機溶媒系では自己焼結性炭素の微粒子結着成分(γ成分)が溶解してしまい、結着性が低下しやすくなるので、水系溶媒、特に水が実用的である。
【0021】
また、本発明においては造粒性を良好にし、造粒粉の強度を増して粉化を防ぎ、ハンドリングを容易にするため、造粒助剤を用いることもできる。造粒助剤に特に制限はなく、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子や、蔗糖などの糖類を使用することが出来るが、中でもPVA、蔗糖が好ましく、特にPVAを用いることが好ましい。これらの造粒助剤は、造粒剤に溶解して用いることができる。
【0022】
造粒助剤の造粒剤に対する濃度は、造粒助剤が水溶性高分子の場合、0.1質量%以上、特に0.2質量%以上、10質量%以下、特に5質量%以下が好ましい。造粒助剤が糖類の場合、1質量%以上、特に2質量%以上、50質量%以下、特に20質量%以下が好ましい。
造粒剤の使用量は黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合粉100重量部に対して、35重量部以上、特に40重量部以上、65重量部以下、特に60重量部以下であることが好ましい。
【0023】
例えば、造粒剤として水、造粒助剤としてPVAを用いた場合、PVAは造粒剤である水に溶解した溶液として使用する。PVAの重合度は通常400以上、特に500以上、4000以下、特に3000以下であることが好ましい。この重合度は分子量でいうと14000以上、好ましくは18000以上、200000以下、好ましくは150000以下となる。また、PVAの鹸化度は60%以上、特に70%以上であり、100%以下が好ましい。
【0024】
用いるPVAの重合度が大きいほど、また造粒剤に対するPVAの濃度が高いほど、得られる乾燥造粒粉の強度が高くなるが、乾燥造粒粉の強度が高すぎると、加圧成形時に乾燥造粒粉が潰れず、成形体内に隙間が残りやすくなり、成形体に欠陥を生じやすい。また、造粒粉の強度が低すぎるとハンドリング時に粉化しやすく、発塵する、金型への充填時の流動性が悪くなるなどの問題を生じやすい。用いるPVAの重合度と造粒剤に対するPVAの濃度を選ぶことで、適切な強度の乾燥造粒粉を作ることができる。
【0025】
また、PVAの鹸化度の高いものほど、また造粒剤の使用量が多いほど、造粒粉の粒径が大きくなる。しかし、造粒剤を黒鉛質微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合粉に対し過剰に使用してもその効果は飽和する。逆にPVAの鹸化度が低いほど、また造粒剤の使用量が少ないほど、造粒粉の粒度は小さくなるが、造粒剤の使用量が黒鉛質微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合粉に対して少な過ぎると混合粉を十分に濡らしにくくなり、造粒しにくくなる。用いるPVAの鹸化度と造粒剤の使用量を選ぶことで、所望の粒度の造粒粉を得ることができる。
【0026】
このように、造粒助剤としてのPVAの重合度及び鹸化度に応じて、上述の如く、所望の粒度で適切な強度の造粒粉が得られるようなPVA濃度と造粒剤使用量が決定されるが、PVAの使用量は、造粒粉、即ち、黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との合計に対して0.035質量%以上、特に0.1質量%以上、更には0.3質量%以上、6.5質量%以下、特に6質量%以下、更には3質量%以下であることが好ましい。
【0027】
造粒操作時の温度は0℃〜100℃程度から選択されるが、造粒助剤を用いて行なわれる場合、用いる造粒助剤が液体である範囲であり、かつ、造粒助剤が造粒剤の溶液となる範囲で選択することができる。具体的に造粒剤に水を用いる場合、造粒操作時の温度は0℃以上、好ましくは10℃以上、80℃以下、好ましくは60℃以下程度とするのがよい。
【0028】
なお、本発明においては、造粒助剤の他に任意の離型剤を併用することもできる。造粒剤に溶解する離型剤の場合は、造粒剤に溶解させて用いれば良く、例えば水系造粒剤の場合、水溶性のポリエチレングリコールはそのまま混合して使用することができる。造粒剤への溶解度が小さい離型剤は造粒剤へエマルジョンとして分散させて用いても良い。
【0029】
このようにして得られる造粒物は、箱型、流動層等の熱風乾燥機、撹拌型、ドラム型等の伝熱乾燥機、赤外線乾燥機、マイクロ波乾燥機等公知の任意の乾燥機で乾燥し、乾燥造粒粉とし、これをロータップ、振動篩器など、通常の篩機で必要に応じて篩分処理することにより粒度調整した後、成形に供する。
この造粒物の乾燥条件としては特に制限はないが、低すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため、通常20℃以上、好ましくは60℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、高すぎると自己焼結性炭素微粒子の焼結性が低下する可能性があるため、160℃以下、140℃以下、更には120℃以下が好ましい。
【0030】
