JP4101711B2 - 砕石器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、好ましくは人体内のターゲットオブジェクト、特に結石を破砕するための砕石器であって、集束衝撃波を発生するための衝撃波発生器と、超音波を人体に発射し且つ衝撃波発生器のターゲット領域で反射された超音波を受信するための、超音波変換器を含む超音波送受信ユニットと、受信された超音波を評価するための、超音波送受信ユニットに接続された評価ユニットとを備えた砕石器に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、砕石器は、集束衝撃波の助けを借りて患者の体の結石、例えば腎臓結石を破壊するための医療用装置として普及している。このような砕石器は、本出願人によって、例えば、「Dornier Lithotripter S」或いは「Dornier Compact Delta」の名称で市販されている。これらの装置の全てにおいて、結石が処置の開始に先立って検出されなければならず、そのため、例えば、患者の腎臓結石が砕石器の衝撃波発生器の助けを借りて発生される衝撃波の焦点内になるように患者が可動ストレッチャーの助けを借りて位置決めされる。この初期の「調節」、即ち、患者の位置決めは、通常、撮像位置検出デバイス、例えば撮像超音波スキャナやX線位置検出デバイスにより行われる。ESWL処置(体外衝撃波砕石術)やESWT処置(体外衝撃波療法)の開始前における最初の結石の初期位置検出に加えて、このデバイスは、結石がもはや衝撃波の焦点内にないように、結石が患者の体内でスリップしなかったこと又は他の位置に移動しなかったことを保障するために、或いは患者がストレッチャー上を移動しなかったことを保障するために、処置の間に結石の位置を連続的に監視するようにも働く。ESWTについての、及び砕石器に使用されるデバイスについての技術的及び医療的な観点の広範な理解のためには、非特許文献1を参照されたい。
【0003】
一般的に、上述した撮像位置検出デバイスは、処置、即ち、ターゲットオブジェクトの破砕の過程での砕石手術の成功を監視するためにも使用される。処置には通常約30分かかるので、過剰なX線線量のために連続的な方法は可能ではなく、長くて3〜5分間隔である。一方で、ターゲットオブジェクトが、例えば、患者の動きによってシフトすると、ターゲットオブジェクトがもはや衝撃波の焦点内になくなるので、ターゲットオブジェクトが更に破砕されることなく、次の制御検査まで、人体に衝撃波が加えられることとなる。
【0004】
超音波スキャナが撮像位置検出デバイスとして使用される砕石器では、このようなスキャナは、ターゲットオブジェクトの可視化のために連続的に使用することができるが、位置検出の操作はしばしば、とりわけ画像品質の理由から、放射線写真の場合以上に非常に困難であり、経験のある医療技術者でさえも、しばしば、ターゲットオブジェクトの認識又はターゲットオブジェクトの破砕の度合の評価が困難となる。
【0005】
更に、患者の「初期調節」のみならず、処置の過程での「衝打制御(hit control)」のための位置検出デバイスの使用には、以下のような基本的な欠点がある。即ちこれらのデバイスにおいて、衝撃波の焦点に対するターゲットオブジェクトの位置、即ち、純粋に幾何学的な量を制御することは可能であるが、ターゲットオブジェクト自体への衝撃波の効果を検出することができない。従って、衝撃波装置の患者の体に対する不適切なカップリングや、例えば肋骨等による衝撃波のぼやけ等の基本的な問題に関しては、処置の過程でターゲットオブジェクトについての効果が可視にならない場合には、その発見が非常に遅くなる。
【0006】
従って、連続的な衝打制御のための特別な超音波方法、特に超音波ドップラー方法が、従来の技術において既に提案されている。この方法は、衝打した際に、衝撃波からのパルス伝達に起因して人体の結石が微細移動を行うことを前提としている。ターゲットオブジェクトが超音波に曝されるとき、及びオブジェクトから反射された超音波が測定されるときに、この微細移動は、反射波の周波数のドップラーシフトにより表される。受信された超音波の評価がドップラー解析を含むような、請求項1の冒頭部分に従う装備された砕石器は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3から知られている。これらの装置においては、超音波変換器が超音波を人体に出射し、人体によって超音波変換器へ向けて反射された超音波がドップラー信号ユニットにより検知されることは共通しており、このドップラー信号ユニットは、ドップラー信号を発生し且つ評価する出射及び反射用の超音波を含み、本質的に、出射波に対する反射波の周波数のシフトの量が計算され且つそれから衝打の精度が推定される。
【0007】
この手順には、種々の欠点がある。
【0008】
ドップラー信号が、特に、時間的なゼロ点の近傍で、即ち、衝撃波の出射直後に、アーティファクトを含むことが従来技術において既に知られている。これらのまさにアーティファクトの測定を防止するために、特許文献1及び特許文献2に従う砕石器は、例えば、衝撃波発生器とドップラー信号ユニットとの間の時間的な同期をとる手段を備えており、このため、複雑で高価である。
【0009】
更に、結石等の強散乱体の近傍に、ドップラースペクトル中で所謂ミラーアーティファクトを与えられるものが存在し得る。遠回り反射(double retlection)に起因して、散乱体の移動が追加的に反対方向に記録される。これは、ゼロラインで反射された通常の信号に対応する追加の量を導くことになる。処理の簡潔さと強力なアーティファクトとに起因して、速度−時間曲線、従って衝打情報は、スペクトルには容易には割り当てられない。
【0010】
【特許文献1】
EP0367116B1
【特許文献2】
EP0548048B1
【特許文献3】
DE4446192A1
【非特許文献1】
書籍「“ESWT and Ultrasound Imaging of the Musculosceletal System”,Steinkopff-Verlag,Darmstadt,2001,ISBN3-7985-1252-3」
【0011】
【発明が解決しようする課題】
従って、本発明の目的は、複雑な装置を必要とするとともにエラーとなりやすい、上述したドップラー解析を行うことなく、受信された超音波に基づいて衝打と崩壊(分解)制御とについての情報を決定して表示する、上述したタイプの砕石器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、この目的は、超音波変換器がパルス化超音波を出射するように設計され、評価ユニットが、連続的に出射された超音波に起因した、反射された超音波同士の間の時間的な相関係数を決定するとともに、関連する相関係数信号を提供するように設計されている、汎用的な砕石器で達成される。
