JP4101595B2 - ターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法 - Google Patents

ターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、情報記録・再生装置の記録媒体である記録ディスクを担持するターンテーブルに貼着し、このターンテーブルに載置された記録ディスク、例えば光ディスクの面振れを低減したり、光ディスクとの間のスリップを防止するターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、情報記録・再生装置(DVD、CDなど)の記録ディスク(以下、ディスクと略称する)を担持するターンテーブルには、ディスクを載置するための載置面が形成され、この載置面上にディスクのスリップを防止するためのリング状のスリップ防止シートが接着固定されている。
【0003】
図7は従来のディスク駆動装置の一例を示す概略説明図、図8はその部分拡大図である。このディスク駆動装置は、モータ12の駆動軸14にターンテーブル13が固着されて回転可能となっている。このターンテーブル13はロータに係合して回転駆動するものもある。このターンテーブル13のディスク載置面13aには、リング状に形成されたスリップ防止シート(例えばゴムシート)11が貼着されており、また、ターンテーブル13の中央部に磁性体(例えば、鉄)で形成された磁性部材15が同心円状に埋設されている。さらに、ターンテーブル13と対向してクランプ部材16が同心的に配設され、このクランプ部材16には、前記磁性部材15と対向する位置にマグネット17が同心円状に埋設されている。
【0004】
そして、ターンテーブル13上にディスク10が供給されると、クランプ部材16が下降し、マグネット17が磁性部材15に吸引され、ディスク10がクランプ部材16で押圧されて位置決めされる。すなわち、ディスク10はターンテーブル13上のスリップ防止シート11とクランプ部材16との間で挟持された状態となる。ディスク10はこの状態で回転されるが、この時、スリップ防止シート11によってディスク10のスリップが防止されたり、面振れが低減される。
【0005】
従来のターンテーブル用スリップ防止シート11としては、図9に示すようにリング状のゴムシート11であり、このゴムシート11としてはCRゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム及びフッ素系のゴム等が使用され、通常、ゴムシート11のディスク載置面11aには、摩擦力を増大させるために布目模様の凹凸(図示省略)が形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のターンテーブル用スリップ防止シートは、柔軟なゴム部材で形成され、厚みが薄く、幅も小さいため、剛性がなく柔らかいので、次のような課題を有する。
(1)ターンテーブルへの貼着時に、形状が安定化せず、取り付けが難しく作業性が悪い。
(2)ターンテーブルへの貼着時に、形状が安定化せず皺などが生ずる取り付け不良及び伸縮により厚みが不均一に取り付けられる不良などを起こし易く、取り付け不良だと摩擦力が不均一となったり、ディスクの面振れの原因にもなる。
【0007】
この発明はこのような課題に鑑み提案されたものであり、ターンテーブルに載置されたディスクのスリップを防止する最適な表性性状となり、厚み精度が高く、かつ形状の保形性を安定化させターンテーブルへの貼着を容易とし、取り付け不良も生じない正確な装着を可能とし、また、貼着を容易とすることで作業性を向上させたターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の提供を第1の目的とする。
【0008】
また、従来のターンテーブル用スリップ防止シートは、ウレタンゴム、CRゴム、シリコンゴム、EPDM及びフッ素系のゴム等のゴムシートであるため、リンやシリコンを含有し、装置のコンダミネーションとなるアウトガスを発生する課題がある。また、フッ素系のゴムは、高価であるし硬い難点がある。
この発明は、このような点に鑑みリンやシリコンを含有せずコンダミネーションとしてのアウトガスの発生が少なく、安価で好ましい弾性のターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の提供を第2の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明のターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法は、一面が粗面に加工された転写紙の粗面上に摩擦シート材の原液を塗布し、その上に基材を補強シートとする離型紙付粘着テープを積層し、これを加熱処理することで塗布した原液を硬化させて積層シートとし、この積層シートから所定形状に打ち抜くことを特徴とする。
