JP4103457B2 - 車両用運転操作補助装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の操作を補助する車両用運転操作補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両用運転操作補助装置として、所定の車間距離を保ったまま自車両を先行車両に追従させる、いわゆる車間距離制御装置が知られている(例えば特開2001−138768号公報)。この公報記載の装置では、車間距離制御による走行中にアクセルペダルの踏み込み速度が所定値以上になると、自動走行モードを解除して手動走行モードに切り換える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような車両用運転操作補助装置では、車両制御モードの切換を運転者が覚知することは容易ではない。
【0004】
本発明は、車両制御モードの切換を運転者が容易に覚知することができる車両用運転操作補助装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による車両用運転操作補助装置は、アクセルペダルのストローク量を検出する検出手段と、先行車両に追従走行する自動制御モード、および、アクセルペダルの操作に応じて単独走行する手動制御モードのいずれかの車両制御モードによって自車両を走行制御する走行制御手段と、検出手段により検出されたアクセルペダルのストローク量に応じて車両制御モードを切り換えるモード切換手段と、モード切換手段により車両制御モードが切り換えられると、運転者に慣性力を体感させて車両制御モードの切り換わりを知らせるように、車両特性を一時的に所定の特性に変更する変更手段と、現在の車両制御モードが開始されてからの継続時間を計測する計測手段とを備え、変更手段は、計測手段により計測された継続時間に応じた時間だけ車両特性を変更する
【0006】
【発明の効果】
車両制御モードが切り換わる際に、車両特性を一時的に変更するので、運転者に車両制御モードの切り換わりを体感させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
《第1の実施の形態》
以下、図1〜図8を参照して本発明による車両用運転操作補助装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の第1の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置の構成を示すシステム図であり、図2は、この車両用運転操作補助装置を搭載する車両の構成図である。この図1、2を用いて車両用運転操作補助装置の構成を説明する。
【0008】
レーザレーダ10は、車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられ、水平方向に赤外光パルスを走査する。レーザレーダ10は、前方にある複数の反射物(通常、前方車の後端)で反射された赤外光パルスの反射波を計測し、反射波の到達時間より、複数の前方車までの車間距離とその存在方向を検出する。検出した車間距離及び存在方向は自動走行制御コントローラ30出力される。レーザレーダ10によりスキャンされる前方の領域は、自車正面に対して±6deg程度であり、この範囲内に存在する前方物体が検出される。車速センサ20は、車輪の回転数などから自車両の走行車速を検出し、その検出信号を自動走行制御コントローラ30に出力する。アクセルペダルストローク量検知部60は例えばストロークセンサであり、アクセルペダル50の操作量を検出し、その検出信号を自動走行制御コントローラ30に出力する。
【0009】
自動走行制御コントローラ30は、レーザレーダ10、車速センサ20、およびアクセルペダルストローク量検知部60からそれぞれ入力された信号に基づいて所定の処理を実行し、エンジン制御コントローラ40に自動走行指令または手動走行指令を出力するとともに、シフトチェンジ指令を出力する。
【0010】
自動走行制御コントローラ30により自動走行指令が出力されると、その指令に応じてエンジン制御コントローラ40はスロットルアクチュエータ41およびブレーキアクチュエータ42にそれぞれ制御信号を出力し、アクチュエータ41,42の駆動を制御する。すなわち、エンジン制御コントローラ40は、追従すべき先行車が自車線に存在する場合に、レーザレーダ10等で検出された先行車までの車間距離、自車速および先行車速に基づいて、別途設定された車速の範囲内で所定の車間距離を保ったまま先行車に追従するようスロットルアクチュエータ41およびブレーキアクチュエータ42に制御信号を出力し、自車両の加減速を制御する。
【0011】
自動走行制御コントローラ30によりシフトチェンジ指令が出力されると、エンジン制御コントローラ40はA/Tコントロールユニット43にシフトチェンジ信号を出力する。このシフトチェンジ信号によりA/Tコントロールユニット43はトランスミッションギアを強制的に変速する。自動走行制御コントローラ30におけるシフトチェンジ指令に関する処理については後述する。
【0012】
次に、本実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置の動作を説明する。
図3(a)(b)は、アクセルペダルストローク量SとエンジントルクT、および車間距離目標値Dとの関係をそれぞれ示す特性図である。この特性は、アクセルペダルストローク量Sに応じて通常動作領域、車間制御領域、オーバーライド領域に分けられる。図3(a)の複数のラインは互いに異なるギアに対応しており、高いエンジントルクTを示すラインほど、低いギアに対応する。なお、運転席には自動運転/手動運転を選択する選択スイッチ31が設けられており、以下ではこの選択スイッチ31の操作により自動運転が選択された場合の動作について説明する。
【0013】
自動運転が選択された場合には、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S2の範囲で自動走行が可能となる。S0,S2は自動運転開始,終了を判定するためのしきい値であり、予め設定されている。ペダルストローク量SがS≦S0の通常動作領域では、前方に先行車が存在する場合でも先行車に対する車間距離制御を行わず、図3(a)に示すようにアクセルペダルストローク量Sに対応したエンジントルクTを発生させる。これを手動走行モード1と呼ぶ。手動走行モード1では、自動走行制御コントローラ30から手動走行指令が出力され、アクセルペダル50の踏み込み量に応じて自車速が増減する。
【0014】
ペダルストローク量SがS0<S≦S2の車間制御領域では、自動走行制御コントローラ30からの自動走行指令に応じてエンジン制御コントローラ40によりスロットルアクチュエータ41およびブレーキアクチュエータ42を制御し、車間距離制御を行う。これを自動走行制御モード呼ぶ。この場合、例えば図3(b)に示すようにアクセルペダルストローク量Sに応じて車間距離目標値Dが設定される。すなわち、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S1の範囲では車間距離目標値Dが最大値Dmaxから予め設定された最小値Dminにかけてリニアに減少し、S1≦S≦S2の範囲では車間距離目標値Dが最小値Dminで一定となるように設定される。車間距離目標値Dmax、Dmin、およびストローク量S1,S2の値は、車速や車種等によってそれぞれ異なり、ドライブシミュレータや実地試験等によって取得される結果に基づいて最適な値に設定される。なお、ストローク量S0、S2は、予め設定するのでなく先行車両の速度に合わせて変更するようにしてもよい。
