JP4100893B2 - シクロドデカノン化合物の連続的製造方法 - Google Patents

シクロドデカノン化合物の連続的製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラウロラクタムやドデカン二酸、ドデカンジオール等の製造原料として、有用なシクロドデカノンを製造する方法に係るものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、エポキシシクロドデカンを、シクロドデカノンに、エポキシシクロドデカンの高い転化率及び前記シクロドデカノンへの高い選択率をもって、比較的短時間内に異性化することにより、シクロドデカノンを連続的に製造する方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化リチウムを触媒としたエポキシシクロドデカン類の異性化によるシクロドデカノン類の製造方法としては、いくつかの報告がなされている。
例えば、ドイツ特許DE3744094には、溶媒としてN−メチルピロリドンやN,N’−ジメチルエチレン尿素を使用し、触媒として塩化リチウムを用いて、エポキシシクロドデカンの異性化反応を行うことにより、シクロドデカノンが94%の収率で得られることが記載されている。
【0003】
また、ドイツ特許DE3601380には、ポリエチレングリコール溶媒中で、ヨウ化ナトリウム存在下、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンの異性化反応(NaI3wt%、195℃、9時間)により、98.7%の収率でシクロドデカ−3,7−ジエン−1−オンが得られることが報告されている。
しかし、これらの方法ではいずれも極性溶媒を使用するため、溶媒の回収工程の増設や溶媒の分解によるコストアップが問題となっている。
さらに、溶媒による希釈効果ならびに溶媒和効果により反応速度が遅くなるため、転化率を100%近くにするために反応時間が長くなり、また、反応形式がバッチであるため、工業的に大量生産する場合に効率的であるとは言えない。
【0004】
一方、ソ連特許SU407874には、無溶媒で無水LiBrを触媒としたエポキシシクロドデカンの異性化反応が開示されている。この特許では、LiBr4wt%、反応温度120〜130℃、反応時間18時間による実施例及びLiBr3.3wt%、200℃、3時間行う実施例において、それぞれ収率が100%、あるいは83.3%のシクロドデカノンが得られることが報告されている。前者の実施例の場合は、反応時間が長く実用的であるとは言えず、後者の実施例の場合では選択率が低下し、高沸物が生成する。
高沸物は触媒をリサイクルした場合、反応系内に高沸物が蓄積し反応に悪影響を与え、さらに高沸物を除去する工程が必要となる。
【0005】
ところで、反応速度を上げるための方法としては、触媒濃度を上げることも考えられるが、前者の実施例の方法ではLiBrの溶解度が既に飽和状態にあるため、触媒濃度濃くすることができない。後者の実施例の方法では反応速度を上げるために反応温度を高くしているが、副反応が起こり、収率が低下し、高沸物の生成が起こっている。
【0006】
さらに、Zh.Org.Khim(1990),26(7),1497−1500には、無溶媒で、触媒として臭化リチウムを用いて、エポキシシクロドデカンの異性化反応をLiBr2.3 mol%、150℃、10時間行うと、シクロドデカノンが収率96.6%で得られ、触媒としてヨウ化リチウムを使用し、LiI1.5 mol%、150℃、5時間反応を行うとシクロドデカノンが91.2%の収率で得られている。しかし、この文献の場合も、エポキシシクロドデカン類の転化率を100%近くするためには、相当な反応時間がかかることが予想される。また、この文献での反応形態はバッチ方式であり連続反応についての記載はない。
【0007】
次に、工業的見地からエポキシシクロドデカン類を異性化してシクロドデカノン類を生産する場合、エポキシシクロドデカン類とシクロドデカノン類の沸点がほぼ同じであるため、蒸留分離が極めて困難となる場合が多い。また、両物質の物性も類似しているため、晶析や抽出で分離・精製することも困難である。そのため高純度のシクロドデカノン類を生成するためには、エポキシシクロドデカン類の転化率をほぼ100%にする必要がある。この対策としては、反応温度を高くするか、触媒量を増やす方法が考えられる。
【0008】
しかし、すでに述べたように反応温度を高くすると副反応が起こりやすくなり、高沸物等が生成しシクロドデカノン類の収率が低下してしまう。一方、エポキシシクロドデカン類の転化率を上げるために、触媒濃度を高くすることも考えられるが、触媒濃度の溶解度の問題や触媒費用のコストアップが考えられ、現実的とはいえない。
【0009】
また、上記の先行技術の反応形式は、いずれもバッチ方式であるため、反応操作が煩雑となり、安定運転・操作上も好ましいとは言えず、また経済的であるとも言えない。事実、この異性化反応は発熱反応であり、工業的にシクロドデカノン類をバッチで大量生産する場合、大量の反応熱が発生し、その熱の除去を如何に効率的に行うかが重要となる。一例を挙げれば、200℃で大量のエポキシシクロドデカン類をバッチで反応させると、反応熱の除去が困難となり、反応温度が急激に上昇し、反応液が突沸してしまう場合もある。
【0010】
以上、述べたように、既存の技術ではエポキシシクロドデカン類を、短時間で異性化反応し、ほぼ100%近くの転化率ならびに選択率を達成することができていない。さらに、先行技術での反応形式は、いずれもバッチ方式であるために、シクロドデカノン類を連続的かつ安全に供給することができず、工業規模で生産可能な技術は見出されていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、臭化リチウム及び/またはよう化リチウムを含む触媒の存在下に、エポキシシクロドデカンを異性化反応させることによりシクロドデカノンを、比較的短時間内に、エポキシシクロドデカンの高い転化率、目的のシクロドデカノンへの高い選択率、及び高い安全性をもって、工業的な規模で連続的に製造できる方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法により達成することができる。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法は、エポキシシクロドデカンを、臭化リチウム及びよう化リチウムから選ばれた少なくとも1種を含む触媒の存在下に異性化反応させることを含み、
