JP4098989B2 - 光ヘッド用対物レンズ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録密度が異なる少なくとも2種類の光ディスクに対して利用可能な光ヘッド用の対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ディスクの記録密度と記録面上に形成されるスポット径との間には密接な関係がある。すなわち、スポット径は、記録面上のトラック幅を過不足なくカバーするサイズであることが要求される。記録密度が高い場合には、トラック幅は狭くなるため、スポット径を小さくする必要がある。他方、記録密度が低い場合には、トラック幅が広くなるため、スポット径を大きくする必要がある。トラック幅に対してスポット径が大きすぎると、隣接するトラックの情報がノイズ(ジッター)として混入する可能性があり、逆にトラック幅に対してスポット径が小さすぎると、特にCD(コンパクトディスク)のように光の回折を利用して信号を再生する方式では、十分な回折効果が得られずに信号を読み落とす可能性がある。
【0003】
スポット径は、波長が短いほど、かつ、NAが大きいほど小さくなるため、記録密度が高いDVD(デジタルバーサタイルディスク)用の光学系では比較的短波長、高NAであること、記録密度の低いCD用の光学系では比較的長波長、低NAであることが要求される。また、CD−R(CDレコーダブル)を利用する場合には、その反射特性から780nm程度以上の長波長の光束が必要となる。したがって、DVDとCD−Rとを利用可能な光ディスク装置は、650nm程度の比較的短波長の光束を発する光源と、780nm程度の比較的長波長の光束を発生する光源とを備える必要がある。
【0004】
従来のCD,DVD両用の光ヘッド用光学系は、CDの利用時にのみ開口を制限することにより、CD,DVDの両者に対して適切なサイズのスポットが形成されるようにしている。開口を制限する手段として、可変絞り、あるいは波長選択性のフィルターが光源と対物レンズとの間に設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、絞りやフィルターを別部品として設けると、部品点数が増えるため、重量、サイズの点で不利である。
【0006】
この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、絞りやフィルターを別部品として設けることなく、記録密度が低い光ディスクの利用時に開口を制限することができる光ヘッド用対物レンズの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかる光ヘッド用対物レンズは、上記の目的を達成させるため、少なくとも2つの異なる波長の光束を記録密度の異なる少なくとも二種類の光ディスクの記録面に対してそれぞれ収束させる構成において、正のパワーを有する屈折レンズを有し、この屈折レンズの少なくとも一方のレンズ面を記録密度の低い光ディスクに必要充分な低NAの光束が透過する共用領域と、この共用領域の周囲に位置し、記録密度の高い光ディスクに対してのみ必要な高NAの光束が透過する高NA専用領域とに区分し、少なくとも高NA専用領域に、微細な段差を有する複数の輪帯から成る回折レンズ構造を形成し、この回折レンズ構造を、記録密度の高い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数、記録密度が低い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数より高くなるよう設計したことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、記録密度の高い光ディスクの利用時には、共用領域を通った光束と、高NA専用領域の回折レンズ構造により回折されたより高次の回折光とが共に良好に収束して比較的径の小さいスポットを形成する。一方、記録密度の低い光ディスクの利用時には、共用領域を通った光束は良好に収束するが、高NA専用領域に形成された回折レンズ構造により回折された光束は記録密度の高い光ディスクに対応する光束とは異なる次数で回折するために拡散され、開口が実質的に制限されるため、比較的径の大きなスポットが形成される。
【0009】
また、高NA専用領域に入射する記録密度の低い光ディスクに対応する波長の不要光がスポットの近傍に収束すると、記録信号にジッターが含まれ、3ビーム法によるトラッキングエラー信号に誤差が生じる。利用次数の不要光がスポットの近傍に収束するため、これを拡散させなければならない。利用される次数とは異なる次数の回折光は、収束の度合いが利用次数の回折光とは異なるため光ディスク上には収束せずに拡散される。この発明によれば、不要光が複数の次数に配分されるため、利用次数への配分が減少して光量が少なくなり、スポットの近傍に分布する利用次数の不要光の影響を小さく抑えることができる。