【0015】
車間制御領域では、自動走行制御コントローラ30は、アクセルペダルストローク量検知部60で検出されるアクセルペダルストローク量Sに応じて上述したような特性の車間距離目標値Dを実現するように、エンジン制御コントローラ40に走行指令を出力し、自車両の加減速を制御する。例えば、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S1の範囲でアクセルペダル50が踏み込まれると、車間距離目標値Dは小さくなる。これに応じて、自車両は先行車に接近し小さな車間距離Dを保って先行車に追従走行するよう制御される。このように、自動走行制御モードが選択され、車間距離制御が行われている状態でも、運転者によるアクセルペダル50の踏み込み操作を反映した制御を行うことができる。
【0016】
ペダルストローク量S>S2のオーバーライド領域では、通常動作領域と同様、前方に先行車が存在する場合でも先行車に対する車間距離制御を行わず、図3(a)に示すようにアクセルペダルストローク量Sに対応したエンジントルクTを発生させる。これを手動走行モード2と呼ぶ。手動走行モード2では、自動走行制御コントローラ30から手動走行指令が出力され、アクセルペダル50の踏み込み量およびシフト位置に応じた車速で自車両が走行する。
【0017】
以上のように、手動走行モードと自動走行モードではアクセルペダル50の操作に対する車両の挙動が異なるため、良好な操作フィーリングと走行フィーリングを得るためには運転者は現在の車両制御モードを認識しながらアクセルペダル50を操作することが望ましい。そこで、本発明では、車両制御モードが変化した際に車両特性を一定時間変更することで、具体的にはギアを強制的にシフトチェンジすることで、モード変化を運転者に体感させる。すなわち、図3(a)に示すように、手動走行モード1から自動走行制御モードに切り換わった際にギアをシフトアップし(Ga→Gb)、自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わった際にギアをシフトダウンする(Gc→Gd)。以下、この点について詳しく説明する。
【0018】
図4(a)(b)、図5(a)(b)は、それぞれ時間軸に対するギアのシフト位置およびアクセルペダルストローク量Sの動作特性を示す図である。なお、図4は手動走行モード1から自動走行制御モードへの切換に対応し、図5は自動走行制御モードから手動走行モード2への切換に対応している。
【0019】
図4(a)(b)に示すように、手動走行モード1、すなわちアクセルペダルストローク量S≦S0の範囲において例えば車両が3速で走行しているとき、アクセルペダルストローク量SがS0を越えると自動走行制御モードに切り換わる。このとき、自動走行制御コントローラ30は、所定のシフトアップ時間Tsだけギアをシフトアップさせるような指令を出力し、この指令に応じてエンジン制御コントローラ40はA/Tコントロールユニット43に制御信号を出力する。これにより図4(a)に示すようにギアがシフトアップ時間Tsだけ4速にシフトアップし、シフトアップ時間Ts経過後は3速に復帰する。
【0020】
シフトアップ時間Tsは以下のように決定する。図4(b)に示すように手動走行モード1の開始から現在までの経過時間を停留時間として連続的に計時し、予め定めた図6の特性により停留時間に対応したシフトアップ時間Tsを求める。この場合、停留時間が所定値T1以下ではシフトアップ時間は所定値Ts0で一定であり、停留時間が所定値T1を越えると停留時間の増加に伴いシフトアップ時間Tsはリニアに増加する。
【0021】
このようにアクセルペダルストローク量SがS0に達すると所定時間Tsだけギアをシフトアップするので、運転者は車両の慣性力、すなわち車両の挙動の変化を体感し、手動走行モード1から自動走行制御モードへの切換を覚知することができる。アクセルペダルストローク量SがS0以下では車間距離制御を行わないので、低速走行時にむやみに自動走行制御モードに切り換わることを防止できる。自動走行制御モード開始までに要した時間(停留時間)に応じてシフトアップ時間Tsを決定するので、自動走行制御モードへの切換を一層確実に認識することができる。すなわち、アクセルペダルストローク量SがS0よりわずかに小さい範囲で長時間手動運転している場合、運転者は自動走行制御モードに切り換わっていると誤解しやすいが、この場合にシフトアップ時間Tsを延長するので、モード変化の認識性をより高めることができる。
【0022】
図5(a)(b)に示すように、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S2の範囲において例えば車両が4速で車間距離制御されているとき、アクセルペダルストローク量SがS2を越えると自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わる。このとき、自動走行制御コントローラ30は、所定のシフトダウン時間Tsだけギアをシフトダウンさせるような指令を出力し、この指令に応じてエンジン制御コントローラ40はA/Tコントロールユニット43に制御信号を出力する。これにより図5(a)に示すようにギアがシフトダウン時間Tsだけ3速にシフトダウンし、シフトダウン時間経過後は4速に復帰する。
【0023】
シフトダウン時間Tsは、以下のように決定する。図5(b)に示すように自動走行制御モードの開始から現在までの経過時間を停留時間として連続的に計時し、図6の特性により停留時間に対応したシフトダウン時間Tsを求める。なお、図4ではシフトダウン時間とシフトアップ時間の特性を同一としたが、別々な特性を設定してもよい。
【0024】
このようにアクセルペダルストローク量SがS2に達すると所定時間Tsだけギアをシフトダウンするので、運転者は車両の慣性力、すなわち車両の挙動の変化を体感し、自動走行制御モードから手動走行モード2への切換を覚知することができる。この場合、シフトダウンによりエンジン回転数が上昇してエンジン音が上昇するので、運転者は音によっても車両の挙動の変化を覚知することができる。手動走行モード2では、アクセルペダルストローク量Sに応じたエンジントルクを発生させるので、運転者の意のままに先行車の追い越しを行うことができる。アクセルペダルストローク量が予め設定したS1からS2の領域で、車間距離目標値Dを一定(Dmin)に保つようにしたので、車間距離制御領域からオーバーライド領域への移行をスムーズに行うことができる。車間距離制御の継続時間(停留時間)に応じてシフトダウン時間を決定するので、手動走行モード2への切換を一層確実に認識することができる。すなわち、長時間車間距離制御が行われている場合、運転者は追従走行に慣れてしまって手動走行への切換を認識しにくいが、この場合にシフトダウン時間Tsを延長するので、モード変化の認識性をより高めることができる。
【0025】
以上のモード変化に伴うシフトチェンジ動作は、自動走行制御コントローラ30での処理によって実現できる。図7は自動走行制御コントローラ30での処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば選択スイッチ31により自動運転が選択されるとスタートし、100msec毎に繰り返される。