【0013】
本発明の砕石器の設計は、反射系(即ち、この場合、衝撃波発生器のターゲット領域が位置付けられ且つパルスで出射される超音波が反射される体の部分)がより静的であればある程、連続的に受信された「エコー」、即ち、反射された超音波同士の間の相関が、より大きくなるという事実を利用する。
【0014】
以下の所見が、ここで説明される。
【0015】
例えば、衝撃波発生器から衝撃波が発生されなかったという理由で、或いは、このような衝撃波が発生されたけれども、「衝打ミス(miss)」、即ち、腎臓結石の破砕をミスしたとの理由で、反射系(例えば、処置されるべき患者の腎臓の腎臓結石)が一つの出射された超音波から次の超音波まで変化しなかったときには、第1のエコー(即ち、第1の出射超音波パルスの反射)と、第2のエコー(即ち、第2の出射超音波パルスの反射)とが大部分において一致することは言うまでもない。i番目に受信された超音波エコーの時間曲線が一般的にe(t)として指定され、従って、(i+k)番目の出射パルスの反射を表す、続いて受信される超音波エコーの時間曲線がe+(t)とされると、これらの二つの反射された超音波同士の間の時間的な相関は、以下のように定義される。
【0016】
【数1】
Figure 0004101711
【0017】
この例では、積分の下限Tと積分の上限Tとは、受信されたエコー信号が評価される時間ウインドウを定義する。ここで、TとTとは、エコーが砕石器のターゲット領域から発せられるように選択される。この時間ウインドウの平均値(T+T)/2は、超音波変換器と砕石器のターゲット領域との間の距離に対応する。他方、(T−T)/2は、評価に使用される体積(volume)の大きさを定義する。
【0018】
上記の式(1)において、分母は、相関係数Ki,kの標準化を表す。患者の反射する体の領域が主に静的なままである衝打ミスの最初の考察の場合において、超音波エコーe(t)とe+(t)とは同一である。従って、それらの相関Ki,kは実質的に1である。しかしながら、実際には完全には排除することができないノイズに起因して、e(t)とe+(t)とは同一ではなく、実際には、Ki,k<1が常に適用され得る。
【0019】
この立場は、衝打ミスの代わりに衝打が集束衝撃波により達成されると、完全に変化する。その理由は、受信された超音波の時間曲線に各々が作用する異なる効果が導かれるからである。衝撃波と結石との間の相互作用メカニズムによって、特に、既に結石が部分的に或いは大部分で破砕されている場合には、結石の微細移動が引き起こされることになる。特に、処置の開始時に、結石がまだ相当な範囲まで破砕されていない場合には、他の効果、即ち、何よりも、結石からの破砕片の飛び散り及び成功した衝打の場合の結石の回りでのキャビテーションバブルの発生が支配的になる。これらのメカニズムの全ては、出射された超音波パルスが反射される患者の体の領域の動的な移動を引き起こし、衝撃波と結石との間の相互作用が強力になればなるほど、及びすでに破砕された結石が大きくなればなるほど、連続的に出射された超音波パルスの反射に対応する超音波エコー同士の間の相関がより小さくなるという総合的な効果を有する。従って、評価ユニットによって提供される相関係数信号は、出射された衝撃波とターゲットオブジェクトとの間の相互作用の強さに関する望ましい情報を含む。
【0020】
上記で使用された学術用語から、及び二つの超音波エコーe(t)とe+(t)とに関してすでに集められているように、二つの受信した超音波は、時間的な相関係数を決定するために使用することができ、これらの二つの超音波は、直接相前後して出射されなかった超音波パルスに属し、更に出射された超音波パルスによって分離されている。しかしながら、好ましくは、評価ユニットは、連続した、出射された超音波パルスに直接的に起因した、反射された超音波の助けを借りて相関係数を決定するように設計されることが意図される。従って、上記学術用語において、これは、k=1の場合に対応し、且つ、評価ユニットによって受信された情報の最大限の利用を可能とする。この例の場合、その様子は、例えば、衝撃波の発生後に出射された最初の三個の超音波パルスで、これら三個の超音波パルスが衝撃波発生器のターゲット領域で反射され、超音波変換器によってエコー1〜3として受信され、評価ユニットで評価され、このユニットが第1と第2のエコーとの間の相関、次に第2と第3のエコーとの間の相関等を決定することを明らかにしている。これらの相関係数の各計算に続き、関連する相関係数信号が評価ユニットによって出力される。
【0021】
相関係数信号に含まれる衝打情報の更なる処理に関して、多くの手順をとることが可能である。
【0022】
本発明による砕石器の好適な設計では、砕石器が、更に、相関係数の時間曲線を表示するために、評価ユニットに接続された表示装置を備えることを意図している。相関係数は、横座標が、最後の衝撃波の出射からの時間であり、且つ、縦座標が、決定された相関係数であるような座標系で表される。衝打ミスの場合には、この曲線は、二つの連続する衝撃波の間の略全時間に亘って略1の一定値を有する。反対に、衝打の場合には、反射された超音波エコーに影響を及ぼすターゲットオブジェクトの上述した効果に起因して、相関係数の時間曲線の「たるみ(sag)」が観察される。一般的な体験に従うと、約50〜100ms後に、破砕片と結石自体とが再び静定し、その期間後に、キャビテーションバブルが再び消滅し、従って、連続した超音波エコーが再び互いにますます類似してくる。そして、相関係数が、1の値へ向かって緩和する。このように、砕石器を操作する医療技術者は、本発明に従って意図された表示に基づいて、衝打ミスであるか衝打であるかを直ちに評価することができる。
【0023】
加えて、或いは別の手法として、評価ユニットは、衝撃波の出射後に相関係数の最小値が所定の第1の閾値を下回らない場合にエラー信号を出力するように設計されるとよい。その理由は、相関係数に関する衝打の衝撃についての上述した説明から、その時間曲線は、衝打がより良好であればあったほど、即ち、衝撃波とターゲットオブジェクトとの間の相互作用がより強力であればあったほど、より顕著なたるみを示すことになるからである。従って、正確な衝打の場合の相関係数におけるたるみは、より顕著であるべきであり、換言すれば、衝打ミス或いは「部分的な衝打」は、上述した相関係数の時間分解表示において、その係数の最小値が第1の閾値を下回らないという事実に起因して認識することができる。この例のようなエラー信号の出力によって、医療技術者の介在を必要とすることなく、上述した衝打ミス情報を自動的に更に処理することが可能となる。
【0024】
