JP4097360B2 - 補強梁およびこれを用いたユニット式建物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、四本の柱のうちの一本が省略されたフレームを有する箱状の建物ユニットを複数備えたユニット式建物の内部に、柱のない大空間を形成するための補強梁およびこれを用いたユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、工場で製造した箱状の建物ユニットを、建築現場で複数組合わせて建築されるユニット式建物が利用されている。
ユニット式建物を形成する建物ユニットとしては、四隅の柱の上下端に天井梁および床梁で連結した直方体状のフレームを有するものが一般的である。
建物ユニットのフレームには、天井梁に支持される天井面材、床梁に支持される床面材および部屋を仕切る間仕切壁等の内装材や、軽量気泡コンクリート等で形成された外壁等が工場で組付けられる。
【0003】
このようなユニット式建物では、その内部に、例えば広い居間等のような柱のない大空間を形成するために、建物ユニットの一の柱を省略する場合がある。
この際、一の柱を省略すると、当該建物ユニットの剛性が低下し、上方に載置される建物ユニット等の荷重を支持しきれなくなるので、当該柱が省略された部分を挟んでその両側に配置される柱の上端を連結する2スパン分の補強梁が設けられている(特開平8−277580号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような補強梁を用いると、充分剛性を確保するために、補強梁の梁成や厚さ寸法を大きくしなければならず、補強梁の重量が重くなる。これにより、補強梁の取扱いが面倒となり、その組立作業を煩雑にするという問題がある。
【0005】
なお、一の柱が省略された建物ユニットの剛性を確保するために、建物ユニットの骨組みをラチス梁で補強することが考えられるが、このラチス梁は、一対の平行な上弦材および下弦材の間に複数の斜材をジグザグ状に配置したものであり、建物ユニットの骨組みに、上弦材および下弦材の端部、ならびに、両端に配置された斜材の端部をすべて接合する必要があるので、その取付構造が接合箇所の多い複雑なものとなり、接合作業が面倒となる。このため、現場での接合作業が煩雑となるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、柱のない大空間を形成するために、その接合作業が容易に行えるようになる補強梁およびこれを用いたユニット式建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第一発明は、図面をも参照して説明すると、四隅の柱41の上下端を天井梁42および床梁43で連結した直方体状のフレーム40を有する通常の建物ユニット20A,30Aと、通常の建物ユニット20A,30Aのフレーム40から柱を一本省略した大空間用フレーム50を有する複数の大空間用建物ユニット20Bとを含んで形成されたユニット式建物10の内部に、柱のない大空間を形成するために、前記複数の大空間用建物ユニット20Bを隣接配置し、これらの大空間用建物ユニット20Bを補強するための補強梁70であって、対向する複数の平板材71と、これらの平板材71の間に介装される波板材72とを備え、前記波板材72は前記平板材71と当接する当接面72Aが形成され、前記当接面72Aには前記平板材71に形成されたボルト孔71Aに対応した位置にボルト孔72Bが形成され、前記当接面72Aの裏側にはボルト孔72Bと対応した位置に裏ナット75が溶接により固着され、この裏ナット75に前記ボルト孔72Bに挿通されたボルト76が螺合されていることを特徴とする。このような第一発明では、大空間用建物ユニット20Bを補強するにあたり、補強梁70を隣接する建物ユニット20Bの梁52の間に介装し、両側の梁52と接合すれば、大空間用建物ユニット20Bが補強されるので、ラチス梁のような複雑な取付構造が不要となり、補強梁70の梁52への接合作業が容易に行えるようになる。この際、補強梁70を平板材71および波板材72から形成しているので、補強梁70で所定の剛性を確保しても、補強梁70の重量が重くならず、補強梁70の取扱いが容易となる。
【0008】