【0010】
高NA専用領域に形成された回折レンズ構造は、記録密度の高い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数が3次、記録密度が低い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数が2次となるよう設計されることが望ましい。共用領域には、回折レンズ構造を形成してもよいし、回折レンズ構造を持たない連続的な屈折面としてもよい。共用領域に回折レンズ構造を形成する場合には、複数の波長の光束について同一次数の回折光の回折効率が最大となるよう設計することが望ましい。また、高NA専用領域に形成された回折レンズ構造のブレーズ化波長は、記録密度の高い光ディスクに対応する波長と同じか、それより短いことが望ましい。
【0011】
高NA専用領域に形成された回折レンズ構造のブレーズ化波長を、記録密度の高い光ディスクに対応する波長より短くすると、記録密度の高い光ディスクに対応する波長での回折効率はわずかに低下するのみであるのに対し、記録密度の低い光ディスクに対応する波長での回折効率は大きく低下するため、不要光をより大きく拡散させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる光ヘッド用対物レンズの実施形態を3例と比較例を2例説明する。実施形態、比較例の対物レンズは、いずれもDVD、CD、CD−R互換の光情報記録再生装置の光ヘッドに適用され、光源である半導体レーザーから発したレーザー光をディスク等の媒体上に収束させる機能を有している。
【0014】
【第1の実施形態】
対物レンズ10は、非球面である2つのレンズ面11,12を有する両凸の樹脂製単レンズであり、一方のレンズ面11は、図1(A)に示したように、記録密度の低いCD,CD−R等の光ディスクに必要充分な低NAの光束が透過する共用領域Rcと、この共用領域Rcの周囲に位置し、DVD等の記録密度の高い光ディスクに対してのみ必要な高NAの光束が透過する高NA専用領域Rhとに区分されている。なお、共用領域は、NA0.45から0.50程度の光束が透過するより内側の領域として設定される。
【0015】
対物レンズ10のレンズ面11には、共用領域Rc、高NA専用領域Rhを含む全域にわたり、光軸を中心とした輪帯状のパターンとして回折レンズ構造が形成されている。回折レンズ構造は、各輪帯の境界に光軸方向の段差を持つ。
【0016】
図2は図1に示す光ヘッド用対物レンズを使用した光ヘッドの光学系の説明図である。この光学系は、DVD用モジュール21、CD用モジュール22、ビームコンバイナ23、コリメートレンズ24、対物レンズ10で構成されている。各モジュール21,22は、半導体レーザーとセンサーとを一体化した素子である。
【0017】
記録密度の高いDVDを使用するためには、小さいビームスポットを作るために比較的短い波長の光が必要とされる。一方、記録密度の低いCD,CD−Rを使用するためには、比較的大きなビームスポットを形成するために長い波長の光が必要とされ、かつ、少なくともCD−Rを使用するためには、その分光反射率の関係で波長780nm近傍の近赤外光が必要となる。そこで、DVD用モジュール21は、発振波長657nmの半導体レーザーを備え、CD用モジュール22は、発振波長790nmの半導体レーザーを備える。
【0018】
DVD(図中実線で示す)の使用時には、DVDモジュール21を作動させる。DVDモジュール21の半導体レーザーから発した波長657nmのレーザー光は、図中実線で示したようにDVDの情報記録面に集光する。他方、CD,CD−Rの使用時(図中では代表してCDを示す)には、CDモジュール22を作動させる。CDモジュール21の半導体レーザーから発した波長790nmのレーザー光は、図中破線で示したようにCDの情報記録面に集光する。
【0019】
対物レンズ10の共用領域Rcに形成された回折レンズ構造は、使用される複数の波長、この例では657nm,790nmの2波長について所定の同一次数、この例では1次の回折光の回折効率が最大となるように設計されている。また、共用領域Rcの回折レンズ構造は、0.6mmの保護層を有するDVDと、1.2mmの保護層を有するCD,CD−Rとに対し、使用波長の切換により球面収差の変化を補正するような波長依存性を有している。具体的には、入射光の波長が長波長側に変化した際に、球面収差が補正不足となる方向に変化する球面収差特性を有している。
【0020】