加えて、或いは別の手法として、評価ユニットは、衝撃波の出射後に、相関係数の緩和時間が所定の第2の閾値以下となる場合、エラー信号を出力するように設計されるとよい。その理由は、結石、破砕片及びキャビテーションバブルからなる系が、相関係数の最小緩和時間、即ち、相関係数が時間に関してプロットされるときのたるみの幅に従って再び落ち着くために特定の最小時間を必要とするという特徴によって表現されるからである。より特定的であるためには、全体の処置の過程で、緩和時間が緩和時間の展開をトレースするように連続的な表示の形態で表示することができる。しかしながら、ターゲットオブジェクトの連続的な破壊が成功した場合、相関係数の緩和時間が連続的に増加するはずである。反対に、緩和時間が減少すると、これは、結石の移動(例えば、患者の腎臓内での腎臓結石の移動)に起因して、或いは患者自身の変位に起因して衝撃波の焦点から外れるように結石が移動したことの強いサインである。必要ならば、ここでは、撮像位置検出デバイスによって提供される画像が示される表示装置としてスクリーンが使用されてもよい。
【0025】
緩和時間は、異なる方法で決定されてもよい。例えば、評価ユニットは、ガウス曲線を相関係数の時間曲線に適合させることによって緩和時間を決定するように設計することができる。実際に生じる曲線の形状に依存して、1−A・exp(−t/T)の形式の関数を相関係数の時間曲線に適合することは好都合である。式中、Tは、適合によって決定されるべき緩和時間である。同様に、特に単純な実施の形態において、例えば、相関係数の時間曲線が第1の時間期間、即ち緩和フェーズにおいて、特定の閾値を下回り、次に、その時間曲線が、再びその閾値を上回る時点の差として、閾値を介して緩和時間Tを定義することが可能である。
【0026】
今日、このような曲線適合(「フィッティング」)及び閾値解析は、容易で信頼できる多くのデータ処理システムによって実行することができ、それによって、衝撃波療法のリアルタイムの制御が評価ユニットの助けを借りて可能である。
【0027】
本発明の有利な展開として、本発明の砕石器は、エラー信号を送出する評価ユニットに接続されるアラーム装置を備え、この場合、アラーム装置は、光及び/又は音響アラームを出力するように設計されることが好都合である。このように、供給されたエラー信号に基づいて、それぞれ衝打ミスを示す、相関係数の最小値が第1の閾値を下回らない事態や、相関係数の緩和時間が第2の閾値未満になる事態になると直ちに、本発明に従って提案されたアラーム装置は、例えば、警告音や警告光を発することができる。
【0028】
加えて、或いは別の手法として、アラームは、測定された緩和時間が否定的な傾向を示す場合に起動されることができ、従って、崩壊の場合には、上昇緩衝時間が前提とされなければならない。
【0029】
別の手法として或いはそれに加えて、衝撃波発生器が評価ユニットに接続され、且つ、エラー信号の関数として衝撃波の発生を停止又は継続するように設計されることが意図されてもよい。それによって、例えば、ターゲットオブジェクトがもはや衝撃波の焦点内にないことが明らかなとき、衝撃波発生器の自動的なスイッチングのオフが達成される。従って、砕石器を操作する医療技術者の注意や反応時間とは独立して、衝撃波の衝打ミスによる患者の体への不必要な負担が回避される。
【0030】
それを越えたとき或いはそれ未満の時に評価ユニットがエラー信号を出力する効果を有する上述した閾値は、一般的に事前に設定されることが可能であり、衝撃波発生器の技術データ(特に、その性能)と患者の典型的データとがこの処理で考慮される。しかしながら、評価ユニットが第1及び/又は第2の閾値を調節するための調節手段を備えることが意図されることが好都合である。この場合、閾値は、信号ノイズの発生を考慮して処置の開始時に個々に設定することができる。また、閾値は、信号自体に基づいて自動的に決定することもでき、衝撃波治療の開始に先立って得られる信号によって相関係数の理想曲線とバックグラウンドノイズとを決定することが可能である。
【0031】
本発明の砕石器の展開として、評価ユニットは、特に平均化によって、相関係数の値のばらつきを平滑化するように設計することができる。平均化演算が行われる相関係数の値の数は、変数であるように選択されることが好ましい。
【0032】
従って、例えば、相関係数の計算中に数値的なアーティファクトによって引き起こされる、例えば、個々の「孤立値」が、評価ユニットよってエラー信号の出力を導くことが防止される。同様に、衝撃波源の動作によって引き起こされ且つそのときに受信されるエコーの一つから発せられる電磁干渉が、相関係数での孤立値を導く強く干渉する効果を有するのを防止するように、超音波変換器と衝撃波発生器との間の同期を行うことができる。
【0033】
更に、評価ユニットは、幾つかの衝撃波に亘って相関係数の最小値及び/又は緩和時間を平均化するように設計することができる。ここで、典型的な砕石術処置の以下の幾何学的な状況が考察される必要がある。衝撃波の焦点は、約4mmの典型的な範囲を有する。典型的な結石、例えば腎臓結石は、処置の開始時に5mmと20mmとの間の寸法を有し、約30mmの大きさで患者の単なる呼吸によって前後に移動される。このような条件下で、典型的には患者のそれぞれの呼吸状態に関係なく衝撃波の出射が行われるので、幾つかの衝撃波は、必ず結石をミスする。このような衝撃波の後に直接測定される相関係数の最小値は、上述したように、特に大きく、極端な場合、その相関係数は、一定値である1を有する。従って、このような衝撃波の後に、直接測定された緩和時間は、特に短く、従って、二つのパラメータのうちの一方がエラー信号の出力の根拠を形成する可能性があるのにも拘わらず、アラーム装置が常に作動される及び/又は患者の調整不良がなくとも衝撃波発生器のスイッチがオフにされる。むしろ、次の衝撃波は、それらが患者の他の呼吸状態で発生されるので、既に結石を再び衝打している。幾つかの衝撃波に亘る最小値又は緩衝時間の平均化は、本発明のこの実施の形態で意図されているように、例えば、5個の衝撃波に亘る平均化演算は、評価ユニットの第1の調節で最初に行うことができるが、処置の効率の更なる向上のために、平均化演算が行われる衝撃波の数は、患者の呼吸動作、破砕されるべき結石の大きさ等によって、患者の処置の始めに個々に設定されるべきである。一般に、平滑化又は平均化演算の代わりに、他の種類の信号のフィルタリング動作、例えば中央値フィルタリングも可能である。
【0034】
ドップラー解析を行う汎用的な砕石器のこれらのバージョンでは、多くの超音波測定は明確に個々の患者に依存するということが、臨床実験で分かった。従って、評価ユニットは、本発明による砕石器の有利な開発において、相関係数の最小値及び/又は緩和時間を基準相関係数曲線の基準最小値又は基準緩和時間に標準化するように設計することができる。この基準相関係数の曲線は、患者が砕石器において上述した方法で調節されたときに、処置の始めに記録されることが好都合であり、従って、撮像位置検出デバイスの助けを借りて監視され得るので、例えば、腎臓結石は、衝撃波の焦点内に正確に検出される。従って、処理の上述した表示、即ち、衝撃波処置の過程での例えば緩和時間の連続的なプロットにおいて、相関係数の絶対的な緩和時間ではなくて、標準化された緩和時間がプロットされる。