以上において、前記波板材72は、正六角形を半分に切断した略台形状の波形が複数繰り返された断面形状を有していることが望ましい。
このようにすれば、波板材72の断面形状を略台形状の波形が連続する形状とし、波板材72を平板材71で両側から挟んでいるので、波板材72が補強梁70の補強材となり、補強梁70に加わる鉛直荷重に対する充分な剛性が確保されるようになるうえ、波板材72に平板材71と当接する当接面72Aが形成されているので、この当接面72Aが平板材71との接合面となり、波板材72と平板材71との接合作業が容易に行えるうえ、補強梁70の製作が容易となる。
【0009】
本発明に係る第二発明は、四隅の柱41の上下端を天井梁42および床梁43で連結した直方体状のフレーム40を有する通常の建物ユニット20A,30Aと、通常の建物ユニット20A,30Aのフレーム40から柱51を一本省略した大空間用フレーム50を有する複数の大空間用建物ユニット20Bとを含んで形成されたユニット式建物10であって、前記大空間用建物ユニット20Bは、前記柱51が省略された角隅部20D同士が寄せ合わされた状態で隣接配置され、寄せ合わされた角隅部20Dを間においたその両端に配置される柱51の上端が補強梁70で連結され、この補強梁70は、対向する複数の平板材71と、これらの平板材71の間に介装される波板材72とを備え、前記波板材72は前記平板材71と当接する当接面72Aが形成され、前記当接面72Aには前記平板材71に形成されたボルト孔71Aに対応した位置にボルト孔72Bが形成され、前記当接面72Aの裏側にはボルト孔72Bと対応した位置に裏ナット75が溶接により固着され、この裏ナット75に前記ボルト孔72Bに挿通されたボルト76が螺合されていることを特徴とする。このような第二発明では、前述したように、所定の剛性を確保しても、重量が重くならない補強梁70を、隣接する建物ユニット20Bの梁52に接合しているので、補強梁70の取扱いが容易となり、ラチス梁のような複雑な取付構造が不要となり、補強梁70の梁52への接合作業が容易に行えるようになる。
【0010】
以上において、下階に四つの大空間用建物ユニット20Bが隣接配置され、これらの大空間用建物ユニット20Bの上に前記通常の建物ユニットである上階建物ユニット30Aがそれぞれ載置され、隣接する大空間用建物ユニット20Bの天井梁52の間、および、隣接する上階建物ユニット30Aの床梁43の間に前記補強梁70が介装され、この補強梁70は、その梁成が前記上階建物ユニット30Aの床梁43の上面から前記大空間用建物ユニット20Bの天井梁52の下面までの間に納まる寸法となっていることが望ましい。
このようにすれば、上階建物ユニット30Aの床および大空間用建物ユニット20Bの天井は、通常の建物ユニットに設けられる床および天井と同じ高さレベルに設置可能となり、床および天井の取付構造を何ら変更することがなくなり、建物ユニット20B,30Aの製造効率が損なわれない。
【0011】
また、前記補強梁70は、前記建物ユニット20B,30Aの短辺側に沿って延びていることが望ましい。
このように、補強梁70を建物ユニット20B,30Aの短辺方向に設ければ、建物ユニット20B,30Aの長辺方向に補強梁70を設ける場合よりも、補強梁70およびこの補強梁70で補強される天井梁52の長さが短くなり、より高い剛性が確保されるので、柱51を省略するにあたり、所定の剛性を確保することがより容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るユニット式建物10が示されている。 ユニット式建物10は、基礎11の上に形成される建物本体12と、この建物本体12の上に形成される屋根13とを備えたものである。
このうち、建物本体12は、箱状に形成された建物ユニット20,30を複数組合わせて形成されたものである。
【0013】
ユニット式建物10の一階部分には、下階建物ユニットである建物ユニット20A,20Bが設けられている。
詳しくは、ユニット式建物10の一階部分は、図2に示されるように、建物本体12の外周縁に沿ってL字形状に配置された5個の建物ユニット20Aと、当該建物ユニット20Aが形成するL字の入隅部分に配置された4個の建物ユニット20Bとで形成されている。
図1に戻って、ユニット式建物10の二階部分には、上階建物ユニットである建物ユニット30Aが設けられている。
【0014】