【0010】
これにより、表面が転写紙の表面性状が転写された祖面の摩擦シートの裏面に補強シートが積層され、この補強シートに粘着剤層が積層され、この粘着剤層に離型紙が積層されているターンテーブル用スリップ防止シートを容易に製造することができる。
また、この製造方法によれば、転写紙の表面性状が摩擦シートの表面に転写され、摩擦シートの表面に小さい無数の凸凹が形成され、載置したディスクが密着してしまうことなく取り外しが容易で、かつ摩擦力が増大したターンテーブル用スリップ防止シートが製造できる。この摩擦シートの表面状態は、転写紙の表面状態により決定できる。
また、この製造方法によれば、打ち抜きの状態により、摩擦シートが離型紙上に複数を列設して残して形成できる。従って、摩擦シートがばらばらにならず、使用する時に離型紙より剥がして使用できるものとなる。
さらに、基材を補強シートとする積層シートより打ち抜き形成することで、補強シートにより剛性が付与されているので、薄物や伸縮の大きい摩擦シートについてもテンションコントロール等が容易になり、生産が可能となるし、生産性も向上する。
【0011】
なお、この製造方法で製造したターンテーブル用スリップ防止シートによれば、補強シートで剛性が補強(付与)されているので、ターンテーブル用スリップ防止シート自体もある程度の保形性を有し、ターンテーブルへの貼着作業も容易となるし、取り付け不良のない正確な装着ができるし、作業性も向上する。
【0012】
さらに、この発明のターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法は、前記転写紙の粗面加工がブラスト加工により粗面に形成することを特徴とする。
これにより転写紙の粗面を自由に調整でき、摩擦シートの表面に最適な表面性状を転写する最適な粗面とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面と共に詳細に説明する。図1はこの発明の製造方法で製造するターンテーブル用スリップ防止シートの一例を示す斜視図、図2は図1A−A線断面拡大図である。
【0014】
このターンテーブル用スリップ防止シート1は、全体にリング状に形成され、摩擦シート2の片面に補強シート3が積層され、この補強シート3に粘着剤層4が積層され、この粘着剤層4に離型紙5が積層されて構成されており、使用に際しては離型紙5を剥がし、ターンテーブルには粘着剤層4で貼着する。この摩擦シート2の表面には、載置されたディスクの取り外しが容易で、かつ摩擦力を増大させる小さな無数の凸凹が形成されているのが好ましい。
【0015】
ターンテーブル用スリップ防止シート1の大きさは、使用するターンテーブルの大きさに合せて形成され、例えば、内径10〜30mm、外径20〜40mmのリング状で、離型紙5を除く厚さが0.3〜0.5mmのものを挙げることができる。
【0016】
前記ターンテーブル用スリップ防止シート1は、図4および図5に示すように摩擦シート2の片面に補強シート3が積層され、この補強シート3に粘着剤層4が積層されたリング状のシートが、原反の大きな離型紙5上に列設された形態としておくのが、ターンテーブル用スリップ防止シート1がばらばらに散乱することもなく保管し易く、また、後述するように製造も容易となるので好ましい。
【0017】
前記摩擦シート2としては、リンやシリコンを含有せず、コンダミネーションとしてのアウトガスの発生の少ないウレタン樹脂が好ましい。また、このウレタン樹脂の密度は、0.5g/cmを越え1.0g/cm未満の範囲が好ましい。密度が0.5g/cm未満では、柔軟になりすぎて安定したディスクの担持ができなくなるし、スリップ防止および面振れの低減に役立つことができなくなり、逆に1.0g/cmを越えると硬くなりすぎて変形し難くなりディスク面との摩擦性に欠け、スリップ防止および面振れの低減に役立つことができなくなるからである。この密度の範囲によれば、好ましい弾性となり、摩擦力も好適となる。
また、摩擦シート2の厚さは、ディスクを担持してスリップ防止および面振れを低減できる範囲で適宜選択するが、必要以上に厚くても効果の向上は少なく、厚みが増加する不利が主ずるから必要以上に厚くすることは避けるようにする。一例として厚さ0.1mmを例示できる。
【0018】
