JP4099845B2 - 機械動作制御装置及び停止指令発生装置 - Google Patents

機械動作制御装置及び停止指令発生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エレベータ、電気車、工作機械などの動機械の機械動作制御装置に関し、特に位置制御を行わない状態から位置制御を行う状態に切り換えて動機械を制御する機械動作制御装置に関する。また、この発明は、動機械を制御する際の停止指令を発生する停止指令発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータ、電気車、工作機械などの動機械の制御では、乗り心地の観点や、速度、加速度が制限された範囲でなるべく早く目標停止位置に停止させるという目的から、速度の時間変化に理想的なパターンが存在する場合がある。図4はエレベータ制御における理想的な速度パターンの例を示した図である。図4において、時刻t0から時刻t1までは加速期間、時刻t1から時刻t2までは定速期間、時刻t2から時刻t3まで減速期間である。
【0003】
ここで、速度パターンに従いながら目標停止位置に停止させるための位置パターンは、加速期間は動作開始位置から時間的に順方向の計算を、減速期間は定位置から時間的に逆方向の計算を行う必要があるが、加速期間及び定速期間には動機械の位置を制御する必要はあまりないので、簡単のために加速期間と定速期間は速度制御のみを行い、減速期間以降のみ位置制御を行う方法が採られている。以下、速度制御のみを行う期間を速度制御期間、位置制御を行う期間を位置制御期間と呼ぶこととする。
【0004】
図13は特開昭56−65776号公報記載の従来の機械動作制御装置で、エレベータの定位置停止制御に用いられる機械動作制御装置を示す図である。以下、図13に示した従来の機械動作制御装置を第1の従来技術と呼ぶことにする。図において、101は速度制御を行うための速度パターンを発生する速度パターン発生部、102は残距離に応じて速度パターンを発生する残距離補償部で、102aは残距離に応じた残距離速度パターンである。
【0005】
103は速度制御期間における制御から位置制御期間における制御に切り換える指令を発生する切り換え指令部、104は切り換え指令部103からの指令によりスイッチを(a)側又は(b)側に切り換える切り換えスイッチである。
【0006】
105は切り換えスイッチ104を切り換えることにより速度パターン発生部101又は残距離補償部102の出力指令を速度指令vrとして、この速度指令vrと動機械107の実速度vとからトルク指令τrを生成する速度制御器、106は速度制御器105で生成されたトルク指令τrにより動機械107を駆動させる駆動装置、107は制御される動機械、108は動機械107の実速度を検出する速度検出器、109は動機械107の実位置を検出する位置検出器である。
【0007】
次に動作を説明する。
まず、速度制御期間においては、速度指令vrが速度パターン発生部101からの出力値になるように、切り換え指令部103の指令により切り換えスイッチ104が(a)側に接続されるようにする。このように切り換えられることにより、速度パターン発生部101が発生した速度指令が速度指令vrとして速度制御器105に入力される。
【0008】
速度制御器105は速度指令vrと速度検出器108で検出された動機械107の実際の機械速度vとを入力し、これらより適切な演算を行い駆動装置106に駆動トルク指令τrを出力する。そして、この駆動トルク指令τrにより駆動装置106が動機械107を制御し、動機械107の実速度vが速度指令vrに追従するように速度制御が行われる。
【0009】
次に、上記速度制御期間の速度制御から位置制御期間の位置制御に切り換える場合には、まず、速度指令vrが残距離補償部102からの出力値になるように、切り換え指令部103の指令により切り換えスイッチ104が(b)側に接続されるようにする。一方、残距離補償部10では、目標停止位置xsと動機械107の実位置xとの偏差から残距離速度パターン102aを参照して速度指令vrを生成する。
【0010】
そして、この速度指令vrを速度制御器105に入力し、速度制御器105、駆動装置106は前述と同様の動作をすることにより位置制御が行われる。ここで、残距離速度パターン102aは、減速および停止時における目標停止位置xsと動機械107の実位置xとの差、すなわち残距離に対する動機械107の速度vの理想的パターンであるため、残距離補償部102は動機械107の実速度vが理想的な残距離対速度の関係を保ちながら動機械107の実位置xが目標停止位置xに一致するように速度指令vrを発生する。
【0011】
図14は特開平6−209503号公報記載の他の従来の機械動作制御装置の構成図で、電気車の定位置停止制御に用いられる機械動作制御装置である。以下、図14に示した従来の機械動作制御装置を第2の従来技術と呼ぶことにする。図において、201は速度制御をする速度指令vrと位置制御をする位置指令xrとを発生する速度位置指令発生部、202は速度位置指令発生部201で発生された速度指令vrと動機械207の実速度vとの偏差から速度補償指令τvを生成する速度補償器、203は速度位置指令発生部201で発生された位置指令xrと動機械207の実位置xとの偏差から位置補償指令τxを生成する位置補償器である。
【0012】
204は速度補償器202で生成された速度補償指令τvと位置補償器203で生成された位置補償指令τxとの間の使用比率を選択する比率選択器、205は比率選択器204で選択された使用比率に応じた速度補償指令と位置補償指令からトルク指令τrを生成するトルク指令演算器、206はトルク指令演算器205で生成されたトルク指令τrにより動機械207を駆動する駆動装置、207は制御される動機械、208は動機械207の実速度vを検出する速度検出器、209は動機械207の実位置xを検出する位置検出器である。
【0013】
次に動作を説明する。
まず、速度位置指令発生部201で発生された速度指令vrと動機械207の実速度vとの偏差が速度補償器202に入力され、速度補償器202から速度補償指令τvが生成される。一方、速度位置指令発生部201で発生された位置指令xrと動機械207の実位置xとの偏差が位置補償器203に入力され、位置補償器203から位置補償指令τxが生成される。そして、これらの速度補償指令τvと位置補償指令τxとがトルク指令演算器205に入力される。
【0014】
ここで、速度制御期間においては、比率選択器204で速度補償器202で生成される速度補償指令τvの使用比率(以下、比率1と呼ぶ)を1とし、位置補償器203で生成される位置補償指令τxの使用比率(以下、比率2と呼ぶ)を0とすることにより、トルク指令演算器205は、速度補償指令τvをトルク指令τrとする。そして、このトルク指令τrに基づいて駆動装置206が動機械207を駆動させる。
【0015】
次に、速度制御期間から位置制御期間に切り換えるときには、比率選択器204で比率1を1より徐々に下げ、逆に、比率2を0より少し上げる。そして、トルク指令演算器205において、速度補償指令τvに比率1を乗じたものと、位置補償指令τxに比率2を乗じたものとの和をトルク指令τrとし、このトルク指令τrに基づいて駆動装置206が動機械207を駆動させる。
【0016】
以下、順に比率選択器204における比率1を順次下げていくと共に比率2を順次上げていき、最終的に、比率1を0、比率2を1にすることにより、トルク指令演算器205は、位置補償指令τxをトルク指令τrとし、このトルク指令τrに基づいて駆動装置206が動機械207を駆動される。
【0017】
このように、速度制御期間においては、速度制御が行われ、速度制御期間から位置制御期間への移行時には、比率1,比率2を徐々に変化させることにより、徐々に速度制御から位置制御へ移行させ、最終的には、位置制御のみを行うようにすることにより、制御の不連続を無くして乗り心地を上昇させるものである。
【0018】
ここで、位置補償器203は速度補償器202とは独立に設計され、位置補償指令τxそのものが駆動トルク指令τrになる場合に位置指令xrに対して動機械の実位置xが独立に制御されるように設計されるものであり、良好な位置制御を行うためには通常、位置補償器203は速度制御ループや位置の微分制御ループをマイナーループとして含むものである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