【0026】
まず、ステップS1でアクセルペダルストローク量検知部60からの信号に基づいてアクセルペダルストローク量Sを算出する。次いで、ステップS2でペダルストローク量Sに応じた車両制御モードを選択する。ステップS2で手動走行モード1が選択されるとステップS3に進み、エンジン制御コントローラ40に手動走行指令、すなわちアクセルペダルストローク量Sに応じたエンジントルクTを発生させるような指令を出力する。これによりアクセルペダルストローク量Sに応じた速度で自車両が走行する。次いで、ステップS4で手動走行モード1の継続時間(停留時間)を計時し、ステップS5でペダルストローク量SがS0より大きいか否かを判定する。S>S0と判定されるとステップS6に進み、S≦S0と判定されるとステップS1に戻る。ステップS6では、図6の特性を用いてステップS4で求めた停留時間に対応するシフトアップ時間Tsを算出し、そのシフトアップ時間Tsだけギアがシフトアップするようにエンジン制御コントローラ40に制御信号を出力する。これによりシフトアップ時間Tsだけギアがシフトアップする。
【0027】
一方、ステップS2で自動走行制御モードが選択されるとステップS7に進み、エンジン制御コントローラ40に自動走行指令、すなわちアクセルペダルストローク量Sに応じた車間距離制御を行うような指令を出力する。これによりアクセルペダルストローク量Sに応じた車間距離を保って自車両が先行車に追従走行する。次いで、ステップS8で自動走行制御の継続時間(停留時間)を計時し、ステップS9でペダルストローク量SがS2より大きいか否かを判定する。S>S2と判定されるとステップS10に進み、S≦S2と判定されるとステップS1に戻る。ステップS10ではステップS8で求めた停留時間に対応するシフトダウン時間Tsを算出し、そのシフトダウン時間Tsだけギアがシフトダウンするようにエンジン制御コントローラ40に制御信号を出力する。これによりシフトダウン時間Tsだけギアがシフトダウンする。また、ステップS2で手動走行モード2が選択されるとステップS11に進み、エンジン制御コントローラ40に手動走行指令を出力する。これによりアクセルペダルストローク量Sに応じた速度で車両が走行する。次いで、ステップS12で手動走行モード2の継続時間(停留時間)を計時する。
【0028】
なお、上述した自動制御コントローラ30での処理うち、ステップS3,ステップS7,ステップS11が走行制御手段に、ステップS2がモード切換手段に、ステップS6,ステップS10が変更手段に、ステップS4,ステップS8,ステップS12が計測手段に、それぞれ相当する。
【0029】
以上では、アクセルペダルストローク量Sの増加により手動走行モード1から自動走行制御モード、自動走行制御モードから手動走行モード2へと切り換わる場合について説明したが、アクセルペダルストローク量Sの減少により手動走行モード2から自動走行制御モード、自動走行制御モードから手動走行モード1に切り換わる場合についても、同様にギアをシフトチェンジするようにしてもよい。この場合の自動走行制御コントローラ30における処理の一例を図8に示す。なお、図7と同一の箇所には同一の符号を付し、相違点を主に説明する。
【0030】
図8に示すように、ステップS12で手動走行モード2の停留時間を計時するとステップS13に進み、アクセルペダルストローク量SがS≦S2であるか否かを判定する。ステップS13が肯定されるとステップS10に進み、ステップS12で求めた停留時間に対応するシフトダウン時間Tsだけギアをシフトダウンする。これによりペダルストローク量Sの減少により手動走行モード2から自動走行制御モードに移行する際にギアがシフトダウンし、運転者は車両制御モードの切換を覚知することができる。ステップS13が否定されるとステップS1へ戻る。
【0031】
ステップS9AでS≦S2と判定されるとステップS14に進み、アクセルペダルストローク量SがS≦S0であるか否かを判定する。ステップS14が肯定されるとステップS6に進み、ギアをシフトアップする。これにより自動走行制御モードから手動走行モード1に移行する際にギアがシフトアップし、運転者は走行モードの切換を覚知することができる。一方、ステップS14が否定されるとステップS1へ戻る。
【0032】
本発明の第1の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置によれば、以下のような効果を奏することができる。
(1)車両制御モードが切り換えられると車両特性を一時的に変更するようにしたので、運転者は車両制御モードの切り換わりを体感することができる。シフトチェンジにより車両特性を変更すれば、車両制御モードの切り換わりを車両の挙動変化として容易に体感することができる。
(2)アクセルペダル50の操作によって車両制御モードが変化した際に一時的に車両特性を変更するようにしたので、運転者は車両制御モードの切り換わりを体感することができる。また、ギアを一定時間Tsだけシフトチェンジさせて車両特性を変更するようにしたので、車両制御モードの切換を運転者は容易に体感することができる。その結果、モード変化の認識の遅れを回避することができ、適切な運転操作が可能となる。また、車両制御モードを報知するための表示装置などを別途設ける必要なくコストを低減することができる。
(3)ギアのシフトチェンジにより車両の慣性力が変化するので、運転者に車両特性の変化を容易に体感させることができる。
(4)手動走行1モードから自動走行制御モードへの切換時にギアをシフトアップさせるので、手動走行モード1から自動走行制御モードへの切換を容易に認識することができる。
(5)自動走行制御モードから手動走行モード2への切換時にギアをシフトダウンさせるので、自動走行制御モードから手動走行モード2への切換を容易に認識することができる。また、エンジン音が上昇するので、耳からの情報によっても運転者はモードの切換を認識することができる。
(6)現在の車両制御モードの継続時間(停留時間)に応じてシフトチェンジの時間Tsを変更するので、車両制御モードの切換を運転者に適切に体感させることができる。
【0033】
《第2の実施の形態》
本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。第2の実施の形態は、車両制御モードを選択する選択スイッチ31を備えておらず、アクセルペダルストローク量Sが所定の領域にあることが検出されると車間距離制御が行われる点が第1の実施の形態と異なる。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0034】
次に、第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置の動作を説明する。
図9(a)(b)は、アクセルペダルストローク量Sと、エンジンの出力トルクTおよび車間距離目標値Dとの関係をそれぞれ示す特性図である。これらの特性は、アクセルペダルストローク量Sに応じて、手動走行モード1による低速領域a、自動走行制御モードによる車間制御領域bおよび手動走行モード2による高速領域cに分けられる。図9(a)に示す複数のラインは互いに異なるギアに対応しており、高いエンジントルクTを示すラインほど、低いギアに対応する。
【0035】