前記異性化反応が、前記エポキシシクロドデカンと前記触媒とを含む反応混合物を、少なくとも1個の管型反応器を含む連続反応装置を通過させることによって連続的に行われる
ことを特徴とするものである。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記連続的反応装置が、前記管型反応器に直列に連結された少なくとも1個の槽型反応器をさらに含んでいてもよい。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記触媒がよう化リチウムを含むことが好ましい。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記触媒が、前記エポキシシクロドデカンのモル量の0.01〜20モル%の添加量で用いられることが好ましい。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記異性化反応が、ヘリウム、ネオン、アルゴン、水素、窒素、メタン及びエチレンガスから選ばれた少なくとも1種を含む不活性ガス雰囲気内で実施されることが好ましい。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記異性化反応が、100〜350℃の温度において実施されることが好ましい。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記異性化反応が、前記反応混合物中の前記エポキシシクロドデカンの転化率が90モル%以上のレベルに達するまで、100〜190℃の温度において実施されることが好ましい。
本発明のシクロドデカノンの連続的製造方法において、前記異性化反応が、前記反応混合物中の前記エポキシシクロドデカンの転化率が90モル%以上のレベルに達するまで100〜190℃の温度において実施され、その後190〜350℃の温度で実施されることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、シクロドデカノンを製造するために、エポキシシクロドデカンを、臭化リチウム及びよう化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を含む触媒の存在下における異性化反応に供し、この異性化反応を、前記エポキシシクロドデカンと前記触媒を含む反応混合物を、少なくとも1個の管型反応器を含む連続反応装置を通過させることにより、連続的に実施する。
【0015】
本発明方法の目的生成物として製造されるシクロドデカノンは、使用されるエポキシシクロドデカンに対応するものである。
【0016】
本発明方法において、エポキシシクロドデカンの異性化反応に使用される触媒は、臭化リチウム及びよう化リチウムの少なくとも1種を含むものである。触媒として使用するために、それに特別な前処理等を施す必要がなく、通常、市販されている臭化リチウム及び/又はよう化リチウムを使用することができる。具体的には臭化リチウム及びよう化リチウムは無水臭化リチウム、臭化リチウム一水和物、臭化リチウム二水和物、臭化リチウム三水和物、無水よう化リチウム、よう化リチウム一水和物、よう化リチウム二水和物、及びよう化リチウム三水和物等を包含する。本発明方法において、触媒は固体状態で連続的に供給されてもよく、あるいは出発化合物として用いられるエポキシシクロドデカン又は生成物すなわちシクロドデカノンに溶解された溶液状態で、異性化反応用反応製造に連続的に供給されてもよい。また臭化リチウムやよう化リチウムの水溶液として反応器中に連続的に供給されてもよい。好ましくは、触媒をエポキシシクロドデカン及び/またはシクロドデカノン中に溶解し、得られた触媒溶液を管型反応器を含む連続反応装置中に連続的に供給する。
【0017】
異性化反応に供給される触媒の使用量には、特に制限はなく、反応混合物中の溶解度及び反応条件を考慮して設定すればよい。好ましくはエポキシシクロドデカン1モルに対して、0.01〜20モル%、より好ましくは0.1〜5モル%である。触媒の使用量があまりに少ないと、異性化反応を完了するために必要な反応時間が長くなり、工業的に不利になる。一方、触媒の供給量があまりにも多いと、反応コストが高くなり工業的に不利になる。
【0018】
本発明方法において、エポキシシクロドデカンの連続的接触異性化反応が、少なくとも1個の管型反応器を含む連続反応装置を用いることにより行われることが必要である。この管型反応器を含む連続反応装置を用いることにより、シクロドデカノンを、それに対応するエポキシシクロドデカンから製造する本発明方法は、工業的規模において、高い反応速度で、すなわち短時間内に、エポキシシクロドデカンの高い転化率をもって、またシクロドデカノンへの高い選択率をもって、かつ、高い反応安定性をもって、連続的に実施することが可能になる。
【0019】
本発明方法で使用される管型反応器含有連続反応装置は、この反応装置が本発明方法の異性化反応を実施することができる限り、特定の型式の反応装置に限定されない。例えば、反応装置は、図1及び2に示されている反応装置から選ぶことができる。
【0020】
図1において、単一管型反応器1は、反応混合物用入口3及び出口4を有する単一直線状管2と、この管2の図面をとりかこみ、加熱媒体用入口6及び出口7を有する加熱ジャケット5を有するものである。出発化合物及び触媒を含む反応混合物が、供給源(図1に図示なし)から、入口3を経由して単一直線状反応管2中に供給され、入口6を経由して加熱ジャケット5中に導入された加熱媒体により所望温度に加熱され、ジャケット5から、その出口7を経由して送り出され、それによって出発化合物は目的化合物に異性化され、得られた反応混合物は反応管2から、その出口4を経由して送り出される。
【0021】