【0035】
ここまでに記述された手順において、相関係数は、上記の式(1)に従って計算される。ターゲットオブジェクトの破砕は、衝打した後に、ターゲットオブジェクト、破砕片及びキャビテーションバブルからなる系が再び静定すると、典型的な緩和時間に従って1の値へと緩和する、相関係数の時間曲線でのたるみをもたらす効果がある。しかしながら、i番目の超音波パルスの出射と(i+k)番目の超音波パルスの出射との間の患者の呼吸動作に起因して、例えば、結石が僅かにシフトすると、上記の式(1)は、相関係数における減少となる。次に、ターゲットオブジェクトのシフトに起因して、(i+k)番目に受信された超音波エコーの時間曲線e+(t)がi番目の超音波エコーの曲線e(t)と比較して時間軸上をシフトするので、上記の式(1)に従って動作する評価ユニットは、相関係数での減少を既に計算している。これは、例えば、超音波変換器から離れる方向への結石の僅かな移動の場合、(i+k)番目に出射された超音波は、反射される前のi番目の超音波よりも幾分長い距離をカバーしなければならず、従って、(i+k)番目のエコーは、同じ追加の距離を移動しなけらばならない。計算された相関係数へのこのような影響を除去するために、評価ユニットは、反射された超音波同士の間の時間に関する相互相関関数を決定し、相関係数として時間に関する相互相関関数の最大値を決定するように設計されることが、本発明の砕石器の実施の形態において意図される。この例では、評価ユニットは、以下の式に従って実質的に相関係数を計算する。
【0036】
【数2】
Figure 0004101711
ここで、括弧内の式は、変数Δtを有する相互相関関数を表す。
【0037】
従って、本実施の形態において、評価ユニットは、時間毎に、量Δtだけ時間軸に沿って(i+k)番目の測定変動をシフトし、式(1)と同様に、時間積分を形成しているに過ぎない。Δtの多くの値に対してこのように計算された相関係数が一時的に格納される。これらの最大値が、最終的に見つけられるべき、相関係数Ki,kとして決定される。このアルゴリズムは、相互相関方法として知られており、医療分野において、例えば、血流速度プロファイルの決定において使用されており、ここでは、Δtのその値は、Kの最大値を得るための値を求める。ここでは、文献「“Flow Velocity Profile via Time-Domain Correlation: Error Analysis and Computer Simulation”by Steven G.Foster,Paul M.Embree, William D.O'Brien jr.,IEEE Transactions on Ultrasonics,Ferroelectrics and Frequency Control,vol.37,no.2,May 1990,page 164」及び文献「“Time Domain Formulation of Pulse-Doppler Ultrasound and Blood Velocity Estimation by Cross Correlation”by O.Bonnefous and P. Pesque, Ultrasonic Imaging 8, 1986,pages 73-85」を参照されたい。
【0038】
Δtに含まれる可能な医療情報に関して、勿論、それらの測定パラメータの一時的な格納が意図される。
【0039】
有利なことは、超音波変換器の全ての実施の形態において、超音波送信/受信ユニットは、調節可能なホルダに取り付けられる。次に、超音波変換器は、受信された超音波信号を最適化するための砕石器の他の部品から独立して調節されることが可能であり、最適な位置に固定される。それによって、超音波変換器が衝撃波の焦点へ向けられることが特に保障される。所謂アイソセンタスキャナガイダンスの別の手法として、所謂インライン変換器、即ち、衝撃波源に一体化される超音波変換器が使用され得る。
【0040】
一般に、以下の点に注意が払われるべきである。調節可能なホルダを使用すると、PW方法(パルス波)において、出射された超音波パルスが組織に伝播し且つエコーが発生されるラインが適切に定義される。アイソセンタ構造において、衝撃波の焦点、例えば、ターゲット領域がそのラインに沿って位置決めされることが保障される。公知の手段、例えば、変位センサを使用する場合、焦点に対する変換器の距離を決定することができる。一方、組織内への超音波パルスの既知の伝播時間に基づき、その距離に基づく時間ウインドウを定義することが可能であり、この時間ウインドウは、ターゲット領域で発生されたエコーのその部分、即ち、上記の式(1)に従う時間ウインドウ(T,T)を切り出す。
【0041】
本発明の砕石器の一実施の形態において、超音波送信/受信ユニットは、撮像超音波スキャナ(デュープレックススキャナ)の一部として設計されることが意図されてもよい。この例では、特に、超音波変換器及び超音波送信/受信ユニットの電子システムの部分は、超音波撮像のために及び超音波エコーパルス測定のために同時に使用され得る。
【0042】
或いは、超音波変換器は、安価なピンプローブとして設計されてもよく、上述したホルダとともに使用されるとき、即ち、それが常に衝撃波の焦点へ向けられることを保障するために、このピンプローブをフレキシブルに使用することができる。
【0043】
この様な設計は、本発明の砕石器が更にX線位置検出デバイスを備える場合に、特に推奨される。この例では、撮像は、患者の位置決めの開始時、及び連続的な衝打制御が、ピンプローブとして設計された超音波変換器の助けを借りて行われるとともに、この撮像X線位置検出デバイスの助けを借りて約3〜5分ごとに起こる詳細な制御時に行われる。この例の場合も、相関係数は、X線画像を表示するためにも使用される表示装置上に表示されてもよいことは言うまでもない。
【0044】
本発明の砕石器が、処置プロセスに亘る相関係数の最小値及び/又は緩和時間を連続的に表示するための手段を備えることが意図されることが好ましい。この例の場合も、この手段は、上述した表示装置であってもよい。このように、砕石器を操作する医療技術者は、全体の処置プロセスの広範な観察を行う。
【0045】
更に、本発明は、ターゲットオブジェクト、特に、好ましくは人体内の結石の破砕を監視するための汎用的な方法に関し、この方法は、超音波を人体に出射するステップと、ターゲットオブジェクト上で反射された超音波を受信するステップと、受信された超音波を評価するステップとを備え、超音波を出射するステップにおいて、パルス化超音波が出射され、評価ステップが連続的に出射された超音波パルスに起因した、反射された超音波同士の間の時間的な相関係数を決定するステップを備え、且つ、関連する相関係数信号を出力するステップを更に備えたことを特徴としている。