第一の従来技術では、残距離速度パターンが動機械の実位置xの非線形フィードバックを行う位置ゲインになっているが、速度指令vrに対する動機械の実速度vの応答は通常遅延等により応答誤差が存在するため、動機械の実位置が目標停止位置より大きくオーバーシュートするなど理想的なパターンからの誤差を生じるので、その誤差を小さくするための調整に残距離速度パターンを変更する必要があり、また上述のように非線形フィードバックになっているため、制御系の特性が分かり難く、調整も難しく、精度が悪いという問題がある。
【0020】
また、減速時に乗り心地に問題なくなるべく早く目標停止位置に停止するように、速度の理想的パターンを加速度一定やジャーク一定などのパターンにすると、残距離速度パターンの傾きすなわち線形化した位置ゲインが目標停止位置近傍で無限大になり安定性に問題を生じるため、目標停止位置近傍では、更に残距離速度パターンから安定なゲインに変更する必要があり、手間がかかるという問題がある。
【0021】
第二の従来技術では、速度を制御する速度補償器と位置を制御する位置補償器の二つの補償器が独立に設けられているため、この二つの補償器を瞬時に切り換えると機械動作の不連続が発生する。そこで、このような不連続が起こらないようにするため、第一の切り換え時点と第二の切り換え時点を設定し、この第1、第2の切り換え時点間に動機械の実位置xや動機械の実速度vを監視しながら速度補償指令τvと位置補償指令τxの使用比率を変更するため、手間がかかるという問題がある。
【0022】
また、第一の切り換え時点と第二の切り換え時点の間では速度補償トルク指令τvと位置補償トルク指令τxの使用比率が時事刻々と変化するため制御系の特性も時事刻々と変化して分かり難く、高精度化のための調整が難しいという問題がある。さらにまた、第一の切り換え時点と第二の切り換え時点の間では速度補償器と位置補償器の両方が作用しているが、通常、位置制御器自体に速度制御や微分制御を行うマイナーループを用いるため制御系全体に無駄が生じており、計算時間がかかるなどの問題がある。
【0023】
また、動機械の制御においては、ある時点での動機械の実速度がその後の実位置の変化に影響を与えるが、第1及び第2の従来技術の場合には、制御系の切り換え時や位置制御を行う期間に動機械の実速度及び実位置の両方を緻密に制御することをしていないため、切り換え時に機械動作が急変したり制御精度が悪化したりする。
【0024】
また、従来の停止指令発生装置では、第一の従来技術の場合には、実際の残距離に基づいて順に速度指令が出力されるため、速度制御の遅れなどが原因となり、速度指令が時間に対する理想的なパターンと誤差を生じ、その結果、動機械の位置も理想的なパターンに追従しないという問題点がある。一方、第二の従来技術の場合には、速度指令と位置指令を非位置制御期間をも含めて連続的にするため、速度制御から位置制御へと切り換えた時点で、位置指令と動機械の実位置とが大きく異なり、切換時点で機械動作を急変させてしまうという問題点がある。
【0025】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、切り換え時点の初期状態や指令信号を良好に設定することにより、位置制御へと切り換えた切り換え時点から緻密な制御を行い、切り換え時点における機械動作の急変がなく、切り換え後も高精度な位置制御を行うことができる構成の簡単な機械動作制御装置を提供することを目的とする。
【0026】
また、位置制御期間においては、理想的な速度指令及び位置指令を発生し、非位置制御から位置制御への切り換え時点において、機械動作の急変が起こらないようにできる停止指令発生装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る機械動作制御装置は、対象物の位置の制御を行わずに速度を制御する速度制御のための速度指令を発生する速度制御指令発生部と、目標停止位置に対する残距離及び速度の関係を予め定めた関係式に基づき、速度制御の状態における対象物の実位置から求めた残距離速度制御のための速度指令の関係が前記関係式により定められる残距離と速度との関係に一致するときに、速度制御から対象物の位置制御を行う位置制御に切り換える切り換え部と、切り換え部の切り換え時において速度制御指令発生部で発生される速度制御のための速度指令と一致するように設定した位置制御のための速度指令の初期値と、切り換え部の切り換え時において実位置に基づいて設定した位置指令の初期値とから、関係式に基づいて時間的に変化する位置制御のための速度指令及び位置指令を生成する位置制御指令発生部と、速度制御時においては速度制御指令発生部で発生された速度制御のための速度指令及び対象物の実速度から第1のトルク指令を生成し、位置制御時においては位置制御指令発生部で発生された位置制御のための速度指令及び対象物の実速度から第1のトルク指令を生成する第1のトルク指令発生器と、位置制御指令発生部で発生された位置指令及び対象物の実位置から第2のトルク指令を生成する第2のトルク指令発生器と、第1のトルク指令発生器で生成された第1のトルク指令及び第2のトルク指令発生器で生成された第2のトルク指令を加算するよう生成された第3のトルク指令により対象物の駆動制御をする第1の駆動部とを備える。また、位置制御指令生成部は、切り換え部の切り換え時において実位置と一致するよう位置指令の初期値を設定する。
【0028】
また、対象物の位置及び速度の制御を行わずにトルクを制御するトルク制御のための駆動トルク指令を発生するトルク指令発生部と、目標停止位置に対する残距離速度の関係を予め定めた関係式に基づき、トルク制御の状態における対象物の実位置から求めた残距離対象物の実速度の関係が前記関係式により定められる残距離と速度との関係に一致するときに、トルク制御から対象物の位置制御を行う位置制御に切り換える切り換え部と、切り換え部の切り換え時において実速度と一致するよう設定した位置制御のための速度指令の初期値と、切り換え部の切り換え時において実位置に基づいて設定した位置指令の初期値とから、関係式に基づいて時間的に変化する位置制御のための速度指令及び位置指令を生成する位置制御指令発生部と、位置制御指令発生部で発生された位置制御のための速度指令及び対象物の実速度から第4のトルク指令を生成する第4のトルク指令発生器と、位置制御指令発生部で発生された位置指令及び対象物の実位置から第2のトルク指令を生成する第2のトルク指令発生器と、トルク制御時においてはトルク指令発生部で発生された駆動トルク指令により対象物の駆動制御をし、位置制御時においては第4のトルク指令発生器で生成された第4のトルク指令及び第2のトルク指令発生器で生成された第2のトルク指令を加算するよう生成された第5のトルク指令により対象物の駆動制御をする第2の駆動部とを備える。また、位置制御指令生成部は、切り換え部の切り換え時において実位置と一致するよう位置指令の初期値を設定する。さらに、切り換え部の切り換え時において、切り換え時の第5のトルク指令とトルク指令発生部で発生される駆動トルク指令とが一致するようにする。
【0030】
また、切り換え部の切り換え時において、第2のトルク指令発生器で発生される第2のトルク指令が0となるようにする。
さらに、第2のトルク指令発生器は、位置指令及び対象物の実位置から第2のトルク指令を生成するための積分器を備え、切り換え部の切り換え時に、第2のトルク指令発生器で発生される第2のトルク指令が0となるように積分器の初期設定をする。
【0031】
また、第1のトルク指令発生部は、速度制御指令発生部で発生された速度指令から伝達関数に基づいて速度指令子を生成し、この速度指令子と対象物の実速度から第1のトルク指令を生成し、第2のトルク指令発生部は、位置制御指令発生部で発生された位置指令から伝達関数に基づいて位置指令子を生成し、この位置指令子と対象物の実位置から第2のトルク指令を生成する。
さらに、切り換え部の切り換え時において、第1のトルク指令発生部で生成される速度指令子と対象物の実速度とが一致するようにする。
さらにまた、切り換え部の切り換え時において、第2のトルク指令発生部で生成される位置指令子と対象物の実位置とが一致するようにする。
【0032】
また、この発明に係る停止指令発生器は、目標停止位置に対する残距離及び速度の対応関係を示した関数に基づいて対象物の速度を制御するための速度指令を生成する速度指令生成部と、前記速度指令を積分演算することにより時間的に変化する位置指令を生成する位置指令生成部とを備え、速度指令生成部は目標停止位置と前記位置指令との差を前記残距離として前記速度指令を生成し、前記位置指令生成部は、前記位置指令の初期値を初期値設定時点の前記対象物の実位置に基づいて設定する。