摩擦シート2は、例えばウレタン樹脂で形成され、しかも厚みが薄く、幅も小さいため剛性がなく柔らかいものであり、ターンテーブルの装着時に形状が安定化せず、取り付けが難しく正確な取り付けが容易でないし、作業性も悪くなる。このようなため前記補強シート3は、摩擦シート2に剛性を付与するものである。補強シート3としては、この点を考慮して選択される。この補強シート3としては、例えば、プラスチックフィルム、紙、布または不織布、等を挙げることができ、プラスチックフィルムとして、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリプロピレン(PP)およびEPDM等を挙げることができる。
【0019】
補強シート3としてプラスチックフィルムを使用すると、厚さを薄くして所望の剛性が得られるので好ましい。例えば、厚さ10〜100μの範囲でよい。
【0020】
しかして、前記ターンテーブル用スリップ防止シート1によれば、補強シート3により剛性が付与されているので、ターンテーブルへの装着時に形状が安定化して、容易に正確に取り付けることができるし、作業性も向上する。
【0021】
次に、前記のようなターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の実施の形態を図面と共に説明する。
図3はこの発明の実施の形態に係るターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の最初の工程を示す説明斜視図、図4はこの発明の実施の形態に係るターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の次の工程を示す説明斜視図、図5は図4B−B線断面図で、一部を拡大して示している。
【0022】
まず、図3に示すように原反の摩擦シート2の片面に原反の補強シート3を積層し、この原反の補強シート3に粘着剤層4を積層し、この粘着剤層4に原反の離型紙5を積層して原反の積層シート101を形成する。この原反の積層シート101は、一面が粗面の転写紙の粗面上に摩擦シート材の原液を塗布し、その上に基材を補強シート3とする離型紙5付の粘着テープを積層し、これを加熱処理することで塗布した原液を硬化させて積層シートとし、その後、転写紙を剥離することで前記摩擦シート2の表面に転写紙の表面性状が転写された摩擦シート2に形成した原反の積層シート101に形成する。
ここでの摩擦シート2および補強シート3も、前記ターンテーブル用スリップ防止シート1で説明した通りである。
【0023】
前記積層シート101の製造方法の一例を図6について説明する。図6は積層シートの製造方法の一例を示す説明図である。
まず、一面が粗面の転写紙7は、原反が供給ロール27に装着されており、これがガイドロールを介して供給される。この供給された転写紙7の粗面上には、ホッパー21により摩擦シート材の原液2aが供給される。
この供給され均一に均らされた原液2a上には、補強シート3、粘着剤層4及び離型紙5よりなる複合シート6が積層される。前記複合シート6は、供給ロール22に装着され、ガイドロールを介して供給される。
【0024】
この複合シート6が積層されたシートは、加熱装置8内を通過して加熱され、原液2aが硬化されて摩擦シート2になり、積層シート101となると共に、ここで転写紙7は分離され巻取りロール23に巻き取られ、積層シート101は、巻取りロール24に巻き取られて、積層シート101の原反となる。
なお、転写紙7の粗面加工は、ブラスト加工により粗面とする方法を例示できるが、他の公知の手段を採用してもよい。
【0025】
次に、前記原反の積層シート101からプレス加工により図4および図5に示すようなターンテーブル用スリップ防止シート1に打ち抜き形成する。本例では打ち抜き加工によりリング形状の内径に沿って貫通して切断し、外径に沿って摩擦シート2側から離型紙5を残す位置まで切断し、摩擦シート2の片面に補強シート3が積層され、この補強シート3に粘着剤層4が積層されたリング形状のシート1を、離型紙5上に多数を列設して残置して形成する。この状態は図5によくあらわれている。
【0026】
ターンテーブル用スリップ防止シート1は原反の積層シート101から打ち抜きにより1個づつ分離して形成してもよい。しかし、これだとターンテーブル用スリップ防止シート1が、1個ずつばらばらになるので保管にも不便となるので、前記した図4に示すように離型紙5上に多数が列設して残置する形態が好ましい。
【0027】
このような製造方法によれば、ターンテーブル用スリップ防止シート1は、多数を容易に製造することができる。特に、摩擦シート2の表面に転写紙7の表面性状を転写したターンテーブル用スリップ防止シート1を容易に製造できる。従って、製造工程において摩擦シート2の表面に転写紙7の表面性状が転写されて載置したディスクが密着して取り外しが難しくなることなく、載置したディスクの取り外しが容易となり、かつ摩擦が増大する表面加工がされるので好ましく、また、粘着剤層4は、補強シート3を基材とする離型紙付きの粘着テープとすることによって粘着テープ一体成形により形成できる。この粘着テープ一体成形により粘着テープ貼り付け時の皺等がなくなり、厚み精度が向上する。