このうち、下階建物ユニット20Aおよび上階建物ユニット30Aは、図3に示されるように、四隅の柱41の上下端を連結する天井梁42および床梁43を有する直方体状のフレーム40を有する通常の建物ユニットである。
フレーム40の天井梁42としては、長さの異なる短辺天井梁42Aおよび長辺天井梁42Bの二種類が設けられ、フレーム40の床梁43としては、長さの異なる短辺床梁43Aおよび長辺床梁43Bの二種類が設けられている。
対向する長辺天井梁42Bの間には、図示しない、天井面材を支持するために天井小梁が架け渡されている。
対向する長辺床梁43Bの間には、図示しない、床を形成する床面材を支持するために複数の根太が架け渡されている。
【0015】
一方、図2において、一点鎖線のハッチングで示される4個の大空間用建物ユニット20Bは、図4に示されるように、各々の一つの角隅部20D同士が寄せ合わされた状態で隣接配置されている。
建物ユニット20Bは、通常の下階建物ユニット20Aのフレーム40から柱51が一本省略され、つまり、寄せ合わされた角隅部20Dの柱51が省略され、三本の柱51を有する略直方体状の大空間用フレーム50を備えた大空間用建物ユニットとなっている。
これにより、4個の建物ユニット20Bの中心部分には、天井と床との間に柱51等の突出物が何ら存在しない広い大空間60が形成される。
【0016】
大空間用フレーム50の天井梁52としては、長さの異なる短辺天井梁52Aおよび長辺天井梁52Bの二種類が設けられ、大空間用フレーム50の床梁53としては、長さの異なる短辺床梁53Aおよび長辺床梁53Bの二種類が設けられている。
このような柱51が省略された角隅部20D同士が寄せ合わされた状態で隣接配置された4個の大空間用建物ユニット20Bは、当該寄せ合わされた角隅部20Dを間においたその両側の角隅部20Cに配置される柱51の上端が補強梁70で連結されている。
【0017】
補強梁70は、大空間用建物ユニット20Bの柱51が省略された天井梁52Aを補強するためのものであり、当該大空間用建物ユニット20Bの短辺方向に沿って延びている。この補強梁70は、角隅部20Dの両側の角隅部20Cに配置される柱51を連結する長さ寸法を有する長尺の部材となっている。
補強梁70には、対向する複数の平板材71と、これらの平板材71の間に介装される波板材72とが設けられている。
【0018】
また、平板材71および波板材72の高さ寸法、すなわち、補強梁70の梁成Hは、図6に示されるように、上階建物ユニット30Aの床梁43Aの上面から大空間用建物ユニット20Bの天井梁52Aの下面までの間に納まる寸法となっている。
ここで、補強梁70は、その上面が床梁43Aの上面から上方へ突出せず、その下面が天井梁52Aから下方へ突出しないので、床梁43Aの上面に載置される床面材は、他の建物ユニット30Aの床面材と同一高さレベルとなっているとともに、天井梁52Aの下面に設けられる天井面材は、他の建物ユニット20Aの天井面材と同一高さレベルとなっている。
【0019】
図5に戻って、平板材71の上端側には、補強梁70と上階建物ユニット30Aの床梁53Aとを接合するために、ボルト76が挿通されるボルト孔71Aが所定間隔をあけて複数形成されている。また、平板材71の下端側には、補強梁70と大空間用建物ユニット20Bの天井梁42Aとを接合するために、ボルト76が挿通されるボルト孔71Bが所定間隔をあけて複数形成されている。
波板材72は、正六角形を半分に切断した略台形状の波形が複数繰り返された断面形状を有している。この波板材72には、対向する平板材71と当接する当接面72Aが形成され、この当接面72Aが平板材71との接合面となっている。
ここで、平板材71と波板材72とは、当接面72Aの周縁に沿って所定間隔をあけてスポット溶接することにより、溶接されている。
当接面72Aには、平板材71のボルト孔71Aに対応した位置にボルト孔72Bが形成されている。当接面72Aの裏側には、ボルト孔72Bと対応した位置に裏ナット75が溶接により固着されている。
一対の平板材71は、その間の波板材72に接合され、平行状態が維持されるため、上方から鉛直荷重が加わっても、波板材72により外側あるいは内側への変位が抑制されるようになっている。これにより、補強梁70は、平板材71および波板材72を薄くしても、所定の剛性が確保されるようになっている。
【0020】
