JP4097498B2 - ゴム変性共重合樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐衝撃性および透明性に優れたゴム変性共重合樹脂、ならびにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家電製品、包装材料、光学用途等様々な用途に用いられる、良好な透明性、耐衝撃性を示すゴム変性共重合樹脂として、これまで、樹脂中に分散するゴム粒子が二峰性を示すゴム変性共重合樹脂が提案されてきた。しかしながらこれらはゴム粒子径の異なるゴム変性共重合樹脂を混合するものであり、コストアップにつながる等の課題があった。
【0003】
従来、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の共重合体を連続相、ゴム粒子を分散相とし、かつゴム粒子径分布を特定の範囲内としたゴム変性スチレン系樹脂は開示されているが、ゴム粒子径の異なるゴム変性共重合樹脂を別々に作り混合するものであった(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
さらに、ゴムで補強した2モード形態のゴム相を有するビニル芳香族重合体の製造方法が開示されている。しかし、2種類の反応器を用いてそれぞれ個別に重合を行うことで、ゴム粒子径が異なる重合液を別々に作り混合するものであり、さらに、透明性に関する技術開示がされているものではなかった(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−057084号公報(第2頁、第4−7頁)
【特許文献2】
特開平08−269142号公報(第2頁、第4−5頁)
【特許文献3】
特開平10−130343号公報(第2頁、第6−7頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ゴム粒子径の異なるゴム変性共重合樹脂および重合液を混合することなく、耐衝撃性と透明性のバランスに優れたゴム変性共重合樹脂を得る方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決すべく研究を重ねた結果、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られるゴム変性共重合樹脂において、重合液のゴム粒子の体積平均粒子径(dv)、およびゴム粒子径体積積算分布を特定の範囲に制御した重合液とすること、さらに好ましくは重合液のゴム粒子径体積頻度分布曲線において、極大値を特定の範囲に制御した重合液を用いることによって、耐衝撃性と透明性のバランスに優れるゴム変性共重合樹脂が得られることを見出し本発明に至った。
該重合液は、完全混合型反応器にて塊状または溶液重合し、特定の樹脂率と粘度を有する重合液にせん断を加えてゴム粒子を形成させることで効率よく得られること、また、重合液に加えるせん断応力を特定の範囲に制御すること、せん断応力を加える重合液の温度を特定の範囲に制御することで、さらに効率よく得られることを見出し本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られるゴム変性共重合樹脂において、ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.2〜2.0μmで、ゴム粒子径体積積算分布曲線における粒子径0.8μm未満が90〜20体積%で、かつ0.8μm以上が10〜80体積%の分布を有する重合液から得られるゴム変性共重合樹脂である。
【0009】
また、さらに好ましくは上記のゴム粒子分布のゴム粒子径体積積算分布曲線において、粒子径0.2μm以上0.8μm未満と0.8μm以上2.0μm未満にそれぞれ少なくとも一つの極大値を有する重合液から得られるゴム変性共重合樹脂である。
【0010】
また、本発明は、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を、完全混合型反応器にて塊状または溶液重合し、重合液の樹脂率が25〜55質量%で、かつ粘度が9〜40Pa・sの範囲内でせん断を加えてゴム粒子を形成させた重合液を、さらに▲1▼脱揮槽および/または脱揮設備を付した押出機に導入し揮発分を除去して得るゴム変性共重合樹脂の製造方法、▲2▼完全混合型反応器に導入し懸濁または乳化重合した後に得るゴム変性共重合樹脂の製造方法、もしくは▲3▼重合液をプラグフロー型反応器に導入し塊状または溶液重合した後、脱揮槽や脱揮設備を付した押出機に導入し揮発分を除去して得ることができるゴム変性共重合樹脂の製造方法である。
【0011】
本発明の特徴あるゴム粒子分布を有する重合液は、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を、完全混合型反応器にて塊状または溶液重合し、重合液の樹脂率が25〜55質量%で、かつ粘度が9〜40Pa・sの範囲内でせん断を加えてゴム粒子を形成させることによって得ることができる。
【0012】
好ましくは、重合液に加えるせん断において、せん断応力の最大値が、600N/m2以下であること、かつせん断を加えてゴム粒子を形成させるときの重合液の温度が30〜95℃で得ることができる。
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するスチレン系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0014】
本発明で使用する(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等があげられるが、好ましくは、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートである。これら(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよいが、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートを併用して使用することが最も好ましい。
