JP4103485B2 - Cmos型固体撮像素子の駆動方法 - Google Patents

Cmos型固体撮像素子の駆動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CMOS型固体撮像素子の駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラやカメラ付携帯電話などの撮像装置は、小型化や低消費電力化を図るために、固体撮像素子として小型かつ低消費電力のCMOS型固体撮像素子が広く使用されてきている。
【0003】
かかるCMOS型固体撮像素子は、光エネルギを電気エネルギに変換する複数の光電変換部を半導体基板上に格子配列状に形成するとともに、各光電変換部に蓄積された電荷を転送するための電荷転送部を各光電変換部に隣接させて形成したものである。
【0004】
すなわち、図8〜図10に示すように、CMOS型固体撮像素子100は、N型半導体基板101(または、N型エピタキシャル基板)の内部に硼素イオンを注入することによってP型ウェル102を形成し、同P型ウェル102の上部にPN接合されたフォトダイオードからなる光電変換部103とNチャンネル型FETからなる電荷転送部104とをそれぞれ形成し、さらには、P型ウェル102の上部にリセット回路105及び増幅回路106を形成しており、P型ウェル102は、グランド電位に接地していた。これを等価回路図で示すと図11のように表される。
【0005】
ここで、図11中、107は読出し信号線であり、かかる読出し信号線107から供給される読出し信号がHigh状態の場合には、電荷転送部104がON状態となって光電変換部103に蓄積された電荷が電荷転送部104を介して増幅回路106へ転送され、一方、読出し信号がLow状態の場合には、電荷転送部104がOFF状態となって光電変換部103から増幅回路106への電荷転送が行われない。また、108は選択信号線であり、かかる選択信号線108から供給される選択信号がHigh状態の場合には、増幅回路106からの出力が行われ、一方、選択信号がLow状態の場合には、増幅回路106からの出力が行われない。
【0006】
このように、上記従来のCMOS型固体撮像素子100では、光電変換部103と電荷転送部104とを共通のP型ウェル102の上部にそれぞれ形成した構造となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のCMOS型固体撮像素子にあっては、共通のウェルの上部に光電変換部と電荷転送部とをそれぞれ形成していたため、光電変換部の周囲に形成したウェルと電荷転送部の周囲に形成したウェルとの電位を異ならせることができず、CMOS型固体撮像素子の特性をさらに向上させることができなかった。
【0008】
すなわち、従来のCMOS型固体撮像素子にあっては、電荷転送部の周囲のウェルに一定のグランド電位をバイアス電位として印加したほうが電荷転送部が安定に動作することから、電荷転送部の安定的な動作を優先して、共通のウェルをグランド電位に接地していた。
【0009】
そのため、従来のCMOS型固体撮像素子では、光電変換部の周辺に形成したウェルにも一定のグランド電位が印加されることになり、光電変換部の周辺に形成したウェルに印加するバイアス電位を変更することができなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
また、請求項に係る本発明では、半導体基板にウェルを形成し、同ウェルに光電変換部と電荷転送部とをそれぞれ形成し、しかも、ウェルは、光電変換部の周囲に形成した光電変換部用ウェルと電荷転送部の周囲に形成した電荷転送部用ウェルとに分離して形成したCMOS型固体撮像素子の駆動方法であって、光電変換部用ウェルと電荷転送部用ウェルとに異なるバイアス電位をそれぞれ印加することにした。
【0013】
また、請求項に係る本発明では、前記光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を電荷転送部による電荷転送時と非電荷転送時とで切換えることにした。
【0014】
また、請求項に係る本発明では、前記電荷転送部の非電荷転送時に光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を電荷転送部用ウェルに印加するバイアス電位よりも高電位とすることにした。
【0015】
また、請求項に係る本発明では、前記電荷転送部の電荷転送時に光電変換部用ウェルに印加するバイアス電圧を電荷転送部用ウェルに印加するバイアス電位よりも低電位とすることにした。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係るCMOS型固体撮像素子は、半導体基板の内部にウェルを形成し、同ウェルの上部に光電変換部と電荷転送部とをそれぞれ形成したものである。
