JP4700178B2 - ユニット式建物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱のない大空間を形成するために、四本の柱のうちの一本が省略された箱状の建物ユニットを複数備え、これらのうち隣接する建物ユニット間に補強梁が設けられたユニット式建物に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、工場で製造した箱状の建物ユニットを、建築現場で複数連結させて建築されるユニット式建物が利用されている。
このユニット式建物を形成する建物ユニットとしては、四隅の柱の上下端を天井梁および床梁で連結した箱状のフレームを有するものが一般的である。フレームには、天井梁に支持される天井面材、床梁に支持される床面材および部屋を仕切る間仕切壁等の内装材や、軽量気泡コンクリート等で形成された外壁等の外装材が工場で組付けられている。
このようなユニット式建物によれば、工場において箱状のフレームに内装材や外壁材の取り付け作業まで行って建物ユニットを製造した後、その建物ユニットを現場に運搬して連結作業を行うだけで建物が完成するから、建築現場での作業が大幅に削減され、建築工事を短期間で完了できるというメリットが得られる。
【0003】
一方、建物ユニットを上下積層して形成したユニット式建物(以降、積層ユニット式建物と呼ぶ)において、下側建物ユニットの内部に、広い居間等のような柱のない大空間を形成する場合がある。この場合、例えば、通常の建物ユニットのフレームに設けられた四本の柱のうちの一つを省略して大空間用建物ユニットとし、この大空間用建物ユニットの柱が省略された角隅部を四つ寄せ合わせて大空間を形成する。
【0004】
この際、一の柱が省略されるので、大空間用建物ユニットの剛性が低下するため、柱が省略された角隅部を挟んでその両側に配置される柱の間に、通常の2スパン分の長さを有する補強梁を設けて剛性を補う構造が提案されている(特開平8−277580号公報参照)。
この構造は、補強梁を隣接する建物ユニットの天井梁間および床梁間に設けて、下側建物ユニット、あるいは、下側建物ユニットと上側建物ユニットとの両方に補強梁を接続することによって柱が省略された角隅部を補強する構造である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、建物ユニット内の配管類(例えば、上下水道配管、電源、通信用ケーブル等)は、各階床下または天井裏のスペースを利用して設置される。
しかし、大空間を有するユニット式建物では、前述した補強梁が隣接する建物ユニットの天井梁間および床梁間に配置されるため、例えば、天井裏のスペースを利用して配管類を設置しようとする場合、補強梁の下端から建物ユニットの天井面までの間に配管類を配設するためのスペースを確保しなければならないため、その分天井高が低く、つまり天井高を十分に確保できないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、内部に大空間を有し、この大空間の天井高を確保しつつ、大空間の天井裏やその上階床下のスペースに配管類を各ユニット間に跨って設置できる補強梁を備えたユニット式建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のユニット式建物は、次の構成を採用する。本発明を図面を参照して説明すると、請求項1に記載のユニット式建物は、四隅の柱41の上下端を天井梁42および床梁43で連結して箱状に形成されたフレーム40を有する通常の建物ユニット20A、30Aから前記柱41が一本省略された大空間用建物ユニット20Bを複数有し、これら大空間用建物ユニットの前記柱が省略された角隅部20Dを寄せ合わせて配置された複数の下側建物ユニット20Bと、この下側建物ユニットの上に積層された上側建物ユニット30Aとを備え、前記角隅部を補強する補強梁70が設けられたユニット式建物であって、前記補強梁は、前記角隅部の両側に配置される柱の間に架け渡され、前記上側建物ユニットの床梁の上端から下側建物ユニットの天井梁の下端までの寸法を有する梁背を備える梁本体71と、この梁本体に設けられて前記梁本体の両側に隣接する前記上側建物ユニットおよび下側建物ユニットのうち少なくとも一方に接続される接続部72とを備え、前記梁本体の両側に隣接する下側建物ユニットの天井梁には、配管類87が挿通可能な第1挿通部としての挿通部86が形成され、前記梁本体には、前記梁本体の下端と前記接続部との高さ方向略中央に前記挿通部86に応じた第2挿通部としての挿通部85が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、隣接する下側建物ユニットの天井梁間に補強梁の梁本体を配置し、梁本体に隣接する天井梁に第1挿通部を設け、梁本体に第1挿通部に応じた第2挿通部を設けたので、これらの挿通部を通して配管類を隣接する建物ユニットに跨って設置できる。さらに、梁本体を、上側建物ユニットの床梁の上端から下側建物ユニットの天井梁の下端までの寸法を有する梁背を備えるものとし、第2挿通部を梁本体の下端と接続部との高さ方向略中央に設けた。よって、内部に大空間を有し、この大空間の天井高を確保しつつ、大空間の天井裏やその上階床下のスペースに配管類を各ユニット間に跨って設置できる。