図2において、多管型反応器10は、加熱媒体用入口12及び出口13を有する外側ドラム11と、このドラム11の上内部分中に形成され、出発反応混合物用入口14aを有する上部室14と、ドラム11の下内部に形成され、生成反応混合物用出口15aを有する下部室15と、前記上部室14と前記下部室15とを通過させる複数個の直線状管16と、前記上、下部室14及び15と、前記複数個の直線状管16との間に形成され、かつ前記加熱媒体用入口12と出口13とを相互に通過させる加熱媒体通路17を有するものである。
図2において出発反応混合物が、その供給源(図2に図示なし)から、入口14aを経由して、上部室14中に導入され、複数値の直線状管16中に分配され、この直線状管16を通って流下し、得られた反応混合液が下部室15中に捕集され、次に、出口15aを通って送り出される。別に、加熱媒体が、加熱媒体通路17中に、その入口12を経由して導入され、直線状管16中を流下する反応混合液を所望の温度に加熱し、この通路17からその出口13を通って送り出される。
【0022】
図1及び図2に示された反応装置において、反応混合液及び反応媒体は、互いに反対方向に流れる。しかし、これらは、同一方向に流れてもよい。管型反応器の型式に制限はない。液状反応供給液が通過し得る通常の管型反応器を本発明方法に使用してもよい。管型反応器の個々の管の断面形状に制限はない。この断面形状は、好ましくは、多角形、楕円、円形断面形状から選ばれ、より好ましくは円形断面形状から選ばれる。
また、管型反応器の長さ及び内径(又は内半径)に全く制限はない。管型反応器の長さ及び内径は、反応混合物の温度及び流量及び、この反応混合物中の触媒の種類及び濃度を考慮して設定され、好ましくは、管型反応器中の反応混合物の滞在時間が、10時間以上にならないように、より好ましくは0.1〜7時間になるように設定される。
管型反応器を通る反応混合物の理想的な状態は、押出し流れ(Plug Flow)である。しかし、実際上、この理想的状態は実施し得ない。管型反応器を通る反応混合物の流部状態には全く制限はない。
管型反応管形成材料の材質についても、特に制限はなく、例えば、ガラス製またはステンレススチール製の反応器が本発明方法に使用できる。
【0023】
図3は、本発明方法に使用されるコイル(らせん)状管型反応器の一例の斜視部分的断面説明図を示すものである。図3において、らせん状の管型反応器30は、入口32及び出口33を有するコイル(らせん)状に巻かれた管31を含むものである。管31の少なくともらせん状に巻かれた部分は、加熱バス又はボックス(図3には図示なし)中に浸漬されていてもよく、或は、加熱媒体用入口及び出口を有する加熱ジャケット(図示なし)により取りかこまれていてもよい。図3を参照して説明すると、出発反応混合物が、その供給源(図3に図示なし)から、コイル状管31中に、その入口を経由して導入され、加熱用バス又はボックス又はジャケット(図3に図示なし)により所望の温度に加熱されながら、コイル状管31を通過し、その後この管からその出口33を経由して送り出される。
【0024】
図4は、本発明方法に使用されるコイル状管型反応器の他の図の斜視部分的断面説明図である。
図4において、反応装置40は、互に直列に連結された2個のコイル状管型反応器41及び42を含むものである。前部反応器41は、入口43及び出口44を有するコイル状管41aを含み、また後部反応器42は、らせん状に巻かれ、入口45及び出口46を有する管42aを含むものである。前反応器41の出口44は後部反応器42の入口45に、コネクター(図4に図示なし)を介して連結されている。また、前部反応器41及び後部反応器42のらせん状に巻かれた部分は、それぞれ別個に加熱バス、ボックス又はジャケットにより加熱され、或は、単一の加熱バス、ボックス又はジャケットにより一緒に加熱される。前者の場合、前部反応器41を通過中の反応混合物の一部の温度、及び後部反応器42を通過中の反応混合物の他の部分の温度を別々にコントロールすることができる。後者の場合、前部及び後部反応器41及び42を通過している反応混合物の各部分を、互いに同一温度に加熱することができる。
本発明の方法において、その反応装置は、必要により、少なくとも1個の管型反応器に直列に連結された少なくとも1個の槽型反応器を含む。この型の反応装置において、出発反応混合物が、少なくとも1個の管型反応器中に導入され、この管型反応器中において、反応混合物中のエポキシシクロドデカンの一部が触媒の存在下に異性化され、次に、少なくとも1個の槽型反応器中に導入され、その中でエポキシシクロドデカンの残余の部分が、触媒の存在下に異性化され、目的のシクロドデカノンが、出発エポキシシクロドデカンの高転化率をもって、また、目的シクロドデカノンへの高い選択率をもって、得られる。別の方法においては、出発反応混合物を、少なくとも1個の槽型反応器に導入し、その後に少なくとも1個の管型反応器に導入して、目的シクロドデカノンを、出発エポキシシクロドデカンの高い転化率をもって、また、目的シクロドデカノンへの高い選択率をもって製造する。
【0025】
槽型反応器の型式、形状及び寸法については制限はない。本発明方法に用い得る槽型反応器の2つの例を図5及び図6に示す。
図5において、閉鎖された反応槽50を、パーティション51,52及び53を用いて複数個の反応室、例えば4個の反応室54,55,56及び57に分割し、反応域を形成する最先頭室54は、出発液体反応混合物をその供給源(図示なし)から供給するための供給ライン58に連結されており、最後尾室57は、目的化合物を含む生成液体反応混合物を送り出すための送り出しライン59に連結されている。パーティション51の上端はパーティション52よりも高く、パーティション52はパーティション53よりも高い。よって、最先頭室54に、供給ライン58を経由して供給された反応混合物は、次々にパーティション51,52及び53の上端をオーバーフローしながら反応室54,55,56及び57を通過し、最後に、最後尾室57から、送り出しライン59を経由して送り出される。反応器50の、反応室54〜57の水面上にある空間50aは、反応室50を封止するための不活性ガスにより満されていてもよい。
すなわち、互に隣り合い、パーティションにより互に仕切られた1対の反応室の間に、このパーティションの上端をこえる液体通路が形成される。この液体通路は、前記パーティションの上端をこえて伸びている樋、溝又はパイプにより形成されていてもよい。
