JP4098907B2 - 波形生成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正弦波や矩形波などの各種の波形を生成する波形生成装置に関し、詳しくは、生成波形の周波数、振幅およびオフセット電圧などの波形パラメータを時間の経過に応じて変化させるスイープ機能を備えた波形生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ABSセンサやモータなどの特性を検査するために、設定したスイープ期間内において、設定した波形パラメータデータに従って周波数や振幅などが順次変化するスイープ波形を必要とすることがある。この種の特性検査時などにおいて用いられる波形生成装置として、図6に示す波形生成装置71が従来から知られている。この波形生成装置71では、例えば、図5に示すスイープ波形のアナログ出力信号SO を生成可能に構成されている。具体的には、波形生成装置71は、CPU72と、各種データやCPU72の演算結果を一時的に記憶するRAM73と、1μSの基準クロックSKRを生成する基準クロック生成部74と、周波数データDf を読み出すためのアドレスデータDA を生成するアドレス生成回路75と、周波数データDf を記憶する周波数データメモリ21と、周波数データDf に基づいて正弦波のアナログ信号SA を生成するDDS24と、不要周波数成分を除去してアナログ出力信号SO を生成するLPF31と、アナログ出力信号SO を出力するためのコネクタ18と、表示部78とを備えている。また、アドレス生成回路75は、プログラマブルカウンタ76およびアドレスカウンタ77を備えて構成されている。
【0003】
この波形生成装置71では、所望スイープ波形の生成順序であるスイープシーケンスを指定する際には、まず、図外の操作部を操作することにより、図7に示すスイープシーケンス入力用画面81を表示部78に表示させる。次いで、スイープシーケンス入力用画面81上において、マウスを使用してスイープシーケンスを指定する。具体的には、まず、スイープシーケンス入力用画面81における更新時間設定用表示部82に周波数データDf の更新時間を設定する。この場合、更新時間とは、アドレス生成回路75によってアドレスデータDA が更新される時間、つまり周波数データメモリ21によって出力される周波数データDf の出力周期をいう。したがって、アナログ出力信号SO がある程度細かな刻みのステップ周波数で滑らかに変化するように、ある程度短時間に設定する。この際に、更新時間を1mSに設定したものとする。
【0004】
次いで、スイープシーケンス入力用画面81における最初の0行に、第1のスイープ期間T1におけるスイープ波形の開始周波数(この例では、10MHz)を入力し、次いで、第2行に、第1のスイープ期間T1におけるスイープ波形の終了周波数(第2のスイープ期間T2におけるスイープ波形の開始周波数でもあり、この例では1MHz)を入力する。次に、オペレータは、第1のスイープ期間T1における周波数データDf の更新回数およびスイープ時間を第1行の中欄および右欄にそれぞれ設定する。この場合、更新回数は、スイープ時間(1S)を既設定の更新時間(1mS)で除算した値(この例では1000回)となる。
【0005】
この時点で、第1のスイープシーケンス条件が決定され、この際には、CPU72は、第1のスイープ期間T1における更新回数データと、更新時間データとをRAM73に記憶させる。同時に、CPU72は、開始周波数、終了周波数および更新回数に基づいて、更新時毎の周波数データDf を生成して周波数データメモリ21に記憶させる。同様にして、第2のスイープ期間T2についてのスイープシーケンス条件を入力する。この際にも、CPU72は、更新回数データをRAM73に記憶させると共に、更新時毎の周波数データDf を生成して周波数データメモリ21に記憶させる。同様にして、第3のスイープ期間T3および第4のスイープ期間T4についての各スイープシーケンス条件を入力する。これにより、第1〜第4のスイープシーケンスにおける更新時間データおよび更新回数データがRAM73によって記憶され、かつ第1〜第4のスイープシーケンスにおける周波数データDf が周波数データメモリ21によって記憶される。
【0006】
第4のスイープ期間T4のスイープシーケンス条件が入力された時点で、スイープシーケンス全体としてのスイープ期間および更新回数がそれぞれ8Sおよび8000回となる。この場合、周波数データメモリ21は、32Kバイトの記憶容量を有しており、1つの周波数データDf が4バイトで構成されているため、8Kデータが記憶可能となっている。したがって、この時点で、周波数データメモリ21の記憶残容量がなくなるため、これ以上のスイープシーケンス条件の入力が禁止される。
【0007】