【0015】
スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、好ましくはスチレン系単量体5〜95質量部および(メタ)アクリル酸エステル系単量体95〜5質量部、さらに好ましくは、スチレン系単量体10〜90質量部および(メタ)アクリル酸エステル系単量体90〜10質量部である。但しスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計を100質量部とする。スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体が該範囲外の場合は、耐衝撃性、透明性等が劣る場合がある。
本発明では、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体以外の単量体、例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、メタクリル酸等もスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
【0016】
本発明で使用するゴム状重合体は、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム、部分水添ポリブタジエン、部分水添スチレン−ブタジエンゴム、部分水添スチレン−ブタジエンブロックゴム等があげられる。好ましくはスチレン含量が20〜50質量%のスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴムであり、さらに好ましくはブロックスチレン含量が20〜35質量%でスチレン含量が30〜45質量%のスチレン−ブタジエンブロックゴムである。また、温度25℃における5質量%スチレン溶液粘度が、好ましくは15〜200mPa・s、さらに好ましくは20〜60mPa・sである。ブタジエンに基づく不飽和結合のうちの1,2−ビニル結合の割合は、好ましくは8〜25モル%、さらに好ましくは12〜20モル%である。これらのゴム状重合体を用いることで、耐衝撃性、透明性の優れたゴム変性共重合樹脂を効率よく得ることができる。
本発明では、スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂等のゴム状重合体以外の重合体もゴム状重合体100質量部に対し、50質量部未満であれば含有させることができる。
【0017】
ゴム状重合体の割合は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは3〜20質量部である。ゴム状重合体が該範囲外の場合は得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性と透明性のバランス等が劣る等目的を達しない場合がある。
【0018】
本発明の重合液におけるゴム粒子の体積平均粒子径(dv)は0.2〜2.0μmで、好ましくは0.3〜1.6μm、さらに好ましくは0.4〜1.2μmである。ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が該範囲外の場合は、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない。
【0019】
なお、体積平均粒子径(dv)は、重合液をジメチルホルムアミドで希釈、あるいは得られた樹脂をジメチルホルムアミドに溶解し、超音波バスでゴム粒子を20分ほど分散させ、これをジメチルホルムアミドで満たしておいたベックマン・コールター(株)社製レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(LS−230)中に滴下し、偏光散乱強度差計測(PIDS理論)で測定した粒子径(体積球相当径=(6v/π)1 / 3)を求め、次式数1により得られる平均粒子径として求めた。
【数1】
但し、niは粒子径Diを有するゴム粒子の割合(数)を示す。
【0020】
また、ゴム粒子径体積積算分布曲線において粒子径0.8μm未満が90〜20体積%、好ましくは85〜25%、さらに好ましくは80〜30%、0.8μm以上が10〜80体積%、好ましくは15〜75%、さらに好ましくは20〜70体積%のゴム粒子である。ゴム粒子の体積積算分布曲線が該範囲外の場合は、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない。
なお、ゴム粒子径体積積算分布曲線は、体積平均粒子径と同様に粒子径とその割合を求め、横軸に粒子径、縦軸に体積分率の積算で表示するゴム粒子径分布の体積積算分布曲線をいうものとする。
【0021】
さらに、ゴム粒子径体積頻度分布曲線において0.2μm以上0.8μm未満と0.8μm以上2.0μm未満、好ましくは0.3μm以上0.7μm未満と0.9μm以上1.9μm未満、さらに好ましくは0.3μm以上0.7μm未満と1.0μm以上1.8μm未満にそれぞれ少なくとも一つの極大値を有するゴム粒子を形成させることが好ましい。
なお、ゴム粒子径体積頻度分布曲線は、体積平均粒子径と同様に粒子径とその割合を求め、横軸に粒子径、縦軸に体積分率で表示するゴム粒子径分布の体積頻度分布曲線をいうものとする。
【0022】
本発明の該重合液の製造方法について以下に述べる。
本発明では、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する。ゴム状重合体は通常、スチレン系単量体、および/または(メタ)アクリル酸エステル系単量体に溶解した後に重合に供する。
【0023】
重合時、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の重合開始剤を添加することが好ましい。