光ディスク光学系の球面収差は、保護層の厚さが厚くなるほど補正過剰となる方向に変化する。一方、保護層の薄いDVDについては短波長、保護層の厚いCD,CD−Rについては長波長のレーザー光が用いられる。そこで、上記のように回折レンズ構造に波長が長波長に変化した場合に球面収差が補正不足となる方向に変化する特性を持たせることにより、保護層が厚くなることにより補正過剰となる球面収差を、回折レンズ構造の補正不足方向の球面収差を利用して打ち消すことができる。
【0021】
高NA専用領域Rhに形成された回折レンズ構造は、記録密度の高いDVDに対応する波長657nmでは2次の回折効率が最大となるよう設計されている。図3に、第1の実施形態における高NA専用領域の回折レンズ構造を1次の回折効率が最大となるように設計された比較例1の回折レンズ構造と比較して示す。図3(A)は1次回折光の効率を最大にする比較例1の回折レンズ構造、図3(B)は2次回折光の効率を最大にする第1の実施形態の回折レンズ構造を示す。
【0022】
k次回折光の効率を最大にするためには、波長λ、屈折率nとして、回折レンズ構造の各輪帯間の段差dを、kλ/(n−1)と等しくなるよう設定すればよい。比較例1では各輪帯間の段差d=λ(n−1)=1.22μmであり、第1の実施形態では輪帯間の段差d=2λ(n−1)=2.43μmである。
【0023】
表1は、第1の実施形態の対物レンズ10の屈折率、高NA専用領域Rhの回折レンズ構造の0次〜10次の回折効率をDVD利用時の波長657nm、CD,CD−R利用時の波長790nmについてそれぞれ示している。k次回折光の回折効率ηkは、以下の式で与えられる。
ηk=sinc2(α−k)
α=[λ0[n−1]]/[λ[n0−1]]
ただし、λ0はブレーズ化波長、λは使用波長、n0はブレーズ化波長における屈折率、nは使用波長における屈折率、sinc(x)はsin(πx)/πxで表される特殊関数である。
【0024】
光路差比は、輪帯間の段差により与えられる光路差の波長に対する比であり、(n−1)d/λで求められる。光路差比の値が整数に近いほど、当該整数で表される次数への分配光量が大きくなる。
【0025】
【表1】
Figure 0004098989
【0026】
第1の実施形態では、波長657nmに対しては2次回折光の効率が100%となるため、高NA専用領域Rhを透過した光束は、共用領域Rcを透過した光束と共にDVDに対して効率よく収束される。また、波長790nmにおいては光路差比が直近の整数「2」から離れるため、波長790nmについては利用次数である2次回折光の効率が約66%と低くなり、残りの光量は収束度合いが異なる他の次数に分配される。したがって、ビームスポットの近傍に収束する利用次数の回折光の光量は比較的小さく、不要光を記録面上で十分に拡散させることができる。
【0027】
図4は、第1の実施形態の対物レンズに波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。ドットの密度が光量に対応している。また、図5は、この場合の球面収差を示すグラフである。共用領域Rcを透過した光束は、球面収差がほぼ補正されているため、中央に強度の大きなビームスポットを形成する。高NA専用領域Rhを透過した不要光は、主として2次、1次、0次の回折光に配分されるが、球面収差が次数によって異なるため、それぞれ異なる位置に達する。すなわち、不要光の約66%が2次回折光としてビームスポットの周囲にリング状に分布し、その周囲に1次、3次回折光、更に周囲に0次、4次回折光が拡散する。
【0028】
【比較例1】
比較例1は、第1の実施形態とほぼ同様の構成であり、両面非球面の単レンズの一方のレンズ面が共用領域と高NA専用領域とに区分され、共用領域には2つの波長の光束の1次回折光をそれぞれCD,DVDに対して良好に収束させるような波長依存性を持つ回折レンズ構造が形成され、高NA専用領域にはDVD利用時の波長657nmに対して1次回折光の回折効率が最大になるような回折レンズ構造が形成されている。比較例1の対物レンズの屈折率と高NA専用領域に形成された回折レンズ構造の回折効率を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0004098989
【0030】
波長657nmに対しては1次回折光の効率が100%となるため、高NA専用領域を透過した光束は、共用領域を透過した光束と共にDVDに対して効率よく収束される。ただし、波長790nmにおいても光路差比が直近の整数「1」に近いため、波長790nmについても利用次数である1次回折光の効率が90%以上となり、CD利用時にビームスポットの近傍に比較的強度の強い不要光がリング状に収束する。
【0031】