この際に、所望するすべてのスイープ期間についてのスイープシーケンス条件が設定されていない状態でスイープシーケンス条件の入力が禁止されたときには、オペレータは、周波数データDf が8Kデータ以内に収まるように、更新時間設定用表示部82上の更新時間をより長い時間に変更する。次いで、既設定のスイープシーケンス条件をクリアした後、すべてのスイープ期間についてのスイープシーケンス条件を設定し直す。これにより、更新回数が減少するため、所望するすべてのスイープ期間についてのスイープシーケンス条件を設定することができる。
【0008】
一方、スイープシーケンス実行時には、CPU72が、まず、更新時間データDR1をRAM73から読み出してプログラマブルカウンタ76に出力すると共に、第1のスイープ期間T1における更新回数データDRD1 をアドレスカウンタ77に出力する。次いで、プログラマブルカウンタ76は、基準クロックSKRの入力数をカウントし、カウント値が1000回に達する都度(つまり1mSに達する都度)、更新用クロック信号SDR1 をアドレスカウンタ77に出力する。次に、アドレスカウンタ77が、更新用クロック信号SDR1 に同期してアドレスデータDA を順次出力する。これにより、そのアドレスデータDA のアドレスに記憶されている周波数データDf が周波数データメモリ21から順次出力され、DDS24が、各周波数データDf に応じた周波数のアナログ信号SA を生成する。この結果、LPF31が、スイープ波形のアナログ出力信号SO を出力する。
【0009】
この結果、図5に示すように、第1のスイープ期間T1の開始時t0において10MHzのアナログ出力信号SO が出力され、その後、周波数が更新時間毎に単調低下し、第1のスイープ期間T1の終了時t1には、1MHzのアナログ出力信号SO が出力される。同様にして、第2のスイープ期間T2〜第4のスイープ期間T4において、設定されたスイープシーケンス条件に応じた周波数のアナログ出力信号SO が出力される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の波形生成装置71には、以下の問題点がある。
第1に、従来の波形生成装置71では、更新時間設定用表示部82上で更新時間が設定されると、すべてのスイープ期間についての更新時間が同一の時間で画一的に設定されるために問題が生じる。つまり、長時間の(例えば、3S)スイープ期間に対応するスイープ波形と、短時間の(例えば、100mS)スイープ期間に対応するスイープ波形とが同一の更新時間で更新されている。したがって、スイープ期間が短時間のスイープ波形は、周波数データDf の総データ数が少なくなる結果、滑らかにスイープしない粗い波形となる。このため、従来の波形生成装置71には、スイープシーケンスの設定条件によっては、スイープ波形の滑らかさが低下することがあるという問題点がある。
【0011】
第2に、従来の波形生成装置71では、周波数データDf の総データ数が周波数データメモリ21のメモリ容量を超えないように、オペレータ自身が確認しつつ、スイープシーケンス条件を設定する必要がある。この場合、必要とされるすべてのスイープシーケンス条件を漏れなく設定するためには、スイープシーケンス条件の設定に先立ち、オペレータは、まず、更新時間の予測、および予測した更新時間に基づいて決定される周波数データDf の総データ数の計算を行わなければならない。このため、従来の波形生成装置71には、スイープシーケンス条件の設定が煩雑かつ困難であるという問題点がある。
【0012】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、滑らかなスイープ波形を生成可能な波形生成装置を提供することを主目的とし、スイープシーケンス条件を容易かつ短時間で設定可能な波形生成装置を提供することを主目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載の波形生成装置は、所定時間長のスイープ期間に対応する単位スイープ波形を生成するための複数の波形パラメータデータを複数組記憶可能な波形パラメータデータメモリと、波形パラメータデータを所定時間長の更新時間毎に波形パラメータデータメモリから読み出すためのアドレスデータを生成するアドレス生成回路とを備え、波形パラメータデータメモリから更新時間毎に順次読み出した複数の波形パラメータデータに基づいて、複数のスイープ期間にそれぞれ対応する複数の単位スイープ波形のつなぎ合わせ波形を生成可能に構成された波形生成装置において、各スイープ期間毎の各更新時間を、所定時間長が短時間のスイープ期間については短い時間に、所定時間長が長時間のスイープ期間については長い時間となるように互いに異なる時間に設定可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