また、補強梁70の対向する平板材71の各表面には、当該補強梁70の落下を防止するために、複数のストッパ81が着脱可能に設けられ、補強梁70と大空間用建物ユニット20Bの天井梁52Aとの接合時において、ストッパ81が天井梁52Aの上面に載置されるようになっている。
このストッパ81は、平板材71の長辺方向に沿って延び、上階建物ユニット30Aの床梁43Aとボルト接合するためのボルト孔71Aにボルト76を挿入し、裏ナット75と螺合させることにより、平板材71に接合されている。
【0021】
このような隣接配置された大空間用建物ユニット20Bの四本の天井梁52Aは、大空間用建物ユニット20B側から天井梁52A、平板材71および波板材72を貫通するボルト76を裏ナット75に螺合させることにより、相互に連結されて束ねられている。
特に、四本の天井梁52Aの寄せ集められた端部は、補強梁70の中央部分、すなわち、角隅部20Dの上方の部分に、ボルト76およびナット75で接合され、強固に一体化されている。
また、隣接配置された上階建物ユニット30Aの四本の床梁43Aは、大空間用建物ユニット20Bの天井梁52Aと同様に、上階建物ユニット30A側から床梁43A、平板材71および波板材72を貫通するボルト76を波板材72の当接面72Aの裏側に溶接により固着された裏ナット75にそれぞれ螺合させることにより、相互に連結されて束ねられている。
【0022】
換言すれば、一方の角隅部20Cから角隅部20Dに向かって延びてくる四本の梁43A,52Aは、当該角隅部20Dで途切れ、反対側の角隅部20Cから同様にして延びてくる4本の梁43A,52Aの端部と当接している。
ここで、補強梁70が柱51の省略された角隅部20Dの両側の角隅部20Cに配置される柱51の上端を連結する長さを有しているので、当該角隅部20Dの近傍で補強梁70を介して左右の4本の梁43A,52A同士が一体化され、一本の大梁となる。
なお、建物ユニット20Bの角隅部20Dには、輸送治具である仮柱80が着脱可能に設けられ、輸送時においては、床梁53A,53Bの連結部分と、天井梁52A,52Bの連結部分とが連結されるようになっている。
【0023】
次に、柱51等の突出物が何ら存在しない広い大空間60の形成手順を説明する。
まず、工場で建物ユニット20,30および補強梁70を製作した後、建築現場に搬送する。建物ユニット20,30および補強梁70の製作の際、搬送時の建物ユニット20Bの変形を防止するために、角隅部20Dに仮柱80を設けておく。また、平板材71の各表面にストッパ81をそれぞれ設けておく。
そして、これらの建物ユニット20Bを、図7に示されるように、平面視で隣接配置し、隣接する短辺天井梁52Aの間に形成される隙間に補強梁70を挿入する。
【0024】
この際、角隅部20Dの両側の角隅部20Cに配置される柱51の近傍の位置において、図5に示したように、二本の天井梁52Aを補強梁70でボルト接合により、相互に連結して束ねるとともに、角隅部20Dの近傍の位置において、束ねられた二本の天井梁52A同士を補強梁70を介してボルト接合で連結することにより、一体化させる。
なお、補強梁70を短辺天井梁52Aに接合するにあたり、補強梁70は、ストッパ81により落下せず、ボルト76による補強梁70への連結作業が容易となる。
【0025】
その後、図8に示されるように、ストッパ81を大空間用建物ユニット20Bから取り外すとともに、上階建物ユニット30Aを大空間用建物ユニット20Bの上に載置する。
これにより、隣接する短辺床梁43Aの間には、補強梁70が配置される。
そして、大空間用建物ユニット20Bの短辺天井梁52Aと同様に、角隅部20Cに配置される柱41の近傍において、二本の床梁43Aを補強梁70でボルト接合により、相互に連結して束ねるとともに、角隅部20Dの近傍の位置において、束ねられた二本の床梁52A同士を補強梁70でボルト接合で連結することにより一体化させる。この後、仮柱80を取外すと、天井および床との間に柱51等の突出物が何ら存在しない広い大空間60が形成される。
【0026】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、補強梁70を隣接する建物ユニット20B,30Aの梁52A,43Bの間に介装し、両側の梁52A,43Bと接合しているので、大空間用建物ユニット20Bが補強され、ラチス梁のような複雑な取付構造が不要となり、補強梁70の梁52Aへの接合作業を容易に行うことができる。