また、成形に供する乾燥造粒粉は、平均粒径0.1mm以上、特に0.2mm以上、更には0.3mm以上、10mm以下、特に5mm以下、更には3mm以下であることが好ましい。乾燥造粒粉の平均粒径が大きすぎると、金型に充填することが難しくなる。乾燥造粒粉の平均粒径が小さすぎると、金型充填時の流れ性が悪くなる傾向があり、均一に充填することが難しくなるだけでなく、プレス時の脱気性が悪くなる傾向があり、プレスに時間がかかる。
【0031】
乾燥造粒粉の成形は、所望のセパレータの形状を押圧面に刻んだ金型を用いて圧縮成形することにより行う。成形に用いる金型にはシリコーンオイルなどの公知の任意の離型剤を塗布(スプレー)してもよい。この加圧成形は、一軸プレス、二軸プレス、ロータリープレス、湿式静水圧プレス、乾式静水圧プレス等により行うことができ、プレス圧力は1t/cm2(98.0MPa)以上、好ましくは1.2t/cm2(118MPa)以上、2.4t/cm2(235MPa)以下、好ましくは2.2t/cm2(216MPa)以下で行うことが好ましい。プレス圧力が低すぎると得られる成形体の強度が十分でなく、高すぎると圧力を解放した際にふくれを生じるスプリングバックという現象によって、ひび、割れが生じてしまうこととなる。
【0032】
得られた成形体の焼成は、生産性を考慮して型から外して行うことが望ましい。
焼成の最高温度は通常500℃以上、好ましくは550℃以上、特に好ましくは600℃以上とする。通常最高温度は電気伝導率などの物性から所望の黒鉛化度に応じて設定すればよいが、本発明では原料中の黒鉛含有率が高いため、1500℃以下、中でも1000℃以下の最高温度でも十分な黒鉛化度が得られる。
【0033】
焼成時の昇温速度は20℃/h以下、中でも15℃/h以下であることが好ましい。昇温速度が速すぎると成形体に割れ、ふくれが生じやすくなる。エネルギー節約のためには昇温速度は速い方が良く、また、過度に昇温速度が遅いと生産効率が低下しやすくなるので、通常0.01℃/h以上、中でも0.05℃/h以上とすることが好ましい。
【0034】
なお、焼成は、焼成時の酸化を防ぐため、炉内を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気にするか、成形体をコークスブリーズに埋めるなどして行うことが好ましい。
焼成後は放冷しても良いが、生産性向上のために強制冷却することもできる。このようにして得られる本発明の燃料電池セパレータは例えば、厚さ0.5mm以上、好ましくは1mm以上で、10mm以下、好ましくは5mm以下の板状であり、縦横の寸法は50mm以上、好ましくは100mm以上、1000mm以下、好ましくは500mm以下である。
【0035】
通常、燃料電池セパレータには、主板面の片面又は両面に、燃料ガス、酸素、冷却水などの流体の通路となる溝を設けるが、その幅は通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、10mm以下、好ましくは5mm以下で、深さは通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上、9mm以下、好ましくは5mm以下である。
更に、このような溝へ流体を導入又は流出するためのマニホールドとなる貫通穴やスタック組み立て時に用いる貫通穴を形成することもできる。
【0036】
このように製造した本発明の燃料電池セパレータを用いて、燃料電池の単セル及びスタックを組み立てることができる。前述の如く、固体高分子型燃料電池の単セルの主要構成部材は、膜・電極接合体と、溝及び貫通穴付きセパレータである。膜・電極接合体の基本構造は、高分子固体電解質膜(イオン交換膜)の両面に、触媒層、ガス拡散層及び集電体を順次接合したものである。触媒層は主として触媒とカーボンブラックとの混合物から成っている。またガス拡散層に集電体の機能を兼ねさせることもある。この膜電極体の両面に本発明による溝及び貫通穴付きセパレータを接合することにより、固体高分子型燃料電池の単セルが形成される。そして、この単セルを複数枚直列に積層してスタックとして使用することもできる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
110℃に保持された熱風循環型乾燥機で乾燥恒量に達した平均粒径が3μmの自己焼結性炭素質化合物微粒子(大阪化成社製「TGP3000」をジェットミルで粉砕したもの)300gと、平均粒径が154μmの黒鉛質炭素微粒子(クロップミュール社製人造黒鉛「KFL99.5L」)700gとを深江パウテック社製ハイスピードミキサー(LFS-GS-2J型)に投入し、アジテータ及びチョッパー軸から乾燥窒素を吹き出して、アジテータ回転数500rpm、チョッパー回転数1000rpmで5分間攪拌した。蓋の覗き窓から観察したところ粉体はなめらかに混合していた。
【0038】
ポリビニルアルコール(日本合成社ゴーセノール「KH−20」、重合度2000以上、鹸化度80)の2質量%水溶液400gを造粒剤及び造粒助剤として、アジテータ回転数2000rpm、チョッパー回転数500rpmで混合中の上記混合物に2分間で注入し、3分間造粒を継続した。得られた造粒物を120℃の熱風循環型乾燥機で乾燥した後、室温に冷却した。この乾燥造粒物を網目3mmの篩を用いて篩上を分離し、99%以上を篩下として回収した。
【0039】