この波形生成装置では、アドレス生成回路によって生成されるアドレスデータの更新時間、言い替えれば、波形パラメータデータを波形パラメータデータメモリから読み出す際の更新時間が、各スイープ期間毎に設定される。したがって、短時間のスイープ期間の更新時間については短い時間に設定し、長時間のスイープ期間の更新時間については長い時間(短時間のスイープ期間の更新時間とは異なる時間)に設定することができる。このように設定することにより、短時間のスイープ期間についてのスイープ波形は、滑らかなスイープ波形となり、長時間のスイープ期間についてのスイープ波形は、十分に滑らかなスイープ波形となる。しかも、短時間のスイープ期間についての波形パラメータデータ数はそれほど増加せず、長時間のスイープ期間についての波形パラメータデータ数は低減する。したがって、波形パラメータデータの総データ数を低減することができるため、波形パラメータデータメモリの容量を低減できる。逆に、波形パラメータデータメモリの容量を従来の波形生成装置71における周波数データメモリ21と同一にした場合には、記憶可能な波形パラメータデータの総データ数を増加させることが可能となる。
【0015】
請求項2記載の波形生成装置は、請求項1記載の波形生成装置において、スイープ期間におけるアドレスデータの更新回数、および更新時間を各スイープ期間毎に記憶するシーケンスメモリと、シーケンスメモリに記憶されている更新時間に基づいてアドレスデータを更新させるための更新用クロック信号を生成するクロック信号生成回路とを備え、アドレス生成回路は、アドレスデータの更新回数および更新用クロック信号の入力数に基づいてアドレスデータを生成することを特徴とする。
【0016】
この波形生成装置では、スイープシーケンス条件が設定されると、シーケンスメモリが、スイープ期間におけるアドレスデータの更新回数、および更新時間を各スイープ期間毎に記憶する。一方、スイープシーケンス実行時には、クロック信号生成回路が、シーケンスメモリに記憶されている更新時間に基づいてアドレスデータ更新用の更新用クロック信号を生成し、アドレス生成回路が、アドレスデータの更新回数および更新用クロック信号の入力数に基づいてアドレスデータを生成する。したがって、スイープシーケンスの実行は、シーケンスメモリに記憶されたアドレスデータの更新回数および更新時間を含むシーケンスデータで管理され、ハード的に処理される。このため、ソフト的に処理する場合と比較して、スイープシーケンスを極めて短時間で処理することが可能となる。
【0017】
請求項3記載の波形生成装置は、請求項2記載の波形生成装置において、シーケンスメモリは、単位スイープ波形の繰返し生成数を記憶し、アドレス生成回路は、単位スイープ波形の繰返し生成時において、単位スイープ波形についてのアドレスデータをシーケンスメモリに記憶されている繰返し生成数に応じて繰返し生成することを特徴とする。
【0018】
この波形生成装置では、アドレス生成回路が、シーケンスメモリに記憶されている単位スイープ波形の繰り返し生成数に応じて、そのスイープ波形を繰り返し生成する。したがって、同一のスイープ波形についての波形パラメータデータを波形パラメータデータメモリに重複して記憶させる必要がないため、波形パラメータデータの総データ数を低減できると共に、そのメモリ空間を有効に活用することが可能となる。
【0019】
請求項4記載の波形生成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の波形生成装置において、複数のスイープ期間のそれぞれに対応する所定時間長が設定された際に、所定の規則に従って更新時間を決定する更新時間決定部を備えていることを特徴とする。
【0020】
この波形生成装置では、オペレータによってスイープ期間が設定されると、更新時間が所定の規則に従って自動的に決定される。この場合、短時間のスイープ期間の更新時間については短い時間に決定し、長時間のスイープ期間の更新時間については長い時間に決定するのが望ましい。また、更新時間が自動的に決定されることで、更新回数も自動演算することが可能となる。このように、更新時間が自動的決定され、更新回数が自動演算されることにより、煩雑かつ困難な更新時間の予測作業および更新回数の計算作業が回避される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る波形生成装置の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
波形生成装置1は、正弦波や矩形波などの標準波形および任意波形を生成する波形生成機能、並びに、波形の周波数、振幅およびオフセット電圧を含む波形パラメータを同時にスイープさせるスイープシーケンス機能を実現可能に構成されている。具体的には、波形生成装置1は、図1に示すように、CPU2、表示入力部3、操作部4、フロッピーディスクドライブ5、ROM6、RAM7、基準クロック生成部8、および出力部9を備えている。
【0023】