【0033】
さらに、この発明に係る機械動作制御装置は、位置制御指令発生部を停止指令発生装置にする。
【0034】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1である機械動作制御装置の構成を示す図である。図において、1は速度制御期間における速度指令vrを発生する速度指令発生部、2は位置制御期間における位置指令xr及びこの位置指令xrに対応した速度指令vrを発生する速度位置指令発生部、3は速度指令発生部1または速度位置指令発生部2で発生された速度指令vrと動機械9の実速度vとを入力し適切な演算により速度制御トルク指令τvを出力する速度制御器、4は速度位置指令発生部2で発生された位置指令xrと動機械9の実位置xとを入力し適切な演算により位置補償トルク指令τxeを出力する位置補償器である。
【0035】
5は速度制御期間における速度制御の状態から位置制御期間の位置制御の状態に切り換えるため切り換え指令を発生する切り換え指令部、6は切り換え指令部5の切り換え指令に応じて切り換えられるスイッチで、6aは速度制御期間には(a)側に切り換えて速度指令発生部1で発生される速度指令vrが速度制御器3に入力されるようにし、位置制御期間には(b)側に切り換えて位置速度指令発生部2で発生された速度指令vrが速度制御器3に入力されるように切り換えられるスイッチ、6bは速度制御期間にはオフ状態に、位置制御期間にはオン状態になるように切り換えられるスイッチである。
【0036】
7は速度制御器3で出力された速度制御トルク指令τvと位置制御期間においては位置補償器4で出力された位置補償トルク指令τxeとを加算した駆動トルク指令τrを出力する加算器、8は加算器7から出力される駆動トルク指令τrにより動機械9を駆動する駆動装置、9は例えばエレベータや電車等、制御されるべき動機械、10は動機械9の実速度vを検出する速度検出器、11は動機械9の実位置xを検出する位置検出器である。
【0037】
図2は図1に示した速度位置指令発生部2を示すブロック図である。図において、2aは目標停止位置xsと位置指令xrとの偏差xe(以下、残距離と呼ぶ)を求める差分演算器、2bは図3に示すような残距離xeと速度指令vrとの対応関係を表した速度パターン(以下、停止パターンと呼ぶ)を用いて差分演算器2aで求められた残距離xeから速度指令vrを生成する速度指令生成部、2cは速度指令生成部2bで求められた速度指令vrを積分することにより位置指令xrを生成する位置指令生成部である。
【0038】
なお、図3に示した停止パターンは、動機械9が停止するときに、加速度やジャークの制限を満たした上でなるべく早く停止させるための理想的な動作パターンであり、動機械9を停止させる目標停止位置xsと動機械9の実位置xとの残距離xe(=xs−x)に対する理想的な動機械9の速度vの関係を計算式やテーブルにより作成したものである。
【0039】
次に、図1に示した機械動作制御装置の動作について説明する。
図4は図1に示した動機械9が動作を開始してから停止するまでの時間に対する動機械9の速度の理想的なパターンを示す図である。図において、時刻t0から時刻t1までは動機械9は加速されていき、時刻t1から時刻t2までは等速運動し、時刻t2から時刻t3まで減速されていき、時刻t3で所望の目的停止位置に動機械9が停止する。このとき、時刻t0から時刻t2までの速度制御をする期間を速度制御期間と呼び、時刻t2からの動機械を目的位置に停止させるための制御をする期間を位置制御期間と呼ぶことにする。
【0040】
まず、図4に示した時刻t0から時刻t2の速度制御期間の動作を説明する。時刻t0において、スイッチ6aが(a)側に、スイッチ6bがオフ状態になるように切り換え指令部5は、スイッチ6a、6bに切り換え指令を発する。そして、スイッチ6a、6bは、この切り換え指令に応じて切り換えを行う。
【0041】
一方、速度指令発生部1では時刻t0から時刻t1までは加速、時刻t1から時刻t2までは一定の動機械の理想的な速度パターンを速度指令vrとして発生する。そして、時刻t0から時刻tまではスイッチ6aが(a)側に切り換えられているので、速度指令発生部1で発生される速度制御のための速度指令vrが速度制御器3に入力される。
【0042】
そして、速度制御器3において、この速度指令vrと速度検出器10において検出された動機械9の実速度vを入力し、後述する適切な演算を行い速度制御トルク指令τvを出力する。ここで、スイッチ6bがオフ状態であるので、加算器7においては、速度制御器3からの速度制御トルク指令τvが駆動トルク指令τrとして出力され、駆動装置8において、この駆動トルク指令τrにより動機械9が制御される。このようにして、動機械9が制御されるので、動機械9の実速度vが速度指令vrに特定の伝達特性を持って追従するようになっている。
【0043】
次に、図4に示した時刻t2以降の位置制御期間の動作を説明する。まずはじめに、速度位置指令発生部2及び切り換え指令部5の動作を説明する。
切り換え指令部5は、例えば、速度制御期間に目標停止位置xsと動機械9の実位置xとの差、すなわち残距離xe(=xs−x)や速度指令vrなどを監視しながら、目標停止位置が近づくと位置制御期間への切り換え指令を発生し、スイッチ6aを(a)側から(b)側に、スイッチ6bがオン状態になるように切り換え指令を発する。そして、スイッチ6a、6bは、この切り換え指令に応じて切り換えを行う。
【0044】
一方、時刻t2において、速度制御から位置制御に切り換えられると、速度位置指令発生部2では、まず、以下のようにして初期設定を行う。
まず、速度位置指令発生部2の位置指令xrの初期値を時刻t2における動機械9の実位置xとする。そして、図2に示した加算器2aにおいて、目標停止位置xsと初期値xrとの差をとり残距離xe(=xs−x)を求め、速度指令生成部2bに入力する。
【0045】
速度指令生成部2bでは、図3に示した停止パターンにより入力された残距離xeに対応する速度vを求め、求められた速度vが時刻t2直前の速度指令発生部1で発生された速度指令vrと一致するか判定する。もし、一致しない場合には、この残距離xeに対する速度vが速度指令vrと一致するように停止パターンを変更する。この停止パターンの変更方法としては、例えば特開昭56−657776号公報に記載の方法のように、残距離xeに対する速度vと速度指令vrが一致するまで、残距離xeに対する速度vの値が小さく(又は大きく)なるように少しずつ補正することにより、残距離xeに対する速度vと速度指令vrとが一致するようにさせればよい。
【0046】
このように、位置指令xrの初期値を動機械9の実位置xに一致させ、その時点の残距離xe(=xs−x)の入力に対する残距離速度パターンの出力が切り換え時点直前の速度指令vrに一致するように、予め作成された停止パターンを変更することにより、切り換え時点において、速度指令vrは連続に、位置指令xrは動機械9の実位置xに一致するため、切り換え直後に動機械9の動作が急変することはない。
【0047】
また、次のように切り換えることにより、切り換え時の速度指令vrと位置指令xrの初期値を設定してもよい。切り換え指令部5において、速度制御期間に残距離xe(=xs−x)と速度指令発生部1の速度指令vrを監視しておき、この残距離xeと速度指令vrとの関係が、図3に示したような予め作成された停止パターンの残距離xeと速度vの関係に一致するときに速度制御期間から位置制御期間に切り換わるように切り換え指令を発生する。このように切り換え時の速度指令vrと位置指令xrの初期値を設定するようにすれば、上記のように停止パターンを変更する必要がなくなる。
【0048】
上記のような初期設定が行われた後は、以後、位置速度指令発生部2は、目標停止位置xsと位置指令xrとの偏差により残距離xeを求め、停止パターンにより、この残距離xeに対応した速度vを速度指令vrとして出力するとともに、この速度指令vrを積分した結果を位置指令xrとして出力する。以後、このようにして順次速度指令vr、位置指令xrが発生される。
【0049】
上記のように、動機械9の実位置ではなく、残距離と速度指令との対応関係を示した停止パターンを作成しておくことで、目標停止位置xsの違いに関わらず、理想的な停止パターンである速度指令vrと位置指令xrを目標停止位置まで定常偏差無く発生することが可能である。
【0050】