【0020】
しかも、ウェルは、光電変換部の周囲に形成した光電変換部用ウェルと電荷転送部の周囲に形成した電荷転送部用ウェルとに分離して形成したものである。
【0021】
このように、光電変換部の周囲に形成した光電変換部用ウェルと電荷転送部の周囲に形成した電荷転送部用ウェルとを分離して形成することによって、CMOS型固体撮像素子の特性を向上させることができるものである。
【0022】
すなわち、光電変換部用ウェルと電荷転送部用ウェルとを分離して形成することによって、光電変換部用ウェルと電荷転送部用ウェルとに異なるバイアス電位を印加することができ、例えば、電荷転送部用ウェルに一定のグランド電位をバイアス電位として印加することによって、電荷転送部を安定に動作させることができ、一方、光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を制御することによって、光電変換部の感度や飽和電荷量を変更することができる。
【0023】
特に、隣接する光電変換部用ウェル同士を分離して形成した場合には、各光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位をそれぞれ制御することによって、各光電変換部の感度や飽和電荷量を変更することができる。
【0024】
しかも、光電変換部用ウェルと電荷転送部用ウェルとに異なるバイアス電位をそれぞれ印加した場合には、電荷転送部用ウェルに一定のグランド電位をバイアス電位として印加して、電荷転送部を安定に動作させる一方、光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を制御することによって、光電変換部の感度や飽和電荷量を変更することができる。
【0025】
また、光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を、電荷転送部による電荷転送時と非電荷転送時とで切換えて駆動するようにした場合には、光電変換部の特性を電荷転送部の電荷転送時と非電荷転送時とで異ならせることができる。
【0026】
特に、電荷転送部の非電荷転送時に光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を電荷転送部用ウェルに印加するバイアス電位よりも高電位とした場合には、光電変換部の飽和電荷量を増大させることができるとともに、光電変換部の感度を向上させることができる。
【0027】
また、電荷転送部の電荷転送時に光電変換部用ウェルに印加するバイアス電圧を電荷転送部用ウェルに印加するバイアス電位(グランド電位)よりも低電位とした場合には、電荷転送部をON状態として光電変換部に蓄積された電荷を転送する際に、光電変換部領域と電荷転送部領域とのポテンシャル差を可及的に大きくすることができ、これにより、光電変換部から電荷を円滑に転送することができて、CMOS型固体撮像素子の読出し効率を向上させることができる。
【0028】
以下に、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
本発明に係るCMOS型固体撮像素子1は、図1〜図3に示すように、N型の半導体基板2の内部に硼素イオンをイオン注入することによってP型の光電変換部用ウェル3と電荷転送部用ウェル4とを隣接させた状態で格子配列状に形成し、光電変換部用ウェル3の上部にPN接合されたフォトダイオードからなる光電変換部5を形成する一方、電荷転送部用ウェル4の上部にNチャンネル型FETからなる電荷転送部6とをそれぞれ形成している。なお、本実施の形態では、理解を容易にするために4画素分の光電変換部5等について説明している。
【0030】
かかる光電変換部用ウェル3と電荷転送部用ウェル4とは、従来と同様にイオン注入によってそれぞれ別個に形成することができる。また、光電変換部5や電荷転送部6などは従来と同様の方法により形成することができる。
【0031】
各光電変換部用ウェル3には、Pチャンネルコンタクト9を形成し、同Pチャンネルコンタクト9に、各光電変換部用ウェル3へ印加するバイアス電位を通電するためのバイアス信号線10をそれぞれ接続している。
【0032】
一方、電荷転送部用ウェル4には、バイアス電位としてグランド電位を印加している。
【0033】
そして、上記構成のCMOS型固体撮像素子1の各画素を等価回路図で示すと図4のように表され、同等価回路図に示すように、電荷転送部6は、リードアウトゲート11とリセット回路7と増幅回路8とから構成しており、リードアウトゲート11には、読出し信号線13が接続されるとともに、増幅回路8には、選択信号線12が接続され、さらには、光電変換部5には、バイアス変更回路14が接続されている。