CPU2は、本発明における更新時間決定部に相当し、後述するように更新時間を決定すると共に、表示入力部3または操作部4において設定された波形生成命令やスイープシーケンス条件に従って各部および各回路の動作を制御する。表示入力部3は、特に限定されないが、タッチパネルが配設されたLCDパネルを備え、スイープシーケンス条件入力用画面41(図4参照)などをLCDパネルに表形式で表示する。操作部4は、各種スイッチやシャトルダイヤルなどを備え、波形生成に関する各種の設定が可能に構成されている。フロッピーディスクドライブ5は、フロッピーディスクに対して波形生成用の各種データの書き込みや読み込みが可能に構成されている。ROM6は、CPU2の動作プログラムを記憶する。また、RAM7は、CPU2の演算結果、後述する波形生成用の各種データ、任意波形データメモリ29のスタートアドレスデータDS およびエンドアドレスデータDE などを一時的に記憶する。
【0024】
出力部9は、図1に示すように、本発明におけるクロック信号生成回路に相当するプログラマブルカウンタ11、本発明におけるアドレス生成回路に相当するアドレスカウンタ12、波形生成部13、シーケンス回路14、およびアナログ出力信号SO を出力するコネクタ18を備え、CPU2から出力される波形生成用の各種データに従って所定の波形を生成する。また、シーケンス回路14は、シーケンスカウンタ15、シーケンスメモリ16およびループカウンタ17から構成されている。
【0025】
プログラマブルカウンタ11は、シーケンスメモリ16から出力される更新時間データDR に基づいて、アドレスカウンタ12に対してアドレスデータDAPを更新させるための更新用クロック信号SDRを生成する。具体的には、例えば、3秒(本発明における所定時間長の一例)のスイープ期間で1波形をスイープするスイープシーケンス条件が設定されたときには、CPU2が、更新回数を1000回に決定した場合、そのスイープ期間3秒を1000分割演算することにより3mS(本発明における所定の時間長の一例)の更新時間に規定し、その更新時間データDR をシーケンスメモリ16に記憶させる。この場合には、プログラマブルカウンタ11は、基準クロック生成部8から出力される1μSの基準クロックSKRの入力数が3000回に達した都度、更新用クロック信号SDRを生成する。なお、更新用クロック信号SDRの周期は、後述するように、1μS〜65.5mSの範囲内で1μS刻みで決定される。また、本明細書では、アドレスデータDAPとは、後述する波形生成部13内の周波数データメモリ21、振幅データメモリ22およびオフセットデータメモリ23から周波数データDf 、振幅データDa およびオフセット電圧データDO をそれぞれ読み出す際のアドレスデータの総称とする。
【0026】
アドレスカウンタ12は、プログラマブルカウンタ11から出力される更新用クロック信号SDRに同期してアドレス値を順次インクリメントすることによりアドレスデータDAPを生成する。波形生成部13は、その構成については後述するが、アドレスカウンタ12から出力されるアドレスデータDAPに従って標準波形や任意波形を生成する。
【0027】
シーケンス回路14は、複数波形のつなぎ合わせやルーピングを制御する。シーケンス回路14内のシーケンスメモリ16は、表示入力部3のLCDパネルに表示されたスイープシーケンス入力用画面41上で条件設定されたスイープシーケンスデータDSPを記憶し、そのスイープシーケンスデータDSPは、スイープシーケンスの実行に先立ってCPU2によって書き込まれる。シーケンスカウンタ15は、ループカウンタ17から出力されるキャリー信号SC に従ってアドレスデータDRAを出力することにより、シーケンスメモリ16に対して、そのアドレスに記憶されている更新回数データDRDをアドレスカウンタ12に出力させる。ループカウンタ17は、シーケンスメモリ16から出力されるループデータDRPを記憶すると共に、アドレスカウンタ12からのキャリー信号SC の出力回数をカウントし、その出力回数がループデータDRPの値に等しくなるようにスイープシーケンス実行時における同一波形の繰返しスイープ回数を制御する。
【0028】
このシーケンス回路14では、例えば、スイープシーケンス条件1として、スイープ時間3秒、更新回数1000回およびループ回数2回が設定され、スイープシーケンス条件2として、スイープ時間5秒、更新回数1000回およびループ回数1回が設定された場合、まず、CPU2が、スイープシーケンスデータDSPを出力することにより、第1スイープシーケンスデータ(3m、1000、2)および第2スイープシーケンスデータ(5m、1000、1)をシーケンスメモリ16の例えばアドレス001,002に順次書き込む。次いで、シーケンスカウンタ15が、アドレス001に対応するアドレスデータDRAをシーケンスメモリ16に出力する。これにより、シーケンスメモリ16は、そのアドレス001に記憶されている更新時間データDR (3mS)、更新回数データDRD(1000回)およびループデータDRP(2回)を、プログラマブルカウンタ11、アドレスカウンタ12およびループカウンタ17にそれぞれ出力する。