さらに、速度制御期間から位置制御期間への切り換えを行う切り換え時点、すなわち時刻t2において、速度位置指令発生部2で発生する速度指令vrの初期値は切り換え直前の速度指令vrと一致するため速度指令vrは切り換え時点で連続となり、また、位置指令xrの切り換え時点における初期値は動機械9の実位置xに一致するので、速度制御期間から位置制御期間への切り換え時において、動機械9の動作に対する指令信号を速度指令発生部1の速度指令vrから、速度位置指令発生部2の速度指令vrと位置指令xrに変更したことにより動機械9の動作が急変することはない。
【0051】
そして、このようにして、速度位置指令発生部2で発生された速度指令vrは速度制御器3に入力され、速度位置指令発生部2で発生された位置指令xrは位置補償器4に入力される。
速度制御器3では、位置速度指令発生部2で発生された速度指令vrと速度検出器4で検出した動機械9の実速度vとを入力し、後述する適切な演算を行い速度制御トルク指令τvを出力するようにし、動機械9の実速度vが速度指令vrに特定の伝達特性をもって追従するように制御する。
【0052】
ここで、位置指令xrは速度指令vrの時間積分の関係にあるため、前述の速度制御器3の作用により動機械9の実速度vが完全に速度指令vrに特定の伝達特性を持って追従するように制御されたとすると、位置制御期間に切り換わった時の位置指令xrの初期値が好適ならば、速度制御器3による作用のみで機械動作は完全に制御され、動機械9の実位置xも位置指令xrに特定の伝達特性を持って追従するように制御される。
【0053】
しかしながら、一般には速度制御器3による速度制御は完全ではなく、また、摩擦などの外乱も存在するため、速度制御器3による作用のみでは動機械9の実位置xは位置指令xrと特定の伝達特性を持った関係から誤差を生じる。そこで、位置補償器4において、速度位置指令発生器2で発生される位置指令xrと動機械9の実位置xを入力し、この誤差を補償するための位置補償トルク指令τxeを出力する。
【0054】
そして、速度制御器3で生成された速度制御トルク指令τvと位置補償器4で生成された位置補償トルク指令τxeの和をとり駆動トルク指令τrを加算器7で求め、この駆動トルク指令τrを駆動装置8に入力する。そして、この入力された駆動トルク指令τrにより動機械9を駆動することにより、動機械9の実速度vが速度指令vrに特定の伝達特性を持って追従し、なおかつ動機械9の実位置xが位置指令xrに特定の伝達特性を持って追従するように精度良く制御される。
【0055】
次に、速度制御器3について説明する。
図5は図1に示した機械動作制御装置の速度制御器を示すブロック図である。図において、3aは微分あるいは疑似微分を行う微分器、3bは加速度フィードフォワードゲイン、3cは速度PI補償器である。
【0056】
次に、速度制御器3の動作を説明する。速度制御器3は前述のように速度制御期間および位置制御期間ともに同様な動作を行う。速度制御器3は速度指令vrと動機械9の実速度vを入力し、速度指令vrを微分器3aで微分した加速度指令arにJeの加速度フィードフォワードゲイン3bを乗じた信号を加速度フィードフォワードトルク指令τfとし、また、速度PI補償器3cは速度指令vrと動機械9の実速度vとの偏差を入力し、PI(比例積分)演算を行った結果を速度偏差補償トルク指令τveとして出力する。そして、速度制御器3はこのように求められた加速度フィードフォワードトルク指令τfと速度偏差補償トルク指令τveの和を速度制御トルク指令τvとして出力する。
【0057】
ここで、図1に示した駆動トルク指令τrから動機械9の実速度vまでの伝達特性G(s)が下記の式(1)に示したように純粋な慣性負荷モデルとして表され、摩擦などの外乱も存在しない状態(以下、理想状態と呼ぶ)であるとすると、理想状態では加速度フィードフォワードゲインJeを伝達特性G(s)の慣性Jに一致させた場合、動機械9の実速度vが速度指令vrに完全に一致する。
【0058】
また、速度PI補償器3cは理想状態からのずれ、すなわち摩擦などの外乱や、伝達特性G(s)のモデル誤差に対して速度指令vrと動機械9の実速度vとの偏差を0にするように作用させることにより、動機械9の実速度vが速度指令vrに高精度に一致するように制御される。
【0059】
G(s)=1/(J・s) ・・・ (1)
だたし、式(1)においてsは微分演算子を表す。
【0060】
次に、位置補償器4について説明する。図6は図1に示した機械動作制御装置の位置補償器を示すブロック図である。図において、4aは位置PI補償器である。
【0061】
次に、位置補償器4の動作を説明する。位置補償器4は上述のように速度制御期間は制御系に作用せず、位置制御期間のみ作用する。また上述のように速度制御器3による速度制御が完全な場合には速度制御器3のみの作用で動機械9の実位置xは位置指令xrに完全に一致するが、実際には誤差が生じる。そのため、位置補償器4は位置指令xrと動機械9の実位置xを入力し、位置指令xrと動機械9の実位置xの偏差を位置PI補償器4aに入力してPI(比例積分)演算を行った結果を位置補償トルク指令τxeとして出力することにより、動機械9の実位置xが位置指令xrに一致するように高精度な制御を行う。
【0062】
このように、位置補償器4は速度制御器3による速度制御が完全でないために生じる位置指令xrと動機械9の実位置xとの誤差に対してのみ作用するため、上述の速度制御期間と同じ速度制御器3を特に制御ゲインの変更なども行わずに用いて、位置補償器4から出力された位置補償トルク指令τxeを駆動トルク指令τrに加算するだけで簡単に、動機械9の実位置xが位置指令xrに一致するような高精度な位置制御が可能である。
【0063】
また、位置補償器4の切り換え時点の位置補償トルク指令τxeの初期値が0になるように設定すれば、スイッチ6bの切り換え、すなわち制御系の構造の切り換えに起因して切り換え時点に駆動トルク指令τrが急変することがない。
【0064】
すなわち、速度制御期間から位置制御期間への切り換え時点に位置指令xrと動機械9の実位置xを一致させ、切り換え時点における、位置補償器4における位置PI補償器4aの積分器出力の初期値を0にすることにより、切り換え時点の位置補償トルクτxeの初期値は0になるため制御系の構造の切り換えが原因で切り換え時点に駆動トルク指令τrが急変することはなく、機械動作に対する指令信号の変更に起因した機械動作の急変を起こさずに速度制御期間から位置制御期間への切り換えが可能である。
【0065】
このように、動機械の実速度及び実位置の両方を、速度指令、位置指令、速度制御器、及び位置補償器を用いて、速度制御期間から位置制御期間へ切り換えた初期状態からきめ細かく制御することにより、切り換え時点及び直後に機械動作が急変せずに位置制御期間には動機械の実位置を高精度に制御することが可能である。
【0066】
本実施の形態では、速度位置指令発生部における位置指令生成部において、速度指令を積分することにより位置指令を生成しているが、これは特に限定するものではなく、例えば、時間に対する理想的な速度パターンと、この速度パターンに対応した時間に対する理想的な位置パターンを用意しておき、切り換え時における時刻を速度パターンから決定し、動機械の実位置と位置パターンにおける前記時刻に対応した位置との差βを求め、以後、この位置パターンの位置に初期値βを加算することで位置指令を発生させるようにしてもよい。
【0067】
本実施の形態では、速度指令発生部で発生された速度指令と速度位置指令発生部で発生された速度指令とが両方とも同じ速度制御器に入力されるようになっているが、これは特に限定するものではなく、速度制御器を2つ用いて速度制御器に入力される速度指令を切り換え器により切り換える代わりに、上記2つの速度制御器からの出力を切り換え器により切り換わるようにしてもよい。
【0068】
本実施の形態1の機械動作制御装置では、以上のように機械動作制御装置を構成することにより、速度制御期間から位置制御期間に切り換えて理想的停止パターンに追従させて目標停止位置に停止させる場合、速度制御期間から位置制御期間への一度だけの切り換えで、制御器のゲインを特に変更することもなく、常に速度制御器を動作させたまま位置補償トルク指令τxeを駆動トルク指令τrに加算するという簡単な制御系の構成で、機械動作を急変させることなく切り換えを行い、速度制御期間には速度パターンに、位置制御期間には停止パターンに高精度で追従し、定常偏差無く目標停止位置に停止させる制御を実現できる。
【0069】
実施の形態2.