図5に示されている反応器において、パーティション51〜53の各々は、少なくとも1個の孔(図示されていない)を有していてもよく、この孔は、それを経由して、液体反応混合物が、その供給流量より低い合計流量で通過できるようになっている。
【0026】
槽型反応器の更に他の態様において、この反応器は、複数の反応室を有し、これらの反応室は、その間に配置されたパーティションにより互に分けられており、かつ各パーティションに形成された少なくとも1個の孔により互に直列に連結されている。この態様において、図6に示されている反応器を用いることができる。図6において、反応器60の内側が、パーティション65,66,67により複数の反応室、例えば、反応室61,62,63及び64を形成するように仕切られており、前記パーティションの各々は少なくとも1個の孔65a,66a,67aを有しており、この孔を介して、反応室は、互いに連通している。前記パーティションは、透孔を有するプレートにより形成されていてもよい。最先頭室61は、供給ライン68に連結されておりこの供給ライン68を経由して、出発反応混合物が、供給源(図示なし)から、最先頭室61に供給される。また、最後尾室64は、送り出しライン69に連結されており、この送り出しライン69を経由して目的化合物を含む生成反応混合物が、最後尾室64から、反応器60の外に送り出される。
液体反応混合物が供給ライン68を経由して最先頭室61に供給され、分かれている反応室61〜64を順次に通過し、このとき、パーティション65〜67の孔65a〜67aを通過し、そして、得られた液体反応混合物が、最後尾室64から、送り出しライン69を経由して送り出される。
図6の反応器60において、パーティションは、各反応室が反応混合物に対して、十分な容積を有している限り、その高さにおいて、互に同一でもよく、或は異っていてもよい。
図6の反応器60において、反応室61〜64の液面の上の空間60aは、反応器60を封止するための不活性ガスにより満たされていてもよい。
【0027】
本発明方法に使用し得る上述の槽型反応器において、反応域の数に制限はない。反応域の数は、1〜30であってもよく、より好ましくは3〜10である。本発明方法と使用できる槽型反応器において、必要により、少なくとも1個の反応域中の反応混合物を撹拌機、液体循環ポンプ又は気泡発生手段を使用して強制的に撹拌してもよく、或は、各反応域において、この反応域を通る反応混合物の流れにより、或は反応混合物の対流によりおだやかに撹拌してもよい。
反応器は、従来の加熱手段、例えば加熱媒体を循環させる加熱ジャケットにより、加熱されてもよい。
【0028】
図7に示されているような、本発明の方法に用いられる反応装置の一態様において、反応装置70は、互いに直列に連結された管型反応器71と閉鎖槽型反応器78を有するものである。図7において、管型反応器71は、反応混合物用入口73及び出口74を有するコイル状管72から形成されている。入口73は、反応混合物の供給源(図示なし)に連結されている。閉鎖槽型反応器78は、反応混合物用入口75と出口76とを有し、この槽型反応器78の入口75は、連結ライン77を経由して管型反応器71の出口74に連結されている。管型反応器71及び槽型反応器78は互に別々に、又は一緒に、加熱手段、例えば加熱バス、ボックス又はジャケット(図7に図示なし)により所望温度に加熱される。図7において、出発反応混合物は、コイル状管型反応器71中に、その入口73を経由して導入され、コイル状管72を通過し、その間に、所望の温度に、所望の滞留時間だけ加熱され、得られた反応混合物は、コイル状管型反応器71から、その出口74を経由して送り出され、閉鎖槽型反応器78中に、連結ライン77及び入口75を経由して導入され、この槽型反応器において、導入された反応混合物は、所望温度に、かつ所望滞留時間だけ加熱され、得られた反応混合物は、槽型反応器78から、その出口76を経由して送り出される。
【0029】
本発明方法の異性化反応が行われるガス雰囲気についても、全く制限がない。好ましくは、異性化反応は不活性ガス雰囲気中で行われる。この不活性ガス雰囲気は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、水素ガス、窒素ガス、メタンガス、エチレンガス等から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、より好ましくは窒素ガス、アルゴンガスが用いられる。上記の不活性ガスは、単一種で用いられてもよく、或はその2種以上を混合して使用してもよい。
【0030】
本発明方法において、反応温度は、好ましくは100〜350℃の範囲内にコントロールされ、より好ましくは120〜300℃であり、さらに好ましくは150〜250℃であり、さらに好ましくは160〜240℃である。
反応温度が100℃未満であると、反応速度が遅くなりすぎ、工業的実用に不適当であることがある。また、反応温度が350℃よりも高いと得られる反応混合物中に高沸点の不純物が大量に生成することがある。よって、高温における反応は、工業的実用において不適当である。
【0031】
反応温度は、管型反応器含有反応装置の各部分で異なっていてもかまわない。例えば、反応混合物中のエポキシシクロドデカンの含有量が多い反応装置の前半部分の温度を低くコントロールし、エポキシシクロドデカンの転化率が90%以上になる反応装置の後半部においては、反応温度を高くしてエポキシシクロドデカンの転化率をほぼ100モル%にさせるようにコントロールする。このように反応温度をコントロールすることにより高選択率でシクロドデカンを得ることが可能になる。具体的には、異性化反応を、エポキシシクロドデカンの転化率が90モル%以上に達するまでは、より好ましくは95モル%以上に達するまでは、100〜190℃の温度において実施することが好ましい。或は異性化反応を、エポキシシクロドデカンの転化率が90℃以上に達するまでは100〜190℃の温度で実施し、その後は190℃〜350℃の温度で行われる。