【0046】
上述したように、この方法が、集束衝撃波を発生するための衝撃波発生器を備えた砕石器に人体を配するステップと、ターゲットオブジェクト及び衝撃波発生器の焦点とを撮像位置検出デバイスの表示装置上に表示するステップと、ターゲットオブジェクトが衝撃波発生器の焦点内に位置決めされるように人体を調節するステップと、衝撃波をターゲットオブジェクトへ向けて出射し、相関係数の最小値及び/又は緩和時間を決定するステップと、最小値又は緩和時間を基準最小値又は基準緩和時間として格納するステップと、後で測定された相関係数の最小値及び/又は緩和時間を基準最小値又は基準緩和時間に対して標準化する後のステップとを更に備えた方法で砕石器で使用される場合、この方法は、更に発展される。これによって、相関係数の測定された最小値又は緩和時間が患者と結石との典型的な値に対して標準化される。
【0047】
上述した理由のために、処置プロセス中の相関係数の最小値及び/又は緩和時間の連続的な表示が意図される。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0049】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による砕石器10の必須の機械的コンポーネントを示す概略図である。衝撃波発生器16のカップリングクッション14が患者12の体の望ましい場所で押圧され、患者12の体内の破砕されるべき結石18へ向けて衝撃波を出射することができるように、患者12は、調節可能なストレッチャー(図1には図示せず)上で位置決めされる。図1に概略的に表される場合において、この結石18は、患者12の腎臓20内の腎臓結石である。患者12は、衝撃波発生器15の衝撃波源22によって発生され且つ患者12の体内にカップリングクッション14を介して伝達される衝撃波の焦点が腎臓結石18に位置付けられるように、調節可能なストレッチャーの助けを借りて「調節」、即ち、位置決めされる。この焦点は、十字の印で図1に描かれている。このような調節は、通常、撮像位置検出デバイス、例えばX線デバイスや超音波スキャナの助けを借りて行われる。
【0050】
砕石器10のこれらのコンポーネント及び処置の開始に先立つ患者のこのような位置決めの手順は、それ自体知られているものであり、ここでは詳述しない。
【0051】
更に、本発明による砕石器10は、調節可能なホルダ26に取り付けられた超音波変換器24を備えている。図1に示される例では、このホルダ26は、ヒンジアームの形態で設計されており、点線で図1に示されるように、超音波変換器24が衝撃波の焦点へ向けられるように患者の体の望ましい場所へ超音波変換器25を正確に位置決めすることができる。このような配置はアイソセンタスキャナガイダンス(isocentric scanner guidance)と称される。
【0052】
超音波変換器24は、超音波をパルス(パルス波、PW)で衝撃波の焦点へ向けて送信し、更に患者12の体、特に、衝撃波の焦点の領域から反射された超音波を受信する。図2に表されているように、受信された超音波信号は、超音波変換器24によって制御ユニット28に供給され、この制御ユニット28は、送信/受信ユニットの一部、例えば、その中に含まれる圧電要素として超音波変換器24に適するように動作を制御するのみならず、この超音波変換器24によって測定された反射された超音波信号を感知し、それらの信号を下流の電子ユニットに渡す。例えば、制御ユニット28は、表示装置30上に表示され得る腎臓結石の超音波画像の助けを借りて、受信された超音波信号を画像処理モジュール(図2には図示せず)に渡すことができる。
【0053】
これにも拘わらず、本発明による砕石器10の制御ユニット28は、受信された超音波信号を評価ユニット32に供給する。この評価ユニット32は、それが連続して出射された超音波パルスに起因した、反射された超音波同士の間の時間的な相関係数を決定するように設計されている。この点については、図3及び図4を参照して説明される。
【0054】
超音波変換器24は、典型的には約1kHzの周波数で超音波パルスを出射し、これらのパルスは、患者12の体内で反射される。即ち、調節可能なホルダ26の助けを借りた超音波変換器24の先の調節に起因にして衝撃波発生器16のターゲット領域内で反射される。衝撃波発生器16は、一秒当り約一個の衝撃波を出射しているので、このことは、約1000個の超音波パルスが二つの衝撃波の間に患者12の体内に出射され、結果として、約1000個の超音波エコーが受信されることを意味する。これらの受信された超音波エコーは、一般的にe,e…e1000として示される。図3は、二つの直近的に連続した、受信された超音波エコーe(t)とe(t)との時間分解特性を純粋に例示的に示すものであり、ここでは、評価ユニット32が超音波パルスの出射毎に内部時間カウンターを再びゼロにリセットしていることに留意すべきである。図3は、例えば、衝撃波がその瞬間に全く出射されないという理由から、或いは、出射された衝撃波が結石18から外れてしまっているという理由から、出射された超音波が反射される衝撃波発生器16のターゲット領域が完全に静的である場合を示すものである。従って、結石18は、不動のままである。即ち、結石18のシフトも破砕もなく、且つ、結石18の直ぐ近くにはキャビテーションバブル(caritation bubble)もない。従って、現在見ている、その二つの超音波エコーe(t)とe(t)との時間特性は略同一であり、従って、TからTの時間ウインドウに亘る積e(t)・e(t)を積分することによって上記の式(1)に従って計算された相関は最大になり、上記の式(1)に従って適切にスケーリングすると、約1の値をとる。
【0055】
図4は、超音波エコーeが同じ不動のターゲット領域上で直ぐに反射されたが、その直後に衝撃波によって結石18が衝打された場合を示す。結石18が衝撃波の焦点内に位置決めされ、それによって衝撃波が出射されて衝打が達成されると、小さな破砕片が結石18からたたき出され、且つ、結石18が直ちに内部で再構成される。更に、結石18の直ぐ近くにおいて、患者12の体内に固有の流体内にキャビテーションが観察される。これらのプロセスの全ては、超音波変換器24によって結石18へ向けて出射された超音波が、この直前のエコーeの反射時における位置とは異なる変換器24に相対する他の位置にあるだけでなく変換器24に対して移動中であるようなオブジェクト上において、より多く反射されるという効果をもたらす。特定の反射領域、例えば結石18自体が、直前の反射に基づいて、例えば変換器24から離れるように移動したという単純な事実から、信号の伝播時間が変化し、従って、曲線e(t)に対して曲線e(t)がシフトする。更に、このような衝打に起因して、特定の反射領域が、もはや静的ではなく、移動中であるという事実が、反射エコーeにおける信号曲線の変化、即ち、信号−時間関数における複雑な変化を引き起こす。更に、結石18の直ぐ近くでの衝打によって引き起こされるキャビテーションの増加によって反射するオブジェクトの制御不な能移動(患者12の体液中の濃度変化やガスバブル)を引き起こし、それはまた信号曲線の変化を引き起こす。