この実施の形態2の機械動作制御装置は、実施の形態1の図1に示した機械動作制御装置の速度制御器及び位置補償器が異なるのみで、その他は実施の形態1の図1に示した機械動作制御装置と同様であるので、速度制御器及び位置補償器以外の説明は省略する。
【0070】
図7はこの実施の形態2の機械動作制御装置の速度制御器を示すブロック図である。図において、3dは速度指令vrを入力し速度指令子(以下、第二速度指令と呼ぶ)vr2と第二加速度指令ar2を生成する第二速度指令演算器、3eは加速度フィードフォワードゲイン、3fは速度PI補償器である。
【0071】
次に、図7に示した速度制御器3の動作を説明する。速度制御器3は実施の形態1と同様に、速度制御期間及び位置制御期間ともに同様な動作を行う。速度制御器3には速度指令vrと動機械9の実速度vが入力されるが、速度制御器3が備える第二速度指令演算器3dには速度指令vrが入力され、下記の式(2)で表される遮断周波数ωfのローパスフィルタ特性を持つ伝達関数演算により第二速度指令vr2を演算して出力し、同時に第二速度指令vr2の時間微分である第二加速度指令ar2が出力される。
【0072】
vr2={ωf/(s+ωf)}vr ・・・ (2)
ただし、式(2)においてsは微分演算子を表す。
【0073】
速度制御器3は更に第二加速度指令ar2にJeの加速度フィードフォワードゲイン3eを乗じた信号を加速度フィードフォワードトルク指令τfとし、また、速度PI補償器3fは第二速度指令vr2と動機械9の実速度vとの偏差を入力し、PI(比例積分)演算を行った結果を速度偏差補償トルク指令τveとして出力し、速度制御器3は加速度フィードフォワードトルク指令τfと速度偏差補償トルク指令τveの和を速度制御トルク指令τvとして出力する。
【0074】
ここで、図1に示した駆動トルク指令τrから動機械9の実速度vまでの伝達特性G(s)が実施の形態1の説明と同様に式(1)に示した純粋な慣性負荷のモデルとして表され、摩擦などの外乱も存在しない理想状態では加速度フィードフォワードゲインJeをG(s)の慣性Jに一致させた場合、動機械9の実速度vは第二速度指令vr2に完全に一致する。また、速度PI補償器3fは理想状態からのずれ、すなわち摩擦などの外乱や、G(s)のモデル誤差に対して第二速度指令vr2と動機械9の実速度vとの偏差を0にするように作用することにより、動機械9の実速度vが第二速度指令vr2に高精度に一致するように制御を行う。
【0075】
ここで、速度制御器3は速度指令vrから第二速度指令演算器3dによって高周波成分を除去された第二速度指令vr2に追従するように制御することにより、例えば動機械9が機械共振特性を有する場合に振動を励起しないように制御することが可能となる。また動機械9の機械特性に応じて第二速度指令演算器3dの遮断周波数ωfだけを調整すれば良いため、調整が簡単である。
【0076】
次に、位置補償器4について説明する。図8は位置補償器を表すブロック図である。図において、4bは位置指令xrを入力し位置指令子(以下、第二位置指令と呼ぶ)xr2を生成する第二位置指令演算器、4cは位置PI補償器である。次に、位置補償器4の動作を説明する。位置補償器4は実施の形態1と同様に速度制御期間は制御系に作用せず、位置制御期間のみ作用する。位置補償器4は位置指令xrと動機械9の実位置xを入力し、第二位置指令演算器4bは位置指令xrを入力し、下記の式(3)のように上述の第二速度指令演算器3dにおける速度指令vrから第二速度指令vr2までの伝達特性と同じ伝達特性を持つ演算を行い、第二位置指令xr2を出力する。
xr2={ωf/(s+ωf)}xr ・・・ (3)
【0077】
また、速度制御が上述のように完全な場合には速度制御器3のみの作用で動機械9の実位置xは第二位置指令xr2に完全に一致するが実際には誤差が生じる。そのため、位置補償器4は第二位置指令xr2と動機械9の実位置xの偏差を位置PI補償器4cに入力してPI(比例積分)演算を行った結果を位置補償トルク指令τxeとして出力することにより、動機械9の実位置xが第二位置指令xr2に高精度に一致するように制御を行う。
【0078】
このように、位置補償器4は速度制御器3による速度制御のみでは生じる第二位置指令xr2と動機械9の実位置xとの誤差に対してのみ作用するため、上述の速度制御期間と同じ速度制御器3を用いて特に制御ゲインの変更なども行わず、位置補償器4から出力された位置補償トルク指令τxeを速度制御トルク指令τvに加算するだけで簡単に、動機械9の実位置xが位置指令xrに一致するような高精度な位置制御が可能である。
【0079】
なお、実施の形態1と同様に、速度制御期間から位置制御期間への切り換え時点に速度指令vrを連続にし、位置指令xrと動機械9の実位置xを一致させることにより、機械動作に対する指令を速度指令vrだけから速度指令vrと位置指令xrに変更したことに起因して切り換え直後に機械動作が急変することはない。
【0080】
次に、制御系の構造を切り換えることに起因する連続性に関しては、位置補償器4における第二位置指令xrと位置PI補償器4cの積分器出力は、位置指令xrと同様に第二位置指令xr2の初期値を動機械9の実位置xに一致させれば、第二位置指令が原因となり切り換え直後に急変することがないので、機械動作が急変することはない。
【0081】
更に、位置PI補償器4cの積分器出力の初期値を0にすれば、切り換え時点の位置補償トルクτxeの初期値は0になるため制御系の構造の切り換えが原因で切り換え時点にトルク指令τrが急変することはなく、機械動作の急変を起こさずに速度制御期間から位置制御期間への切り換えが可能である。
【0082】
なお、切り換え指令部5および速度位置指令発生部の動作は実施の形態1と全く同様であるので説明を省略する。
【0083】
本実施の形態2の機械動作制御装置では、以上のように機械動作制御装置を構成することにより、速度制御期間から位置制御期間に切り換えて目標停止位置に理想的停止パターンに追従して停止させる場合、速度制御期間から位置制御期間への一度だけの切り換えで、制御器のゲインを特に変更することもなく、常に速度制御器を動作させたまま位置補償トルク指令τxeを駆動トルク指令τrに加算するという簡単な制御系の構成で、機械動作を急変させることなく切り換えを行い、速度制御期間には速度パターンに、位置制御期間には停止パターンに高精度で追従し、定常偏差無く目標停止位置に停止させる制御を実現できる。また動機械の特性に合わせて、例えば機械共振を励起しないような調整を簡単に行うことができる。
【0084】
実施の形態3.