また、補強梁70を平板材71および波板材72から形成しているので、補強梁70で所定の剛性を確保しても、補強梁70の重量が重くならず、補強梁70を容易に取り扱うことができる。
【0027】
さらに、補強梁70が上階建物ユニット30Aの床梁43Aの上面から大空間用建物ユニット20Bの天井梁52Aの下面までの間に納められているので、上階建物ユニット30Aの床および大空間用建物ユニット20Bの天井は、通常の建物ユニットに設けられる床および天井と同じ高さレベルに設置可能となり、床および天井の取付構造を何ら変更することなく、建物ユニット20B,30Aの製造工率が損なわれない。
【0028】
また、補強梁70を建物ユニット20Bの短辺方向に沿って設けられているので、建物ユニット20Bの長辺方向に補強梁70を設ける場合によりも、補強梁70およびこの補強梁70で補強される天井梁52Aの長さが短くなり、より高い剛性が確保されるので、柱51を省略するにあたり、所定の剛性をより容易に確保することができる。
【0029】
さらに、平板材71の各表面にストッパ81を設けたので、補強梁70を天井梁52Aに接合するにあたり、ストッパ81が天井梁52Aの上面に載置され、補強梁70が落下せず、ボルト76による補強梁70の天井梁52Aへの連結作業を容易に行うことができる。
【0030】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
すなわち、補強梁としては、建物ユニット20Bの短辺天井梁52Aを補強するものに限らず、建物ユニット20Bの長辺天井梁52Bを補強するものでもよい。ただし、補強梁70を短辺天井梁52Aを補強するものとすれば、長辺方向に補強梁70を設ける場合よりも、より高い剛性が確保でき、柱51を省略するにあたり、所定の剛性をより容易に確保することができる点で望ましい。
【0031】
また、波板材の断面形状としては、正六角形を半分に切断した略台形状の波形が複数繰り返された形状に限らず、図9に示されるように、正六角形およびこの正六角形を半分に切断した略台形を組合わせたハニカム形状でもよい。
この際、波板材73には、平板材71と当接する当接面73Aが形成されることが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
本発明の補強梁およびこれを用いたユニット式建物によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、請求項1に記載の補強梁によれば、大空間用建物ユニットを補強するにあたり、補強梁を隣接する建物ユニットの梁の間に介装し、両側の梁と接合すれば、大空間建物ユニットが補強されるので、ラチス梁のような複雑な取付構造が不要となり、補強梁の梁への接合作業を容易に行ことができる。
この際、補強梁を平板材および波板材から形成しているので、補強梁で所定の剛性を確保しても、補強梁の重量が重くならず、補強梁を容易に取扱うことができる。
【0033】
また、請求項2に記載の補強梁によれば、波板材の断面形状を略台形状の波形が連続する形状とし、波板材を平板材で両側から挟んでいるので、波板材が補強梁の補強材となり、補強梁に加わる鉛直荷重に対する充分な剛性を確保できるうえ、波板材に平板材と当接する当接面が形成されているので、この当接面が平板材との接合面となり、波板材と平板材との接合作業を容易に行え、補強梁を容易に製作できる。
【0034】
さらに、請求項3に記載のユニット式建物によれば、前述したように、所定の剛性を確保しても、重量が重くならない補強梁を、隣接する建物ユニットの梁の間に接合しているので、補強梁の取扱いが容易となり、ラチス梁のような複雑な取付構造が不要となり、補強梁の梁への接合作業を容易に行うことができる。
【0035】
また、請求項4に記載のユニット式建物によれば、上階建物ユニットの床および大空間用建物ユニットの天井が、通常の建物ユニットに設けられる床および天井と同じ高さレベルに設置可能となり、床および天井の取付構造を何ら変更することがなくなり、建物ユニットの製造効率が損なわれない。
【0036】