目的シクロドデカノンへの選択率がよくなる理由は未だ十分には明らかでないが、出発エポキシシクロドデカンに比較して目的のシクロドデカノンのほうが、190℃より高い温度における熱安定性がよいため、反応混合物中のエポキシシクロドデカンの含有量が低いレベルに減少した後に、反応混合物の温度を190℃より高い温度に上昇させることにより、エポキシシクロドデカンの劣化度が低下するものと推測される。
【0032】
本発明方法において、異性化反応の反応圧力には、全く制限はない。すなわち、異性化反応を大気圧下において、又はそれよりも高い圧力下で、又はより低い圧力下で行ってもよい。
本発明方法において、反応時間は、触媒の種類及び使用量、並びに反応温度により変動する。通常15時間以内の反応時間で、本発明方法による異性化反応に、実用上十分である。
【0033】
本発明方法におけるエポキシシクロドデカンの異性化反応は、通常は無溶媒で実施される。その理由は、出発エポキシシクロドデカン、及び目的シクロドデカノンが反応媒体として作用するという点にある。しかし、この反応は無極性溶剤からなる反応溶媒中において実施されてもよい。
無極性溶剤としては、好ましくは炭素原子数6〜12の環状炭化水素が用いられるが、この無極性溶剤は反応混合物中のエポキシシクロドデカンの含有量を超えない含有量で用いることができる。
【0034】
管型反応器を含む反応装置を用いる本発明の方法において、エポキシシクロドデカンと、臭化リチウム及び/又はよう化リチウムを含む触媒とを含む出発反応混合物を、管型反応含有反応装置内に連続的に導入する。導入されたエポキシシクロドデカンは、この反応装置内で、触媒の存在下に比較的短時間内に、その高い転化率をもって、また目的シクロドデカノンへの高い選択率をもって異性化され、得られた目的シクロドデカノンを高い収率で含む生成反応混合物が、前記反応装置から連続的に捕集される。
【0035】
捕集された反応混合物は、高収量の目的シクロドデカノンと、少量の未反応のエポキシシクロドデカンと、触媒とを含んでいる。この触媒は反応混合物から蒸留などにより分離することができ、それによって、目的シクロドデカノンを精製することができる。
得られたシクロドデカノンは、その出発エポキシシクロドデカンにきわめて近い物理的及び化学的特性(沸騰温度、結晶性、及び溶剤中への溶解性など)を有している。このため、エポキシシクロドデカンとそれに対応するシクロドデカノンとを、蒸留、晶析及び抽出などの方法により互に分離することはきわめて困難である。よって、捕集されたシクロドデカノンが、未反応エポキシシクロドデカンを、5質量%以下の含有量で含むことが好ましく、この含有量は、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
【0036】
捕集された反応混合物をそのまゝ目的シクロドデカノン製品として実用することができる。しかし、用途により、若し必要があるならば、捕集されたシクロドデカノン製品を、例えば、蒸留などの方法により精製し、それによって、高沸点不純物(副生成物)を除去することができる。
【0037】
【実施例】
次に、本発明を下記実施例により具体的に説明する。
なお、下記実施例及び比較例において、エポキシシクロドデカンの転化率(仕込みエポキシシクロドデカンに対する消費されたエポキシシクロドデカンの割合)、シクロドデカノンの選択率(消費されたエポキシシクロドデカンに対する生成したシクロドデカノンの割合)、及びシクロドデカノンの収率(仕込みエポキシシクロドデカンに対する生成したシクロドデカノンの割合)は、モル基準(モル%)で求めた。
また、下記実施例及び比較例において、異性化反応は、窒素ガス雰囲気内で実施された。また、この異性化反応に用いられたよう化リチウム及びエポキシシクロドデカンを含有する出発反応混合物は、均一溶液の状態のものであった。
【0038】
実施例1
図3に示すような、ガラス製のコイル状管型反応器を用いた。
反応器30のコイル状に巻かれた管31は、円形断面形状を有し、その内側半径は3.2mmであり、その長さは3mでありその内容積は97mlであった。反応器30のコイル状管31を、200℃の温度を有するオイルバス(図3には図示されていない)中に配置されていた。98.6質量%のエポキシシクロドデカンと、0.7質量%(0.97モル%)のよう化リチウムとを含む出発反応混合物を、コイル状管31中に、その入口32を経由して、定量ポンプを用いて、30ml/時の供給流量で、連続的に導入した。この反応混合物はコイル状管の中に、200℃の温度において3.2時間の平均滞留時間をもって滞在し、得られた反応混合物は、コイル状管から、その出口33を経由して捕集された。捕集された反応混合物を室温まで冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。この分析の結果において、エポキシシクロドデカンは検出されず、シクロドデカノンの含有率は97.0質量%であった。よって、エポキシシクロドデカンの転化率は100モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は98.4モル%であったことが確認された。
【0039】
実施例2
実施例1と同様のシクロドデカノン製造工程を行った。但し、反応温度を200℃から180℃に変更した。
反応器のコイル状管から捕集された反応混合物を室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。この分析結果において、得られた反応混合物中の、エポキシシクロドデカンの含有量は1.1質量%であり、シクロドデカノンの含有量は96.9質量%でありよって、エポキシシクロドデカンの転化率は98.9モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は99.4モル%であったことが確認された。
反応器中の反応混合物の平均滞留時間は3.2時間であった。
【0040】
実施例3
図4に示されているコイル状管型反応器を含む反応装置40を用いた。この反応装置40において、2個のコイル状ガラス管型反応器41及び42が互に直列に連結されていた。先頭コイル状ガラス管41aは、円形断面形状を有し、その内半径は3.2mmであり、その長さは1.5mであり、その容量は48mlであった。後尾コイル状ガラス管42aは円形断面形状を有し、その内半径は3.2mmであり、その長さは1.5mであり、その容量は48mlであった。先頭管41の出口44は、後尾管42の入口45に直接連結されていた。