実施の形態1、2においては、速度制御から位置制御へと切り換える場合について説明したが、この実施の形態3では、電気車の動作の制御の場合など、通常は駆動装置に直接トルク指令を与え、すなわち速度や位置の自動制御は行わない状態から、目標停止位置が近づくと機械動作制御装置により、理想的な動作パターンに追従して自動的に目標停止位置に停止するように制御するものである。
【0085】
図9はこの実施の形態3の機械動作制御装置の構成を示す図である。図において、5はトルク制御されているトルク制御期間から位置を制御する位置制御期間に切り換える切り換え指令を発する切り換え指令部、12は切り換え指令部5の切り換え指令に応じてスイッチを切り換える切り換えスイッチ、13はトルク指令を発生するトルク指令発生部である。なお、速度制御器3及び位置補償器4は実施の形態2と全く同じものを用い、その詳細な説明は省略する。その他は実施の形態1で説明したものと同様であるので説明は省略する。
【0086】
次に、この実施の形態3の全体的な動作を説明する。動機械9が目標停止位置より離れている場合には、切り換えスイッチ12を(a)側に接続し、例えば人による直接的操作などによってトルク指令発生部13は駆動トルク指令τrを駆動装置8に出力して動機械9を駆動する。以下、この期間をトルク制御期間と呼ぶとする。
【0087】
次に、切り換え指令部5は上述のトルク制御期間に、例えば速度制御期間に目標停止位置xsと動機械9の実位置xとの差、すなわち残距離xe(=xs−x)や動機械9の実速度vなどを監視しながら、目標停止位置が近づくと位置制御期間への切り換え指令を発生する。そして、この切り換え指令により、切り換えスイッチ12は(b)側に切り換えられ、位置制御期間へと移行する。
【0088】
上記スイッチ12の切り換えにより、位置制御が行われるが、まずはじめに、速度位置指令発生部2及び切り換え指令部5の動作を説明する。
切り換え指令部5は、例えばトルク制御期間に目標停止位置xsと動機械9の実位置xとの差、すなわち残距離xe(=xs−x)や動機械9の実速度vなどを監視しながら、目標停止位置が近づくと位置制御期間への切り換え指令を発生し、切り換えスイッチ12を(a)側から(b)側に切り換える。
【0089】
速度位置指令発生部2の動作は初期値の設定方法を除いて実施の形態1と同じであるので、切り換え時点における初期値の設定方法についてのみ説明する。切り換え指令部5は、トルク制御期間に残距離xe(=xs−x)と動機械9の実速度vを監視しておき、残距離xeと動機械9の実速度vとの関係が、予め作成された速度パターンの関係に一致する時点で切り換え指令を発生し、このときの位置指令xrの初期値を動機械9の実位置xに一致させるようにする。
【0090】
このようにすると、速度位置指令発生部2を発生する速度指令vrの初期値は切り換え直前の動機械9の実速度vと一致し、また、位置指令xrの切り換え時点における初期値は動機械9の実位置xに一致するので、指令信号を変更することにより、切り換え直後に動機械9の動作が急変することはない。
【0091】
あるいは、特開昭56−65776号公報記載の第一の従来技術と同様に、切り換え指令部13は残距離xe(=xs−x)がある値になった時点に切り換え指令を発生し、位置指令xrの初期値を動機械9の実位置xに一致させ、その時点の残距離xeの入力に対する速度パターンの出力が切り換え時点直前の動機械9の実速度vに一致するように、予め作成された速度パターンを変更すれば、切り換え時点で、速度指令vrは動機械9の実速度vに、位置指令xrは動機械9の実位置xに一致し、前述のように指令信号を変更することにより切り換え直後に動機械9の動作が急変することはない。
【0092】
次に、位置制御期間では、速度位置指令発生部2が目標停止位置までの停止パターンとして、初期値以外は実施の形態1、2と同様に速度指令vrと位置指令xrを発生する。また、速度制御器3、位置補償器4は実施の形態2と全く同様に動作し、動機械9の実速度vと動機械9の実位置xがそれぞれ第二速度指令vr2と第二位置指令xr2に一致するように制御することにより、動機械9の動作が理想パターンに追従して目標停止位置に停止するような制御を行う。
【0093】
ここで、トルク制御期間から位置制御期間への切り換えを行う切り換え時点において、動機械9に対する駆動トルク指令τrから速度指令vrと位置指令xrへの変更については、速度位置指令発生部2の出力の速度指令vrの初期値を動機械9の実速度vに一致させ、位置指令xrの初期値を動機械9の実位置xに一致するようにするので、機械動作に対する指令を、特に指令しない状態から速度指令と位置指令に変更したことが原因となり、切り換えの直後に機械動作が急変することはない。
【0094】
次に、切り換え時点において切り換えスイッチ12を(a)側から(b)側へと切り換えて制御系の構造を切り換えることに起因する不連続性に関しては、速度制御器3と位置補償器4における初期値を適切に設定すれば良いが、まず、切り換え時点における第二速度指令vr2および第二位置指令xr2の初期値は速度指令vrおよび位置指令xrと同様に動機械9の実速度vおよび位置指令xにそれぞれ一致させることにより、切り換え直後に第二速度指令vr2、第二位置指令xr2が原因となり機械動作が急変することは無い。
【0095】
更に、動機械9に対する重力負荷などの定常的負荷トルクが無く、摩擦の影響も小さいような場合には、速度PI補償器3の積分器出力と位置PI補償器4の積分器出力を両方とも0にすることにより、切り換え時点の駆動トルク指令τrを0にすると、切り換え時点に動機械9の実速度vを急変させることなく切り換えることが可能である。
【0096】
更に、動機械9に対する重力負荷などの定常的負荷トルクや摩擦の影響が大きく、切り換え直前に駆動トルク指令τrが0と大きく異なる場合には、速度PI補償器3の積分器出力と位置PI補償器4の積分器出力の和である駆動トルク指令τrを切り換え直前の駆動トルク指令τrに一致させると、切り換え時点に駆動トルク指令τrが変化しないため、制御系の切り換えに起因して切り換え時点に機械動作が急変することは無い。
【0097】
本実施の形態3では、以上のように機械動作制御装置を構成することにより、トルク制御期間から位置制御期間に切り換えて目標停止位置位置に理想的停止パターンに追従して停止させる場合、トルク制御期間から位置制御期間への一度のみの切り換えで機械動作を急変させることなく切り換えを行い、トルク制御期間には駆動トルク指令のみ指令し、位置制御期間には停止パターンに高精度で追従し、定常偏差無く目標停止位置に停止させる制御を実現できる。また動機械の特性に合わせて、例えば機械共振を励起しないような調整が簡単に出来る。
【0098】
実施の形態4.
図10はこの実施の形態4の機械動作制御装置の構成を示す図である。図において、14は速度制御器、15は位置補償器、16は切り換えスイッチである。その他は実施の形態1と同様であるので説明は省略する。図10は速度制御器14、位置補償器15、切り換えスイッチ16の構成や接続が実施の形態1と異なるだけのものである。なお、説明を簡単にするため、速度指令発生部1、切り換えスイッチ6a等の表示は省略した。
【0099】
この実施の形態4では、上述の実施の形態1〜3においては、位置制御期間に速度制御器と位置補償器を並列に構成し、速度制御トルク指令τvと位置補償トルク指令τxeとの和を駆動トルク指令τrとして駆動装置を駆動する構成としているのに対し、位置制御期間に速度制御器と位置補償器を直列にカスケード構造にし、位置補償器の出力を速度制御器の入力としているものである。
【0100】
次に、実施の形態1と異なる点である速度制御器14、位置補償器15及び切り換えスイッチ16の動作について説明する。なお、切り換えスイッチ16は速度制御期間にはオフの状態、位置制御期間にはオンの状態に切り換えられるものとする。
【0101】
まず、位置補償器15において、速度位置指令発生部2で発生された位置指令xrと動機械9の実位置xから位置補償速度指令vxeを生成し、この位置補償速度指令vxeを速度制御器3に入力する。そして、速度制御器3において、この位置補償速度指令vxe、速度位置指令発生部2で発生された速度指令vr、及び動機械9の実速度vから駆動トルク指令τrを生成させるようにしている。
【0102】
図11は図10に示した機械動作制御装置の速度制御器14の構成を示す図である。図において、14aは微分あるいは疑似微分を行う微分器、14bは加速度フィードフォワードゲイン、14cは速度PI補償器である。
【0103】
次に、速度制御器14の動作を説明する。速度制御器14は速度指令vrと位置補償速度指令vxeと動機械9の実速度vを入力し、速度指令vrを微分器14aで微分した加速度指令arにJeの加速度フィードフォワードゲイン14bを乗じた信号を加速度フィードフォワードトルク指令τfとし、また速度PI補償器14cは速度指令vr及び位置補償速度指令vxeの和と動機械9の実速度vとの偏差を入力し、PI(比例積分)演算を行った結果を速度偏差補償トルク指令τveとして出力する。
【0104】