【0009】
請求項2に記載のユニット式建物は、請求項1に記載のユニット式建物において、前記挿通部は、前記梁本体に形成された貫通孔であることを特徴とする。
この発明によれば、梁本体の高さ方向中間部に形成した貫通孔を挿通部としたので、梁本体の上下端部に断面欠損がないから、例えば、梁本体の上下端部の辺縁を切り欠いて挿通部を形成した場合に比べ、上側建物ユニットの荷重による曲げ力に対する剛性を容易に確保できる。
【0011】
請求項3に記載のユニット式建物は、請求項1または2に記載のユニット式建物において、前記挿通部は、所定間隔で複数配列されていることを特徴とする。この発明によれば、挿通部を複数配列したので、これらの挿通部の中から任意に選択して使用できる上に補強梁を軽量化できる。また、配管類の位置を自由に決定できるから、配管の構造別に挿通部を分けて使用したり、配管位置から最も近い挿通部を用いることができる。
【0012】
請求項4に記載のユニット式建物は、請求項1から3のいずれかに記載のユニット式建物において、前記挿通部は、前記接続部が設けられた領域を避けて設けられていることを特徴とする。この発明によれば、補強梁に発生する曲げ力は接続部が設けられた領域で最大になるから、この領域を避けて挿通部を設けることにより、曲げ力に対する剛性にほとんど影響を与えずに挿通部を形成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態に係るユニット式建物10が示されている。このユニット式建物10は、基礎11と、この基礎11の上に形成される建物本体12と、この建物本体12の上に形成される屋根13とを備えている。
このうち、建物本体12は、箱状に形成された建物ユニットが複数組合わせて形成され、下側建物ユニットとしての1階建物ユニット20と、上側建物ユニットとしての2階建物ユニット30とを備えている。
【0014】
1階建物ユニット20は、図2に示すように、建物本体12の外周縁に沿ってL字形状に配置された5個の通常の建物ユニット20Aと、一点鎖線のハッチングで示すように、通常の建物ユニット20Aが形成するL字の入隅部分に配置された4個の大空間用建物ユニット20Bとで構成されている。
2階建物ユニット30は、通常の建物ユニット20Aと同一形状である9個の通常の建物ユニット30Aで構成されている。
【0015】
通常の建物ユニット20A、30Aは、図3に示すように、四隅の柱41の上下端を連結する天井梁42および床梁43を有する箱状のフレーム40を備えている。このうち、柱41と天井梁42とは、柱41の柱頭側に配置される柱頭接合部材45を介して連結され、柱41と床梁43とは、柱41の柱脚側に配置される柱脚接合部材46を介して連結されている。
天井梁42としては、長さの異なる短辺天井梁42Aおよび長辺天井梁42Bの二種類が設けられ、床梁43としては、長さの異なる短辺床梁43Aおよび長辺床梁43Bの二種類が設けられている。また、対向する長辺天井梁42Bの間には、天井面材を支持するための天井小梁が架け渡され(図示省略)、また、対向する長辺床梁43Bの間には、床を形成するパーチクルボード等の床面材を支持するための複数の根太が架け渡されている(図示省略)。
【0016】
図4には、通常の建物ユニット20A、30Aの連結部分の分解斜視図が示されている。
柱頭接合部材45の上面には、位置決めピン45Aと、挿通孔45Bとが設けられ、柱脚接合部材46の下面には、図示しない位置決め孔と、挿通孔46Bとが設けられている。
また、通常の建物ユニット20A、30A同士の連結には、平板状の通常のシアプレート60が用いられる。通常のシアプレート60が、1階建物ユニット20Aの隣接する複数の柱頭接合部材45と、これらの柱頭接合部材45の上に配置される2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46との間に介在されることにより、上下方向および水平方向に隣接する建物ユニット20A、30A同士が連結される。建物ユニット20A、30A同士の連結には、緊締具81としてのボルト81Aとナット81Bが用いられている。
【0017】
具体的には、通常のシアプレート60には、位置決め孔60Aと挿通孔60Bとが設けられている。1階建物ユニット20Aの柱頭接合部材45の位置決めピン45Aが、通常のシアプレート60の位置決め孔60Aに挿通されて、2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46の位置決め孔に嵌合されることにより、建物ユニット20A、30A同士の位置が決定される。そして、1階建物ユニット20Aの柱頭接合部材45の挿通孔45B、通常のシアプレート60の挿通孔60Bおよび2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46の挿通孔46Bにボルト81Aが挿通され、このボルト81Aにナット81Bが螺合されて緊締されることにより、建物ユニット20A、30A同士が連結される。