自動走行制御コントローラ30は、運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル50のストローク量Sに応じて、車両制御モードを選択する。手動走行モード1,自動走行制御モードおよび手動走行モード2における車両制御は、上述した第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0036】
本発明の第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態と同様に、運転者に車両制御モードの切り換わりを認識させるために、車両制御モードの切り換わりの際に車両特性を所定時間変更する。具体的には、アクセルペダルストローク量Sから車両制御モードの切り換わりを検出し、所定時間Tsだけギアを強制的にシフトダウンして車両の挙動を変化させることで、車両制御モードの切り替わりを運転者に体感させる。図9(a)に示すように、例えば、手動走行モード1と自動走行制御モードとの切り換わりの際にはギアをG1からG2へシフトダウンし、自動走行制御モードと手動走行モード2との切り換わりの際にはギアをG3からG4へシフトダウンする。
【0037】
ここで、自動走行制御モードから手動走行モード2へ切換わる際に行うギアのシフトダウンについて図10を用いて説明する。図10は、時間軸に対するギアのシフト位置を示している。図10に示すように、例えば自車両が4速で車間距離制御を行われている自動走行制御モードから、アクセルペダルストローク量Sが所定値S2を超えて手動走行モードに切り換わる場合、自動走行制御コントローラ30は、所定のシフトダウン時間Tsだけギアをシフトダウンさせるような指令を出力する。エンジン制御コントローラ40は、この指令に応じてA/Tコントロールユニット43に制御信号を出力する。これにより、図10に示すようにギアがシフトダウン時間Tsだけ3速にシフトダウンし、シフトダウン時間Ts経過後は4速に復帰する。
【0038】
なお、それぞれのモード切換の際にも同様に所定時間Tsだけギアをシフトダウンし、運転者に車両の慣性力、すなわち車両の挙動の変化を体感させて車両制御モードの切り換わりを覚知させる。ただし、第2の実施の形態においては、車両制御モードが切り換わる順序の重要度、以降車両モード切り換わりの重要度とする、に応じてシフトダウン時間Tsを設定する。ここで、車両制御モードの切り換わりの重要度は、車両制御モードが切り換わることによって運転者による運転操作に与える影響度合の大きさ、つまり車両制御モードの切り換わりを運転者に覚知させることの重要度および必要性に基づいて設定する。以下、車両制御モードの切換の重要度および重要度に応じたシフトダウン時間Tsの設定について説明する。
【0039】
自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わると、車間制御領域bから高速領域cへと移行し、先行車への追従制御は解除される。このとき、先行車との車間距離は最小値Dminであるとともに、アクセルペダルストローク量Sは踏み込まれてS2となっているので、運転者が手動制御への切り換わりを認識して運転操作を行うことが、スムーズな走行を行うために重要である。そこで、自動走行制御モード(車間制御領域b)から手動走行モード2(高速領域c)への切り換わりの重要度を最も高いとする。すなわち、車両制御モードの切換わりを運転者に覚知させることの必要性を考慮して、車両制御モード切換わりの重要度の高い順番から、▲1▼自動走行制御モードから手動走行モード2(車間制御領域bから高速領域c)、▲2▼自動走行制御モードから手動走行モード1(車間制御領域bから低速領域a)、▲3▼手動走行モード2から自動走行制御モード(高速領域cから車間制御領域b)、▲4▼手動走行モード1から自動走行制御モード(低速領域aから車間制御領域b)とする。
【0040】
シフトダウン時間Tsは、▲1▼〜▲4▼の車両制御モード切換の際にそれぞれ発生させるシフトダウン時間T1,T2,T3,T4が、T1>T2>T3>T4の関係を満たすように決定する。つまり、車両制御モードの切換の重要度が高いほどシフトダウン時間Tsを長く設定する。なお、これらのシフトダウン時間T1,T2,T3,T4は、運転者にギアがシフトダウンしていることを認識させるとともに、その後の運転操作に支障をきたさない程度の値を、実験等の結果に基づいて予め設定しておく。
【0041】
自動走行制御コントローラ30は、アクセルペダルストローク量Sによって車両制御モードの切り換わりを検出し、車両制御モード切換の重要度に応じたシフトダウン時間T1〜T4だけギアをシフトダウンし、その後復帰させるようエンジン制御コントローラ40に指令を出力する。これにより、車両制御モード切換の重要度が高いほどシフトダウン時間Tsが長くなり、運転者に、より確実に車両制御モードの切り換わりを認識させることができる。
【0042】
車両制御モード切換▲4▼や▲3▼において、シフトダウン時間TsをそれぞれT4=0,T3=0と設定してもよい。この場合、重要度の低い車両制御モード切換を運転者に積極的に知らせないようにすることにより、煩わしさを低減させることができる。また、重要度の低い車両制御モード切換の際にギアをシフトダウンさせないことにより、重要度の高い車両制御モード切換の際に行うシフトダウンが強調され、運転者に重要度の高い車両制御モード切換をより確実に認識させるという作用効果も得られる。
【0043】
以上説明した車両制御モード切換、および車両制御モード切換の際のシフトダウンに関する制御処理は、自動走行制御コントローラ30において実行される。図11は、本発明の第2の実施の形態による自動走行制御コントローラ30における運転操作補助制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、イグニッションスイッチがオンすることによってスタートし、例えば100msec毎に繰り返される。
【0044】
まず、ステップS21で、車両制御モードを選択する。ここでは、アクセルペダルストローク量検知部60で検出されるアクセルペダルストローク量Sを読み込み、読み込んだアクセルペダルストローク量Sに応じて、手動走行モード1,自動走行制御モードおよび手動走行モード2のいずれかの車両制御モードを選択する。つまり、アクセルペダルストローク量Sが低速領域a、車間制御領域b、高速領域cのいずれの領域にあるかを判定し、その領域に対応する車両制御モードを選択する。ステップS21で手動走行モード1が選択されると、ステップS22へ進む。ステップS12では、エンジン制御コントローラ40に手動走行指令、すなわちアクセルペダルストローク量Sに応じたエンジントルクTを発生させるような指令を出力する。これにより、アクセルペダルストローク量S≦S0の低速領域aでは、アクセルペダルストローク量Sに応じた車速で車両が走行する。
【0045】
ステップS21で自動走行制御モードが選択されると、ステップS23へ進む。ステップS23では、エンジン制御コントローラ40に自動走行指令、すなわちアクセルペダルストローク量Sに応じた車間距離制御を行うような指令を出力する。これにより、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S2の車間制御領域bでは、自車両がアクセルペダルストローク量Sに応じた車間距離Dを保って先行車に追従走行するように制御される。
【0046】
一方、ステップS21で手動走行モード2が選択されると、ステップS24へ進む。ステップS24では、エンジン制御コントローラ40に手動走行指令を出力する。これにより、アクセルペダルストローク量S>S2の高速領域cでは、アクセルペダルストローク量Sに応じた車速で車両が走行する。