先頭コイル状管41aは、180℃の温度を有する先頭オイルバス中に配置され、後尾コイル状管42aは、200℃の温度を有するオイルバス中に配置された。
98.6質量%のエポキシシクロドデカンと、0.71質量%(0.98モル%)のよう化リチウムを含む出発反応混合物を、先頭コイル状管41a中に、その入口43を経由して、定量ポンプの使用による30ml/時の供給流量をもって、連続的に導入し、生成反応混合物は、後尾コイル状管42aから、その出口46を経由して捕集された。
反応混合物は前記先頭コイル状管41a内においては180℃に加熱され、後尾コイル状管42a内においては200℃に加熱された。平均滞留時間は3.2時間であった。
捕集された反応混合物を室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。
その分析結果において、捕集された反応混合物は0.001質量%のエポキシシクロドデカンと97.7質量%のシクロドデカノンとを含み、エポキシシクロドデカンの転化率は100モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は99.1モル%であった。また先頭コイル状管41aから、その出口44を通して採取された反応混合物において、未反応エポキシシクロドデカンの含有量は3.7質量%であり、エポキシシクロドデカンの転化率は96モル%であった。
【0041】
実施例4
エポキシシクロドデカンの異性化反応を、図7に示されている反応装置70を用いて実施した。この反応装置70は、先頭コイル状ガラス管型反応器71と、後尾槽型反応器78を有し、これらは互に直列に連結されていた。コイル状ガラス管72は円形断面形状を有し、その内半径は3.2mmであり、その長さは1.5mであり、その容量は48mlであった。また後尾槽型反応器78は、50mlの反応混合物を収容した。先頭反応器71は、185℃の温度を有するオイルバス中に配置され、後尾反応器78は、220℃の温度を有するオイルバス中に配置された。
出発反応混合物は98.6質量%のエポキシシクロドデカン、0.73質量%(1.02モル%)のよう化リチウムを含み、この反応混合物を、定量ポンプを用いて、30ml/時の供給流量で先頭コイル状ガラス管中に、その入口73を経由して連続的に供給し、導入された反応混合物を、先頭コイル状ガラス管を185℃の温度で通過させ、つぎに、後尾槽型反応器78を、220℃の温度で通過させ、生成した反応混合物を後尾反応器78から、その出口76をオーバーフローさせることによって送り出し、それを捕集した。
捕集された反応混合物を室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。
その分析結果において、捕集された反応混合物において、未反応のエポキシシクロドデカンの含有量は0.06質量%でありシクロドデカノンの含有量は97.4質量%であり、この分析結果から計算すると、エポキシシクロドデカンの転化率は99.9モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は98.9モル%であった。上記反応工程において、反応装置内の反応混合物の滞留時間は3.3時間であった。また先頭コイル状管型反応器から、送り出された反応混合液中の未反応エポキシシクロドデカンの含有量は1.4質量%であり、エポキシシクロドデカンの転化率は98.6モル%であった。
【0042】
比較例1
図8に示されており、有効容量100mを有するガラス槽型反応器を用いた。図8に示されている槽型反応器80において、閉鎖された反応槽81は入口82及び出口83を有し、反応混合物が、その供給源(図8に図示されていない)から、この閉鎖された槽81にその入口82を経由して導入され、この導入された反応混合物は、槽81中に、所定量だけかつ所定時間だけ滞留し、その間に加熱バス(図8に図示されていない)を用いて所定の温度に加熱され、その後、槽81からその出口83をオーバーフローして送り出される。
出発反応混合物は、98.6質量%のエポキシシクロドデカンと0.73質量%(1.01モル%)のよう化リチウムを含み、この出発反応混合物が、定量ポンプを用いて、供給量30ml/時で、閉鎖された槽81に、その入口82を通して連続的に供給され、この導入された反応混合物は、200℃の温度に加熱され、平均滞留時間3.3時間にわたり、この閉鎖槽81に滞在し、その後得られた反応混合物は、前記出口83をオーバーフローして送り出され、捕集された。この槽81において、導入された反応混合物は、撹拌片(図8には示されていない)を用いて撹拌された。
槽81中の反応状態が、安定化された後に捕集された反応混合物を、室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。
その分析結果において、捕集された反応混合物中の未反応エポキシシクロドデカンの含有量は3.92質量%であり得られたシクロドデカノンの含有量は91.2質量%であった。よって、エポキシシクロドデカンの転化率は96.0モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は96.3モル%であることが算出された。
【0043】
比較例2
比較例1と同様のシクロドデカン製造工程及び分析を行った。但し、反応温度を200℃から180℃に変更した。槽81内の反応状態が安定した後に採取された反応混合物を、室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。
その分析結果において、捕集された反応混合物は、10.7質量%の未反応エポキシシクロドデカンと、87.1質量%のシクロドデカノンとを含んでいた。従ってエポキシシクロドデカンの転化率は89.1モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は99.1モル%であった。反応混合物の槽81内の平均滞留時間は、3.3時間であった。
【0044】
比較例3