【0018】
図5には、大空間用建物ユニット20Bの分解斜視図が示されている。
大空間用建物ユニット20Bは、通常の建物ユニット20Aのフレーム40の1本の柱41が省略された角隅部20Dを備えた箱状の大空間用フレーム50を備え、各々の1つの角隅部20D同士が寄せ合わされた状態で隣接配置されている。
これにより、4個の建物ユニット20Bの内部には、天井と床との間に柱41等の突出物が何ら存在しない広い大空間が形成される。
また、大空間用建物ユニット20Bは、柱41が省略されかつ寄せ合わされた角隅部20Dを間において、その短辺方向両側に角隅部20Cを備えており、この角隅部20Cに配置される柱41の間には補強梁70が架け渡されている。
【0019】
図6には、補強梁70の全体斜視図が示されている。
補強梁70は、断面縦長の長方形であって、継目なく一体成形された直線状の筒状部材である梁本体71と、この梁本体71の高さ方向中間の所定位置に設けられた平板状の接続部72とを備えている。接続部72は、角隅部20Dに対応した位置であって梁本体71の中央に設けられた中央接続部73と、角隅部20Dの両側の角隅部20Cに対応した位置であって梁本体71の端部に設けられた端部接続部74とを含んで構成されている。
【0020】
中央接続部73は、通常のシアプレート60が、梁本体71の所定高さに設けられたスリットに挿通されて溶接固定されることによって形成されている。また、中央接続部73は、梁本体71に接続される梁本体接続部分731と、この梁本体接続部分731の両端部であって、1階建物ユニット20Bおよび2階建物ユニット30Aに接続されるユニット接続部分732とを備えている。ユニット接続部分732には、複数の位置決め孔73Aおよび挿通孔73Bが設けられている。
【0021】
端部接続部74は、通常のシアプレート60が、梁本体71の所定高さに設けられたスリットに挿通されて溶接固定されることによって形成され、中央接続部73と同じ高さ位置になっている。また、端部接続部74は、梁本体71に接続される梁本体接続部分741と、この梁本体接続部分741の両端部であって、1階建物ユニット20Bおよび2階建物ユニット30Aに接続されるユニット接続部分742とを備えている。ユニット接続部分742には、複数の位置決め孔74Aおよび挿通孔74Bが設けられている。
【0022】
梁本体71の中央接続部73と端部接続部74との間の略中央には、これら接続部73,74が設けられた領域を避けて、挿通部85が所定間隔Sで4箇所ずつ設けられている。ここで、挿通部85は、梁本体71に形成された円形の貫通孔であって、梁本体71の下端と接続部72との高さ方向略中央に設けられている。
【0023】
図7には、補強梁70と大空間用建物ユニット20Bとの連結部分の分解斜視図が示され、図8には、補強梁70の中央接続部73の拡大断面図が示されている。
中央接続部73のユニット接続部分732は、通常のシアプレート60と同様に、1階建物ユニット20Bの隣接する複数の柱頭接合部材45と、これらの柱頭接合部材45の上に配置される2階建物ユニット30Aの隣接する複数の柱脚接合部材46との間に介在されて連結されている。
具体的には、1階建物ユニット20Bの柱頭接合部材45の位置決めピン45Aが、中央接続部73の位置決め孔73Aに挿通されて、2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46の位置決め孔に嵌合されている。また、1階建物ユニット20Bの柱頭接合部材45の挿通孔45B、中央接続部73の挿通孔73Bおよび2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46の挿通孔46Bにボルト81Aが挿通されてナット81Bで緊締されている。
【0024】
端部接続部74のユニット接続部分742は、中央接続部73のユニット接続部分732と同様に、1階建物ユニット20Bおよび2階建物ユニット30Aと連結されている。
具体的には、1階建物ユニット20Bの柱頭接合部材45の位置決めピン45Aが、端部接続部74の位置決め孔74Aに挿通されて、2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46の位置決め孔に嵌合されている。また、1階建物ユニット20Bの柱頭接合部材45の挿通孔45B、端部接続部74の挿通孔74Bおよび2階建物ユニット30Aの柱脚接合部材46の挿通孔46Bにボルト81Aが挿通されてナット81Bで緊締されている。
【0025】
大空間用建物ユニット20Bの短辺天井梁42Aには、挿通部85に対応した位置に挿通部86が設けられている。挿通部86と挿通部85には、配管87が挿通されている。