【0034】
かかるバイアス変更回路14は、読出し信号線13から供給される読出し信号16と選択信号線12から供給される選択信号15とに基づいてバイアス信号線10へ供給するバイアス信号17を生成する回路であり、NAND素子18と電圧変換素子19とで構成している。かかる電圧変換素子19は、NAND素子18の出力電圧を後述する所定のバイアス電位に変換するものである。
【0035】
ここで、読出し信号16がHigh状態の場合には、電荷転送部6がON状態となって光電変換部5に蓄積された電荷が電荷転送部6を介して増幅回路8へ転送され、一方、読出し信号16がLow状態の場合には、電荷転送部6がOFF状態となって光電変換部5から増幅回路8への電荷転送が行われない。
【0036】
また、選択信号15がHigh状態の場合には、増幅回路8からの出力が行われ、一方、選択信号15がLow状態の場合には、増幅回路8からの出力が行われない。
【0037】
そして、バイアス信号17は、図5に示すように、バイアス変更回路14のNAND素子18によって読出し信号16と選択信号15とのNANDをとり、それを電圧変換素子19によって所定の電圧に変換して生成される。
【0038】
かかるバイアス信号17の電圧は、High状態では電荷転送部用ウェル4に印加するバイアス電位(グランド電位)よりも高電位の正電位とし、一方、Low状態では電荷転送部用ウェル4に印加するバイアス電位(グランド電位)よりも低電位の負電位としており、このバイアス信号17のHigh状態及びLow状態での電位を各光電変換部用ウェル3にバイアス電位として印加することによってCMOS型固体撮像素子1の特性を向上させることができる。
【0039】
これを図6及び図7に示す模式図を用いて説明すると次のようになる。
【0040】
すなわち、図6は、読出し信号16をLow状態として電荷転送部6による電荷の転送を行っていない状態(非電荷転送時)における光電変換部5のポテンシャル20と電荷転送部6のポテンシャル21とを模式的に図示したものであり、図6(a)は、従来のようにバイアス信号17のHigh状態での電位をグランド電位として、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位をグランド電位とした場合のポテンシャル状態を模式的に示した図であり、一方、図6(b)は、バイアス信号17のHigh状態での電位を正電位として、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位を正電位とした場合のポテンシャル状態を模式的に示した図である。
【0041】
そして、図6(b)に示すように、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位を正電位とすることによって光電変換部5のポテンシャル20が下がり、これによって、光電変換部5のポテンシャル20と電荷転送部6のポテンシャル21との差が増大し、光電変換部5の飽和信号量を増大させることができる。
【0042】
また、図6(b)に示すように、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位を正電位とすることによって光電変換部5のポテンシャル20が下がり、これによって、光電変換部5の空乏層幅を伸張させることができる。これにより光電変換部5の長波長側での光電変換効率を向上させることができ、その結果、光電変換部5の感度を向上させることができる。
【0043】
このように、電荷転送部6の非電荷転送時にバイアス信号17をLow状態で正電位とすることにより電荷転送部用ウェル4に印加するバイアス電位(グランド電位)よりも高電位のバイアス電位を各光電変換部用ウェル3に印加することによって、光電変換部5の飽和信号量を増大させることができるとともに、光電変換部5の感度を向上させることができ、CMOS型固体撮像素子1の特性を向上させることができる。かかる光電変換部5の飽和信号量や感度は、光電変換部用ウェル3に印加するバイアス電位を増減することによって変更することができる。特に、各光電変換部用ウェル3に異なる正電位のバイアス電位を印加することによって、各光電変換部5ごとに適切な飽和信号量や感度を設定することができる。
【0044】
