JP4097768B2 - 共重合体、メガネレンズ用処理剤及び処理レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な共重合体、メガネレンズ用処理剤、該共重合体と着色剤と含むメガネレンズ用着色処理剤、該メガネレンズ処理剤で処理してなるメガネレンズ、前記のメガネレンズ用着色処理剤で処理してなるメガネレンズに関する。更に詳細には、メガネレンズへの親水性、防汚性、紫外線吸収性を付与する性能に優れた新規な共重合体、また、これに着色剤を配合することによりメガネレンズのカラー化も可能なメガネレンズ用処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、ホスホリルコリン類似基を含有する化合物として、各種の共重合体が知られている。
例えば、特開平3−39309号公報、特表平7−502053号公報、特開平5−107511号公報などには、2−メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート、あるいはシリコーン基を有するシリコーン系(メタ)アクリレートやフッ素系(メタ)アクリレートとの共重合体などが開示されている。
しかし、2−メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと重合性紫外線吸収剤との共重合体は知られていない。
【0003】
一方、従来より使用されているメガネレンズ材料としては、ガラス製のものとプラスチック製のものに分けられるが、近年になって軽量性やファッション性が重視されるようになり、プラスチック材料の割合が増えてきている。
これらのレンズは、主に視力矯正、目の保護、ファッション性などを目的に使用されているが、使用上の問題として、目の保護やレンズの耐久性のための紫外線吸収性、温度変化に対する防曇性、レンズの汚れなどが欠点として一般に言われている。
これらの問題を解決するため、種々の方法が知られている。紫外線に対しては、プラスチックレンズで特に大きな問題となり、通常はレンズ材料の中に紫外線吸収剤を含有させていることが多い。しかしながら、長期にわたる使用では紫外線吸収性の低下やレンズ材の変色の課題を残している。
また、メガネの曇りについては、従来から回避しにくい課題点として知られているが、これまでは、曇りを拭とる、水で濡らすことや、界面活性剤等の親水性化合物で処理する方法などが取られてきた。しかし、これらの方法は一時的なもので、継続的な防曇効果には不向きであった。
また、レンズの汚れについては、基本的に溶剤や界面活性剤等の洗浄剤で処理するか、あるいは超音波洗浄で落としている。しかしながら、汚れの蓄積やひどい汚れに対しては洗浄に時間を要することが多い。
一方、レンズのカラー化に関しては、ガラス材では着色が難しく、プラスチック材では着色が容易である。この場合、着色方法としては、着色剤の樹脂への混練や分散染料による着色によって行われている。しかし、この方法では着色後の色の変更はできないし、ガラス材には適用できなかった。これらを解決する方法としてフォトクロミック材の使用が挙げられる。フォトクロミック材は光線の強度に応じてレンズが着色してくるようになっている。この場合プラスチック材料に用いられるフォトクロミック材では変色に時間がかかることや繰り返しによって劣化する欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、ホスホリルコリン類似基含有する単量体と重合性紫外線吸収剤との新規な共重合体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、簡便な浸漬処理あるいは塗る操作で、メガネレンズの表面に防曇性、紫外線吸収性を与えることができて、同時に脂質・蛋白質汚れの付着を抑制することのできるメガネレンズ用処理剤を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、着色剤を配合することにより着色・脱色を随時可能にすることのできるメガネレンズ用処理剤を提供することにある。
本発明の第4の目的は、前記のメガネレンズ用処理剤を用いて処理してなるメガネレンズを提供することにある。
また、本発明の第5の目的は、着色剤を配合した着色・脱色を随時可能にすることのできるメガネレンズ用処理剤により処理した着色メガネレンズを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定の新規な共重合体を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は次の(1)〜(7)である。
(1)A成分として、下記一般式[1]
【化5】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は(CH2CHR4)n−基または(CH2CHR4O)nCH2CHR4−基を示し(ただし、R4は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜8の整数を示す)、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。} で表わされるホスホリルコリン類似基含有(メタ)アクリレート誘導体(PC単量体)を10〜99.9995モル%とB成分として、重合性紫外線吸収剤(M1)0.0005〜20モル%とを含む単量体を重合してなる共重合体。