梁本体71の梁幅Wは、隣接する2階建物ユニット30Aの間に形成される隙間より僅かに狭いが、梁本体71の側面は、隣接する2階建物ユニット30Aの短辺床梁43Aの側面にほぼ当接している。また、梁本体71の梁背Hは、2階建物ユニット30Aの短辺床梁43Aの上端から大空間用建物ユニット20Bの短辺天井梁42Aの下端までの寸法となっている。なお、梁本体71の梁背Hは補強梁70に必要な剛性や、挿通部85および挿通部86の位置等によって適宜決められてよい。
【0026】
次に、大空間を組み立てて、かつこの大空間の天井裏やその上階床下のスペースに配管類を各ユニット間に跨って設置する手順を説明する。
まず、大空間用建物ユニット20Bを、建物ユニット20A、30Aおよび補強梁70と同様に工場で製作した後、建築現場に運搬する。運搬の際、建物ユニット20Bの大空間用フレーム50の変形を防止するために、角隅部20Dに図示しない仮柱を設けておく。仮柱は、柱脚接合部材46と、柱頭接合部材45とに着脱可能に連結されている。そして、図9に示すように、4つの大空間用建物ユニット20Bを角隅部20Dを寄せ合わせて隣接配置する。
【0027】
そして、角隅部20Cに配置される柱41間に補強梁70を配置し、大空間用建物ユニット20Bの柱頭接合部材45の位置決めピン45Aを端部接続部74の位置決め孔74Aおよび中央接続部73の位置決め孔73Aに挿通して、補強梁70の位置を決定する。
【0028】
その後、2階建物ユニット30Aを大空間用建物ユニット20Bの上に載置する。この状態で、2階建物ユニット30A、大空間用建物ユニット20Bおよび補強梁70を緊締具81で連結して一体化させる。この後、仮柱を取外し、8箇所の挿通部85および挿通部86のうちのいずれかに配管87を挿通する。
【0029】
したがって、本実施形態によれば以下の効果がある。
(1)隣接する2階建物ユニット30Aの床梁43A間および1階建物ユニット20Bの天井梁42A間のうち少なくとも一方に補強梁70の梁本体71を配置し、この梁本体71に挿通部85を設けたので、この挿通部85を通して配管87を隣接する建物ユニットに跨って設置できる。よって、内部に大空間を有し、この大空間の天井高を確保しつつ、大空間の天井裏やその上階床下のスペースに配管類87を各ユニット間に跨って設置できる。
【0030】
(2)梁本体71の高さ方向中間部に形成した貫通孔を挿通部85としたので、梁本体71の上下端部に断面欠損がないから、例えば、梁本体71の上下端部の辺縁を切り欠いて挿通部85を形成した場合に比べ、2階建物ユニット30Aの荷重による曲げ力に対する剛性を容易に確保できる。
【0031】
(3)梁本体71の中央接続部73と端部接続部74との間の略中央に挿通部85を4箇所ずつ配列したので、これらの挿通部85の中から任意に選択して使用できる上に補強梁70を軽量化できる。また、配管87の位置を自由に決定できるから、配管87の構造別に挿通部85を分けて使用したり、配管位置から最も近い挿通部85を用いることができる。
【0032】
(4)補強梁70に発生する曲げ力は中央接続部73、端部接続部74が設けられた領域で最大になるから、この領域を避けて挿通部85を設けることにより、曲げ力に対する剛性にほとんど影響を与えずに挿通部85を形成することができる。
【0033】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、挿通部85を梁本体71に形成された貫通孔としたが、梁本体71の辺縁に形成された切り欠きとしてもよい。
このようにすると、前記実施形態で述べた(1)、(3)、(4)の効果に加え、以下のような効果がある。
(5)梁本体71の上下端部の辺縁を切り欠くのみで挿通部85を形成するから、例えば、梁本体71に形成した貫通孔を挿通部85とした場合に比べ、孔明け加工機等を必要とせず、手工具で加工できるので、加工容易である。
【0034】
また、前記実施形態では、梁本体71に筒状部材を用いたが、板状部材を用いて、この板状部材と接続部72との接続部分をスチフナ等で適宜補強してもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、挿通部85を梁本体71の下端と接続部72との高さ方向略中央に設けて、大空間用建物ユニット20Bの短辺天井梁42Aに挿通部86が設けたが、挿通部85を梁本体71の上端と接続部72との高さ方向略中央に設けて、2階建物ユニット30Aの短辺床梁43Aに挿通部86を設けてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、梁本体71の接続部72を、1階建物ユニット20Bおよび2階建物ユニット30Aの両方に接続したが、1階建物ユニット20Bおよび2階建物ユニット30Aのうち一方にのみ接続してもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明のユニット式建物によれば、次のような効果が得られる。請求項1に記載のユニット式建物によれば、隣接する下側建物ユニットの天井梁間に補強梁の梁本体を配置し、梁本体に隣接する天井梁に第1挿通部を設け、梁本体に第1挿通部に応じた第2挿通部を設けたので、これらの挿通部を通して配管類を隣接する建物ユニットに跨って設置できる。さらに、梁本体を、上側建物ユニットの床梁の上端から下側建物ユニットの天井梁の下端までの寸法を有する梁背を備えるものとし、第2挿通部を梁本体の下端と接続部との高さ方向略中央に設けた。よって、内部に大空間を有し、この大空間の天井高を確保しつつ、大空間の天井裏やその上階床下のスペースに配管類を各ユニット間に跨って設置できる。