【0056】
少なくとも一部が既に破砕されている場合に特に発生する結石18の微細移動は、結石18がその周りの組織の弾性力に起因して一種の振動移動を行うと、信号伝播時間の変化と信号−時間関数における複雑な変化との両方を引き起こす。
【0057】
従って、図4を見ると、上記の式(1)に従って再び計算された相関係数は、図3に示されたような、静的系において反射される、大部分が同一のエコーを示す例よりも、時間曲線e(t)とe(t)との間でより小さいことが直ぐに明らかとなる。
【0058】
評価ユニット32は、eとeとの間、eとeとの間、eとeとの間等の相関係数を連続的に計算する。これらの相関係数は、衝撃波の結石18への衝打の場合において、上述したメカニズムに起因して連続的により小さくなる。経験に従って、破砕片と結石18自体とは、このような衝突の後、典型的には50〜100ms後に再び静定し、キャビテーションバブルもまたこの期間の終了後に消滅するので、連続するエコーeとe+とは、互いにますます類似し始めることとなり、従って、評価ユニット32によって計算された相関係数は、再び1の値に向かって緩和、即ち、上昇することとなる。既に上述したように、相関係数の特性は、1−A・exp(−t/T)の形式の関数で記述されることが特に想定されなければならない。しかしながら、個々の状態に応じて、曲線の特性が少なくとも部分的にガウス曲線に類似することもある。
【0059】
このように期待される相関係数Kの特性は時間の関数であり、図5に示される。まさに、記述されているように、約K=1の相関係数値は、図の始めと終わりとに見られ、顕著な「たるみ」が図の中間のK曲線に見られる。このたるみは、独立で、或いは衝撃波の衝打を識別するために組み合わせて使用される二つの特性パラメータにより記述される。第1に、直接的な衝打により、Kの値が、図5にて水平方向の破線で示されるような所定の閾値未満になる効果をもたらす。第2に、緩和時間T(即ち、結石18と打ち出された破砕片との系が再び静定するまでに経過する時間)が衝打の尺度であることが一般的に衝撃波の処置において検出される。従って、緩和時間Tに従うK曲線の幅は、衝打の尺度として働くことが出来る。それゆえに、評価ユニット32は、緩和時間の最小値が所定の第1の閾値未満にならないとき、及び/又は相関係数の緩和時間Tが所定の第2の閾値未満になるときは、常にエラー信号を発生するように設計される。ここで、結石18を通過した衝撃波の衝打ミス又は部分的な衝打は、せいぜいK曲線に非常に小さなたるみを引き起こすに過ぎず、他方、結石18が衝撃波によってより正確に衝打されるほど、緩和時間Tはより長くなることが想定されなければならない。
【0060】
図2に示されているように、評価ユニット32によって発生されるエラー信号は、衝撃波発生器16とアラーム装置34とに供給される。従って、衝撃波発生器16は、衝打ミスの場合、必要に応じて、自動的に停止され得る。それによって、衝撃波の衝打ミスによる患者12の体内への不必要な負荷は、医療技術者の介在を必要とすることなく、特に信頼でき得る効率的方法により回避される。
【0061】
アラーム装置34は、入力されたエラー信号が衝打ミスを暗示する場合、音響及び/又は光アラームを起動することができる。このような場合、医療技術者は、手動で衝撃波発生器16のスイッチをオフしたり、或いは、他の手段をとる、例えば、患者12を新たに調節することができる。
【0062】
本発明による砕石器10で行われ得る本発明の方法の必須のステップを図6〜図10を参照して説明する。
【0063】
図6に概略的に示されるように、本発明の方法は、本発明の砕石器が作動された後、必須の三つのセクションを含む。即ち、第1のセクションS10は、治療の前に砕石器を適切に事前調節するためのステップを含み、続くセクションS20では、治療中に、関連する緩和時間Tが本方法の種々のステップで決定され、更なるセクションS30では、セクションS20で決定された、関連する緩和時間Tの関数が幾つかの方法ステップで測定される。簡略化のために、感知された緩和時間Tのみが衝打制御のための基礎として以下に使用されるが、勿論、図5に従う相関係数Kの最小値のみ又は両パラメータの組み合わせをエラー信号を発生するために評価ユニット32によって使用することが可能であることは、この時点で留意しておくべきである。
【0064】
第1のセクションS10内の最も重要なステップを図7を参照して説明する。
【0065】
最初に、既に上述され且つ従来の技術において知られているように、ステップS11で、患者が砕石器10の調節可能なストレッチャーの助けを借りて調節される。撮像位置検出デバイスによって監視されているこの調節の終わりに、患者12は、結石18が衝撃波の焦点内にあるように位置決めされる。
【0066】
引き続いて、超音波変換器24による超音波の出射と、衝撃波発生器16の助けを借りた第1の時間中の衝撃波の出射とがステップS12で開始される。
【0067】
引き続いて、ステップS13で、評価ユニット32は、上述した方法で、反射された超音波エコーの助けを借りて相関係数の特性を決定し、次に、ステップS14で、この相関係数は、図5に従って、表示装置30上に表示される。評価ユニット32によってK曲線のたるみに適用された(「当てはめられた」)近似曲線が、このステップで、表示装置30上に表示され得る。
【0068】
ステップS15において、この相関係数の特性が衝打を暗示するか衝打ミスを暗示するかが医療技術者によって検査される。一般的に、ステップS12における衝撃波のこの最初の出射は、衝打を生じる。その理由は、ステップS11の後に、結石18が少なくとも衝撃波の焦点内に位置決めされているからであり、且つ、この一つの「テスト衝撃波」の出射に先立って、患者12に短い時間だけ呼吸を停止することを依頼することができ、従って、結石18の呼吸移動に起因した衝打ミスが起こりにくいからである。衝打したか衝打ミスであるかについての相関係数特性に関するこのような検査において、各信号ノイズ、即ち、衝撃波の出射がない状態で休息している患者12上で超音波が反射されるのと等しく発生するばらつきを決定することがとりわけ重要である。
【0069】