【0029】
次いで、プログラマブルカウンタ11は、基準クロックSKRの入力クロック数が3000個に達する3mS毎に、更新用クロック信号SDRをアドレスカウンタ12に出力する。一方、アドレスカウンタ12は、波形生成部13に対するアドレスデータDAPの出力処理を実行する。この処理では、アドレスカウンタ12は、更新用クロック信号SDRが入力される毎にアドレスデータDAPをインクリメントしつつ波形生成部13に出力する。この後、アドレスカウンタ12は、更新用クロック信号SDRの入力クロック数が1000回の更新回数に達したときにキャリー信号SC をループカウンタ17に出力すると共にアドレスデータDAPを初期値にリセットする。その後、アドレスカウンタ12は、カウント動作を再開し、更新用クロック信号SDRの入力クロック数が1000回に達したときに、キャリー信号SC をループカウンタ17に出力する。この結果、アドレスデータDAPの出力処理が2回行われる。
【0030】
一方、ループカウンタ17は、ループデータDRPで特定される回数のキャリー信号SC がアドレスカウンタ12から出力されたときに、キャリー信号SC をシーケンスカウンタ15に出力する。これにより、シーケンスカウンタ15が、アドレスデータDRAをインクリメントしてシーケンスメモリ16に出力する。この結果、シーケンスメモリ16は、次のアドレス002に記憶されている更新時間データDR (5mS)、更新回数データDRD(1000回)およびループデータDRP(1回)を、プログラマブルカウンタ11、アドレスカウンタ12およびループカウンタ17にそれぞれ出力する。この際には、出力部9では、スイープシーケンス条件1のスイープシーケンスと同様にして、波形生成部13に対するアドレスデータDAPの出力処理を1回だけ実行する。この結果、出力部9の波形生成部13において、設定されたスイープシーケンス条件1,2に応じたスイープ波形が順次生成される。
【0031】
波形生成部13は、図2に示すように、周波数データメモリ21、振幅データメモリ22、オフセットデータメモリ23、DDS24、LPF25、TTL変換回路26、レベル変換回路27、任意波形用アドレス生成回路28、任意波形データメモリ29、D/A変換回路30、LPF31、D/A変換回路32,33、信号切替器34、乗算器35、加算器36およびバッファアンプ37を備えている。
【0032】
周波数データメモリ21は、スイープシーケンス実行時などにおいてDDS24に対して生成させる正弦波の周波数データDf を例えば64Kデータ記憶可能な記憶容量を有している。具体的には、スイープシーケンス入力画面41上でスイープシーケンス条件が設定されると、CPU2が、そのスイープシーケンスデータDSPに応じた波形パラメータデータDP を出力し、その際に、周波数データメモリ21は、波形パラメータデータDP のうちの周波数データDf を記憶する。なお、周波数データDf は、例えば、10mHz分解能で10mHz〜10MHzまでの範囲を特定可能に規定されている。
【0033】
振幅データメモリ22は、CPU2から出力される波形パラメータデータDP のうち、生成波形の振幅値についての振幅データDa を記憶する。また、オフセットデータメモリ23は、CPU2から出力される波形パラメータデータDP のうち、生成波形の直流オフセット電圧についてのオフセット電圧データDO を記憶する。なお、周波数データメモリ21、振幅データメモリ22およびオフセットデータメモリ23が本発明における波形パラメータデータメモリに相当する。DDS24は、周波数データメモリ21から出力される周波数データDf に応じた周波数の正弦波やスイープ波形WS をディジタル処理で生成する。LPF25は、DDS24によって生成された正弦波信号をろ波する。TTL変換回路26は、LPF25から出力された正弦波をTTLレベルに変換することにより矩形波の基準クロック信号CKを生成する。また、レベル変換回路27は、TTL変換回路26から出力された矩形波の信号レベルをレベル変換することにより、例えば±10Vの矩形波によるパターンデータを生成する。
【0034】