【0006】
(2)共重合体が下記の一般式[2]
【化6】
で表わされる数平均分子量が1,000〜1,000,000である前記共重合体。
[ただし、R1、R2、R3は前記に同じ、aは一般式[1]に基づく構成単位の繰り返し数で、1〜1000の数であり、
−(M1)−は、2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンに由来する構成単位で、下記式[3]
【化7】
で表される重合性紫外線吸収剤に基づく構成単位であり、bは1〜1000数であり、かつ{a×100/(a+b)}が10〜99.9995モル%、{b×100/(a+b)}が0.0005〜20モル%である。式中の{ }内の各構成単位の結合様式はブロック状あるいはランダム状である。]
【0007】
(3)前記の一般式[2]で表される共重合体で、
−(M1)−が、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾールに由来する構成単位で下記式[4]
【化8】
で表される重合性紫外線吸収剤に基づく構成単位であり、[ここで、bは1〜1000数であり、かつ{a×100/(a+b)}が10〜99.9995モル%、{b×100/(a+b)}が0.0005〜20モル%である。式中の{}内のかく構成単位の結合様式はブロック状あるいはランダム状である。]
で表される前記の共重合体。
【0008】
(4)前記の共重合体を含有したなるメガネレンズ用処理剤。
(5)前記の共重合体と、着色剤を含有してなるメガネレンズ用着色処理剤。
【0009】
(6)前記のメガネレンズ用処理剤で処理してなるメガネレンズ。
(7)前記のメガネレンズ用着色処理剤で処理してなる着色メガネレンズ。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の新規な共重合体は、下記の一般式[1]
【化9】
で表わされるホスホリルコリン類似基含有(メタ)アクリレート誘導体(以下、PC単量体と略す)を10〜99.9995モル%と、
B成分として、重合性紫外線吸収剤、0.0005〜20モル%とを含む単量体を重合してなる共重合体である。
ここで式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は(CH2CHR4)n−基または(CH2CHR4O)nCH2CHR4−基を示す。(ただし、R4は水素原子又はメチル基を示し、nは1〜8の整数を示す)、また、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。
【0011】
またその共重合体は下記の一般式[2]
【化10】
で表わされる数平均分子量が1,000〜1,000,000である共重合体である。
ここで、R1、R2、R3は前記に同じ、aは一般式[1]に基づく構成単位の繰り返し数で、1〜1000の数であり、
−(M1)−は、2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンに由来する構成単位で、下記式[3]
【化11】
で表される重合性紫外線吸収剤に基づく構成単位であり、bは1〜1000の数であり、かつ{a×100/(a+b)}が10〜99.9995モル%、{b×100/(a+b)}が0.0005〜20モル%である。
【0012】
また、共重合体が前記の一般式[2]において
−(M1)−がは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾールに由来する構成単位で下記式[4]
【化12】
で表される重合性紫外線吸収剤に基づく構成単位であり、bは1〜1000の数であり、かつ{a×100/(a+b)}が10〜99.9995モル%、{b×100/(a+b)}が0.0005〜20モル%の前記の共重合体である。
ここで式中の{ }内の各構成単位の結合様式はブロック状でもランダム状でもよい。
【0013】
本発明のメガネレンズ用処理剤において用いられる共重合体は、A成分の前記のPC単量体とB成分の重合性紫外線吸収剤を必須成分として含有している。前記PC単量体は、前記一般式[1]で表わされる。ここで、式中のR2は、(CH2CHR4)n−基または(CH2CHR4O)nCH2CHR4−基を示すが、そのnが9以上になると得られるポリマーの合成が難しく、親水性の著しい低下があり、例えばメガネレンズ用処理剤として適さない。
前記PC単量体の具体例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート等を挙げることができる。より好ましくは、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが挙げられる。
このようなPC単量体は、得られる共重合体に親水性、水溶性、防汚性を付与することができる。
【0014】