【0047】
ステップS25では、アクセルペダルストローク量検知部60で検出される現在のアクセルペダルストローク量Sを読み込む。ステップS26で、ステップS25で読み込んだアクセルペダルストローク量Sに基づいて、車両制御モードを変更するか否かを判定する。ここでは、例えば、現在のアクセルペダルストローク量Sに応じた車両制御モードを判定し、これとステップS21で選択した車両制御モードとが異なる場合は車両制御モードを変更すると判断する。つまり、アクセルペダルストローク量Sの領域が変化した場合に、車両制御モードを変更する。ステップS26で車両制御モードを変更すると肯定判定されると、ステップS27へ進む。
【0048】
ステップS27では、ステップS21で読み込んだアクセルペダルストローク量Sの領域と、ステップS25で読み込んだアクセルペダルストローク量Sの領域とを比較する。アクセルペダルストローク量Sの領域が車間制御領域bから高速領域cに変化している場合は、ステップS27が肯定判定され、ステップS28へ進む。ステップS28では、車両制御モード切換時に行うシフトダウンのシフトダウン時間TsをT1に設定する。
【0049】
ステップS27が否定判定されると、ステップS29へ進み、アクセルペダルストローク量Sの領域が車間制御領域bから低速領域aに変化したか否かを判定する。ステップS29が肯定判定されると、ステップS30へ進み、シフトダウン時間TsをT2に設定する。ステップS29が否定判定されると、ステップS31へ進み、アクセルペダルストローク量Sの領域が高速領域cから車間制御領域bに変化したか否かを判定する。ステップS31が肯定判定されると、ステップS32へ進み、シフトダウン時間TsをT3に設定する。ステップS31が否定判定されると、ステップS33へ進む。ステップS33では、アクセルペダルストローク量Sの領域が低速領域aから車間制御領域bに変化したと判断し、ステップS34へ進み、シフトダウン時間TsをT4に設定する。
【0050】
ステップS28,S30,S32,S34でシフトダウン時間Tsを決定すると、ステップS35へ進み、決定したシフトダウン時間Tsだけギアのシフトダウンを行うようにエンジン制御コントローラ40に指令を出力する。ステップS26でアクセルペダルストローク量Sの領域が変化していないと判定されると、車両制御モードの変更は行わない。
【0051】
以上説明したように、第2の実施の形態においては、以下の様な効果を奏することができる。
(1)車両制御モードが切り換わる順序の重要度に応じて車両特性を変更するので、運転者への伝達の必要性に応じて車両制御モードの切り換わりを認識させることができる。運転者は車両制御モードの切り換わりを車両特性の変化として体感するので、切り換わりを確実に認識することができ、車両制御モード切り換わり後の運転操作をスムーズに行うことができる。また、車両モードを報知するための表示装置等を別途設ける必要がなく、コストを削減することができる。
(2)自動走行制御モードから手動走行モードの高速領域への切り換わりの際に、車両特性の変更を強調して行うので、先行車への追従制御を行われている状態から追従制御の解除への移行を運転者が確実に認識することができ、適切な運転操作を行うことができる。
(3)車両制御モードの切り換わりの重要度が高いほど車両特性の変更を強調するので、重要度に応じて確実に運転者に知らせることができる。
(4)車両制御モードが切り換わる際にギアをシフトチェンジして車両の慣性力を変化させ、切り換わりの重要度が高いほど慣性力を大きく、かつシフトチェンジ時間を長くするので、重要度の高い車両制御モードの変化を容易に体感することができる。さらに、ギアをシフトダウンして慣性力を発生させれば、慣性力の変化を容易に体感することができるとともに、エンジン音も上昇するので、車両制御モードの変化を耳からの情報によっても認識することができる。
(5)手動制御モードの低速領域から自動走行制御モードへの切り換わり、あるいは手動制御モードの高速領域から自動走行制御モードへの切り換わりの際に車両特性を変更しないようにすれば、重要度の低い車両制御モードの変化を知らせることなく、運転者に与える煩わしさを低減することができる。
(6)アクセルペダルストローク量に応じて車両制御モードを変更するので、車両制御モードの変化を体感しながら運転者の意のままに運転操作を行うことができる。
【0052】
《第3の実施の形態》
本発明の第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、以下に説明する。図12は、第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成を示すシステム図であり、図13は、車両用運転操作補助装置を搭載する車両の構成図である。なお、図1および図2に示した第1および第2の実施の形態と同様の機能を有する要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ここでは、第2の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0053】
まず、第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成を説明する。図12,図13に示すように、第3の実施の形態は、アクセルペダル50の操作反力を制御する反力制御装置70を備えている。図14にアクセルペダル50周辺の構成図を示す。アクセルペダル50には、リンク機構51を介してサーボモータ80が取り付けられており、反力制御装置70によってサーボモータに発生させるトルクを制御することにより、アクセルペダル50の操作反力を任意に制御することができる。なお、第3の実施の形態では車両制御モードの切り換わり時にギアのシフトチェンジは行わないので、A/Tコントロールユニット43が省略されている。
【0054】
本発明の第3の実施の形態においては、車両制御モードの切り換わりの際に、アクセルペダル操作反力を変化させることによって、運転者に車両制御モードの切り換わりを体感させる。以下、車両用運転操作補助装置の動作について詳細に説明する。
【0055】
図15(a)(b)は、それぞれ時間軸に対するアクセルペダルストローク量Sの変化およびアクセルペダル操作反力Fの変化を示す特性図である。なお、図15(a)(b)は自動走行制御モードから手動走行モード2への切換に対応している。図15(a)に示すように、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S2の車間制御領域bから、運転者によってアクセルペダル50が踏み込まれてアクセルペダルストローク量SがS2を超えると、自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わる。このとき、自動走行制御コントローラ30は、図15(b)に示すように、アクセルペダル反力Fをパルス状に増加させるような指令を反力制御装置70に出力する。反力制御装置70は、この指令に応じて、アクセルペダル反力FをΔF1だけパルス状に増加させるようにサーボモータ80を制御する。
【0056】
このように、自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わる際に、アクセルペダル反力FをΔF1だけ一時的に増加させることにより、車両制御モードの切り換わりを運転車に体感させることができる。アクセルペダル反力Fを、パルス状に変化させるので、運転操作に大きな影響を与えることなく車両制御モードの変化を知らせることができる。
