JP4099377B2 - 発泡樹脂成形体の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡樹脂原料をキャビティに注入して発泡樹脂成形体を成形する成形方法に関し、特に、1つの成形型に対して発泡樹脂原料を複数箇所から注入する場合や、複数の成形型に対して発泡樹脂原料を1つの注入ノズルで注入する多数個取りの場合に好適な成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、発泡樹脂成形体を成形する場合、成形型に形成されたゲートに注入ノズルを接続して該注入ノズルから発泡樹脂原料を上記ゲートを経てキャビティに注入し、発泡樹脂原料がキャビティ内で発泡硬化した後、注入ノズルを上記ゲートから外すようにしている。このように、発泡樹脂原料が発泡硬化するまで注入ノズルをゲートに接続したままにしておくのは、発泡樹脂原料が未だ硬化していない段階で注入ノズルをゲートから外すと、発泡樹脂原料が型外に漏れるからである。
【0003】
したがって、この成形方法では、発泡樹脂原料がキャビティ内で発泡硬化するまで注入ノズルをゲートから外すことができず、1つの成形型に対して発泡樹脂原料を複数箇所から注入する場合には、注入箇所の数だけ注入ノズルを用意しなければならないため、設備費が嵩む。また、複数の成形型に対して発泡樹脂原料を1つの注入ノズルで注入する多数個取りの場合には、注入ノズルを次の成形型に移動させるのに時間が掛かり、成形効率が悪い。
【0004】
そこで、発泡樹脂原料をキャビティに注入した後、直ちに注入ノズルをゲートから外し得る方法として、発泡樹脂原料よりも比重の小さい栓体を成形型のキャビティ内にゲートに対応して配置し、発泡樹脂原料がキャビティに注入されると、比重差により上記栓体が浮き上がってゲートを閉じるようにしている技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、発泡樹脂成形体を構成する基材に注入口を形成するとともに、開口部を有するシャッタを上記基材にスライド可能に設け、上記注入口と開口部とを重ねた状態で、発泡樹脂原料を注入ノズルから注入口及び開口部を経てキャビティに注入し、その後、上記注入ノズルで上記シャッタを引っ掛けてスライドさせることにより、基材の注入口を閉じるようにしている技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−258061号公報(第4頁、図4)
【0007】
【特許文献2】
特開平9−109162号公報(第5頁、図10,12)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1では、栓体が発泡樹脂成形体に埋め込まれてその一部になるため、その分だけ部品点数が増加して発泡樹脂成形体の単価が高くなる。特許文献2では、基材にシャッタ機構を設けているため、その分だけ部品点数が増加して同様に発泡樹脂成形体の単価が高くなる。
【0009】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、発泡樹脂成形体をその部品点数や設備費を増加させることなく安価に、しかも効率良く量産することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、発泡樹脂原料をキャビティに注入した後に、成形型側に設けた閉塞手段によりゲートを閉塞することを特徴とする。
【0011】
具体的には、この発明は、次のような解決手段を講じた。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明は、成形型に形成されたゲートの型外側開口端に注入ノズルを接続して該注入ノズルから発泡樹脂原料を上記ゲートを経てキャビティに注入した後、上記注入ノズルを上記ゲートの型外側開口端から外して該型外側開口端を閉塞手段により閉塞し、上記発泡樹脂原料を上記キャビティ内で発泡硬化させた後、上記閉塞手段をゲートの型外側開口端から外し、しかる後、上記ゲートを拡口手段により拡大して発泡樹脂成形体を成形することを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、注入ノズルから発泡樹脂原料をキャビティに注入した後、ゲートの型外側開口端が閉塞手段により閉塞されるため、発泡樹脂成形体に閉塞手段を設ける必要がなく、その分だけ発泡樹脂成形体が安価に成形されるとともに、注入ノズルは直ちに次の樹脂注入作業に取り掛かれ、成形効率が向上して量産性が良くなる。さらに、1つの注入ノズルを他のゲートに装着できるため、設備費が嵩まない。