図13は、比較例1の対物レンズに波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。共用領域を透過した光束は、中央に強度の大きなビームスポットを形成する。高NA専用領域を透過した不要光は、十分に拡散せず、90%以上が1次回折光としてビームスポットの周囲にリング状に分布する。
【0032】
したがって、比較例1の対物レンズでは、CD再生時のトラッキング方法に3ビーム法を用いる場合のように、主ビームを受光するメインセンサに近接して副ビームを受光するトラッキング用センサが配置されていると、主ビームのフレアが比較的強い強度でトラッキング用センサに入射し、トラッキングエラー信号にノイズを発生させるといった問題を生じる。
【0033】
比較例1のように高NA専用領域の回折レンズ構造が1次の回折効率を最大にするよう設計されている場合にも、回折レンズ構造の波長依存性を利用し、CD利用時の球面収差を十分に大きくすれば、CD利用時に高NA専用領域に入射する光束を十分に発散させることもできる。しかし、この場合にはDVD利用時の波長に対しても許容できる波長誤差の範囲が小さくなるため、光源の選別を厳密にしなければならいという問題が生じる。
【0034】
前記の第1の実施形態によれば、高NA専用領域を透過した波長790nmの不要光が図13に示した比較例と比較すると十分に拡散するため、CD利用時の高NA専用領域の球面収差が小さい場合にも、ジッターの増加や3ビーム法によるトラッキングエラー信号の誤差を抑えることができる。
【0035】
【第2の実施形態】
第2の実施形態の対物レンズは、図1に示した第1の実施形態と同様の両面非球面の樹脂製単レンズであり、一方のレンズ面が共用領域Rcと高NA専用領域Rhとに区分され、いずれの領域にも回折レンズ構造が形成されている。共用領域Rcに形成された回折レンズ構造は、657nm,790nmの2波長について1次の回折光の回折効率が最大となるように設計されている。また、高NA専用領域Rhに形成された回折レンズ構造は、記録密度の高いDVDに対応する波長657nmでは3次の回折効率が最大となるよう設計されている。
【0036】
図6に第2の実施形態における高NA専用領域の回折レンズ構造を比較例1と比較して示す。図6(A)は1次回折光の効率を最大にする比較例1の回折レンズ構造、図6(B)は3次回折光の効率を最大にする第2の実施形態の回折レンズ構造を示す。第2の実施形態では輪帯間の段差d=3λ(n−1)=3.65μmである。表3に第2の実施形態の対物レンズのデータを示す。
【0037】
【表3】
Figure 0004098989
【0038】
第2の実施形態では、波長657nmに対しては3次回折光の効率が100%となるため、高NA専用領域Rhを透過した光束は、共用領域Rcを透過した光束と共にDVDに対して効率よく収束される。また、波長790nmにおいては光路差比が直近の整数「2」となるため、利用次数とは異なる2次の回折効率が最大となり、利用次数である3次回折光の効率は約37%になる。したがって、CD利用時に球面収差の発生量が小さい場合にも、ビームスポットの近傍に収束する利用次数の回折光の光量は比較的小さく、不要光を記録面上で十分に拡散させることができる。
【0039】
図7は、第2の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラム、図8は、この場合の球面収差を示すグラフである。共用領域Rcを透過した光束は、球面収差がほぼ補正されているため、中央に強度の大きなビームスポットを形成する。高NA専用領域Rhを透過した不要光は、主として1次〜4次の回折光に配分されるが、球面収差が次数によって異なるため、それぞれ異なる位置に達する。すなわち、不要光の約37%が3次回折光としてビームスポットの周囲にリング状に分布し、その周囲に2次、4次光、更に周囲に1次、5次回折光が拡散する。このように、波長790nmにおいては、高NA専用領域を透過した不要光が従来例と比較すると十分に拡散するため、ジッターの増加を抑えることができる。
【0040】
図9は、第2の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合のCDモジュール22のセンサ面上のスポットダイアグラムである。センサは、中央に2×2の4分割エリア22aを有すると共に、その両側にトラッキングエラー検出用エリア22b,22cを備える。3ビーム法によりトラッキングエラー信号を検出する場合には、半導体レーザーから発した光束を回折格子により強度の大きい1本の主ビームと、強度の弱い2本の副ビームとに分割して光ディスクに入射させる。図9は、センサ面上での主ビームの拡散の様子を示している。
【0041】