図9に示されている閉鎖槽型反応装置90を使用した。図9において、2個の閉鎖ガラス反応槽91及び92がそれぞれ50mlの有効容量を有し、これらが、連結路93を介して、互に直列に結合され、それにより反応器90が構成されている。先頭槽91は、出発反応混合物用供給源(図9に図示されていない)に連結された入口94を有し、後尾槽92は入口96及び出口97を有し、この入口96は、先頭槽91の出口95に、連結路93を介して連結されていた。反応器90は、反応混合物をその供給源(図示されていない)から、先頭槽91中にその入口94を経由して導入することができ、先頭槽91中に、所定時間滞留させることができ、先頭槽91から、その出口95をオーバーフローして送り出すことができ、それを後尾槽92中に、連結路93及び後尾槽92の入口96を経由して導入することができ、この後尾槽92中に所定時間だけ滞留させることができ、その後に後尾槽92から、その出口97をオーバーフローさせて送り出すことができるものであった。
先頭及び後尾槽91及び92は、別々に先頭オイルバス(図示なし)及び後尾オイルバス(図示なし)中に配置され、この先頭及び後尾槽91及び92中に収容されている反応混合物の各部分の温度を、別々に、所望のレベルにコントロールすることができた。
出発反応混合物は、98.6質量%のエポキシシクロドデカンと0.7質量%(0.97モル%)のよう化リチウムを含むものであって、この反応混合物を、定量ポンプ(図示なし)を用いて、30ml/時の供給流量で、先頭槽91にその入口94を経由して連続的に導入し、この先頭槽91内において、180℃の温度に加熱し、この反応混合物を、先頭槽91から、その出口95をオーバーフローさせることにより送り出して、後尾槽92中に、連結路93及び入口96を介して導入し、この後尾槽内で、200℃の温度に加熱し、次に、後尾槽から、その出口97をオーバーフローさせて送り出し、この送り出された反応混合物を捕集した。
前記先頭及び後尾槽91及び92において、反応混合物は撹拌片(図9中に図示なし)を用いて撹拌された。反応混合物の反応装置90内の平均合計滞留時間は3.3時間であった。
反応装置90内の反応混合物の反応状態が安定した後に、捕集された反応混合物を室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。この分析結果において捕集された反応混合物は、1.8質量%の未反応のエポキシシクロドデカンと、94.8質量%のシクロドデカノンを含んでいた。よって、反応装置90中の異性化反応におけるエポキシシクロドデカンの転化率は98.2モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は97.9モル%であった。反応装置90中の反応混合物の平均合計滞留時間は3.3時間であった。
【0045】
実施例5
図10に記載の反応装置を用いた。
図10に示されている反応装置100は、有効容量240mlを有する閉鎖槽型ガラス先頭反応器101と、コイル状に巻かれた管から構成された、コイル状管型ガラス後尾反応器102を含み、コイル状管103は、円形横断面形状を有し、その内半径は3.2mmであり、その長さは1.5mであり、その容量は48mlであって、後尾反応器102は先頭反応器101に連結路104を介して連結されていた。
図10において、先頭槽型反応器101は、出発反応混合器の供給源(図10に示されていない)に、定量ポンプ(図示されていない)を介して連結された入口105と、出口106とを有し、その中に所定量の反応混合物を含むことのできるものであった。
図10において、後尾反応器102のコイル状管103は、先頭反応器101の出口106に、連結路104を介して連結されている入口107と、出口108とを、有していた。
反応装置100は、さらに先頭反応器用先頭加熱バス(図示なし)及び後尾反応器102用後尾加熱バス(図示なし)を有していた。図10の反応装置は、出発反応混合物を、その供給源(図示なし)から先頭槽型反応器101中に、その入口105を経由して連続的に導入することができ、先頭反応器101中に導入された反応混合物を、先頭加熱バス(図示なし)により、所望の温度に加熱することができ、かつ先頭反応器101から、その出口106をオーバーフローさせることにより送り出すことができ、この送り出された反応混合物を、後尾反応器102中に、連結路106及び入口107を経由して導入することができ、後尾反応器102中に導入された反応混合物を、後尾加熱バス(図示なし)により所望温度に加熱することができ、この後尾反応器102から、その出口108を経由して送り出すことができ、そして、この送り出された反応混合物を捕集することができるものであった。
出発反応混合物は98.6質量%のエポキシシクロドデカンと0.73質量%(1.01モル%)のよう化リチウムを含むものであり、この出発反応混合物の240mlを、定量ポンプ(図示なし)を用いて、30ml/時の供給流量で、先頭反応器101中に、その入口105を経由して連続的に導入し、この導入された反応混合物を、先頭反応器101を通過させ、その通過中に、180℃の温度に加熱し、それを、先頭反応器101から、その出口106をオーバーフローさせることにより送り出した。この送り出された反応混合物を、後尾反応器102中に、連結路104及び入口107を経由して導入し、この導入された反応混合物を、コイル状管103中を通過させ、その通過中に、210℃の温度に加熱し、それを、出口108を経由して送り出し、それを捕集した。反応混合物の平均合計滞留時間は9.6時間であった。
反応装置101内の反応混合物の反応状態が安定化した後に捕集された反応混合物を室温に冷却し、それをトルエン中に溶解した。このトルエン溶液を、ガスクロマトグラフ分析に供した。この分析の結果において、捕集された反応混合物中にエポキシシクロドデカンは全く検出されず、また、捕集反応混合物中のシクロドデカノンの含有量は97.5質量%であった。よって、上述の異性化反応において、エポキシシクロドデカンの転化率は100モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は98.9%であった。また、反応混合物の先頭反応器101より送り出された部分中の未反応エポキシシクロドデカンの含有量は4.7質量%であり、エポキシシクロドデカンの転化率は95.2モル%であった。