さらに、請求項5に記載のユニット式建物によれば、補強梁を建物ユニットの短辺方向に設けると、建物ユニットの長辺方向に補強梁を設ける場合よりも、補強梁およびこの補強梁で補強される天井梁の長さが短くなり、より高い剛性が確保されるので、柱を省略するにあたり、所定の剛性をより容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るユニット式建物を示す全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る一階部分の概略平面図である。
【図3】前記実施形態に係る建物ユニットのフレームを示す斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る大空間用建物ユニットを示す分解斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る建物ユニットの接合部分を示す分解斜視図である。
【図6】前記実施形態に係る建物ユニットの接合部分を示す断面図である。
【図7】前記実施形態に係る大空間用建物ユニットの設置方法を説明するための図である。
【図8】前記実施形態に係る建物ユニットの接合方法を説明するための図である。
【図9】本発明の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ユニット式建物
20A,30A 建物ユニット
20B 大空間用建物ユニット
40 フレーム
41 柱
42 天井梁
43 床梁
50 大空間用フレーム
51 柱
52 天井梁
53 床梁
70 補強梁
71 平板材
72 波板材

Claims (5)

  1. 四隅の柱の上下端を天井梁および床梁で連結した直方体状のフレームを有する通常の建物ユニットと、通常の建物ユニットのフレームから柱を一本省略した大空間用フレームを有する複数の大空間用建物ユニットとを含んで形成されたユニット式建物の内部に、柱のない大空間を形成するために、前記複数の大空間用建物ユニットを隣接配置し、これらの大空間建物ユニットを補強するための補強梁であって、対向する複数の平板材と、これらの平板材の間に介装される波板材とを備え、前記波板材は前記平板材と当接する当接面が形成され、前記当接面には前記平板材に形成されたボルト孔に対応した位置にボルト孔が形成され、前記当接面の裏側にはボルト孔と対応した位置に裏ナットが溶接により固着され、この裏ナットに前記ボルト孔に挿通されたボルトが螺合されていることを特徴とする補強梁。
  2. 請求項1に記載の補強梁において、前記波板材は、正六角形を半分に切断した略台形状の波形が複数繰り返された断面形状を有していることを特徴とする補強梁。
  3. 四隅の柱の上下端を天井梁および床梁で連結した直方体状のフレームを有する通常の建物ユニットと、通常の建物ユニットのフレームから柱を一本省略した大空間用フレームを有する複数の大空間用建物ユニットとを含んで形成されたユニット式建物であって、前記大空間建物ユニットは、前記柱が省略された角隅部同士が寄せ合わされた状態で隣接配置され、寄せ合わされた角隅部を間においたその両端に配置される柱の上端が補強梁で連結され、この補強梁は、対向する複数の平板材と、これらの平板材の間に介装される波板材とを備え、前記波板材は前記平板材と当接する当接面が形成され、前記当接面には前記平板材に形成されたボルト孔に対応した位置にボルト孔が形成され、前記当接面の裏側にはボルト孔と対応した位置に裏ナットが溶接により固着され、この裏ナットに前記ボルト孔に挿通されたボルトが螺合されていることを特徴とするユニット式建物。
  4. 請求項3に記載のユニット式建物において、下階に四つの大空間用建物ユニットが隣接配置され、これらの大空間用建物ユニットの上に前記通常の建物ユニットである上階建物ユニットがそれぞれ載置され、
    隣接する大空間用建物ユニットの天井梁の間、および、隣接する上階建物ユニットの床梁の間に前記補強梁が介装され、この補強梁は、その梁成が前記上階建物ユニットの床梁の上面から前記大空間用建物ユニットの天井梁の下面までの間に納まる寸法となっていることを特徴とするユニット式建物。
  5. 請求項3または請求項4に記載のユニット式建物において、前記補強梁は、前記建物ユニットの短辺側に沿って延びていることを特徴とするユニット式建物。
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