1軸1500トン型プレス機に縦130.0mm×横260.0mmの金型を設置し、上部・下部押し型面にはサーペタインと称される溝と、貫通穴形成用の凸条を設置した。この金型内に篩下造粒物(平均粒径0.5mm)62gを投入し、1.4t/cm2(137MPa)の成形圧でプレス成形し、厚み1.8mmで、板面に深さ0.5mm、幅2mmの溝が形成されると共に、側辺縁近傍に長円形の貫通穴が形成された溝及び貫通穴付き成形体を得た。同様にして、計4回の成形を行い4枚の成形体を得た。
【0040】
厚さ10mmの黒鉛板で各成形体の上下面を挟み、この黒鉛板をステンレス容器に納め、このステンレス容器を更に大きなステンレス容器に納めて周囲をコークスブリーズで覆った。電気炉に容器を設置し、20L/分の供給速度で窒素を供給しつつ室温から170℃までは0.5時間、170℃から400℃までは86.5時間、400℃から550℃までは15時間、550℃から700℃までは5時間で昇温し、1時間700℃に維持した後に炉冷した。
【0041】
得られた各黒鉛質成形体は焼成前寸法に比べて0.2%の線収縮率を与えた。金型によって形成された溝及び貫通穴は、いずれの成形体においても、そのまま炭素化され、歪みやひび割れ等の欠陥は認められなかった。
実施例2
黒鉛質炭素微粒子としてクロップミュール社製人造黒鉛「KFL99.5」(平均粒径92μm)を用いた他は実施例1と同様の操作を計4回行い、4枚の良好な成形体を得、この成形体から、良好な黒鉛質成形体を得ることができた。これらの黒鉛質成形体は、いずれも金型によって形成された溝及び貫通穴がそのまま炭素化され、歪みやひび割れ等の欠陥は認められなかった。
【0042】
比較例1
黒鉛質炭素微粒子としてティミカル社製人造黒鉛「SLM44」(平均粒径29μm)を用いた他は実施例1と同様に造粒・成形を計4回行い4枚の成形体を得た。このうち1枚は歪みやひび割れのない成形体であったが、残りの3枚はプレス成形時に、成形体外周部の貫通穴と成形体外周との間の成形体部分にひび割れが発生していた。これらの成形体を実施例1と同様に焼成し、黒鉛質成形体を得た。歪みやひび割れのない成形体からは、金型によって形成された溝及び貫通穴がそのまま炭素化され、歪みやひび割れ等の欠陥のない黒鉛質成形体が得られたが、プレス時にひび割れが生じた3枚の成形体は、ひび割れがさらに成長してしまい、製品とすることができなかった。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、平均粒径の大きい黒鉛質炭素微粒子を用いることにより、成形時のひび割れ等の欠陥を防止して、貫通穴及びリブ付き、大面積の燃料電池セパレータであっても、歩留り良く工業的に有利に製造することができる。
Claims (9)
- 平均粒径が 70 μ m より大きく 180 μ m 以下である黒鉛質炭素微粒子と、平均粒径がこの黒鉛質炭素微粒子の 50 %以下である自己焼結性炭素微粒子との混合物を造粒し、得られた造粒物を加圧成形して、主板面の片面又は両面に溝を有し、且つ主板面を貫通する貫通穴を有する成形板とし、この成形板を焼成することを特徴とする燃料電池セパレータの製造方法。
- 黒鉛質炭素微粒子の平均粒径が92μm以上、154μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合割合(黒鉛質炭素微粒子/自己焼結性炭素微粒子)が、質量比で5/5 以上 9/1 以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 黒鉛質炭素微粒子と自己焼結性炭素微粒子との混合割合(黒鉛質炭素微粒子/自己焼結性炭素微粒子)が、質量比で 6/4 以上 8/2 以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか 1 項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 自己焼結性炭素微粒子のγ成分(キノリン可溶、トルエン不溶成分)含有量が3質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか 1 項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 造粒を、ポリビニルアルコールの水溶液を助剤として用いて行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか 1 項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- ポリビニルアルコールが、重合度 400 〜 4000 、鹸化度 60 %以上のものであることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 加圧成形を 1t/cm 2 (98.0MPa) 以上、 2.4t/cm 2 (235MPa) 以下の圧力で行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れか 1 項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
- 加圧成形により一辺の長さが5cm以上、100cm以下で、厚さが0.5mm以上、10mm以下の成形板を製造することを特徴とする請求項1乃至8の何れか 1 項に記載の燃料電池セパレータの製造方法。
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