【0014】
また、請求項1に記載の発明では、閉塞手段をゲートの型外側開口端から外した状態でゲートを拡大させるため、ゲートが拡大動作時に閉塞手段と摺接せず、スムーズに拡大して装置が傷まない。さらに、ゲートが拡大した状態で発泡樹脂成形体が脱型されるため、ゲート内で固まった樹脂固形部がちぎれてゲート内に残る事態がなく、余分な除去作業が不要になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態に係る発泡樹脂成形体の成形方法について図面に基づいて説明する。
【0016】
図6は車両用内装品であるインストルメントパネル等の発泡樹脂成形体Aであり、図1〜図5はその成形工程図である。
【0017】
まず、図1に示すように、成形型1の下型3に表皮a1を載置するとともに、上型5に基材a2をセットし、成形型1を型閉じする。この型閉じ状態で下型3と上型5との間にキャビティ7が形成されている。この際、基材a2に形成された注入口a3を上型5に形成されたゲート9に対応させて注入口a3とゲート9とを連通させる。ゲート9は、上型5に突設された半割筒状の固定ゲート構成部材11と、上型5に移動可能に設けられた半割筒状の可動ゲート構成部材13とで円筒形状に形成され、可動ゲート構成部材13は、拡口手段としての第1流体圧シリンダ15の水平方向に延びるピストンロッド15a先端に連結され、第1流体圧シリンダ15の伸縮作動により移動スペース17を水平に進退するようになっている。図1の状態では、可動ゲート構成部材13は、第1流体圧シリンダ15の伸長作動により進出して固定ゲート構成部材11と突き合わされて円筒形状をなし、横断面円形のゲート9を形成している。
【0018】
次いで、上型5の上方に配置された注入ノズル19を下降させてゲート9の型外側開口端(固定及び可動ゲート構成部材11,13の外側開口端)9aに接続する。注入ノズル19の下降動作は、駆動装置21の制御により行われるものであり、注入ノズル19は駆動装置21にロッド23で連結され、下降動作以外に上昇動作、水平方向への進退動作及び水平面内での回動動作をするようになっている。また、この注入ノズル19はホース25により図示しない原料タンクに接続されている。
【0019】
その後、図2に示すように、注入ノズル19から発泡樹脂原料Rをゲート9を経てキャビティ7に注入する。固定ゲート構成部材11及び可動ゲート構成部材13にはヒータ27が埋設されていて、注入ノズル19から注入される発泡樹脂原料Rをヒータ27の熱により冷めないようにしている。
【0020】
発泡樹脂原料Rの注入が終わると、直ちに、図3に示すように、注入ノズル19を駆動装置21の制御により上昇させてゲート9の型外側開口端9aから外した後、水平面内で回動させてゲート9の上方から退避させ、その後、閉塞手段しての蓋29をゲート9の真上に移動させる。この蓋29は、第2流体圧シリンダ31の上下方向に延びるピストンロッド31a下端に連結され、第2流体圧シリンダ31はブラケット33によって支持プレート35に支持され、蓋29は支持プレート35の貫通孔35aを通過して支持プレート35の下方に臨むようになっている。また、支持プレート35は第3流体圧シリンダ37の水平方向に延びるピストンロッド37a先端に連結され、蓋29を第3流体圧シリンダ37の伸長作動によりゲート9の真上に移動させるようになっている。この際、支持プレート35の先端側を位置決め部材39の溝39aに係合させて蓋29を位置決めするようにしている。
【0021】
しかる後、図4に示すように、蓋29を第2流体圧シリンダ31の伸長作動により下降させ、ゲート9の型外側開口端9aを蓋29により閉塞する。この状態で、上記発泡樹脂原料Rを上記キャビティ7内で発泡硬化させ、図5(a)に示すように、表皮a1と基材a2との間に発泡層a4が一体に成形された発泡樹脂成形体Aを得る。この発泡樹脂成形体Aにはゲート9内で固まった樹脂固形部a5が一体に突設されている。