【0057】
なお、ここでは自動走行制御モードから手動走行モード2への切り換わりの際のアクセルペダル反力制御を説明したが、これ以外の車両制御モードの切り換わり時にも同様にアクセルペダル反力Fを制御する。以下に、手動走行モード1から自動走行制御モードへの切換わりに対応したアクセルペダル反力制御を一例として説明する。
【0058】
図16(a)(b)に、アクセルペダルストローク量Sおよびアクセルペダル操作反力Fの時間軸に対する動作特性を示す。アクセルペダルストローク量SがS≦S0の低速領域aから、S0<S≦S2の車間制御領域bに変化すると、手動走行モード1から自動走行制御モードに切り換わる。このとき、自動走行制御コントローラ30は、図16(b)に示すように、アクセルペダル反力Fをパルス状に増加させるような指令を反力制御装置70に出力する。反力制御装置70は、この指令に応じて、アクセルペダル反力FをΔF4だけパルス状に増加させるようにサーボモータ80を制御する。
【0059】
車両制御モードの切り換わり時に発生させるパルス状の反力変化量ΔFの大きさは、車両制御モード切り換わりの重要度に応じて設定する。第2の実施の形態で説明したように、車両制御モード切換の重要度の高い順番から、▲1▼自動走行制御モードから手動走行モード2(車間制御領域bから高速領域c)、▲2▼自動走行制御モードから手動走行モード1(車間制御領域bから低速領域a)、▲3▼手動走行モード2から自動走行制御モード(高速領域cから車間制御領域b)、▲4▼手動走行モード1から自動走行制御モード(低速領域aから車間制御領域b)とする。
【0060】
反力変化量ΔFは、▲1▼〜▲4▼の車両制御モード切換の際にそれぞれ発生させる反力変化量ΔF1,ΔF2,ΔF3,ΔF4が、ΔF1>ΔF2>ΔF3>ΔF4の関係を満たすように決定する。つまり、車両制御モードの切換の重要度が高いほど反力変化量ΔFを大きく設定する。アクセルペダル反力Fの変化量ΔFおよび反力変化の持続時間は、運転者にアクセルペダル反力Fが増加していることを認識させることができるとともに、その後の運転操作に支障をきたさない程度のものであればよい。
【0061】
自動走行制御コントローラ30は、アクセルペダルストローク量Sによって車両制御モードの切り換わりを検出し、車両制御モード切換の重要度に応じた反力変化量ΔF1〜ΔF4だけアクセルペダル反力Fをパルス状に増加させるよう反力制御装置70に指令を出力する。これにより、車両制御モード切換の重要度が高いほど反力変化量ΔFが大きくなり、運転者に、より確実に車両制御モードの切り換わりを認識させることができる。
【0062】
また、車両制御モード切換▲4▼や▲3▼において、反力変化量ΔFをそれぞれΔF4=0,ΔF3=0と設定し、重要度の低い車両制御モード切換を運転者に積極的に知らせないようにすることにより、煩わしさを低減させることができる。さらに、重要度の低い車両制御モード切換の際にアクセルペダル反力制御を行わないと、重要度の高い車両制御モード切換の際に行うアクセルペダル反力増加が強調され、運転者に重要度の高い車両制御モード切換をより確実に認識させることができる。
【0063】
以上説明した車両制御モード切換、および車両制御モード切換の際のアクセルペダル反力制御に関する処理は、自動走行制御コントローラ30において実行される。図17は、本発明の第3の実施の形態による自動走行制御コントローラ30における運転操作補助制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、イグニッションスイッチがオンすることによってスタートし、例えば100msec毎に繰り返される。なお、図17において、図11に示した第2の実施の形態と同様の処理には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0064】
ステップS27で、アクセルペダルストローク量Sが車間制御領域bから高速領域cに変化したと肯定判定されると、ステップS28Aへ進む。ステップS28Aでは、車両制御モード切換時に行うアクセルペダル反力制御の反力変化量ΔFをΔF1に設定する。
【0065】
ステップS27が否定判定されると、ステップS29へ進み、アクセルペダルストローク量Sの領域が車間制御領域bから低速領域aに変化したか否かを判定する。ステップS29が肯定判定されると、ステップS30Aへ進み、反力変化量ΔFをΔF2に設定する。ステップS29が否定判定されると、ステップS31へ進み、アクセルペダルストローク量Sの領域が高速領域cから車間制御領域bに変化したか否かを判定する。ステップS31が肯定判定されると、ステップS32Aへ進み、反力変化量ΔFをΔF3に設定する。ステップS31が否定判定されると、ステップS33へ進む。ステップS33では、アクセルペダルストローク量Sの領域が低速領域aから車間制御領域bに変化したと判断し、ステップS34Aへ進み、反力変化量ΔFをΔF4に設定する。
【0066】
ステップS28A,S30A,S32A,S34Aで反力変化量ΔFを決定すると、ステップS35Aへ進み、決定した反力変化量ΔFだけアクセルペダル反力Fをパルス状に増加させるように反力制御装置70に指令を出力する。
【0067】
以上説明したように、第3の実施の形態においては、上述した第1および第2の実施の形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。すなわち、車両制御モードが切り換わる際にアクセルペダル操作反力を変化させるので、運転者に車両制御モードの変化を容易に体感させることができる。さらに、切り換わりの重要度が高いほどアクセルペダル反力の増加量を大きくすれば、車両制御モードの切り換わりをより確実に体感させることができる。
【0068】
《第4の実施の形態》
本発明の第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、以下に説明する。第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成は、図12〜図14に示した第3に実施の形態と同様である。以下、車両用運転操作補助装置の動作について詳細に説明する。
【0069】
図18(a)(b)に、それぞれ時間軸に対するアクセルペダルストローク量Sの変化およびアクセルペダル操作反力Fの変化を示す。図18(a)に示すように、アクセルペダルストローク量SがS0<S≦S2の車間制御領域bから、運転者によってアクセルペダル50が踏み込まれてアクセルペダルストローク量SがS2を超えると、自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わる。このとき、自動走行制御コントローラ30は、図18(b)に示すように、アクセルペダル50を所定の条件に従って振動させるような指令を反力制御装置70に出力する。アクセルペダル50に発生させる振動は、例えば、アクセルペダル50の操作反力に振幅(反力変化量)ΔF10、周期f10の振動を持続時間T10だけ発生させ、アクセルペダル反力Fを小刻みに変化させることによって実現することができる。反力制御装置70は、自動走行制御コントローラ30からの指令に応じて、アクセルペダル50を振動させるようにサーボモータ80を制御する。
【0070】