本発明に用いるB成分の重合性紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性化合物に重合性ビニル基を有していれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−メタクリルオキシフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−アクリルオキシフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−5−アクリアミド−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタクリルオキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシ−3’−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、フェニル−5−メタクリルオキシメチルサリシレート等を挙げることができる。これらの重合性紫外線吸収剤は得られる共重合体に紫外線吸収性を付与することができる。なかでも、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンが好ましく挙げられる。
【0015】
本発明のメガネレンズ用処理剤に用いる該共重合体は、前記PC単量体と重合性紫外線吸収剤を必須構成成分として含有する共重合体であるが、更に共重合可能な他のビニル単量体を構成成分として含有したものであってもよい。
共重合可能な他のビニル単量体としては、具体的には例えば、スチレン、メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フッ素含有アルキル(メタ)アクリレート、シリコン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、N−ビニルピロリドン、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの一種ないし二種以上の混合単量体が使用できる。より好ましくはn−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0016】
本発明のA成分の一般式[1]で表されるPC単量体とB成分の重合性紫外線吸収剤との共重合体は、前記PC単量体に基づく構成単位の含有量としては、10〜99.999モル%である。
当該共重合体中の前記PC単量体に基づく構成単位として、10モル%未満では前記PC単量体の親水性や脂質、蛋白質等の付着防止効果等が発揮できにくくなるので好ましくない。PC単量体に基づく構成単位の含有量としては、高い親水性を有するためには50モル%以上がより好ましい。また、重合性紫外線吸収剤の含有量は、0.0005〜20モル%で、0.0005モル%未満では紫外線吸収性が十分に発揮できなく、20モル%を超えると共重合体の収率や分子量の低下が著しく好ましくない。
さらに、前記共重合可能な単量体は、共重合体の親水・疎水性のバランスやレンズとの密着性等の相互作用を制御するのに好ましく、必要に応じて共重合体中に90モル%を超えない範囲で使用することができる。
【0017】
本発明で用いられる該共重合体は、前記必須成分、また、さらに他のビニル単量体との組成原料を共重合することにより得ることができる。この場合には、一般的なラジカル重合開始剤によるラジカル重合法によって合成することができる。その方法としては例えば、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の公知の技術によって行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては具体的に例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、過硫酸塩および過硫酸塩−亜硫酸水素塩系を用いることができる。
重合開始剤の使用量としては、全単量体100重量部に対して0.001〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
【0018】
前記の共重合する際の条件としては、重合温度30〜100℃の範囲で、重合時間としては5〜72時間程度である。得られる共重合体の分子量は、重合条件等によっても異なるが、数平均分子量1,000〜1,000,000の範囲のものであり、溶媒への溶解性、メガネレンズへの付着性から、20,000〜700,000の範囲のものがより好ましい。
【0019】
本発明のメガネレンズ用処理剤に用いられる溶媒としては、当該共重合体を溶解でき、メガネレンズに対しては影響がないこと、浸漬、洗浄あるいは乾燥などの簡単な操作で、目的が達成できるという条件を満たすものが使用される。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチルなどの1種ないし2種以上の混合液が挙げられる。溶媒の使用量としては共重合体の濃度が0.01〜50重量%の範囲であるが、共重合体の濃度が0.01重量%より少ないと処理した場合に蛋白質の汚れに対する付着防止等の効果が得られない。
【0020】