【0038】
請求項2に記載のユニット式建物によれば、梁本体の高さ方向中間部に形成した貫通孔を挿通部としたので、梁本体の上下端部に断面欠損がないから、例えば、梁本体の上下端部の辺縁を切り欠いて挿通部を形成した場合に比べ、上側建物ユニットの荷重による曲げ力に対する剛性を容易に確保できる。
【0040】
請求項3に記載のユニット式建物によれば、挿通部を複数配列したので、これらの挿通部の中から任意に選択して使用できる上に補強梁を軽量化できる。また、配管類の位置を自由に決定できるから、配管の構造別に挿通部を分けて使用したり、配管位置から最も近い挿通部を用いることができる。
【0041】
請求項4に記載のユニット式建物によれば、補強梁に発生する曲げ力は接続部が設けられた領域で最大になるから、この領域を避けて挿通部を設けることにより、曲げ力に対する剛性にほとんど影響を与えずに挿通部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るユニット式建物を示す全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係る一階概略平面図である。
【図3】前記実施形態に係る通常の建物ユニットのフレームを示す斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る通常の建物ユニットの連結部分を示す分解斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る大空間用建物ユニットを示す分解斜視図である。
【図6】前記実施形態に係る補強梁を示す全体斜視図である。
【図7】前記実施形態に係る補強梁と大空間用建物ユニットとの連結部分を示す分解斜視図である。
【図8】前記実施形態に係る補強梁と大空間用建物ユニットとの連結部分を示す断面図である。
【図9】前記実施形態に係る大空間用建物ユニットの連結方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 ユニット式建物
20 下側建物ユニットとしての1階建物ユニット
20A、30A 通常の建物ユニット
20B 大空間用建物ユニット
20D 柱が省略された角隅部
30 上側建物ユニットとしての2階建物ユニット
40 フレーム
41 柱
42 天井梁
43 床梁
70 補強梁
71 梁本体
72 接続部
73 中央接続部
74 端部接続部
81 緊締具
85 挿通部
87 配管類としての配管
Claims (4)
- 四隅の柱の上下端を天井梁および床梁で連結して箱状に形成されたフレームを有する通常の建物ユニットから前記柱が一本省略された大空間用建物ユニットを複数有し、これら大空間用建物ユニットの前記柱が省略された角隅部を寄せ合わせて配置された複数の下側建物ユニットと、この下側建物ユニットの上に積層された上側建物ユニットとを備え、前記角隅部を補強する補強梁が設けられたユニット式建物であって、
前記補強梁は、前記角隅部の両側に配置される柱の間に架け渡され、前記上側建物ユニットの床梁の上端から下側建物ユニットの天井梁の下端までの寸法を有する梁背を備える梁本体と、この梁本体に設けられて前記梁本体の両側に隣接する前記上側建物ユニットおよび下側建物ユニットのうち少なくとも一方に接続される接続部とを備え、
前記梁本体の両側に隣接する下側建物ユニットの天井梁には、配管類が挿通可能な第1挿通部が形成され、
前記梁本体には、前記梁本体の下端と前記接続部との高さ方向略中央に前記第1挿通部に応じた第2挿通部が設けられている
ことを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1に記載のユニット式建物において、
前記挿通部は、前記梁本体に形成された貫通孔である
ことを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1または2のいずれかに記載のユニット式建物において、
前記挿通部は、所定間隔で複数配列されている
ことを特徴とするユニット式建物。 - 請求項1から3のいずれかに記載のユニット式建物において、
前記挿通部は、前記接続部が設けられた領域を避けて設けられている
ことを特徴とするユニット式建物。
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