このように、自動走行制御モードから手動走行モード2に切り換わる際に、アクセルペダル50を振幅ΔF10,周期f10で、持続時間Tだけ振動させることにより、車両制御モードの切り換わりを運転車に体感させることができる。アクセルペダル50を振動させることにより、アクセルペダル反力Fをパルス状に増加する場合に比べて、より確実に車両制御モードの変化を知らせることができる。
【0071】
なお、ここでは自動走行制御モードから手動走行モード2への切り換わりの際のアクセルペダル振動制御を説明したが、これ以外の車両制御モードの切り換わり時にも同様にアクセルペダル50を振動させる。以下に、手動走行モード1から自動走行制御モードへの切換わりに対応したアクセルペダル反力制御を一例として説明する。
【0072】
図19(a)(b)に、時間軸に対するアクセルペダルストローク量Sとアクセルペダル反力Fの変化をそれぞれ示す。図19(a)に示すように、アクセルペダルストローク量SがS≦S0の低速領域aからS0を超えると、手動走行モード1から自動走行制御モードへと切り換わる。このとき、自動走行制御コントローラ30は、振幅ΔF40,周期f40の振動を持続時間T40だけアクセルペダル50に発生させるような指令を反力制御装置70に出力する。反力制御装置70は、この指令に応じてアクセルペダル50を振動させるようにサーボモータ80を制御する。
【0073】
車両制御モードの切り換わり時にアクセルペダル50に発生させる振動の振幅ΔF、周期fおよび持続時間Tは、車両制御モード切換の重要度に応じて設定する。車両制御モード切換の重要度の高い順番から、▲1▼自動走行制御モードから手動走行モード2(車間制御領域bから高速領域c)、▲2▼自動走行制御モードから手動走行モード1(車間制御領域bから低速領域a)、▲3▼手動走行モード2から自動走行制御モード(高速領域cから車間制御領域b)、▲4▼手動走行モード1から自動走行制御モード(低速領域aから車間制御領域b)とした場合、それぞれの切り換わり時に発生させる振動の振幅ΔF、周期f、持続時間Tをそれぞれ、ΔF10,ΔF20,ΔF30,ΔF40,f10,f20,f30,f40,T10,T20,T30,T40とする。ここで、振動の振幅ΔF、周期f、持続時間Tは、それぞれ以下の条件を満たすように決定する。
振幅ΔF:ΔF10>ΔF20>ΔF30>ΔF40
周期f:f10>f20>f30>f40
持続時間T:T10>T20>T30>T40
これらの値は、運転者にアクセルペダル反力Fが増加していることを認識させることができるとともに、その後の運転操作に支障をきたさない程度のものであればよい。
【0074】
自動走行制御コントローラ30は、アクセルペダルストローク量Sによって車両制御モードの切り換わりを検出し、車両制御モード切換の重要度に応じた振動をアクセルペダル50に発生する反力制御装置70に指令を出力する。これにより、車両制御モード切換の重要度が高いほど大きな振動が長い間発生し、運転者に、より確実に車両制御モードの切り換わりを認識させることができる。
【0075】
また、車両制御モード切換▲4▼や▲3▼において振動の振幅ΔFをそれぞれΔF40=0,ΔF30=0と設定し、重要度の低い車両制御モード切換を運転者に積極的に知らせないようにすることにより、煩わしさを低減させることができる。さらに、重要度の低い車両制御モード切換の際にアクセルペダル反力制御を行わないと、重要度の高い車両制御モード切換の際に行うアクセルペダル反力増加が強調され、運転者に重要度の高い車両制御モード切換をより確実に認識させることができる。
【0076】
さらに、車両制御モード切り換わり時に、アクセルペダル50に発生させた振動と同様に、車両制御モード切り換わりの重要度に応じてステアリングホイールや運転席等を振動させることによって、運転者に車両制御モードの切り替わりを知らせてもよい。
【0077】
以上説明した車両制御モード切換、および車両制御モード切換の際のアクセルペダル反力制御に関する処理は、自動走行制御コントローラ30において実行される。図20は、本発明の第4の実施の形態による自動走行制御コントローラ30における運転操作補助制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、イグニッションスイッチがオンすることによってスタートし、例えば100msec毎に繰り返される。なお、図20において、図11に示した第2の実施の形態と同様の処理には同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0078】
ステップS27で、アクセルペダルストローク量Sが車間制御領域bから高速領域cに変化したと肯定判定されると、ステップS28Bへ進む。ステップS28Bでは、車両制御モード切換時にアクセルペダル50に発生させる振動の振幅ΔF、周期f、持続時間Tを、それぞれΔF10、f10,T10に設定する。
【0079】
ステップS27が否定判定されると、ステップS29へ進み、アクセルペダルストローク量Sの領域が車間制御領域bから低速領域aに変化したか否かを判定する。ステップS29が肯定判定されると、ステップS30Bへ進み、振幅ΔF、周期f、持続時間Tを、それぞれΔF20、f20,T20に設定する。ステップS29が否定判定されると、ステップS31へ進み、アクセルペダルストローク量Sの領域が高速領域cから車間制御領域bに変化したか否かを判定する。ステップS31が肯定判定されると、ステップS32Bへ進み、振幅ΔF、周期f、持続時間Tを、それぞれΔF30、f30,T30に設定する。ステップS31が否定判定されると、ステップS33へ進む。ステップS33では、アクセルペダルストローク量Sの領域が低速領域aから車間制御領域bに変化したと判断し、ステップS34Bへ進み、振幅ΔF、周期f、持続時間Tを、それぞれΔF40、f40,T40に設定する。
【0080】
ステップS28B,S30B,S32B,S34Bで振幅ΔF、周期f、持続時間Tをそれぞれ決定すると、ステップS35Bへ進み、決定した振幅ΔF、周期f、持続時間Tを満たす振動をアクセルペダル50に発生させるように反力制御装置70に指令を出力する。
【0081】
以上説明したように、第4の実施の形態においては、上述した第1および第2の実施の形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。車両制御モードが切り換わる際にアクセルペダルを振動させるので、車両制御モードの切り換わりを運転者に直感的に認識させることができる。また、切り換わりの重要度が高いほど振幅、周期および持続時間の大きな振動を発生させれば、車両制御モードの切り換わりをより確実に認識させることができる。また、車両制御モードが切り換わる際にステアリングホイールや運転席を振動させても、モードの切り換わりを直感的に認識させることができる。
【0082】
なお、本発明による車両用運転操作補助装置は、上述した実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記第1および第2の実施の形態では、ギアのシフトチェンジにより車両特性を変更するようにしたが、例えばエンジン回転数を増減して車両特性を変更するようにしてもよい。また、無段変速機、いわゆるCVTを備えた車両の場合、変速比を大きくすることによって慣性力を発生させても上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