そして、速度制御器6は加速度フィードフォワードトルク指令τfと速度偏差補償トルク指令τveの和を速度制御トルク指令τvとして出力する。また速度制御期間、位置制御期間ともに速度制御トルク指令τvを駆動トルクτrとして駆動装置2を駆動する。ここで、速度制御期間にはオンオフスイッチ16はオフであり位置補償速度指令vxeは0であるため、実施の形態1の速度制御器と全く同じ動作を行う。
【0105】
図12は位置補償器15の構成を示す。15aは位置補償ゲインKpである。位置補償器15は位置制御期間のみ制御系に作用する。位置補償器15は位置指令xrと動機械9の実位置xを入力し、位置指令xrと動機械9の実位置xとの偏差に位置補書ゲイン15aでKp倍した信号を位置補償速度指令vxeとして出力する。
【0106】
ここで、位置制御期間には、位置補償器15において位置指令xrと動機械9の実位置xとの偏差が位置補償ゲインKp倍された信号が生成され、この信号が速度制御器14の速度PI補償器14cでPI(比例積分)演算されて駆動トルク指令τrの要素となるため、実施の形態1において位置補償器7が位置指令xrと動機械9の実位置xとの偏差をPI(比例積分)演算した位置補償トルク指令τxeを駆動トルク指令τrに加算していた構成に等価変換が可能である。したがって本実施の形態による動作および効果も実施の形態1と全く同じである。
【0107】
なお、速度制御期間から位置制御期間へ切り換える切り換え時点においても、速度指令vrを連続に、また位置指令xrを動機械の実位置xに一致させれば、前述の構成と合わせて実施の形態1と等価になり同じ効果が得られる。
【0108】
【発明の効果】
この発明に係る機械動作制御装置は、対象物の位置の制御を行わずに速度を制御する速度制御のための速度指令を発生する速度制御指令発生部と、目標停止位置に対する残距離速度の関係を予め定めた関係式に基づき、前記速度制御の状態における前記対象物の実位置から求めた残距離前記速度制御のための速度指令の関係が前記関係式により定められる残距離と速度との関係に一致するときに、前記速度制御から前記対象物の位置制御を行う位置制御に切り換える切り換え部と、前記切り換え部の切り換え時において前記速度制御指令発生部で発生される前記速度制御のための速度指令と一致するように設定した位置制御のための速度指令の初期値と、前記切り換え部の切り換え時において前記実位置に基づいて設定した位置指令の初期値とから、前記関係式に基づいて時間的に変化する位置制御のための速度指令及び位置指令を生成する位置制御指令発生部と、速度制御時においては前記速度制御指令発生部で発生された前記速度制御のための速度指令及び前記対象物の実速度から第1のトルク指令を生成し、位置制御時においては前記位置制御指令発生部で発生された前記位置制御のための速度指令及び前記対象物の前記実速度から前記第1のトルク指令を生成する第1のトルク指令発生器と、前記位置制御指令発生部で発生された前記位置指令及び前記対象物の前記実位置から第2のトルク指令を生成する第2のトルク指令発生器と、前記第1のトルク指令発生器で生成された前記第1のトルク指令及び前記第2のトルク指令発生器で生成された前記第2のトルク指令を加算するよう生成された第3のトルク指令により前記対象物の駆動制御をする第1の駆動部とを備えるので、速度制御から位置制御への切り換え時点から動機械の実速度と動機械の実位置を緻密に制御することができる。また、速度制御から位置制御への切り換え時点における機械動作の急変を防ぐことができる。さらに、速度制御から位置制御への切り換え時点における速度指令の変更に伴う切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。さらにまた、速度制御から位置制御への切り換え時点における位置指令が付加されたことによる切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0109】
また、位置制御指令生成部は、切り換え部の切り換え時において実位置と一致するよう位置指令の初期値を設定するので、速度制御から位置制御への切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0110】
この発明に係る機械動作制御装置は、対象物の位置及び速度の制御を行わずにトルクを制御するトルク制御のための駆動トルク指令を発生するトルク指令発生部と、目標停止位置に対する残距離速度の関係を予め定めた関係式に基づき、前記トルク制御の状態における前記対象物の実位置から求めた残距離前記対象物の実速度の関係が前記関係式により定められる残距離と速度との関係に一致するときに、前記トルク制御から前記対象物の位置制御を行う位置制御に切り換える切り換え部と、前記切り換え部の切り換え時において前記実速度と一致するよう設定した位置制御のための速度指令の初期値と、前記切り換え部の切り換え時において前記実位置に基づいて設定した位置指令の初期値とから、前記関係式に基づいて時間的に変化する位置制御のための速度指令及び位置指令を生成する位置制御指令発生部と、前記位置制御指令発生部で発生された前記位置制御のための速度指令及び前記対象物の実速度から第4のトルク指令を生成する第4のトルク指令発生器と、前記位置制御指令発生部で発生された前記位置指令及び前記対象物の前記実位置から第2のトルク指令を生成する第2のトルク指令発生器と、トルク制御時においては前記トルク指令発生部で発生された前記駆動トルク指令により前記対象物の駆動制御をし、位置制御時においては前記第4のトルク指令発生器で生成された前記第4のトルク指令及び前記第2のトルク指令発生器で生成された前記第2のトルク指令を加算するよう生成された第5のトルク指令により前記対象物の駆動制御をする第2の駆動部とを備えるので、トルク制御から位置制御への切り換え時点から動機械の実速度と動機械の実位置を緻密に制御することができる。また、トルク制御から位置制御への切り換え時点における機械動作の急変を防ぐことができる。さらに、トルク制御から位置制御への切り換え時点における速度指令の導入に伴う切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。さらにまた、トルク制御から位置制御への切り換え時点における位置指令が付加されたことによる切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0111】
また、位置制御指令生成部は、切り換え部の切り換え時において実位置と一致するよう位置指令の初期値を設定するので、トルク制御から位置制御への切り換え時点における機械動作の急変を防ぐことができる。
【0112】
さらに、切り換え部の切り換え時において、前記切り換え時の第5のトルク指令とトルク指令発生部で発生される駆動トルク指令とが一致するようにするので、トルク制御から位置制御への切り換え時点におけるトルク指令の変更に伴う切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0115】
また、切り換え部の切り換え時において、第2のトルク指令発生器で発生される第2のトルク指令が0となるようにするので、非位置制御から位置制御への切り換え時点における第2のトルク指令による切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0116】
さらに、第2のトルク指令発生器は、位置指令及び対象物の実位置から第2のトルク指令を生成するための積分器を備え、切り換え部の切り換え時に、前記第2のトルク指令発生器で発生される第2のトルク指令が0となるように前記積分器の初期設定をするので、積分器の初期設定を変更するのみで非位置制御から位置制御への切り換え時点における第2のトルク指令を0にでき、切り換え時点における第2のトルク指令による切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0117】
また、第1のトルク指令発生部は、速度制御指令発生部で発生された速度指令から伝達関数に基づいて速度指令子を生成し、この速度指令子と対象物の実速度から第1のトルク指令を生成し、第2のトルク指令発生部は、位置制御指令発生部で発生された位置指令から前記伝達関数に基づいて位置指令子を生成し、この位置指令子と前記対象物の実位置から第2のトルク指令を生成するので、対象物の機械特性に応じて伝達関数を設定するのみで所望の制御ができ、機械の特性に応じた調整が容易にできる。
【0118】
さらに、切り換え部の切り換え時において、第1のトルク指令発生部で生成される速度指令子と対象物の実速度とが一致するようにするので、非位置制御から位置制御への切り換え時点における切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0119】
さらにまた、切り換え部の切り換え時において、第2トルク指令発生部で生成される位置指令子と対象物の実位置とが一致するようにするので、非位置制御から位置制御への切り換え時点における切り換え直後の機械動作の急変を防ぐことができる。
【0120】