【0022】
その後、図5(a)に示すように、蓋29を第2流体圧シリンダ31の収縮作動により上昇させてゲート9の型外側開口端9aから外した後、第3流体圧シリンダ37の収縮作動によりゲート9の真上から後退させる。この第3流体圧シリンダ37の収縮作動と同期、もしくはこの収縮作動終了後に、ゲート9を構成する可動ゲート構成部材13を第1流体圧シリンダ15の収縮作動により移動スペース17を水平に後退させてゲート9を拡大し(図5(b)参照)、成形型1を型開きして発泡樹脂成形体Aを脱型した後、図6に一点鎖線Sで示す箇所から樹脂固形部a5を切除する。
【0023】
このように、ゲート9の型外側開口端9aを蓋29で閉塞するようにしていることから、発泡樹脂成形体Aに閉塞手段を組み込まずに済み、その分だけ発泡樹脂成形体Aを安価に成形することができるとともに、注入ノズル19をゲート9の型外側開口端9aから外した後、直ちに次の樹脂注入作業に赴かせることができ、成形効率を向上させて量産性を良くすることができる。さらに、1つの注入ノズル19を他のゲートに装着できるため、設備費を低減することができる。
【0024】
また、蓋29をゲート9の型外側開口端9aから外した状態でゲート9を拡大させるようにしていることから、ゲート9を閉塞手段と摺接しないように拡大させることができ、スムーズな拡大動作によって装置を傷まないようにすることができる。さらに、ゲート9が拡大した状態で発泡樹脂成形体Aを脱型するようにしていることから、ゲート9内で固まった樹脂固形部a5がちぎれてゲート9内に残る事態を回避でき、余分な除去作業をなくすことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、ゲートの型外側開口端を閉塞手段により閉塞するので、発泡樹脂成形体側に閉塞手段がいらない分だけ発泡樹脂成形体を安価に成形することができるとともに、発泡樹脂原料を流入した後、注入ノズルを直ちに次の樹脂注入作業に取り掛からせて発泡樹脂成形体を効率良く大量生産することができる。さらに、1つの注入ノズルを他のゲートに装着できるので、設備費を嵩まないようにすることができる。
【0026】
また、請求項1に係る発明によれば、閉塞手段をゲートの型外側開口端から外した状態でゲートを拡大させるので、ゲートの閉塞手段との摺接をなくし、スムーズな拡大動作により装置を傷まないようにすることができる。さらに、ゲートが拡大した状態で発泡樹脂成形体を脱型するので、ゲート内に樹脂固形分が残留しないようにして余分な除去作業をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 注入ノズルを成形型のゲートに接続した状態を示す成形工程図である。
【図2】 発泡樹脂原料をキャビティに注入した状態を示す成形工程図である。
【図3】 注入ノズルがゲートから退避した後、ゲートの型外側開口端上方に蓋が前進した状態を示す成形工程図である。
【図4】 ゲートの型外側開口端を蓋で閉塞した状態を示す成形工程図である。
【図5】 (a)は発泡樹脂成形体成形後に蓋がゲートの型外側開口端から後退した後、ゲートが拡大した状態を示す成形工程図、(b)はゲートが拡大した状態における固定及び可動ゲート構成部材の斜視図である。
【図6】 脱型後の発泡樹脂成形体の断面図である。
【符号の説明】
1 成形型
7 キャビティ
9 ゲート
9a 型外側開口端
15 第1流体圧シリンダ(拡口手段)
19 注入ノズル
29 蓋(閉塞手段)
A 発泡樹脂成形体
Claims (1)
- 成形型に形成されたゲートの型外側開口端に注入ノズルを接続して該注入ノズルから発泡樹脂原料を上記ゲートを経てキャビティに注入した後、上記注入ノズルを上記ゲートの型外側開口端から外して該型外側開口端を閉塞手段により閉塞し、上記発泡樹脂原料を上記キャビティ内で発泡硬化させた後、上記閉塞手段をゲートの型外側開口端から外し、しかる後、上記ゲートを拡口手段により拡大して発泡樹脂成形体を成形することを特徴とする発泡樹脂成形体の成形方法。
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