図3(b)および図9(b)に示したアクセルペダルストローク量Sに対する車間距離目標値Dの特性は一例であり、アクセルペダルストローク量Sに応じて車両制御モードが切り換わるものであれば、いかなる特性であってもよい。また、車両制御モードの切換をアクセルペダルストローク量Sに応じて判断するよう構成したが、これに限らず、例えば車速に基づいて行ってもよい。この場合、例えば車速40km/h〜80km/hの範囲で自動走行制御モードを選択し、アクセルペダルストローク量Sに応じた車間距離目標値Dを実現するように車間距離制御を行うようにする。また、アクセルペダルストローク量Sと車速とを組み合わせて車両制御モードの切換を判断してもよい。自動走行制御モードでは車間距離一定として追従走行を制御したが、これに限らず車速一定で追従制御することや両者を組み合わせて追従制御することもできる。
【0084】
さらに、シフトチェンジ時間Tsを停留時間をパラメータとして求めるようにしたが、他のパラメータ、例えば車速によって求めてもよい。アクセルペダル反力Fを振動することによってアクセルペダル50を振動させたが、これには限定されず、例えば、アクセルペダル50を振動させるための機構を設けて機械的に振動を発生させてもよい。
【0085】
上述した第1の実施の形態においては、車両制御モードを選択するための選択スイッチ31を設け、選択スイッチ31によって自動運転が選択された場合に車間距離制御が可能となるように構成したが、これには限定されない。例えば、第2の実施の形態のように、選択スイッチ31を備えずに、アクセルペダルストローク量Sが所定の領域に達した場合には自動走行制御モードに自動で切り換わるように構成してもよい。同様に、第2から第4の実施の形態に選択スイッチを設け、運転者の意図に応じて自動走行制御モードが選択できるようにしてもよい。
【0086】
以上説明した実施の形態においては、走行制御手段として自動走行制御コントローラ30、エンジン制御コントローラ40,スロットルアクチュエータ41およびブレーキアクチュエータ42を、モード切換手段として自動走行制御コントローラ30を、変更手段としてエンジン制御コントローラ40、およびA/Tコントローラユニット43、あるいは反力制御装置70を、検出手段としてアクセルペダルストローク量検知部60を、さらに、計測手段として自動走行制御コントローラ30を用いたが、これらには限定されない。例えば、変更手段は運転者に車両制御モードの切り換わりを体感させることができれば、ステアリングホイールを振動させるよう操舵反力を制御するサーボモータでもよいし、運転席を振動させるように前後に小刻みに移動させるシートスライダーでもよい。また、走行制御手段としてエンジン制御コントローラ40によりスロットルアクチュエータ41とブレーキアクチュエータ42の両方を制御するように構成したが、これらのうち、いずれか一方を制御して自車両の加減速を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置の構成を示すシステム図。
【図2】 図1に示す車両用運転操作補助装置を搭載する車両の構成図。
【図3】(a)アクセルペダルストローク量と出力トルクとの関係図、(b)アクセルペダルストローク量と車間距離目標値との関係図。
【図4】 手動走行モード1から自動走行モードへ移行する際の、(a)ギアのシフト位置の動作特性図、(b)アクセルペダルストローク量の動作特性図。
【図5】 自動走行モードから手動走行モード2へ移行する際の、(a)ギアのシフト位置の動作特性図、(b)アクセルペダルストローク量の動作特性図。
【図6】 停留時間とシフトアップ時間、シフトダウン時間との関係図。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置を構成する自動走行制御コントローラでの処理の一例を示すフロチャート。
【図8】 図7の変形例を示す図。
【図9】(a)アクセルペダルストローク量と出力トルクとの関係図、(b)アクセルペダルストローク量と車間距離目標値との関係図。
【図10】 自動走行制御モードから手動走行モード2へ移行する際の、ギアのシフト位置の動作特性図。
【図11】 第2の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置を構成する自動走行制御コントローラでの処理の一例を示すフローチャート。
【図12】 本発明の第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置の構成を示すシステム図。
【図13】 図14に示す車両用運転操作補助装置を搭載した車両の構成図。
【図14】 アクセルペダルとその周辺の構成を示す図。
【図15】 自動走行制御モードから手動走行モード2へ移行する際の、(a)アクセルペダルストローク量の動作特性図、(b)アクセルペダル反力の変化を示す図。
【図16】 手動走行モード1から自動走行制御モードへ移行する際の、(a)アクセルペダルストローク量の動作特性図、(b)アクセルペダル反力の変化を示す図。
【図17】 第3の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置を構成する自動走行制御コントローラでの処理の一例を示すフローチャート。
【図18】 自動走行制御モードから手動走行モード2へ移行する際の、(a)アクセルペダルストローク量の動作特性図、(b)アクセルペダル反力の変化を示す図。
【図19】 手動走行モード1から自動走行制御モードへ移行する際の、(a)アクセルペダルストローク量の動作特性図、(b)アクセルペダル反力の変化を示す図。
【図20】 第4の実施の形態に係わる車両用運転操作補助装置を構成する自動走行制御コントローラでの処理の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
10:レーザレーダ
20:車速センサ
30:自動走行制御コントローラ
40:エンジン制御コントローラ
41:スロットルアクチュエータ
42:ブレーキアクチュエータ
43:A/Tコントロールユニット
50:アクセルペダル
60:アクセルペダルストローク量検知部
70:反力制御装置
80:サーボモータ

Claims (2)

  1. アクセルペダルのストローク量を検出する検出手段と、
    先行車両に追従走行する自動制御モード、および、前記アクセルペダルの操作に応じて単独走行する手動制御モードのいずれかの車両制御モードによって自車両を走行制御する走行制御手段と、
    前記検出手段により検出されたアクセルペダルのストローク量に応じて車両制御モードを切り換えるモード切換手段と、
    前記モード切換手段により車両制御モードが切り換えられると、運転者に慣性力を体感させて車両制御モードの切り換わりを知らせるように、車両特性を一時的に所定の特性に変更する変更手段と、
    現在の車両制御モードが開始されてからの継続時間を計測する計測手段とを備え、
    前記変更手段は、前記計測手段により計測された継続時間に応じた時間だけ車両特性を変更することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
  2. 請求項1に記載の車両用運転操作補助装置において、
    前記変更手段は、前記継続時間が長くなるほど、前記車両特性を変更する時間を長く設定することを特徴とする車両用運転操作補助装置。
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