任意波形用アドレス生成回路28は、TTL変換回路26から出力される基準クロック信号CKに同期してアドレス値をインクリメントすることにより、任意波形データメモリ29から波形データDW を読み出す際のアドレスデータDA を生成する。任意波形データメモリ29は、ユーザーが任意波形についての波形データDW を自由に書き込み可能に構成されており、例えば、波形データDW が記録されたフロッピーディスクがフロッピーディスクドライブ5に挿入された際に、CPU2によって転送される波形データDW を記憶する。D/A変換回路30は、任意波形データメモリ29から出力される波形データDW をディジタル−アナログ変換することによりアナログ信号SA を生成する。LPF31は、カットオフ周波数可変型の二次ローパスフィルタで構成され、入力したアナログ信号SA に含まれている基準クロック信号CKの信号成分やノイズ成分を除去することによりスムージングフィルタとして機能する。D/A変換回路32は、振幅データメモリ22から出力される振幅データDa をディジタル−アナログ変換することにより生成したアナログ電圧信号を乗算器35に出力し、D/A変換回路33は、オフセットデータメモリ23から出力されるオフセット電圧データDO をディジタル−アナログ変換することにより生成したオフセット電圧信号を加算器36に出力する。
【0035】
この波形生成部13では、例えば、スイープ波形WS を生成する際には、アドレスカウンタ12から出力されるアドレスデータDAPに従い、周波数データメモリ21、振幅データメモリ22およびオフセットデータメモリ23が、周波数データDf 、振幅データDa およびオフセット電圧データDO をそれぞれ出力する。これにより、DDS24が、その周波数データDf に応じた周波数のスイープ波形WS を生成し、信号切替器34を介してスイープ波形WS を乗算器35に出力する。同時に、D/A変換回路32から出力されたアナログ電圧信号が乗算器35に出力され、乗算器35が、スイープ波形WS とアナログ電圧信号とを互いに乗算することによりスイープ波形WS の振幅値を制御する。また、D/A変換回路33から出力されたオフセット電圧信号が加算器36に出力され、加算器36が、乗算器35から出力されたスイープ波形WS にオフセット電圧信号を加算することによりスイープ波形のアナログ出力信号SO を生成する。次いで、バッファアンプ37がアナログ出力信号SO を緩衝増幅してコネクタ18に出力する。
【0036】
一方、任意波形を生成する際には、アドレスカウンタ12から出力されるアドレスデータDAPに従い、周波数データメモリ21が周波数データDf を出力することにより、DDS24が所定周波数の正弦波を生成する。次いで、TTL変換回路26が、その正弦波をTTLレベルに変換することにより基準クロック信号CKを生成して任意波形用アドレス生成回路28に出力する。同時に、CPU2が、任意波形用アドレス生成回路28に対して、スタートアドレスデータDS およびエンドアドレスデータDE を出力し、任意波形用アドレス生成回路28は、これらの入力した各データおよび基準クロック信号CKに基づいてアドレスデータDA を生成して任意波形データメモリ29に出力する。この結果、任意波形データメモリ29がアドレスデータDA に応じた波形データDW を順次出力し、D/A変換回路30が、波形データDW をディジタル−アナログ変換することにより任意波形のアナログ信号SA を生成する。この場合、アナログ信号SA は、LPF31および信号切替器34を介して乗算器35に入力され、乗算器35によって定数1が乗算されると共に加算器36によって値0のオフセット電圧信号が加算され、この後、バッファアンプ37によって緩衝増幅されることによりアナログ出力信号SO としてコネクタ18に出力される。
【0037】
次に、主としてスイープシーケンス実行の際の条件設定方法および波形生成装置1の全体的な動作について、図3,4を参照して説明する。なお、以下、周波数のみをスイープさせるスイープシーケンスの際の周波数データDf についての更新時間の決定処理、およびそのデータ数の演算処理を代表して説明する
【0038】
まず、図4に示すスイープシーケンス入力用画面41上において、001行に第1のスイープ期間のスイープ時間(1S)、開始周波数(10MHz)、終了周波数(1MHz)およびループ回数(2回)が設定されると、CPU2は、図3に示すデータ作成処理を実行する。この処理では、CPU2は、スイープ時間についての設定時間(本発明における所定時間長に相当する)に応じて更新時間を決定する。具体的には、CPU2は、最初に、設定されたスイープ時間が、1mS未満、1mS〜6.5536S、および6.5537S以上のいずれであるかを判別する(ステップ51)。次いで、CPU2は、1mS未満のときには、更新時間を1μSに決定すると(ステップ52)共に、周波数データDf のデータ数を演算する。この場合、CPU2は、スイープ時間を更新時間で除算することによってデータ数を求める。また、設定時間が1mS〜6.5536Sのときには、CPU2は、設定時間を1000で除算した時間に決定し(ステップ53)、その際のデータ数を演算する。さらに、6.5537S以上のときには、CPU2は、65536μSに決定し(ステップ54)、その際のデータ数を演算する。また、CPU2は、ステップ53において、決定した更新時間が(6.5537/2)Sよりも長い時間になるときには、001行に対応するフラグに値1を書き込む。