4分割エリア22aは、光ディスクで反射された主ビームを受光し、各分割領域の受光量を演算することにより、非点収差法によるフォーカシングエラー信号と、再生信号とが求められる。トラッキングエラー検出用エリア22b,22cは、それぞれ副ビームを受光し、その受光量差からトラッキングエラー信号が求められる。
【0042】
比較例1のようにCD利用時の波長で高NA専用領域を透過した不要光の利用次数の効率が高い場合には、主ビームのフレアが十分に拡散せず、比較的強い強度のフレアがトラッキングエラー検出用エリア22b,22cにかかり、トラッキングエラー信号に誤差を生じることがある。一方、第2の実施形態の対物レンズを利用した場合には、図9に示すように主ビームのフレアは十分に拡散されるため、フレアの一部がトラッキングエラー検出用エリア22b,22cにかかったとしても、トラッキングエラー信号に与える影響は極めて小さい。したがって、トラッキングエラーに誤差が生じるのを防ぐことができる。
【0043】
【第3の実施形態】
図10は、第3の実施形態にかかる対物レンズ10aを示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は縦断面図、(C)は縦断面の一部拡大図である。この対物レンズ10aは、第1の実施形態と同様に非球面である2つのレンズ面11a,12aを有する両凸の樹脂製単レンズであり、一方のレンズ面11aが共用領域Rcと高NA専用領域Rhとに区分されている。
【0044】
対物レンズ10aのレンズ面11aの高NA専用領域Rhには、光軸を中心とした輪帯状のパターンとして回折レンズ構造が形成されている。共用領域Rcは、回折レンズ構造を持たない連続的な屈折面である。高NA専用領域Rhに形成された回折レンズ構造は、記録密度の高いDVDに対応する波長657nmで3次の回折効率が最大となるよう設計されている。
【0045】
高NA専用領域Rhの回折レンズ構造の各波長に対する回折効率は、表3と同様である。すなわち、波長657nmに対しては3次回折光の効率が100%となるため、高NA専用領域Rhを透過した光束は、共用領域Rcを透過した光束と共にDVDに対して効率よく収束される。また、波長790nmにおいては2次の回折効率が最大となり、利用次数である3次回折光の効率は約37%になる。したがって、CD利用時に球面収差の発生量が小さい場合にも、ビームスポットの近傍に収束する利用次数の回折光の光量は比較的小さい。
【0046】
図11は、第3の実施形態の対物レンズ10aを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラム、図12は、この場合の球面収差を示すグラフである。共用領域Rcを透過した光束は、球面収差がほぼ補正されているため、中央に強度の大きなビームスポットを形成する。高NA専用領域Rhを透過した不要光は、主として1次〜4次の回折光に配分されるが、球面収差が次数によって異なるため、それぞれ異なる位置に達する。すなわち、不要光の約37%が3次回折光としてビームスポットの周囲にリング状に分布し、その周囲に2次、4次光、更に周囲に1次、5次回折光が拡散する。
【0047】
【比較例2】
比較例2は、第3の実施形態とほぼ同様の構成であり、両面非球面の単レンズの一方のレンズ面が共用領域と高NA専用領域とに区分され、共用領域は回折レンズ構造のない連続面であるが、高NA専用領域にはDVD利用時の波長657nmに対して1次回折光の回折効率が最大になるような回折レンズ構造が形成されている。
【0048】
図14は、比較例2の対物レンズに波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。高NA専用領域を透過した不要光は、十分に拡散せず、90%以上が1次回折光としてビームスポットの周囲にリング状に分布する。したがって、比較例1と同様にジッターやトラッキングエラー信号の誤差が大きくなる。
【0049】
前記の第3の実施形態によれば、高NA専用領域を透過した波長790nmの不要光が図14に示した比較例2と比較すると十分に拡散するため、ジッターの増加や3ビーム法によるトラッキングエラー信号の誤差を抑えることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、絞りやフィルターを用いずに対物レンズの開口を実質的に制限することができる。また、記録密度の低い光ディスクに対応する波長については、高NA専用領域を透過した不要光の利用次数の効率が低くなるため、高NA専用領域の回折レンズ構造の記録密度の低い光ディスクに対応する波長における球面収差を大きくしなくとも、不要光を十分に拡散させることができる。したがって、光源の波長誤差の許容範囲を狭めることなく、再生信号におけるジッターの発生や3ビーム法によるトラッキングエラー信号の誤差を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態にかかる対物レンズの外形を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は縦断面図、(C)は縦断面の一部拡大図である。