【0046】
比較例4
図8に示された槽型反応器を使用した。この反応器の有効容量は300mlであった。
出発反応混合物は98.6質量%のエポキシシクロドデカンと、0.73質量%(1.01モル%)のよう化リチウムを含み、この出発反応混合物を、定量ポンプを用いて、30ml/時の供給流量で、反応器80中に、その入口82を経由して連続的に導入し、この導入された反応混合物を、撹拌機により撹拌しながら、210℃の温度に加熱し、その後、反応混合物を、反応器80から、その出口83をオーバーフロさせて送り出し、それを捕集した。
反応装置80内の反応混合物の反応状態が安定した後に、捕集された反応混合物を室温に冷却し、トルエンに溶解した。このトルエン溶液をガスクロマトグラフ分析に供した。この分析結果において、捕集された反応混合物は、0.83質量%の未反応のエポキシシクロドデカンと、92.0質量%のシクロドデカノンを含んでいた。よって上記の反応において、エポキシシクロドデカンの転化率は99.2モル%であり、シクロドデカノンへの選択率は94.1モル%であった。反応装置80中の反応混合物の平均合計滞留時間は10.0時間であった。
【0047】
上記実施例及び比較例の反応条件及び分析結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004100893
【0049】
表1が明らかに示しているように、本発明方法によれば、シクロドデカノンが、対応するエポキシシクロドデカンから、工業的大規模においても比較的短時間内に、エポキシシクロドデカンの高い転化率をもって、また目的シクロドデカノンへの高い選択率をもって、かつ高い反応安定性をもって、連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いられる管型反応器の一例の単一管型反応器の断面説明図。
【図2】本発明方法に用いられる管型反応器の一例の多管型反応器の断面説明図。
【図3】本発明方法に用いられるコイル状管型反応器の一例の斜視説明図。
【図4】本発明方法に用いられるコイル状管型反応器の他の例の斜視説明図。
【図5】本発明方法に用いられる管型反応器と組み合わせて使用してもよい槽型反応器の一例の断面説明図。
【図6】本発明方法に用いられる管型反応器と組み合わせて使用してもよい槽型反応器の他の例の断面説明図。
【図7】本発明方法に用いられるコイル状管型反応器と槽型反応器との組み合わせの一例の概略説明図。
【図8】従来の槽型反応器の一例の断面説明図。
【図9】従来の槽型反応器の他の例の断面説明図。
【図10】本発明方法に用いられる反応装置の他の例の概略説明図。
【符号の説明】
1…単一管型反応器
2…単一直線状管
3…入口
4…出口
5…加熱ジャケット
6…加熱媒体用入口
7…加熱媒体用出口
10…多管型反応器10
11…外側ドラム
12…加熱媒体用入口
13…加熱媒体用出口
14…上部室
14a…出発反応混合物用入口
15…下部室
15a…生成反応混合物用出口
16…直線状管
17…加熱媒体用通路
30…コイル状管型反応器
31…コイル状管
32…入口
33…出口
40…反応装置
41,42…コイル状管型反応器
41a,42a…コイル状管
43,45…入口
44,46…出口
50,60…反応槽
51〜53,65〜67…パーティション
54〜57,61〜64…反応室
58,68…供給ライン
59,69…送り出しライン
65a〜67a…孔
50a,60a…液面の上の空間
70…反応装置
71…管型反応器
72…コイル状管
73,75…入口
74,76…出口
77…連結路
78,80…槽型反応器
81…反応槽
82…入口
83…出口
90…閉鎖槽型反応装置
91,92…閉鎖反応槽
93…連結路
94,96…入口
95,97…出口
100…反応装置
101…槽型反応器
102…コイル状管型反応器
103…コイル状管
104…連結ライン
105,107…入口
106,108…出口

Claims (8)

  1. エポキシシクロドデカンを、臭化リチウム及びよう化リチウムから選ばれた少なくとも1種を含む触媒の存在下に異性化反応させることを含み、
    前記異性化反応が、前記エポキシシクロドデカンと前記触媒とを含む反応混合物を、少なくとも1個の管型反応器を含む連続反応装置を通過させることによって連続的に行われる
    ことを特徴とするシクロドデカノンの連続的製造方法。
  2. 前記連続的反応装置が、前記管型反応器に直列に連結された少なくとも1個の槽型反応器をさらに含む、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
  3. 前記触媒がよう化リチウムを含む、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
  4. 前記触媒が前記エポキシシクロドデカンのモル量の0.01〜20モル%の添加量で用いられる、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
  5. 前記異性化反応が、ヘリウム、ネオン、アルゴン、水素、窒素、メタン及びエチレンガスから選ばれた少なくとも1種を含む不活性ガス雰囲気内で実施される、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
  6. 前記異性化反応が、100〜350℃の温度において実施される、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
  7. 前記異性化反応が、前記反応混合物中の前記エポキシシクロドデカンの転化率が90モル%以上のレベルに達するまで、100〜190℃の温度において実施される、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
  8. 前記異性化反応が、前記反応混合物中の前記エポキシシクロドデカンの転化率が90モル%以上のレベルに達するまで100〜190℃の温度において実施され、その後190〜350℃の温度で実施される、請求項1に記載のシクロドデカノンの連続的製造方法。
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