ステップS15において、衝打されていないことを検出すると、ステップS11が再び始められる。反対に、衝打されていることを検出すると、ステップS16で、測定された相関係数曲線は、評価ユニット32のメモリ32aに基準相関係数曲線として格納される。次に、ステップS17において、この基準相関係数曲線の助けを借りて、上述した閾値が定義される。この定義によって、これらの閾値を越える或いはそれらに達しない場合、評価ユニット32がエラー信号を供給するという効果が得られる。
【0070】
更に、ステップS17において、基準相関係数曲線で決定される緩和時間Tが基準緩和時間としてメモリ32aに格納される。
【0071】
次に、初期化、即ち、その有意性が図8から明瞭となるカウントパラメータzのリセットが、ステップS18で行われる。
【0072】
図8は、関連する緩和時間Tを決定するように働く図6に従う第2のセクションS20内での必須のステップを示す。
【0073】
始めに、カウントパラメータzがステップS21でインクリメント、即ち、1だけ増加される。ステップS22において、衝撃波は、衝撃波発生器26によって引き続いて出射され、ステップS23において、相関係数の特性が決定され、続いて、ステップS24において、まさに任意に適合された近似曲線のように、表示装置30に表示される。
【0074】
引き続くステップS25において、この実際の相関係数曲線の緩和時間Tは、適合されたガウス曲線(勿論、他の近似曲線やデータ評価の分野で基本的に公知である評価方法を用いることが可能である)の助けを借りて決定される。ステップS26において、この緩和時間Tは、図7に従ってステップS17で決定された基準緩和時間による分割によって標準化緩和時間Tへ変換され、ステップS27において、この標準化緩和時間Tは、評価ユニット42の、例えば、既に述べたメモリ32a又は測定された値を受け取るための別のメモリに格納される。
【0075】
次に、ステップS28において、カウントパラメータzが所定の値、即ち、図8に示されている例では値z=5に達したか否かがチェックされる。達していない場合、評価ユニット32で実行されるプログラムは、ステップS21へ戻り、そこで、カウントパラメータzがインクリメントされ、且つ、更なる相関係数曲線が測定される。しかしながら、ステップS28におけるチェックで、カウントパラメータzが所定の値、即ち、z=5に達したことを示す場合、これは、5個の先行する相関係数の特性の緩和時間が評価ユニット32に一時的に格納されることを意味し、プログラムは進行してステップS29へ至り、そこで、これらの一時的に格納された緩和時間に亘って平均化演算が行われる。ステップS29で計算された直近の5個の相関係数曲線の緩和時間の平均値が、評価ユニット32において、上述したメモリの一つに一時的に格納される。
【0076】
ステップS29aにおいて、最後に計算された値である平均値は、緩和時間の進展をトレースするために、全ての処置の過程において測定された緩和時間を連続的に表示する連続表示に追加される。この連続表示は表示装置30上に示されることが便利であるが、これはまた別個のスクリーン等であってもよい。このような連続表示の例は、図10に示されており、以下で更に説明される。
【0077】
図9は、図6に従う第3のセクションS30の必須のステップを示し、本発明による砕石器10での砕石術処置中に本発明の方法の範囲内でステップS29で計算された平均値の関数として採ることができる手法を示す。
【0078】
ステップS31において、評価ユニット32で実行されるプログラムを通して、ステップS29で計算された平均値が所定の閾値よりも大きいか否かがチェックされる。上記で説明されたように、大きな緩和時間の値は衝打を示すが、小さな緩和時間の値は典型的には衝打ミスである。その結果、ステップS31のチェックの肯定的な結果は、結石18が明らかに衝撃波の焦点内にまだあり、衝打されることを意味する。結果として、この場合、評価ユニット32で実行されたプログラムがステップS31を介してステップS21へ戻り、そこで、カウントパラメータzが再び0にリセットされる、即ち、プログラムが図8に従う引き続く平均化演算で標準化緩和時間の測定を開始する。
【0079】
しかしながら、ステップS31でのチェックが否定的な結果を示す、即ち、直近の5個の相関係数の特性の平均化緩和時間Tが短か過ぎる場合、これは、衝打ミスの可能性を示唆し、評価ユニット32は当該エラー信号を出力して、プログラムがステップS33へ分岐し、そこで、上述したアラーム装置34が起動され、引き続いてステップS34へ進み、そこで、衝撃波発生器16が衝打ミスによる患者12の体への不必要な負荷を回避するために停止される。
【0080】
図10は、衝撃波治療中に表示装置30上に表示される例示的な変動制御表示を示す概略図である。図10は、座標系を示し、その横軸は、出射された衝撃波の数を示し、縦軸は、各衝撃波に続いて決定された絶対的な、即ち標準化緩和時間Tを示す。衝撃波治療の開始から治療の終了の少し前までに見られるように、緩和時間Tにおける緩やかな上昇に対応する特性がある。この特性曲線の個々の「たるみ」は、患者12の移動又は患者12中にある結石18の移動によって引き起こされ、且つ、新たに位置決めされた患者12によって直ぐに修正された衝打ミスを示す。図9において、水平の破線は、達しなかった場合にアラーム装置34を起動する閾値の量を表す。この図に見られるように、局所的たるみは、特性曲線の略中間で閾値未満になり、従って、アラームの発生を導く。
【0081】
図6〜図10は、本発明の最も重要なステップを示しているに過ぎず、多くのそれに先行する、それに続く、或いは中間的なステップが、砕石術方法の分野で基本的に知られていることは言うまでもない。また、既に述べたように、相関係数の最小値(例えば、図5)が緩和時間Tの代わりに又はそれに加えて使用され、衝打ミスを検出してもよいことは言うまでもない。図5の例において、衝打は、深く同時に広いたるみを導くので、K曲線の「たるみ」に含まれる領域もまた、数値的に決定されることが可能で、衝打又は衝打ミスの手法として使用され得る。更に、ステップS28で指摘されたように数z=5は単なる例として理解されるべきであることは言うまでもない。より具体的には、この数は、図6のセクションS10、例えば、図7のステップS17に従った事前調節内で医療技術者によって個々に入力され得る。従って、かなり小さな結石18(従って、より簡単に衝撃波の衝打ミスを発生し易い)を有し且つ大きく呼吸すると同時に結石18の対応する強力な反射を有する患者12において、平均化演算は、かなり平坦に呼吸し且つより大きな結石18(従って、衝打の頻度が高い)を有する他の患者12の場合よりもより多くの衝撃波、従ってより多くの緩和時間に亘って実行されることができる。勿論、平均化演算を行うことなく、即ち、z=1で動作することも可能である。
【0082】