【0039】
上記した処理と同様にして、すべての行(この例では001行〜003行)についての処理が行われた後、さらに決定ボタン42が操作されたときには、CPU2は、全行の演算を終了したものと判別し(ステップ55)、周波数データDf の総データ数が64Kデータ以内か否かを判別する(ステップ56)。この例では、64Kデータ以内であるため、CPU2は、このデータ作成処理を正常終了する(ステップ57)。この後、CPU2は、001行〜003行をそれぞれ第1スイープシーケンス条件〜第3スイープシーケンス条件とし、各スイープシーケンスデータDSP(更新時間、更新回数、ループ数)をシーケンスメモリ16に転送して記憶させる。
【0040】
一方、総データ数が64Kデータを超えるときには、全行のデータ数が分割不可能か否かを判別する(ステップ58)。この場合、データ数の分割とは、各行における既決定のデータ数を値2で除算することによってデータ数を半減させることを意味する。また、分割できる行は、上記したステップ53においてフラグに値1が書き込まれなかった行、および分割後のデータ数が例えば10以上となる行に限られる。この結果、分割可能な行を限定することにより、各スイープ期間におけるデータ数の低下防止、つまりスイープ波形の滑らかさの低下を防止することができる。全行にフラグ1が書き込まれているときには、総データ数が64Kデータを超えるものと判別し、CPU2は、表示入力部3にその旨を表示して、このデータ作成処理をエラー終了する(ステップ59)。
【0041】
分割可能な行が存在すると判別した場合(ステップ60)には、CPU2は、その行に対応する更新時間を2倍の時間長に決定した後、既設定のデータ数の半数を新たなデータ数とする(ステップ61)。この後、CPU2は、フラグの更新を実行し(ステップ62)、この処理では、新たに決定した更新時間が(6.5537/2)Sよりも長い時間になるときには、その行に対応するフラグに値1を書き込む。次いで、CPU2は、更新時間およびデータ数についての全行の演算を終了したか否かを判別し(ステップ63)、分割可能な行があるときには、さらにステップ60〜63を繰り返して実行し、すべての行の演算を終了したと判別したときに、総データ数が64Kデータか否かを再度判別する(ステップ56)。この後、上記したステップ56〜63を繰り返すことにより、このデータ作成処理を正常終了(ステップ57)またはエラー終了し(ステップ59)、正常終了のときには、各行に対応する各スイープシーケンスデータDSP(更新時間、更新回数、ループ数)をシーケンスメモリ16に転送して記憶させる。
【0042】
次いで、データ作成処理を正常終了し、かつ操作部4における図外のスイープシーケンス開始スイッチが操作されると、CPU2は、シーケンス回路14に対してスイープシーケンスを実行させる。この際には、シーケンスメモリ16に記憶されているスイープシーケンスデータDSPに従い、アドレスカウンタ12からアドレスデータDAPが波形生成部13に出力される。これにより、出力部9のDDS24が、アドレスデータDAPに応じて周波数データメモリ21から出力される周波数データDf に従いスイープ波形WS を生成する。次いで、このスイープ波形WS がLPF25、信号切替器34および乗算器35を介して加算器36に入力され、加算器36からスイープ波形のアナログ出力信号SO が出力される。次いで、増幅器37がアナログ出力信号SO を緩衝増幅した後にコネクタ18に出力する。
【0043】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されない。例えば、本発明の実施の形態では、データ作成処理において、更新時間のグループ分け(ステップ52〜54)を3つにした例について説明したが、複数であればよく、そのグループ分けの際のスイープ時間長についても、本発明の実施の形態で示した時間に限定されず適宜変更が可能である。さらに、データ数の分割についても2分割に限定されず、値1以上の数で分割することが可能である。
【0044】
さらに、シーケンス回路14や出力部9の構成についても、その機能の一部をCPU2に分担させることもできるし、DSPなどで構成することもできる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の波形生成装置によれば、アドレス生成回路によって生成されるアドレスデータの更新時間を各スイープ期間毎に設定可能に、つまり各スイープ期間毎の各更新時間を、所定時間長が短時間のスイープ期間については短い時間に、所定時間長が長時間のスイープ期間については長い時間となるように互いに異なる時間に設定可能に構成したことにより、設定されたスイープシーケンス条件(特にスイープ時間)に適合して滑らかにスイープするスイープ波形を生成することができる。また、波形パラメータデータの総データ数を低減することができるため、波形パラメータデータメモリの容量を低減できる結果、装置のコストダウンを図ることもできるし、波形パラメータデータメモリの容量を従来の波形生成装置71における周波数データメモリ21と同一にした場合には、記憶可能な波形パラメータデータの総データ数を増加させることができる。