重合開始剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、およびゴム状重合体の合計100質量部に対し、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜1質量部である。該範囲外の場合は、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性と透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。
【0024】
また、重合時、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加することが好ましい。分子量調整剤の添加量はスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびゴム状重合体の合計100質量部に対し、好ましくは0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.15〜1質量部である。該範囲外の場合は、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性と透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。
【0025】
さらに重合時、ジビニルベンゼン等の公知の架橋剤、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の公知の酸化防止剤等を添加しても差し支えない。
【0026】
重合を行う際、エチルベンゼン、トルエン等の溶剤をスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の合計100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部、さらに好ましくは3〜20質量部使用してもよい。溶剤の使用により重合反応熱の除去等好ましい場合がある。
【0027】
重合方法は塊状重合、溶液重合等公知の方法が採用でき、重合操作は連続操作、回分操作、半回分操作等公知の方法が採用できる。
【0028】
本発明の重合は、公知の反応器を用いて行うことができる。好ましい例として、撹拌機を付した2基の完全混合型反応器を直列に接続した装置(図1)や、撹拌機を付した2基の完全混合型反応器とプラグフロー型反応器と脱揮槽を直列に接続した重合装置(図2)等があげられる。なお、これらの接続装置に限定されないことは言うまでもない。
【0029】
本発明では、せん断を加えてゴム粒子を形成させる際の樹脂率は25〜55質量%、好ましくは28〜50質量%、さらに好ましくは30〜45質量%である。重合液の樹脂率が該範囲内でせん断応力を加えない場合は目的のゴム粒子が形成しなかったり、粘度が高く運転が困難になったりして、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性と透明性のバランス等が劣るものになり目的を達しない。また該範囲外の樹脂率ではせん断応力を加えても、加えなくても差し支えない。樹脂率は、重合温度、重合時間、開始剤量等で調整できる。
せん断応力を加える方法は特に制限はないが、好ましい例として、図1に示す完全混合型反応器の攪拌による方法があげられる。撹拌翼としては、ピッチドパドル翼、広幅パドル翼、アンカー翼が好ましい。また、加えるせん断応力は連続的でも断続的でも良い。
【0030】
本発明における樹脂率は、重合液約3gをトルエン約30gに溶解し、これをメタノール約400g中に滴下して固形物を析出させ、No.5Aの濾紙で濾過した後、熱風乾燥機において温度70℃で4時間乾燥させた後の固形物の質量を重合液中の樹脂量として次式数2より算出する。
【数2】
【0031】
せん断応力を加える重合液の粘度は9〜40Pa・s、さらに好ましくは12〜30Pa・sである。重合液の粘度が該範囲外の場合はゴム粒子径分布が規定の範囲を示しにくく、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。重合液の粘度は分子量調節剤や溶剤の添加等により調節することができるほか、重合液の温度でも調節することができる。
せん断応力を加える重合液の温度は30〜95℃、好ましくは40〜85℃、さらに好ましくは50〜75℃である。重合液の温度が該範囲外の場合はゴム粒子径分布が規定の範囲を示しにくく、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。
【0032】
重合液の粘度は、せん断応力を加えることによりゴム粒子を形成させる温度における粘度をいう。本発明では重合液を化学工学便覧改訂5版5.5.2項記載の円板型回転粘度計((株)トキメック・ビスコメーターBLモデル)を用いて温度別に2点以上測定し、化学工学便覧改訂5版1.12.6項記載のアンドレード式を用いてゴム粒子を形成させる温度に換算した粘度の値を採用した。
【0033】
また、重合液に加えるせん断応力は、好ましくは600N/m2以下、さらに好ましくは500N/m2以下である。せん断応力が該範囲外の場合はゴム粒子径分布が規定の範囲を示しにくく、得られたゴム変性共重合樹脂の耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。せん断応力の調整は、温度や撹拌数等で行うことができる。
【0034】
せん断応力は、粘度と、重合液の攪拌もしくは循環等の操作条件および装置条件から得られる。
本発明におけるせん断応力は次式数3により求めた。
【数3】
ただし、動力数Npに関しては化学工学便覧改訂5版20.2.1項(式20・13)記載の永田らの計算式を採用して求めた。
【数4】
さらに、ρは液密度、nは攪拌回転数、Dは反応器直径、μは液粘度、Vは内容液体積、Zは液高さ、bは攪拌翼幅、dは攪拌翼径、θは攪拌翼角度をそれぞれ示す。