また、基準緩和時間(ステップS17)とその後での基準緩和時間の助けを借りた測定緩和時間の標準化(ステップS26)は決定される必要はなく、従って、衝撃波治療中の変動制御において、測定された緩和時間の絶対値が表示装置20上に表示されて評価されてもよいことは言うまでもない。
【0083】
図1に概略的に描かれているに過ぎない砕石器10に関して、この装置は、従来の技術から知られている多くの更なるコンポーネント、例えば、X線位置検出デバイス又は撮像超音波スキャナを備えていもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による砕石器の必須のコンポーネントを示す概略図である。
【図2】本発明による砕石器の評価ユニット及びその接続態様の概略図である。
【図3】衝撃波の衝突ミスに続く、静的系で反射された二つの連続的に受信された超音波エコーの例を示す。
【図4】衝撃波の衝打に続く、移動系で反射された二つの連続的に受信された超音波エコーの例を示す。
【図5】衝撃波の衝打時における相関係数の変動の概略例を示す。
【図6】本発明による方法の主要部分を表す概略のフロー図を示す。
【図7】図6に従う第1の主要部分内の必須の方法ステップを表す概略フロー図である。
【図8】図6に従う第2の主要部分内の必須の方法ステップを表す概略フロー図である。
【図9】図6に従う第3の主要部分内の必須の方法ステップを表す概略フロー図である。
【図10】衝撃波治療中の緩和時間の変動制御の概略例を示す。
【符号の説明】
10 砕石器
12 患者
14 カップリングクッション
16 衝撃波発生器
18 結石(腎臓結石)
20 腎臓
22 衝撃波源
24 超音波変換器
26 調節可能なホルダ
28 制御ユニット
30 表示装置
32 評価ユニット
32a メモリ
34 アラーム装置

Claims (16)

  1. 好ましくは人体内のターゲットオブジェクト(18)、特に結石を破砕するための砕石器(10)であって、
    集束衝撃波を発生するための衝撃波発生器(16)と、
    超音波を前記人体に発射し且つ前記衝撃波発生器(16)のターゲット領域で反射された超音波を受信するための、パルス化超音波を出射するように設計された超音波変換器(24)を含む超音波送受信ユニットと、
    前記受信された超音波を評価するための、前記超音波送受信ユニットに接続された評価ユニット(32)とを備え、
    前記評価ユニット(32)が、予め設定された時間間隔における連続的に出射されたパルス化超音波に起因した、反射された第1の超音波e(t)と反射された第2の超音波e(t)との間の時間的な相関係数Kを決定するとともに、関連する相関係数信号を提供するように設計されており、相関係数Kは下記式により求められ、予め設定された時間間隔は時刻TおよびTの間の時間間隔であり、
    時間的な相関係数Kの変動を表示するために、前記評価ユニット(32)に接続された表示装置(30 ) を更に備えたことを特徴とする砕石器。
    Figure 0004101711
  2. 前記評価ユニット(32)は、互いに直近的に続く、出射された超音波パルスに起因した、反射された超音波に基づいて、前記相関係数Kを決定するように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の砕石器。
  3. 前記評価ユニット(32)は、衝撃波の出射後に前記相関係数Kの最小値が所定の第1の閾値を下回らない場合にエラー信号を提供するように設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の砕石器。
  4. 前記評価ユニット(32)は、近似曲線、例えば、ガウス曲線(即ち、1−A・exp(−t/T)の形式)を時間的な相関係数Kに適合させることによって緩和時間(T)を決定するように設計されるようになっており、この緩和時間(T)とは、静定状態にある相関関数Kが減少しはじめる時刻から当該相関関数Kが再び静定する時刻までの時間のことをいい、
    前記評価ユニット(32)は、衝撃波の出射後に、前記相関係数Kの緩和時間(T)が所定の第2の閾値を下回る場合にエラー信号を提供するように設計されていることを特徴とする、請求項3に記載の砕石器。
  5. 前記評価ユニット(32)に接続され且つ前記エラー信号が提供されるアラーム装置(34)を更に備えたことを特徴とする、請求項3または4に記載の砕石器。
  6. 前記アラーム装置(34)は、光及び/又は音響アラームを出力するように設計されることを特徴とする、請求項5に記載の砕石器。
  7. 前記衝撃波発生器(16)は、前記評価ユニット(32)に接続され、且つ前記エラー信号の関数として衝撃波の発生を停止又は継続するように設計されることを特徴とする、請求項3〜6の何れか一項に記載の砕石器。
  8. 前記評価ユニット(32)は、前記第1及び/又は第2の閾値を調節するための調節手段を備えたことを特徴とする、請求項3〜7の何れか一項に記載の砕石器。
  9. 前記評価ユニット(32)は、特に平均化によって前記相関係数Kの値の変動を平滑化するように更に設計されることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の砕石器。
  10. 前記評価ユニット(32)は、複数の衝撃波に亘って前記相関係数Kの最小値及び/又は緩和時間(T)を平均化するように更に設計されることを特徴とする、請求項3または4に記載の砕石器。
  11. 前記評価ユニット(32)は、反射された超音波同士の間の一時的な相互相関関数を決定して前記相関係数として前記一時的な相互相関関数の最大値を定義するように設計されることを特徴とする、請求項1〜10の何れか一項に記載の砕石器。
  12. 前記超音波送受信ユニットの前記超音波変換器(24)は、調節可能なホルダ(26)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載の砕石器。
  13. 前記超音波送受信ユニットは、撮像超音波スキャナの一部として設計されることを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載の砕石器。
  14. 前記超音波変換器は、ピンプローブとして設計されることを特徴とする、請求項1〜13の何れか一項に記載の砕石器。
  15. X線位置検出デバイスを更に備えたことを特徴とする、請求項14に記載の砕石器。
  16. 集束衝撃波をターゲットオブジェクト(18)に出射する期間中に前記相関係数の最小値及び/又は緩和時間(T)を連続的に表示するための手段を更に備えたことを特徴とする、請求項1〜15の何れか一項に記載の砕石器。
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