本発明に係る停止指令発生装置は、目標停止位置に対する残距離及び速度の対応関係を示した関数に基づいて対象物の速度を制御するための速度指令を生成する速度指令生成部と、前記速度指令を積分演算することにより時間的に変化する位置指令を生成する位置指令生成部とを備え、前記速度指令生成部は目標停止位置と前記位置指令との差を前記残距離として前記速度指令を生成し、前記位置指令生成部は、前記位置指令の初期値を初期値設定時点の前記対象物の実位置に基づいて設定するので、理想的な速度指令及び位置指令を発生すると共に非位置制御から位置制御への切り換え時点において、機械動作の急変が起こらないようにすることができる。
【0121】
また、本発明に係る機械動作制御装置は、位置制御指令発生部を停止指令発生装置にしたので、位置制御以外の期間から位置制御期間へと切り換えて、切り換え時点から動機械の実速度と動機械の実位置を緻密に制御することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の機械動作制御装置の構成図である。
【図2】 図1に示した速度位置指令発生部の構成図である。
【図3】 理想的な速度パターンを示す図である。
【図4】 速度指令の理想的パターンを示す図である。
【図5】 図1に示した速度制御器を示す図である。
【図6】 図1に示した位置補償器を示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態2の速度制御器を示す図である。
【図8】 本発明の実施の形態2の位置補償器を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態3の機械動作制御装置の構成図である。
【図10】 本発明の実施の形態4の機械動作制御装置の構成図である。
【図11】 図10に示した速度制御器の構成図である。
【図12】 図10に示した位置補償器の構成図である。
【図13】 従来の機械動作制御装置の構成図である。
【図14】 従来の機械動作制御装置の構成図である。
【符号の説明】
1 速度指令発生部 2 速度位置指令発生部
2a 加算器 2b 速度指令生成部
2c 位置指令生成部 3 速度制御器
3a 微分器
3b 加速度フィードフォワードゲイン
3c 速度PI補償器 3d 第二速度指令演算器
3e 加速度フィードフォワードゲイン
3f 速度PI補償器 4 位置補償器
4a 位置PI補償器 5 切り換え指令部
6 スイッチ 7 加算器
8 駆動装置 9 動機械
10 速度検出器 11 位置検出器
12 切り換えスイッチ 13 トルク指令発生部
14 速度制御器 14a 微分器
14b 加速度フィードフォワードゲイン
14c 速度PI補償器
15 位置補償器 15a 速度PI補償器
16 切り換えスイッチ
101 速度パターン発生部 102 残距離補償部
102a 残距離速度パターン 103 切り換え指令部
104 切り換えスイッチ 105 速度制御器
106 駆動装置 107 動機械
108 速度検出器 109 位置検出器
201 速度位置指令発生部 202 速度補償器
203 位置補償器 204 比率選択器
205 トルク指令演算器 206 駆動装置
207 動機械 208 速度検出器
209 位置検出器

Claims (12)

  1. 対象物の位置の制御を行わずに速度を制御する速度制御のための速度指令を発生する速度制御指令発生部と、
    目標停止位置に対する残距離速度の関係を予め定めた関係式に基づき、前記速度制御の状態における前記対象物の実位置から求めた残距離前記速度制御のための速度指令の関係が前記関係式により定められる残距離と速度との関係に一致するときに、前記速度制御から前記対象物の位置制御を行う位置制御に切り換える切り換え部と、
    前記切り換え部の切り換え時において前記速度制御指令発生部で発生される前記速度制御のための速度指令と一致するように設定した位置制御のための速度指令の初期値と、前記切り換え部の切り換え時において前記実位置に基づいて設定した位置指令の初期値とから、前記関係式に基づいて時間的に変化する位置制御のための速度指令及び位置指令を生成する位置制御指令発生部と、
    速度制御時においては前記速度制御指令発生部で発生された前記速度制御のための速度指令及び前記対象物の実速度から第1のトルク指令を生成し、位置制御時においては前記位置制御指令発生部で発生された前記位置制御のための速度指令及び前記対象物の前記実速度から前記第1のトルク指令を生成する第1のトルク指令発生器と、
    前記位置制御指令発生部で発生された前記位置指令及び前記対象物の前記実位置から第2のトルク指令を生成する第2のトルク指令発生器と、
    前記第1のトルク指令発生器で生成された前記第1のトルク指令及び前記第2のトルク指令発生器で生成された前記第2のトルク指令を加算するよう生成された第3のトルク指令により前記対象物の駆動制御をする第1の駆動部とを備えた機械動作制御装置。
  2. 位置制御指令生成部は、切り換え部の切り換え時において実位置と一致するよう位置指令の初期値を設定することを特徴とする請求項1記載の機械動作制御装置。
  3. 対象物の位置及び速度の制御を行わずにトルクを制御するトルク制御のための駆動トルク指令を発生するトルク指令発生部と、
    目標停止位置に対する残距離速度の関係を予め定めた関係式に基づき、前記トルク制御の状態における前記対象物の実位置から求めた残距離前記対象物の実速度の関係前記関係式により定められる残距離と速度との関係に一致するときに、前記トルク制御から前記対象物の位置制御を行う位置制御に切り換える切り換え部と、
    前記切り換え部の切り換え時において前記実速度と一致するよう設定した位置制御のための速度指令の初期値と、前記切り換え部の切り換え時において前記実位置に基づいて設定した位置指令の初期値とから、前記関係式に基づいて時間的に変化する位置制御のための速度指令及び位置指令を生成する位置制御指令発生部と、
    前記位置制御指令発生部で発生された前記位置制御のための速度指令及び前記対象物の実速度から第4のトルク指令を生成する第4のトルク指令発生器と、
    前記位置制御指令発生部で発生された前記位置指令及び前記対象物の前記実位置から第2のトルク指令を生成する第2のトルク指令発生器と、
    トルク制御時においては前記トルク指令発生部で発生された前記駆動トルク指令により前記対象物の駆動制御をし、位置制御時においては前記第4のトルク指令発生器で生成された前記第4のトルク指令及び前記第2のトルク指令発生器で生成された前記第2のトルク指令を加算するよう生成された第5のトルク指令により前記対象物の駆動制御をする第2の駆動部とを備えた機械動作制御装置。
  4. 位置制御指令生成部は、切り換え部の切り換え時において実位置と一致するよう位置指令の初期値を設定することを特徴とする請求項3記載の機械動作制御装置。
  5. 切り換え部の切り換え時において、前記切り換え時の第5のトルク指令とトルク指令発生部で発生される駆動トルク指令とが一致するようにすることを特徴とする請求項3または請求項4記載の機械動作制御装置。
  6. 切り換え部の切り換え時において、第2のトルク指令発生器で発生される第2のトルク指令が0となるようにすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の機械動作制御装置。
  7. 第2のトルク指令発生器は、位置指令及び対象物の実位置から第2のトルク指令を生成するための積分器を備え、切り換え部の切り換え時に、前記第2のトルク指令発生器で発生される第2のトルク指令が0となるように前記積分器の初期設定をすることを特徴とする請求項6記載の機械動作制御装置。
  8. 第1のトルク指令発生器は、速度制御指令発生部で発生された速度指令から伝達関数に基づいて速度指令子を生成し、この速度指令子と対象物の実速度から第1のトルク指令を生成し、第2のトルク指令発生器は、位置制御指令発生部で発生された位置指令から前記伝達関数に基づいて位置指令子を生成し、この位置指令子と前記対象物の実位置から第2のトルク指令を生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の機械動作制御装置。
  9. 切り換え部の切り換え時において、第1のトルク指令発生器で生成される速度指令子と対象物の実速度が一致するようにすることを特徴とする請求項8記載の機械動作制御装置。
  10. 切り換え部の切り換え時において、第1のトルク指令発生器で生成される速度指令子と対象物の実位置が一致するようにすることを特徴とする請求項8または請求項9記載の機械動作制御装置。
  11. 目標停止位置に対する残距離及び速度の対応関係を示した関数に基づいて対象物の速度を制御するための速度指令を生成する速度指令生成部と、前記速度指令を積分演算することにより時間的に変化する位置指令を生成する位置指令生成部とを備え、前記速度指令生成部は目標停止位置と前記位置指令との差を前記残距離として前記速度指令を生成し、前記位置指令生成部は、前記位置指令の初期値を初期値設定時点の前記対象物の実位置に基づいて設定することを特徴とする停止指令発生装置。
  12. 位置制御指令発生部を請求項11記載の停止指令発生装置にしたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の機械動作制御装置。
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