ゴム粒子の粒子径分布は、樹脂率、重合液の粘度、せん断応力、せん断を加える重合液の温度等で調整できる。
【0035】
ゴム粒子を形成させた重合液から所定のゴム変性共重合樹脂を得る手法としては、以下の手法のいずれかを採用することが好ましい。これらの手法を採用しない場合は耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。
▲1▼さらに重合液を脱揮槽や脱揮設備を付した押出機にて揮発分を除去する方法、
▲2▼さらに重合液を完全混合型反応器にて懸濁または乳化重合する方法、
▲3▼さらに重合液をプラグフロー型反応器にて塊状または溶液重合した後、脱揮槽や脱揮設備を付した押出機にて揮発分を除去する方法等で得ることができる。
なお、これらの重合方法は公知の方法が採用でき、また、公知の反応器を用いて行うことができる。
【0036】
本発明のゴム変性共重合樹脂は、必要に応じ、製造時の任意の段階で公知の酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃剤等を添加することができる。
【0037】
本発明の製造方法により得られるゴム変性共重合樹脂のゴム粒子の体積平均粒子径(dv)は、好ましくは0.2〜2μm、さらに好ましくは0.3〜1.6μmである。また、ゴム粒子径体積積算分布曲線において粒子径0.8μm未満が好ましくは90〜20体積%、さらに好ましくは85〜25%、0.8μm以上が好ましくは10〜80体積%、さらに好ましくは15〜75体積%である。該範囲外の場合は耐衝撃性、透明性のバランスが劣る等目的を達しない場合がある。なお、ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)、ゴム粒子径体積積算分布曲線は重合液と同様の測定機、測定手順で行うことができる。
【0038】
本発明の製造方法により得られるゴム変性共重合樹脂は、射出成形、押出成形、圧縮成形、真空成形等の公知の方法により各種成形体に加工され実用に供される。
【0039】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をさら説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0040】
実施例1
撹拌機(ピッチドパドル翼)を付した容積約100Lの第1完全混合型反応器、撹拌機(3枚後退翼)を付した容積約200Lの第2完全混合型反応器を直列に配置して構成した。ブロックスチレン含量が30質量%でスチレン含量が40質量%のスチレン−ブタジエンブロックゴム(旭化成社製アサプレン670A)9質量部を、スチレン51質量部、メタクリル酸メチル(以下MMA)35質量部、n−ブチルアクリレート(以下n−BA)5質量部で構成される単量体に溶解し、溶解液を得た。溶解液を第1完全混合型反応器に80kg仕込み、溶解液100質量部に対しt−ドデシルメルカプタン(以下t−DDM)を0.20質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05質量部を添加し190rpmで攪拌しながら、重合缶内の液温度を92℃で390分間保持した後、冷却して液温度を60℃とした。温度60℃の重合液に、190rpmで攪拌することでせん断を加えてゴム粒子を形成させた。重合液の物性を表1に示した。
第2完全混合型反応器に水を100kg、第3リン酸カルシウムを300g仕込み、150rpmで攪拌した中に、第1完全混合型反応器より重合液80kgを導入した。ついで、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレートを80.0g添加し、温度110℃で300分、さらに温度135℃で60分懸濁重合を実施してビーズ形状のゴム変性共重合樹脂を得た。乾燥させたビーズをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のゴム変性共重合樹脂を得た。耐衝撃性、透明性の評価結果を表1に示した。
【0041】
実施例2
第1完全混合型重合缶に添加するt−DDMを0.18質量部とした以外は実施例1と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表1に示した。
【0042】
実施例3
第1完全混合型重合缶内液温度を92℃で390分間保持した後、冷却することなく第2完全混合型反応器へ導入した以外は実施例2と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表1に示した。
【0043】
実施例4
第1完全混合型重合缶に添加するt−DDMを0.15質量部とした以外は実施例3と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表1に示した。
【0044】
比較例1
第1完全混合型重合缶内液温度を92℃で60分間保持した後、冷却することなく第2完全混合型反応器へ導入した以外は実施例1と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表2に示した。
ただし、十分にゴム粒子が生成しておらず、ジメチルホルムアミド中に分散しなかった為、重合液のゴム粒子径の測定ができなかった。
【0045】
比較例2
第1完全混合型重合缶内液温度を92℃で540分間保持した後、冷却することなく第2完全混合型反応器へ導入した以外は実施例4と同様に行った。重合液の評価結果を表2に示した。ただし、第2完全混合型反応器での懸濁重合の際、分散不良が起きた為、樹脂が得られなかった。
【0046】
比較例3
第1完全混合型重合缶内液温度を92℃で180分間保持した後、冷却することなく第2完全混合型反応器へ導入した以外は実施例1と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表2に示した。
ただし、十分にゴム粒子が生成しておらず、ジメチルホルムアミド中に分散しなかった為、重合液のゴム粒子径の測定ができなかった。