また、転写紙7の粗面加工をブラスト加工により行うと、転写紙7の粗面を自由に調整でき、最適な粗面にすることができる。
【0028】
なお、前記実施の形態は、この発明を制限するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が許容される。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、この発明のターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法によれば、次のような効果を奏する。
【0030】
(1)この発明は、原反の積層シートを形成し、この積層シートから、打ち抜き加工またはプレス加工で容易に製造することができる。特に、摩擦シートの表面に転写紙の表面性状を転写したターンテーブル用スリップ防止シートを容易に製造できる。従って、製造工程において摩擦シートの表面に転写紙の表面性状が転写されて載置されたディスクの取り外しが容易となり、かつ摩擦が増大する表面加工がされるので好ましい。この時、原反の積層シートには補強シートが積層されているので、過大な伸縮がなく、テンションコントロールも容易なので、一層容易に製造できる。
また、転写紙の粗面加工をブラスト加工により行うと、転写紙の粗面を自由に調整でき、摩擦シートの表面に最適な表面性状を付与する最適な粗面とすることができる。
【0031】
(2)この発明の製造方法によれば、補強シートを粘着テープの基材とすることができるので、粘着テープ一体成形により、粘着テープ貼り付け時の皺等がなくなり厚みの精度を向上できるターンテーブル用スリップ防止シートを製造できる
【0032】
また、この発明の製造方法で製造したターンテーブル用スリップ防止シートによれば、次のような効果を奏する。
(1)補強シートで剛性が付与されているので、ターンテーブルへの装着が取り付け不良のない正確な装着が容易にできるし、作業性が向上する。
(2)摩擦シートとしてリンやシリコンを含有せず、コンダミネーションとしてのアウトガスの発生の少ないウレタン樹脂を使用するので、コンダミネーションとしてのアウトガスの発生も少ない。このウレタン樹脂の密度が、0.5g/cmを越え1.0g/cm未満であるので、ディスクを担持してスリップ防止及び面振れを有効に図ることができる。
(3)補強シートを、プラスチックフィルムとすると、10〜100μと薄くてし所望の剛性を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明で製造するターンテーブル用スリップ防止シートを示す斜視図である。
【図2】 図1A−A線断面拡大図である。
【図3】 この発明の実施の形態に係るターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の最初の工程を示す説明斜視図である。
【図4】 この発明の実施の形態に係るターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法の次の工程を示す説明斜視図である。
【図5】 図4B−B線断面図である。
【図6】 積層シートの製造方法の一例を示す説明図である。
【図7】 従来のディスク駆動装置の一例を示す概略説明図である。
【図8】 図6の部分拡大図である。
【図9】 従来のターンテーブル用スリップ防止シートを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ターンテーブル用スリップ防止シート
2 摩擦シート
2a 摩擦シート材の原液
3 補強シート
4 粘着剤層
5 離型紙
6 複合シート
7 転写紙
8 加熱装置
101 原反の積層シート

Claims (2)

  1. 一面が粗面に加工された転写紙の粗面上に摩擦シート材の原液を塗布し、その上に基材を補強シートとする離型紙付粘着テープを積層し、これを加熱処理することで塗布した原液を硬化させて積層シートとし、この積層シートから所定形状に打ち抜くことを特徴とするターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法。
  2. 前記転写紙は、ブラスト加工により粗面に形成することを特徴とする請求項1記載のターンテーブル用スリップ防止シートの製造方法。
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