本発明のメガネレンズ用処理剤と共に使用される着色剤としては、当該処理剤に溶解または分散でき、メガネレンズの表面が着色するものであれば、特に限定されるものではない。生物学的安全性から法定色素や食品添加物に用いられる色素が好ましい。例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色105号、赤色205号、赤色502号、赤色3号アルミニウムレーキ、黄色4号、黄色202号、黄色401号、黄色4号アルミニウムレーキ、だいだい色204号、だいだい色205号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色201号、青色203号、青色204号、青色403号、青色404号、紫色201号、紫色401号、黒色401号、レーキ顔料などの1種ないし2種以上の混合系が挙げられる。着色剤の使用量としては、本発明の処理剤100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましく、10〜80℃の温度での機械的な攪拌や分散により、溶液または分散液にして用いられる。
また、本発明のメガネレンズ用処理剤は、必要に応じて、防腐剤、界面活性剤、分解酵素、緩衝剤、キレート剤などをさらに添加することもできる。
また、本発明の共重合体は、ホスホリルコリン類似基によるイオン性基の効果、さらには、その他の単量体を適宜選択する疎水性基の効果などにより染料、顔料等の溶解、分散などを容易にすることができる。
【0021】
本発明のメガネレンズ用処理剤によりメガネレンズを処理する場合は、本発明の処理剤をメガネレンズと10〜70℃の条件下で、浸漬、滴下やスプレイなどの方法により接触させ、さらに必要に応じて乾燥や水等で洗浄することにより実施される。また、本発明の処理剤から、一旦ポリマーをキャストした後、これをメガネレンズに貼付けることによっても行うことができる。これによりメガネレンズの表面に親水性、紫外線吸収性や脂質、蛋白質等の汚れの付着抑制効果をもたらすことができ、着色剤を含有する場合にはさらにメガネレンズを着色することができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の共重合体は新規であり、メガネレンズ用処理剤として有用である。
本発明のメガネレンズ用処理剤によれば、浸漬、滴下などの方法でメガネレンズを処理し、さらに乾燥、拭き取りや洗浄するという操作で、表面に防曇性、紫外線吸収性、蛋白質・脂質汚れの付着・固着防止ができる。このため、温度差によるレンズの曇、紫外線による目やレンズへの悪影響、汚れによるレンズへの悪影響を防ぐことができる。また、着色剤を含有する場合には、メガネレンズを随時カラー化および脱色ができるため、環境や好みに合わせた色を選択できる効果もある。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を参考例および実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1;MPC−MBZの共重合体
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPCと略す)50gと2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノン(MBZと略す)0.1gと、アゾビスイソブチロニトリル0.025gとエタノール100gに溶解し、反応器に入れ窒素置換した後、恒温槽にて50℃、10時間重合させた。重合終了後、エタノール・ジジイソプロピルエーテル系にて再沈精製し、真空乾燥させて重合体を得た。重合体の収率は96重量%で、GPC分析により(ポリエチレングリコール標準)数平均分子量は270000であった。さらに得られた重合体のエタノール溶液をUV測定し、330nmの吸光度から2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンの吸収を確認した。また、その吸収量から2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンの含有量が0.18モル%の共重合体であることを確認した。MPC−MBZ共重合体と略す。
1H−NMRデータ(δppm(TMS/in CD3OD)
0.8〜1.2ppm;α−CH 3
3.35ppm;N+(CH 3)3
以上の結果から得られたMPC−MBZ共重合体の構造がMPCに基づく構成単位0.92モル、2−ヒドロキシ−4−(2’−メタクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンに基づく構成単位0.18モルで数平均分子量270000の共重合体であることがわかる。
【0024】
実施例2;MPC−MBTAの共重合体
2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2‘−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(MPC)45g、n−ブチルメタクリレート5gと2−(2‘−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾール(MBTAと略す)0.25gを用いた以外は、実施例1と同様にして共重合体を得た。共重合体の収率は94重量%で、GPC分析により数平均分子量は310000であった。さらに得られた共重合体のエタノール溶液をUV測定し、340nmの吸光度より2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾールの吸収を確認した。またその吸収量から2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾールの含有量が0.47モル%の共重合体と確認した。MPC−MBTAの共重合体と略す。