【0047】
比較例4
第1完全混合型重合缶内液温度を92℃で390分間保持した後、冷却して液温度を30℃とした以外は実施例1と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表2に示した。
【0048】
比較例5
第1完全混合型重合缶内液温度を92℃で60分間保持した後、冷却して液温度を30℃とした以外は実施例4と同様に行った。重合液と耐衝撃性、透明性の評価結果を表2に示した。
ただし、十分にゴム粒子が生成しておらず、ジメチルホルムアミド中に分散しなかった為、重合液のゴム粒子径の測定ができなかった。
なお、表1、2の極大値の数は、ゴム粒子径体積頻度分布における極大値の数を表し、二峰性を2、単峰性を1とした。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
なお、評価は下記の方法によった。
(1)透明性
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度230℃で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの2mm部を用い、JIS K7105に準拠し、日本電色(株)社製ヘーズメーター(NDH2000型)を用いて全光線透過率およびヘーズを測定した(単位:%)。
(2)耐衝撃性
東芝機械(株)社製射出成形機(IS−80CNV)を用いて、シリンダー温度220℃で成形した長さ80mm、厚さ10mm、幅4mmのバーに,先端半径0.25mm、深さ2mmの切り欠きを入れエッジワイズ試験片とした。この試験片を用い支持台間距離60mmの条件で、JIS K7111に準拠してシャルピー衝撃強度を測定した(単位:kJ/m2)。
【0052】
本発明の製造方法により得られたゴム変性共重合樹脂に係わる実施例は、いずれも透明性が良好で、かつ耐衝撃性とのバランスに優れたが、本発明の条件に合わない製造方法により得られたゴム変性共重合樹脂に係わる比較例では、透明性と耐衝撃性の物性バランスにおいて劣るものであった。
【0053】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、透明性と耐衝撃性のバランスが良好であり、家電製品、包装材料を始め様々な用途に有用であるゴム変性共重合樹脂を混合することなく効率よく得る事ができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】 撹拌機を付した2基の完全混合型反応器を直列に接続した本発明で使用する重合装置の一例
【図2】 撹拌機を付した2基の完全混合型反応器とプラグフロー型反応器と脱揮槽を直列に接続した本発明で使用する重合装置の例
【符号の説明】
1:完全混合型反応器
2:プラグフロー型反応器
3:脱揮槽
4:攪拌機
Claims (10)
- ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られるゴム変性共重合樹脂の製造方法において、完全混合型反応器にて塊状または溶液重合し、かつ粘度が9〜40Pa・sの範囲内でせん断を加えてゴム粒子を形成させ、ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.2〜2.0μmで、ゴム粒子径体積積算分布曲線における粒子径0.8μm未満が90〜20体積%で、かつ0.8μm以上が10〜80体積%の分布を有する樹脂率が25〜55質量%の重合液から得られることを特徴とするゴム変性共重合樹脂の製造方法。
- 請求項1記載の重合液のゴム粒子のゴム粒子径体積積算分布曲線において、粒子径0.2μm以上0.8μm未満と0.8μm以上2.0μm未満にそれぞれ少なくとも一つの極大値を有する重合液から得られることを特徴とする請求項1記載のゴム変性共重合樹脂の製造方法。
- ゴム粒子を形成させた重合液を、脱揮槽および/または脱揮設備を付した押出機に導入し揮発分を除去して得ることを特徴とする請求項1または2項記載のゴム変性共重合樹脂の製造方法。
- ゴム粒子を形成させた重合液を、完全混合型反応器に導入し懸濁または乳化重合した後に得ることを特徴とする請求項1または2記載のゴム変性共重合樹脂の製造方法。
- ゴム粒子を形成させた重合液を、プラグフロー型反応器に導入し塊状または溶液重合した後、脱揮槽および/または脱揮設備を付した押出機に導入し揮発分を除去して得ることを特徴とする請求項1または2記載のゴム変性共重合樹脂の製造方法。
- ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合して得られるゴム変性共重合樹脂の重合液において、ゴム粒子の体積平均粒子径(dv)が0.2〜2.0μmで、ゴム粒子径体積積算分布曲線における粒子径0.8μm未満が90〜20体積%で、かつ0.8μm以上が10〜80体積%の分布を有することを特徴とする重合液。
- ゴム粒子のゴム粒子径体積積算分布曲線において、粒子径0.2μm以上0.8μm未満と0.8μm以上2.0μm未満にそれぞれ少なくとも一つの極大値を有することを特徴とする請求項6記載の重合液。
- ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体を完全混合型反応器にて塊状または溶液重合し、重合液の樹脂率が25〜55質量%で、かつ粘度が9〜40Pa・sの範囲内でせん断を加えてゴム粒子を形成させることを特徴とする請求項6または7記載の重合液の製造方法。
- 重合液に加えるせん断において、せん断応力が600N/m 2 以下であることを特徴とする請求項8記載の重合液の製造方法。
- せん断を加えてゴム粒子を形成させるときの重合液の温度が30〜95℃であることを特徴とする請求項8または請求項9項記載の重合液の製造方法。
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