また、図7は、読出し信号16をHigh状態として電荷転送部6によって電荷を転送している状態(電荷転送時)における光電変換部5のポテンシャル22と電荷転送部6のポテンシャル23とを模式的に図示したものであり、図7(a)は、従来のようにバイアス信号17のLow状態での電位をグランド電位として、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位をグランド電位とした場合のポテンシャル状態を模式的に示した図であり、一方、図7(b)は、バイアス信号17のLow状態での電位を負電位として、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位を負電位とした場合のポテンシャル状態を模式的に示した図である。
【0045】
そして、図7(b)に示すように、各光電変換部用ウェル3のバイアス電位を負電位とすることによって光電変換部5のポテンシャル22が上がり、これによって、光電変換部5のポテンシャル22と電荷転送部6のポテンシャル23との差が増大し、光電変換部5に蓄積した電荷を迅速かつ円滑に増幅回路8へ転送することができる。
【0046】
このように、電荷転送部6の電荷転送時にバイアス信号17をHigh状態で負電位とすることにより電荷転送部用ウェル4に印加するバイアス電位(グランド電位)よりも低電位のバイアス電位を各光電変換部用ウェル3に印加することによって、光電変換部5に蓄積した電荷を迅速かつ円滑に増幅回路8へ転送することができ、これにより、CMOS型固体撮像素子1の読出し効率を向上させることができる。
【0047】
上記構成のCMOS型固体撮像素子1は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、カメラ付携帯電話などの各種の撮像装置に適用することができる。そして、上述したようにCMOS型固体撮像素子1の特性を向上させることによって、撮像装置の性能を向上させることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0049】
すなわち、本発明では、光電変換部の周囲に形成した光電変換部用ウェルと電荷転送部の周囲に形成した電荷転送部用ウェルとに分離して形成しているため、光電変換部用ウェルと電荷転送部用ウェルとに異なるバイアス電位をそれぞれ印加することができる。
【0050】
特に、電荷転送部用ウェルに一定のグランド電位をバイアス電位として印加することによって、電荷転送部を安定に動作させることができ、一方、光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を制御することによって、光電変換部の感度や飽和電荷量を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るCMOS型固体撮像素子を示す平面図。
【図2】同A−A断面図。
【図3】同B−B断面図。
【図4】同等価回路図。
【図5】同タイミングチャート。
【図6】非電荷転送時のポテンシャル状態を示す模式図。
【図7】電荷転送時のポテンシャル状態を示す模式図。
【図8】従来のCMOS型固体撮像素子を示す平面図。
【図9】同C−C断面図。
【図10】同D−D断面図。
【図11】同等価回路図。
【符号の説明】
1 CMOS型固体撮像素子
2 半導体基板
3 光電変換部用ウェル
4 電荷転送部用ウェル
5 光電変換部
6 電荷転送部
7 リセット回路
8 増幅回路
9 Pチャンネルコンタクト
10 バイアス信号線
11 ゲート端子
12 読出し信号線
13 選択信号線
14 バイアス変更回路

Claims (4)

  1. 半導体基板にウェルを形成し、同ウェルに光電変換部と電荷転送部とをそれぞれ形成し、しかも、ウェルは、光電変換部の周囲に形成した光電変換部用ウェルと電荷転送部の周囲に形成した電荷転送部用ウェルとに分離して形成したCMOS型固体撮像素子の駆動方法であって、
    光電変換部用ウェルと電荷転送部用ウェルとに異なるバイアス電位をそれぞれ印加することを特徴とするCMOS型固体撮像素子の駆動方法。
  2. 前記光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位は、電荷転送部による電荷転送時と非電荷転送時とで切換えることを特徴とする請求項記載のCMOS型固体撮像素子の駆動方法。
  3. 前記電荷転送部の非電荷転送時に光電変換部用ウェルに印加するバイアス電位を電荷転送部用ウェルに印加するバイアス電位よりも高電位とすることを特徴とする請求項記載のCMOS型固体撮像素子の駆動方法。
  4. 前記電荷転送部の電荷転送時に光電変換部用ウェルに印加するバイアス電圧を電荷転送部用ウェルに印加するバイアス電位よりも低電位とすることを特徴とする請求項又は請求項記載のCMOS型固体撮像素子の駆動方法。
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