1H−NMRデータ(δppm(TMS/in CD3OD)
0.78〜1.3ppm;α−CH 3
3.30ppm;N+(CH 3)3
1.4〜2.2ppm;CH2−CH 2−CH 2−CH3
以上の結果から得られたMPC−MBT共重合体の構造がMPCに基づく構成単位79.50モル%、BMAに基づく構成単位20.03モル%、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシエチルフェニル)2H−ベンゾトリアゾールに基づく構成単位0.47モル%で、数平均分子量310000の共重合体であることがわかる。
【0025】
実施例3−1、3−2
実施例1および実施例2で得られた共重合体をそれぞれ、濃度が1重量%になるように精製水に溶解し、メガネレンズ用処理剤を調製した。
メガネレンズとして用いることができる透明材料として硬質ガラス(GL)、CR−39樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)を選択し、その各材料の板(30×30×1mm)をメチルアルコールで表面を拭いた後、処理剤に2時間浸漬し、乾かした。
また、さらに材料を1分間水道水で流して処理したものも用意した。これらのレンズ用材料の防曇性、耐候性、防汚染性を以下の方法にて評価した。
(1)防曇性;各材料を5℃の冷蔵庫に30分間入れた後、室温に出して曇りの有無を目視で調べた。
(2)耐候性;各材料を14日間屋外に放置し、レンズの黄変または変色の有無を目視で調べた。
(3)防汚染性;アルブミン0.39重量%、リゾチーム0.17重量%、γ−グロブリン0.105重量%を含む生理的食塩水溶液中に、各材料を1週間、35℃の条件で浸漬させた後、生理的食塩水で洗浄した。その後、界面活性剤で蛋白質を剥離し、その溶液に蛋白質定量用の試薬を注入し、吸着した蛋白質の量を測定した。
それらの結果を表1に示した。
【0026】
実施例3−3、3−4
実施例1および実施例2で得られた共重合体をそれぞれ、濃度が5重量%になるようにエタノールに溶解し、メガネレンズ用処理剤を調製した。
得られた処理剤は、実施例3−1、3−2と同様の方法で材料を処理し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0027】
実施例3−5、3−6
実施例3−1、3−2で得られた水溶液100gに青色2号0.2gを溶解し着色剤を含むメガネレンズ用処理剤を調製した。得られた処理剤は、実施例3−1、3−2と同様の方法で材料を処理し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0028】
実施例3−7、3−8
実施例3−1、3−2で得られたエタノール溶液100gに青色404号0.1gを添加し、ディスパーザーを用い、室温にて30分間分散させて着色剤を含むメガネレンズ用処理剤を調製した。得られた処理剤は実施例3−1、3−2と同様の方法で材料を処理し、評価を行った。結果を表2に示した。
【0029】
比較例3−1
処理剤での処理を行わない各材料について、実施例3−1、3−2と同様の評価を行った。結果を表3に示した。
【0030】
比較例3−2
実施例1、2の処理剤の代わりに、界面活性剤のドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ1重量%水溶液を用いた以外は実施例3−1、3−2と同様にして各材料を処理して評価を行った。結果を表3に示した。
【0031】
比較例3−3
実施例3−1、3−2の処理剤の代わりに、高分子型紫外線吸収剤UVA−633L(OIL INDUSTRIES Co.,LTD.製)のメチルエチルケトン2重量%溶液を用いた以外は実施例3−1と同様にして、各材料を処理して評価を行った。結果を表3に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
以上の結果から実施例1および2で本発明の共重合体が合成できることがわかる。また実施例3−1、3−8および比較例3−1〜3−3から本発明のメガネレンズ処理剤が優れた親水性を示し、蛋白質の汚れ防止効果等を示すことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の紫外線部および可視部吸収の図である。
【図2】実施例2の紫外線部および可視部吸収の図である。
Claims (3)
- A成分として、下記一般式[1]
- 請求項1記載の共重合体を含有してなるメガネレンズ用処理剤。
- 請求項2記載のメガネレンズ用処理剤で処理してなるメガネレンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09293598A JP4097768B2 (ja) | 1998-04-06 | 1998-04-06 | 共重合体、メガネレンズ用処理剤及び処理レンズ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09293598A JP4097768B2 (ja) | 1998-04-06 | 1998-04-06 | 共重合体、メガネレンズ用処理剤及び処理レンズ |
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