【図2】 第1の実施形態にかかる対物レンズを使用した光ヘッドの光学系の説明図である。
【図3】 高NA専用領域の回折レンズ構造の輪帯間の段差を示す説明図であり、(A)が従来例、(B)が第1の実施形態を示す。
【図4】 第1の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。
【図5】 第1の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の球面収差を示すグラフである。
【図6】 高NA専用領域の回折レンズ構造の輪帯間の段差を示す説明図であり、(A)が従来例、(B)が第2の実施形態を示す。
【図7】 第2の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。
【図8】 第2の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の球面収差を示すグラフである。
【図9】 第2の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合のセンサ面上でのスポットダイアグラムである。
【図10】 第3の実施形態にかかる対物レンズの外形を示す説明図であり、(A)は正面図、(B)は縦断面図、(C)は縦断面の一部拡大図である。
【図11】 第3の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。
【図12】 第3の実施形態の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の球面収差を示すグラフである。
【図13】 比較例1の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。
【図14】 比較例2の対物レンズを利用して波長790nmの光束を入射させた場合の光ディスクの記録面上でのスポットダイアグラムである。
【符号の説明】
10 対物レンズ
11 第1面
12 第2面
21 DVD用モジュール
22 CD用モジュール
23 ビームコンバイナ
24 コリメートレンズ
DVD,CD 光ディスク

Claims (4)

  1. 少なくとも2つの異なる波長の光束を記録密度の異なる少なくとも二種類の光ディスクの記録面に対してそれぞれ収束させる光ヘッド用対物レンズにおいて、
    正のパワーを有する屈折レンズを備え、該屈折レンズの少なくとも一方のレンズ面が、記録密度の低い光ディスクに必要充分な低NAの光束が透過する共用領域と、この共用領域の周囲に位置し、記録密度の高い光ディスクに対してのみ必要な高NAの光束が透過する高NA専用領域とに区分され、
    少なくとも前記高NA専用領域には、微細な段差を有する複数の輪帯から成る回折レンズ構造が形成され、
    前記高NA専用領域に形成された回折レンズ構造は、前記記録密度の高い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数、前記記録密度が低い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数より高くなるよう設計されていることを特徴とする光ヘッド用対物レンズ。
  2. 前記高NA専用領域に形成された回折レンズ構造は、前記記録密度の高い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数が3次、前記記録密度が低い光ディスクに対応する波長の光束について回折効率が最大になる次数が2次となるよう設計されていることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド用対物レンズ。
  3. 前記共用領域には、微細な段差を有する複数の輪帯から成る回折レンズ構造が形成され、該共用領域に形成された回折レンズ構造は、使用される複数の波長の光束について、所定の同一次数の回折光の回折効率が最大となるよう設計されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ヘッド用対物レンズ。
  4. 前記共用領域は、回折レンズ構造を持たない連続的な屈折面であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ヘッド用対物レンズ。
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