【0046】
また、請求項2記載の波形生成装置によれば、アドレス生成回路が、シーケンスメモリに記憶されているアドレスデータの更新回数および更新用クロック信号の入力数に基づいてアドレスデータを生成することにより、スイープシーケンスがハード的に処理される結果、ソフト的に処理する場合と比較して、スイープシーケンスを極めて短時間で処理することができる。
【0047】
さらに、請求項3記載の波形生成装置によれば、単位スイープ波形についてのアドレスデータをシーケンスメモリに記憶されている繰返し生成数に応じて繰返し生成することにより、波形パラメータデータメモリに対する同一スイープ波形についての波形パラメータデータの重複記憶を防止できるため、波形パラメータデータの総データ数を低減できると共に、そのメモリ空間を有効に活用することができる。
【0048】
また、請求項4記載の波形生成装置によれば、更新時間決定部が、所定の規則に従って更新時間を自動的に決定することにより、オペレータは、煩雑かつ困難な更新時間の予測作業および更新回数の計算作業を回避することができるため、スイープシーケンス条件を容易かつ短時間で設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る波形生成装置1のブロック図である。
【図2】 波形生成装置1における波形生成部13のブロック図である。
【図3】 波形生成装置1におけるデータ作成処理のフローチャートである。
【図4】 スイープシーケンス入力用画面41の画面図である。
【図5】 スイープ波形であるアナログ出力信号SO の信号波形図である。
【図6】 従来の波形生成装置71のブロック図である。
【図7】 従来の波形生成装置71におけるスイープシーケンス入力用画面81の画面図である。
【符号の説明】
1 波形生成装置
2 CPU
9 出力部
11 プログラマブルカウンタ
12 アドレスカウンタ
13 波形生成部
14 シーケンス回路
15 シーケンスカウンタ
16 シーケンスメモリ
17 ループカウンタ
21 周波数データメモリ
22 振幅データメモリ
23 オフセットデータメモリ
24 DDS
Da 振幅データ
DAP アドレスデータ
Df 周波数データ
DO オフセット電圧データ
DP 波形パラメータデータ

Claims (4)

  1. 所定時間長のスイープ期間に対応する単位スイープ波形を生成するための複数の波形パラメータデータを複数組記憶可能な波形パラメータデータメモリと、前記波形パラメータデータを所定時間長の更新時間毎に前記波形パラメータデータメモリから読み出すためのアドレスデータを生成するアドレス生成回路とを備え、前記波形パラメータデータメモリから前記更新時間毎に順次読み出した前記複数の波形パラメータデータに基づいて、複数の前記スイープ期間にそれぞれ対応する複数の前記単位スイープ波形のつなぎ合わせ波形を生成可能に構成された波形生成装置において、
    前記各スイープ期間毎の前記各更新時間を、前記所定時間長が短時間の当該スイープ期間については短い時間に、当該所定時間長が長時間の当該スイープ期間については長い時間となるように互いに異なる時間に設定可能に構成されていることを特徴とする波形生成装置。
  2. 前記スイープ期間における前記アドレスデータの更新回数、および前記更新時間を前記各スイープ期間毎に記憶するシーケンスメモリと、前記シーケンスメモリに記憶されている前記更新時間に基づいて前記アドレスデータを更新させるための更新用クロック信号を生成するクロック信号生成回路とを備え、前記アドレス生成回路は、前記アドレスデータの更新回数および前記更新用クロック信号の入力数に基づいて前記アドレスデータを生成することを特徴とする請求項1記載の波形生成装置。
  3. 前記シーケンスメモリは、前記単位スイープ波形の繰返し生成数を記憶し、前記アドレス生成回路は、前記単位スイープ波形の繰返し生成時において、当該単位スイープ波形についての前記アドレスデータを前記シーケンスメモリに記憶されている前記繰返し生成数に応じて繰返し生成することを特徴とする請求項2記載の波形生成装置。
  4. 前記複数のスイープ期間のそれぞれに対応する前記所定時間長が設定された際に、所定の規則に従って前記更新時間を決定する更新時間決定部を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の波形生成装置。
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